JP3759841B2 - 薄膜積層型光学部品及び要素部品の被覆構造 - Google Patents

薄膜積層型光学部品及び要素部品の被覆構造

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は薄膜積層型光学部品及び要素部品の被覆構造に関する。特に、シリコン基板等の基板上に被着された基板よりも熱膨張係数の大きいポリイミド等のプラスチックで形成した薄膜の剥離防止構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
光機能膜は光通信等に広く使用されている。この光機能膜の例として光導波路がある。光導波路は、シリコン基板等の基板上にコアとクラッドからなる薄膜により形成され、個別チップに分割されている。
【0003】
剥離は、基板と基板上の薄膜の熱膨張差に起因する応力及び応力に起因する湾曲によって生じる。この応力又は湾曲を低減させる技術には、例えば、特開昭64−57207号公報(以下、従来技術1)、特開平5−281424号公報(以下、従来技術2)、特開平8−304623号公報(以下、従来技術3)等がある。
【0004】
図12は、従来技術1を示す図である。
従来技術1は、基板2と基板2の両面に被着された薄膜4,6,12,14からなる。基板2の両面に被着された薄膜4,6,12,14の片方が光導波路10用の薄膜4,6であり、もう一方が湾曲補償用薄膜12,14である。例えば、シリコン基板(熱膨張係数4.2×10-6)の表面に石英(熱膨張係数0.4×10-6)の光導波路10と湾曲補償層12,14が形成されている。
【0005】
光導波路10は、クラッド4,6とコア8により形成されている。この光導波路10は、1000°C以上の高温で製造される。高温で流動化した光導波路材料が基板2に被着されるので高温では界面応力は発生しない。図13は、湾曲のメカニズムを示す図である。このため、図13(a)に示すように、光導波路10を形成した温度における状態では、光導波路10及び基板2は、平坦である。
【0006】
しかし、これを室温(常温)まで冷却すると、シリコン基板2の熱膨張係数の方が光導波路10の熱膨張係数よりも大きいので、光導波路10に比べ、基板2の方がより大きく収縮する。そのため、図13(b)に示すように、バイメタルと同じ原理により湾曲し、基板2と光導波路10の界面に応力が残留する。
【0007】
しかし、図12に示すような構成とし、光導波路10と湾曲補償層12,14の厚さと熱膨張係数を同じにすると基板2の両面の応力が等しくなり湾曲が防止される。石英による光導波路膜4,6は硬く、厚膜になると脆弱性があるので、湾曲するとクラックが生じるが、上記方法により湾曲を防止するとクラックも防止される。
【0008】
図14は、従来技術2を示す図である。
従来技術2は、基板2と、基板20上に被着したバッファ層20と、バッファ層20上に被着した光導波路膜10よりなる。光機能膜は、光導波路膜10であり、光導波路膜10は、クラッド6とコア8よりなる。基板2は、例えば、シリコン基板(熱膨張係数2.6×10-6)、バッファ層20は、金属(熱膨張係数10〜23×10-6)、光導波路膜10は、石英(熱膨張係数0.16×10-6)である。
【0009】
バッファ層20の熱膨張係数がシリコン基板2より大きく、光導波路10の熱膨張係数がシリコン基板2より小さいので、両者の厚みを調節することにより、巨視的に見た2層の総合的な熱膨張係数をシリコン基板2に一致させることが可能になる。その結果、湾曲が防止され、クラックの発生が防止される。
【0010】
図15は、従来技術3を示す図である。
従来技術3は、透明な基板30aと、透明な基板30a上に設けられた光機能膜31と、透明な補助基板30bよりなる。基板30aは、例えば、ポリイミド、光機能膜31は、無機誘電体膜である。基板30aがポリイミドであるため、基板30aにクラックを生じることはないが、無機誘電体料の光機能膜31は厚くなった場合に湾曲により破損する。また、破損しなくても湾曲すると取り扱いが不便である。しかし、従来技術3では、基板30aと補助基板30bの厚さと熱膨張係数を等しくすることにより湾曲が防止される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
光機能膜の製造コスト低減や製造方法の容易さの観点等から光機能膜の材料としてプラスチック薄膜が使用される。このプラスチック薄膜は、従来技術1,2の光導波路材料である石英に較べ、可とう性(曲げやすく曲げても破損しない性質)があるため、湾曲によるクラックの発生は起こりにくい。
【0012】
しかし、プラスチックの熱膨張係数は、2×10-6〜60×10-6という広い範囲にわたっており、使用するプラスチックによっては、シリコンに対する熱膨張係数差は、シリコンと石英の熱膨張係数差に比べてはるかに大きい。例えば、シリコンと石英の熱膨張係数の差が2〜4×10-6であるのに対し、光導波路に適した物性を有するプラスチック(例えば、炭素と結合する水素をフッ素に置換し、透明性を高くしたポリイミドの熱膨張係数は約50×10-6である)とシリコンの熱膨張係数差は約45×10-6に達し、約1桁大きい。
【0013】
例えば、直径100mmの基板上に被着させ、350°Cでイミド化したポリイミドは、全体(100mm)ではシリコンに対して約1.6mmも収縮しようとする。図16は、プラスチック薄膜を使用した光導波路の場合の応力による湾曲と切断による剥離を示す図である。図中、32はクラッド、34はコア、35は光導波路である。
【0014】
図16(a)に示すように、応力f1 ,f2 により大きく湾曲する。プラスチックは、可とう性があるのでこのように湾曲してもクラックを生じることはない。しかし、個別チップに分割するために、ダイヤモンドソーで切断すると、図16(b)に示すように、剥離力により、端部33に剥離が生じる。
【0015】
図17は、従来技術1のプラスチック光導波路の適用例を示す図である。図17に示すように、基板2の裏面にもプラスチック膜32と同じ組成で同じ厚さのプラスチック膜36を形成すると湾曲を防止することができた。しかし、ダイヤモンドソーで切断すると表面についても切断部において基板2から膜32が剥離し、従来技術1の構造による剥離防止の効果は認められなかった。
【0016】
図18は、従来技術1を石英光導波路に適用した場合の剥離メカニズムを示す図である。図18(a)に示すように、シリコン基板2に石英の光導波路膜4,6からなる光導波路10が形成された温度においては、同じ温度で光導波路10が形成されるので、シリコン基板2と光導波路10は同じ長さである。
【0017】
これを常温まで冷却したと仮定した場合、図18(b)に示すように、シリコンの熱膨張係数は石英よりも大きいので、基板2に比べて、光導波路膜4,6が長くなる。この二つを密着させたまま常温まで温度低下すると、基板2に被着した光機能膜10の方が基板2よりも長くなるので、引っ張り応力f1 ,f2 により基板2を左右の外側方向に引っ張る。
【0018】
この引っ張り応力f1 ,f2 により基板2が変形し、中央が凸になるように湾曲する。湾曲することにより応力が低減され安定になる。ここで、光機能膜10の端部に作用する剥離力を考えると、光機能膜10の端部には光機能膜10が石英からなるためその剛性により平坦になろうとする力によって上向きの力(力1)が生じる。
【0019】
しかし、光機能膜2の上部の面は、基板2の抵抗が無ければ、更に伸びようとする。しかし、基板2の抗力のため伸びが制限されるが、例えば、基板2が縮み難いが容易に湾曲するものであれば、図18(c)の破線に示すように更に湾曲する。これにより、光機能膜10には、下向きの力(力2)も加わることになる。
【0020】
更に、光機能膜10が平坦になろうとする上向きの力(力3)も加わる。剥離力はこの力1,2,3を合成したものである。即ち、光機能膜10には、剥離しようとする力1,3とこれを打ち消す力2が加わることになり互いに相殺された剥離力は小さいものになる。
【0021】
このため、基板2の熱膨張係数が石英の光機能膜10よりも大きな場合、従来技術1の構造によっても、剥離力は小さいものとなって、光機能膜10の剥離が生じなかったものと考えられる。
【0022】
図19は、従来技術1をプラスチック光導波路に適用した場合の剥離メカニズムを示す図である。ところが、図19(a)に示すように、基板2にプラスチック膜32,34を被着すると、シリコン基板2よりも熱膨張係数の大きなプラスチック膜32は、基板2の中央が凹になるよう湾曲する。
【0023】
このとき、プラスチック膜32の端部に作用する剥離力は、基板2が剛性により平坦になろうとする力F1 によって基板2に下向きの力1と光機能膜32の上面が更に縮もうとする力F2 によって光機能膜35に生じる上向きの力(力2)を合成したものである。この力1と力2は互いに剥離力を増強する方向に作用する。これがプラスチックを用いる光機能膜を形成する基板に従来技術1を適用した場合に剥離防止の効果が得られない理由と考えられる。
【0024】
即ち、図17に示したように、基板2の両面にプラスチック膜32,36を形成して強制的に基板2を平坦にすることは、図19(b)に示すように、基板2の中央を支点として基板2に上向きの力F3 をかけて、その両端を力F1 で下側に引っ張り強制的に基板2を平坦にするのと同じことである。
【0025】
図19(b)においては基板2が剛性により平坦になることによって基板2に生じる下向きの力F1 は無くなるが、光機能膜32の上側の面が更に縮もうとする力によって光機能膜10に生じる上向きの力2は、図19(a)に比べて大きくなる。そのため、トータルの剥離力は低減されない。
【0026】
図20は、従来技術2にプラスチック膜の光導波路を適用した図である。
従来技術2は、基板2と光導波路32の間にバッファ層38を挿入し、バッファ層38と光導波路膜32のトータルの熱膨張係数を基板2に近づけるというものである。ポリイミド光導波路(熱膨張係数50×10-6)は、シリコン基板2に比べて、熱膨張係数が大きいので、バッファ層38に熱膨張係数がシリコンよりも小さいものを用いることによりバッファ層38と光導波路膜32のトータルの熱膨張係数が基板2の熱膨張係数に近づけることができる。
【0027】
図20に示すように、基板2と光導波路膜32との間に熱膨張係数が小さい層、例えば、シリコン酸化膜(熱膨張係数0.4×10-6)38を介在させると湾曲を防止することができた。しかし、ダイヤモンドソーで切断するとやはり端部に剥離を生じ、従来技術2の構造による剥離防止の効果が認められなかった。
【0028】
従来技術2を応用した基板において剥離防止効果が得られなかった理由についても従来術1と同様の理由が考えられる。即ち、図20において、シリコン基板2とプラスチック膜32の間に熱膨張係数が小さい層であるシリコン酸化膜38を挿入することにより基板2の湾曲が防止される。
【0029】
しかし、従来技術2においても、図19に示したように、基板2が湾曲することにより図19(a)に比較して力2に起因する剥離力が低減されていないにもかかわらず、図19(b)のように、基板2を下側に引っ張って、基板2を強制的に平らにしたため、力2に起因する剥離力が増強され、結局トータルの剥離力が変化しないためである。
【0030】
図21は、従来技術3にプラスチック膜の光導波路を適用した図である。
この図に示すように、光導波路膜35を上下からシリコン基板39a,39bで挟んだ構成にすると、湾曲も切断時の剥離も防止された。しかし、上側の基板39bの張り合わせが困難(例えば、ボイドが入る、二つの基板の調芯が困難)、全体が厚くなる(光導波路32の厚さが30〜50μmであるのに対し、基板39a,39bの厚さは1mm)ため、切断が困難になる。基板コストがかかる等の問題がある。
【0031】
図22は、光半導体チップ搭載部を有する薄膜積層型光学部品を示す図であり、特に、同図(a)は側面図、同図(b)は平面図である。
図22に示すように、基板2の表面に、クラッド40,44、コア42からなる光導波路46を形成し、基板2の表面の一部を露出させて、その部分に電極52を形成した光半導体チップ搭載部48を設け、コア42に光結合するよう、光半導体チップ搭載部48に光半導体チップ50を固着させてモジュール化が行われる。しかし、従来技術3の構造を用いると、基板2の表面の一部を露出させるのが困難になる問題も生じる。
【0032】
本発明の目的は、このような点に鑑みてなされたものであり、剥離防止効果があり、且つ、低コストで製造が容易な薄膜積層型光学部品及び要素部品の被覆構造を提供することである。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、基板と、前記基板上に載置された要素部品と、前記要素部品の表面に被着された第1被覆膜と、前記第1被覆膜の表面と少なくとも該第1被覆膜の周囲に位置する前記基板の表面に被着され、前記基板よりも熱膨張係数が大きく且つ前記基板よりも可とう性がある第2被覆膜と、前記第2被覆膜が前記基板に接する面とは反対の前記第2被覆膜の面に被着され、前記第2被覆膜よりも熱膨張係数が小さく且つ前記基板よりも可とう性がある低熱膨張膜とを具備したことを特徴とする要素部品の被覆構造が提供される。
【0035】
【発明の実施の形態】
第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態を示す薄膜積層型光学部品を示す図である。
【0036】
この図に示すように、薄膜積層型光学部品は、基板2と、基板2上に被着され、クラッド32とコア34からなり、基板2よりも熱膨張係数が大きくなる光機能膜35と、光機能膜35の基板2に接する面とは反対の面に被着され、光機能膜35よりも熱膨張係数が小さい低熱膨張膜60とにより構成される。
【0037】
基板2は、シリコン基板である。光機能膜35は、ポリイミド膜で形成された光機能膜で具体的には光導波路である。このポリイミドには、例えば、ポリイミドを構成する分子の炭素と水素の結合のうち、一部の水素をフッ素に置き換えたもの(例えば、電子情報通信学会研究会技術報告OPE95−93(1995年開催)等に記載されている。)を用いている(以下、フッ素化ポリイミド)。
【0038】
低熱膨張膜60に使用する材料は、以下の条件を満足する必要がある。
▲1▼ 光機能膜35よりも熱膨張係数が小さいこと。
▲2▼ 光機能膜35の光学特性を変化させないこと。
【0039】
▲3▼ 光機能膜35の表面に被着されると共に、シリコン基板2より可とう性があること。
フッ素化ポリイミドは、これらの条件を満足するため、本実施形態では、低熱膨張膜60の材料として、フッ素化ポリイミドを用いている。フッ素化ポリイミドは、フッ素の含有量によって熱的物性、光学的物性及び化学的物性が変化する。
【0040】
図2は、フッ素化ポリイミドのフッ素含有量と熱膨張係数(室温から150°C付近の範囲の平均値)の関係を示す図であり、横軸にフッ素化ポリイミドのフッ素の含有量(wt%)、縦軸に熱膨張係数(ppm)を示している。左にいく程フッ素含有量が多くなっている。フッ素含有量の少ない(図中H:例えば、フッ素含有量が22.7wt%)ものは熱膨張係数が小さく(2×10-6程度)、フッ素含有量が多くなると(図中A:例えば、フッ素含有量が31.3wt%)、熱膨張係数が大きくなる(53×10-6程度)。
【0041】
図3は、波長589nmの光に対する、フッ素化ポリイミドのフッ素含有量と屈折率の関係を示す図であり、横軸にフッ素化ポリイミドのフッ素の含有量(wt%)、縦軸に屈折率を示している。
【0042】
図中、nTEは面方向(TE偏光)に対するもの、nTMは厚さ方向(TM偏光)に対するものである。TE偏光に対しては、フッ素量の低減に従い屈折率が上昇するが、TM偏光に対しては、単調でなく途中で逆転する。
【0043】
ところで、フッ素化ポリイミドを光導波路35に使用するとき、コア34への入射光がTM偏光及びTE偏光のいずれの場合でも、クラッド32とコア34との界面において全反射させるべく、コア34の屈折率をクラッド32よりも大きくする必要がある。
【0044】
そのため、光導波路に使用できるのは、屈折率が反転しない比較的フッ素量が多いもの、例えば、C又はDより左側のものに限られる。上記複屈折性の他にフッ素量が増えると発水性が向上し、吸湿性が低下する、吸収損失が低下する等の利点がある。
【0045】
そこで、本実施形態では、光導波路35のクラッド32にA(例えば、フッ素の含有量が31.3wt%)の材料を使用し、コア34にD(例えば、フッ素の含有量が29.2wt%)の材料を使用している。光導波路35よりも熱膨張係数の小さい低熱膨張層60には、H(例えば、フッ素の含有量が22.7wt%)の材料を使用している。
【0046】
各層の厚さは、基板2の厚さが1mm、光導波路35のコア34より下側のクラッド層32の厚さが12μm、コア34の厚さが7μm、コア34より上側のクラッド32の厚さが15μm、低熱膨張層60の厚さが10μmである。
【0047】
いずれもスピンコータでワニスを塗布し、350°Cでイミド化させて形成した。光導波路35の厚さが40μm未満の場合は、低熱膨張層60の厚さを8μmよりも厚くすれば剥離防止効果が得られる。光導波路35をこれより厚くすると、これにほぼ比例して、低熱膨張層60の厚さも厚くすればよい。
【0048】
図4及び図5は、図1の薄膜積層型光学部品の効果説明図である。
以下、これらの図面を参照して、図1の薄膜積層型光学部品の効果を説明する。
【0049】
図1の構成の上側の2層、光導波路35,低熱膨張層60だけに着目しこの2層だけ取り出す。これを高温(例えば350°C)から常温まで冷却した場合、図4に示すように、上側の低熱膨張膜60の熱膨張係数が下側の光機能膜35よりも小さいので、低熱膨張膜60の方が光機能膜35よりも長くなり、引っ張り応力f3 ,f4 により光機能膜35を左右の外側方向に引っ張る。
【0050】
この引っ張り応力f3 ,f4 により光機能膜35が変形し、中央が凸になるように湾曲する。低熱膨張膜60は、光機能膜35の抵抗力が無ければ、更に伸びようとする。光機能膜35の抗力のため低熱膨張膜60の伸びが制限されるが、例えば、低熱膨張膜60は、フッ素化ポリイミドからなり、可とう性のあるものなので、更に湾曲しようとする。これにより、光機能膜35には、下向きの力F3 ,F4 が加わることになる。
【0051】
図5に示すように、2層35,60が基板2に被着されている場合には、下向きの力F3 ,F4 により、光機能膜35の端部が基板2に押しつけられるようになる。その結果、剥離力が低減され、剥離が防止される。
【0052】
しかも、基板2の熱膨張係数が光機能膜35よりも小さいので、基板2の中央が凹となるように湾曲しようとする力と、低熱膨張膜60により光機能膜35の中央が凸となるように湾曲しようとする力とが相殺して、図6に示すように、基板2の湾曲を防止することもできる。
【0053】
以上説明した第1実施形態によると、薄膜積層型光学部品の剥離を防止すると共に、湾曲を防止することができる。
第2実施形態
図6は、本発明の第2実施形態を示す薄膜積層型光学部品を示す図であり、図1中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。
【0054】
本実施形態の薄膜積層型光学部品が図1の薄膜積層型光学部品と異なる点は、基板2と光導波路35との間にフッ素含有量が光導波路35よりも少ないフッ素化ポリイミドからなる接着補助層62を介在させたことである。
【0055】
上述したように、フッ素量が増えると発水性が向上するが他の材料(基板2)との親和性が低下するため基板2との密着性が低下する。一方、シリコン基板2とフッ素化ポリイミドとの密着性と、フッ素化ポリイミド同士の密着性を比較すると、フッ素化ポリイミド同士のほうが、シリコン基板2とフッ素化ポリイミドとの密着性に比べて良好である。これはフッ素含有量が異なるフッ素化ポリイミド同士についても同様である(フッ素化ポリイミド同士の密着性の方がシリコン基板とフッ素化ポリイミドとの密着性に比べて良好である)。
【0056】
このため、図6に示すように、基板2と光導波路35の界面にフッ素の含有量の少ないフッ素化ポリイミドからなる接着補助層62を介在させると、基板2と接着補助層62間の密着性が向上し、且つ接着補助層62と光導波路35との密着性が良好になる。よって、更に大きな剥離防止効果が得られる。
【0057】
この接着補助層62としては、フッ素含有量が、例えば、図2中のG(例えば、フッ素含有量が23.9wt%)のものを使用する。接着補助層62の厚さは、10μm程度とする。尚、接着補助層62の厚さは、基板2との密着性が向上する程度であれば十分である。
【0058】
以上説明した第2実施形態によると、第1実施形態よりも更に、薄膜積層型光学部品の剥離を防止する効果がある。尚、接着補助層62のみを用い、上側の低熱膨張層60を有しない構造の場合は、剥離面積を低減させる効果は認められたが、剥離を無くすには不十分であった。
【0059】
第3実施形態
図7は、本発明の第3実施形態を示す薄膜積層型光学部品を示す図である。この図に示す薄膜積層型光学部品は、光半導体チップ搭載領域71を有する基板の例である。基板2の一部にフッ素化ポリイミドからなるクラッド70,コア72を有する光導波路74が被着されている。
【0060】
光導波路74の基板2に接する面とは反対の面に、低熱膨張層76が被着されている。光導波路74を除く基板2上に、光半導体チップ搭載領域71が形成されている。光半導体チップ搭載領域71には、光半導体チップ82を固着するための電極78、光半導体チップ82の活性層とコア72の高さを一致させて光結合させるための台座80を有する。
【0061】
光導波路74及び低熱膨張層76は、図1中のものと実質的に同一である。光半導体チップ82は、半導体レーザ等の発光素子、電極78は、チタンと金を積層した電極パターン、台座80は、例えば、光導波路74と同じフッ素化ポリイミドである。
【0062】
図8及び図9は、図7の薄膜積層型光学部品の製造方法を示す図である。
以下、これらの図面を参照して、図7の薄膜積層型光学部品の製造方法を説明する。
【0063】
図8(a)に示すように、熱酸化膜84付シリコン基板2の表面にリフトオフ法によりチタンと金を積層した電極パターン78を形成する。次に、図8(b)に示すように光導波路74のクラッド70の下側クラッド86を堆積させ、その一部の表面に突起形成用マスク79を形成する。
【0064】
下側クラッド86には、例えば、フッ素化ポリイミドを、その堆積には、スピンコーティング法を、マスク79には、例えば、チタン薄膜を、その形成には、例えば、リフトオフ法を用いる。
【0065】
図8(c)に示すように、光半導体チップの活性層との高さを調節するための高さ調節層88、コア90、上側クラッド92、低熱膨張層94を堆積する。高さ調節層88、コア90、上側クラッド92、低熱膨張層94には、フッ素化ポリイミドを、その堆積には、スピンコーティング法を用いる。
【0066】
下側クラッド86、高さ調節層88及び上側クラッド92のフッ素化ポリイミドのフッ素含有量は等しくする。また、そのフッ素の含有量は、第1実施形態と同じにする。尚、コア90を矩形に加工するには、RIEを用いる。
【0067】
図9(a)に示すように、端面形成用マスク96を形成する。端面形成用マスク96には、例えば、チタン薄膜を、その形成には、リフトオフ法を用いる。次に、図9(b)に示すように、酸素プラズマによるRIEを行い、光導波路端面形成、台座80の形成、電極パターン78の露出を行う。
【0068】
この時、フッ素化ポリイミドを除去するだけなので、製造工程が複雑になることや、従来技術3のように、加工がし難い等といったことがない。この次に、端面形成用マスク96及び突起形成用マスク79をエッチング除去する。
【0069】
以上の工程を経て、図8に示した光半導体チップ搭載領域71を有する基板の場合の薄膜積層型光学部品が作製される。光半導体チップ82を台座80に載置して、電極78に半田バンプ等により固着する。
【0070】
尚、光機能膜がフッ素化ポリイミドが製作された光導波路の場合について述べたが、光機能膜は光導波路に限られるものでなく、他の目的に用いられる皮膜であってもよい。また、光部品や電子部品を封止するための被覆であってもよい。一例として、以下の実施形態が考えられる。
【0071】
第4実施形態
図10は、本発明の第4実施形態を示す薄膜積層型光学部品を用いる要素部品の被覆構造を示す図である。
【0072】
図10に示すように、基板98上に光部品や電子部品等の要素部品100を載置する。次に、基板98よりも熱膨張係数が大きい材料102を、要素部品100の表面及び要素部品100の周囲の基板98に被着させる。その次に、材料102に、材料102よりも熱膨張係数が小さい低熱膨張層104を被着する。これにより、第1実施形態と同様の作用により、要素部品100の基板98からの剥離を防止することができる。
【0073】
第5実施形態
図11は、本発明の第5実施形態を示す薄膜積層型光学部品を用いる要素部品の被覆構造を示す図であり、図10中の要素と実質的に同一の要素には同一の符号を附している。
【0074】
図11に示すように、他の部材106が既に被着された光部品や電子部品等の要素部品100を基板98上に載置する。次に、基板98よりも熱膨張係数が大きい材料102を、他の部材106の表面及び他の部材106要素部品100の周囲の基板98に被着させる。
【0075】
その次に、材料102に、材料102よりも熱膨張係数が小さい低熱膨張層104を被着する。これにより、他の部材106が既に被着された要素部品の場合でも、要素部品100の基板98からの剥離を防止することができる。
【0076】
低熱膨張層の材料は、フッ素化ポリイミドに限られるものではなく他の材料であっても良い。例えば、通常のポリイミド、エポキシ系プラスチック、アクリル系プラスチック、ポリカーボネイト系プラスチック、ポリオレフィン系プラスチック等である。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、基板よりも熱膨張係数の大きな光機能膜が基板上に被着された薄膜積層型光学部品の湾曲を防止することができると共に、剥離を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による薄膜積層型光学部品の構成図である。
【図2】フッ素化ポリイミドのフッ素含有量と熱膨張係数の関係を示す図である。
【図3】フッ素化ポリイミドのフッ素含有量と屈折率の関係を示す図である。
【図4】図1の薄膜積層型光学部品の効果説明図である。
【図5】図1の薄膜積層型光学部品の効果説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態による薄膜積層型光学部品の構成図である。
【図7】本発明の第3実施形態による薄膜積層型光学部品の構成図である。
【図8】図7の薄膜積層型光学部品の製造工程図である。
【図9】図7の薄膜積層型光学部品の製造工程図である。
【図10】本発明の第4実施形態による要素部品の被覆構造を示す図である。
【図11】本発明の第5実施形態による要素部品の被覆構造を示す図である。
【図12】従来技術1を示す図である。
【図13】湾曲メカニズムを示す図である。
【図14】従来技術2を示す図である。
【図15】従来技術3を示す図である。
【図16】プラスチック薄膜を使用した光導波路の場合の応力による湾曲と剥離を示す図である。
【図17】従来技術1のプラスチック光導波路への適用例を示す図である。
【図18】従来技術1を石英光導波路に適用した場合の剥離メカニズムを示す図である。
【図19】従来技術1をプラスチック光導波路に適用した場合の剥離メカニズムを示す図である。
【図20】従来技術2のプラスチック光導波路への適用例を示す図である。
【図21】従来技術3のプラスチック光導波路ヘの適用例を示す図である。
【図22】光半導体チップ搭載部を有する薄膜積層型光学部品の構成図である。
【符号の説明】
2 基板
35 光機能膜
60 低熱膨張膜

Claims (1)

  1. 基板と、
    前記基板上に載置された要素部品と、
    前記要素部品の表面に被着された第1被覆膜と、
    前記第1被覆膜の表面と少なくとも該第1被覆膜の周囲に位置する前記基板の表面に被着され、前記基板よりも熱膨張係数が大きく且つ前記基板よりも可とう性がある第2被覆膜と、
    前記第2被覆膜が前記基板に接する面とは反対の前記第2被覆膜の面に被着され、前記第2被覆膜よりも熱膨張係数が小さく且つ前記基板よりも可とう性がある低熱膨張膜と、
    を具備したことを特徴とする要素部品の被覆構造
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