JP3759830B2 - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱溶融成形加工性に優れた熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマーなどの熱可塑性エラストマーは、物理的性質、化学的性質や電気的性質などに優れていることから、各種成形法で成形品を得て、幅広い分野で使用されている。
しかしながら、これらの熱可塑性エラストマーを用いて、各種成形法で成形品を得る場合、成形品の形状、成形法などによっては、成形加工温度領域が狭く、加工性が劣るという欠点を有している。例えば、射出成形時に、フローマーク、ヒケ、ソリなどが発生し易い。また、一般的に、ポリアミドエラストマーやポリエステルエラストマーは、加熱溶融温度が低く、押し出し成形時には肉厚が一定になり難い。また、押し出し成形時には、発泡倍率が上がり難い。さらに、ブロー成形時には、偏肉が大きいなどの問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題を背景になされたもので、加熱溶融成形加工性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)ポリアミドエラストマーおよび/またはポリエステルエラストマー(以下「(A)熱可塑性エラストマー」ともいう)50〜99.9重量%、ならびに
(B)芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体からなり、極限粘度が1.5dl/g以上、重量平均分子量/数平均分子量比が3.0を超える共重合体(以下「(B)共重合体」ともいう)50〜0.1重量%〔ただし、(A)+(B)=100重量%〕を主成分とする熱可塑性エラストマー組成物を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる(A)熱可塑性エラストマーのうち、ポリアミドエラストマーとしては、炭素数6以上のアミノカルボン酸もしくはラクタム、またはm+nが12以上のナイロンmn塩などからなるハードセグメントと、ポリオール、例えばポリ(アルキレンオキシド)グリコールなどのソフトセグメントから構成され、かつエラストマー中に占めるハードセグメントの比率が、好ましくは5〜95重量%、さらに好ましくは10〜90重量%、特に好ましくは30〜80重量%のものである。
【0006】
上記炭素数6以上のアミノカルボン酸、ラクタム、またはm+nが12以上のナイロンmn塩などからなるハードセグメントとしては、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナン酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノベルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノカルボン酸;カプロラクタム、ラウリルラクタムなどのラクタム;ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン11,6、ナイロン11,10、ナイロン12,6、ナイロン11,12、ナイロン12,10、ナイロン12,12などのナイロン塩が挙げられる。
なお、ハードセグメントとなる、上記アミノカルボン酸、ラクタム、あるいはナイロン塩に、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミンなどの芳香族ジアミン;テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸の1種または2種以上を30重量%以下程度共重合してもよい。
【0007】
また、上記ポリオールなどのソフトセグメントとしては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および/または1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックまたはランダム共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとのブロックまたはランダム共重合体や、さらに上記ソフトセグメント中に、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン{ビスフェノールA}などのジヒドロキシ化合物を共重合したものも使用することができる。
上記ソフトセグメントの数平均分子量は、好ましくは200〜10,000、さらに好ましくは250〜6,000である。
上記ハードセグメントやソフトセグメントは、それぞれ、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0008】
本発明のポリアミドエラストマーは、ハードセグメントとソフトセグメントの少なくとも一部がブロック共重合していることが必要であり、
▲1▼ソフトセグメント分子の両末端が水酸基である場合、ハードセグメントの分子両末端はカルボキシル基であることが好ましく、
▲2▼ソフトセグメント分子の両末端がカルボキシル化されたものを用いる場合、ハードセグメントの分子両末端はアミノ基であることが好ましく、
▲3▼ソフトセグメント分子の両末端がアミノ化されたものを用いる場合、ハードセグメント分子の両末端はカルボキシル化されたものが好ましい。
特に好ましくは、上記▲1▼の場合であり、ハードセグメントの分子両末端をカルボキシル化する方法としては、ハードセグメント重合時にジカルボン酸化合物過剰で重合するか、または重合後にジカルボン酸化合物を添加するか、さらには両者を併用する方法が挙げられる。ここで使用されるジカルボン酸化合物は、公知の脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などが使用でき、例示すると、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、セバシン酸などが挙げられる。
【0009】
上記ポリアミドエラストマーの還元粘度ηsp/C(ギ酸溶液中、0.5g/100ml、25℃で測定)は、好ましくは0.5〜5.0である。
【0010】
一方、本発明において用いられる(A)熱可塑性エラストマーのうち、ポリエステルエラストマーとしては、ポリエステルをハードセグメントとし、ポリオールをソフトセグメントとするブロック共重合体である。
このうち、ソフトセグメントとして使用されるポリオールとしては、上記したものがすべて使用できる。
本発明のポリエステルエラストマー中に占めるハードセグメントの比率は、好ましくは5〜95重量%、さらに好ましくは10〜90重量%、特に好ましくは30〜80重量%である。
【0011】
上記ハードセグメントのポリエステル成分は、ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物との重縮合、オキシカルボン酸化合物の重縮合、ラクトン化合物の開環重縮合、あるいはこれらの各成分の混合物の重縮合などによって得ることができる。
【0012】
上記ジカルボン酸化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などが挙げられ、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体なども含まれる。また、これらのジカルボン酸化合物は、エステル形成可能な誘導体、例えばジメチルエステルのような低級アルコールエステルの形で使用することもできる。
上記ジカルボン酸化合物は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0013】
上記ジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブテンジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、シクロヘキサンジオール、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン{ビスフェノールA}などが挙げられる。
これらのジヒドロキシ化合物は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0014】
上記オキシカルボン酸化合物としては、オキシ安息香酸、オキシナフトエ酸、ジフェニレンオキシカルボン酸などが挙げられ、これらのアルキル、アルコキシ、あるいはハロゲン置換体も含まれる。
これらのオキシカルボン酸化合物は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
上記ラクトン化合物としては、ε−カプロラクトンなどが用いられる。
【0015】
本発明のポリエステルエラストマーは、ハードセグメントとソフトセグメントの少なくとも一部がブロック共重合していることが必要であり、
▲1▼ソフトセグメント分子の両末端が水酸基である場合、ハードセグメントの分子両末端はカルボキシル基であることが好ましく、
▲2▼ソフトセグメント分子の両末端がカルボキシル化されたものを用いる場合、ハードセグメントの分子両末端がアミノ基であることが好ましく、
▲3▼ソフトセグメント分子の両末端がアミノ化されたものを用いる場合、ハードセグメントの分子両末端はカルボキシル化されているものが好ましい。
特に好ましくは、上記▲1▼の場合であり、ハードセグメントの分子両末端をカルボキシル化する方法としては、ハードセグメント重合時に、ジカルボン酸化合物過剰で重合するか、または重合後にジカルボン酸化合物を添加するか、あるいは両者を併用することなどが挙げられる。
好ましいハードセグメントとしては、テレフタル酸とブタンジオールからなるポリエステル、テレフタル酸とエチレングリコールからなるポリエステルである。
【0016】
本発明で使用されるポリエステルエラストマーの極限粘度〔η〕(o−クロロフェノール溶液中、25℃で測定)は、好ましくは0.3〜3.0dl/gである。
【0017】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物中における上記(A)熱可塑性エラストマーの使用量は、50〜99.9重量%、好ましくは60〜99.7重量%、さらに好ましくは70〜99.5重量%である。50重量%未満では、本発明の(A)成分が本来有している機械的性質が損なわれ好ましくない。一方、99.9重量%を超えると、(A)熱可塑性エラストマーの加工性改良効果が得られない。
【0018】
次に、本発明の組成物に用いられる(B)成分は、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体からなる共重合体である。
ここで、芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロルスチレンなどが挙げられ、これらは1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。好ましくは、スチレンである。
また、シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、これらは、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。好ましくは、アクリロニトリルである。
【0019】
さらに、共重合可能な他のビニル系単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミノアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレートなどのアクリル酸エステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミノメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和酸無水物;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和酸;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのα,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物;グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有不飽和化合物;アクリルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和カルボン酸アミド;アクリルアミン、メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸アミノエーテル、メタクリル酸アミノプロピル、アミノスチレンなどのアミノ基含有不飽和化合物;3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシスチレンなどの水酸基含有不飽和化合物;ビニルオキサゾリンなどのオキサゾリン基含有不飽和化合物などが挙げられる。上記共重合可能な他のビニル系単量体は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0020】
本発明の(B)共重合体中の芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物の使用比率は、着色性と加工性のバランスから、好ましくは、芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物=95〜50/5〜50重量%、さらに好ましくは、75〜65/25〜35重量%、特に好ましくは、73〜69/27〜31重量%である。
また、本発明の(B)共重合体中の上記共重合可能な他のビニル系単量体の割合は、0〜30重量%、好ましくは、0〜20重量%である。
【0021】
本発明の目的とするところは、(A)熱可塑性エラストマーの加工性を向上させることにあり、この目的をより効果的に向上させるためには、好ましくは上記(B)成分中で、上記不飽和酸、エポキシ基含有不飽和化合物、水酸基含有不飽和化合物、およびオキサゾリン基含有不飽和化合物の群から選ばれた少なくとも1種を、(B)成分中に0.1〜15重量%の範囲で共重合したものである。
【0022】
本発明の(B)共重合体は、ジメチルホルムアミドを溶媒として、30℃で測定した極限粘度〔η〕が1.5dl/g以上、好ましくは2.0dl/g以上、さらに好ましくは2.5〜10.0dl/g、特に好ましくは2.5〜5.5dl/gである。極限粘度が1.5dl/g未満では、加工性の改良効果がみられない。なお、極限粘度が高すぎると、分散不良を起こし好ましくない場合がある。
【0023】
また、本発明の(B)共重合体は、分子量分布、すなわち重量平均分子量/数平均分子量比(Mw/Mn)が3.0を超える必要があり、好ましくは4.0以上、さらに好ましくは5.0以上、特に好ましくは5.0〜15.0である。3.0以下では、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を得る際に、(B)成分の分散に長時間を要し好ましくない。また、短時間の溶融混練りの場合、(B)成分の分散が悪くなり、目的とする加工性の改良効果が少ないばかりか、得られる組成物の機械的強度が劣り好ましくない。
ここで、(B)共重合体の重量平均分子量、数平均分子量は、溶媒としてジメチルホルムアミドを用い、ゲル浸透クロマトグラフで測定し、ポリスチレン基準の分子量較正を行った値である。
【0024】
本発明の組成物における(B)共重合体の使用量は、50〜0.1重量%、好ましくは40〜0.3重量%、さらに好ましくは30〜0.5重量%である。50重量%を超えると、(A)熱可塑性エラストマーが本来有している機械的性質が損なわれ好ましくなく、一方、0.1重量%未満では、(A)熱可塑性エラストマーの加工性の改良効果が得られない。
【0025】
本発明の(B)共重合体の上記極限粘度、重量平均分子量、数平均分子量は、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶媒などの種類や量を変えることで制御することができる。また、単量体の添加方法、添加時間、さらに重合時間、重合温度などを変えることによって、制御することができる。ここで、重合方法としては、公知の重合法である乳化重合、溶液重合、懸濁重合、塊状重合、あるいはこれらを組み合わせた重合法が使用できる。
【0026】
本発明に用いられる(B)共重合体は、通常使用されるスチレン系樹脂と比較してかなり分子量の高いものであるが、このような高分子量のものを得る好ましい重合法は、乳化重合である。さらに好ましい重合法は、重合方法として乳化重合を用い、単量体成分を一括または分割添加し重合する方法である。乳化重合には、ラジカル重合開始剤、乳化剤、連鎖移動剤などが用いられる。
ラジカル重合開始剤としては、例えばクメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレイトなどの有機ハイドロパーオキサイド類からなる酸化剤と、含糖ピロリン酸鉄処方、スルホキシレート処方、含糖ピロリン酸鉄処方/スルホキシレート処方の混合処方などの還元剤との組み合わせによるレドックス系の開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレート、2−カルバモイルアザイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの有機過酸化物などを挙げることができ、好ましくは過硫酸カリウムなどの水溶性開始剤である。これらのラジカル重合開始剤の使用量は、使用される単量体成分100重量部に対し、通常、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部程度である。
【0027】
乳化剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、コハク酸ジアルカリエステルスルホン酸ナトリウム、炭素数10〜20の脂肪族カルボン酸のナトリウム塩もしくはカリウム塩、ロジン酸のナトリウム塩もしくはカリウム塩などのアニオン系乳化剤、あるいはポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルなどのノニオン系乳化剤が挙げられ、これらは、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。なお、乳化剤としては、、臨界ミセル濃度の低いものを用いる方法が好ましい。ここで、臨界ミセル濃度としては、30mmol/L以下の乳化剤が好ましく、さらに好ましくは15mmol/L以下のものである。乳化剤の使用量は、上記単量体成分100重量部に対して、通常、0.5〜5重量部である。
【0028】
連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、テトラエチルチウラムスルフィド、四塩化炭素、臭化エチレン、ペンタンフェニルエタンなどの炭化水素塩類、テルペン類、またはアクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコール、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。これら連鎖移動剤は、単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
連鎖移動剤の使用量は、単量体成分100重量部に対し、通常、0〜1重量部用いられる。
【0029】
(B)共重合体の重合に際しては、ラジカル重合開始剤、乳化剤、連鎖移動剤などのほかに、必要に応じて各種電解質、pH調整剤などを併用して、単量体成分100重量部に対して、通常、水を100〜500重量部と、上記ラジカル重合開始剤、乳化剤、連鎖移動剤などを上記範囲内の量使用し、通常、重合温度40〜100℃、好ましくは50〜90℃、重合時間1〜10時間の条件で乳化重合される。
【0030】
本発明に用いられる(B)共重合体は、上記の乳化重合により得られるラテックスを、通常法により凝固させ、得られた粉末を水洗したのち、乾燥することによって精製される。
【0031】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記(A)〜(B)成分を、通常公知の混練り機械、例えば各種押し出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどの公知の混練り機を用い、好ましくは120〜280℃の溶融温度で、混練りすることにより得られる。
【0032】
なお、本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、必要に応じて、公知の安定剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、難燃助剤、発泡剤、着色剤、木粉、紙、無機充填材、酸化防止剤、耐候(光)剤、金属粉、抗菌剤、防カビ剤、シリコーンオイル、カップリング剤などを配合することができる。
【0033】
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、他の公知の重合体を40重量%以下程度、適宜配合することができる。
他の公知の重合体としては、ABS樹脂、MBS樹脂、アクリルゴム系グラフト体、AES樹脂、シリコーンゴム系グラフト体、HIPS、AS、PMMA、PS(ただし、AS、PMMAまたはPSの極限粘度は、1.0dl/g以下)、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーンゴム、フッ素系ゴム、ブチルゴム、ブタジエン系ゴム、エチレン−α・オレフィン系ゴム、無水マレイン酸変性エチレン−α・オレフィン系ゴム、水素添加ブタジエン系エラストマー、無水マレイン酸変性水素添加ブタジエン系エラストマー、NBR、SBR、SIS、SEPS、熱可塑性ポリウレタン、ポリテトラフルフリルエチレン、ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、液晶ポリマーなど挙げられる。
【0034】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、優れた加工性を有することから、各種加工法、例えば(発泡)押し出し成形、ブロー成形、射出成形、カレンダー加工、真空成形もしくは圧空成形、インフレーション成形、積層成形などにより、良好な成形品を得ることができる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り重量部および重量%である。
また、実施例中、各種測定項目は、下記に従った。
【0036】
極限粘度
共重合体を、ジメチルホルムアミドに完全に溶解させ、濃度の異なる5点を作り、ウベローデ粘度管を用い、30℃の各濃度の還元粘度を測定した結果から、極限粘度〔η〕を求めた。
重量平均分子量、数平均分子量
ウォーターズ社製、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC−244)、カラムとして東ソー(株)製、TSK−gel−GMH×1(2)、溶媒としてジメチルホルムアミド、流速0.8ml/分、温度23℃で測定し、ポリスチレン基準で較正した。
【0037】
粘着性評価
熱可塑性エラストマー組成物を用い、ハーケ社製、レオコードシステム90で、下記条件下において混練りしたのち、ローターからの熱可塑性エラストマー組成物の剥がれ易さを下記評価基準で評価した。
<テスト条件>
温度; 200℃
ローター回転数;30rpm
サンプル量; 60g
混練り時間; 10分
【0038】
<評価基準>
◎;ローターへの粘着がほとんど無く、容易にローターから剥がれる。
○;ローターへの粘着が少なく、比較的容易にローターから剥がれる。
×;ローターへの粘着が強く、ローターから剥がれない。
【0039】
成形品表面外観
熱可塑性エラストマー組成物を用い、成形品中央にダイレクトゲートを有する平板を射出成形した。成形品表面のフローマークの状態を、下記の評価基準に従って評価した。
○;フローマークが無く、良好
×;フローマークが有り、不良
【0040】
発泡押し出し成形特性
熱可塑性エラストマー組成物100部に対し、発泡剤としてアゾジカルボンアミド(ADCA)を0.5部配合し、Tダイ付き押し出し機を用いて発泡押し出しし、板状発泡成形品を得て、下記評価基準で評価した。
<外観評価>
○;平滑な表面を有し、外観良好
×;表面が凹凸であり、外観不良
<発泡倍率>
得られた成形品の比重と未発泡押し出しシートの比重から、発泡倍率を求めた。
【0041】
参考例1〔(A)成分の調製〕
A−1;
ε−カプロラクタムと分子量調節剤および分子末端カルボキシル化剤としてアジピン酸を添加重縮合し、融点200℃のナイロン6を得た。
その後、ポリエチレングリコール(数平均分子量1,500)を添加重縮合し、ナイロン6/ポリエチレングリコール重量比=45/55のポリアミドエラストマーを得た。
【0042】
A−2;
ε−カプロラクタムと分子量調節剤および分子末端カルボキシル化剤としてテレフタル酸を添加重縮合し、融点198℃のナイロン6を得た。
その後、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール(数平均分子量1,500)を添加重縮合し、ナイロン6/ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール重量比=40/60のポリアミドエラストマーを得た。
【0043】
A−3;
テレフタル酸ジメチルとブタンジオールを添加重縮合したのち、テレフタル酸ジメチルを添加し、重合反応を停止させた。得られた分子両末端カルボン酸メチルエステルのポリブチレンテレフタレートを得た。その後、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール(数平均分子量1,500)を添加重縮合し、ポリブチレンテレフタレート/ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール重量比=50/50のポリエステルエラストマーを得た。ポリブチレンテレフタレート部の融点は、200℃であった。
【0044】
参考例2〔(B)成分の調製〕
乳化剤としてステアリン酸カリウム、重合開始剤として過硫酸カリウムを用い、単量体としてスチレンとアクリロニトリル、さらに必要に応じて、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、メタクリル酸、またはグリシジルメタクリレートを用い、乳化重合法により、表1の組成、極限粘度〔η〕、重量平均分子量/数平均分子量比(Mw/Mn)の共重合体B−1〜B−10を得た。なお、〔η〕、Mw/Mnは、乳化剤、重合開始剤の使用量、単量体の添加方法を変えて、所望のものを得た。
【0045】
【表1】
【0046】
実施例1〜13、比較例1〜4
上記成分を、表2に示す配合割合で混合し、二軸押し出し機を用いて溶融混練りし、ペレット形状の組成物を得た。
得られたペレットを充分に乾燥し、上記評価方法で粘着性評価、成形品外観評価、発泡押し出し成形評価を行った。結果を表2示す。
【0047】
【表2】
【0048】
表2から明らかなように、本発明の組成物(実施例1〜13)は、加熱溶融成形加工性に優れている。
これに対し、比較例1〜2は、(A)成分の使用量が本発明の範囲外で多く、(B)成分の使用量が本発明の範囲外で少ない組成で、(A)成分の種類を変えた場合であり、粘着性、成形品外観、発泡押し出し成形性に劣る。
比較例3は、(B)成分のMw/Mnが本発明の範囲外であり、粘着性、成形品外観、発泡押し出し成形性に劣る。
比較例4は、(B)成分の〔η〕が本発明の範囲外で低い場合であり、粘着性、成形品外観、発泡押し出し成形性に劣る。
【0049】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、各種加熱溶融加工性に優れており、幅広い分野に有用な成形品を得ることができる。
Claims (1)
- (A)ポリアミドエラストマーおよび/またはポリエステルエラストマー50〜99.9重量%、ならびに
(B)芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体からなり、極限粘度が1.5dl/g以上、重量平均分子量/数平均分子量比が3.0を超える共重合体50〜0.1重量%〔ただし、(A)+(B)=100重量%〕
を主成分とする熱可塑性エラストマー組成物。
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JP29796497A Expired - Lifetime JP3759830B2 (ja) | 1997-09-22 | 1997-10-16 | 熱可塑性エラストマー組成物 |
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JP (1) | JP3759830B2 (ja) |
-
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- 1997-10-16 JP JP29796497A patent/JP3759830B2/ja not_active Expired - Lifetime
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