JP3765064B2 - 二重殻低温タンクの建設工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、LPGやLNGの液化ガス等を貯蔵する平底円筒形二重殻の低温タンク建設工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
平底円筒形二重殻低温タンクの従来建設工法は、図示は省略するが、例えば、基礎上に外槽の底板を敷設し、その底板周縁部に円筒状の外槽側板を組立てるとともに、その底板周縁内側近傍位置にパーライトコンクリート打設等の断熱材で底部保冷リングを形成し、その底部保冷リング上に内槽アニュラ板を配列して、そのアニュラ板を溶接接合し、かつ接合部の検査を行った後、そのアニュラ板上に内槽屋根をその下端部を位置させて組立てる。そして、その内槽屋根の上に内槽屋根を懸架する結合材を介して外槽屋根を組立て、その内槽屋根を懸架して組立てた外槽屋根は、揚重装置や圧縮空気を利用したエアリフト等で持ち上げて組立の終了した外槽側板の上端部へ取付ける。
【0003】
次いで外槽側板の下部に設けた搬入口から内槽の側板片を取込み、外槽屋根内側の周方向に設けたガイドレールに沿って走行可能なトロリーホイストを用いて前記内槽アニュラ板周縁部の上に積上げて内槽側板を組立て、しかして外槽屋根との結合材を解除した内槽屋根を、組立ての終了した内槽側板の上端部へ降下させて取付ける。
【0004】
そしてその後、前記底部保冷リングと接続して内側に位置する中央底部保冷層を形成し、その中央底部保冷層の上にアニュラ板と接続する内槽中央部底板を敷設する方法等で、従来の平底円筒形二重殻低温タンクは建設されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような従来の建設工法においては、パーライトコンクリート打設等で施工する底部保冷リングの形成には、打設パーライトコンクリートの強度が発現する期間等の関係から長い工期がかかり、又その長い工期をかけて形成した底部保冷リングの上で施工する内槽アニュラ板の配列や溶接接合、接合部検査等の建設作業にも長い工事期間を必要としていた。また、内槽アニュラ板の裏面溶接、溶接部裏面検査、或は溶接部放射線検査等は、内槽アニュラ板を底部保冷リングから持ち上げて浮かせた状態で施工しなければならないため、容易には施工することができなかった。更に、内槽アニュラ板の建設作業時に雨水が底部保冷リングに侵入しやすく、その雨水がタンク完成後の低温液化ガス貯蔵時に凍結する問題を生じさせる恐れもあった。
【0006】
また、内槽側板の組立てに際しては、外槽側板の下部に設けた搬入口から取込んだ側板片をトロリーホイストで吊り上げて、外槽側板と建設中の内槽側板との間の暗く狭い空間内を周方向に設けたガイドレールに沿って移動させるため、移動中に側板片が回転して内槽又は外槽の側板に衝突する心配や、落下する心配があった。また、内槽側板の組立作業は、外槽側板と建設中の内槽側板との間の暗くて狭い空間を利用して全周にわたって施工されるので、作業環境が悪く、かつ組立治具や道具を移動する繁雑さがあり、作業の安全性及び能率性の低下を余儀なくされる難点があった。組立てられた内槽側板の溶接作業や検査作業においても、走行する自動溶接機の電源ケーブル引回し作業や移動しながら行う検査作業が大変であった。
【0007】
また、結合材を介して外槽屋根に懸架された内槽屋根を、その結合材を解除して内槽側板上端部に降下させて結合する作業は、閉塞された狭い高所での危険な作業となり、特に懸架された宙吊り状態で施工される内外槽屋根間の結合材解除作業は、多くの手間と危険性が伴うものであった。更に、この結合材解除作業は、中央部から外周部に向かって結合材を解除していき、外周部の結合材で内槽屋根を懸架した後、その外周部結合材を最終的に解除して内槽屋根を降下させるように施工されるため、外槽屋根の外周部屋根骨は内槽屋根荷重を懸架し得る必要以上に強い強度が要求されていた。
【0008】
この発明は、従来技術の有する上述のような問題点に鑑みてなされたもので、底部保冷リングと内槽下部の建設を並行作業で施工して工期を短縮し、内槽最下段側板の水平な上端縁に設置したローラーの上で、側板片の積上げ組立てと内槽上位段側板の回転を順次繰り返しながら作業環境の良い搬入口近傍位置の一定場所で内槽側板を組立てることによって吊り上げた側板片を既設の側板に衝突させることなく建設作業の効率を高めて内槽側板を組立て、扛重機を用いて内槽屋根と内槽側板の結合を安全に施工できるようにした二重殻低温タンクの建設工法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係る二重殻低温タンクの建設工法は、底部保冷リングの設置部を囲繞するようにH形鋼や溝形鋼等の形鋼材で水平な一方端を外槽側板に溶接接合し、垂直な他方端を外槽底板に載置固定したL字形状、或は外槽底板に両端を載置固定した門型コの字形状等に形成してなる架台を設け、その架台の上で内槽アニュラ板又は内槽アニュラ板と内槽最下段側板、つまりリング状の内槽下部を組立て、かつその内槽下部の組立作業と並行して前記架台の内部でパーライトコンクリートの打設、或は工場モールド製品断熱材の配設等によって底部保冷リングを形成し、それらの並行作業が終了した後に、内槽アニュラ板を介して内槽最下段側板の下方に設置した扛重機を用いて、内槽アニュラ板及び内槽最下段側板からなるリング状の内槽下部を持ち上げて前記架台を撤去し、次いで底部保冷リングの上に上記リング状の内槽下部を降下載置して建設するもので、底部保冷リングとリング状の内槽下部の建設を並行作業で施工し、短期間かつ高品質に施工できるようにしたものである。
【0010】
また、請求項2記載の二重殻低温タンクの建設工法は、外槽の底板周縁内側近傍位置に底部保冷リングを形成するとともに、その外槽の側板下部に内槽上位段側板を構成する側板片の搬入口を設け、かつその搬入口上方の外槽屋根の内側部に前記側板片を吊り上げる起重機を取付けておいて、前記底部保冷リング上に配設した内槽アニュラ板の上に上端縁の水平な内槽最下段側板を組立て、その組立てた内槽最下段側板の水平な上端縁に複数のローラーを一定間隔で設置し、その設置した複数のローラーの上で、前記起重機を用いて前記搬入口から搬入した前記内槽上位段側板を構成する側板片を前記搬入口近傍位置の一定場所で継ぎ足し積上げて組立て、その側板片の積上げ組立てが終了した内槽上位段側板は前記ローラーを用いて円周方向に移動し、この組立てを終えて円周方向移動させた内槽上位段側板は、順次引き続いて組立て場所と異なる一定場所で溶接接合し、かつその溶接接合部も溶接場所と異なる他の一定場所で順次連続して検査し、これら搬入口近傍位置での側板片の組立てと内槽上位段側板の円周方向移動を順次繰り返して、内槽上位段側板全ての組立てと溶接接合と検査をローラーの上で行い、しかるのち、前記ローラーを撤去し、内槽最下段側板と内槽上位段側板を一体に結合して組立てるもので、ローラー上で側板片の積上げ組立てと内槽上位段側板の回転を順次繰り返しながら作業環境の良い搬入口近傍位置の一定場所で組立てることによって建設作業の効率を高め、かつ安全に施工できるようにしたものである。
【0011】
なお、上記ローラーを撤去するときには、上記外槽屋根の内側に結合材を介して内槽屋根を懸架しておいて、上記内槽上位段側板に係合して設けた扛重機を用いて、その内槽上位段側板を前記懸架している内槽屋根の下端位置まで持ち上げて結合し、かつ前記外槽屋根と内槽屋根との間の結合材を解除した後、その内槽屋根を結合した内槽上位段側板を前記扛重機で降下して内槽最下段側板と一体に結合して組立てるもので、内槽屋根と内槽側板との結合作業を扛重機を用いて安全に施工することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
この発明の実施形態例を、段階的な施工工程を示した図1及至図6及び底部保冷リング設置部を囲繞する架台の一例を示した図7に基づいて説明する。
【0013】
図1に示したように、まず、基礎(図示省略)上に外槽底板1を敷設し、その底板1周縁部に円筒状の外槽側板2を組立てる。そして、外槽底板1の周縁内側近傍位置に、底部保冷リング3の設置部を囲繞する架台4を設ける。
【0014】
架台4は、底部保冷リング3の設置部上方位置で、内槽アニュラ板5又は内槽アニュラ板5と内槽最下段側板6L、つまりリング状の内槽下部5Rが組立てられるように設けるもので、図7にその一例を示すように、H形鋼や溝形鋼等の形鋼材で図示のように水平な一方端を外槽側板2に溶接接合し、垂直な他方端を外槽底板1に載置固定したL字形状、或は外槽底板1に両端を載置固定した門型コの字形状等に形成して設置する。なお、架台4の下部に、H形鋼等の形鋼で、図示のように1本或は複数本の周方向に沿ったガイドレール7を設置しておくと、架台4の補強になるとともに、底部保冷リング3の形成作業時に、材料運搬作業や材料積層作業等の高効率化が図れる。
【0015】
このように設置した架台4の上に内槽アニュラ板5を配列し、そのアニュラ板5同士の溶接接合及び接合部検査等を行った後、そのアニュラ板5の上に上端縁が水平な内槽最下段側板6Lを組立てる。そして、図2に示したように、上端縁が水平な内槽最下段側板6Lを架台にしてナックルプレート8を組立て、かつ組立架台9を用いてそのナックルプレート8を接合した内槽屋根10を組立てるとともに、その内槽屋根10の上に内槽屋根10を懸架する結合材11を介して外槽屋根12を組立て、その内槽屋根10を懸架して組立てた外槽屋根12は、揚重装置や圧縮空気圧を利用したエアリフト等(図示省略)で持ち上げ、組立ての終了した外槽側板2の上端部へ、図3に示したように取付けて組立てる。
【0016】
なお、上述のように、内槽最下段側板6Lを架台にしてナックルプレート8を組立て、かつ組立架台9を用いてそのナックルプレート8を接合した内槽屋根10を組立てるようにすれば、内槽屋根10組立用の架台削減化が図れ、かつ内槽屋根10の仕上がり精度を向上させて、後述の内槽屋根10と内槽上位段側板6Uとの接合作業及び内槽上位段側板6Uと内槽最下段側板6Lとの接合作業が容易に施工することができる。
【0017】
また、これら架台4の上での組立作業と並行して、架台4の内部では、パーライトコンクリートの打設、或は工場モールド製品断熱材の配設等によって、底部保冷リング3を形成する。そして、それらの並行作業が終了した後、図7に示したように、内槽アニュラ板5を介して内槽最下段側板6Lの下方に設置した扛重機13、13、・・・を用いて内槽アニュラ板5及び内槽最下段側板6Lからなるリング状の内槽下部5Rを持ち上げ、架台4を撤去し、底部保冷リング3の上にリング状の内槽下部5Rを降下し、載置する。
【0018】
このように架台4の内部で底部保冷リング3を形成し、かつその保冷リング3の形成作業と並行して架台4の上で、内槽アニュラ板5及び内槽最下段側板6Lからなるリング状の内槽下部5R、或は内槽屋根10、外槽屋根12及び前記リング状の内槽下部5Rを組立てることによって、短期間かつ安全に建設作業の施工を進める。さらに、図示は省略するが、底部保冷リング3の形成作業時に、架台4を利用して架台4の内部作業場所をシートや鋼板等で被覆すれば、建設作業時に底部保冷リング3へ雨水が侵入する心配がなく、タンク完成後の低温液化ガス貯蔵時に生じ易い凍結水の問題を心配する必要もない。また、内槽アニュラ板5の裏面溶接、溶接部裏面検査、或は溶接部放射線検査等は、内槽アニュラ板5を持ち上げることなく容易かつ安全に、架台4の内部空間を利用して施工する。
【0019】
なお、架台4の撤去時期は、底部保冷リング3の形成作業期間にも左右されるもので、上述の工程に限らず、例えば工場モールド製品の断熱材配設作業等のみで短期間に底部保冷リング3が形成される場合には、架台4の上では、内槽アニュラー板5のリング状の内槽下部5Rの組立てのみ、或は内槽アニュラー板5と内槽最下段側板6Lからなるリング状の内槽下部5Rの組立てのみを施工し、架台4を撤去して底部保冷リング3の上に前記リング状の内槽下部を降下設置した後、その後の建設作業、例えば内槽最下段側板6Lの組立てや内槽屋根10の組立て等を施工してもよい。
【0020】
次いで、図3の縦断面概要説明図及び内槽部のみを側面概要説明図とした図4の縦断面概要説明図に示したように、外槽底板1の周縁内側近傍位置に底部保冷リング3を形成するとともに、その外槽の側板2の下部に内槽上位段側板6Uを構成する側板片6Pを搬入する搬入口14を設け、更にその搬入口14上方の外槽屋根12の内側部に側板片6Pを吊り上げる巻揚げ機等の起重機15を取付け、底部保冷リング3上に配設した内槽アニュラ板5の上に組立てた上端縁が水平な内槽最下段側板6Lの上に、内槽上位段側板6Uを支持する複数のローラー16、16、・・・を一定間隔で配置する。
【0021】
そして、搬入台車17で搬入口14まで運んできた側板片6Pを起重機15で吊り上げ、上端が水平なローラー16、16、・・・の上で積上げて組立てる。かくして、搬入口14近傍位置の内槽上位段側板6Uの一段円周一部を構成する内槽上位段側板6Uの組立てが終了すると、その組立てが終えた内槽上位段側板6Uはローラー16、16、・・・を用いて図示矢印方向の円周方向に移動し、その移動した後に再び起重機15を用いて吊り上げた側板片6Pを継ぎ足して組立て、組立ての終えた内槽上位段側板6Uは再びローラー16、16、・・・を用いて円周方向に移動する。これら搬入口14近傍位置での側板片6Pの組立てと内槽上位段側板6Uの円周方向移動を順次繰り返して、内槽上位段側板6Uの全てをローラー16、16、・・・の上で組立てる。
【0022】
組立てが終えて円周方向移動させた内槽上位段側板6Uは、順次引き続いて組立て場所と異なる一定場所で溶接接合し、かつその溶接接合部も溶接場所と異なる他の一定場所で順次連続して検査する。なお、ローラー16、16、・・・の上で積上げて組立てる側板片6Pは、運んできたそのままの状態で、回転や起立をさせることなく、その上端を起重機15に係合して吊り上げ、円周方向に沿ってローラー16、16、・・・の上で積上げ組立てができるように立設して搬入台車17で搬入口14まで運んでくれば、狭い空間を形成する既設の外槽側板2や内槽上位段側板6Uに衝突させることなく安全に吊り上げて、積上げ組立てを容易に施工することができる。
【0023】
かくして組立てを終えた内槽上位段側板6Uは、図5及び図6に示したように、内槽上位段側板6Uに係合して設けた扛重機20、20、・・・、つまり内槽最下段側板6Lに取付けたブラケット18、18、・・・と内槽上位段側板6Uに取付けたブラケット19、19、・・・との間に設置した扛重機20、20、・・・によって持ち上げて、ローラー16、16、・・・を撤去し、降下させて内槽最下段側板6Lと一体に結合して組立てる。
【0024】
上述のように、ローラー16、16、・・・の上で側板片6Pの積上げ組立てと内槽上位段側板6Uの回転を繰り返しながら、外気や外光の差し込みやすい、良い作業環境下の搬入口14近傍位置の一定場所で、組立治具や道具、或は電源ケーブル等を移動することなく連続して側板片6Pを容易に積上げて組立て、かつ溶接接合や検査等も移動して行うことなく効率よく一定場所で安全に施工する。
【0025】
なお、上述の建設工法で建設する二重殻低温タンクの外槽屋根12においては、従来の外槽屋根下部の周方向に沿って設けたガイドレールを走行するトロリーホイストを用いて建設する工法に比べて、ガイドレールを設ける必要のない利点を有する他、側板片6Pの吊り上げに対する外槽屋根12の補強、つまり外槽屋根12の屋根骨(図示省略)の強度を補強する範囲が、全周にわたることなく起重機15の設置部に対応する箇所のみで良いため、屋根骨を経済的に製作できるばかりか、その建設費も大幅に低減することができる。
【0026】
また、上述の組立てが終えた内槽上位段側板6Uを持ち上げてローラー16、16、・・・を撤去する際に、図5及び図6に示したように、内槽上位段側板6Uに係合して設けた扛重機20、20、・・・、つまり内槽最下段側板6Lに取付けたブラケット18、18、・・・と内槽上位段側板6Uに取付けたブラケット19、19、・・・との間に設置した扛重機20、20、・・・によって、外槽屋根12の内側に結合材11を介して懸架されている内槽屋根10下端位置まで内槽上位段側板6Uを持ち上げ、その扛重機20、20、・・・によって、内槽上位段側板6Uを介して宙吊り状態の内槽屋根10を確りと支え、その確りと支えられた状態で内槽上位段側板6Uと内槽屋根10とを結合し、かつ外槽屋根12と内槽屋根10との間に設けられた結合材11を解除した後、内槽屋根10を結合した内槽上位段側板6Uを上記扛重機20、20、・・・で降下し、内槽最下段側板6Lと一体に結合して組立てる。
【0027】
上述のように施工して、閉塞された狭い高所作業で、かつ危険な宙吊り状態で施工する結合材解除作業が伴う従来の内槽屋根と内槽側板との結合作業を、ローラー16、16、・・・を撤去する際に用いる扛重機20、20、・・・を兼用して施工すれば、別途に扛重機20、20、・・・を準備しなくても、内槽上位段側板6Uを外槽屋根12に懸架されている内槽屋根10の下端位置まで持ち上げて、容易、経済的、かつ安全に結合して組立てられる。
【0028】
また、上述の結合方法で施工する二重殻低温タンクの外槽屋根12の屋根骨(図示省略)は、結合材を中央部から外周部に向かって解除し、外周部結合材で最終的に内槽屋根を懸架した後、その外周部の結合材を解除して内槽屋根を降下して内槽屋根と内槽側板を結合して施工する従来の二重殻低温タンク外槽屋根の屋根骨に比べて、外周部結合材で最終的に内槽屋根を懸架することがないため、外槽屋根12の外周部屋根骨強度を低減させることができ、経済的に屋根骨を製作できる利点を有するものである。
【0029】
なお、上述の図示実施形態例においては、内槽上位段側板6Uに係合して設ける扛重機20、20、・・・は、内槽最下段側板6Lに取付けたブラケット18、18・・・の上に載置して施工しているが、外槽側板2の下部に取付けたブラケットの上、或は底部保冷リング3の上等に載置して、内槽上位段側板6Uに取付けたブラケット19、19、・・・に当接して内槽上位段側板6Uを持ち上げ、或は降下させるように施工してもよい。
【0030】
そして、図5及び図6に示したように、底部保冷リング3に接続して内側に位置する中央部保冷層21を断熱材等で形成し、その中央部保冷層21の上で複数の組立架台23を用いて内槽アニュラ板5と接続する内槽中央部底板22を配設して組立て、その組立てられた内槽中央部底板22を、組立架台23を撤去して降下させ、内槽アニュラ板5と結合して中央部保冷層21上に敷設することによって、平底円筒形二重殻低温タンクの建設を完成させる。
【0031】
なお、この発明の工法は、金属板で建設する外槽を有する二重殻低温タンクはもとより、コンクリート構造体で外槽を建設する二重殻低温タンクにも適用することができる。また、この発明の工法は、上述の実施形態例に局限されるものではなく、この発明の技術思想を逸脱しない範囲内で種々の設計改変を施し得るものである。
【0032】
【発明の効果】
叙述のように、底部保冷リングの設置部を囲繞する架台を設けて、架台上の内槽下部の組立てと架台内部での底部保冷リングの形成作業を並行して施工する請求項1に係る二重殻低温タンクの建設工法においては、架台の上でリング状の内槽下部が組立てられるのと並行して、架台の内部ではパーライトコンクリートの打設、或いは工場モールド製品断熱材の配設等によって底部保冷リングを形成することができるため、この並行した作業によって、工事期間を大幅に短縮し、かつ安全に建設作業の施工を進めることができる。
更に、架台を利用して架台の内部作業場所をシートや鋼板等で被覆すれば、建設作業時に底部保冷リングへの雨水侵入を防止することができ、タンク完成後の低温液化ガス貯蔵時に生じやすい凍結水問題を解消することができる。
なお、架台の撤去時期は底部保冷リングの形成作業期間にも左右されるもので、底部保冷リング形成後に適宜架台の撤去を行うことができる。
【0033】
また、ローラーの上で側板片の積上げ組立てと内槽上位段側板の回転を順次繰り返しながら内槽側板を組立てる請求項2に係る二重殻低温タンクの建設工法においては、側板片は運んできたそのままの状態で回転や起立をさせることなく、その上端を起重機に係合して吊り上げ、狭い空間を形成する既設の外槽側板や内槽上位側板に衝突させることなく、側板片の積上げ組立てと内槽上位段側板の回転を繰り返しながら、外気や外光の差し込みやすい、良い作業環境下の搬入口近傍位置の一定場所で、組立治具や道具、或は電源ケーブル等を移動することなく連続して側板片を安全に吊り上げて積上げ組立てを容易に施工することができる。
さらに、溶接作業や検査作業等も移動することなく一定場所で効率よく安全に施工することができ、従来の外槽屋根下部の周方向に沿って設けたガイドレールを走行するトロリーホイストを用いて建設する工法に比べて、ガイドレールを設ける必要のない利点を有する他、側板片の吊り上げに対する外槽屋根の補強、つまり外槽屋根の屋根骨の強度を補強する範囲が全周にわたることなく起重機の設置部に対応する箇所のみで良いため、屋根骨を経済的に製作できるばかりか、その建設費も大幅に低減することができる。
【0034】
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る二重殻低温タンク建設工法一例の各種工程を段階的に示す図面の内、第一の工程を示した縦断面概要説明図である。
【図2】 図1に続く第二の工程を示した縦断面概要説明図である。
【図3】 図2に続く第三の工程を示した縦断面概要説明図である。
【図4】 図3に続く第四の工程を示した縦断面概要説明図である。
【図5】 図4に続く第五の工程を示した縦断面概要説明図である。
【図6】 図5に続く第六の工程を示した縦断面概要説明図である。
【図7】 この発明に係る架台の一例を示した部分斜視説明図である。
【符号の説明】
1 外槽底板
2 外槽側板
3 底部保冷リング
4 架台
5 内槽アニュラ板
5R リング状の内槽下部
6L 内槽最下段側板
6U 内槽上位段側板
6P 側板片
7 ガイドレール
8 ナックルプレート
9,23 組立架台
10 内槽屋根
11 結合材
12 外槽屋根
13,20 扛重機
14 搬入口
15 起重機
16 ローラー
17 搬入台車
18,19 ブラケット
21 中央部保冷層
22 内槽中央部底板
Claims (2)
- 底部保冷リングの設置部を囲繞するようにH形鋼や溝形鋼等の形鋼材で水平な一方端を外槽側板に溶接接合し、垂直な他方端を外槽底板に載置固定したL字形状、或は外槽底板に両端を載置固定した門型コの字形状等に形成してなる架台を設け、その架台の上で内槽アニュラ板又は内槽アニュラ板と内槽最下段側板、つまりリング状の内槽下部を組立て、かつその内槽下部の組立作業と並行して前記架台の内部でパーライトコンクリートの打設、或は工場モールド製品断熱材の配設等によって底部保冷リングを形成し、それらの並行作業が終了した後に、内槽アニュラ板を介して内槽最下段側板の下方に設置した扛重機を用いて、内槽アニュラ板及び内槽最下段側板からなるリング状の内槽下部を持ち上げて前記架台を撤去し、次いで底部保冷リングの上に上記リング状の内槽下部を降下載置して建設することを特徴とする二重殻低温タンクの建設工法。
- 外槽の底板周縁内側近傍位置に底部保冷リングを形成するとともに、その外槽の側板下部に内槽上位段側板を構成する側板片の搬入口を設け、かつその搬入口上方の外槽屋根の内側部に前記側板片を吊り上げる起重機を取付けておいて、前記底部保冷リング上に配設した内槽アニュラ板の上に上端縁の水平な内槽最下段側板を組立て、その組立てた内槽最下段側板の水平な上端縁に複数のローラーを一定間隔で設置し、その設置した複数のローラーの上で、前記起重機を用いて前記搬入口から搬入した前記内槽上位段側板を構成する側板片を前記搬入口近傍位置の一定場所で継ぎ足し積上げて組立て、その側板片の積上げ組立てが終了した内槽上位段側板は前記ローラーを用いて円周方向に移動し、この組立てを終えて円周方向移動させた内槽上位段側板は、順次引き続いて組立て場所と異なる一定場所で溶接接合し、かつその溶接接合部も溶接場所と異なる他の一定場所で順次連続して検査し、これら搬入口近傍位置での側板片の組立てと内槽上位段側板の円周方向移動を順次繰り返して、内槽上位段側板全ての組立てと溶接接合と検査をローラーの上で行い、しかるのち、前記ローラーを撤去し、内槽最下段側板と内槽上位段側板を一体に結合して組立てることを特徴とする二重殻低温タンクの建設工法。
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