JP3763508B2 - 浴室回りの気密構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、床板と、該床板の下面に間隔を隔てて固定された複数の下面根太と、隣接する下面根太間に介設された介設断熱材とを一体化してなる床パネル組立体を用いた住宅において、上記床パネル組立体が接続される浴室の周囲での気密性を十分に確保できる浴室回りの気密構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、住宅の床の施工に際しては、例えば、図12に示すように、互いに平行に架け渡された複数の根太1間に断熱材2を配置し、この断熱材2の上面を防湿層(不図示)で被覆した後、隣接する根太1間に複数枚の床板3を配置し、隣接する床板3間の目地を気密テープ(不図示)でシールするようにしている。
【0003】
ところが、上記施工方法では、根太1、断熱材2及び床板3等の床の各構成部材を順次施工するので、施工に手間が掛かる問題がある。そこで、図2に示すように、予め床板11と、この床板11の下面側に互いに平行に配置された複数の下面根太12と、隣接する下面根太12間に介設された介設断熱材13(発泡スチロール製等)とを一体化してなる床パネル組立体10を製作しておき、この床パネル組立体10を隣接する大引き(図示せず)間に架け渡しながら、順次縦横に敷設するようにして、床の施工作業を容易化することが考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような床パネル組立体10を使用する場合、バスコア等を用いた浴室の周囲では、例えば、浴室回りの基礎上に取り付けた大引き(図示せず)上に上記床パネル組立体10の一端部を載置して固定することが考えられる。その場合、上記浴室回りにおける気密性、つまり、浴室回りの床パネル組立体10の下方の空気の室内側への侵入防止をいかに確保するかが問題となる。
【0005】
また、上記大引きが鋼等の金属で形成されている場合、この大引き表面等での結露の発生を抑制することも技術的課題となるが、浴室内が高温高湿やすいことから、浴室の周囲では室内側と床下側の温度差が一層大きくなりやすく、上記の結露対策も一層入念に行う必要がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、床板と下面根太と介設断熱材とを一体化した床パネル組立体を用いた住宅の浴室回りにおいて、十分な気密性を確保できる構造を提供することを技術課題とするものである。
【0007】
そのため、本発明の請求項1の浴室回りの気密構造は、浴室の周囲の屋内側に隣接して設けられた基礎上に大引きを接続し、床板と該床板の下面に間隔を隔てて固定された複数の下面根太と隣接する下面根太間に介設された介設断熱材とを一体化してなる床パネル組立体の一端部を上記大引き上に載置して取り付けるとともに、上記基礎上の上記大引きの浴室側に基礎の長手方向に沿って断熱材を取り付け、この断熱材の下端部と上記基礎の上端部との間の隙間を気密テープでシールしたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2の浴室回りの気密構造は、請求項1の構造において、上記大引きは上記基礎上に基礎と略平行に配置するとともに、この大引き上に大引きと略平行に根太を配置し、この根太と上記基礎上の断熱材との間の隙間を気密テープでシールしたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3の浴室回りの気密構造は、請求項1の構造において、上記大引きは上記基礎と略直交する方向に配置してこの大引きの一端部を上記基礎上に取り付けるとともに、上記基礎上の断熱材の上部に根太を配置し、この根太と上記基礎上の断熱材との間の隙間を気密テープでシールしたことを特徴としている。
【0010】
請求項4の浴室回りの気密構造は、請求項1乃至3のいずれか記載の上記各気密テープは防水機能を兼備することを特徴とするものである。
【0011】
請求項5の浴室回りの気密構造は、請求項1乃至4のいずれかの構造において、上記大引きは鋼等の金属からなることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1に示すように、住宅の床は複数の平面矩形状の床パネル組立体10を縦横に配列することにより構成されている。各床パネル組立体10は、図2に示したものと同一構成であり、床板11、複数の木製等の下面根太12及び発泡スチロール製等の介設断熱材13が一体化されたものである。
【0013】
ここで、各床パネル組立体10の前後方向については、図3に示すように、床板11が下面根太12及び介設断熱材13に対して若干後方(住宅の奥側に対応)にずらして配置され、複数の床パネル組立体10を隣接する大引き14(角形鋼等)間に架け渡しながら縦横に敷き詰めた状態で、各床パネル組立体10における床板10の後端突出部が後隣の床パネル組立体10の前端部における下面根太12及び介設断熱材13上に重ねられるようになっている。このような重合せ状態で隣接する床パネル組立体10同士を接着等で固定されることにより、気密性向上等が図られている。
【0014】
床パネル組立体10の幅方向(住宅の幅方向に対応)に関しては、床板11が下面根太12及び介設断熱材13に対して若干右側(図2参照)にずらして配置されている。そして、幅方向に隣接する床パネル組立体10同士については、図4に示すように、各床パネル組立体10の右端突出部が右隣に位置する床パネル組立体10の左端の下面根太12上に重ね合わせられた状態で接着剤等により固定されるようになっている。なお、隣接する大引き14間において、床パネル組立体10の下方には、下層断熱材15を配置することができる。
【0015】
以上説明したのは、住宅の周辺部以外の各部に配置された床パネル組立体10の構成であり、具体的には説明しないが、住宅の周辺部に配置された床パネル組立体10は、その位置に応じて、幅寸法又は前後寸法が通常の床パネル組立体10の1/2程度とされる等の修正が適宜施されている。
【0016】
次に、バスコアからなる浴室16の周囲における防水気密構造及びその施工手順につき説明する。ここで、バスコアとは、具体的には図示しないが、浴槽と浴室の床、壁、天井等を予め一体的に組み立てたものである。図1に示したように、浴室16の周囲の屋内側には、住宅の幅方向に延びる基礎17と、住宅の奥行方向に延びる基礎18とが設けられている。また、浴室16の屋外側には、住宅の外周に沿って設けられた基礎19が配置されている。
【0017】
図5及び図6に示すように、浴室16に沿って住宅の幅方向に延びる基礎17上には角形鋼等の金属からなる大引き21が基礎17と略平行に配置され、基礎17から大引き21内に突設されたアンカーボルトにナット(共に不図示)が螺合されることにより基礎17に固定されている。なお、上記アンカーボルトとナットを用いる以外に、例えば、基礎17の上部に大略下開きコ字形の金具(図示せず)を基礎17を挟み付けるように嵌合し、基礎17の上面上に位置する上記金具の水平部に設けた1対の突起間に上記大引き21を嵌合することで大引き21を固定してもよく、或いは、上記アンカーボルト及びナットと上記金具とを併用してもよい。
【0018】
大引き21上の前方寄りの位置には、大引き21と略平行に根太22が配置され、図示しないビス等で大引き21に固定されている。この大引き21上の根太22の後方には、床パネル組立体10の前端部、具体的には下面根太12及び介設断熱材13の各前端部12が載置されて固定されている。
【0019】
また、床パネル組立体10における下面根太12及び介設断熱材13の各前端部上から根太22上に渡って床帯板23が配置され、不図示のビス等で下面根太12及び22に固定されている。さらに、床パネル組立体10における下面根太12及び介設断熱材13の下方には下層断熱材15が配置され、下層断熱材15の前端部は大引き21の後面に当接している。
【0020】
基礎17上において、大引き21の前面、つまり、浴室16側の表面に発泡合成樹脂等(発泡ポリエチレン等)の断熱材からなる断熱ボード24が大引き21の長手方向に沿って取り付けられている。図7に示すように、例えば、この断熱ボード24には、その裏面側に予め接着剤(不図示)が塗布され、使用時まで接着剤を保護するための離型紙25が接着剤の表面に貼り付けられている。そして、使用時に離型紙25を剥離するのみで、断熱ボード24を所望箇所に容易に接着して取り付けられるようになっている。
【0021】
上記断熱ボード24の前面下端部と基礎17の前面上端部間の隙間、及び断熱ボード24の上面と根太22の前面間の隙間は防水気密テープ26によりシールされている。また、根太22の前面と床帯板23の前面間の隙間、及び床帯板23の上面と床パネル組立体10の床板11の上面間の隙間は気密テープ27(アルミニウムテープ等)でシールされている。
【0022】
なお、浴室回りに配置された床パネル組立体10と住宅の外周の基礎19上の壁体28との接合部において、上記根太22と床帯板23間の隙間をシールする気密テープ27上に、さらに、コーナ部用気密シート29が貼着されている。
【0023】
このコーナ部用気密シート29は、図8に拡大して示すように、以下で説明する壁体28の内壁枠30の表面に貼着されるシート部29a、根太22と床帯板23の前面に貼着されるシート部29b、及び床帯板23の上面に貼着されるシート部29cの、互いに略直交する方向の3つのシート部を一体的に形成したものである。各シート部29a乃至29cの裏面側には予め接着剤が塗布されるとともに、使用時までこの接着剤を保護するための離型紙31が貼り付けられている。
【0024】
上記構造によれば、大引き21の前面に断熱ボード24を配置しているので、浴室16側が高湿となっても、大引き21の表面での結露の発生が抑制されるようになる。また、万一、大引き21の表面で若干の結露が生じても、防水気密テープ26によって、基礎17や根太22の前面側への結露水の漏出が防止される。
【0025】
さらに、床帯板23により、床板11と根太22間の段差をなくすことができるとともに、気密テープ27によって、根太22と床帯板23間及び床帯板23と床板11間の気密も確保することができるので、この部位から床下側の冷気等が室内側に侵入することもない。
【0026】
図9にも示すように、上記住宅の外周に沿って設けられた基礎19上に配置される壁体28は、木製の枠体32とこの枠体32内に嵌め込まれた断熱材33とを備えた上記内壁枠30と、各々C形鋼等の金属からなる横材34aと縦材34bとを備え上記内壁枠30の外側に配置される軸組34と、この軸組34の外側に取り付けられる外壁パネル35とからなる。
【0027】
上記軸組34の横材34aは基礎19上に不図示のアンカーボルト等でに固定されるとともに、基礎19上には根太36が固定され、上記内壁枠30の枠体32は不図示の釘等で根太36に取り付けられるようになっている。なお、基礎19の屋内側(浴室16側)表面から根太36及び枠体32の屋内側表面に渡って気密テープ27が貼着されている。
【0028】
次に、浴室16の屋内側で住宅の奥行方向に延びる基礎18の周辺の気密構造につき説明する。図10に示すように、基礎18上の浴室16寄りの位置に沿って基礎18の長手方向と略平行に発泡合成樹脂等からなる大引き37が配置されている。この大引き37の反浴室16側における基礎18上に、角形鋼等の金属からなる大引き38の一端部(図の左端部)が載置されて不図示のアンカーボルトまたは金具等により固定されている。なお、大引き38は所定の間隔を隔てて互いに略平行に複数配置されており、大引き38と大引き37とは互いに略直交している。また、大引き37の浴室16側には、断熱材39が大引き37と平行に配置され、断熱材39と基礎18との隙間は防水気密テープ26によりシールされている。
【0029】
大引き37上の浴室16寄りの位置には、大引き37の長手方向、つまり、基礎18の長手方向と略平行に根太40が取り付けられている。図11に示すように、基礎18上に各一端部が配置された隣接する2つの大引き38上に渡って上記床パネル組立体10が配置されている。なお、この基礎18の側方における床パネル組立体10は、各下面根太12の長手方向が各大引き38の長手方向と略直交する方向に配置されている。
【0030】
上記床パネル組立体10の一端部(図10の左端部)に位置する下面根太12上からそれに隣接する上記根太40上に渡って床帯板41が配置されている。そして、根太40の浴室16側の表面から断熱材37の表面及び基礎18の浴室16側表面に渡って防水気密テープ26が貼着されている。
【0031】
なお、床パネル組立体10上から根太40上に渡って床仕上げ材42が配置されるとともに、基礎18の上方における床仕上げ材42上に間仕切り壁43が基礎18の長手方向に沿って略垂直に配置されている。
【0032】
上記構成では、断熱材37により、浴室16側と床パネル組立体10の下方の床下側との断熱が図られるので、大引き38の表面での結露の発生が抑制されるとともに、万一若干の結露が生じた場合でも、結露水が浴室16側の表面に漏出することが防水気密テープ26により防止される。また、床下側と浴室16側との間の気密も、防水気密テープ26により確保される。
【0033】
なお、上記実施の形態では、バスタブを用いた浴室16の周辺の気密構造について説明したが、それ以外の形式の浴室の周囲にも本発明の防水気密構造を採用することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1の浴室回りの気密構造は、浴室の周囲の屋内側に隣接して設けられた基礎上に大引きを接続し、床板と該床板の下面に間隔を隔てて固定された複数の下面根太と隣接する下面根太間に介設された介設断熱材とを一体化してなる床パネル組立体の一端部を上記大引き上に載置して取り付けるとともに、上記基礎上の上記大引きの浴室側に基礎の長手方向に沿って断熱材を取り付け、この断熱材の下端部と上記基礎の上端部との間の隙間を気密テープでシールしたものであるから、上記断熱材によって浴室と上記大引き間の断熱性が十分に確保され、高温、高湿となりやすい浴室の近傍に配置された上記大引きに関しても、その表面等での結露の発生を十分の抑制することが可能となる。
【0035】
また、上記断熱材の下端部と上記基礎の上端部間の隙間を気密テープでシールしたので、上記床パネル組立体の下方の空気がこの隙間から屋内側に侵入することが防止され、浴室回りで十分な気密性を確保することができる。
【0036】
請求項2の浴室回りの気密構造は、請求項1の構造において、上記大引きは上記基礎上に基礎と略平行に配置するとともに、この大引き上に大引きと略平行に根太を配置し、この根太と上記基礎上の断熱材との間の隙間を気密テープでシールしたものであるから、このように、大引きを基礎と略平行に配置した部位において、大引き表面での結露発生を抑制できるとともに、床下と室内間での気密性を確保できるようになる。
【0037】
請求項3の浴室回りの気密構造は、請求項1の構造において、上記大引きは上記基礎と略直交する方向に配置してこの大引きの一端部を上記基礎上に取り付けるとともに、上記基礎上の断熱材の上部に根太を配置し、この根太と上記基礎上の断熱材との間の隙間を気密テープでシールしたものであるから、このように、大引きを基礎と略直交するように配置した部位においても、大引き表面での結露発生を抑制できるとともに、床下と浴室間での気密性を確保でき、床下の冷気による浴室の温度低下も抑制できるようになる。
【0038】
請求項4の浴室回りの気密構造は、請求項1乃至3のいずれか記載の上記各気密テープは防水機能を兼備するものであるから、仮に、上記大引き表面で若干の結露が発生した場合でも、この結露水が浴室側の基礎表面部等に漏出することが上記各気密テープにより防止される利点がある。
【0039】
請求項5の浴室回りの気密構造は、請求項1乃至4のいずれかの構造において、上記大引きは鋼等の金属からなるものであるが、このような結露の生じやすい材質からなる大引きを使用した場合でも、上記の構造とすることにより、結露の発生を十分に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る住宅における床パネル組立体の配置を示す概略平面図である。
【図2】上記床パネル組立体を示す概略斜視図である。
【図3】図1のIII-III線に沿う拡大断面図である。
【図4】図3のIV-IV線に沿う断面図である。
【図5】上記床パネル組立体を用いた住宅の浴室回りの屋内側部分を示す概略斜視図である。
【図6】上記浴室回りの屋内側部分を示す概略断面図(図1のVI−VI線参照)である。
【図7】上記浴室回りの屋内側部分の大引きに断熱ボードを接着する状態を示す概略斜視図である。
【図8】上記浴室回りで使用するコーナ部用気密シートを示す拡大斜視図である。
【図9】上記浴室回りの屋外側の壁体の構造を示す概略断面図(図1のIX−IX線参照)である。
【図10】上記浴室回りの他の屋内側部分を示す概略断面図(図1のX−X線参照)である。
【図11】図10の矢印XI方向に沿う概略平面図である。
【図12】従来の住宅における床の施工手順を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
10 床パネル組立体
11 床板
12 下面根太
13 介設断熱材
17、18 基礎
21、38 大引き
22、40 根太
23 断熱ボード(断熱材)
37 断熱材

Claims (5)

  1. 浴室の周囲の屋内側に隣接して設けられた基礎上に大引きを接続し、床板と該床板の下面に間隔を隔てて固定された複数の下面根太と隣接する下面根太間に介設された介設断熱材とを一体化してなる床パネル組立体の一端部を上記大引き上に載置して取り付けるとともに、
    上記基礎上の上記大引きの浴室側に基礎の長手方向に沿って断熱材を取り付け、
    この断熱材の下端部と上記基礎の上端部との間の隙間を気密テープでシールしたことを特徴とする浴室回りの気密構造。
  2. 上記大引きは上記基礎上に基礎と略平行に配置するとともに、この大引き上に大引きと略平行に根太を配置し、この根太と上記基礎上の断熱材との間の隙間を気密テープでシールしたことを特徴とする請求項1記載の浴室回りの気密構造。
  3. 上記大引きは上記基礎と略直交する方向に配置してこの大引きの一端部を上記基礎上に取り付けるとともに、上記基礎上の断熱材の上部に根太を配置し、この根太と上記基礎上の断熱材との間の隙間を気密テープでシールしたことを特徴とする請求項1記載の浴室回りの気密構造。
  4. 上記各気密テープは防水機能を兼備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の浴室回りの気密構造。
  5. 上記大引きは鋼等の金属からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の浴室回りの気密構造。
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