JP3762135B2 - 旋回式建設機械 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば油圧ショベル等の旋回式建設機械に関し、特に、小さな旋回半径で旋回を可能にした旋回式建設機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、旋回式建設機械としては油圧ショベル等が知られており、この油圧ショベルは、下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に設けられた上部旋回体と、該上部旋回体の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより構成されている。
【0003】
そして、上部旋回体は、前側に作業装置が設けられると共に後端側にカウンタウエイトが搭載される旋回フレームと、カウンタウエイトの前側に位置して旋回フレーム上に左,右方向に延在する横置き状態に搭載され、油圧ポンプを駆動するエンジンと、該エンジンの左,右方向の一側に位置して設けられた熱交換器と、該熱交換器の前側近傍に位置して旋回フレームの左,右方向の一側に設けられた作動油タンクとを備え、これらのエンジン、熱交換器、作動油タンク等は、旋回フレーム上に設けられた外装カバー等によって画成される空間内に収容されている。
【0004】
ところで、油圧ショベルには、後方小旋回型、超小旋回型と呼ばれる旋回式油圧ショベル(以下、単に小旋回式油圧ショベルという)があり、この小旋回式油圧ショベルは、上部旋回体を上方からみた場合、少なくともカウンタウエイトが位置する上部旋回体の後側部分が旋回中心を中心として略円形状に形成され、上部旋回体が旋回するときに、少なくともカウンンタウエイトが位置する上部旋回体の後側部分が概ね車幅内に収まるように構成されている。
【0005】
このため、小旋回式油圧ショベルは、上部旋回体の小型化に伴って旋回フレーム上に形成される収容空間が狭くなっており、この狭い収容空間内にエンジン、熱交換器、作動油タンク等を効率良く収容する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来技術による小旋回式油圧ショベルは、作動油タンクが上方からみて四角形の箱状に形成されている場合が多く、この作動油タンクをほぼ円形状をなす旋回フレームの外周側に配置したときには、旋回フレーム上で作動油タンクの前方または後方に形成される空間が狭くなり、この空間内に熱交換器等の機器を配置するのが困難となるため、旋回フレーム上の狭い空間内にエンジン、熱交換器、作動油タンク等を効率良く収容することができないという問題がある。
【0007】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、旋回フレーム上の狭い空間内にエンジン、熱交換器、作動油タンク等を効率良く収容することができるようにした旋回式建設機械を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明は、下部走行体と、該下部走行体上に旋回中心に対して旋回可能に設けられた上部旋回体とからなり、該上部旋回体は、前側に作業装置が設けられると共に後端側にカウンタウエイトが搭載される旋回フレームと、前記カウンタウエイトの前側に位置して該旋回フレーム上に左,右方向に延在する横置き状態に搭載され、油圧ポンプを駆動するエンジンと、該エンジンの左,右方向の一側に位置して設けられた熱交換器と、該熱交換器の前側近傍に位置して前記旋回フレームの左,右方向の一側に設けられた作動油タンクとを備えた旋回式建設機械に適用される。
【0009】
そして、請求項1の発明の特徴は、作動油タンクは、正面板、背面板、前側面板、後側面板、底面板および上面板をもった六面体からなり、この作動油タンクを構成する六面のうち正面板の前,後方向長さ寸法を背面板の前,後方向長さ寸法よりも長く形成することにより、前記作動油タンクは底面板または上面板からみたときにほぼ台形状に構成し、前記作動油タンクを構成する前側面板と後側面板のうち少なくとも一方の側面板には、前記作動油タンクの内側へと窪んだ凹窪部を設ける構成としたことにある。
【0010】
このように構成したことにより、作動油タンクの正面板を旋回フレームの外周側に配置し、作動油タンクの背面板を旋回フレームの旋回中心側に配置したときに、作動油タンクの正面板の前,後方向の長さ寸法は、背面板の前,後方向の長さ寸法よりも長くなっている。このため、作動油タンクの前側部分と後側部分とには略三角形状の空間が形成され、この空間内に必要な機器の一部を配置することにより、エンジン、熱交換器、作動油タンク等を旋回フレーム上の狭い空間内に効率良く収容することができる。そして、作動油タンクを構成する前側面板と後側面板のうち少なくとも一方の側面板に設けた凹窪部により、例えば熱交換器を作動油タンクに接近させて配置でき、旋回フレーム上の狭い空間を有効利用できる上に、前記凹窪部を設けた分だけ作動油タンクの強度を向上させることができる。
【0011】
請求項2の発明の特徴は、作動油タンクは、正面板、背面板、前側面板、後側面板、底面板および上面板をもった六面体からなり、作動油タンクを構成する六面のうち前側面板、後側面板を、旋回フレームの旋回中心から左,右方向の一側に向けてある角度で放射状に広がる前,後の仮想線に沿って延びるように形成することにより、前記作動油タンクは底面板または上面板からみたときにほぼ台形状に構成し、前記作動油タンクを構成する前側面板と後側面板のうち少なくとも一方の側面板には、前記作動油タンクの内側へと窪んだ凹窪部を設ける構成としたことにある。
【0012】
このように構成したことにより、作動油タンクの前側面板と後側面板は、旋回フレームの旋回中心から外周側に向けて放射状に広がる面を形成することができる。このため、作動油タンクの前側部分と後側部分とには略三角形状の空間が形成され、この空間内に必要な機器の一部を配置することにより、エンジン、熱交換器、作動油タンク等を旋回フレーム上の狭い空間内に効率良く収容することができる。
【0014】
請求項3の発明によると、熱交換器の一部は、作動油タンクを構成する後側面板の後方に形成される空間を利用して配置する構成としている。
【0015】
このように構成したことにより、熱交換器は作動油タンクの後方に形成される空間にその一部分を配置することができ、旋回フレーム上の狭い空間を有効に利用することができる。
【0016】
請求項4の発明によると、作動油タンクの前側には、油圧ポンプから作業装置に給排される圧油を制御する複数の制御弁からなる多連弁装置を設け、該多連弁装置の一部は、前記作動油タンクを構成する前側面板の前方に形成される空間を利用して配置する構成としている。
【0017】
このように構成したことにより、多連弁装置は作動油タンクの前方に形成される空間にその一部分を配置することができる。このため、作動油タンクを前,後から挟む状態で、多連弁装置と熱交換器とを互いに接近させて配置することができる。
【0018】
請求項5の発明によると、前記作動油タンクを構成する背面板には、該作動油タンクと前記油圧ポンプの吸入側との間を連通する吸込配管を接続する構成としている。
【0019】
このように構成したことにより、作動油タンクと油圧ポンプの吸入側との間を連通する吸込配管を短くすることができ、作動油が吸込配管を通じて油圧ポンプに流れるときの流路圧損を抑えることができる。
【0020】
請求項6の発明によると、前記作動油タンクを構成する正面板は、上面板からみたときに円弧状をなす凸湾曲面に形成する構成としている。
【0021】
このように構成したことにより、上部旋回体が旋回したときの遠心力によって作動油タンク内の作動油が正面板を押圧しても、正面板は凸湾曲面に形成されているので板面強度が大きく、作動油の押圧力に対する作動油タンクの強度を向上させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による旋回式建設機械として小旋回式油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図6を参照しつつ詳細に説明する。
【0023】
図において、1は下部走行体、2は該下部走行体1上に旋回可能に搭載された上部旋回体で、該上部旋回体2の前部側には、掘削作業等を行うための作業装置3が俯仰動可能に設けられている。
【0024】
そして、上部旋回体2は、後述する旋回フレーム4、カウンタウエイト6、エンジン7、作動油タンク12、運転席22、キャノピ24、外装カバー27、スカートカバー28等により大略構成されている。
【0025】
4は上部旋回体2のベースを構成する旋回フレームで、該旋回フレーム4は、図2に示すように、後端側がほぼ円形状に形成された平板状の底板4Aと、該底板4Aの上面側に立設され前,後方向に延びた左,右の縦板4B,4Bと、該各縦板4Bの前端上面に固着された上板4Cと、底板4Aから上向きに立設され各縦板4Bに亘って左右方向に延びた横板4Dとからなっている。ここで、底板4A、左,右の縦板4B、上板4Cの前端側はブラケット4Eとなり、このブラケット4Eには、作業装置3の基端側が取付けられている。
【0026】
そして、底板4Aの中央部には旋回装置5が設けられ、該旋回装置5を作動させることにより、上部旋回体2が旋回中心Oを中心として旋回する構成となっている。
【0027】
6は作業装置3との重量バランスをとるために旋回フレーム4の後部側に設けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト6は鋳物等により上方からみて略円弧状に形成されている。ここで、カウンタウエイト6は、その後面円弧形状を所定の旋回半径内(下部走行体1の車幅内)に収めることにより、運転席22から見通しの悪いカウンタウエイト6が障害物と干渉するのを防止している。
【0028】
7はカウンタウエイト6の前側に位置して旋回フレーム4の後部側に設けられたエンジンで、該エンジン7は、左,右方向に延在する横置き状態に配置されている。そして、エンジン7の左端部には油圧ポンプ8が取付けられ、該油圧ポンプ8は作動油タンク12内の作動油を下部走行体1、作業装置3のアクチュエータに向けて圧送するものである。
【0029】
9はエンジン7の左,右方向の一側(右側)に設けられた熱交換器で、該熱交換器9は、ラジエータ10とオイルクーラ11とにより構成されている。ここで、ラジエータ10は、エンジン7のウォータジャケット(図示せず)との間で循環するエンジン冷却水を、エンジン7の冷却ファン7Aによって流通する冷却風によって冷却するものである。一方、オイルクーラ11は、下部走行体1および作業装置3に設けられたアクチュエータから作動油タンク12に戻る作動油を、冷却ファン7Aによって流通する冷却風によって冷却するものである。
【0030】
12は熱交換器9の前側近傍に位置して旋回フレーム4の左,右方向の一側(右側)に設けられた作動油タンクで、該作動油タンク12は、下部走行体1および作業装置3に設けられたアクチュエータに供給される作動油を貯留するものである。そして、作動油タンク12は、図3および図4に示すように、正面板12A、背面板12B、前側面板12C、後側面板12D、底面板12Eおよび上面板12Fをもった六面体の箱状に形成され、旋回フレーム4上にブラケット13を介して取付けられている。
【0031】
ここで、作動油タンク12を構成する正面板12Aの前,後方向の長さ寸法Aは、背面板12Bの前,後方向の長さ寸法Bよりも長く(A>B)形成されている。
【0032】
また、旋回フレーム4の旋回中心Oを通る前,後の軸線をX−X、旋回中心Oを通る左,右の軸線をY−Yとし、旋回中心Oを通り軸線Y−Yを挟んで前側に角度αをもって放射状に広がる仮想線をZ−Zとし、旋回中心Oを通り軸線Y−Yを挟んで後側に角度βをもって放射状に広がる仮想線をZ′−Z′としたときに、作動油タンク12を構成する前側面板12Cは仮想線Z−Zに沿って延び、後側面板12Dは仮想線Z′−Z′に沿って延びるように構成されている。
【0033】
これにより、作動油タンク12は、上面板12Fからみてほぼ台形状となる箱状に形成され、後側面板12Dの後側部分には、熱交換器9の一部が収容される略三角形状の熱交換器収容空間14(図3中にハッチングを付した領域)が形成され、前側面板12Cの前側部分には、後述する多連弁装置20の一部が収容される略三角形状の弁収容空間15(図3中にハッチングを付した領域)が形成されている。
【0034】
即ち、熱交換器9の右前角隅部は、作動油タンク12を構成する後側面板12Dの後方に形成された熱交換器収容空間14を利用して旋回フレーム4上に配置されており、これにより、旋回フレーム4上の狭い空間内に効率良く熱交換器9を収容できる構成となっている。
【0035】
16は作動油タンク12の後側面板12Dに設けられた凹窪部で、該凹窪部16は、後側面板12Dの幅方向の中間部を作動油タンク12の内側に向けてく字状に窪ませることにより形成され、作動油タンク12の強度を高めることができる構成となっている。
【0036】
17は作動油タンク12の背面板12B下端側に一端側が固着された吸込配管で、該吸込配管17の他端側は油圧ポンプ8の吸入側に接続されている。また、作動油タンク12内には、吸込配管17の一端側に位置して塵埃等の異物を捕捉する吸込フィルタ18が着脱可能に設けられている。
【0037】
このように、作動油タンク12を構成する背面板12Bに、作動油タンク12と油圧ポンプ8の吸入側との間を連通する吸込配管17を接続することにより、吸込配管17の長さを短くすることができ、作動油タンク12内の作動油が吸込配管17を通じて油圧ポンプ8に流れるときの流路圧損を抑えることができる構成となっている。
【0038】
19は作動油タンク12の正面板12Aに設けられた蓋体で、該蓋体19は、作動油タンク12内の清掃、あるいは吸込フィルタ18の交換等を行うときに、作動油タンク12に対して着脱されるものである。この場合、蓋体19は、正面板12Aの下端側に配設されており、後述のスカートカバー28を旋回フレーム4から取外すことにより、上部旋回体2の外部から蓋体19を容易に着脱できるように考慮されている。
【0039】
20は作動油タンク12の前側に位置して旋回フレーム4上に設けられた多連弁装置で、該多連弁装置20は複数の制御弁21,21,…からなり、油圧ポンプ8から作業装置3等に設けられた各アクチュエータに給排される圧油の方向を制御するものである。
【0040】
ここで、多連弁装置20の右後角隅部は、作動油タンク12を構成する前側面板12Cの前方に形成された弁収容空間15を利用して旋回フレーム4上に配置されており、これにより、旋回フレーム4上の狭い空間内に効率良く多連弁装置20を収容できる構成となっている。
【0041】
22は旋回フレーム4を覆う床板23上に設けられた運転席で、該運転席22の上方はキャノピ24によって覆われている。また、運転席22の周囲には下部走行体1、作業装置3を操作するための操作レバー25,26等が配設されている。
【0042】
27は旋回フレーム4の上側に運転席22を後側から囲むように設けられた外装カバー、28は床板23よりも下側に位置して旋回フレーム4の周囲を囲むように設けられたスカートカバーで、これら外装カバー27、スカートカバー28は旋回フレーム4に着脱可能に設けられ、エンジン7、熱交換器9、多連弁装置20等を覆うものである。
【0043】
本実施の形態による油圧ショベルは上述の如き構成を有するもので、操作レバー25,26を操作することにより、下部走行体1を走行させ、作業装置3を用いて土砂等の掘削作業を行う点については従来技術によるものと格別差異はない。
【0044】
然るに、本実施の形態では、作動油タンク12を構成する前側面板12Cを、旋回中心Oを通り軸線Y−Yを挟んで前側に角度αをもって放射状に広がる仮想線Z−Zに沿って延びるように形成し、作動油タンク12を構成する後側面板12Dを、旋回中心Oを通り軸線Y−Yを挟んで後側に角度βをもって放射状に広がる仮想線Z′−Z′に沿って延びるように形成することにより、作動油タンク12を上面板12Fからみたときに、正面板12Aが長さ寸法A、背面板12Bが長さ寸法Bをもったほぼ台形状となるように構成している。
【0045】
このため、作動油タンク12の後側面板12Dの後側部分に略三角形状の熱交換器収容空間14を形成することができ、作動油タンク12の前側面板12Cの前側部分に略三角形状の弁収容空間15を形成することができる。これにより、熱交換器9の一部(右前角隅部)を熱交換器収容空間14を利用して旋回フレーム4上に配置し、多連弁装置20の一部(右後角隅部)を弁収容空間15を利用して旋回フレーム4上に配置することができる。
【0046】
かくして、旋回フレーム4の外周側に、作動油タンク12を挟んで熱交換器9と多連弁装置20とを互いに近づけた状態で配置することができ、これら各機器を旋回フレーム4上の狭い空間内に効率良く収容することができる。
【0047】
従って、作動油タンク12の近くにエンジン7、熱交換器9、多連弁装置20を近接して配置することができるので、上部旋回体2を一層小型化することができ、これら各機器間に配管等を接続するときの作業性をも向上することができる。しかも、作動油タンク12を、エンジン7に近接させて旋回フレーム4の後部側に配置することができるので、作動油タンクを旋回中心よりも前側に配置した従来形式のものに比較して、上部旋回体2の後側の重量を大きくすることができ、作業装置3との重量バランスを向上させることができる。
【0048】
また、作動油タンク12の後側面板12Dに、作動油タンク12の内側に向けてく字状に窪んだ凹窪部16を設ける構成としたので、該凹窪部16によって作動油タンク12の強度を向上させることができる。また、凹窪部16を設けた分だけ、作動油タンク12と熱交換器9とを接近させて配置することができ、旋回フレーム4上の狭い空間を一層有効に利用することができる。
【0049】
さらに、作動油タンク12の背面板12Bに、作動油タンク12と油圧ポンプ8の吸入側との間を連通する吸込配管17を接続する構成としたので、吸込配管17の長さを短くすることができ、作動油タンク12内の作動油が吸込配管17を通じて油圧ポンプ8に流れるときの流路圧損を抑えることができる。
【0050】
なお、上述した実施の形態では、作動油タンク12を構成する正面板12Aを平板状に形成した場合を例に挙げたが、本発明はこれに限るものではなく、例えば図5に示す変形例のように、正面板12A′を、上面板12Fからみたときに円弧状をなす凸湾曲面に形成してもよい。この場合には、上部旋回体2が旋回したときの遠心力によって作動油タンク12内の作動油が正面板12A′を押圧しても、正面板12A′は凸湾曲面に形成されているので板面強度が大きく、作動油の押圧力に対する作動油タンク12の強度を向上させることができる。
【0051】
また、上述した実施の形態では、作動油タンク12を構成する前側面板12Cと後側面板12Dとを、旋回フレーム4の旋回中心Oから左,右方向の一側に向けてある角度で放射状に広がる前,後の仮想線Z−Z、Z′−Z′に沿って延びるように形成したが、これら仮想線Z−Z、Z′−Z′は、必ずしも旋回フレーム4の旋回中心Oから延ばす必要はなく、旋回中心Oから前,後方向または左,右方向に若干ずれた位置から放射状に広がるようにしてもよい。
【0052】
さらに、上述した実施の形態では、運転席22がキャノピ24によって覆われたキャノピタイプの油圧ショベルを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば図6に示す変形例のように、運転席22がキャブ29内に設けられたキャブタイプの油圧ショベルに適用してもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1の発明によれば、作動油タンクは、正面板、背面板、前側面板、後側面板、底面板および上面板をもった六面体からなり、この作動油タンクを構成する六面のうち正面板の前,後方向長さ寸法を背面板の前,後方向長さ寸法よりも長く形成することにより、作動油タンクは底面板または上面板からみたときにほぼ台形状に構成し、前記作動油タンクを構成する前側面板と後側面板のうち少なくとも一方の側面板には、前記作動油タンクの内側へと窪んだ凹窪部を設ける構成としたので、作動油タンクの正面板を旋回フレームの外周側に配置し、作動油タンクの背面板を旋回フレームの旋回中心側に配置したときに、作動油タンクの前側部分と後側部分とに略三角形状の空間を形成することができる。このため、作動油タンクの前側部分と後側部分とに形成された空間内に熱交換器等の一部を配置し、作動油タンクに熱交換器等を接近させることにより、エンジン、熱交換器、作動油タンク等を旋回フレーム上の狭い空間内に効率良く収容することができる。しかも、作動油タンクを構成する前側面板と後側面板のうち少なくとも一方の側面板に設けた凹窪部により、例えば熱交換器を作動油タンクに接近させて配置でき、旋回フレーム上の狭い空間を有効に利用できる上に、前記凹窪部を設けた分だけ作動油タンクの強度を向上することができる。
【0054】
また、請求項2の発明によれば、作動油タンクを構成する六面のうち前側面板、後側面板を、旋回フレームの旋回中心から左,右方向の一側に向けてある角度で放射状に広がる前,後の仮想線に沿って延びるように形成することにより、前記作動油タンクは底面板または上面板からみたときにほぼ台形状に構成し、前記作動油タンクを構成する前側面板と後側面板のうち少なくとも一方の側面板には、前記作動油タンクの内側へと窪んだ凹窪部を設ける構成としたので、作動油タンクの前側部分と後側部分とに略三角形状の空間を形成することができ、この空間内に熱交換器等の一部を配置することにより、エンジン、熱交換器、作動油タンク等を旋回フレーム上の狭い空間内に効率良く収容することができる。
【0055】
しかも、前記作動油タンクを構成する前側面板と後側面板のうち少なくとも一方の側面板には、作動油タンクの内側へと窪んだ凹窪部を設ける構成としているので、この凹窪部を設けた分だけ作動油タンクの強度を向上できると共に、例えば前記熱交換器を作動油タンクに接近させて配置でき、旋回フレーム上の狭い空間を有効に利用することができる。
【0056】
また、請求項3の発明によれば、熱交換器の一部は作動油タンクを構成する後側面板の後方に形成される空間を利用して配置するので、熱交換器を作動油タンクに接近させて配置することができ、旋回フレーム上の狭い空間内に熱交換器と作動油タンクとを効率良く収容することができる。
【0057】
また、請求項4の発明によれば、作動油タンクの前側には油圧ポンプから作業装置に給排される圧油の方向を制御する多連弁装置を設け、該多連弁装置の一部は作動油タンクを構成する前側面板の前方に形成される空間を利用して配置するので、作動油タンクを前,後から挟む状態で、多連弁装置と熱交換器とを互いに接近させて配置することができ、旋回フレーム上の狭い空間を有効に利用することができる。
【0058】
また、請求項5の発明によれば、作動油タンクを構成する背面板には該作動油タンクと前記油圧ポンプの吸入側との間を連通する吸込配管を接続するので、作動油タンクと油圧ポンプの吸入側との間を連通する吸込配管を短くすることができ、作動油が吸込配管を通じて油圧ポンプに流れるときの流路圧損を抑えることができる。
【0059】
さらに、請求項6の発明によれば、作動油タンクを構成する正面板は上面板からみたときに円弧状をなす凸湾曲面に形成したので、上部旋回体が旋回したときの遠心力によって作動油タンク内の作動油が正面板を押圧しても、正面板は凸湾曲面に形成されているために板面強度が大きく、作動油の押圧力に対する作動油タンクの強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】エンジン、熱交換器、作動油タンク等を旋回フレームに搭載した状態を示す平面図である。
【図3】図2中の作動油タンク等を拡大して示す要部拡大図である。
【図4】作動油タンク等を示す図3中の矢示IV−IV方向からみた断面図である。
【図5】作動油タンクの変形例を示す図3と同様の要部拡大図である。
【図6】キャノピに代えてキャブを搭載した油圧ショベルの変形例を示す図1と同様の正面図である。
【符号の説明】
1 下部走行体
2 上部旋回体
3 作業装置
4 旋回フレーム
6 カウンタウエイト
7 エンジン
8 油圧ポンプ
9 熱交換器
12 作動油タンク
12A 正面板
12B 背面板
12C 前側面板
12D 後側面板
12E 底面板
12F 上面板
14 熱交換器収容空間
15 弁収容空間
16 凹窪部
17 吸込配管
20 多連弁装置
Claims (6)
- 下部走行体と、該下部走行体上に旋回中心に対して旋回可能に設けられた上部旋回体とからなり、該上部旋回体は、前側に作業装置が設けられると共に後端側にカウンタウエイトが搭載される旋回フレームと、前記カウンタウエイトの前側に位置して該旋回フレーム上に左,右方向に延在する横置き状態に搭載され、油圧ポンプを駆動するエンジンと、該エンジンの左,右方向の一側に位置して設けられた熱交換器と、該熱交換器の前側近傍に位置して前記旋回フレームの左,右方向の一側に設けられた作動油タンクとを備えた旋回式建設機械において、
前記作動油タンクは、正面板、背面板、前側面板、後側面板、底面板および上面板をもった六面体からなり、
前記作動油タンクを構成する六面のうち正面板の前,後方向長さ寸法を背面板の前,後方向長さ寸法よりも長く形成することにより、前記作動油タンクは底面板または上面板からみたときにほぼ台形状に構成し、
前記作動油タンクを構成する前側面板と後側面板のうち少なくとも一方の側面板には、前記作動油タンクの内側へと窪んだ凹窪部を設ける構成としたことを特徴とする旋回式建設機械。 - 下部走行体と、該下部走行体上に旋回中心に対して旋回可能に設けられた上部旋回体とからなり、該上部旋回体は、前側に作業装置が設けられると共に後端側にカウンタウエイトが搭載される旋回フレームと、前記カウンタウエイトの前側に位置して該旋回フレーム上に左,右方向に延在する横置き状態に搭載され、油圧ポンプを駆動するエンジンと、該エンジンの左,右方向の一側に位置して設けられた熱交換器と、該熱交換器の前側近傍に位置して前記旋回フレームの左,右方向の一側に設けられた作動油タンクとを備えた旋回式建設機械において、
前記作動油タンクは、正面板、背面板、前側面板、後側面板、底面板および上面板をもった六面体からなり、
前記作動油タンクを構成する六面のうち前側面板、後側面板を、前記旋回フレームの旋回中心から左,右方向の一側に向けてある角度で放射状に広がる前,後の仮想線に沿って延びるように形成することにより、前記作動油タンクは底面板または上面板からみたときにほぼ台形状に構成し、
前記作動油タンクを構成する前側面板と後側面板のうち少なくとも一方の側面板には、前記作動油タンクの内側へと窪んだ凹窪部を設ける構成としたことを特徴とする旋回式建設機械。 - 前記熱交換器の一部は、前記作動油タンクを構成する後側面板の後方に形成される空間を利用して配置する構成とした請求項1または2に記載の旋回式建設機械。
- 前記作動油タンクの前側には、前記油圧ポンプから作業装置に給排される圧油を制御する複数の制御弁からなる多連弁装置を設け、該多連弁装置の一部は、前記作動油タンクを構成する前側面板の前方に形成される空間を利用して配置する構成とした請求項1,2または3に記載の旋回式建設機械。
- 前記作動油タンクを構成する背面板には、該作動油タンクと前記油圧ポンプの吸入側との間を連通する吸込配管を接続する構成とした請求項1,2,3または4に記載の旋回式建設機械。
- 前記作動油タンクを構成する正面板は、上面板からみたときに円弧状をなす凸湾曲面に形成する構成とした請求項1,2,3,4または5に記載の旋回式建設機械。
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