JP2003270461A - 光通信部品、積層型光通信モジュール、およびその製造方法 - Google Patents

光通信部品、積層型光通信モジュール、およびその製造方法

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JP2003270461A JP2002072243A JP2002072243A JP2003270461A JP 2003270461 A JP2003270461 A JP 2003270461A JP 2002072243 A JP2002072243 A JP 2002072243A JP 2002072243 A JP2002072243 A JP 2002072243A JP 2003270461 A JP2003270461 A JP 2003270461A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光通信部品、立体光路を内蔵するコンパクト
な積層型光通信モジュール、およびそれらの製造方法を
提供する。 【解決手段】 基板内部に少なくとも一端が外部光路に
連通する空洞を形成し、前記空洞の壁面を反射膜で被覆
した導波路を構成するか、あるいは前記基板に金属より
なる裏打ち層を積層した光通信部品。基板上にファイバ
を実装するためのV溝が施され、さらに前記V溝に交差
する微細溝が前記V溝部表面の少なくとも一部に形成さ
れているか、あるいは基板上にV溝が施され、さらに前
記V溝部表面に金属膜が形成されている光学ベンチ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信に用いる光
通信部品、積層型光通信モジュール、およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】大容量の光通信や光結合を実現するため
に、従来、光導波路と、LED(発光ダイオード)、L
D(レーザダイオード)等の発光素子やPD(フォトダ
イオード)等の受光素子とを光学的に結合する場合に
は、マイクロレンズ等の集光系によって光を光導波路で
ある光ファイバに導く構造とし、レンズと光ファイバの
入射端とを紫外線硬化樹脂等の接着剤により接続してい
た(特開昭61−93419号公報)。
【0003】一方、光導波路と、発光素子や受光素子を
レンズ等の光学系を用いないで結合する方法もある。半
導体レーザと光ファイバとを直接結合する方法では、光
ファイバのコアの中心と半導体レーザチップの発光点の
中心とを一致させるように光ファイバの先端を切断し、
チップボンディングを行えるように外殻フェルールをL
字型に切り欠き、その部分に半導体レーザチップをアラ
インメントし、光ファイバと半導体レーザとを密着させ
ている(特開昭63−253315号公報)。また、半
導体レーザチップと光導波路とを直接光結合する方法で
は、半導体レーザの活性層端面または光導波路端面に設
けた隙間を挟んで半導体レーザの活性層端面と光導波路
端面とをつき合わせることにより、活性層端面および光
導波路端面を保護しながら半導体レーザチップからの光
を直接光導波路に光結合している(特開平3−3991
3号公報)。
【0004】このような従来の光結合方法では、いずれ
の方法においても、発光素子の発光面と光導波路との間
に光学距離が生じるため、又、発光素子と光導波路との
間に種々の光学系を設けたりするため、発光素子からの
光を効率良く光導波路に入射させることが難しく、コン
パクト化が困難であるという問題点がある。
【0005】かかる観点より、多くの光処理機能をコン
パクトに実現するための方法が提案されている。例え
ば、2つの基板間での光の授受を比較的簡単な構造で可
能とし、コンパクトな集積型光回路を実現するための手
段として、複数の基板を立体的に配置した5層導波路構
造からなる光結合装置が開示されている(特開昭61−
148406号公報)。
【0006】しかしながら、特開昭61−148406
号公報(特公平6−97285号公報参照)には、立体
光回路装置の例が示されてはいるが、垂直に立つ壁構造
の母基板に垂直光路を配設し、回路基板があたかも建物
の床の如く水平に配設されて水平光路が施され、垂直光
路と水平光路との接続には、外界空気との屈折率差を利
用した方法が採用され、光パワー移行にはいわゆる完全
結合長が必要となる。従って、光路を急屈曲することが
できない。また、このためゆえに水平回路基板にはそれ
ぞれ所定の間隔をあける必要が出てくるので、水平回路
基板の積層密着ができない。
【0007】一方、特開昭54−139847号公報に
は、光導波路内面に反射層を設ける例が示されている
が、レーザ加工機用の可撓性チューブの内面に施すもの
であり、光路を直角に急屈曲することは示されておら
ず、また、立体回路を開示したものではない。同公報第
1図には、従来のレーザ加工機の光路が空間と反射鏡と
で構成されていたことを示してはいるが、基板内部に導
波路を構成するものではない。
【0008】また、特開平2−73311号公報には、
銅線を螺旋状に形成し表面に金めっきを施した後、濃硝
酸で内部の銅を除去し、金よりなる中空導波路を形成す
ることが開示されているが、外殻として残る金の光管は
急屈曲させるのではなく、螺旋状に形成されている。こ
の光管方式で直角に急屈曲させると、管内の光路の確保
が難しくなる。
【0009】特開平10−170765号公報には、シ
リコン基板の異方性エッチングによるV溝の斜面に反射
膜を形成し、このV溝中に光ファイバを埋め込むことで
光路を確保し、実装精度を向上させることが開示されて
いるが、この方法では光ファイバを直線状に並べなけれ
ばならず、水平面に自由に屈曲する導波路を形成するこ
とができない。
【0010】特開2001−133645号公報には、
導波路基板からの迷光を遮蔽するために、導波路基板の
上面、下面及び側面を全てメタライズすることが開示さ
れているが、導波路自体をメタライズし光路を急屈曲さ
せることは開示されていない。
【0011】ところで、インターネットの普及により、
音楽や動画像、コンピュータデータなどの大量の情報を
高速に送受信する必要が出てきた。光ファイバーを用い
たデータの送受信では転送速度が家庭用で100Mbp
s以上であり、一般家庭に普及している電話回線を用い
たモデムやISDNに比べ、約3桁程度高速にデータを
送受信できる。さらに、基幹系では10〜40Gbps
に達している。また、近年、光多重通信という新しい技
術が登場してさらなる高速化と大容量化が可能となって
いる。このような状況の中、光通信部品の需要はますま
す増加傾向にあり、そのコスト低減と信頼性向上が部品
供給メーカーの課題となっている。
【0012】シリコン(Si)を主体とした光通信部品
担持体(Si光学ベンチ(SiOB))のグルーブに少
なくとも一つのガラス製光通信部品を搭載したモジュー
ルは、光通信関連部品の中でその中枢となるパーツであ
り、基幹系光通信関連部品と同程度の信頼性が求められ
ている。
【0013】これまで光通信部品搭載モジュールを組む
際、SiOBのグルーブに光通信部品を搭載し、両者を
紫外線硬化型樹脂等のプラスチックで固定していた。し
かし、この方法では常温常湿下では大きな問題は発生し
なかったが、高温高湿度の環境に長時間接すると光通信
部品がSiOBから浮き上がったり、場合によっては脱
離する問題があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来の
問題点を解決するためになされたものであり、光通信部
品、および、光ファイバ等の光導波路を伝送してきた光
を効率良く装置内の光導波路に入射させることを可能と
し、かつこの光をPD等の受光素子に伝送することがで
きるとともに、光通信に必要な光機能素子を高度に集積
化した立体光路を内蔵するコンパクトな積層型光通信モ
ジュール、ならびにそれらの製造方法を提供することを
目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明者らは鋭意検討を行った結果、半導体レーザ
から電気信号を同軸ケーブル等の伝送路に送出した場
合、受信機で受けることのできる送信距離は数kmが限
度であるが、光ファイバの中を伝送させて光検出器で電
気信号に戻す方式では、光ファイバの損失は少ないため
100km以上を中継器なしで伝送できることに着目
し、光ファイバを伝送された光をレンズ等を用いて基板
内に設けられた光導波路に入射させ、入射した光を立体
的に配置された導波路を通じて受光素子に効率よく伝送
することで、発光素子を集積する場合に比べて集積度が
飛躍的に向上し、かつコンパクト化が実現できることを
見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】すなわち、本発明は、基板内部に少なくと
も一端が外部光路に連通する空洞を形成し、前記空洞の
壁面を反射膜で被覆した導波路を有することを特徴とす
る光通信部品を提供するものである。本構成により光路
を急屈曲できるため、部品の小型化を図ることができ
る。
【0017】本発明の光通信部品においては、前記導波
路の他端が光変換素子を介して外部光路に接続されてい
る。光変換素子としては、例えば、回折格子、光学フィ
ルター、光スイッチ、アッティネータ等が挙げられる。
光変換素子をモジュール内に設けることにより、入出射
光の分波や合波などが可能となる。
【0018】また、本発明の光通信部品においては、前
記導波路の他端が光電変換素子と接続され、前記光電変
換素子が、前記基板に形成された金属膜よりなる電路を
介して外部電気回路に接続されている。
【0019】また、本発明の光通信部品においては、前
記基板内部の空洞が、溝が形成された素板とこれを覆う
素板とを合体することにより形成されている。本構成に
より基板内部を貫通する複雑な溝を形成する必要がなく
なり、加工性が良好となる。
【0020】また、本発明の光通信部品においては、前
記導波路における前記空洞が光透過性媒質で充填されて
いる。本構成により導波路の外部応力に対する安定性が
向上し、結露による水や黴の光特性に及ぼす影響を極力
少なくすることができる。
【0021】また、本発明の光通信部品においては、前
記反射膜がめっきにより形成されている。本構成により
均一な金属反射膜の形成が可能となる。
【0022】また、本発明の光通信部品においては、前
記空洞の一端が、ファイバを実装するためのV溝が施さ
れた基板部分に対向して配置されることにより外部光路
に連通する。前記において、空洞の一端が、前記V溝と
の間に配置された結合レンズを介して外部光路に連通す
るものであってもよい。この結合レンズは、シリコン製
であることが好ましい。高屈折率のシリコンを用いるこ
とにより、レンズの曲率を小さくすることができるた
め、収差を小さくすることができ、スポット径も縮小す
ることができる。また、前記において、前記基板の前記
V溝が施された部分に金属膜が形成されていることが好
ましい。これにより、レンズをハンダ付けすることがで
きる。
【0023】また、空洞の一端が、前記V溝との間に配
置された結合レンズを介して外部光路に連通する場合
は、前記基板の前記結合レンズを配置する部分に金属膜
が形成され、前記結合レンズの側面周囲部に金属膜が形
成され、両者がハンダにより固定されていることが好ま
しい
【0024】また、本発明は、基板内部に少なくとも一
端が外部に連通する空洞を形成して導波路を構成した光
通信部品において、前記基板に金属よりなる裏打ち層を
積層したことを特徴とする光通信部品を提供するもので
ある。本構成により基板に蓄積された熱を金属層を介し
て放熱することで基板を冷却できるとともに、基板に靭
性が付与されるため割れ難くなる。
【0025】また、本発明は、第一と第二のレンズ面
と、側面周囲部とから構成される光通信用レンズにおい
て、前記側面周囲部にのみ金属膜を形成したことを特徴
とする光通信用レンズを提供するものである。これによ
り、レンズをハンダ付けすることができる
【0026】もう一つの本発明の光通信用レンズは、透
明板の両面に一対のレンズ凸面を構成したことを特徴と
するものである。この光通信用レンズは、前記レンズ凸
面が複数対設けられたことを特徴とし、また前記レンズ
凸面以外の前記板の縁周囲部に金属膜を形成したことを
特徴とする。前記の板は、シリコン製であることが好ま
しい。両面に一対のレンズ面を形成することにより光軸
合せが容易となり、金属膜が形成されていることでハン
ダ付けができる。特に、高屈折率のシリコンを用いるこ
とにより、レンズの曲率を小さくすることができるた
め、収差を小さくすることができ、スポットサイズを小
さくすることができる。
【0027】また、本発明は、基板上にファイバを実装
するためのV溝が施され、さらに前記V溝に交差する微
細溝(接着用溝)が前記V溝部表面の少なくとも一部に
形成されていることを特徴とする光学ベンチを提供する
ものである。本構成により、毛細管現象を利用して接着
することができるため、ファイバの浮き防止、ファイバ
の光軸ずれを防止することができる。
【0028】もう一つの本発明の光学ベンチは、基板上
にV溝が施され、さらに前記V溝部表面に金属膜が形成
されていることを特徴とするものである。これにより、
レンズやファイバ等の光通信部品をハンダ付けすること
ができる
【0029】また、本発明は、少なくとも第一の基板と
第二の基板とが直接に密着積層された構成を有し、前記
第一の基板は内部に水平導波路と、前記水平導波路の端
部に位置し光路をほぼ垂直に曲げる反射鏡を配した光屈
曲部と、前記光屈曲部に続き、かつ厚み方向表面に続く
第一の垂直導波部とが空洞により形成されており、前記
第二の基板は、前記第一の基板上に積層されるとともに
前記第一の垂直導波部の基板表面への露出部分に対向す
る位置に、前記表面から厚み方向内部に続く第二の垂直
導波部を空洞により形成されており、前記第一の基板と
前記第二の基板で構成された積層体の内部に前記第一の
基板内から前記第二の基板内に厚み方向に貫通した空洞
により垂直光路が形成されたことを特徴とする立体光路
を内蔵する積層型光通信モジュールを提供するものであ
る。このように密着積層することにより板の薄型化が図
れる。また、モジュール内に光屈曲部を設けることで立
体回路を形成することが可能となり、光通信モジュール
のコンパクト化を実現できる。
【0030】本発明の立体光路を内蔵する積層型光通信
モジュールにおいては、前記第一の基板の水平導波路ま
たは前記第二の基板の第二の垂直導波部が、光変換素子
を介して外部光路に接続されている。
【0031】また、本発明の立体光路を内蔵する積層型
光通信モジュールにおいては、前記光変換素子が、受動
型光素子であってもよい。
【0032】また、本発明の立体光路を内蔵する積層型
光通信モジュールにおいては、前記第一の基板の水平導
波路または前記第二の基板の第二の垂直導波部のうち少
なくとも一方が、直接もしくは他の導波路を介して光電
変換素子に接続され、前記光電変換素子が配置された基
板上に形成された金属膜よりなる電路を介して外部電気
回路に接続されている。前記においては、前記光電変換
素子が、受光素子または発光素子の何れかであるのがよ
い。
【0033】また、本発明の立体光路を内蔵する積層型
光通信モジュールにおいては、前記水平導波路、光屈曲
部、第一および第二の垂直導波部による空洞壁面が、金
属反射膜で構成されている。
【0034】また、本発明の立体光路を内蔵する積層型
光通信モジュールにおいては、前記水平導波路、光屈曲
部、第一および第二の垂直導波部による空洞が、光透過
性媒質で充填されている。
【0035】また、本発明の立体光路を内蔵する積層型
光通信モジュールにおいては、前記光透過性媒質が、紫
外線硬化樹脂であってもよい。
【0036】また、本発明の立体光路を内蔵する積層型
光通信モジュールにおいては、前記第一の基板と第二の
基板とが拡散接合・陽極接合・接着剤・超音波溶着の何
れかにより、直接に密着積層されたものである。
【0037】三つ目の本発明の光通信部品は、光導波端
面がカーボンまたはフッ素化カーボンで被覆されている
ことを特徴とするものである。
【0038】また、本発明は、少なくとも第一の基板と
第二の基板とを密着積層することにより基板内部に少な
くとも一端が外部光路に連通する空洞を形成し、前記空
洞にメッキ液を充填した後空洞から水分を追い出し、該
空洞に紫外線硬化性樹脂を充填し紫外線により硬化する
ことを特徴とする積層型光通信モジュールの製造方法を
提供するものである。水分の除去は、紫外線硬化性樹脂
を空洞の一端から注入することにより、空洞の他端から
水分を押し出す方式によってもよい。本方法により、積
層型光通信モジュールの基板内部に形成された複雑な形
状の空洞に簡単にメッキを施すことができ、かつ光透過
性媒質を充填することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図を
参照しながら説明する。
【0040】本発明の立体光路を内蔵する積層型光通信
モジュールは、少なくとも第一の基板と第二の基板とが
直接に密着積層された構成を有し、前記第一の基板は、
内部に水平導波路と、前記水平導波路の端部に位置し光
路をほぼ垂直に曲げる反射鏡を配した光屈曲部と、前記
光屈曲部に続き、かつ厚み方向表面に続く第一の垂直導
波部とが空洞により形成されており、前記第二の基板
は、前記第一の基板上に積層されるとともに、前記第一
の垂直導波部の基板表面への露出部分に対向する位置
に、前記表面から厚み方向内部に続く第二の垂直導波部
が空洞により形成されており、前記第一の基板と前記第
二の基板で構成された積層体の内部に、前記第一の基板
内から前記第二の基板内に厚み方向に貫通した空洞によ
り垂直光路が形成されたものである。
【0041】本発明の積層型光通信モジュールにおいて
は、第一の基板と第二の基板とが直接に密着積層された
構成を有し、この第一の基板には、前記の水平導波路と
その端部に位置する光屈曲部と第一の垂直導波部とが形
成され、また第二の基板には、第一の垂直導波部の基板
表面への露出部分に対向する位置に第二の垂直導波部が
形成されている。積層型光通信モジュールは、第一の基
板と第二の基板とから構成されていてもよく、また、少
なくとも一枚の他の基板を、第一の基板あるいは第二の
基板の外側に有するものであってもよい。従って、積層
型光通信モジュールが三枚以上の基板の積層体からなる
場合は、そのうちの一か所の隣接基板同士が上記の要件
を満足するものであればよい。
【0042】図1および図9には、ファイバと結合レン
ズとを備え、前記ファイバおよび結合レンズを実装する
ためのV溝が形成された基板(または光学ベンチ)(1
1、110)と、前記結合レンズからの光信号を分波す
るための回折格子と水平導波路が形成された第1段目の
基板(21、210)と、前記第1段目の基板から伝送
された光を導くための水平導波路(32)と、反射鏡
(33)を配した光屈曲部(34)と、垂直導波部(3
5)と、が形成された第2段目の基板(31、310)
(すなわち「第一の基板」)と、前記第一の基板から伝
送された光を導くための垂直導波部(42)が形成さ
れ、第一の基板上に積層された第3段目の基板(41、
410)(すなわち「第二の基板」)と、を備えている
光通信モジュールの一例を示した。導波路とV溝(およ
び回折格子)は第1段目の基板に形成してもよいし、光
学ベンチを別体のものとして作製してこれにV溝を形成
した後、導波路が形成された第1段目の基板に搭載して
もよい。
【0043】本発明においては、基板として、シリコン
基板、プラスチック基板およびガラス基板からなる群か
ら選ばれる少なくとも一種以上の基板を用いることがで
きる。これらの基板は、本発明の目的・効果を阻害しな
い範囲において、異種の基板をミックスして用いてもよ
く、また使用個所も任意であるが、熱サイクルに対する
安定性、基板同士の密着性の観点からすれば同種の基板
を用いることが望ましい。
【0044】図1および図9において、基板(11、1
10)には、V溝(図示していない)と、V溝と交差す
る4本の接着用溝(13)が形成され、そのV溝にファ
イバ(14)と結合レンズ(15)が配置されている。
基板(21、210)上には別の基板(31、310)
が配置され、その上に別の基板(41、410)が積層
されている。基板(41、410)の表面には、配線パ
ターン(52)が形成されるとともに、図1ではPD
(52)とLSI(53)が所定の位置に配置され、図
9ではLD(54)とLSI(53)が所定の位置に配
置されている。また、基板(11、110)の外面には
金属板(101)が配置されている。なお、図1の例で
はシリコン基板、図9の例ではプラスチック基板を用い
た。
【0045】図2および図10には、それぞれ図1およ
び図9に示す積層型光通信モジュールの断面模式図を示
した。
【0046】図2において、モジュール内に入射した伝
送光は、基板(31)に形成された水平導波路(32)
を経由して導波路終端部のテーパー部(34)で反射
し、垂直導波部(35)(「第一の垂直導波部」)およ
び基板(41)に対してほぼ垂直に形成された導波路
(42)(「第二の垂直導波部」)を経由してPD(5
1)に到達する。導波路壁面には、光が全反射し易いよ
うに金属反射膜(33、43)が形成されている。
【0047】一方、図10において、基板(410)表
面に配置されたLD(54)から出射した光は、基板
(410)に対してほぼ垂直に形成された導波路(4
2)、および垂直導波部(35)を経由して、基板(3
10)に形成された水平導波路終端部のテーパー部(3
4)で反射し、導波路(32)を経由して第1段目の基
板(210)に伝送される。導波路壁面には、光が全反
射し易いように金属反射膜(33、43)が形成されて
いる。
【0048】(第1段目の基板)図3は、基板(または
光学ベンチ)に形成されたV溝と接着用溝の一例を示す
外観斜視図である。基板(11)には、V溝(12)に
交差して複数本の接着用溝(13)が形成されている。
V溝はファイバや結合レンズを固定するためのものであ
る。V溝と交差する接着用溝は少なくとも1本形成され
ていればよく、接着用溝を形成することにより、ファイ
バおよび結合レンズの機能を妨害することなく、これら
を接着剤やハンダ等を用いてV溝に接着固定することが
可能となる。従来、V溝にファイバあるいはレンズを固
定する場合、単に紫外線硬化性樹脂(以下、「UV樹
脂」と略称する。)等で接着していたが、その接着剤に
よりファイバ、レンズがV溝から浮いて固定されるなど
の問題点があった。しかし、本発明はV溝に交差した接
着用溝を介して接着されるため、上記問題がない。接着
用溝は、V溝に対する接着強度を高める観点からは、通
常1本〜20本形成する。好ましくは5本〜10本形成
するのがよい。
【0049】前記のV溝の形成方法としては、第1の基
板にシリコン基板を用いる場合は、例えば、シリコン基
板にパターニングした後、ウエットエッチングする方法
等が挙げられる。ウエットエッチングは、水酸化カリウ
ム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、テトラ
メチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)、
ヒドラジン(EPW)、HgCl2、K2Fe(CN)6
等を用いて実施することができる。例えば、シリコンの
(100)面を前記のエッチング剤で異方性エッチング
することにより、頂角が約70°の窪みを形成すること
ができる。また、ガラス基板やプラスチック基板を用い
る場合は、例えば、成形により所望の角度のV溝を形成
する方法等が挙げられる。
【0050】次に、V溝に交差して少なくとも1本以上
の接着用溝を形成する。溝の幅、深さは、接着剤が浸透
する程度であればよく、適宜決定することができる。溝
の形成方法としては、例えば、ダイシングを用いて機械
加工により形成する方法が挙げられる。また、V溝に平
坦化レジストを塗布し、乾燥後、更にその上に無機物の
膜をスピンコート等で形成し(SOG:Spin On Glas
s)、更にその上に感光性レジストを塗布し、接着用溝
に相当するパターニングをリソグラフで形成し、その
後、ドライエッチングを用いて、SOG、平坦化レジス
ト、シリコンまたはガラスを選択的にエッチングし、V
溝上に機械加工と同様にV溝と交差した接着用溝を形成
してもよい。その後、レジスト、SOG等を除去する。
【0051】基板(11)としてシリコン基板を用いた
場合、以上のようにして、V溝、接着用溝および結合レ
ンズ固定用溝を形成した後、金属膜を形成する。金属と
しては、例えば、Au、Ag、Ni、Cu等が挙げられ
るが、耐食性に優れる点より金が好ましい。金属膜は、
溝の隅々まで均一にメッキできる点より、無電解メッキ
膜が好ましい。以上の方法によって、ファイバおよび結
合レンズを固定可能な基板(または光学ベンチ)を作製
することができる。
【0052】次に、ハンダや接着剤等を用いて、V溝に
ファイバや結合レンズを固定する。例えば、溶融したハ
ンダや接着剤等を接着用溝に配置し、その上にファイバ
および結合レンズを配置することにより固定することが
できる。接着剤としては、例えば、紫外線硬化型樹脂等
を挙げることができるが、より強固に固定できる観点か
らは、ハンダで接着固定するのが望ましい。
【0053】(光通信部品)V溝に固定されるファイバ
や結合レンズは、基板にハンダ付けして強固に接着させ
るため、それらの側面のみがメタライズされていること
が好ましい。メタライズ法としては、公知の種々の方法
を採用することができるが、無電解メッキ法を適用する
ことが好ましい。ファイバおよび結合レンズの側面は、
V溝に固定する前にメタライズしておくのがよい。
【0054】ここで、ファイバとしては、光を伝送する
ファイバであれば従来公知のものを全て用いることがで
きる。光ファイバとしては、ガラスファイバ、プラスチ
ックファイバの何れでもよいが、光の損失等が少ないと
いう観点からは、石英製ガラスファイバが望ましい。
【0055】また、結合レンズとしては、ファイバを伝
送した光を効率よくモジュール内に導き、或いはモジュ
ール内を伝送してきた光を効率よくファイバに伝送する
ことができるものであればよく、例えば、ガラス製のG
RINレンズ、ボールレンズ、モールドレンズ、シリコ
ンマイクロレンズ等を用いることができる。中でも、シ
リコンマイクロレンズもしくはレンズ凸面が複数対設け
られたシリコンマイクロレンズアレイを用いるのがよ
い。これらのシリコンマイクロレンズ(アレイ)は、基
板を介して該基板両面に基板と一体形成されたもの等が
好ましく用いられる。シリコンマイクロレンズは、焦点
スポット径が小さくかつ屈折率が高く焦点距離が短いこ
とから、コンパクト化が可能であり、また、曲率が小さ
いため収差が小さいというメリットがある。しかも、平
面アレイ化が容易で、ドライエッチングで一括製造で
き、端面位置合わせも容易で、アライメントも容易であ
る。また、レンズ部以外を金(Au)メッキすることに
より、スポットハンダ溶接が可能になるとともに、AR
膜も基板ごと一括成膜できるため、膜付けが容易であ
り、しかも本発明で用いているようなシリコンベンチと
組合せることによって、レンズと基板の膨張率を同じに
することができるため、精度が一段と向上する。
【0056】シリコンマイクロレンズ(アレイ)を基板
に配置する場合は、V溝を形成することなく、例えば図
18、図19、図20に示す態様で、シリコンマイクロ
レンズ(アレイ)を基板に直接固定することができる。
この場合は、図18に示すように、先ず基板に異方性エ
ッチングを施して台形溝(16)を形成した後、ダイシ
ングにより基板に対してほぼ垂直な溝(固定用溝)(1
7)を形成する。台形溝は、上記したウエットエッチン
グ等を適用することにより形成することができる。その
後、図19に平面図、図20にその断面図を示すよう
に、V溝(12)(図では見えない)にはファイバ(1
4)を固定し、基板(11)に形成された固定用溝(1
7)には、基板(102)の両面に一体形成されたシリ
コンマイクロレンズアレイ(103)を固定する。この
ようにすることで、マイクロレンズアレイを基板に簡単
に固定することができるため、アライメント化や端面位
置合わせが容易となる。
【0057】(導波路、光変換素子)第1段目の基板に
は、導波路と光変換素子の一例として回折格子を形成す
る。図4および図11には、導波路と回折格子が形成さ
れた第1段目の基板の外観斜視図を示した。図5および
図12は、導波路と回折格子の部分を示す部分拡大図で
ある。回折格子(104)と導波路(26)が第1段目
の基板(21)に形成されている。回折格子(104)
と導波路(26)は、光の伝送効率を高める観点より、
図5および図12に示す様に、一体で形成されているの
がよい。一体形成する方法としては、例えば、シリコン
基板上にレジストを塗布後、所定の回折格子パターンお
よび導波路パターンをリソグラフで作製する方法が挙げ
られる。例えば、ポジ型のパターニングを行えば、露光
された部分はレジストが取り除かれ、シリコンが露出す
る。その後、ドライエッチングでパターンに沿ってシリ
コン基板をエッチングする。エッチングの深さは適宜選
択される。
【0058】エッチングの後、CVD法または熱酸化に
よりシリコン表面にSiO2膜を形成し、その後、金属
反射膜を無電解メッキ等によって形成する。
【0059】図6および図13は、第1段目の基板(2
0、210)に形成された導波路(26)のA−A'断
面図である。断面形状は特に限定されない。導波路は、
中空のままでもよいが、モジュール内に侵入する大気中
の水分等の影響で光の伝送効率が低下するのを防止する
ため、凹部に光透過性媒質を充填して用いるのがよい。
光透過性媒質としては、例えば、アクリル樹脂、フッ素
化ポリイミド樹脂、フッ素化エポキシ樹脂等の光透過性
樹脂等を挙げることができる。また、光透過性ジェルの
ような液体であってもよい。
【0060】導波路および回折格子は、光透過性媒質を
充填する前に、周囲壁面に反射膜が形成されていること
が望ましい。図6と図13は、導波路(26)の周囲壁
面に金属反射膜(27)が形成された一例である。この
ような金属反射膜を形成することにより、導波路内で光
が全反射するため、光を効率よく伝送することができ
る。反射膜としては、例えば、Au、Ag、Ni、Cu
等の金属からなる金属膜が用いられる。金属膜を形成す
る方法としては、蒸着法、スパッタリング法、無電解メ
ッキ法等を挙げることができるが、細部まで均一にメッ
キできる点より、無電解メッキ法が好ましい。
【0061】また、第1段目の基板から第2段目の基板
へ光を導く導波路(26)終端部には、図7に示すよう
にテーパー(29)が形成されている。図7は第1段目
の基板(21)に形成された導波路(26)の終端部拡
大図である。このテーパーにより、第1段目の基板の導
波路を伝送した光を、効率よく第2段目の基板に立ち上
げ伝送することができる。この第1段目の基板から第2
段目の基板へ光を導く導波路も、同様にリソグラフでパ
ターニング後、エッチング等で作製する。導波路終端で
は光は第1段目の基板に対して垂直に持ち上げられるた
め、45°に傾斜が設けられる。例えば、45°にテー
パーを付けた別部材を導波路終端に設けることによって
達成することができる。また、グレイスケールマスクを
用いてパターニングすれば、レジスト自体がテーパーを
もって露光・現像可能で、このレジストパターニングに
沿ってドライエッチングを行えば、単一部材のみで導波
路およびテーパー部を一括形成することもできる。
【0062】また、第1段目の基板に形成された導波路
は、図4および図11に示すように光屈曲部が形成され
ている。図8には屈曲した導波路の部分拡大図を示した
が、光を反射しやすくするため、隅に45°にテーパー
(29)(すなわち、「光屈曲部」)が形成されてい
る。このように導波路を屈曲させることにより第1段目
の基板の平面面積を減少させることができ、よりコンパ
クトな光通信モジュールを実現することができる。
【0063】(第2段目の基板)図14には、第2段目
の基板の外観斜視図を示した。この基板(31)にも、
光配線用の導波路(32)が形成されている。第2段目
の基板に形成された導波路は、第2段目基板内で光を自
在に配線するためのものである。図14では、4本の導
波路が形成された例を示しているが、導波路は第1の基
板に形成された導波路と基本的に同一の本数が形成され
ていればよく、目的に応じて適宜決定される。また、本
実施の形態では、第1段目に分波器を形成しているが、
モジュール自体はできるだけ小さい方が望ましいわけで
あり、本実施の形態では分波された光を電気信号などに
変換する素子、電気回路を制御するためのLSIなどは
光分波回路と同一基板上に形成されないことから、光通
信モジュール全体のスペースを小さくすることができ
る。
【0064】図15は、第1段目の基板からの光を第2
段目の基板に入射させる入射部(図14においてPで表
示した部分)の拡大図である。図15に示すように、第
1段目の基板(「第一の基板」)(21)に形成された
水平導波路(26)を伝送した光は、テーパー(29)
で反射して垂直に立ち上げられた光は、垂直導波路(2
8)(「第一の垂直導波部」)から垂直導波路(35)
(「第二の垂直導波部」)を経て、第2段目の基板
(「第二の基板」)(31)に設けられた45°テーパ
ー(34)で第2段目の基板面内に導波され、水平導波
路(32)を導波する。第2段目で導波された光は、水
平導波路(32)終端に設けられた45°テーパー部
(34)で反射して、第3段目の基板に導かれる。
【0065】図16は第2段目の基板に形成された導波
路のB−B'断面図、図17は第2段目の基板の終端部
のC−C'断面図である。第2段目の基板に形成された
導波路の断面形状は、特に限定されない。形成された導
波路は、第1段目の基板に形成された導波路と同様に、
中空の状態で、または、凹部に上記と同様の光透過性媒
質を充填して用いてもよい。なお、45°テーパー部
は、本実施の形態では別部材で構成しているが、同一部
材で構成してもよいことは言うまでもない。
【0066】(第3段目の基板)第3段目の基板には、
その表面に光信号を電気信号に変換するためのフォトダ
イオード(PD)等の受光素子や、発光ダイオード(L
ED)やレーザダイオード(LD)等の発光素子、制御
のためのLSI等の電子部品が実装される。また、基板
表面には従来から知られている方法、例えば、リソグラ
フとスパッタリング法などを用いた方法(リフトオフ
法)で電気配線をパターニングする。電気配線は、メッ
キで形成してもよい。第3段目の光信号を受光する部分
には、図2および図10に示すように、基板に対して垂
直に貫通孔(42)が設けられ、第2段目で垂直に立ち
上げられた光を効率よく受光素子へ導くようにしてい
る。貫通孔の周囲壁面には、上記した方法と同様にし
て、反射膜(43)が形成されている。
【0067】また、第3段目の基板には、図21に示す
ようなファイバと結合レンズを実装することもできる。
このようにすることで、本発明の光通信モジュールを光
−光結合素子として使用することもできる。
【0068】(第1段目、第2段目、第3段目の接合)
各段の光回路(分波器、導波路など)は、各基板内に作
製されており、光回路となる溝、回折格子などを作製
後、各段の基板を接合することにより3段の基板は接合
され、かつ各基板の光導波の路を3次元空間的に繋げる
ことができる。基板を接合する場合は、例えば、各シリ
コン基板を合わせた状態で、窒素雰囲気中で1000℃
で熱処理することで、接合することができる。これは、
シリコン基板表面のSiが各面で化学的に結合するため
であり、いわゆる拡散接合法として知られている。熱処
理は、900〜1100℃で1〜5時間行うのがよい。
【0069】また、プラスチック基板を接合する場合
は、超音波溶着法によりまたは紫外線硬化型樹脂等を用
いて接合することができる。同様に、ガラス基板を接合
する場合は、紫外線硬化型樹脂を用いて接合することが
できる。
【0070】(3次元立体導波路の反射膜形成、媒質充
填)形成された各基板は、上記の方法で接合することが
できる。しかし、光漏れを極力抑える観点からは、導波
路や回折格子等が形成された各基板を接合した後、これ
を一体として導波路壁面に反射膜を形成するのが有効で
ある。すなわち、シリコン基板を接合後、無電解メッキ
を行うための各種液体中に、接合された接合基板を浸漬
または各種液体を強制注入することにより、導波路壁
面、回折格子壁面に金属反射膜を一括で形成することが
できる。
【0071】本方法により、中空全反射型の導波路を形
成することができるが、さらに各波長に対して、光透過
性のある樹脂等を注入すれば、媒質で満たされた導波路
を形成することができる。例えば、接合基板内に形成さ
れた空洞にメッキ液を充填した後、空洞からメッキ液に
含まれる水分を追い出し、その後、空洞に媒質を充填す
る。媒質は液体であっても構わないが、アクリルなど光
硬化性樹脂を注入後、UV光を導波路入口から照射すれ
ば、基板内部の導波路内の樹脂も硬化させることができ
る。これにより、ごみの侵入、あるいは結露などを防止
することができ、安定な光通信モジュールを作製するこ
とができる。
【0072】本実施の形態では、第3段に基板を重ねて
いるが、もちろん1段のみの光回路でも適用可能であ
る。4段以上の構成も適用可能であることは言うまでも
ない。
【0073】以上の処理を行った後、最上面基板表面に
電気配線パターンを形成し、LSIなどの電子部品を実
装する。
【0074】(最下部基板裏面への金属板の接合)以上
のように、光分波回路について述べてきたが、フォトダ
イオードの代わりにレーザダイオードを用いることによ
り、合波器として使用することもできる。レーザダイオ
ードを実装した場合、発熱が問題となるが、本発明では
シリコン基板から効率よく熱を逃すように、最下部シリ
コン基板裏面に金属層を積層する(図1、図9参照)。
金属層を形成する金属としては、例えば、Cu、Ni、
Cr等熱伝導性のよいものが望ましい。
【0075】シリコンと金属の接合方法は、例えば、以
下の方法で行うことができる。すなわち、シリコン基板
上にテフロン(登録商標)等の有機化合物層を形成し、
その有機化合物の上からシリコン基板をドライエッチン
グする。一定時間ドライエッチング後、再度有機化合物
層を形成し、さらに一定時間ドライエッチングを行う。
この操作の繰り返しで、シリコン基板の表面には無数の
針状のシリコン突起が形成される。針状突起の高さは、
ドライエッチング時間、操作回数で制御できるが、本発
明では、エッチング時間3分、操作回数10回で、平均
突起高さ1.2μmの針状突起を形成した。有機化合物
層の厚みは適宜でよいが、本実施の形態では50nmと
した。
【0076】ここで、ドライエッチングは、反応性イオ
ンエッチング(RIE)などのプラズマエッチング装置
を用いて、フッ素系ガス(例えば、Cxyzで表され
るCHF3、CH22、CH3F、またはCxyで表され
るCF4、C26、C24、C38、C48など)ある
いはこれらのフッ素系ガスにO2などを混合した混合ガ
スなどを膜質に応じて適宜選択することにより実施でき
る。
【0077】また、上記方法以外でも、シリコン基板表
面に無数の微小な凹部を形成しても同様な接合ができ
る。本発明ではその一形態として、リソグラフを用い
て、シリコン基板表面に塗布したレジストに、1μm径
の穴をピッチ2μmで正方配列に形成し、その後、ドラ
イエッチングで、レジストの穴に沿ってシリコン基板に
無数の凹部を形成する。本発明では、窪みの深さ0.5
μmであった。凹部の深さ、大きさ、形状は、特に制限
されるものではなく、凸形状にシリコンを形成してもよ
い。また、ドライエッチングの他に、KOH、NaO
H、TMAH、EPW、HgCl2、K2Fe(CN)6
等を用いてウエットエッチングを行い、シリコン基板表
面に窪みを形成してもよい。
【0078】その後、シリコンの微細凹凸表面に、先に
述べた無電解メッキ膜形成方法による反射膜形成方法と
同様にして、金属膜を形成する。すなわち、熱酸化によ
りSiO2膜を形成し、表面処理を行った後、無電解メ
ッキによりNiP膜を形成する。更に、電解メッキでN
i、Cuなどを300μm形成する。シリコン表面に微
細な凹凸が形成され、さらに、熱酸化後、表面処理を施
すことにより、微細凹凸のあらゆる面に均一に無電解メ
ッキ膜を形成し、さらには電解メッキで金属を成長させ
るため、非常に均一な金属板が形成できる。これらは、
シリコンの微細凹凸との間でのアンカー効果による物理
的な接合と、表面処理による化学的な接合で強固にシリ
コンと金属板を接合することができる。なお、本方法以
外のメッキ法として、電解メッキ法を用いてもよい。こ
の場合、アンカー効果による接合のみで行われるが、シ
リコンの突起の高さまたは窪みの深さ、ピッチ、形状等
を適宜選択することにより、強固な接合が得られる。
【0079】一方、ガラス板と金属板を接合する場合
は、テフロンなどの有機化合物層を形成した後、シリコ
ンの場合と同様のガスを用い、ドライエッチングにおけ
るガスをSF6、BCl3、Cl2等のガスに変更すれ
ば、同様な微細な針状の凹凸を得ることができる。ま
た、リソグラフを用いて、レジストで微細穴を形成した
のち、上記ガスにてドライエッチングを行うことで、ガ
ラス基板に微細穴を形成してもよい。また、上記ガスの
代わりに、フッ酸(HF)、バッファードフッ酸(BH
F)などの液を用いて、ウエットエッチングによって微
細穴を形成してもよい。メッキの方法は先に述べた通
り、電解、無電解のどちらでも作製可能である。
【0080】以上、シリコン基板で本発明の光通信モジ
ュールを作製する場合を中心に述べたが、ガラス基板に
用いて導波路、回折格子等を作製する場合も、同様にし
てリソグラフおよびエッチングで形成できる。この場
合、基板同士の接合は、紫外線硬化性(UV)接着剤等
を用いて行うことができる。V溝は従来から行われてい
るうような、ガラス成形によってもよい。導波路、回折
格子側面への金属膜の形成も、無電解メッキ法で容易に
付けることができる。樹脂の注入方法は、シリコンの場
合と同様の方法を用いることができる。
【0081】また、シリコン、ガラス等で個々の基板毎
に作製した導波路、回折格子を型にして、樹脂でも形成
できる。樹脂で形成する場合は、個々の基板に気相成長
法などで少なくとも光回路凹部の壁面にSiO2膜を先
に形成しておき、各基板を紫外線硬化性(UV)樹脂で
接合してブロックを形成する。その後、シリコンやガラ
スの場合と同様にして、金属膜を形成することができ
る。
【0082】以上の方法によれば、ガラスと樹脂、ガラ
スとシリコンの組み合わせも可能である。ガラスと樹脂
の接着は紫外線硬化性(UV)樹脂による接着で可能で
あり、ガラスとシリコンとの接着は、陽極接合等で行う
ことができる。
【0083】本発明の積層型光通信モジュールを製造す
る場合、第1段目の基板にV溝や導波路等を形成しても
よいが、導波路等が形成された第1段目の基板に、V溝
を形成した光学ベンチを搭載することもできる。また、
金属膜を形成したファイバや結合レンズ等を別途作製し
ておき、これを前記のV溝に搭載してもよい。
【0084】以下、本発明の積層型光通信モジュールに
搭載可能な光通信部品(光学ベンチ、ファイバ等)のメ
タライズ法、ならびに搭載方法について説明する。
【0085】光学ベンチをメタライズする場合は、所定
の前処理を施した光学ベンチを、無電解ニッケル(N
i)メッキ浴および無電解金(Au)メッキ浴で処理
し、少なくとも光通信部品の側面と接するグルーブ部
に、NiP/Auからなる金属膜を形成する。こうする
ことにより、例えば、側面をNiP/Auでメタライズ
した光ファイバー等をSiOBに固定する場合、両者の
表面がNiP/Auでメタライズされているため、ハン
ダ付けで両者を接着固定することができる。ハンダは金
属であり、UV樹脂等のプラスチックに比べて十分に高
い接着強度が得られる。なお、光学ベンチとしては、シ
リコン製が好ましいが、プラスチックやガラス製のもの
であってもよい。
【0086】ガラス製ファイバ等の光通信部品の側面に
も、上述した手順によって、NiP/Auメタライズが
可能である。NiP/AuでメタライズしたSiOBの
グルーブ部に、NiP/Auでメタライズしたガラス製
光通信部品等を搭載しハンダ付けすることで、より両者
を強固に接着固定させることができる。
【0087】ところで、光通信部品はその端面に光を通
す必要があるため、ハンダ付けのためのメタライズは光
通信部品の側面だけに施す必要がある。そこで、先ず光
通信部品の端面をカーボン或いはフッ素化カーボンで被
覆し、光通信部品端面の表面エネルギーを下げる。カー
ボンによる被覆は、例えば、光通信部品の端面にカーボ
ンをスパッタリングすることにより行うことができる。
フッ素化カーボンによる被覆は、例えば、CF4、C2
6等のフッ素含有ガスで光通信部品の端面をプラズマ処
理することにより行うことができる。
【0088】次いで、この光通信部品を無電解Niメッ
キ処理する。無電解Niメッキ反応を起こさせるために
は、Pd触媒核を光通信部品の表面に載せることが必要
である。光通信部品の端面は、上述したように、カーボ
ン或いはフッ素化カーボンで被覆され、表面エネルギー
が低下している。このためPd触媒核の溶液に光通信部
品を浸漬する工程で、光通信部品の端面にはPd触媒核
が載らずその側面のみにPd触媒核が付着する。この工
程の後、無電解Niめっき浴に光通信部品を浸漬する
と、光通信部品の側面のみにNiPがメッキされる。次
いで置換型無電解Auメッキ浴に光通信部品を浸漬する
と、NiPでメタライズされた側面のみにAuがメッキ
される。この一連の操作により、光通信部品の側面のみ
をNiP/Auでメタライズすることができる。
【0089】この後、同じくNiP/Auでメタライズ
したSiOBのグルーブ上に光通信部品を載せ、ハンダ
付けで両者を固定する。ハンダ付けで光通信部品とSi
OBを接着することで、従来の樹脂接着に比べて、より
強固に光通信部品をSiOB上に固定することができ
る。
【0090】また、光通信部品を光学ベンチに接着固定
する場合、上記のようにしてハンダ付けしてもよいが、
光通信部品および光学ベンチに金属膜を形成することな
く、両者を接着固定することも可能である。その場合
は、光通信部品の少なくとも側面および前記光通信部品
が接するSiを主体とした担持体のグルーブ部に、シラ
ンカップリング剤を設けた後に、両者を紫外線硬化型樹
脂で固定接着する。この際、使用する前記のシランカッ
プリング剤を、一旦加水分解させた後に、光通信部品の
少なくとも側面および前記光通信部品が接するSiを主
体とした担持体のグルーブ部に、前記加水分解させたシ
ランカップリング剤を配した後、両者を紫外線硬化型樹
脂で固定接着することが好ましい。
【0091】さらに好ましくは、使用するシランカップ
リング剤を一旦加水分解させた後に、光通信部品の少な
くとも側面および前記光通信部品が接するSiを主体と
した担持体のグルーブ部に、前記加水分解させたシラン
カップリング剤を配した後、大気中120℃より高い温
度で熱処理し、その後両者を紫外線硬化型樹脂で固定接
着する。熱処理温度は、120〜200℃で行うことが
好ましく、より好ましくは120〜150℃で行うのが
よい。
【0092】シランカップリング剤は、加水分解によ
り、下式の様にシラノール基を生成する(式中、Rは置
換基である)。 (CH3O)3SiC36R+3H2O=(HO)3SiC
36R+3CH3OH (C25O)3SiC36R+3H2O=(HO)3Si
36R+3C25OH
【0093】生成したシラノール基は、光通信部品(特
に、ガラス製光通信部品)表面およびSiを主体とした
担持体のグルーブ表面の酸素原子と水素結合する。一
方、上式Rで示される置換基としては、紫外線硬化型樹
脂とのなじみが良いものを選択する。このようにするこ
とで、これら加水分解したシランカップリング剤は、S
iを主体とした担持体と紫外線硬化型樹脂等といった、
水と油の関係にある材料の仲介をなす重要な役割を果た
すため、両者を強固に接着させることができる。
【0094】また、上述したように、加水分解したシラ
ンカップリング剤を配した光学部品表面および担持体の
グルーブ表面には、シラノール基が存在する。これを加
熱処理することにより、加水分解したシランカップリン
グ剤のシラノール間で脱水縮合反応が下式の様に進行
し、シランカップリング剤がより強固に、ガラス製部品
表面およびSiを主体とした担持体のグルーブ表面に化
学吸着する(−Si−O−Si−結合が生成)。この
後、紫外線硬化型樹脂で両者を接着すれば、より強固に
光通信部品をSiを主体とした担持体のグルーブ上に固
定できる。
【0095】−SiOH+(HO)3SiC36R=−
Si-O-Si(OH)236R+H2O (式中、Rは置換基である。)
【0096】ここで、本発明で使用することができるシ
ランカップリング剤としては、Rがビニル基の場合は、
例えば、ビニルトリメトシキシラン、ビニルトリエトキ
シシランビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン
等が挙げられる。Rがエポキシ基の場合は、例えば、β
−(3,4−エボキシシクロヘキシル)エチルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が
挙げられる。Rがメタクリロキシ基の場合は、例えば、
γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げら
れる。Rがアミノ基の場合は、例えば、N−β(アミノ
エチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピル
トリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−
フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が
挙げられる。
【0097】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0098】(実施例1)外径1mm、長さ2mmのガ
ラス製光学レンズの端面上に、カーボン膜をスパッタ法
により10nm成膜した。その後、無電解Niメッキ浴
にガラス製光学レンズを浸漬した。この操作により、ガ
ラス製光学レンズの側面のみにNiPがメッキされた。
引き続いて、ガラス製光学レンズを置換型無電解Auメ
ッキ浴に浸漬し、NiP上にAuをメッキした。
【0099】厚さ1.5mmで(100)面のSiウェ
ハに異方性エッチングを適用し、幅1000μm、深さ
500μm、長さ5mmの台形溝を形成した。その後、
無電解Niメッキ浴にSiOBを浸漬した。この操作に
より、SiOB表面にNiPがメッキされた。引き続い
て、SiOBを置換型無電解Auメッキ浴に浸漬し、N
iP上にAuメッキした。この後、SiOB上にNiP
/Auでメタライズされたガラス製光学レンズを載せ、
ハンダにより両者を接着固定した。
【0100】(実施例2)外径1mm、長さ2mmのガ
ラス製光学レンズの端面上を、CF4のガスプラズマで
処理した以外は、実施例1と同様にして、ガラス製光学
レンズの側面のみをメッキした。実施例1と同様にし
て、SiOB表面にNiP/Auメッキした後、SiO
B上にNiP/Auでメタライズされたガラス製光学レ
ンズを載せ、ハンダにより両者を接着固定した。
【0101】(比較例1)厚さ1.5mmで(100)
面のSiウエハにKOHによる異方性エッチングを適用
し、幅1000μm、深さ500μm、長さ5mmの台
形溝を形成した。このSiOB上に外径1mm、長さ2
mmのガラス製光学レンズを載せ、波長365nmの紫
外線を照射し、紫外線硬化型樹脂で両者を接着した。
【0102】(評 価)実施例1〜2および比較例1で
得られたSiOBと、SiOB上のガラス製光学レンズ
との接着強度を測定した結果を1に示す。試験は、Si
OBを固定し、接着したガラス製光学レンズをバネ秤で
引っ張り、破断する強度を求めた。
【表1】
【0103】実施例1〜2および比較例1で得られたS
iOBの台形溝にガラス製光学レンズを接着固定させた
試料を、85℃、90%RHの環境に1週間保存した。
実施例1〜2ではガラス製光学レンズの脱離は発生しな
かったが、比較例1の試料では、ガラス製光学レンズが
SiOBの台形溝から脱離していた。
【0104】実施例1〜2および比較例1で得られたS
iOBの台形溝にガラス製光学レンズを接着固定させた
試料に、85℃(2時間)/−40℃(2時間)のヒー
トサイクル試験を10回行った。実施例1〜2ではガラ
ス製光学レンズの脱離は発生しなかったが、比較例1の
試料では、ガラス製光学レンズがSiOBの台形溝から
脱離していた。
【0105】(実施例3)厚さ1mmで(100)面の
SiウエハにKOHによる異方性エッチングを適用し、
幅145μm、深さ102μm、長さ10mmのV溝を
形成した。ワイヤーストリッパーを用い、直径125μ
mの光フアイバー芯線を長さ3cm露出させた。イソプ
ロピルアルコールにγ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシランを溶解し、この溶液中に、SiのV溝と光フ
ァイバー芯線を浸漬させた後、溶液から取り出してイソ
プロピルアルコールを蒸発乾燥させた。次に、SiのV
溝に光ファイバー芯線を載せ、この上に紫外線硬化型樹
脂を塗布し、波長365nmの紫外線を照射して、光フ
ァイバーをSiのV溝に接着固定させた。
【0106】(比較例2)厚さ1mmで(100)面の
SiウエハにKOHによる異方性エッチングを適用し、
幅145μm、深さ102μm、長さ10mmのV溝を
形成した。ワイヤ−ストリッパーを用い、直径125μ
mの光ファイバー芯線を長さ3cm露出させた。次にS
iのV溝に光ファイバー芯線を載せ、この上に紫外線硬
化型樹脂を塗布し、波長365nmの紫外線を照射し
て、光ファイバーをSiのV溝に接着固定させた。
【0107】(評 価)実施例3および比較例2で得ら
れたSiのV溝に光ファイバーを接着固定させた試料の
接着力を調べた結果を表2に示す。試験はSiのV溝を
固定し、接着した光ファイバーをバネ秤で引っ張り、破
断する強度を求めた。
【0108】
【表2】
【0109】表2から明らかなように、表面処理を行っ
ていない比較例2に比べて、実施例3では光ファイバー
の接着強度が向上している。
【0110】実施例3および比較例2で得られたSiの
V溝に光ファイバーを接着固定させた試料を、85℃、
90%RHの環境に1週間保存した。実施例3では光フ
ァイバーの脱離は発生しなかったが、比較例2の試料で
は、光ファイバーがSiのV溝から脱離していた。
【0111】実施例3および比較例2で得られたSiの
V溝に光ファイバーを接着固定させた試料に、85℃
(2時間)/−40℃(2時間)のヒートサイクル試験
を10回行った。実施例3では光ファイバーの脱離は発
生しなかったが、比較例2の試料では、光ファイバーが
SiのV溝から脱離していた。
【0112】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の光通信部品
によれば、ファイバで伝送された光を効率よく装置内の
導波路に入射させることができ、かつ入射光を装置内に
形成された導波路を通して効率良くPD等の受光素子に
伝送できるとともに、各基板を立体的配置可能であるた
め、コンパクトな光通信モジュールを実現できる。ま
た、外面に金属層を設けることで、LD等が発する熱を
効率的に放熱することができるとともに、基板の割れや
歪み等を防止することができる。
【0113】また、発明の光通信用レンズによれば、板
を介して該板両面にレンズ凸面が一体形成することによ
り、焦点スポット径が小さくかつ焦点距離が短いコンパ
クトなレンズを実現できる。また、レンズ部以外をメッ
キすることにより、スポットハンダ溶接が可能になると
ともに、AR膜を一括成膜できるため、膜付けが容易で
ある。
【0114】また、発明の光学ベンチによれば、ファイ
バを実装するためのV溝と、これに交差する微細溝(接
着用溝)が形成されているため、ファイバの浮きや光軸
ずれを防止することができる。また、V溝部表面に金属
膜が形成されているため、レンズやファイバ等の光通信
部品を、光透過性を損なうことなくハンダ付けすること
ができる。
【0115】また、本発明の積層型光通信モジュールに
よれば、密着積層構造を有するため、モジュール板の薄
型化が図れるとともに、モジュール内に光屈曲部を設け
ることで立体回路を形成することが可能となり、光通信
モジュールのコンパクト化を実現できる。
【0116】また、本発明の他の光通信部品によれば、
光導波端面がカーボン等で被覆されているため端面の表
面エネルギーが低い。そのため、光導波性能を害するこ
となく、側面のみをメッキすることができる。よって、
ハンダ付け等により、簡単にしかも強固に光学ベンチに
接着固定することができ、耐久性に優れた光通信部品を
実現できる。
【0117】さらに、本発明の積層型光通信モジュール
の製造方法によれば、積層型光通信モジュールの基板内
部に形成された複雑な形状の空洞に簡単にメッキを施す
ことができ、かつ光透過性媒質を充填することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】積層型光通信モジュールの一例を示す外観斜視
図である
【図2】積層型光通信モジュールの一例の断面模式図で
ある。
【図3】第1段目の基板に形成されたV溝と接着用溝の
一例を示す外観斜視図である
【図4】導波路と回折格子が形成された第1段目の基板
の外観斜視図である。
【図5】第1段目の基板の導波路と回折格子を示す部分
拡大図である。
【図6】第1段目の基板に形成された導波路のA−A'
断面図である。
【図7】第1段目の基板に形成された導波路の終端部拡
大図である。
【図8】第1段目の基板に形成された導波路の屈曲部拡
大図である。
【図9】LDを搭載した積層型光通信モジュールの一例
を示す外観斜視図である
【図10】LDを搭載した積層型光通信モジュールの一
例の断面模式図である。
【図11】導波路と回折格子が形成された第1段目の基
板(プラスチック基板)の外観斜視図である。
【図12】第1段目の基板(プラスチック基板)の導波
路と回折格子を示す部分拡大図である。
【図13】第段目の基板(プラスチック基板)に形成さ
れた導波路のA−A'断面図である。
【図14】第2段目の基板の外観斜視図である。
【図15】第1段目の基板からの光を第2段目の基板に
入射させる入射部の拡大図である。
【図16】第2段目の基板に形成された導波路のB−
B'断面図である。
【図17】第2段目の基板の終端部のC−C'断面拡大
図である。
【図18】ファイバおよび結合レンズ固定用のV溝およ
び台形溝を示す平面図である。
【図19】基板にファイバおよびマイクロレンズアレイ
が固定された状態の一例を示す平面図である。
【図20】基板にファイバおよびマイクロレンズアレイ
が固定された状態の一例を示す断面図である。
【図21】第3段目の基板にファイバおよび結合レンズ
が搭載された状態を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
11、110 第1段目の基板または光学ベンチ 12 V溝 13 微細溝(接着用溝) 14 ファイバ 15 結合レンズ 16 台形溝 17 固定用溝 21、210 第1段目の基板(第一の基板) 22 レーザーダイオード(LD) 26 水平導波路 27 金属膜 28 垂直導波部 29 テーパー 31、310 第2段目の基板(第一の基板または第二
の基板) 32 水平導波路 33 金属膜 34 テーパー 35 垂直導波部 41、410 第3段目の基板(第二の基板) 42 垂直導波部 43 金属膜 51 フォトダイオード(PD) 52 配線パターン 53 LSI 101 金属板 102 マイクロレンズアレイ形成用基板 103 シリコンマイクロレンズアレイ 104 回折格子
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年8月6日(2002.8.6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】すなわち、本発明は、基板を密着積層して
内部に少なくとも一端が外部光路に連通する空洞を形成
し、前記空洞の壁面を反射膜で被覆し、前記空洞内で光
を伝送する導波路を有することを特徴とする光通信部品
を提供するものである。本構成により光路を急屈曲でき
るため、部品の小型化を図ることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】また、本発明光通信部品において、前
記基板に金属よりなる裏打ち層を積層することが好まし
。本構成により基板に蓄積された熱を金属層を介して
放熱することで基板を冷却できるとともに、基板に靭性
が付与されるため割れ難くなる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】また、本発明は、少なくとも第一の基板と
第二の基板とが直接に密着積層された構成を有し、前記
第一の基板は内部に水平光路を形成する水平導波路と、
前記水平導波路の端部に位置し光路をほぼ垂直に曲げる
光屈曲部と、前記光屈曲部に続き、かつ厚み方向表面に
続く第一の垂直導波部とが、各々空洞により形成されて
おり、前記第二の基板は、前記第一の基板上に積層され
るとともに前記第一の垂直導波部の前記第一の基板表面
への露出部分に対向する位置に、表面から厚み方向内部
に続く第二の垂直導波部空洞により形成されており、
前記各空洞の壁面が反射膜で被覆され、前記第一の基板
と前記第二の基板で構成された積層体の内部に第一の基
板内の水平光路と、前記第一の基板内から前記第二の基
板内に厚み方向に貫通した垂直光路が形成されたこと
を特徴とする立体光路を内蔵する積層型光通信モジュー
ルを提供するものである。このように密着積層すること
により板の薄型化が図れる。また、モジュール内に光屈
曲部を設けることで立体回路を形成することが可能とな
り、光通信モジュールのコンパクト化を実現できる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0113
【補正方法】削除
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0114
【補正方法】削除
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0116
【補正方法】削除
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0117
【補正方法】削除
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三瓶 哲彦 大阪府茨木市丑寅1丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 酒本 章人 大阪府茨木市丑寅1丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 Fターム(参考) 2H047 KA03 KB08 LA09 MA05 MA07 PA02 PA15 PA24 PA28 QA05 RA08 TA05 TA41

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板内部に少なくとも一端が外部光路に
    連通する空洞を形成し、前記空洞の壁面を反射膜で被覆
    した導波路を有することを特徴とする光通信部品。
  2. 【請求項2】 基板内部に少なくとも一端が外部に連通
    する空洞を形成して導波路を構成した光通信部品におい
    て、前記基板に金属よりなる裏打ち層を積層したことを
    特徴とする光通信部品。
  3. 【請求項3】 第一と第二のレンズ面と、側面周囲部と
    から構成される光通信用レンズにおいて、前記側面周囲
    部にのみ金属膜を形成したことを特徴とする光通信用レ
    ンズ。
  4. 【請求項4】 透明板の両面に一対のレンズ凸面を構成
    したことを特徴とする光通信用レンズ。
  5. 【請求項5】 基板上にファイバを実装するためのV溝
    が施され、さらに前記V溝に交差する微細溝が前記V溝
    部表面の少なくとも一部に形成されていることを特徴と
    する光学ベンチ。
  6. 【請求項6】 基板上にV溝が施され、さらに前記V溝
    部表面に金属膜が形成されていることを特徴とする光学
    ベンチ。
  7. 【請求項7】 少なくとも第一の基板と第二の基板とが
    直接に密着積層された構成を有し、前記第一の基板は内
    部に水平導波路と、前記水平導波路の端部に位置し光路
    をほぼ垂直に曲げる反射鏡を配した光屈曲部と、前記光
    屈曲部に続き、かつ厚み方向表面に続く第一の垂直導波
    部とが空洞により形成されており、前記第二の基板は、
    前記第一の基板上に積層されるとともに前記第一の垂直
    導波部の基板表面への露出部分に対向する位置に、前記
    表面から厚み方向内部に続く第二の垂直導波部を空洞に
    より形成されており、前記第一の基板と前記第二の基板
    で構成された積層体の内部に前記第一の基板内から前記
    第二の基板内に厚み方向に貫通した空洞により垂直光路
    が形成されたことを特徴とする立体光路を内蔵する積層
    型光通信モジュール。
  8. 【請求項8】 光導波端面がカーボンまたはフッ素化カ
    ーボンで被覆されていることを特徴とする光通信部品。
  9. 【請求項9】 少なくとも第一の基板と第二の基板とを
    密着積層することにより基板内部に少なくとも一端が外
    部光路に連通する空洞を形成し、前記空洞にメッキ液を
    充填した後空洞から水分を追い出し、該空洞に紫外線硬
    化性樹脂を充填し紫外線により硬化することを特徴とす
    る積層型光通信モジュールの製造方法。
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