JP3762876B2 - 折り畳み式携帯電話機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、送話部と受話部とが閉位置と開位置との間を回動可能に連結された折り畳み式携帯電話機に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の携帯電話機には、送話部と受話部とをワンタッチ式ヒンジを介して回動可能に連結したものと、手動タイプのヒンジを介して回動可能に連結したものとがある。
【0003】
ワンタッチ式ヒンジが用いられた携帯電話機においては、例えば押しボタンを押すと、係止機構による係止状態が解除され、ヒンジに内蔵されたコイルばね等の回動付勢手段の付勢力により、受話部が送話部に対して閉位置から開位置まで自動的に回動させられるようになっている。ただし、開位置に回動した受話部を閉位置に戻す場合には、手動で閉位置まで回動させることになる(特開平8−298538号公報、特開平11−41328号公報参照)。
【0004】
手動タイプのヒンジが用いられた携帯電話機も回動付勢機構を有しているが、この回動付勢機構は、閉位置近傍の所定の角度範囲では受話部を閉位置側へ付勢して閉位置に維持する一方、開位置近傍の所定の角度範囲では受話部を開位置側へ付勢して開位置に維持するだけであり、閉位置と開位置との間の所定の角度範囲においては、受話部を手動で開閉回動させるようになっている(特開平7−11831号公報、特開平10−65778号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前者のワンタッチ式ヒンジが用いられた携帯電話機においては、付勢手段が受話部を閉位置側から開位置側へ付勢しているのであるから、付勢手段の付勢力は、受話部が閉位置側に位置しているときには強く、開位置側に位置しているときには弱くなる。このため、受話部を閉位置側へ回動させるときには、閉位置近傍において回動させにくくなる。そこで、回動付勢手段の回動付勢力を比較的弱くすると、受話部が開位置まで回動したときの付勢手段の付勢力が弱くなり過ぎ、受話部が開位置においてガタついてしまうおそれがある。
【0006】
一方、後者の手動タイプのヒンジが用いられた携帯電話機において、受話部を回動させるときには、通常、両手が用いられる。特に、受話部を閉位置から開位置側へ開回動させる場合には、必ず両手が必要になる。このため、例えば一方の手で作業をしているときには、その作業を一旦中断してからでなければ受話部を開位置に回動させることができず、非常に不便であるという問題があった。
【0007】
この発明は、従来の上記二種類の携帯電話機が有する問題を同時に解決するためになされたもので、あり、送話部と受話部とが閉位置と開位置との間を回動可能に連結されてなる折り畳み式携帯電話機において、
上記送話部と上記受話部との回動軸線方向の一端側と他端側とに、上記送話部と上記受話部とを回動可能に連結する第1、第2のヒンジが設けられており、上記第1のヒンジが、上記送話部と上記受話部とのいずれか一方に回動不能に連結された本体と、この本体及び上記受話部に上記回動軸線を中心として回動可能に連結された回動部材と、上記受話部を上記送話部に対して閉位置側から開位置側へ回動付勢する回動付勢機構と、この回動付勢機構の付勢力が上記受話部に伝達される伝達状態と、付勢力が受話部に伝達されない非伝達状態とに切り換える切り換え機構とを有し、上記伝達状態時には上記受話部が上記回動付勢機構により閉位置側から開位置まで回動させられ、上記非伝達状態時には上記受話部が上記送話部に対して閉位置と開位置との間を回動可能であり、上記第2のヒンジが、上記回動軸線上に配置され、上記送話部と上記受話部とのいずれか一方に回動不能に連結された第2本体と、この第2本体の少なくとも一端部に移動不能に配置され、上記送話部と上記受話部とのいずれか他方に回動不能に連結された第2回動部材と、上記受話部が上記閉位置から開位置側へ向かって所定の角度範囲に位置しているときには上記受話部を上記開位置側から閉位置側へ付勢し、上記受話部が上記開位置から上記閉位置側へ向かって所定の角度範囲に位置しているときには上記受話部を上記閉位置側から上記開位置側へ付勢する第2回動付勢機構とを有していることを特徴としている。
【0008】
この場合、上記切り換え機構が、上記回動部材を上記本体に係止して閉位置に位置させる係止手段と、外部から操作可能で、上記係止手段による上記回動部材の上記本体に対する係止状態を解除する操作部材とを有し、上記回動付勢機構が、上記回動部材を閉位置側から開位置側へ回動付勢する回動付勢手段と、上記回動部材に設けられ、上記回動部材が上記回動付勢手段によって上記閉位置側から上記開位置側へ回動させられるときには上記受話部に当接して上記受話部を上記回動部材と共に開位置まで回動させ、上記回動部材が上記係止手段によって上記本体に係止させられているときには、上記受話部の上記回動部材に対する相対回動を許容する当接部とを有していることが望ましい。
また、上記第2回動部材が上記第2本体の両端側にそれぞれ配置され、上記第2回動付勢機構が、上記第2本体の両端部に上記回動軸線方向へ移動可能に、かつ回動不能に連結され、上記一対の第2回動部材とそれぞれ対向して配置された一対の可動部材と、この一対の可動部材間に配置され、一対の可動部材を対向する第2回動部材にそれぞれ当接させる直動付勢手段と、上記一対の第2回動部材と上記一対の可動部材との各当接面間に設けられ、上記直動付勢手段の付勢力を、上記受話部が上記閉位置から開位置側へ向かって所定の角度範囲に位置しているときには上記受話部を上記開位置側から上記閉位置側へ付勢する閉方向回動付勢力に変換し、上記受話部が上記開位置から閉位置側へ向かって所定の角度範囲に位置しているときには上記受話部を上記閉位置側から上記開位置側へ付勢する開方向回動付勢力に変換する一対の変換部とを有していることが望ましい。特に、上記変換部が、上記第2回動部材と上記可動部材との当接面のいずれか一方に形成され、周方向に沿って傾斜したカム面と、他方に形成され、上記直動付勢手段によって上記カム面に当接させられるカム部とを有していることが望ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な一実施の形態について図1〜図15を参照して説明する。
図1は、この発明に係る携帯電話機1を開位置に開いた状態で示すものであり、図1(A)はその平面図、図1(B)はその左側面図である。この図に示すように、携帯電話機1は、マイクロフォン及び各種の操作キー(いずれも図示せず)等が設けられた送話部2と、スピーカー(図示せず)及び液晶表示部4等が設けられた受話部3とを備えている。送話部2と受話部3とは、互いに隣接する端部どうしが回動軸線Lを中心として回動可能に連結されている。送話部2と受話部3との回動範囲は、受話部3の液晶表示部4が設けられた面が送話部2の操作キーが設けられた面に突き当たった閉位置と、この閉位置から受話部2が図1(B)の矢印方向へ160°程度回動した開位置との間に規制されている。
【0010】
送話部2の受話部3側端部には、軸線を回動軸線Lと一致させた第1、第2収容筒部2A,2Bが形成されている。第1、第2収容筒部2A、2Bは、回動軸線L方向の両端部に配置されている。一方、受話部3の送話部2側端部には、軸線を回動軸線Lと一致させた第3、第4収容筒部3A、3Bが形成されている。第3収容筒部3Aは、第1収容筒部2Aの内側の端面に接するように配置されており、第1収容筒部2Aと同一の外径及び内径を有している。一方、第4収容筒部3Bは、第2収容筒部2Bの内側の端面に接するように配置されており、第2収容筒部2Bと同一の外径及び内径を有している。
【0011】
回動軸線L方向において互いに隣接する第1、第3収容筒部2A,3Aと第2、第4収容筒部2B,3Bとのうち、左側(以下、左右は図における左右を意味するものとする。)に配置された第1,第3収容筒部2A,3Aには、第1のヒンジ10が収容されている。一方、右側に配置された第2、第4収容筒部2B,3Bには、第2のヒンジ20が収容されている。そして、第1のヒンジ10を介して第1、第3収容筒部2A,3Aが回動軸線Lを中心として回動可能に連結されるる一方、第2のヒンジ20を介して第2、第4収容筒部2B,3Bが回動軸線Lを中心として回動可能に連結されている。これにより、送話部2と受話部3とが回動軸線Lを中心として回動可能に連結されている。
【0012】
第1のヒンジ10は、図2〜図6に示すように、ヒンジ本体(本体)11、回動部材12、捩りコイルばね(回動付勢手段)13、係止部材(係止手段)14、操作部材15及び復帰コイルばね(復帰付勢手段)16を主な構成要素としている。
【0013】
ヒンジ本体11は、一端部に底部11aを有し、他端部が開口した有底円筒体として形成されており、その外周には一対のキー溝11b,11bが周方向に180°離れて配置形成されている。図2〜図4に示すように、ヒンジ本体11の底部11a側の端部は、第1収容筒部2Aに挿入されており、第1収容筒部2Aの内周面に形成されたキー部2a,2aがヒンジ本体11のキー溝11b,11bに嵌まり込んでいる。これにより、ヒンジ本体11が第1収容筒部2Aに回動不能に嵌合され、ひいては送話部2に回動不能に連結されている。図5に示すように、第1収容筒部2Aには、その周壁部を貫通するねじ孔2bが形成されており、このねじ孔2bに螺合されたねじ(図示せず)を締め付けることにより、ヒンジ本体11が第1収容筒部2aに軸線L方向へ移動不能に固定されている。ヒンジ本体11の開口部側の端部は、第3収容筒部3aに回動可能に嵌合されている。この結果、第1,第3収容筒部2A,3Aがヒンジ本体11を介して回動可能に連結され、ひいては送話部2と受話部3とがヒンジ本体11により回動軸線Lを中心として回動可能に連結されている。
【0014】
回動部材12は、断面円形の大径部12aと、この大径部12aの一端面中央部に一体に形成され、大径部12aから同軸に延びる断面円形の小径部12bとを有している。大径部12aは、ヒンジ本体11の開口部側端部の内周面に回動可能に嵌合されている。小径部12bは、大径部12aより小径に形成されており、その先端面には断面円形の嵌合部12c及び加締め部12dが順次形成されている。嵌合部12cは、ヒンジ本体11の底部11aの中央部に形成された貫通孔11cに回動可能に嵌合されている。加締め部12dは、底部11aから突出しており、その外周にはワッシャ17が嵌合固定されている。そして、このワッシャ17と小径部12bの先端面とによって底部11aを挟持することにより、回動部材12がヒンジ本体11に回動軸線L方向へ移動不能に位置固定されている。
【0015】
ヒンジ本体11の内周面と回動部材12の軸部12bの外周面との間には、環状の空間が形成されている。この空間は、回転軸線L方向における一端部と他端部とが底部11aと大径部12aとによって閉じられおり、その内部には捩りコイルばね13が配置されている。この捩りコイルばね13の一端部13aは、ヒンジ本体11の底部11aに形成された受け孔11d(図3(B)及び図4(B)参照)に周方向へ移動不能に支持されている。捩りコイルばね13の他端部13bは、回動部材12の頭部12aの外周面に形成された受け溝12eに周方向へ移動不能に支持されている。しかも、捩りコイルばね13は捩られており、回動部材12を閉位置側から開位置側へ向かう方向(図3(C)及び図4(C)において矢印X方向)へ回動付勢するようになっている。
【0016】
回動部材12の頭部12aの小径部12b側と逆側の端面には、回動軸線Lに沿って突出する当接部12fが形成されている。一方、第3収容筒部3Aの内周面の当接部12fに対応する箇所には、受け部3aが形成されている。この受け部3aは、当接部12fとほぼ同一の円周上に、しかも当接部12fより開位置側に配置されている。したがって、回動部材12が捩りコイルばね13の付勢力によって閉位置側から開位置側へ回動させられると、当接部12fが受け部3aに突き当たるようになっている。当接部12fが受け部3aに突き当たると、第3収容筒部3Aが回動部材12と一緒に開位置側へ回動し、ひいては受話部3が開位置側へ回動する。
【0017】
上記係止部材14は、断面円形の円板部14aと、この円板部14aの外周の一側部からその軸線にそって延びるガイド部14bとを有している。円板部14aは、その軸線を回動軸線Lと一致させた状態で大径部12aと対向して配置されている。ガイド部14bは、その外周面及び内周面がヒンジ本体11の外周面及び内周面と同一の円弧面によって構成されており、ヒンジ本体11の開口側端部に形成されたガイド溝11eに回動軸線L方向へ移動可能に、かつ周方向へ移動不能に嵌合されている。これにより、係止部材14がヒンジ本体11に回動不能に、かつ回動軸線L方向へ移動可能に連結されている。
【0018】
ガイド部14bの内周面には、係合部14cが形成されている。この係合部14cは、回動部材3が閉位置の直前まで回動すると、回動部材12の大径部12aの外周に形成された係合溝12gと回動軸線L方向において対向するように配置されており、その状態で係止部材14が大径部12a側へ移動すると、係合部14cが係合溝12gに挿脱可能に挿入されるようになっている。係合部14cの閉位置側を向く側面14dは、大径部12a側から小径部12b側へ向かうにしたがって閉位置側から開位置側へ向かうように傾斜している。この側面14dと対向する係合溝12gの側面(開位置側を向く側面)12hも同様に傾斜している。したがって、係合部14cが係合溝12g内に嵌り込むと、側面14dが側面12hに当接して閉位置側へ押すようになっている。
【0019】
上記操作部材15は、回動部材12の中央部(回動軸線L上)を回動可能に、かつ軸線方向へ移動可能に貫通する操作軸部15aを有している。この操作軸部15aの一端部は、回動部材12の大径部12aから突出しており、そこには係止部材14の円板部14aが嵌合固定されている。したがって、操作部材15を回動軸線L方向へ移動させると、それに追随して係止部材14が同方向へ移動する。操作軸部15aの他端部は、加締め部12dから外部に突出し、ワッシャ17を貫通している。そして、ワッシャ17を貫通した操作軸部15aの他端部には頭部15bが形成されている。この頭部15bとワッシャ17との間には、復帰コイルばね16が配置されている。この復帰コイルばね16は、頭部16bをヒンジ本体11から離間する方向(図1(A)、(B)において左方)へ付勢している。したがって、係止部材14も復帰コイルばね16により操作部材15を介して同方向へ付勢されている。よって、係合部14cが係合溝12gと対向すると、係合部14cが係合溝12gに入り込む。この実施の形態の場合、係合部14cは、円板部14aが大径部12aに突き当たるまで係合溝12gに入り込む。
【0020】
逆に、操作部材15の頭部15bを復帰コイルばね16の付勢力に抗してヒンジ本体11側へ押圧移動させると、係止部材14が同方向へ移動し、係合部14cが係合溝12gから抜け出る。係合部14cが係合溝12gから抜け出た状態において、回動部材12を開位置側へ回動させた後、復帰コイルばね16によって係止部材14を大径部12a側へ移動させると、係合部14cの先端面が大径部12aの端面に突き当たる。 係合部1cの先端面14eが大径部12aの端面に突き当たった状態において、回動部材12が開位置側から閉位置の直前まで回動すると、復帰コイルばね16の付勢力により、係合部14cが係合溝12gに入り込む。すると、復帰コイルばね16の付勢力により、係合部14cの側面14dが係合溝12gの側面12hに当接させられる。これにより、係止部材14がガタツクのを防止するようになっている。なお、側面14cが側面12hに当接すると、復帰コイルばね16の付勢力が回動付勢力に変換され、係止部材14が回動部材12を閉位置側へ押す。この押圧力は、捩りコイルばね13の開位置側への付勢力より小さく設定されている。
【0021】
上記の内容から明らかなように、第1のヒンジ10においては、回動部材12はヒンジ本体11に対してワッシャ17によって抜け止めされており、操作部材15は、回動部材12に対し係止部材14によって抜け止めされている。したがって、ヒンジ本体11からワッシャ17に至るまでの全ての部品は、一体的に組み付けられてユニット化されており、各部品がばらばらになることはない。
【0022】
上記構成の第1のヒンジ10を送話部2の第1収容筒部2Aと受話部3の第3収容筒部3Aとに収容する場合には、まず、図6に示すように、第1、第3収容筒部2A,3Aの軸線を回動軸線Lと一致させ、受話部3を送話部2に対して閉位置に回動させておく。一方、第1のヒンジ10については、係合部14cを係合溝12gに係合させておく。その後、図6に示すように、ヒンジ本体11のキー溝11b,11bと第1収容筒部2Aのキー部2a,2aとの周方向の位置合わせをする。そして、係止部材14を先にして第1のヒンジ10を第1収容筒部2A側から第3収容筒部3A側に挿入する。第1のヒンジ10を第1、第3収容筒部2A,3Aに対して適宜の位置(図1〜図3に示す位置)まで挿入する。その後、ねじ孔2cに止めねじ(図示せず)を螺合させて締め付ける。これにより、第1のヒンジ10が第1収容筒部2Aに固定されるとともに、第1、第3収容筒部2A,3Aに収容される。
【0023】
上記のようにして第1のヒンジ10が第1、第3収容筒部2A,3Aに収容された状態においては、キー溝11b,11bに第1収容筒部2Aのキー部2a,2aが嵌り込むとともに、当接部12fが第3収容筒部3Aの受け部3aと周方向において対向する。この結果、受話部3が閉位置に位置した状態で、送話部2と受話部3とが回動軸線Lを中心として回動可能に連結される。また、復帰コイルばね13が回動部材12を閉位置から開位置側へ回動付勢しているが、係止部材14が回動部材12をヒンジ本体11に係止しているので、復帰コイルばね13の回動付勢力は、回動部材12を介して受話部3に伝達されることがなく、回動部材12及び受話部3は閉位置から開位置側へ回動することがない。しかし、頭部15bをヒンジ本体11側へ押して係合部14cを係合溝12gから抜け出させ、係止部材14によるヒンジ本体11に対する回動部材12の係止状態を解
除すると、回動部材12が復帰コイルばね13によって開位置まで回動させられ、それに追随して受話部3が開位置まで回動させられる。これから明らかなように、係止部材14及び操作部材15とによって切り換え機構が構成されている。また、復帰コイルばね13及び当接部12f及び受け部3aによって回動付勢機構が構成されている。
【0024】
次に、第2のヒンジ20について説明すると、第2のヒンジ20は、図7〜図15に示すように、ヒンジ本体(第2本体)21と、このヒンジ本体21の右側に配置された右側回動部材(第2回動部材)22と、ヒンジ本体21の左側に配置された左側回動部材(第2回動部材)23と、ヒンジ本体21と右側回動部材22との間に配置された右側可動部材24と、ヒンジ本体21と左側回動部材23との間に配置された左側可動部材25と、左側可動部材23の左側に配置された固定部材26と、左右の回動部材22,23及び固定部材26を連結する連結軸27と、ヒンジ本体2内に配置されたコイルばね(直動付勢手段)28とを備えている。
【0025】
ヒンジ本体21は、両端が開口した円筒体として形成されており、その外周面には、2つのキー溝21a,21aが形成されている。各キー溝21aは、ヒンジ本体21の全長にわたって延びており、周方向に180°離れて配置されている。また、ヒンジ本体21の左右の端面には、各端面から他端側へ向かって延びるガイド溝21bが一対ずつ形成されている。一対のガイド溝21b,21bは、ヒンジ本体2の周方向に180°離れ、かつ各キー溝21に対して周方向に90°離れて配置されている。
【0026】
図7〜図10に示すように、ヒンジ本体21の右側の大部分は第2収容筒部2Bに挿入されており、第2収容筒部2Bの内周面に形成されたキー部2c,2cがヒンジ本体21のキー溝21a,21aに嵌まり込むことにより、ヒンジ本体21が第2収容筒部2Bに回動不能に連結され、ひいては送話部2に回動不能に連結されている。ヒンジ本体21の左側の端部は、第4収容筒部3Bの外側の端部に回動可能に挿入されている。これにより、第2、第4収容筒部2B,3Bがヒンジ本体21を介して回動可能に連結され、送話部2と受話部3とが回動軸線Lを中心として回動可能に連結されている。
【0027】
右側回動部材22は、外径がヒンジ本体21とほぼ同一である円板状をなしており、その軸線をヒンジ本体21の軸線と一致させ、かつヒンジ本体21の右端面にほぼ接触した状態で配置されている。第1回動部材22の外周面には、二つのキー溝22a,22aが形成されている。この二つのキー溝22a,22aは、右側回動部材3の周方向に180°離れて配置されている。キー溝22aは、この実施の形態の場合、後述する理由により必ずしも形成する必要はない。
【0028】
右側可動部材24は、円板部24aと、この円板部24aの外周面に形成された一対のガイド部24b,24bとを備えている。円板部24aは、ヒンジ本体21の右端部内周に摺動自在に嵌合されている。一方、ガイド部24b,24bは、円板部24aの周方向に180°離れて配置されており、円板部24aからその軸線に沿って延びている。各ガイド部24a,24aは、ヒンジ本体21の右端側のガイド溝21b,21bにそれぞれ摺動可能に挿入されている。これにより、右側可動部材24がヒンジ本体21の右端部にその軸線方向へ移動可能に、かつ回動不能に連結されている。しかも、右側可動部材24は、右側回動部材22の左端面と対向している。
【0029】
左側回動部材23は、外径がヒンジ本体21の外径とほぼ同一である円板状をなしており、その軸線をヒンジ本体21の軸線と一致させ、かつヒンジ本体21の左端面にほぼ接触した状態で配置されている。左側回動部材23の外周面には、二つのキー溝23a,23aが形成されている。二つのキー溝23a,23aは、左側回動部材23の周方向に180°離れて配置されている。各キー溝23aは、キー溝22aと同一形状、同一寸法であるが、ヒンジ本体21のキー溝21aよりは周方向の幅及び深さのいずれもが大きく設定されている。
【0030】
左側回動部材23は、第4収容筒部3B内に挿入されている。第4収容筒部3Bの内周面には、一対のキー部3b,3bが形成されており、この一対のキー部3b,3bが左回動部材23のキー溝23a,23aに嵌まり込んでいる。したがって、左回動部材23は、第4収容筒部3bに対して回動不能であり、受話部3と一体に回動するようになっている。
【0031】
左側可動部材25は、右可動部材24と左右の向きが逆である点、及びヒンジ本体2の左端部側に配置されている点を除き、右側可動部材4と同様に構成されている。つまり、左側可動部材25も、円板部25a及び一対のガイド部25b,25bを有しており、円板部25aがヒンジ本体21の左端部内周に摺動自在に嵌合するとともに、ガイド部25b,25bがヒンジ本体21の左側のガイド溝21b,21bに摺動可能に挿入されている。これにより、左側可動部材25がヒンジ本体21にその軸線方向へ移動可能に、かつ回動不能に連結されている。しかも、左側可動部材25は、左側回動部材23の右端面と対向している。
【0032】
固定部材26は、円板部26aと、この円板部26aの左端面中央部から左方へ延びる首部26bとを有している。円板部26aは、左側回動部材23とほぼ同一の外径を有しており、その軸線を左側回動部材23の軸線と一致させ、かつ左側回動部材23の左端面に接触した状態で配置されている。円板部26aの外周には、一対の凹部26c,26cが周方向に180°離れて配置形成されている。凹部26cは、その幅及び深さのいずれもが左側回動部材23のキー溝23aより若干大きく設定されている。一方、首部26bは、その外径が円板部26aより小径に設定されており、その先端部には挟持突出部26d及び先細りのテーパ部26eが形成されている。挟持突出部26dの外径は、円板部26aよりは小径であるが、首部26bより大径になっている。また、首部26bには、その先端面から円板部26aまで延びる複数(この実施の形態では4個)のスリット26fが周方向へ互いに等間隔離れて配置形成されている。このスリット26fが形成されることにより、首部26bの先端部が基端部を中心として揺動するように首部26bが弾性変形可能になり、それによって挟持突出部26d及びテーパ部26eが拡縮径可能になっている。
【0033】
固定部材26は、第4収容筒部3Bの内側の端部に挿入されている。第4収容筒部3Bの内周面の内側の端部には、環状突出部3cが形成されている。この環状突出部3cの内径及軸線方向における長さは、固定部材26の首部26bの外径及び長さとほぼ同一になっている。したがって、テーパ部26eを先にして第4収容筒部3Bにその外側(第2収容筒部2B側)の開口部から固定部材26を挿入すると、テーパ部26eが環状突出部3cの端部に突き当たる。その状態で固定部材26をさらに挿入すると、首部26bが弾性変形し、テーパ部26e及び挟持突出部26dが縮径する。挟持突出部26dが環状突出部3cを通過すると、首部26bが弾性的に元の状態に復帰し、挟持突出部26dが元の状態にまで拡径する。この結果、挟持突出部26dと円板部26aとが環状突出部3cを挟持する。これにより、固定部材26が第4収容筒部3Bに回動軸線L方向へ移動不能に位置固定されている。
【0034】
なお、固定部材26の凹部26c,26cには、キー部3b,3bが入り込んでいるが、凹部26cの幅がキー部3bの幅より広いので、固定部材26がキー部3bによって第4収容筒部3Bに回動不能に連結されることはない。ただし、後述するように、固定部材26は、連結軸27を介して左回動部材23に一体的に連結されている。したがって、固定部材26は、受話部3と一緒に回動する。
【0035】
上記右側回動部材22、右側可動部材24、ヒンジ本体21、左側可動部材25、左側可動部材23及び固定部材26は、連結軸27によって互いに連結され、それによってヒンジ本体21に一体的に組み付けられている。すなわち、連結軸27は、その軸線をヒンジ本体21の軸線と一致させて配置されており、その右端部から左端部へ向かって順次形成された、円板状をなす頭部27a、この頭部27aの左端面中央部に形成された断面正方形状の第1固定部27b、この第1固定部27bの中央部に形成された断面円形の軸部27c、対角線の長さが軸部27cの外径とほぼ同一である断面正方形状の第2固定部27d、及び断面正方形状で、第2固定部27dより一回り小さい第3固定部27eを有している。これらの各部28a〜27eは、互いの軸線を一致させて形成されている。
【0036】
連結軸27の第1固定部27bには、右側回動部材22の中央部に形成された断面四角形の貫通孔22bが回動不能に嵌合している。特に、この実施の形態では、第1固定部27bが貫通孔22bに圧入されており、それによって右側回動部材22が連結軸27に固定されている。連結軸27の軸部27cの右端部と左端部とには、右側及び左側可動部材24,25の中央部にそれぞれ形成された貫通孔24c,25cが摺動自在に、かつ回動自在に嵌合している。連結軸27の第2固定部27dには、左側回動部材23の中央部に形成された貫通孔23bが回動不能に嵌合され、第3固定部材27eには、固定部材26の円板部26aの中央部に形成された貫通孔26g(図9及び図10参照)が回動不能に嵌合されている。そして、第3固定部27eを加締めることにより、固定部材26が第3固定部27eに位置固定されている。しかも、固定部材26が左側回動部材23に押し付けられているので、左側回動部材23は固定部材26によって軸部27cの端面に押しつけられ、それによって第2固定部27dに移動不能に位置固定されている。この結果、右側回動部材22と左側回動部材23とがヒンジ本体21をその両端側からほぼ挟持した状態になり、ヒンジ装置20全体がユニット化されている。しかも、左右の回動部材22,23は、連結軸27を介して相対回動不能、かつ相対移動不能に連結されている。
【0037】
ヒンジ本体21の内周面と連結軸27の軸部27bの外周面との間の空間には、上記コイルばね28が配置されている。このコイルばね28は、圧縮状態で配置されており、その一端が右側可動部材22に、その他端が左側可動部材25にそれぞれ突き当たっている。したがって、コイルばね28の付勢力にり、右側可動部材24は右側回動部材22に、左側可動部材25は左側回動部材23にそれぞれ当接させられている。右側回動部材22と右側可動部材24との当接面間には、コイルばね28の軸線方向を付勢力を、右側回動部材22を回動させる力に変換する右側回動付勢機構(第2回動付勢機構)30が設けられている。一方、左側回動部材23と左側可動部材25との間には、コイルばね28の付勢力を、左側回動部材23を回動させる力に変換する左側回動付勢機構(第2回動付勢機構)40が設けられている。
【0038】
右側回動付勢機構30について説明すると、右側回動部材22と対向する右側可動部材24の右端面には、一対のボール(カム部)31、32が回動可能に設けられている。各ボール31,32は、同一外径を有しており、右側可動部材24の軸線を中心とする円周上に周方向に180°離れて配置されている。各ボール31,32に代えて、略半球状をなす突起または単なる突起を右側可動部材24に一体に形成してもよい。
【0039】
一方、右側可動部材24と対向する右側回動部材22の左端面には、図12及び図13に示すように、互いに同一形状、同一寸法を有する一対の係合凹部33,34が形成されている。二つの係合凹部33、34は、右側回動部材3の軸線を中心とする円周上に、それもボール31,32が配置された円周と同一直径を有する円周上に周方向に180°離れて配置されている。図13(D)に示すように、右側可動部材24の周方向と直交する断面(右側可動部材24の直径線を含む断面)における係合凹部33,34の曲率半径は、ボール31,32の外径と同等か若干大径に設定されている。右側回動部材22の周方向における係合凹部33,34長さ(曲率半径)は、図13(C)に示すように、ボール31,32の半径よりより長く設定されている。各係合凹部33,34の深さは、それぞれの周方向における中央部で最も深く、そこから周方向へ向かうにしたがって漸次浅くなっている。ただし、各係合凹部33,34は、最も深い部分でもボール31,32の半径より若干浅くなっている。
【0040】
係合凹部33,34の深さがその周方向の中央部において最も深くなっているので、ボール31,32が係合凹部33,34の中央部に位置しているときには、右側回動部材22は、コイルばね28により右側可動部材24及びボール31,32を介して右方へ単に押されるだけであり、回動付勢されることはない。したがって、右側回動部材22は回動することなく、一定の位置に維持される。このとき、右側回動部材22のキー溝22a、左側回動部材23のキー溝23a及び固定部材26の凹部26cは、ヒンジ本体21のキー溝21aと同一円周上に位置するようになっている。
【0041】
係合凹部33,34の周方向における断面の曲率半径がボール31,32の半径より大きくなっているので、ボール31,32が係合凹部33,34の中央部から周方向にずれると、ボール31,32が係合凹部33,34の底面のうちの傾斜した部分に接触する。この結果、右側回動部材22は、コイルばね28により右側可動部材24及びボール31,32を介して回動付勢される。すなわち、図13(C)に示すように、係合凹部33,34の底面のうち、その中央から円周に沿って一方向側に存在する部分を第1傾斜面(カム面)35,36とし、他方向側に存在する部分を第2傾斜面(カム面)37,38とすると、ボール31,32が第1傾斜面35,36にそれぞれ接しているときには、第1傾斜面35,36がカム面として作用する結果、コイルばね28の付勢力は矢印X方向(閉方向)に作用する回動付勢力に変換される。この回動付勢力により、右側回動部材22が閉方向へ回動される。
【0042】
ボール31,32が第1傾斜面35,36に接触した状態から右側回動部材3を矢印Y方向へ140°〜150°程度回動させと、ボール31,32が、係合凹部33,34の間に形成されたガイド溝23c,23d内を転動し、係合凹部34,33内に入り込む。そして、第2傾斜面38,37にそれぞれ接するようになる。この状態では、第2の傾斜面37,38のカム作用により、コイルばね28の付勢力が矢印Y方向(開方向)に作用する回動付勢力に変換される。この回動付勢力により、右側回動部材22が矢印Y方向に回動付勢される。勿論、ボール31,32が第2傾斜面38,37に接触した状態において右側回動部材22を矢印X方向へ140°〜150°回動させると、ボール31,32がガイド溝23c,23dを通って第1傾斜面35,36に接触するようになる。これから明らかなように、ボール31,32及び第1の傾斜面35,36及び第2の傾斜面37,38によって変換部が構成され、さらにそれらにコイルばね28を加えることによって右側回動付勢機構30が構成されている。
【0043】
一方、左側回動部材23と左側可動部材25の間に設けられた左側回動付勢機構40であるが、これは右側回動付勢機構30に対し左右対称に構成されている点を除き、右側回動付勢機構30と同様に構成されており、右側回動付勢機構30が右側回動部材22を閉方向(図12において矢印X方向)へ回動させる際には、左側回動付勢機構40も第2回動部材23を同方向へ回動させ、右側回動付勢機構30が右側回動部材22を開方向(図12において矢印Y方向)へ回動させる際には、左側回動変換機構40も左側回動部材23を同方向へ回動させるようになっている。そこで、左側回動変換機構40についての説明は省略する。
【0044】
次に、上記構成の第2のヒンジ20を右側の第2、第4収容筒部2B,3Bに収容する場合について説明する。
図14及び図15に示すように、第2、第4収容筒部2B,3Bの軸線を回動軸線Lと一致させる。そして、第2収容筒部2Bのキー部2cと第4収容筒部3Bのキー部3bとを一直線状に並べる。これは、送話部2と受話部3とを閉位置からほぼ180°回動させることによってそのようにすることができる。一方、ヒンジ装置20については、ボール31,32を係合凹部33,34の周方向における中央部に位置させる。すると、図14及び図15に示すように、ヒンジ本体21のキー溝21a、右側及び左側回動部材22,23の各キー溝22a,23a並びに固定部材26の凹部26cが一直線上に並ぶ。そこで、キー溝21a,22a,23a及び凹部26cとキー溝2c,3bとの周方向における位置合わせをする。その後、固定部材26を先にして第2のヒンジ20を第2収容筒部2Bの外側の開口部から第3収容筒部3Bに挿入する。
【0045】
第2のヒンジ20を第2、第4収容筒部2B,3Bに対して図7〜図10に示す所定の位置まで挿入すると、固定部材26の円板部26a及び挟持固定部26dが第4収容筒部3Bの環状突出部3cを挟持する。これにより、第2のヒンジ20が第4収容筒部3Bに位置固定され、第2、第4収容筒部2B,3Bから抜け止めされる。この状態においては、ヒンジ本体21の右側の大部分が第2収容筒部2Bに回動不能に嵌合されるとともに、左側の端部が第4収容筒部3Bに回動可能に嵌合される。これによって、第2収容筒部2Bと第4収容筒部3Bとが回動可能に連結され、ひいては送話部2と受話部3とが回動可能に連結される。また、左回動部材23のキー部23aに第4収容筒部3Bのキー部3bが嵌まり込むことにより、左回動部材23が第4収容筒部3Bに回動不能に連結される。なお、右回動部材22のキー溝22aには、第2収容筒部2Bのキー部2cが嵌り込むことはない。したがって、右回動部材22は、第2収容筒部2Bに対して回動可能である。よって、キー溝22aについては形成しなくともよい。
【0046】
このようにして第2のヒンジ20を携帯電話機1の第2、第4収容筒部2B,3Bに収容したら、受話部3を送話部2に対して閉位置側へ所定の角度、例えば20°〜30°程度回動させる。すると、受話部3が開位置に位置する。その後、送話部2と受話部3との間に、ストッパ機構(図示せず)取り付け、受話部3が開位置を越えて閉位置側から開位置側へ向かって回動するのを阻止する。受話部3が開位置に位置した状態においては、ボール31,32が第2傾斜面38,37にそれぞれ接触しており、受話部3がコイルばね28の付勢力により閉位置側から開位置側へ向かう方向へ付勢されている。その結果、受話部3がストッパ機構によって開位置に維持される。
【0047】
受話部3をコイルばね28の付勢力に抗して閉位置側へ所定角度、例えば10〜20°程度回動させると、ボール31,32が係合凹部34,33から抜け出て、ガイド溝22c,22d内を転動するようになる。この状態では、受話部3に回動付勢力が作用しないので、受話部3を任意の位置で停止させることができる。
【0048】
受話部3を開位置から所定角度、例えば140°程度回動させると、ボール31,3が係合凹部33,34に入り込み、第1傾斜面35,36にそれぞれ接触するようになる。この結果、受話部3がコイルばね28の付勢力により開位置側から閉位置側へ向かう方向へ回動付勢される。この回動付勢力により、受話部3が送話部2に突き当たった閉位置に維持される。
【0049】
次に、上記第1、第2のヒンジ10,20を備えた携帯電話機1の開閉動作について説明する。
いま、受話部3が閉位置に位置しているものとする。この状態において、第1のヒンジ10の操作部材15の頭部15bを第1収容筒部2A側へ押し、係止部材14による回動部材12のヒンジ本体11に対する係止状態を解除すると、回動部材12が閉位置から開位置へ向かって回動し、受話部3が回動部材12と共に開位置まで回動する。ここで、受話部3の閉位置から開位置側への回動当初は、コイルばね13の開位置側への付勢力が大きいが、右側及び左側回動付勢機構30、40のコイルばね28の付勢力が逆方向に作用している。したがって、受話部3の閉位置から開位置側への急速回動を制限して、比較的低速で開回動させることができる。また、開位置側では、コイルばね13の付勢力が弱くなるが、このときにはコイルばね28の付勢力が閉位置側から開位置側へ向かう方向に作用する。したがって、受話部3をガタなく閉位置に維持することができる。
【0050】
逆に、開位置に位置している受話部3を閉位置まで回動させる場合には、閉回動当初は、二つのコイルばね13,28の付勢力に抗して受話部3を閉位置側へ回動させることになるが、コイルばね13の付勢力は比較的弱くなっている。したがって、受話部3を比較的容易に閉位置側へ回動させることができる。その後、コイルばね13の付勢力に抗して受話部3を閉回動させ、受話部3が閉位置近傍に達すると、コイルばね13の開方向への付勢力が強くなっている。しかるに、閉位置近傍においては、コイルばね28の付勢力が開位置側から閉位置側へ向かう方向に作用する。したがって、そのコイルばね28の付勢力の分だけ受話部3を小さい力で容易に閉回動させることができる。受話部3が閉位置に達すると、係止部材14によって回動部材12がヒンジ本体11に係止される。これにより、受話部3が閉位置に維持される。
【0051】
また、この携帯電話機1においては、第1のヒンジ10の回動部材12が閉位置から開位置側へ回動するときにのみ当接部12fが第2収容筒部3Aの受け部3aに突き当たるようになっているから、係止部材14により回動部材12をヒンジ本体11に係止させた状態では、受話部3を手動で閉位置と開位置との間を回動させることができる。この場合には、第1のヒンジ10は第1、第3収容筒部2A,3Aを単に回動可能に連結する軸として機能するだけである。一方、第2のヒンジ20は、第1のヒンジ10が動作しているときと同様に動作する。つまり、閉位置近傍においては、受話部3を閉位置側へ付勢して閉位置に維持させ、開位置近傍においては受話部3を開位置側へ付勢して開位置に維持させる。ここで、ボール31,32が係合凹部33,34に入りこんで止まっているとき、つまり受話部3が閉位置または開位置に位置しているときのコイルばね28の長さをL1とし、ボール31,32が係合凹部33,34から抜け出るまでの回動軸線方向の移動距離をΔLとすると、ボール31,32が係合凹部33,34から抜け出ているときのコイルばね28の長さL2は、
L2=L1−2Δ
になる。これから明らかなように、コイルばね28は、右側及び左側回動付勢機構30,40が用いられているので、コイルばね28の圧縮量は、右側及び左側回動付勢機構手段30,40のいずれか一方だけが用いられた場合の2倍になる。したがって、送話部3を大きな力で閉位置又は開位置に維持することができる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、一方の手だけで閉位置に位置している受話部を開位置まで回動させることができるのは勿論のこと、受話部が開位置でガタツクのを防止することができ、しかも閉位置側では比較的小さい力で受話部を閉位置まで回動させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る折り畳み式携帯電話機の一実施の形態を示す図であって、図1(A)は受話部を開位置に回動させた状態で示す平面図、図1(B)は左側面図である。
【図2】第1、第3収容筒部だけを断面にして示す図1のX−X線に沿う拡大断面図であって、図2(A)は第1ヒンジの操作部材を非操作状態で示し、図2(B)は第1操作部材を操作状態で示している。
【図3】第1及び第3収容筒部及び第1のヒンジを、操作部材の非操作時の状態で示す図であって、図3(A)は第1、第3収容筒部のみならず第1ヒンジをも断面にして示す図1のX−X線に沿う断面図、図3(B)は図3(A)のX−X線に沿う断面図、図3(C)は図3(A)のY矢視図である。
【図4】第1及び第3収容筒部及び第1のヒンジを、操作部材の操作時の状態で示す図であって、図4(A)は第1、第3収容筒部のみならず第1ヒンジをも断面にして示す図1のX−X線に沿う断面図、図4(B)は図4(A)のX−X線に沿う断面図、図4(C)は図4(A)のY−Y線に沿う断面図である。
【図5】図1に示す携帯電話機に用いられている第1のヒンジの分解斜視図である。
【図6】第1のヒンジを第1、第3収容筒部に挿入する前の状態で示す図である。
【図7】第2、第4収容筒部だけを断面にして示す図1のX−X線に沿う拡大断面図である。
【図8】図7のX−X線に沿う断面図である。
【図9】第2、第4収容筒部のみならず、第2のヒンジをも断面にして示す図1のX−X線に沿う拡大断面図である。
【図10】図9のX−X線に沿う断面図である。
【図11】図7のY矢視図である。
【図12】図1に示す携帯電話機に用いられている第2のヒンジの分解斜視図である。
【図13】第2のヒンジの第2回動部材を示す図であって、図13(A)はその平面図、図13(B)は図13(A)のB−B線に沿う断面図、図13(C)は図13(A)のC−C線に沿う拡大断面図、図13(D)は図13(B)のD部分の拡大図である。
【図14】第2ヒンジを第2及び第4収容筒部に挿入する前の状態で示す図7と同様の断面図である。
【図15】第2のヒンジを第2及び第4収容筒部に挿入する前の状態で示す図8と同様の断面図である。
【符号の説明】
L 回動軸線
1 折り畳み式携帯電話機
2 送話部
3 受話部
10 第1のヒンジ
11 ヒンジ本体(本体)
12 回動部材
12f 当接部
13 復帰コイルばね(回動付勢手段)
14 係止部材(係止手段)
14c 係合部
15 操作部材
20 第2のヒンジ
21 ヒンジ本体(第2本体)
22 右回動部材(第2回動部材)
23 左回動部材(第2回動部材)
24 左可動部材(可動部材)
25 右可動部材(可動部材)
30 右側回動付勢機構(第2の回動付勢機構)
31 ボール(カム部)
32 ボール(カム部)
35 傾斜面(カム面)
36 傾斜面(カム面)
37 傾斜面(カム面)
38 傾斜面(カム面)
40 左側回動付勢機構(第2の回動付勢機構)
Claims (4)
- 送話部と受話部とが閉位置と開位置との間を回動可能に連結されてなる折り畳み式携帯電話機において、
上記送話部と上記受話部との回動軸線方向の一端側と他端側とに、上記送話部と上記受話部とを回動可能に連結する第1、第2のヒンジが設けられており、
上記第1のヒンジが、上記送話部と上記受話部とのいずれか一方に回動不能に連結された本体と、この本体及び上記受話部に上記回動軸線を中心として回動可能に連結された回動部材と、上記受話部を上記送話部に対して閉位置側から開位置側へ回動付勢する回動付勢機構と、この回動付勢機構の付勢力が上記受話部に伝達される伝達状態と、付勢力が受話部に伝達されない非伝達状態とに切り換える切り換え機構とを有し、上記伝達状態時には上記受話部が上記回動付勢機構により閉位置側から開位置まで回動させられ、上記非伝達状態時には上記受話部が上記送話部に対して閉位置と開位置との間を回動可能であり、
上記第2のヒンジが、上記回動軸線上に配置され、上記送話部と上記受話部とのいずれか一方に回動不能に連結された第2本体と、この第2本体の少なくとも一端部に移動不能に配置され、上記送話部と上記受話部とのいずれか他方に回動不能に連結された第2回動部材と、上記受話部が上記閉位置から開位置側へ向かって所定の角度範囲に位置しているときには上記受話部を上記開位置側から閉位置側へ付勢し、上記受話部が上記開位置から上記閉位置側へ向かって所定の角度範囲に位置しているときには上記受話部を上記閉位置側から上記開位置側へ付勢する第2回動付勢機構とを有していることを特徴とする折り畳み式携帯電話機。 - 上記切り換え機構が、上記回動部材を上記本体に係止して閉位置に位置させる係止手段と、外部から操作可能で、上記係止手段による上記回動部材の上記本体に対する係止状態を解除する操作部材とを有し、
上記回動付勢機構が、上記回動部材を閉位置側から開位置側へ回動付勢する回動付勢手段と、上記回動部材に設けられ、上記回動部材が上記回動付勢手段によって上記閉位置側から上記開位置側へ回動させられるときには上記受話部に当接して上記受話部を上記回動部材と共に開位置まで回動させ、上記回動部材が上記係止手段によって上記本体に係止させられているときには、上記受話部の上記回動部材に対する相対回動を許容する当接部とを有していることを特徴とする請求項1に記載の折り畳み式携帯電話機。 - 上記第2回動部材が上記第2本体の両端側にそれぞれ配置され、
上記第2回動付勢機構が、上記第2本体の両端部に上記回動軸線方向へ移動可能に、かつ回動不能に連結され、上記一対の第2回動部材とそれぞれ対向して配置された一対の可動部材と、この一対の可動部材間に配置され、一対の可動部材を対向する第2回動部材にそれぞれ当接させる直動付勢手段と、上記一対の第2回動部材と上記一対の可動部材との各当接面間に設けられ、上記直動付勢手段の付勢力を、上記受話部が上記閉位置から開位置側へ向かって所定の角度範囲に位置しているときには上記受話部を上記開位置側から上記閉位置側へ付勢する閉方向回動付勢力に変換し、上記受話部が上記開位置から閉位置側へ向かって所定
の角度範囲に位置しているときには上記受話部を上記閉位置側から上記開位置側へ付勢する開方向回動付勢力に変換する一対の変換部とを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の折り畳み式携帯電話機。 - 上記変換部が、上記第2回動部材と上記可動部材との当接面のいずれか一方に形成され、周方向に沿って傾斜したカム面と、他方に形成され、上記直動付勢手段によって上記カム面に当接させられるカム部とを有していることを特徴とする請求項3に記載の折り畳み式携帯電話機。
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