JP3764192B2 - Cu基非磁性金属ガラス合金およびその製造法ならびに弾性作動体 - Google Patents
Cu基非磁性金属ガラス合金およびその製造法ならびに弾性作動体Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は一般式Cu100−a−b−cMaXbQc(MはZr(ジルコニウム),RE(希土類元素),Ti(チタン)のうち1種または2種以上の元素、XはAl(アルミニウム),Mg(マグネシウム),Ni(ニッケル)のうち1種または2種以上の元素、QはFe(鉄),Co(コバルト),V(バナジウム),Nb(ニオブ),Ta(タンタル),Cr(クロム),Mo(モリブデン),W(タングステン),Mn(マンガ)),Au(金),Ag(銀),Re(レニウム),白金族元素,Zn(亜鉛),Cd(カドミウム),Ga(ガリウム),In(インジウム),Ge(ゲルマニウム),Sn(錫),Sb(アンチモン),Si(珪素),B(硼素)のうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a,b,cは、原子%で5≦a≦65、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなり、この溶融合金を1〜106℃/secの速度で急冷することにより、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10−5以内にあることを特徴とするCu基非磁性金属ガラス合金およびその製造法ならびに高感度圧力センサ、高感度精密ばねおよび高性能振動子などに用いる弾性作動体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、非磁性の弾性作動体用合金、特にエリンバー合金としては、特開昭50−127814あるいはSoviet Physics−Doklady,Vol.9(1964),P1019などに記載されたCr基あるいはFe−Mn基合金などが知られているに過ぎない。それらは、いずれも(−10〜−5)×10−5程度の温度係数を示しており、溶解後鋳造のままか、若干の加工を施しセンサ材料やばね材料としての使用が試みられた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これらの非磁性エリンバー合金は、いずれも反強磁性体中に微量の強磁性体を含ませた構造で、磁性体のもつ大きな磁気体積効果に基づくΔE効果を利用して特性を発現させているものであって、磁気変態点以下の極く狭い温度範囲でしかその特性が得られない欠点を有する。しかも、前者は鍛造加工性に乏しく、研削のみが成形手段であり、後者はある程度の特性を得るために、冷間加工を施すと強磁性的性質が現れ、その上耐食性が極めて悪くなる。そのため引張、圧縮などの機械的強度の低下を来し、また非磁性状態が失われ応用上の制約となっていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、上記課題の解決を図ることを目的として、種々実験と研究を重ねた結果、本質的に非磁性のCu基合金を溶融状態から急冷して、少なくとも体積率で50%の非晶質を含み、100℃以上の過冷却液体領域を有する合金とした場合に、ガラス化温度以下の広い温度領域で、弾性作動体として必要な(−10〜+10)×10−5以内のヤング率の温度係数を保有することを見出すに至り、この発明を完成したものである。
【0005】
本発明は、一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦65、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成、またX元素からAlを除いた組成、さらには 一般式Cu100-a-b-cMaXbQc において、5≦a≦30、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である組成および少量の不純物とからなる合金を1〜106℃/secの速度で急冷することにより、体積率で50%以上の非晶質を含み、100℃以上の過冷却液体領域を有し、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内にあることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金であることを要旨とする。
【0006】
本発明の弾性作動体用Cu基合金は、上記組成を有する合金溶湯を液体急冷法によって急速に凝固することにより得られる。これは水焼入れ法、高圧鋳造法、高圧押出し法、単ロール法、双ロール法、回転液体中紡糸法などが有効に用いられ、1〜106℃/sec程度、望ましくは1〜104℃/secの冷却速度で冷却した薄帯ないしは棒状あるいは板状製品において少なくとも体積率で50%、望ましくは80%以上の非晶質化が可能である。
【0007】
上記方法により薄帯材料を製造するには、例えば図1(a)に示す単ロール法で説明すると、石英製ノズル管2の孔3を通して、約200〜8000rpmの速度で回転している鋼あるいは銅製のロール1に高周波炉5で溶解した溶湯4を噴出させる。これにより、幅0.5〜500mm、厚さ10〜500μmの薄帯材料6を得ることができる。また、図1(b)に示す水焼入れ法で説明すると、石英製アンプル8に真空または不活性ガス封入した原料を高周波炉9で溶解し、溶湯4’をアンプルごと氷塩水などの冷却水7に投じる。これにより直径1〜20mm、長さ200mmの棒状材料10を得ることができる。アンプルの形あるいは断面は目的に応じ、球状あるいは角形状、平板状などが有効に用いられる。
【0008】
また、上記方法によらず、高圧鋳造法で大型の鋳物を、スパッタリング法で薄膜を、高圧ガス噴霧法などのアトマイズ法やスプレー法により急冷粉末を得ることができる。
急冷Cu基合金の非晶質状態は、X線回折像におけるハローパターンの認識、あるいは示差走査熱量計において結晶化温度を示す急激な発熱ピークの確認などにより決定される。なお、薄帯の180°曲げ試験も有効に用いられる。
【0009】
本発明の特徴とする所は、次の通りである。
[第1発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦65、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなり、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内にあることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金。
【0010】
[第2発明]
特許請求項1の一般式Cu100−a−b−cMaXbQcにおいてX元素からAlを除いた組成と少量の不純物とからなり、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10−5以内にあることを特徴とする弾性作動体用金属ガラス合金。
【0011】
[第3発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦30、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなり、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内にあることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金。
【0012】
[第4発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦65、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなる溶融合金を1〜106℃/secの速度で急冷することにより、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内にあることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金の製造法。
【0013】
〔第5発明〕
特許請求項 4の一般式Cu100-a-b-cMaXbQcにおいて、X元素からAlを除いた組成と少量の不純物とからなる溶融合金を1〜10б℃/secの速度で急冷することにより、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内にあることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金の製造法。
【0014】
[第6発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦30、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなる溶融合金を1〜10б℃/secの速度で急冷することにより、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内にあることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金の製造法。
【0015】
[第7発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦65、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなる溶融合金を1〜106℃/secの速度で急冷した後、500℃以下の任意の温度で焼鈍を行うことにより、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内になることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金の製造法。
【0016】
〔第8発明〕
特許請求項7の一般式Cu100-a-b-cMaXbQcにおいて、X元素からAlを除いた組成と少量の不純物とからなる溶融合金を1〜10б℃/secの速度で急冷することにより、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内にあることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金の製造法。
【0017】
[第9発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦30、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなる溶融合金を1〜106℃/secの速度で急冷した後、500℃以下の任意の温度で焼鈍を行なうことにより、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内にあることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金の製造法。
【0018】
[第10発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦65、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高感度圧力センサ用弾性作動体。
【0019】
〔第11発明〕
請求項 1 0の一般式Cu100-a-b-cMaXbQcにおいて、X元素からAlを除いた組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高感度圧力センサ用弾性作動体。
【0020】
[第12発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦30、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高感度圧力センサ用弾性作動体。
【0021】
[第13発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦65、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高感度精密ばね用弾性作動体。
【0022】
〔第14発明〕
特許請求項13の一般式Cu100-a-b-cMaXbQcにおいて、X元素からAlを除いた組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高感度精密ばね用弾性作動体。
【0023】
[第15発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Sb, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦30、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高感度精密ばね用弾性作動体。
【0024】
[第16発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦65、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高性能振動子用弾性作動体。
【0025】
〔第17発明〕
特許請求項1 6の一般式Cu100-a-b-cMaXbQcにおいて、X元素からAlを除いた組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高性能振動子用弾性作動体。
【0026】
[第18発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦65cMaXb30、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金を用いた高性能振動子用弾性作動体。
【0027】
[作用]
本発明弾性作動体用Cu基合金は、過飽和な固溶体であるにも拘らず、通常バルク合金に用いられる鋳造、鍛造、圧延、などの加工行程を全て省略し、溶湯から直接棒状、板状あるいは長尺の薄帯が製造できるため、製品の精度が高く製造法の低コスト化も図れる特長を有する。
さらに、本発明弾性作動体用合金はガラス化温度から結晶化温度に至る温度領域すなわち過冷却液体領域が100℃以上のように極めて広く、ガラス化状態において合金が極端な軟化を示すため、この現象を利用した複雑形状のプレス、引抜き、圧延など任意形状の加工ができる大きな特徴も有する。
【0028】
本発明のCu基合金において、弾性作動体として必要な成分中Ma元素すなわちZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素を5%以上65%以下、Xb元素すなわちAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素を5%以上40%以下、Qc元素すなわちFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素を0%以上10%以下で且つa+b+cを10%以上70%以下の範囲に限定したのは、この範囲内では前記液体急冷法により、非晶質または少なくとも体積率で50%以上の非晶質となのオーダーの微結晶粒を含む構造とすれば、ヤング率の温度係数が小さく高靭性の合金が得られるが、いずれもその範囲から外れると結晶化温度が低下するか上昇するため非晶質化し難くなり、前記液体急冷法を利用した工学的急冷手段では、少なくとも体積率で50%の非晶質を有する合金を得ることができなく、かつ高強度性が失われるからである。また、特にM元素すなわちZr,RE,TiおよびX元素すなわちAl.Mg,Niにおいてはエリンバー合金の実用値とされる(−10〜+10)×10―5以内のヤング率の温度係数が得られなくなるからである。またX元素からAlを除くとさらに高靭性となるからであり、さらに、Ma 元素を5%以上 30%以下、 Xb元素を5%以上40%以下、 Qc元素を 0%以上10%以下、 a+b+cを 10%以上 70%以下の範囲に限定したのは、この範囲内ではヤング率の温度係数が(−8〜+8)×10―5以内のようにさらに向上するかである。
【0029】
Fe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Sb, Si, Bのうち少なくとも1種または2種以上の合計を0 〜10%に限定したのは、その範囲を外れると上述の理由に加えて、Fe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mnは強度の低下、Au, Re, 白金族元素は耐食性の低下、 Cd, Ga, In, Ge, Si, Bは成形加工性の低下を来たすからである。
【0030】
溶融合金の冷却速度を1〜106℃/secに限定したのは、1℃/sec未満では非晶質あるいは少なくとも体積率で50%の非晶質を含む構造が得られなくなり、106℃/secを越えると安定した形状の製品が得られなくなるからである。
【0031】
また、急冷によって得られた製品の焼鈍温度を500℃以下に限定したのは、この温度を越えると製品が結晶化し、ヤング率の温度係数が(−10〜+10)×10−5を外れるからである。
なお、希土類元素(RE)はSc,Yおよびランタン系元素からなるが、その等であり、また、白金族元素はRu,Rh,Pd,Os,Ir,Ptからなるが、その効果も均等であるので、同効成分とみなし得る。
【0032】
【実施例】
つぎに本発明の実施例につき説明する。
実施例 1
表1に示す合金番号2の成分組成を有する原料を、予めアーク溶解して1つの合金となし、細かく砕いて小片としたものを、図1(a)に示すノズル径0.5mmを有する石英管2に装入し、高周波5で溶解した後その石英管を400rpmで回転する直径200mmの銅製ロール1直上に設置し、溶湯4をアルゴンガスによって加圧し、ノズル孔3から噴出させてロール表面と5×104℃/secの速度で接触急冷させ、幅2mm、厚さ20μmの薄帯状弾性作動体6を得た。この薄帯はX線回折によって明瞭なハローパターンを示し、非晶質であることが確認され、また、 示差走査熱量計測定の発熱ピークにより結晶化温度Txも確かめ、表2に示した。
【0033】
実施例 2
表1に示す合金番号3の成分組成を有する原料を予めアーク溶解して1つの台金となし、細かく砕いて微小片としたものを、図1(b)に示す内径5mmの石英アンプル8に真空封入し、高周波9で溶解した後その溶湯4’の入った石英アンプルを0℃の氷塩水7中に投入して水焼入れを行い、5mmφx50mmの丸棒状弾性作動体10を得た。この丸捧はX線回折によって明瞭なハローパターンを示し、非晶質であることが確認され、 また、示差走査熱量計測定の発熱ピークにより結晶化温度Txも確かめた。この結晶化温度は実施例2で述べる薄帯の場合と同じ値であり、他の組成に対する諸条件とともに表2に示してある。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
実施例 3
実施例1と同様にして得られた合金番号1,2,3の供試非晶質薄帯につき、ヤング率Eの温度変化を共振法により5℃/分の加熱、冷却速度で測定し、その結果を図2に示す。図から明かなように、いずれの合金においてもEはガラス化温度Tg以下では温度依存性極めて小さく、優れた弾性作動体用エリンバー合金であることがわかる。
【0037】
実施例 4
実施例1と同様にして得られた合金番号3の供試非晶質薄帯につき、100℃,200℃,300℃,400℃で各3時間加熱後、300℃/時間の速度で冷却した状態のヤング率の温度変化を測定し、その結果を図3に示す。 図から明かなように、急冷状態で得られたエリンバー特性は熱処理によってさらに改善され、優れた弾性作動体用エリンバー合金となることがわかる。
【0038】
実施例 5
実施例4において測定した合金番号3に対する結果に基づき、室温〜100℃および室温〜300℃におけるヤング率の温度係数を算出し、加熱温度との関係を図4に示した。図から明かなように、任意の加熱温度に対して(−10〜+10)×10−5の温度係数が得られ、優れた弾性作動体用エリンパー合金となることがわかる。
【0039】
実施例 6
実施例1と同様にして得られた合金番号2の供試薄帯について、Cu32−cZr60Al8QcのようにZrとAlを固定し、各種の元素Qを変化させた場合のヤング率の温度係数e(×10−5)と添加元素量との関係を図5〜図7に示す。図からわかるようにヤング率の温度係数は添加元素量によってさらに向上する傾向を示している。従って、この範囲内では、優れた弾性作動体用エリンバー合金となることがわかる。
【0040】
つぎに本発明の実施例につき説明する。
実施例7
実施例1と同様にして得られた表1の各供試薄帯につき、ヤング率の温度係数eを共振法により、熱膨張係数を縦型熱機械試験機により、硬さHvをビッカース微小硬さ計により、結晶化温度を示差走査熱量計により測定し、その結果を表2に示した。なお、合金番号 18,23,24,25 は参考例である。表2に示すように本発明合金のヤング率の温度係数は(−10〜+10)×10―5の極めて小さい値を示し、靭性にも優れている。他方、既存の比較合金を見ると、ヤング率の温度係数は負値で大きく、硬さも低い。また両合金とも鍛造加工性に乏しいことが明らかにされており、これらの合金を比較すると、本発明合金は小さいヤング率の温度係数と高強度性を同時に満足する極めて有用な弾性作動体用合金であることがわかる。
【0041】
実施例 8
実施例2と同様にして得られた合金番号3の棒状金属ガラス合金を、冷間圧延によって厚さ0.5mmの薄板となし、これから0.5×50×50mm3の圧力センサ用振動板を作製して、ヤング率およびその温度係数を調べた。その結果は表3に示す通りで、比較合金として示した既存の非磁性センサ合金より優れた特性を示すことがわかる。
【0042】
【表3】
【0043】
実施例 9
実施例8と同様にして得られた合金番号3の板状金属ガラスからエッチング加工によってリング状板ばねを成形し、振動磁力計の磁力検出部に装着した場合のばね限界値およびその温度係数を調べた。その結果は表4に示す通りで、比較合金として示した既存の非磁性合金より優れたエリンバー型ばね用合金であることがわかる。
【0044】
【表4】
【0045】
実施例 10
実施例7と同様にして得られた合金番号3の棒状金属ガラスから、冷間圧延及び切削加工によって音叉状振動体を作製し、固有振動数およびその温度係数を調べた。その結果は表5に示す通りで、比較合金として示した既存の非磁性合金より優れたエリンバー特性を示すことがわかる。
【0046】
【表5】
【0047】
【発明の効果】
本発明のCu基合金は、Cu、M(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素)、X(XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素)およびQ(QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素)を所定の範囲で任意に組み合せることによって高い強度および高い靭性を保持しつつ、小さいヤング率の温度係数を持つ弾性作動体用合金を得ることを目的とし、これらの特性を同時に保有する新規な合金を提供するもので、各種の弾性作動体に好適である。さらに精密性の他に、ガラス化温度が高いことから、耐熱性が要求される分野に使用される高力構造用材料としても本発明合金は極めて有用である。なお、本発明合金は、溶湯から瞬時に製品とされるため、製造コストが低いという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)、(b)は液体急冷決の概略図である。
【図2】図2は合金番号1,2,3のヤング率Eと温度との関係を示す特性図である。
【図3】図3は合金番号3のヤング率Eと温度との関係を示す特性図である。
【図4】図4は合金番号3のヤング率の温度係数eと加熱温度との関係を示す特性図である。
【図5】図5はCu32−Zr60−Al8にFe,Co,V,Nb,Ta,Cr,Mo,WあるいはMnを添加した合金のヤング率の温度係数eと各添加元素量との関係を示す特性図である。
【図6】図6はCu32−Zr60−Al8系にAu,Ag,Re,Ru,Rh,Pd,Os,IrあるいはPtを添加した合金のヤング率の温度係数eと各添加元素量との関係を示す特性図である。
【図7】図7はCu32−Zr60−Al8系にZn,Cd,Ga,In,Ge,Sn,Sb,SiあるいはBを添加した合金のヤング率の温度係数eと各添加元素量との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 冷却ロール
2 石英管
3 ノズル孔
4、4’溶融合金
5 高周波加熱コイル
6 急冷薄帯
7 冷却水
8 石英アンプル
9 高周波加熱コイル
10 急冷丸棒
【産業上の利用分野】
本発明は一般式Cu100−a−b−cMaXbQc(MはZr(ジルコニウム),RE(希土類元素),Ti(チタン)のうち1種または2種以上の元素、XはAl(アルミニウム),Mg(マグネシウム),Ni(ニッケル)のうち1種または2種以上の元素、QはFe(鉄),Co(コバルト),V(バナジウム),Nb(ニオブ),Ta(タンタル),Cr(クロム),Mo(モリブデン),W(タングステン),Mn(マンガ)),Au(金),Ag(銀),Re(レニウム),白金族元素,Zn(亜鉛),Cd(カドミウム),Ga(ガリウム),In(インジウム),Ge(ゲルマニウム),Sn(錫),Sb(アンチモン),Si(珪素),B(硼素)のうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a,b,cは、原子%で5≦a≦65、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなり、この溶融合金を1〜106℃/secの速度で急冷することにより、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10−5以内にあることを特徴とするCu基非磁性金属ガラス合金およびその製造法ならびに高感度圧力センサ、高感度精密ばねおよび高性能振動子などに用いる弾性作動体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、非磁性の弾性作動体用合金、特にエリンバー合金としては、特開昭50−127814あるいはSoviet Physics−Doklady,Vol.9(1964),P1019などに記載されたCr基あるいはFe−Mn基合金などが知られているに過ぎない。それらは、いずれも(−10〜−5)×10−5程度の温度係数を示しており、溶解後鋳造のままか、若干の加工を施しセンサ材料やばね材料としての使用が試みられた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これらの非磁性エリンバー合金は、いずれも反強磁性体中に微量の強磁性体を含ませた構造で、磁性体のもつ大きな磁気体積効果に基づくΔE効果を利用して特性を発現させているものであって、磁気変態点以下の極く狭い温度範囲でしかその特性が得られない欠点を有する。しかも、前者は鍛造加工性に乏しく、研削のみが成形手段であり、後者はある程度の特性を得るために、冷間加工を施すと強磁性的性質が現れ、その上耐食性が極めて悪くなる。そのため引張、圧縮などの機械的強度の低下を来し、また非磁性状態が失われ応用上の制約となっていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、上記課題の解決を図ることを目的として、種々実験と研究を重ねた結果、本質的に非磁性のCu基合金を溶融状態から急冷して、少なくとも体積率で50%の非晶質を含み、100℃以上の過冷却液体領域を有する合金とした場合に、ガラス化温度以下の広い温度領域で、弾性作動体として必要な(−10〜+10)×10−5以内のヤング率の温度係数を保有することを見出すに至り、この発明を完成したものである。
【0005】
本発明は、一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦65、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成、またX元素からAlを除いた組成、さらには 一般式Cu100-a-b-cMaXbQc において、5≦a≦30、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である組成および少量の不純物とからなる合金を1〜106℃/secの速度で急冷することにより、体積率で50%以上の非晶質を含み、100℃以上の過冷却液体領域を有し、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内にあることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金であることを要旨とする。
【0006】
本発明の弾性作動体用Cu基合金は、上記組成を有する合金溶湯を液体急冷法によって急速に凝固することにより得られる。これは水焼入れ法、高圧鋳造法、高圧押出し法、単ロール法、双ロール法、回転液体中紡糸法などが有効に用いられ、1〜106℃/sec程度、望ましくは1〜104℃/secの冷却速度で冷却した薄帯ないしは棒状あるいは板状製品において少なくとも体積率で50%、望ましくは80%以上の非晶質化が可能である。
【0007】
上記方法により薄帯材料を製造するには、例えば図1(a)に示す単ロール法で説明すると、石英製ノズル管2の孔3を通して、約200〜8000rpmの速度で回転している鋼あるいは銅製のロール1に高周波炉5で溶解した溶湯4を噴出させる。これにより、幅0.5〜500mm、厚さ10〜500μmの薄帯材料6を得ることができる。また、図1(b)に示す水焼入れ法で説明すると、石英製アンプル8に真空または不活性ガス封入した原料を高周波炉9で溶解し、溶湯4’をアンプルごと氷塩水などの冷却水7に投じる。これにより直径1〜20mm、長さ200mmの棒状材料10を得ることができる。アンプルの形あるいは断面は目的に応じ、球状あるいは角形状、平板状などが有効に用いられる。
【0008】
また、上記方法によらず、高圧鋳造法で大型の鋳物を、スパッタリング法で薄膜を、高圧ガス噴霧法などのアトマイズ法やスプレー法により急冷粉末を得ることができる。
急冷Cu基合金の非晶質状態は、X線回折像におけるハローパターンの認識、あるいは示差走査熱量計において結晶化温度を示す急激な発熱ピークの確認などにより決定される。なお、薄帯の180°曲げ試験も有効に用いられる。
【0009】
本発明の特徴とする所は、次の通りである。
[第1発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦65、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなり、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内にあることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金。
【0010】
[第2発明]
特許請求項1の一般式Cu100−a−b−cMaXbQcにおいてX元素からAlを除いた組成と少量の不純物とからなり、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10−5以内にあることを特徴とする弾性作動体用金属ガラス合金。
【0011】
[第3発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦30、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなり、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内にあることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金。
【0012】
[第4発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦65、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなる溶融合金を1〜106℃/secの速度で急冷することにより、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内にあることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金の製造法。
【0013】
〔第5発明〕
特許請求項 4の一般式Cu100-a-b-cMaXbQcにおいて、X元素からAlを除いた組成と少量の不純物とからなる溶融合金を1〜10б℃/secの速度で急冷することにより、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内にあることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金の製造法。
【0014】
[第6発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦30、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなる溶融合金を1〜10б℃/secの速度で急冷することにより、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内にあることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金の製造法。
【0015】
[第7発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦65、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなる溶融合金を1〜106℃/secの速度で急冷した後、500℃以下の任意の温度で焼鈍を行うことにより、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内になることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金の製造法。
【0016】
〔第8発明〕
特許請求項7の一般式Cu100-a-b-cMaXbQcにおいて、X元素からAlを除いた組成と少量の不純物とからなる溶融合金を1〜10б℃/secの速度で急冷することにより、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内にあることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金の製造法。
【0017】
[第9発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦30、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなる溶融合金を1〜106℃/secの速度で急冷した後、500℃以下の任意の温度で焼鈍を行なうことにより、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内にあることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金の製造法。
【0018】
[第10発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦65、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高感度圧力センサ用弾性作動体。
【0019】
〔第11発明〕
請求項 1 0の一般式Cu100-a-b-cMaXbQcにおいて、X元素からAlを除いた組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高感度圧力センサ用弾性作動体。
【0020】
[第12発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦30、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高感度圧力センサ用弾性作動体。
【0021】
[第13発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦65、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高感度精密ばね用弾性作動体。
【0022】
〔第14発明〕
特許請求項13の一般式Cu100-a-b-cMaXbQcにおいて、X元素からAlを除いた組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高感度精密ばね用弾性作動体。
【0023】
[第15発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Sb, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦30、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高感度精密ばね用弾性作動体。
【0024】
[第16発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦65、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高性能振動子用弾性作動体。
【0025】
〔第17発明〕
特許請求項1 6の一般式Cu100-a-b-cMaXbQcにおいて、X元素からAlを除いた組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高性能振動子用弾性作動体。
【0026】
[第18発明]
一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦65cMaXb30、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金を用いた高性能振動子用弾性作動体。
【0027】
[作用]
本発明弾性作動体用Cu基合金は、過飽和な固溶体であるにも拘らず、通常バルク合金に用いられる鋳造、鍛造、圧延、などの加工行程を全て省略し、溶湯から直接棒状、板状あるいは長尺の薄帯が製造できるため、製品の精度が高く製造法の低コスト化も図れる特長を有する。
さらに、本発明弾性作動体用合金はガラス化温度から結晶化温度に至る温度領域すなわち過冷却液体領域が100℃以上のように極めて広く、ガラス化状態において合金が極端な軟化を示すため、この現象を利用した複雑形状のプレス、引抜き、圧延など任意形状の加工ができる大きな特徴も有する。
【0028】
本発明のCu基合金において、弾性作動体として必要な成分中Ma元素すなわちZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素を5%以上65%以下、Xb元素すなわちAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素を5%以上40%以下、Qc元素すなわちFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素を0%以上10%以下で且つa+b+cを10%以上70%以下の範囲に限定したのは、この範囲内では前記液体急冷法により、非晶質または少なくとも体積率で50%以上の非晶質となのオーダーの微結晶粒を含む構造とすれば、ヤング率の温度係数が小さく高靭性の合金が得られるが、いずれもその範囲から外れると結晶化温度が低下するか上昇するため非晶質化し難くなり、前記液体急冷法を利用した工学的急冷手段では、少なくとも体積率で50%の非晶質を有する合金を得ることができなく、かつ高強度性が失われるからである。また、特にM元素すなわちZr,RE,TiおよびX元素すなわちAl.Mg,Niにおいてはエリンバー合金の実用値とされる(−10〜+10)×10―5以内のヤング率の温度係数が得られなくなるからである。またX元素からAlを除くとさらに高靭性となるからであり、さらに、Ma 元素を5%以上 30%以下、 Xb元素を5%以上40%以下、 Qc元素を 0%以上10%以下、 a+b+cを 10%以上 70%以下の範囲に限定したのは、この範囲内ではヤング率の温度係数が(−8〜+8)×10―5以内のようにさらに向上するかである。
【0029】
Fe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Sb, Si, Bのうち少なくとも1種または2種以上の合計を0 〜10%に限定したのは、その範囲を外れると上述の理由に加えて、Fe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mnは強度の低下、Au, Re, 白金族元素は耐食性の低下、 Cd, Ga, In, Ge, Si, Bは成形加工性の低下を来たすからである。
【0030】
溶融合金の冷却速度を1〜106℃/secに限定したのは、1℃/sec未満では非晶質あるいは少なくとも体積率で50%の非晶質を含む構造が得られなくなり、106℃/secを越えると安定した形状の製品が得られなくなるからである。
【0031】
また、急冷によって得られた製品の焼鈍温度を500℃以下に限定したのは、この温度を越えると製品が結晶化し、ヤング率の温度係数が(−10〜+10)×10−5を外れるからである。
なお、希土類元素(RE)はSc,Yおよびランタン系元素からなるが、その等であり、また、白金族元素はRu,Rh,Pd,Os,Ir,Ptからなるが、その効果も均等であるので、同効成分とみなし得る。
【0032】
【実施例】
つぎに本発明の実施例につき説明する。
実施例 1
表1に示す合金番号2の成分組成を有する原料を、予めアーク溶解して1つの合金となし、細かく砕いて小片としたものを、図1(a)に示すノズル径0.5mmを有する石英管2に装入し、高周波5で溶解した後その石英管を400rpmで回転する直径200mmの銅製ロール1直上に設置し、溶湯4をアルゴンガスによって加圧し、ノズル孔3から噴出させてロール表面と5×104℃/secの速度で接触急冷させ、幅2mm、厚さ20μmの薄帯状弾性作動体6を得た。この薄帯はX線回折によって明瞭なハローパターンを示し、非晶質であることが確認され、また、 示差走査熱量計測定の発熱ピークにより結晶化温度Txも確かめ、表2に示した。
【0033】
実施例 2
表1に示す合金番号3の成分組成を有する原料を予めアーク溶解して1つの台金となし、細かく砕いて微小片としたものを、図1(b)に示す内径5mmの石英アンプル8に真空封入し、高周波9で溶解した後その溶湯4’の入った石英アンプルを0℃の氷塩水7中に投入して水焼入れを行い、5mmφx50mmの丸棒状弾性作動体10を得た。この丸捧はX線回折によって明瞭なハローパターンを示し、非晶質であることが確認され、 また、示差走査熱量計測定の発熱ピークにより結晶化温度Txも確かめた。この結晶化温度は実施例2で述べる薄帯の場合と同じ値であり、他の組成に対する諸条件とともに表2に示してある。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
実施例 3
実施例1と同様にして得られた合金番号1,2,3の供試非晶質薄帯につき、ヤング率Eの温度変化を共振法により5℃/分の加熱、冷却速度で測定し、その結果を図2に示す。図から明かなように、いずれの合金においてもEはガラス化温度Tg以下では温度依存性極めて小さく、優れた弾性作動体用エリンバー合金であることがわかる。
【0037】
実施例 4
実施例1と同様にして得られた合金番号3の供試非晶質薄帯につき、100℃,200℃,300℃,400℃で各3時間加熱後、300℃/時間の速度で冷却した状態のヤング率の温度変化を測定し、その結果を図3に示す。 図から明かなように、急冷状態で得られたエリンバー特性は熱処理によってさらに改善され、優れた弾性作動体用エリンバー合金となることがわかる。
【0038】
実施例 5
実施例4において測定した合金番号3に対する結果に基づき、室温〜100℃および室温〜300℃におけるヤング率の温度係数を算出し、加熱温度との関係を図4に示した。図から明かなように、任意の加熱温度に対して(−10〜+10)×10−5の温度係数が得られ、優れた弾性作動体用エリンパー合金となることがわかる。
【0039】
実施例 6
実施例1と同様にして得られた合金番号2の供試薄帯について、Cu32−cZr60Al8QcのようにZrとAlを固定し、各種の元素Qを変化させた場合のヤング率の温度係数e(×10−5)と添加元素量との関係を図5〜図7に示す。図からわかるようにヤング率の温度係数は添加元素量によってさらに向上する傾向を示している。従って、この範囲内では、優れた弾性作動体用エリンバー合金となることがわかる。
【0040】
つぎに本発明の実施例につき説明する。
実施例7
実施例1と同様にして得られた表1の各供試薄帯につき、ヤング率の温度係数eを共振法により、熱膨張係数を縦型熱機械試験機により、硬さHvをビッカース微小硬さ計により、結晶化温度を示差走査熱量計により測定し、その結果を表2に示した。なお、合金番号 18,23,24,25 は参考例である。表2に示すように本発明合金のヤング率の温度係数は(−10〜+10)×10―5の極めて小さい値を示し、靭性にも優れている。他方、既存の比較合金を見ると、ヤング率の温度係数は負値で大きく、硬さも低い。また両合金とも鍛造加工性に乏しいことが明らかにされており、これらの合金を比較すると、本発明合金は小さいヤング率の温度係数と高強度性を同時に満足する極めて有用な弾性作動体用合金であることがわかる。
【0041】
実施例 8
実施例2と同様にして得られた合金番号3の棒状金属ガラス合金を、冷間圧延によって厚さ0.5mmの薄板となし、これから0.5×50×50mm3の圧力センサ用振動板を作製して、ヤング率およびその温度係数を調べた。その結果は表3に示す通りで、比較合金として示した既存の非磁性センサ合金より優れた特性を示すことがわかる。
【0042】
【表3】
【0043】
実施例 9
実施例8と同様にして得られた合金番号3の板状金属ガラスからエッチング加工によってリング状板ばねを成形し、振動磁力計の磁力検出部に装着した場合のばね限界値およびその温度係数を調べた。その結果は表4に示す通りで、比較合金として示した既存の非磁性合金より優れたエリンバー型ばね用合金であることがわかる。
【0044】
【表4】
【0045】
実施例 10
実施例7と同様にして得られた合金番号3の棒状金属ガラスから、冷間圧延及び切削加工によって音叉状振動体を作製し、固有振動数およびその温度係数を調べた。その結果は表5に示す通りで、比較合金として示した既存の非磁性合金より優れたエリンバー特性を示すことがわかる。
【0046】
【表5】
【0047】
【発明の効果】
本発明のCu基合金は、Cu、M(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素)、X(XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素)およびQ(QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素)を所定の範囲で任意に組み合せることによって高い強度および高い靭性を保持しつつ、小さいヤング率の温度係数を持つ弾性作動体用合金を得ることを目的とし、これらの特性を同時に保有する新規な合金を提供するもので、各種の弾性作動体に好適である。さらに精密性の他に、ガラス化温度が高いことから、耐熱性が要求される分野に使用される高力構造用材料としても本発明合金は極めて有用である。なお、本発明合金は、溶湯から瞬時に製品とされるため、製造コストが低いという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)、(b)は液体急冷決の概略図である。
【図2】図2は合金番号1,2,3のヤング率Eと温度との関係を示す特性図である。
【図3】図3は合金番号3のヤング率Eと温度との関係を示す特性図である。
【図4】図4は合金番号3のヤング率の温度係数eと加熱温度との関係を示す特性図である。
【図5】図5はCu32−Zr60−Al8にFe,Co,V,Nb,Ta,Cr,Mo,WあるいはMnを添加した合金のヤング率の温度係数eと各添加元素量との関係を示す特性図である。
【図6】図6はCu32−Zr60−Al8系にAu,Ag,Re,Ru,Rh,Pd,Os,IrあるいはPtを添加した合金のヤング率の温度係数eと各添加元素量との関係を示す特性図である。
【図7】図7はCu32−Zr60−Al8系にZn,Cd,Ga,In,Ge,Sn,Sb,SiあるいはBを添加した合金のヤング率の温度係数eと各添加元素量との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 冷却ロール
2 石英管
3 ノズル孔
4、4’溶融合金
5 高周波加熱コイル
6 急冷薄帯
7 冷却水
8 石英アンプル
9 高周波加熱コイル
10 急冷丸棒
Claims (18)
- 一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦65、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなり、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内にあることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金。
- 請求項1のCu100-a-b-cMaXbQcにおいて、X元素からA1を除いた組成と少量の不純物とからなり、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内にあることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金。
- 一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦30、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなり、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内にあることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金。
- 一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦65、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなる溶融合金を1〜106℃/secの速度で急冷することにより、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内にあることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金の製造法。
- 請求項 4の一般式Cu100-a-b-cMaXbQcにおいて、X元素からAlを除いた組成と少量の不純物とからなる溶融合金を1〜10б℃/secの速度で急冷することにより、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内にあることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金の製造法。
- 一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦30、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなる溶融合金を1〜106℃/secの速度で急冷することにより、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内にあることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金の製造法。
- 一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦65、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなる溶融合金を1〜106℃/secの速度で急冷した後、500℃以下の任意の温度で焼鈍を行うことにより、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内になることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金の製造法。
- 請求項7の一般式Cu100-a-b-cMaXbQcにおいて、X元素からAlを除いた組成と少量の不純物とからなる溶融合金を1〜106℃/secの速度で急冷した後、500℃以下の任意の温度で焼鈍を行なうことにより、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内になることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金の製造法。
- 一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦30、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなる溶融合金を1〜106℃/secの速度で急冷した後、500℃以下の任意の温度で焼鈍を行なうことにより、体積率で50%以上の非晶質を含み、ヤング率の温度係数がガラス化温度以下で(−10〜+10)×10―5以内にあることを特徴とする弾性作動体用Cu基非磁性金属ガラス合金の製造法。
- 一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦65、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高感度圧力センサ用弾性作動体。
- 請求項 1 0の一般式Cu100-a-b-cMaXbQcにおいて、X元素からAlを除いた組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高感度圧力センサ用弾性作動体。
- 一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦30、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高感度圧力センサ用弾性作動体。
- 一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦65、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高感度精密ばね用弾性作動体。
- 請求項13の一般式Cu100-a-b-cMaXbQcにおいて、X元素からAlを除いた組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高感度精密ばね用弾性作動体。
- 一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦30、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高感度精密ばね用弾性作動体。
- 一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦65、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高性能振動子用弾性作動体。
- 請求項1 6の一般式Cu100-a-b-cMaXbQcにおいて、X元素からAlを除いた組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金よりなる高性能振動子用弾性作動体。
- 一般式Cu100-a-b-cMaXbQc(MはZr, RE, Tiのうち1種または2種以上の元素、XはAl, Mg, Niのうち1種または2種以上の元素、QはFe, Co, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Au, Re, 白金族元素 , Cd, Ga, In, Ge, Si, Bのうち1種または2種以上の元素であり、またその組成比a, b, cは、原子%で5≦a≦65、5≦b≦40、0≦c≦10で、且つ10≦a+b+c≦70である)の組成と少量の不純物とからなるCu基非磁性金属ガラス合金を用いた高性能振動子用弾性作動体。
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