JP3761378B2 - 作業機械の表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業部に対する作業用処理制御を実行するか否かを指令する手動式の実行指令手段と、前記作業用処理制御の実行に必要な調節情報を設定する手動式の調節情報設定手段と、作業者に知らせるべき報知情報を画像情報として表示する画像表示部と、前記報知情報を表示させるように前記画像表示部を表示作動させる表示用処理制御を実行すると共に、前記調節情報設定手段の設定情報に基づいて前記作業用処理制御を実行し、且つ、前記実行指令手段の指令に基づいてその実行の開始及び停止を行う制御手段とが設けられた作業機械の表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記作業機械の表示装置は、作業機械としての刈取収穫用のコンバインやトラクタに備えられる。例えばコンバインにおいては、特開平4−335816号公報に示されるように、作業部に対する作業用処理制御として、変速装置に対する車速制御や刈取部に対する刈高制御や脱穀装置の選別部に対する選別制御等の複数種の作業用処理制御が装備され、その各作業用処理制御を実行するか否かを指令する手動式の実行指令手段として、各制御に対応する複数個の起動スイッチが設けられるとともに、各作業用処理制御の実行に必要な調節情報を設定する手動式の調節情報設定手段として、上記複数種の制御のうちから所望の制御を選択する選択スイッチと、選択した制御について調節情報を変更設定するための変更スイッチとが設けられている。そして、上記起動スイッチにて各制御の実行が指令されると、制御手段は、上記調節情報設定手段にて設定されている調節情報に基づいて各作業用処理制御を実行する処理を開始し、起動スイッチにて制御の停止が指令されると、制御手段は上記各作業用処理制御の実行を停止するように構成されている。尚、各作業用処理制御の実行開始は、前記各作業用処理制御に対応させて設けた表示器の点灯によって報知される。
ところで、上記調節情報としては、車速制御においては上限車速、刈高制御においては目標刈高さ、選別制御においては選別処理能力の目標値等であるが、これらの調節情報を設定するには、前記選択スイッチにて設定すべき制御の調節情報を選んで現在の調節情報の値を画像表示部にバーグラフ画像で表示させ、次に、変更スイッチによりその値を変更してその変更後の値をバーグラフ画像にて確認して設定するようにしている。
そして、表示用処理制御において、通常情報として、例えば前記選別部の選別処理状態や車速の情報が表示され、上記複数種の調節情報が、前述の設定操作を行うときに選択されて表示される。ちなみに、上記複数種の調節情報は、電源を投入してコンバインの運転を開始させたときも、設定時間ごとに表示するものを切換えながら表示されるようになっていた。
【0003】
又、例えばトラクタにおいては、特開平5−338467号公報に示されるように、作業部に対する作業用処理制御として、耕耘装置に対する耕深制御が装備されるとともに、その耕深制御の実行に必要な調節情報を設定する手動式の調節情報設定手段として、耕深目標値を設定する耕深調整ダイヤルが設けられ、制御手段は、耕耘装置の耕深状態が上記耕深調整ダイヤルにて設定されている耕深目標値になるように耕深制御を実行する。
そして、画像表示部の表示画面を区分けして、画面右側部分を通常情報用の表示領域に、画面左側部分を調節情報用の表示領域に設定し、表示用処理制御において、上記通常情報用の表示領域に、通常情報として、車速及び耕耘装置への動力出力軸の回転数を表示させる一方、上記調節情報用の表示領域に、調節情報として、上記耕深目標値をグラフィック表示したものを表示させるとともに、耕深調整ダイヤルが「切」状態になると、耕深目標値のグラフィック表示の代わりに「切」の文字を表示させるようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術のうちの前者においては、各作業用処理制御の実行開始が表示器の点灯によって報知されるが、表示器の点灯では、例えば不慣れな作業者ではその作業用処理制御の実行開始を適切に確認することができないおそれがあり、さらに、上記調節情報が調節情報の設定操作時及びコンバインの運転開始時に表示されるだけで、その他の時においては特に表示されないために、不適正な調節情報が設定されていることに気づかずに作業用処理制御の実行を指令して、不適正な作業用処理制御を実行するおそれがある。
【0005】
前記従来技術のうちの後者においても、作業用処理制御(耕深制御)の実行が開始されたときに特に表示されないので、その制御の実行開始を適切に確認することができないおそれがある。さらに、画像表示部の表示画面を通常情報用の表示領域と調節情報用の表示領域とに区分けしているために、画像表示部における通常情報の表示領域が狭くなって、通常情報が見難くなるという不利がある。勿論、同様の理由により調節情報も見難い不利がある。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、上記従来技術の不具合を解消して、通常情報を極力見やすい状態で表示させながら、作業用処理制御の実行開始時において、その実行開始情報、並びに、その作業用処理制御の実行に必要な調節情報を適切に確認させることにより、作業用処理制御を適正に実行させることができる作業機械の表示装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1によれば、前記作業用処理制御として、複数種の作業用処理制御が設けられ、それら複数種の作業用処理制御の夫々について各別に実行するか否かを指令する複数の前記実行指令手段、及び、複数種の作業用処理制御の夫々について各別にその実行に必要な調節情報を設定する複数の前記調節情報設定手段が運転席の横脇に設けられ、前記制御手段が、複数の前記実行指令手段及び複数の前記調節情報設定手段の情報に基づいて、前記複数種の作業用処理制御を実行すると共に、前記表示用処理制御において、前記報知情報として通常情報を表示し、且つ、前記実行指令手段にて前記作業用処理制御の実行が指令されるに伴って、前記報知情報として、前記複数種の作業用処理制御の夫々についての実行が開始されることを示す実行開始情報及び前記調節情報設定手段にて設定されている前記調節情報を、前記通常情報に代えて設定時間表示させるように構成され、前記制御手段が、前記表示用処理制御において、前記調節情報設定手段にて前記調節情報が変更設定されると、前記報知情報として、その変更設定された前記調節情報を、前記通常情報に代えて設定時間表示させるように構成されている。
すなわち、通常の作業運転状態では、運転席の前方側に配置された画像表示部に、通常情報として、作業機械が刈取収穫用のコンバインの場合では、脱穀装置における処理物量の状態や選別処理能力の状態などが表示され、作業用処理制御の実行が指令されると、画像表示部に、上記通常情報に代えて、作業用処理制御の実行開始情報及びその作業用処理制御の実行に必要な調節情報が設定時間だけ表示され、その設定時間が経過すると画像表示部が上記通常情報の表示状態に戻ることになる。従って、画像表示部の表示画面の全体を有効に使って通常情報を極力見やすい状態で表示させて作業者に適切な運転操作を行わせるようにしながら、作業用処理制御の実行が指令されたときには、作業者が注視している上記画像表示部に実行開始情報とその作業用処理制御の実行に必要な調節情報とを設定時間だけ表示させることにより、通常情報の表示に戻す操作を不要として作業者の操作負担を軽減させながら、上記実行開始情報並びに調節情報を適切に確認させて作業用処理制御を適正に実行させることができる作業機械の表示装置が得られる。
【0008】
そして、前記制御手段が、前記表示用処理制御において、通常情報を表示するとともに、複数の実行指令手段のうちのいずれかにて複数種の作業用処理制御のうちのいずれかの実行が指令されるに伴って、その実行が指令された作業用処理制御の実行開始情報、及び複数の調節情報設定手段のうちの上記実行が指令された作業用処理制御に対応する調節情報設定手段にて設定されている前記調節情報を、前記通常情報に代えて設定時間表示させるので、作業用処理制御として複数種の制御が実行されるような作業機械においても、各作業用処理制御の実行開始情報並びに調節情報を適切に確認させて、各作業用処理制御を適正に実行させることができる作業機械の表示装置が得られる。
【0009】
そして、通常の作業運転状態では、前記通常情報が画像表示部に表示され、前記調節情報が変更設定されると、上記通常情報に代えて、変更設定された調節情報が設定時間だけ表示されるように画像表示部の表示が切り換えられるので、作業者がその表示を見て適正な調節情報の変更設定されたことを確認して、作業用処理制御を適正に実行させることができる。
【0010】
また、請求項1によれば、前記作業機械の表示装置が、刈取収穫用のコンバインに備えられ、前記制御手段が、前記表示用処理制御において、前記通常情報として、脱穀装置の作動状態を示す情報を表示させるように構成されている。
従って、刈取収穫用のコンバインに備えた作業機械の表示装置において、通常情報として脱穀装置の作動状態を示す情報、例えば脱穀装置における処理物量の状態や選別処理能力の状態などが画像表示部に表示されるので、作業者がその表示を見ることにより、特に作動状態が外部から確認し難い脱穀装置が適正に作動状態しているか否を的確に判断することができる。
【0011】
また、請求項1によれば、前記脱穀装置に備えた選別部における選別処理能力の目標値を設定する選別目標値設定手段が設けられ、前記脱穀装置が駆動状態であるか否かを検出する駆動状態検出手段が設けられ、前記制御手段が、前記駆動状態検出手段が駆動状態を検出するに伴って、前記選別部における選別処理能力が前記選別目標値設定手段にて設定されている前記選別処理能力の目標値になるように前記選別部の作動を制御する選別制御を行うように構成され、且つ、前記表示用処理制御において、前記駆動状態検出手段が駆動状態を検出するに伴って、前記報知情報として、前記選別目標値設定手段にて設定されている前記選別処理能力の目標値の情報を設定時間表示させるように構成されている。
従って、通常情報として前記脱穀装置の作動状態を示す情報を画像表示部に表示しながら、脱穀装置が駆動状態になると、その脱穀装置の作動状態を示す情報に代えて、脱穀装置に備えた選別部における選別処理能力の目標値の情報が設定時間だけ画像表示部に表示されるので、作業者がその表示を見て選別処理能力の目標値として適正な目標値が設定されていることを確認して、脱穀装置による脱穀作業を適正に行うようにすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る刈取収穫用のコンバインに備えられた作業機械の表示装置の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1〜図3に示すように、コンバインは、左右一対のクローラ走行装置30を備える機体Vの前部に、刈取昇降シリンダ5によって横軸心X周りに上下揺動操作自在な状態で刈取部1が付設され、機体Vには、操縦部31、刈取穀稈を脱穀・選別する脱穀装置2、脱穀装置2から供給される穀粒を貯溜するタンク3、及びこのタンク3内の穀粒を排出するための穀粒排出用のアンローダ32等が装備されて構成されている。
【0013】
図2に示すように、刈取部1は、先端部に付設された分草具33、穀稈の引き起こし装置34、引き起こした穀稈の株元を切断する刈り刃35、刈り取られた穀稈を寄せ集めて後方へ搬送する補助搬送装置37、先端側で刈取穀稈を受け取って脱穀装置2のフィードチェーン52に受け渡す縦搬送装置36等を備えている。又、刈取部1の地面に対する高さを検出するための超音波センサS6と、穀稈が触れるとオン作動して刈取り作業中であることを検出する株元センサS2とが設けられている。そして、上記超音波センサS6の情報に基づいて、刈取部1の対地高さが目標設定高さに維持されるように、前記刈取昇降シリンダ5の作動を制御する刈高制御が実行される。つまり、作業部SBとしての刈取部1に対する作業用処理制御として、刈高制御が実行される。
【0014】
前記縦搬送装置36(尚、図2では、縦搬送装置36の機能を説明するために、図1と一部記載が異なっている部分がある)は、穀稈の株元側を挟持搬送する株元搬送装置36a、穀稈の穂先側を係止搬送する穂先搬送装置36b及び穂先案内板36cからなり、刈取部1の揺動軸心Xと同一軸心周りで揺動自在に支持されるとともに、扱深さモータM1によって揺動調節自在に設けられ、これによって、補助搬送装置37から受け取る穀稈の挟持箇所が稈長方向に変更され、脱穀装置2の扱室A(図4参照)における扱深さが調節できるように構成されている。又、刈取穀稈の搬送経路中において、上記扱深さモータM1による扱深さ調節箇所よりも搬送方向下手側に、稈長方向に間隔を置いて並置されて、穀稈が接触すると揺動してオン作動するスイッチ式の一対の穂先センサS8a,S8bが設けられている。
そして、上記一対の穂先センサS8a,S8bの間に穀稈の穂先が位置する状態(株元側センサS8bがオンで、穂先側センサS8aがオフの状態)を適正扱深さ状態として、その適正扱深さ状態に維持されるように、上記扱深さモータM1の作動を制御する扱深さ制御が実行される。つまり、作業部SBとしての扱室Aに対する作業用処理制御として、扱深さ制御が実行される。
【0015】
図3に示すように、機体前方に向かって左から2番目の分草具33には、複数個の分草具33の間に導入される穀稈列に対する機体Vの機体横方向での位置を検出するために、穀稈に接当して機体後方側に揺動する検出バーを備えた左右一対の方向センサS1が設けられている。
そして、走行機体Vが植立穀稈に沿って自動走行するように、上記一対の方向センサS1の情報に基づいて、左右の各クローラ走行装置30への動力伝達を入り切りする左右の操向用クラッチ(図示しない)を夫々作動させる操向用シリンダ9L,9R(図11参照)の作動を制御する方向制御が実行される。つまり、左右のクローラ走行装置30のうち動力伝達が切られた側に機体Vが旋回するので、機体Vが適正位置からずれている場合には、上記ずれとは反対側のクローラ走行装置30への動力伝達を切るように上記操向用シリンダ9L,9Rを作動させて走行方向を修正するために、作業部SBとしてのクローラ走行装置30に対する作業用処理制御として、方向制御が実行される。
【0016】
左右の各クローラ走行装置30には、駆動スプロケット30a、テンション転輪30b、及び複数の従動輪30cを備えた左右のトラックフレーム30dが設けられるとともに、左右のトラックフレーム30dを機体Vに対して各別に昇降駆動するためのローリング用シリンダ30eが設けられ、機体Vには、その水平面に対する機体の傾きを検出するローリングセンサS4が設けられている。
そして、地面の状態にかかわらず機体姿勢を水平姿勢等の所定姿勢に維持するように、上記ローリングセンサS4の情報に基づいて、左右のローリング用シリンダ30eの作動を制御する水平制御が実行される。つまり、作業部SBとしての機体Vに対する作業用処理制御として、水平制御が実行される。
【0017】
前記アンローダ32は、先端部に下向き姿勢の排出口32aを備え、基端側が横軸心Z周りに上下揺動自在な状態で支持部32bに支持されるとともに、その上下揺動駆動するためのアンローダ用油圧シリンダ62が設けられ、又、支持部32bが縦軸心Y周りに旋回操作自在な状態で機体Vに備えた下方側の搬送部に枢支されるとともに、その旋回駆動用の旋回用モータM3が設けられている。又、上記支持部32bの旋回位置を検出するために、ポテンショメータからなるアンローダ位置センサS3が設けられている。尚、図3には、刈取作業中等においてアンローダ32を格納用のホーム位置に操作した状態が示されている。
そして、上記アンローダ位置センサS3や、上昇操作及び左右方向への旋回操作の限界位置を検出するリミットスイッチ(図示しない)等の情報に基づいて、アンローダ32の作動を制御するアンローダ制御が実行される。つまり、作業部SBとしてのアンローダ32に対する作業用処理制御として、アンローダ制御が実行される。
【0018】
脱穀装置2は、図4に示すように、扱胴51を収納する扱室A、刈取部1から供給される穀稈を搬送するフィードチェーン52、トウミ53と揺動選別板54とからなる選別部B、穀粒回収用の一番口55、及び、穀粒と藁屑との混合物 (二番物)を回収するための二番口56等を備えている。そして、扱室Aで脱穀された処理物は、扱室Aの下部に設けられた受網57から選別部Bに漏下し、それ以外の処理物は受網57の後端部より選別部Bに落下する。尚、上記二番口56にて回収された二番物は、スクリュー式の二番搬送装置63によって、上記揺動選別板54の始端側に戻されるように構成され、脱穀装置2の後方側には、脱穀装置2から排出される排藁を切断する排ワラカッタ部64が設けられている (図1参照)。
【0019】
上記フィードチェーン52には、図2に示すように、挟持レール52aがフィードチェーン52側に押圧付勢される状態で対向配置され、回動駆動されるフィードチェーン52と挟持レール52aとによって穀稈の株元部を挟持保持して搬送するように構成されている。ただし、扱室Aの前部側に位置する挟持レール部分が、レール上げモータM2等によって、フィードチェーン52から離間する上方位置に移動自在に構成されている。
これによって、刈取穀稈を扱室Aの横側方で挟持搬送しながら脱穀処理する通常状態とともに、刈取穀稈の稈長が極端に短いような場合に、穀稈の全稈を扱室Aに投入するように、上記レール上げモータM2等を駆動させるレール制御が実行できるように構成されている。つまり、作業部SBとしての挟持レール52aに対する作業用処理制御として、レール制御が実行される。
【0020】
選別部Bの揺動選別板54は、トウミ53の上方に位置するグレンパン58、その後方に位置するチャフシーブ59、その下方に位置するグレンシーブ61等を備えている。チャフシーブ59は、処理物移送方向に並置された複数個の帯板状部材からなり、その隣接する帯板状部材の間隔(チャフ開度)がチャフ開度調節モータM4によって変更されるように構成されている。尚、S10は、揺動選別板54上の処理物の層厚を検出するシーブセンサである。
トウミ53は、選別風を送風するためのものであり、後方側のファンケースカバー53aをトウミ風力調節モータM5にて開閉操作することにより、選別風の風力(トウミ風力)が変更されるように構成されている。つまり、カバーの開度が大きいほど前方側への風力が小さくなって、トウミ風力が小さくなる。
【0021】
そして、選別部Bにおいては、後述のように手動設定されている作物条件、チャフ開度目標値及びトウミ風力目標値の各情報に基づいて、チャフ開度が目標開度になるようにチャフ開度調節モータM4を作動させ、且つ、トウミ風力が目標風力になるようにトウミ風力調節モータM5を作動させる選別制御(以下、手動選別制御という)が実行される。
尚、かかる手動選別制御の外に、扱室Aからの漏下処理物量に応じて、チャフ開度調節モータM4及びトウミ風力調節モータM5の作動を制御する選別制御 (以下、自動選別制御という)を実行可能に構成して、上記手動選別制御と自動選別制御のいずれの制御を実行させるかを図示しない選別制御切換えスイッチにて切り換えるようにしてもよい。自動選別制御においては、具体的には、走行速度が速くなると扱室Aに供給される刈取穀稈量が多くなって扱室Aからの漏下処理物量が多くなるので、後述の車速センサS7の情報に基づいて判別される扱室Aへの穀稈供給量が多いほど、上記チャフ開度及び上記トウミ風力が大になるように制御される。
【0022】
次に、動力伝達系を図5に示す。機体Vに搭載されたエンジンEの出力は、脱穀クラッチ37を介して脱穀装置2に伝達されるとともに、走行クラッチ38及び無段変速装置39を介してクローラ走行装置30のミッション部40に伝達される。ミッション部40に伝達された出力は、ミッション部40に設けた副変速装置(図示しない)を経てクローラ走行装置30に伝達されるとともに、刈取クラッチ47を介して刈取部1に伝達される。S9は、脱穀クラッチ37の入切状態を検出する脱穀スイッチであり、S7は、ミッション部40への入力回転数により走行速度を検出するための車速センサであり、S5は、電磁ピックアップ式のエンジン回転数センサである。つまり、上記脱穀スイッチS9によって、脱穀装置2が駆動状態であるか否かを検出する駆動状態検出手段が構成される。
又、無段変速装置39を変速操作するための変速モータM6、及び副変速装置の変速用の油圧クラッチ等(図示しない)が設けられている。
【0023】
上記構成において、エンジンEに対する負荷が大きくなるほど、エンジン回転数が低下することから、無負荷時のエンジン回転数(基準回転数)からの回転数低下量によって、エンジンEの負荷が判別されるので、エンジンEの能力を極力有効に利用できるようにするために、上記車速センサS7にて検出される走行速度が設定上限速度を超えない条件で、前記エンジン回転数センサS5の情報に基づいて判別されるエンジン負荷が適正範囲に維持されるように、変速モータM6の作動を制御する車速制御が実行される。つまり、作業部SBとしての無段変速装置39に対する作業用処理制御として、車速制御が実行される。
【0024】
次に、上述した各種の制御(刈高制御、扱深制御、車速制御、方向制御、水平制御、アンローダ制御、レール制御等)の起動指令や、制御用の各種情報を入力する入力手段、及び、各種情報の表示手段について説明する。
図6及び図7に示すように、操縦部31の座席31Aの左横脇に、座席に近い側から順に、上記各制御の起動スイッチや調整ボリューム等を備えた基本スイッチモジュールMU1(図7参照)と、水平制御の起動スイッチや手動操作スイッチ等を備えた水平制御スイッチモジュールMU3(図9参照)とが配置され、さらに、走行速度を変速操作するための手動変速レバー7が、握り部7Aを上記基本スイッチモジュールMU1の上方に位置させる状態で設けられている。尚、この手動変速レバー7の操作に応じて前記変速モータM6が駆動される。
一方、座席31Aの右側前方には、乗降部31Bが設けられ、座席右側後部位置には、前記アンローダ32を操作するためのスイッチ等を備えたアンローダスイッチモジュールMU2(図8参照)が配置されている。
【0025】
操縦部31の右前方側には、刈取部1を手動で昇降操作する刈取昇降レバーと走行機体Vを手動で左右に旋回操作するステアリングレバーとに兼用構成された十字操作式の刈高操向レバー8が設けられている。つまり、この刈高操向レバー8を後方側に揺動操作すると刈取部1が上昇する一方、前方側に揺動操作すると刈取部1が下降し、刈高操向レバー8を左側に揺動操作すると機体が左旋回する一方、右側に揺動操作すると機体が右旋回する。尚、この刈高操向レバー8の刈取昇降及び操向操作の各方向での揺動操作量を検出するために、夫々ポテンショメータにて構成された刈取昇降検出センサS12及び操向操作検出センサS13が設けられている(図12参照)。
操縦部31の左前方側のパネルには、各種の情報を表示するための表示用モジュールMU4(図10参照)が設けられている。
【0026】
前記基本スイッチモジュールMU1には、図7に示すように、脱穀及び扱深さ制御用操作ユニット部41、車速制御用操作ユニット部42、方向制御用操作ユニット部43、刈高制御用操作ユニット部44、レール制御用操作ユニット部45、及び、予備用の操作ユニット部46とが装備されている。尚、予備用の操作ユニット部46は、上記以外の制御を追加したような場合に、その操作ユニット部として使用される。
【0027】
前記脱穀及び扱深さ制御用操作ユニット部41には、照光式の押しボタンスイッチに構成された扱深さ制御の起動スイッチ41a、麦、稲及び濡れの中から1つの作物条件を選択する作物切換ボリューム41b、チャフ開度を調節するためのチャフボリューム41c、及び、トウミ風力を調節するためのトウミボリューム41dが一体形成されている。ここで、上記1つの作物条件において、チャフボリューム41cを開側に回すほど、チャフ開度の制御状態が全体として開き側に変更調節され、トウミボリューム41dを強側に回すほど、トウミ風力の制御状態が全体として強側に変更調節される。又、作物条件の選択により、麦、稲、濡れの順で、上記チャフ開度の制御状態が全体として開き側に変更調節され、トウミ風力の制御状態が全体として強側に変更調節される。
【0028】
車速制御用操作ユニット部42には、照光式の押しボタンスイッチに構成された車速制御の起動スイッチ42aと、上限車速を設定する車速制限ボリューム42bとが一体形成されている。
方向制御用操作ユニット部43には、照光式の押しボタンスイッチに構成された方向制御の起動スイッチ43aと、旋回力を調節するための旋回力切換ボリューム43bとが一体形成されている。ここで、旋回力切換ボリューム43bを大側に回すと、ディーティ駆動される前記操向用シリンダ9L,9Rのオフ時間に対するオン時間の比(ディーティ比)が大側に変更されて旋回力が大きくなり、小側に回すと、上記ディーティ比が小側に変更されて旋回力が小さくなる。
刈高制御用操作ユニット部44には、照光式の押しボタンスイッチに構成された刈高制御の起動スイッチ44aと、目標刈高さを設定するための刈高さ調整ボリューム44bとが一体形成されている。
レール制御用操作ユニット部45には、レール制御を入り切りする起動スイッチ45aと、レール制御の入り切り状態を表示するレール制御ランプ45bとが一体形成されている。
尚、図7は、チャフボリューム41c、トウミボリューム41d、車速制限ボリューム42b、旋回力切換ボリューム43b、及び刈高さ調整ボリューム44bによる各切換えを7段階に調整できるもの(クリック付き)を例示する。
【0029】
アンローダスイッチモジュールMU2には、図8に示すように、照光式の押しボタンスイッチに構成されたアンローダ32の自動作動の起動又は停止用の自動・停止スイッチ50a、照光式の押しボタンスイッチに構成されたタンク張出し開スイッチ50bとタンク張出し閉スイッチ50c、十字操作キーに構成されてアンローダ32を手動で上昇・下降・右旋回・左旋回操作するための手動操作スイッチ50d、及び、アンローダ32の目標停止位置を機体左側、機体後部側、機体右側のうちから選択する停止位置選択ボリューム50eが一体形成されている。
【0030】
水平制御スイッチモジュールMU3には、図9に示すように、照光式の押しボタンスイッチに構成された水平制御の起動用の自動スイッチ60a、照光式の押しボタンスイッチに構成されて水平制御モードを上げ基準と下げ基準とに切り換える水平モード切替スイッチ60b、照光式の押しボタンスイッチに構成された後進時機体上昇スイッチ60c、十字操作キーに構成されて機体姿勢を右上げ・左上げ・上げ・下げの各状態に操作するための手動操作スイッチ60d、及び、水平制御の作動時(自動モード)における目標傾斜状態を設定する水平調整ボリューム60eが一体形成される。
【0031】
以上説明した構成より、前記作業部SB(刈取部1、扱室A、クローラ走行装置30、機体V、アンローダ32、挟持レール52a、無段変速装置39等)に対する作業用処理制御として、複数種の作業用処理制御が設けられるとともに、それら複数種の作業用処理制御の夫々について作業用処理制御を各別に実行するか否かを指令する複数の手動式の実行指令手段100が、前述の刈高制御の起動スイッチ44a、扱深さ制御の起動スイッチ41a、方向制御の起動スイッチ43a、水平制御の起動用の自動スイッチ60a、アンローダ制御用の自動・停止スイッチ50a、レール制御用の起動スイッチ45a、及び車速制御の起動スイッチ42a等にて構成されている。
【0032】
又、上記複数種の作業用処理制御の夫々について各別にその作業用処理制御の実行に必要な調節情報を設定する複数の手動式の調節情報設定手段200が、前述の刈高さ調整ボリューム44b、旋回力切換ボリューム43b、水平モード切替スイッチ60b、水平調整ボリューム60e、停止位置選択ボリューム50e、作物切換ボリューム41b、チャフボリューム41c、トウミボリューム41d、及び、車速制限ボリューム42b等にて構成されている。さらに、前記選別部Bにおける選別処理能力の目標値を設定する選別目標値設定手段41b,41c,41dが、上記作物切換ボリューム41b、チャフボリューム41c及びトウミボリューム41dにて構成されている。
【0033】
表示用モジュールMU4には、図10に示すように、図示しない燃料タンク内の燃料残量を示す指示針式の燃料メータ70a、指示針式のタコメータ70b、水温メータ70c、前記タンク3内のモミの量を表示するモミLCD70d、及び、各種のメッセージやグラフ等の画像情報を表示する主LCD70eが設けられ、さらに、左右のウインカランプ70fや、充電(チャージ)70g4、ブレーキ70g3、オイル70g2、及びチェック70g1の各種の警報ランプや、前記副変速装置の切換状態が高速、標準、倒伏及び中立のいずれの状態であるかを表示する副変速ランプ70hが設けられている。
【0034】
上記水温メータ70cと主LCD70eとは、横長状の1つのLCD表示画面を左右で区切って、右側部分を水温メータ70cの表示用に、左側部分を主LCD70eの表示用に用いており、通常の刈取作業状態においては、図12に示すように、主LCD70eの上側部分に、エンジンの負荷レベルを示すバーグラフが表示され、下側部分に前記シーブセンサS10にて検出される脱穀部2の揺動選別板54上での処理物量を示すバーグラフが表示される。尚、主LCD70eには、上側に「負荷」の文字が位置し、下側に「シーブ」の文字が位置するように印刷した銘板が付設され、又、水温メータ70cには、上側に「水温」が位置し、下側に「COOL」「HOT」の各文字が位置するように印刷した銘板が付設されている。
【0035】
コンバインの運転において作業者に知らせる報知情報を画像情報として表示する画像表示部が、主LCD70e及び水温メータ70cにて構成されている。つまり、水温メータ70cと主LCD70eの両方の表示画面を使って、報知情報が表示される(図15〜図20参照)。
【0036】
又、表示用モジュールMU4の右側方には、チェックスイッチ71と、表示切換スイッチ72とが設けられ、この両スイッチ71,72は、押し操作されているときだけオン状態になり、押し操作されないときはオフ状態となる押ボタン式のスイッチに構成されている。
【0037】
図11及び図12に示すように、コンバイン全体の制御を集中して実行する中央制御部CUと、刈取部1、脱穀装置2、タンク部(タンク3とアンローダ32にて構成される)及び本機部4等の機体各部に分散配置される複数個の端末制御部LU(LU1〜LU5),及び各モジュールMU(MU1〜MU4)とが、高速通信線T1及び低速通信線T2を介して通信可能に接続されている。
【0038】
制御情報検出用のセンサ類SW及び作業用のアクチュエータ類AKが、前記複数個の端末制御部LUのいずれかに接続されて、その接続された端末制御部LUに対して信号を入出力するように構成されている。
アクチュエータ類AKは、機体各部に備えた作業装置を作動させるための前記油圧シリンダや電動モータ等からなり、センサ類SWは、各種の制御情報をON/OFFの二値情報として検出するスイッチ等からなる。
【0039】
具体的には、図11に例示するように、刈取部1に配置される端末制御部LU3から、前記扱深さモータM1に対する駆動信号が出力されるとともに、端末制御部LU3に、前記方向センサS1、前記株元センサS2、及び前記穂先センサS8a,S8bの各検出信号が入力されている。
脱穀装置2に配置される端末制御部LU4から、前記レール上げモータM2、前記チャフ開度調節モータM4及び前記トウミ風力調節モータM5に対して駆動信号が出力されている。
【0040】
本機部4に配置される2つの端末制御部LU1,2のうちで、1つの端末制御部LU2から、前記変速モータM6に対する駆動信号が出力されるとともに、端末制御部LU2に、前記脱穀スイッチS9及び前記副変速装置の変速状態を切り換えるための副変速スイッチ(図示しない)の信号が入力され、他の端末制御部LU1は、油圧出力専用の端末制御部に構成されて、この端末制御部LU1から、前記刈取昇降シリンダ5、前記操向用シリンダ9L,9R、前記ローリング用シリンダ30e、及び前記アンローダ用油圧シリンダ62を駆動するための各ソレノイドに対する各駆動信号が出力されている。
タンク部に配置される端末制御部LU5から、前記旋回用モータM3に対する駆動信号が出力されるとともに、端末制御部LU5に、タンク3内に貯溜されている穀粒の量を検出するモミセンサS11の検出信号が入力されている。
【0041】
アクチュエータ類AKの駆動のために高速通信処理が要求される信号が入出力する端末制御部(以下、高速端末部と称す)LU1〜LU5が、高速通信線T1によって前記中央制御部CUに接続される一方、高速通信処理が要求されない信号が入出力する前記各スイッチモジュールMU1〜3及び表示用モジュールMU4が、低速通信線T2によって前記中央制御部CUに接続されている。
そして、中央制御部CUが、高速通信線T1に接続された各高速端末部LU1〜5に対して、各アドレスを指定するポーリングセレクティング方式にて多重通信しながら、各高速端末部LU1〜5との間で高速の通信処理を実行するように構成されている。
【0042】
図12に示すように、中央制御部CUには、制御処理用のマイクロコンピュータCPUと、高速通信用の通信用ドライバーDRと、低速通信用の通信用ドライバーDR’とが設けられている。
上記制御用のマイクロコンピュータCPUには、ポテンショメータ等の連続的に変化する情報を検出するアナログ式センサからのアナログ入力信号や、回転数等を検出するためのパルス式センサからのパルス入力信号が入力されるとともに、前記エンジンEに対する燃料供給を遮断してエンジン停止させるためのエンジン停止ソレノイドSOLに対する駆動信号や、警報用のブザー48及び警報ランプ49に対する駆動信号が出力されている。
上記アナログ入力信号として、前記アンローダ位置センサS3、前記ローリングセンサS4、前記超音波センサS6、前記シーブセンサS10、前記刈取昇降検出センサS12及び操向操作検出センサS13からの各検出信号が入力され、上記パルス入力信号として、前記車速センサS7からの検出信号が入力され、さらに、電源投入用のメインスイッチMWの信号が入力されている。
【0043】
上記制御用のマイクロコンピュータCPUには、制御データ記憶用のRAM等からなるメモリRAMが内蔵されるとともに、EEPROM等の不揮発性のメモリMEMが接続され、メモリRAMには、センサ類の検出データや、各スイッチモジュールMU1〜MU3のスイッチ等の入力データや、前記アクチュエータ類AKに対する駆動データ等が記憶され、不揮発性のメモリMEMには、機械稼働中に発生した各種のエラー情報(後述の自己診断データ)等が記憶される。
【0044】
又、前記中央制御部CUのマイクロコンピュータCPUが、標準機能としてシリアル通信インターフェース機能を備えており、一方、図13及び図14に示すように、各スイッチ及び表示モジュールMU1〜4に設けられる入出力信号処理用のコントローラ29が、同様にシリアル通信インターフェース機能を標準機能として備えたワンチップマイコン等にて構成されている。そして、中央側のマイクロコンピュータCPUと各モジュール側のコントローラ29に備えた両方のシリアル通信インターフェース機能を用いて、中央制御部CUが、前記低速通信線T2を介して直接、各モジュールMU1〜4との間で低速の通信処理を実行するように構成されている。
具体的には、中央制御部CUは、各モジュールMU1〜4に対して設定されたアドレスを順次指定しながら、ポーリングセレクティング方式にて、各モジュールMU1〜4からのデータ(各手動スイッチや調整用ボリュームのデータ)の入力、及び、各モジュールMU1〜4に対するデータの出力(各ランプや表示部の表示データ)を行う。
【0045】
図14に示すように、表示用モジュールMU4において、コントローラ29に、燃料(フューエル)センサ、水温センサ、前記エンジン回転数センサS5、及びオイルスイッチからの各検出信号と、オルタネータの出力電圧とが入力され、コントローラ29は、これらの入力信号及び中央制御部CUから送信される表示用データに基づいて、燃料メータ70a、タコメータ70b、水温メータ70c、モミLCD70d、主LCD70e、副変速ランプ70h、及び、チェックランプ70g1を表示作動させる。尚、コントローラ29は、上記エンジン回転数センサS5、燃料センサ、水温センサ等の検出情報を、中央制御部CUからの送信要求に応じて送信する。
【0046】
一方、左右のウインカランプ70fは、各ウインカスイッチの入り操作によって点灯し、チャージランプ70g4は、オルタネータからの出力電圧によって消灯し、ブレーキランプ70g3は、ブレーキスイッチの入り操作によって点灯し、オイルランプ70g2は、オイルスイッチの入り操作によって点灯する。
又、前記チェックスイッチ71と、前記表示切換スイッチ72の各情報も、前記コントローラ29に入力されている。尚、表示切換スイッチ72は、機械の稼動時間(以下、アワーメータという)とバッテリー電圧の情報を、所定時間(例えば5秒間)表示させるように(図15(イ)参照)、前記主LCD70e及び水温メータ70cの表示内容を切り換えるために使用される。
【0047】
前記報知情報を表示させるように前記主LCD70e及び水温メータ70cを表示作動させる表示用処理制御を実行すると共に、前記調節情報設定手段200の設定情報に基づいて前記作業用処理制御を実行し、且つ、前記実行指令手段100の指令に基づいてその実行の開始及び停止を行う制御手段CUが、前記中央制御部CUを利用して構成されている。
又、前記中央制御部CUが、前記脱穀スイッチS9が脱穀装置2の駆動状態を検出するに伴って、前記選別部Bにおける選別処理能力が前記選別目標値設定手段41b,41c,41dにて設定されている前記選別処理能力の目標値になるように前記選別部Bの作動を制御する選別制御を行うように構成されている。
【0048】
中央制御部CUは、前記表示用処理制御において、前記報知情報として通常情報を表示し、且つ、前記実行指令手段100にて前記作業用処理制御の実行が指令されるに伴って、前記報知情報として、前記作業用処理制御の実行が開始されることを示す実行開始情報及び前記調節情報設定手段200にて設定されている前記調節情報を、前記通常情報に代えて設定時間(例えば10秒間)表示させるように構成されている。
【0049】
上記実行開始情報及び調節情報について具体的に説明する。
図16に示すように、刈高制御における実行開始情報として、「刈高自動[入]」のメッセージが表示され、調節情報として、刈高さの設定値をバーグラフ表示したものが表示され、この両表示が主LCD70e及び水温メータ70cに例えば1秒間隔で交互に表示される。その他の制御についても、以下のように同様な表示がなされる。
図17に、車速制御における実行開始情報としての「車速自動[入]」のメッセージと、調節情報としての上限車速値をバーグラフ表示したものを示す。
図18に、扱深さ制御における実行開始情報としての「扱深自動[入]」のメッセージと、調節情報としての扱深さ設定値をバーグラフ表示したものを示す。
図19に、水平制御における実行開始情報としての「水平自動[入]」のメッセージと、調節情報としての目標傾斜状態を図示したものを示す。この目標傾斜状態の表示において、(ロ)及び(ハ)では機体右側が左側よりも上がった状態を、(ニ)では水平状態を、(ホ)及び(ヘ)では機体左側が右側よりも上がった状態を夫々示す。
【0050】
上記通常情報としては、刈取作業状態でないときは、図15(イ)及び(ロ)に示すように、アワーメータとバッテリー電圧の情報、及びエンジン回転数の情報が主LCD70e及び水温メータ70cに表示され、刈取作業中においては、図10に示すように、エンジンの負荷レベルを示すバーグラフ画像が主LCD70eの上側に、脱穀装置2の揺動選別板54上での処理物量(シーブレベル)を示すバーグラフ画像が主LCD70eの下側に表示される。
【0051】
さらに、前記中央制御部CUが、前記表示用処理制御において、前記調節情報設定手段200にて前記調節情報が変更設定されると、前記報知情報として、その変更設定された前記調節情報を設定時間(例えば5秒間)表示させるように構成されている。例えば、前記刈高さ調整ボリューム44bを操作して刈高さの設定値を変更した場合には、変更後の刈高さ設定値をバーグラフ表示したもの(図16(ロ)参照)が表示され、車速制限ボリューム42bを操作して上限車速値を変更した場合には、変更後の上限車速値をバーグラフ表示したもの(図17 (ロ)参照)が表示される。
【0052】
前記中央制御部CUが、前記表示用処理制御において、前記通常情報として、脱穀装置2の作動状態を示す情報を表示させるように構成されている。具体的には、前記エンジンの負荷レベルを示すバーグラフ画像と、処理物量(シーブレベル)を示すバーグラフ画像が表示される(図10参照)。
【0053】
さらに、前記中央制御部CUが、前記表示用処理制御において、前記脱穀スイッチS9が脱穀装置2の駆動状態を検出するに伴って、前記報知情報として、前記選別目標値設定手段41b,41c,41dにて設定されている前記選別処理能力の目標値の情報を設定時間(例えば10秒間)表示させるように構成されている。
具体的には、図20に示すように、上記選別処理能力の目標値の情報として、前記作物切換ボリューム41bにて選択された作物条件(図では、稲の場合を示す)について、チャフボリューム41c調節されたチャフ開度と、トウミボリューム41dにて調節されたトウミ風力の調節値をバーグラフ表示したものが表示され、この両表示が主LCD70e及び水温メータ70cに例えば1秒間隔で交互に表示される。
【0054】
前記中央制御部CUは、前記各制御を実行する場合に、各高速端末部LU1〜5及び各モジュールMU1〜4から通信線T1,T2を介して送信されたセンサ類SW及びスイッチ等の各入力データに基づいて、アクチュエータ類AKに対する適正駆動内容を判定して、その適正駆動内容を駆動データとして、通信線T1を介してアクチュエータ類AKが接続された高速端末部LUに送信し、アクチュエータ類AKが接続された高速端末部LUが、上記受信した駆動データに基づいてアクチュエータ類AKに対して駆動信号を出力するように構成されている。
【0055】
例えば、前記刈高制御の場合について具体的に説明すると、中央制御部CUは、前記基本スイッチモジュールMU1との通信によって、刈高制御用操作ユニット部44に備えた刈高制御の起動スイッチ44aがオンしていると判断したときには、前記刈高さ調整ボリューム44bにて入力される目標高さ情報及び前記超音波センサS6の対地高さ情報に基づいて刈取高さを目標高さに維持するための前記刈取昇降シリンダ5に対する適正駆動内容を判別し、その適正駆動内容を制御データとして上記刈取昇降シリンダ5が接続された高速端末部LU1に送信する。そして、上記高速端末部LU1は、受信した制御データに従って前記刈取昇降シリンダ5を昇降作動させる。
【0056】
又、前記中央制御部CUは、各高速端末部LU1〜5及び各モジュールMU1〜4から通信線T1,T2を介して送信されたセンサ類SW及びスイッチ等の各入力データに基づいて、前記ランプやLCD表示器等の各種の表示手段に表示する適正表示内容を判定して、その適正表示内容を表示用データとして通信線T1を介して各モジュールMU1〜4に送信し、一方、各モジュールMU1〜4は、中央制御部CUから受信した前記表示用データに基づいて、上記表示手段に対して駆動信号を出力するように構成されている。
【0057】
上記刈高制御の場合について具体的に説明すると、中央制御部CUは、前記基本スイッチモジュールMU1からの受信データによって、刈高制御の起動スイッチ44aのオン状態を確認すると、基本スイッチモジュールMU1に対して、照光式スイッチに構成された上記起動スイッチ44aを点灯させる指令データを送信するとともに、表示用モジュールMU4に対して、主LCD70e及び水温メータ70cに刈高制御の起動メッセージ及び刈高さ調整ボリューム44bによって設定されている刈高さ設定値を表示するための表示指令を送信する。そして、基本スイッチモジュールMU1は、中央制御部CUから受信した点灯指令データに従って、上記刈高制御の起動スイッチ44aを点灯作動させ、表示用モジュールMU4は、中央制御部CUから受信した表示指令に従って、上記主LCD70e及び水温メータ70cの画面に「刈高自動[入]」のメッセージと、刈高さ設定値をバーグラフ画像に表わしたものを、設定時間(例えば10秒間)表示する。
【0058】
尚、刈高制御の起動スイッチ44aをオフしたときには、上記主LCD70e及び水温メータ70cに、「刈高自動[切]」のメッセージが、所定時間(例えば5秒間)表示され、又、前記刈高さ調整ボリューム44bを操作して、刈高さ設定値を変更したときにも、中央制御部CUと表示用モジュールMU4の間の通信に基づいて、刈高さ調整ボリューム44bによって変更された刈高さ設定値が、主LCD70e及び水温メータ70cにバーグラフ表示される。
【0059】
次に、図21〜図23に示すフローチャートに基づいて、前記中央制御部CUによる制御動作について説明する。
メインフロー(図21)では、メインスイッチMWがオフ状態からオン状態に操作されて電源が投入され、中央制御部CUに電力が供給されて(尚、このとき、各高速端末部LU1〜5及び各モジュールMU1〜4にも電力が供給される。)、制御がスタートすると、前記チェックスイッチ71のオンオフ状態を検出して、チェックスイッチ71がオン状態であれば微調節モードに起動される。一方、チェックスイッチ71がオフ状態であれば通常モードに起動され、この通常モードにおいてチェックスイッチ71のオンオフ状態を検出して、チェックスイッチ71がオン状態に変化すれば、自己診断モードに起動される。
【0060】
上記微調節モードでは、刈取部1、脱穀装置2等の機械各部が基準状態にあるときの前記各センサ類の検出情報に対応させて、各センサ類の検出情報から機械各部の実動作状態を求めるための基準値の情報(微調節データという)を、前記メモリMEMに記憶させる。尚、微調節データとしては、例えば、(1)左右の各方向センサS1が機体横方向位置に復帰している状態を基準状態としてそのときの各方向センサS1の検出値、(2)刈取部1を対象として基準状態として上限位置に上昇させたときの刈取昇降検出センサS12の検出値、(3)アンローダ32を対象として基準状態として前記ホーム位置に旋回させたときのアンローダ位置センサS3の検出値、(4)機体Vを対象として基準状態として水平状態にしたときのローリングセンサS4の検出値等が記憶される。
【0061】
通常モードでは、図22に示すように、各高速端末部LU1〜5及び各モジュールMU1〜4との間で通信するための通信制御処理、前記報知情報の管理処理、表示制御処理、及び、前記作業用処理制御を実行するための作業制御処理を行う。尚、この作業制御処理では、各センサ類の検出情報と前記記憶させた微調節データの情報に基づいて機械各部の実動作状態を求めて、その実動作状態の情報に基づいて前記アクチュエータ類AKの作動を制御する。
【0062】
表示制御処理では、図23に示すように、メインスイッチMWがオフからオンに操作された後、エンジンEが始動されるまでは、アワメータとバッテリー電圧の情報を主LCD70e及び水温メータ70cに表示させ、エンジンEが始動された後、前記脱穀スイッチS9が脱穀装置2の駆動状態を検出するまで、つまり非作業状態から作業状態に変化したことが検出されるまで、エンジン回転数を主LCD70e及び水温メータ70cに表示させる。
前記脱穀スイッチS9が脱穀装置2の駆動状態を検出して、作業状態に変化したことが検出されると、前記選別処理能力の目標値の情報(図20参照)を所定時間(例えば10秒間)主LCD70e及び水温メータ70cに表示させ、次に、前記調節情報設定手段200にて前記調節情報が変更設定されたか否かを判断し、調節情報が変更設定されている場合には、その変更設定された調節情報を主LCD70e及び水温メータ70cに所定時間(例えば10秒間)表示させる。
【0063】
次に、前記実行指令手段100にて前記作業用処理制御の実行が指令されたか否かを判断し、その実行が指令された場合には、前記実行開始情報とその制御の調節情報(図16〜図19参照)とを主LCD70e及び水温メータ70cに、例えば1秒周期で交互に、所定時間(例えば10秒間)表示させる。そして、その所定時間が経過すると、通常情報として、現在の負荷レベルとシーブレベルの情報を主LCD70eに表示させる(図10参照)。
【0064】
自己診断モードでは、前記メモリMEMに記憶されている前記自己診断データの情報を読み出して、主LCD70e及び水温メータ70cに表示させる。自己診断モードにおいて、チェックスイッチ71が押されると、自己診断モードを終了する。尚、自己診断データとしては、例えば、前記作物切換ボリューム41b、前記車速制限ボリューム42b等のボリューム類や、方向センサS1、アンローダ位置センサS3等のセンサ類の故障による検出エラー(例えば、有り得ない値となったり、値が全く変化しないような場合等)、あるいは、アンローダ旋回用モータM3、チャフ開度調節モータM4等のアクチュエータ類の故障による作動エラー(例えば、作動がロックしたり、全く動作しないような場合等)の情報が記憶されている。
【0065】
〔別実施形態〕
次に、別実施形態について説明する。
【0068】
上記実施形態では、画像表示部70c,70eの表示画面の大きさの制約から、実行開始情報(例えば「刈高自動[入]」のメッセージ)と、調節情報(例えば、刈高さ設定値のバーグラフ画像)とを画像表示部70c,70eに交互に表示させるようにしたが、大画面の画像表示部を用いて、上記実行開始情報と調節情報とを同時に表示させるようにすることもできる。
また、上記実施形態では、画像表示部をLCD式の表示器70c,70eにて構成したが、LCD式以外の画像表示装置を用いるようにしてもよい。尚、画像表示部をLCD式に構成する場合においても、上記実施形態における主LCD70eのみで画像表示部を構成するようにして、水温メータ70cには常時水温状態を表示させるようにすることもできる。
【0069】
上記実施形態では、選別目標値設定手段41b,41c,41dが、脱穀装置2に備えた選別部Bにおける選別処理能力の目標値として、稲、麦、濡れの各作物条件におけるチャフ開度と、トウミ風力とを設定するようにしたが、これ以外の選別処理能力の目標値を設定することもできる。
【0070】
上記実施形態では、駆動状態検出手段としての脱穀スイッチS9にて脱穀装置2が駆動状態になったことが検出されると、選別部Bに対する選別制御の実行を開始するように構成したが、これ以外に、前記実行指令手段100と同様に、選別制御の起動を指令する手動スイッチを設けて、前記制御手段CUが、その選別制御用の起動スイッチにて制御の実行が指令されるに伴って、前記作業用処理制御において、選別制御の実行を開始するとともに、前記表示用処理制御において、選別制御の実行開始情報(例えば「選別自動入り」の文字)と、その調節情報(具体的には、前記チャフ開度とトウミ風力の目標値の情報)を設定時間だけ表示させるようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】コンバインの前部側面図
【図3】コンバインの概略平面図
【図4】脱穀部の縦断側面図
【図5】コンバインの動力伝達図
【図6】操縦部の平面図
【図7】基本スイッチモジュールの正面図
【図8】アンローダスイッチモジュールの正面図
【図9】水平制御スイッチモジュールの正面図
【図10】表示用モジュールの正面図
【図11】コンバインの制御構成の全体を示すブロック図
【図12】コンバインの制御構成の主要部を示す回路ブロック図
【図13】スイッチモジュールの制御構成を示すブロック図
【図14】表示用モジュールの制御構成を示すブロック図
【図15】通常情報を表示する表示画面の図
【図16】制御の実行開始情報及び調節情報を表示する表示画面の図
【図17】制御の実行開始情報及び調節情報を表示する表示画面の図
【図18】制御の実行開始情報及び調節情報を表示する表示画面の図
【図19】制御の実行開始情報及び調節情報を表示する表示画面の図
【図20】制御の調節情報を表示する表示画面の図
【図21】制御作動を示すフローチャート
【図22】制御作動を示すフローチャート
【図23】制御作動を示すフローチャート
【符号の説明】
2 脱穀装置
41b,41c,41d 選別目標値設定手段
70c,70e 画像表示部
100 実行指令手段
200 調節情報設定手段
B 選別部
CU 制御手段
S9 駆動状態検出手段
SB 作業部
Claims (1)
- 運転席の横脇に配置されて、作業部に対する作業用処理制御を実行するか否かを指令する手動式の実行指令手段と、
前記運転席の横脇に配置されて、前記作業用処理制御の実行に必要な調節情報を設定する手動式の調節情報設定手段と、
前記運転席の前方側に配置されて、作業者に知らせるべき報知情報を画像情報として表示する画像表示部と、
前記報知情報を表示させるように前記画像表示部を表示作動させる表示用処理制御を実行すると共に、前記調節情報設定手段の設定情報に基づいて前記作業用処理制御を実行し、且つ、前記実行指令手段の指令に基づいてその実行の開始及び停止を行う制御手段と
が設けられた作業機械の表示装置であって、
前記作業用処理制御として、複数種の作業用処理制御が設けられ、それら複数種の作業用処理制御の夫々について各別に実行するか否かを指令する複数の前記実行指令手段、及び、複数種の作業用処理制御の夫々について各別にその実行に必要な調節情報を設定する複数の前記調節情報設定手段が設けられ、
前記制御手段が、
複数の前記実行指令手段及び複数の前記調節情報設定手段の情報に基づいて、前記複数種の作業用処理制御を実行すると共に、前記表示用処理制御において、前記報知情報として通常情報を表示し、且つ、前記実行指令手段にて前記作業用処理制御の実行が指令されるに伴って、前記報知情報として、前記複数種の作業用処理制御の夫々についての実行が開始されることを示す実行開始情報及び前記調節情報設定手段にて設定されている前記調節情報を、前記通常情報に代えて設定時間表示させるように構成され、
前記制御手段が、
前記表示用処理制御において、前記調節情報設定手段にて前記調節情報が変更設定されると、前記報知情報として、その変更設定された前記調節情報を、前記通常情報に代えて設定時間表示させるように構成され、
前記作業機械の表示装置が、刈取収穫用のコンバインに備えられ、前記制御手段が、前記表示用処理制御において、前記通常情報として、脱穀装置の作動状態を示す情報を表示させるように構成され、
前記脱穀装置に備えた選別部における選別処理能力の目標値を設定する選別目標値設定手段が設けられ、前記脱穀装置が駆動状態であるか否かを検出する駆動状態検出手段が設けられ、
前記制御手段が、前記駆動状態検出手段が駆動状態を検出するに伴って、前記選別部における選別処理能力が前記選別目標値設定手段にて設定されている前記選別処理能力の目標値になるように前記選別部の作動を制御する選別制御を行うように構成され、且つ、前記表示用処理制御において、前記駆動状態検出手段が駆動状態を検出するに伴って、前記報知情報として、前記選別目標値設定手段にて設定されている前記選別処理能力の目標値の情報を設定時間表示させるように構成されている作業機械の表示装置。
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