JP3759745B2 - レジスト組成物及びパターン形成方法 - Google Patents

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本発明は、微細パターンの形成に使用するレジスト組成物に関し、さらに詳しく述べると、アルカリ可溶性の基材樹脂、光酸発生剤及び溶解抑止剤を組み合わせて有する化学増幅型レジスト組成物に関する。本発明はまた、このようなレジスト組成物を使用した微細パターンの形成方法に関する。
半導体装置の製造において、そのスループットを向上するため、微細パターンの形成に使用するレジスト組成物も、パターン形成のための露光を短時間で完了できる高感度なものが求められている。そこで近年、化学増幅型レジストが注目を集めている。化学増幅型レジストとは、周知の通り、その組成中に酸発生剤を含み、発生した酸が触媒的に作用することを利用して高感度化を達成することのできるレジストの総称である。
ここで、本発明に直接関係のある化学増幅型レジストの組成を示すと、アルカリ可溶性の基材樹脂、組成物全体をアルカリ不溶にする溶解抑止剤、そして酸発生剤の組み合わせである。このようなレジスト組成物では、露光のための光の照射によって、まず酸発生剤から酸が生成し、次いでこの酸によって溶解抑止剤が分解せしめられ、当初において該溶解抑止剤の働きによりアルカリ不溶性となっていた組成物全体がアルカリ可溶性に変化する。すなわち、図1に模式図で示した化学増幅レジストの酸触媒反応から理解されるように、化学増幅レジストには、アルカリ可溶性の基材樹脂(表示せず)、溶解抑止基を分子中に有する溶解抑止剤(SIA)及び酸発生剤、ここでは光酸発生剤(PAG)が混在して存在する。この段階で、レジスト組成物はアルカリに不溶である。次いで、このレジスト組成物に露光のための光を照射すると、光酸発生剤の分子内において酸が発生せしめられ、この酸が溶解抑止剤に作用し、その分子から溶解抑止基を切断する。結果として、今まで溶解抑止剤によって維持されてきたレジスト組成物のアルカリ不溶性が解消され、アルカリ可溶性となる。従って、露光後のレジストをアルカリ水溶液で現像した場合はポジ型のレジストパターンが得られ、また、極性の低い有機溶媒で現像した場合はネガ型のレジストパターンが得られる。上記のような組成を有する化学増幅型レジストは、発生した酸が触媒的に作用して多くの反応を引き起こすため、高感度化が可能である。また、かかるレジストが充分な解像性を発揮するためには、このレジスト中にその1構成成分として含有される溶解抑止剤の性能が重要である。特に、ここで使用する溶解抑止剤は、レジストの溶解速度のコントラストを向上し、よって、高められた解像性を達成するために、露光前のレジストのアルカリ溶解を完全に抑止し、但し露光の完了後には分解してアルカリ溶解を促進することが、必要である。
充分な露光コントラストを実現できる高い溶解抑止力(露光前)及び溶解促進力(露光後)を持つ溶解抑止剤は、現在ほとんど知られていない。公知の溶解抑止剤は、特に露光前にアルカリ溶解を抑止する能力が不十分である。例えば、O’Brienらは、非特許文献1において、ナフタレンカルボン酸t−ブチルエステル、t−ブトキシカルボニルオキシナフタレンなどの溶解抑止剤を化学増幅型レジスト中で使用することを提案している。しかし、この文献に記載の溶解抑止剤は、露光前の溶解抑止力が不十分であるため、露光の前後において溶解速度のコントラストをとることができず、従って、得られるレジストパターンにおいて満足し得る解像性を得ることができない。
さらに、溶解抑止剤を改良するためにその他のいろいろな工夫もなされている。例えば、McKeanらは、非特許文献2において、溶解抑止剤の母核を変えること(すなわち、ビスフェノール等の使用)を開示している。また、新規な溶解抑止基、具体的には酸により分解し、アルカリ溶解性を促進する効果をもつ置換基を分子中に導入すること(すなわち、テトラヒドロフラン等の採用)も提案されている。しかしながら、これらの改良された溶解抑止剤も、先に説明した溶解抑止剤と同様、満足し得る溶解速度のコントラスト及び従って解像性を依然としてもたらすに至っていない。
ところで、化学増幅型レジストにおいて、その解像性は、レジスト膜中での酸の拡散距離と連鎖反応距離(酸触媒反応の始点と終点の間の距離)に大きく依存する。酸の拡散は、露光直後はゼロで、時間の経過、触媒反応を進行させるための露光後ベーク(PEB)等のファクタに依存して次第に大きくなっていく。連鎖反応距離も、酸触媒反応の進行に伴い大きく広がっていき、結果として解像性の低下につながる。
このような酸の拡散等に原因する解像性の低下を回避するため、レジストのプリベーク温度を上げてよりレジスト膜を緻密にし、酸の拡散を抑制することにより解像性を向上させる方法が提案されている。しかし、この方法では、酸の拡散はある程度抑制できても、連鎖反応距離を短くすることはできず、従って効果は十分ではない。また、PEBの温度を低下させて連鎖反応距離を短くする方法があるが、これは連鎖反応量を少なくしてしまうため、レジストの感度を極端に低下させ、化学増幅型レジストのメリットが小さくなる。そこで、レジストの解像性を向上するためには、連鎖反応量を減らさずに連鎖反応距離を短くするという、一見矛盾する方法が要求される。
これとは別に、溶解抑止剤を使用する場合、レジスト溶媒に対する溶解性が問題になる。溶解抑止剤の溶媒中の溶解性が低ければ、溶解抑止剤を必要量まで添加することが困難となり、また、レジストの調製後に析出し、トラブルの原因になる。レジスト溶媒には、乳酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等があるけれども、近年、安全性の観点から、その選択肢が減少する傾向にあるため、溶解抑止剤の溶解性はますます大きな課題となりつつある。
また、溶解速度のコントロールを参照した先の説明にも関係することであるけれども、化学増幅型レジストにおいては、それに含まれる溶解抑止剤が組成物全体を充分にアルカリ不溶性にすることが高性能を達成するカギである。実際、組成物のアルカリ溶解性を抑制可能な、特性的に優れた溶解抑止剤は未だに見い出されていない。極性の小さい分子を溶解抑止剤として使用すれば課題の解決になるというわけではなく、基材として用いられるアルカリ可溶性樹脂、例えばノボラック樹脂、ポリビニルフェノール樹脂等の極性基(例えば酸性水酸基等)を、水素結合により溶解抑止剤側に引き寄せる効果がなくてはならない。ここで、溶解抑止剤の分子中に孤立電子対を有する原子が含まれていれば水素結合を誘発可能であるけれども、極性の高い置換基では溶解抑止力が小さくなってしまうという不都合が存在する。
O’Brienら、SPIE,Vol.920,Advances in Resist Technology and Processing V(1988)、42〜50頁 McKeanら、SPIE,Vol.920,Advances in Resist Technology and Processing V(1988)、60〜66頁
本発明の目的は、感度、解像性ともに優れた、微細パターンを形成可能な化学増幅型レジスト組成物を提供することにある。
特に、本発明は、満足し得る溶解速度のコントラスト及び従って解像性の向上をもたらすことのできる化学増幅型レジスト組成物を提供することにある。
本発明は、また、酸の拡散時に連鎖反応量を減らさずに連鎖反応距離を短くして解像性の向上、その他の効果を導くことのできる化学増幅型レジスト組成物を提供することにある。
本発明は、さらにまた、充分な溶解抑止能力を得るのに必要な、レジスト溶媒に対する向上せしめられた溶解性を有する溶解抑止剤を使用した化学増幅型レジスト組成物を提供することにある。
本発明は、さらにまた、分子自身の極性を上げることなく充分な溶解抑止能力を保証し得る水素結合をその分子内で誘発することのできる溶解抑止剤を使用した化学増幅型レジスト組成物を提供することにある。
本発明の目的は、また、感度、解像性ともに優れた、微細パターンを形成可能なレジストパターンの形成方法を提供することにある。
本発明のこれらの目的及びその他の目的は、以下に記載する本発明の詳細な説明から容易に理解することができるであろう。
本発明は、その第1の面において、アルカリ可溶性の基材樹脂、光酸発生剤及び溶解抑止剤を組み合わせて有する化学増幅型レジスト組成物であって、
前記溶解抑止剤が、次式(I)により表される化合物:
Figure 0003759745
(上式において、
Aは、溶解抑止剤分子の母核を構成する環式もしくは非環式構造を完成するのに必要な原子の集まりを表し、
SIGは、それぞれ、同一もしくは異なっていてもよく、前記環式もしくは非環式構造Aに直接的にもしくは間接的に結合しかつ酸の作用によりその構造Aより分離可能な溶解抑止基を表し、そして
mは、前記構造Aに結合した溶解抑止基SIGの数であり、1もしくはそれ以上の整数を表す)であり、
前記溶解抑止剤化合物の構造Aが、併用される基材樹脂のアルカリ可溶部を該溶解抑止剤化合物の分子側に集合させるのに十分な水素結合を誘発可能な少なくとも1個の孤立電子対保有部を有しており、そして
前記電子対保有部が、
(1)次式により表される、二重結合でつながれた酸素原子を含む基(以下、特に「二重結合酸素含有基」と総称する):
Figure 0003759745
(2)次式により表されるアルコキシ又はアルコキシカルボニル基:
Figure 0003759745
及び
(3)塩素、フッ素、沃素及び臭素を含むハロゲン原子
からなる群から選ばれた1員であることを特徴とする、化学増幅型レジスト組成物にある。
本発明のこの化学増幅型レジスト組成物において、前記の二重結合酸素含有基(1)は、好ましくは、同一分子中に少なくとも2個含まれ、また、前記のアルコキシ又はアルコキシカルボニル基(2)は、好ましくは、同一分子中に少なくとも3個含まれ、また、前記のハロゲン原子(3)は、好ましくは、同一分子中に少なくとも3個含まれる。
また、この本発明のレジスト組成物において、前記溶解抑止剤化合物の構造Aは、好ましくは、共役二重結合を含まない環式基である。
さらにまた、前記溶解抑止剤化合物の溶解抑止基SIGは、好ましくは、次式の基:
Figure 0003759745
(上式において、
R1、R2及びR3は、それぞれ、同一もしくは異なっていてもよく、水素を表すかもしくは置換もしくは非置換の置換基、好ましくはメチル基、エチル基、フェニル基、シクロヘキシル基又はシクロペンチル基を表し、そして
R4は、置換もしくは非置換のアルキレン基、好ましくはメチレン基又はエチレン基を表す)からなる群から選ばれた1員である。
本発明の化学増幅型レジスト組成物において、上記した溶解抑止剤等と組み合わせて用いられるアルカリ可溶性の基材樹脂は、好ましくは、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノール−クレゾールノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリカルボキシスチレン及び(又は)ヒドロキシスチレンと炭素−炭素二重結合を含むモノマとの共重合体、カルボキシスチレンと炭素−炭素二重結合を含むモノマとの共重合体、ヒドロキシスチレンとカルボキシスチレンとの共重合体、アセチル化されたベンゼン環を有するシルフェニレンシロキサンポリマ、アセチル化されたベンゼン環を有するシロキサンポリマ、シラノール基を有するシルフェニレンシロキサンポリマ、シラノール基を有するシロキサンポリマ、カルボキシル基又は酸性水酸基を有するシルフェニレンシロキサンポリマ及びカルボキシル基もしくは酸性水酸基を有するシロキサンポリマからなる群から選ばれた1員である。
本発明は、その第2の面において、アルカリ可溶性の基材樹脂、光酸発生剤及び溶解抑止剤を組み合わせて有する化学増幅型レジスト組成物であって、
前記溶解抑止剤が、次式(II)により表される化合物:
Figure 0003759745
(上式において、
Aは、溶解抑止剤分子の母核を構成する環式もしくは非環式構造を完成するのに必要な原子の集まりを表し、
SIGは、それぞれ、同一もしくは異なっていてもよく、前記環式もしくは非環式構造Aに結合基Lを介して間接的に結合しかつ酸の作用によりその構造Aより分離可能な溶解抑止基を表し、そして溶解抑止剤分子中に集中して分布せしめられており、
Lは、前記SIGを前記構造Aに付加する任意の結合基であり、前記SIGごとに独立して存在していてもよく、あるいはそれらの全部もしくは一部に共通して存在していてもよく、但し、相隣れるSIG間に介在する原子の数は4以下であり、そして
nは、前記構造Aに結合した溶解抑止基SIGの数であり、3もしくはそれ以上の整数を表す)であることを特徴とする、化学増幅型レジスト組成物にある。
この化学増幅型レジスト組成物において、前記溶解抑止剤化合物の構造Aは、好ましくは、少なくとも1個の、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、窒素原子及び燐原子からなる群から選ばれた原子を含んでいる。また、前記溶解抑止剤化合物の構造Aは、好ましくは、次式により表される、二重結合でつながれた酸素原子を含む基:
Figure 0003759745
を少なくとも1個含んでいる。
また、前記溶解抑止剤化合物の構造Aは、好ましくは、芳香族基、飽和環式基もしくは鎖式基である。前記構造Aが飽和環式基である場合、その基は、好ましくは、シクロオクチル環、シクロヘプチル環、シクロヘキシル環、シクロペンチル環、シクロブチル環、アダマンチル環、テトラヒドロフラニル環、テトラヒドロチオフェニル環、ジオキサニル環、シクロオクタノニル環、シクロヘプタノニル環、シクロヘキサノニル環、シクロペンタノニル環、シクロブタノニル環、ブチロラクトン環、ピペリジニル環及びピペラジニル環からなる群から選ばれた1員である。
上記の化学増幅型レジスト組成物において、前記溶解抑止剤化合物の溶解抑止基SIGは、好ましくは、先に第1の面を参照して説明したものと同様な基を包含する。
同様に、上記のレジスト組成物において溶解抑止剤等と組み合わせて用いられるアルカリ可溶性の基材樹脂も、好ましくは、先に第1の面を参照して説明したものと同様な基材樹脂を包含する。
本発明は、その第3の面において、アルカリ可溶性の基材樹脂、光酸発生剤及び溶解抑止剤を組み合わせて有する化学増幅型レジスト組成物であって、
前記溶解抑止剤が、次式(III )により表される化合物:
Figure 0003759745
(上式において、
Aは、溶解抑止剤分子の母核を構成する環式もしくは非環式構造を完成するのに必要な原子の集まりを表し、
SIGは、それぞれ、同一もしくは異なっていてもよく、前記環式もしくは非環式構造Aに直接的にもしくは間接的に結合しかつ酸の作用によりその構造Aより分離可能な溶解抑止基を表し、下記の基:
Figure 0003759745
からなる群から選ばれた1員であり、ここで、上式中のR5、R6及びR7は、それぞれ、同一もしくは異なっていてもよく、水素を表すかもしくは任意の置換基を表し、但し、これらの置換基のうちの少なくとも1個は、炭素原子数3以下のハロゲン化アルキル基であり、そして
nは、前記構造Aに結合した溶解抑止基SIGの数であり、3もしくはそれ以上の整数を表す)であり、そしてその分子量が300〜1500であることを特徴とする、化学増幅型レジスト組成物にある。
この化学増幅型レジスト組成物において、それに含まれる溶解抑止剤化合物の構造Aは、好ましくは、ベンゾフェノン、アダマンタン又はシクロヘキサンである。
また、この化学増幅型レジスト組成物に含まれるべきその他の成分に関して、まず、アルカリ可溶性の基材樹脂は、好ましくは、先に第1の面及び第2の面を参照して説明したものと同様な基材樹脂を包含する。また、光酸発生剤は、好ましくは、スルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物、ベンジルトシレート及び含ハロゲン有機化合物を包含する。
さらにまた、本発明は、その第4の面において、下記の工程:
上記したような化学増幅型レジスト組成物を被処理基板上に塗布し、
形成されたレジスト膜を前記レジスト組成物中の溶解抑止剤化合物の分解を誘起し得る結像用放射線、好ましくは電離放射線で選択的に露光し、そして
露光後のレジスト膜をアルカリ水溶液で現像すること、
を含んでなることを特徴とする、レジストパターンの形成方法にある。
以上に説明したような本発明の化学増幅型レジスト組成物において、それを構成する基材樹脂、光酸発生剤、溶解抑止剤等の成分ならびにレジスト組成物の調製のために用いられるレジスト溶媒等は、以下においても明らかにするように、単独で使用してもよく、さもなければ、2種類もしくはそれ以上を混合して使用してもよい。また、これらの成分の化合物は、特に断りのある場合を除いて、非置換であってもよく、さもなければ、任意の置換基で置換されていてもよい。
以下の説明から理解されるように、本発明によれば、化学増幅型レジスト組成物中で使用する溶解抑止剤の溶解速度のコントラストを向上させ、レジスト溶媒に対する溶解性も改良したので、感度、解像性ともに優れた、微細パターン形成用レジストを提供することができる。また、本発明によれば、このような新規なレジストを使用することを通じて、半導体装置等の製造において有用な微細なレジストパターンを形成することができる。
以下、本発明をその好ましい実施の形態を参照して説明する。なお、本発明はこれらの形態のみに限定されるものではないことを理解されたい。
本発明者らは、「発明が解決しようとする課題」の項に記載の問題点を解決すべく鋭意研究の結果、「背景技術」の項に記載のように充分な溶解抑止能力が得られない理由は、使用する溶解抑止剤分子の側に基材樹脂のアルカリ可溶部(水酸基及びカルボキシル基)が集合しないためであるという知見を得た。すなわち、水素結合により、基材樹脂のアルカリ可溶部を溶解抑止剤分子側に集めることができれば、レジスト全体のアルカリ溶解速度が低下し、充分なコントラストがとれるはずである。
しかし、ここで適当な溶解抑止剤として想到されるナフタレンカルボン酸t−ブチルエステル、t−ブトキシカルボニルオキシナフタレン等は、所期の水素結合が起こりにくいため、抑止能力が発揮されない。カルボン酸エステルやt−ブトキシカルボニルオキシ基は、水素結合しやすいC=Oを有しているというものの、本発明者らの研究によれ、t−ブチル基等の大きな置換基が近くに存在すると、水素結合誘発の効果はほとんど期待することができない。そこで、本発明者らは、使用する溶解抑止剤において、その分子中、溶解抑止を受け持つ溶解抑止基以外の部分に、水素結合を誘発する機能を付与すれば、所期の目的を達成し得るということを見いだした。
より具体的には、前式(I)により表される溶解抑止剤化合物において、その溶解抑止基SIG以外の部分に、すなわち、母核を構成する環式もしくは非環式構造Aの部分に、水素結合を誘発する孤立電子対(本願明細書では、特に「孤立電子対保有部」と呼ぶ)を含ませればよい。ここで、適当な孤立電子対保有部は、例えば、前記したように、(1)二重結合でつながれた酸素原子を含む基、(2)例えばメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ又はアルコキシカルボニル基、そして(3)塩素、フッ素、沃素、臭素等のハロゲン原子である。
ここで、孤立電子対保有部としてアルコキシ又はアルコキシカルボニル基あるいはハロゲン原子を導入する場合には、充分な水素結合を惹起するため、同一の溶解抑止剤分子内に最低3個のそのような基又は原子を存在させることが推奨される。また、酸素原子が二重結合でつながれた形の基を溶解抑止剤分子の母核中に導入すると、電気陰性度の関係で、その導入された基の酸素原子側に電子が引きつけられ、さらに水素結合誘発の効果が大きくなる。但し、ここで充分な水素結合を起こすには、同一分子内に最低2個のこのような構造が存在する必要がある。
本発明の実施において、前式(I)により表される溶解抑止剤化合物の分子の母核構造Aは特に限定されるものではなく、したがって、環式もしくは非環式のいずれであってもよい。ところで、ここで採用する母核構造Aがもしも共役二重結合を含まない環式構造であれば、高いエッチング耐性を示し、紫外線の吸収も少ないので、得られるレジスト組成物をフォトレジストとして利用する場合に特に好都合である。適当な母核構造Aの一例を列挙すると、シクロオクチル環、シクロヘプチル環、シクロヘキシル環、シクロペンチル環、シクロブチル環、アダマンチル環、テトラヒドロフラニル環、テトラヒドロチオフェニル環、ジオキサニル環、シクロオクタノニル環、シクロヘプタノニル環、シクロヘキサノニル環、シクロペンタノニル環、シクロブタノニル環、ブチロラクトン環、ピペリジニル環、ピペラジニル環などである。なお、これらの環式構造を化学式で示すと、次の通りである:
Figure 0003759745
Figure 0003759745
また、この溶解抑止剤化合物の分子中に置換基として導入される溶解抑止基SIGも、特に限定されるものではない。したがって、溶解抑止基SIGは、この技術分野において一般的に用いられている溶解抑止基のなかから、所望とする溶解抑止剤に適合したものを任意に選択して導入することができる。適当な溶解抑止基SIGは、先に一般式をあげて説明した基SIG−1〜SIG−10を包含する。この溶解抑止基SIGは、先にも述べたように、1個のみが導入されていてもよく、必要に応じて、2個もしくはそれ以上が組み合わせ導入されていてもよい。後者の場合、SIGの組み合わせは任意である。
したがって、本発明の実施において有利に用いることのできる溶解抑止剤SIAは、その一例を示すと、次式により表される化合物である:
Figure 0003759745
ここで、SIA−1、SIA−2、SIA−3及びSIA−4は、それぞれ、以下に示すような出発物質から常法に従って合成することができる。
Figure 0003759745
Figure 0003759745
Figure 0003759745
Figure 0003759745
さらに、上記した溶解抑止剤等と組み合わせて用いられるアルカリ可溶性の基材樹脂も、特に限定されるものではない。したがって、アルカリ可溶性の基材樹脂は、この技術分野において常用の樹脂のなかから適当なものを任意に選択して、単独もしくは組み合わせて使用することができる。適当な基材樹脂は、以下に列挙するものに限定されるものではないけれども、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノール−クレゾールノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリカルボキシスチレン及び(又は)ヒドロキシスチレンと炭素−炭素二重結合を含むモノマとの共重合体、カルボキシスチレンと炭素−炭素二重結合を含むモノマとの共重合体、ヒドロキシスチレンとカルボキシスチレンとの共重合体、アセチル化されたベンゼン環を有するシルフェニレンシロキサンポリマ、アセチル化されたベンゼン環を有するシロキサンポリマ、シラノール基を有するシルフェニレンシロキサンポリマ、シラノール基を有するシロキサンポリマ、カルボキシル基又は酸性水酸基を有するシルフェニレンシロキサンポリマ、カルボキシル基もしくは酸性水酸基を有するシロキサンポリマ、その他を包含する。なお、これらの基材樹脂のうちのいくつかを化学式で示すと、次の通りである:
Figure 0003759745
Figure 0003759745
Figure 0003759745
Figure 0003759745
Figure 0003759745
さらにまた、溶解抑止剤、基材樹脂等と組み合わせて用いられる光酸発生剤PAGも、この技術分野において常用の物質のなかから適当なものを任意に選択して、単独もしくは組み合わせて使用することができる。すなわち、ここで用いられる光酸発生剤PAGは、レジストの化学において一般的に用いられている光酸発生剤、すなわち、紫外線光、遠紫外線光、真空紫外線光、電子線、X線、レーザ光などの結像用放射線の照射によりプロトン酸を生じる物質であることができる。適当な光酸発生剤PAGは、例えば、オニウム塩、スルホン酸エステル、ハロゲン化炭化水素、その他である。適当なオニウム塩としては、トリフェニルスルホニウムトリフレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(メトキシフェニル)スルホニウムトリフレート、トリス(メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(メトキシフェニル)ヨードニウムトリフレート、ビス(メトキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。適当なスルホン酸エステルとしては、ベンゾイルトシレート、ニトロベンジルトシレート、ジニトロベンジルトシレート、ピロガロールトリメシレート等が挙げられる。適当なハロゲン化炭化水素としては、トリス(トリクロロメチル)トリアジン、テトラブロモビスフェノール−A、トリス(ジブロモプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。なお、これらの化合物を化学式で示すと、次の通りである:
Figure 0003759745
Figure 0003759745
Figure 0003759745
Figure 0003759745
上記したような化学増幅型レジスト組成物に加えて、本発明者らは、いま1つの種類の化学増幅型レジスト組成物も見いだした。このレジスト組成物は、前記「従来の技術」の項に記載の従来の技術の問題点を克服して、溶解抑止能力及びレジスト溶媒に対する溶解性を向上させたことが特徴である。ここで使用し得る溶解抑止剤は、一般式(II)を参照して前記したように、母核構造として環式もしくは非環式構造A、溶解抑止基SIG及び結合基Lを含んで構成されるものである。
1.溶解抑止能力の向上
溶解抑止剤の能力は、本発明に従うと、その1分子中に複数個の溶解抑止基(先に説明したように、溶解抑止剤の分子中にあって酸により分解可能な、その際、分解前はレジストの溶解度を下げ、分解後は逆に溶解度を上げる置換基)を有するような溶解抑止剤、いわゆる「多官能型溶解抑止剤」を使用することにより向上することができる。より具体的には、本発明の実施において溶解抑止剤中に導入して有利に使用することのできる溶解抑止基は、その1例を挙げると,先に列挙したSIG−1〜SIG−10である。なお、先にも述べたように、溶解抑止基は、これらの基以外の公知の基であってもよい。
溶解抑止剤において、上記したよう溶解抑止基は、好ましくは、同一分子中に3個以上含まれ、しかもそれらの基が分子中に集中して存在するように、分子設計される。
上記したような溶解抑止基は、極性が低く、アルカリ水溶液に対するレジストの溶解性を抑制する効果がある。しかし、この基に対して酸が作用すると、下記のようにその一部分が分解し、酸性水酸基あるいはカルボン酸基が発生する。
Figure 0003759745
酸性水酸基あるいはカルボン酸基は、レジスト中に放出された場合、そのレジストのアルカリ溶解性を高める働きがある。そのため、レジスト膜の露光部はアルカリ水溶液に溶解し(有機溶媒には不溶化し)、ポジパターンが形成できる。ここで、アルカリ水溶液に代えて有機溶媒を用いて現像を行うと、ネガパターンが形成できる。
本発明では、上記のようにしてレジスト膜中に酸性水酸基あるいはカルボン酸基を放出させる際に、溶解抑止剤の同一分子内に多数の溶解抑止基が集中して存在しているので、レジスト膜中に含まれる溶解抑止剤自体は少量でも、レジスト全体をアルカリ不溶性にすることが可能になる。すなわち、かかるレジストは、高められた溶解抑止力を有することとなる。そのため、レジスト膜内での溶解抑止剤の分子同士は、距離が離れ、反応するのは少数の分子だけで、多くの分子が反応して連鎖反応距離が長くなることはない。また、同一分子内に多数の溶解抑止基が存在するので、連鎖反応距離が短くても連鎖反応量は少なくはならない(図2を参照されたい)。このような効果により、本発明のレジスト組成物を使用すると、解像性の向上のみでなく、分解反応が速やかに進行することの結果として感度の向上も可能になり、スループットの向上が期待できる。
さらに、上記のような効果をさらに大きくするためには、隣接する前述の溶解抑止基の3個もしくはそれ以上が、互いに4個以下の原子を経由し集中して分子中に存在するように、分子の設計を行うことが望ましい(一例として、次式を参照されたい)。
Figure 0003759745
上式のような溶解抑止剤では、その母核構造A及び溶解抑止基SIGをつなぐ結合基を参照すると、相隣れる溶解抑止基SIGをつなぐ原子は、それぞれ、2個及び3個(4個以下)である。なお、ここでは、溶解抑止基SIG間をつなぐ原子として炭素原子のみを示してあるけれども、結合基に含まれる原子は、当然のことながら、それ以外の原子であってもよい。
ところで、同一分子中に多数の溶解抑止基を持つ溶解抑止剤を使う公知例として、Kwang−Duk Ahnらが、6個の溶解抑止基を持つ溶解抑止剤を発表しているが(Journal of Photopolymer Science and Technology,Vol.5,No.1,1992,67)、彼らが発表している溶解抑止剤は、7個の6員環で構成されている大きな分子で、しかも溶解抑止基同士はかなり離れているため、本発明による上記のような顕著な効果は期待できない。
溶解抑止剤の性能をさらに向上させるためには、その溶解抑止剤の分子中に酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(塩素、フッ素、沃素、臭素)、窒素原子、燐原子のうちのどれかを、少なくとも1個、溶解抑止基以外の部分に含ませることが望ましい。これらの原子の配置場所は、より具体的には、前記した一般式(II)の母核構造Aの部分である。これらの原子が保有する孤立電子対は、アルカリ可溶性樹脂の水酸基、カルボキシル基などの酸性基を溶解抑止剤付近に集中させて、その樹脂との水素結合を促進する働きがある。そのため、かかるレジストでは、露光前はレジスト全体がアルカリ現像液に極めて溶けにくくなり、コントラストが大きくなり,膜減りの心配もなくなる。同じ理由で、先に具体的に示した二重結合酸素含有基(二重結合でつながれた酸素原子を含む基)が分子中に存在すれば、それらの基の中に含まれる酸素原子の孤立電子対により、同様の効果を得ることができる。これらの置換基は、電気陰性度の関係で酸素原子側に電子が偏りやすく、水素結合の誘発にはさらに好都合である。
2.レジスト溶媒に対する溶解性の向上
現在明らかとなっている溶解抑止剤は、その大きな理由はコンベンショナルなレジストのための溶解抑止剤が光分解性(酸分解性ではない)であることに因ると考えられるけれども、その分子中に芳香環を含むものが多い。しかし、ベンゼン環やナフタリン環等の芳香環に溶解抑止基が直接に結合したものは、基本的に前述のレジスト溶媒に対する溶解性が極めて低い。例えば、常用の溶解抑止剤である1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリ−t−ブチルエステルは、レジスト溶媒としての乳酸エチル100 %に対してわずか1 %も溶解しない。これは、記載の溶解抑止剤の分子構造が剛直で対称性が高いために、比較的に大きな極性を有する乳酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノエチルアセテート等のレジスト溶媒には難溶になることに起因している。
本発明者らは、この問題を解決すべく鋭意研究の結果、溶解抑止剤の分子中に母核構造として芳香環あるいは芳香族基が含まれかつそれに対して溶解抑止基が結合するような場合、芳香環と溶解抑止基の間に1個もしくはそれ以上の原子をはさみ、剛直な分子構造を柔軟にするのが効果的であるということを見出した。また、母核構造として、芳香環の代わりに飽和環式基を使うこともできる。有用な飽和環式基の一例として、先に母核構造Aの一例として列挙したもの、例えば、シクロオクチル環、シクロヘプチル環、シクロヘキシル環、シクロペンチル環、その他を挙げることができる。これら及びその他の飽和環式基は、芳香環に比べて柔軟性に富み、レジスト溶媒に対する溶解性も大である。加えて、飽和環式基は、紫外線吸収が小さいので、光リソグラフィにも有利である。ところで、今まで芳香環が多く使われてきた理由の一つに、エッチング耐性が高いということが考えられる。しかし、飽和環式基を使用しても、遜色のない高いエッチング耐性が得られ、また、本発明の多官能型溶解抑止剤は少量の添加で高い抑止効果を奏することができるので、特に溶解抑止剤自身のエッチング耐性にこだわる必要はない。さらに、分子中に含まれる母核構造が鎖式基であっても、特に問題はない。
また、溶解抑止能力を増大させる効果をもつ酸素、硫黄、ハロゲン、窒素、燐等の原子あるいは前記した二重結合酸素含有基等の置換基の存在は、乳酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノエチルアセテート等のレジスト溶媒への溶解性を促進する効果もあり(溶媒和を誘発するため)、溶解抑止剤析出等のトラブルを回避することができる。特に、溶解抑止剤の分子を構成する母核構造として飽和環式基を導入し、さらにこの母核構造に対して酸素、硫黄、ハロゲン、窒素、燐等の原子あるいは前記した二重結合酸素含有基等の置換基を結合させるのが好ましい。例えば、このような好ましい飽和環式基は、テトラヒドロフラニル環、テトラヒドロチオフェニル環、ジオキサニル環、シクロオクタノニル環、シクロヘプタノニル環、シクロヘキサノニル環、シクロペンタノニル環、シクロブタノニル環、ブチロラクトン環、ピペリジニル環、ピペラジニル環などを包含する。
以上、溶解抑止能力の向上とレジスト溶媒に対する溶解性の向上の両面から有用な本発明のレジスト組成物を説明したけれども、かかるレジスト組成物中において有利に使用することのできる溶解抑止剤は、例えば、以下に列挙するものに限定されないけれども、次のような化合物を包含する。なお、以下に示す化学式において、式中のSIGは、溶解抑止基を意味し、また、Meはメチル基を意味する。
Figure 0003759745
Figure 0003759745
また、これらの溶解抑止剤化合物をより具体的に示すと、次のような化合物を包含する。なお、以下に示す化学式中のtBuは、t−ブチル基を意味する。
Figure 0003759745
Figure 0003759745
Figure 0003759745
ここで、SIA−6〜SIA−14は、それぞれ、以下に示すような出発物質から常法に従って合成することができる。
Figure 0003759745
Figure 0003759745
Figure 0003759745
Figure 0003759745
Figure 0003759745
Figure 0003759745
Figure 0003759745
Figure 0003759745
Figure 0003759745
さらに、上記した溶解抑止剤と組み合わせて用いられるアルカリ可溶性の基材樹脂及び光酸発生剤も、特に限定されるものではない。したがって、これらの物質は、この技術分野において常用の物質のなかから適当なものを任意に選択して、単独もしくは組み合わせて使用することができる。適当な物質の例は、すでに具体的に説明してあるので、ここでの説明を省略する。
本発明者らはさらに、上記したような化学増幅型レジスト組成物の他に、いま1つの種類の有用な化学増幅型レジスト組成物も見いだした。このレジスト組成物は、以下の説明からより明らかになるように、その組成物のアルカリ溶解を抑制可能な高性能な溶解抑制剤を使用したことが特徴である。ここで使用し得る溶解抑止剤は、一般式(III )を参照して前記したように、母核構造としの環式もしくは非環式構造A及び溶解抑止基SIGを含んで構成されるものである。
本発明者らは、溶解抑止力の低下を回避しつつアルカリ可溶性の基材樹脂の極性基を水素結合により溶解抑止剤側に引き寄せる効果を導くという課題を解決するためには、溶解抑止剤中にハロゲン原子が存在すると非常に好都合であるということを見出した。溶解抑止剤中にハロゲン原子が存在すると、充分な水素結合を誘発しながら、分子自身の極性はあまり上がらないので、充分な溶解抑止能力も達成することができる。ここで、溶解抑止剤中へのハロゲン原子の導入は、いろいろな形で有利に行うことができるというものの、本発明者らの知見によれば、溶解抑止剤の溶解抑止基の中にハロゲン原子が含まれていると、アルカリ可溶性樹脂の極性基がより効率よくブロックされ、溶解抑止効果が高められる。特に適当な溶解抑止基は、その一例を示すと、先に一般式を参照して説明したSIG−11〜SIG−14である。これらの溶解抑止基は、置換基R5、R6及びR7を有していて、そのうちの少なくとも1つの基が、炭素原子数3以下のハロゲン化アルキル基、例えば、塩素化メチル基、塩素化エチル基、その他である。その他の置換基R5、R6及びR7は、任意であって、例えば、水素原子を表すかもくしは先に説明したR1〜R3と同様な基を表すことができる。
本発明を実施するに当たって、充分な溶解抑止力を発揮させるためには、例えば上記したような置換基SIG−11〜SIG−14が、同一分子中に少なくとも3個含まれるのが好ましい。この溶解抑止基SIGの数が少ない場合、その分解の前後における溶解速度の差が小さくなり、コントラストの低下につながるであろう。
また、例えばSIG−11〜SIG−14のような置換基(1個)中の水素原子とハロゲン原子の比は、通常、15:1〜1:1の範囲内であるのが望ましい。もしもハロゲン原子が15:1の比よりも少ない量で存在すると、前述の水素結合促進の効果が現れず、また、反対に1:1よりも多い量で存在すると、水素原子が不足するため、化学増幅効果が現れにくい。すなわち、次式に示す酸分解反応におけるプロトンの挙動から理解されるように、酸で分解可能な溶解抑止基中の水素原子は、触媒的に作用する酸の源となっているからである。
Figure 0003759745
このような溶解抑止基は、溶解抑止剤の形成のため、いろいろな環式もしくは非環式の母核構造に直接的にもしくは間接的に結合することができる。適当な母核構造は、先に具体的に説明したような環式の構造、特に、ベンゾフェノン、アダマンタン又はシクロヘキサンである。これらの環式構造は、すぐれたエッチング耐性を奏することができる。
本発明の実施において有利に使用することのできる溶解抑止剤は、例えば、以下に列挙するものに限定されないけれども、次のような化合物を包含する。
Figure 0003759745
Figure 0003759745
また、これらの溶解抑止剤化合物SIA−15〜SIA−18は、それぞれ、以下に示すような出発物質から常法に従って合成することができる。
Figure 0003759745
Figure 0003759745
Figure 0003759745
Figure 0003759745
さらに、上記した溶解抑止剤と組み合わせて用いられるアルカリ可溶性の基材樹脂は、この技術分野において常用の樹脂のなかから適当なものを任意に選択して、単独もしくは組み合わせて使用することができる。適当な樹脂の例は、すでに具体的に説明してあるので、ここでの説明を省略する。同時に用いられる光酸発生剤も同様である。先に具体的に説明したような物質のなかから、適当なものを任意に選択して使用することができる。光酸発生剤は、好ましくは、スルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物、ベンジルトシレート及び含ハロゲン有機化合物である。
本発明による化学増幅型レジスト組成物において、上記したような基材樹脂、光酸発生剤及び溶解抑止剤の添加量は、それぞれ、広い範囲にわたって変更することができる。例えば、レジスト組成物中に含まれる基材樹脂の量を100重量%とした時、光酸発生剤の量は、好ましくは、約1〜30重量%、そして溶解抑止剤は、好ましくは、5〜40重量%である。上記の成分は、それぞれ、必要に応じて、上記した範囲外の添加量で使用してもよい。
また、本発明の化学増幅型レジスト組成物は、上記したような基材樹脂、光酸発生剤及び溶解抑止剤に加えて、その組成物の特性等を改良するのに適当であるならば、任意の追加の成分を含有していてもよい。適当な追加の成分として、例えば、塗布性改善のための界面活性剤、感度向上のための増感剤、光吸収を変えてパターン形状を改善するための色素などを挙げることができる。また、このレジスト組成物は、通常、溶液の形で用いられる。レジスト溶液を調製するのに適当なレジスト溶媒は、レジスト中に含まれる成分、レジスト溶液の塗布条件、その他のファクタに応じていろいろに変更し得るというものの、好ましくは、例えばシクロヘキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチルなどの有機溶媒である。
本発明による化学増幅型レジスト組成物を使用すると、感度及び解像性の両面に優れた微細なレジストパターンを形成することができる。このパターン形成方法は、好ましくは、次のような工程によって実施することができる。すなわち、上記したような化学増幅型レジスト組成物を被処理基板上に塗布し、形成されたレジスト膜を前記レジスト組成物中の溶解抑止剤化合物の分解を誘起し得る結像用放射線、好ましくは電離放射線で選択的に露光し、そして露光後のレジスト膜をアルカリ水溶液で現像する。また、かかるレジストパターンは、記載のような方法によって得られる単層レジストパターンばかりでなく、必要に応じて、多層レジストパターンであってもよい。特に、上層レジストとしてシリコーン系樹脂を使用した場合、2層レジストパターンを有利に形成することができる。
レジストパターンを形成するに当たって、先ず、調製した化学増幅型レジストの溶液を被処理基板上に塗布する。ここで使用する被処理基板は、半導体装置及びその他の装置において通常用いられているいかなる基板であってもよく、具体的には、シリコン、酸化膜、ポリシリコン、窒化膜、アルミニウムなどをあげることができる。これらの基板は、すでに回路が作りこまれていても、あるいは作りこまれていなくてもよい。これらの基板は、場合によっては、レジストとの密着性を向上させるために、例えばヘキサメチルジシラザン(HMDS)などのような密着促進剤で前処理しておくことが好ましい。
レジスト溶液の塗布は、スピンコータ、ディップコータ、ローラコータなどのような常用の塗布装置を使用して行うことができる。形成されるレジスト膜の膜厚は、そのレジスト膜の使途などのファクタに応じて広く変更し得るというものの、通常約0.3〜2.0μmの範囲である。
次いで、形成されたレジスト膜を、それに結像用放射線を選択的に露光する前に、約60〜150℃、好ましくは約60〜100℃の温度で約60〜180秒間にわたってプリベークすることが推奨される。このプリベークには、例えばホットプレートのような加熱手段を用いることができる。
また、もしもレジスト膜の上にさらにトップコート膜(保護膜)を施すような場合には、例えば、オレフィン樹脂の溶液をスピンコート法によりレジスト膜上に塗布し、100℃前後の温度でベーキングを行うことによって、トップコート膜とすることができる。
レジスト膜のプリベーク後、そのレジスト膜を常用の露光装置で結像用放射線に選択露光する。適当な露光装置は、市販の紫外線(遠紫外線・真空紫外線)露光装置、X線露光装置、電子ビーム露光装置、エキシマステッパ、その他である。露光条件は、その都度、適当な条件を選択することができる。この選択露光の結果、レジスト膜に含まれる光酸発生剤から酸が発生せしめら、溶解抑止剤の分解が惹起される。
次いで、露光後のレジスト膜を露光後ベーク(PEB;Post Exposure Bake)することによって、酸を触媒とした保護基の脱離反応を生じさせる。この露光後ベークは、先のプリベークと同様にして行うことができる。例えば、ベーク温度は約60〜150℃、好ましくは約100〜150℃である。なお、トップコート膜を併用している場合には、この露光後ベークの後であって現像の前、例えば有機溶剤によってそれを剥離除去する。
露光後ベークを完了した後、露光後のレジスト膜を適当なアルカリ水溶液で常法に従って現像する。現像液としてのアルカリ水溶液は、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)等のアンモニウム化合物を水に溶解することにより調製することができる。溶解するアンモニウム化合物又はその他の現像剤の濃度は、広く変更することができるけれども、一般的に約0.1〜15重量%の範囲、好ましくは約0.1〜10重量%の範囲である。現像時間は、これも特に限定されるわけではないけれども、一般的に約1〜5分間の範囲、好ましくは約1〜3分間の範囲である。現像の結果、レジスト膜の露光域が溶解除去せしめられて、所望とするポジ型のレジストパターンを得ることができる。最後に、得られたレジストパターンを常法に従って純水でリンスし、そして乾燥する。
次いで、本発明をその実施例を参照して詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではないことを理解されたい。また、下記の表に記載する溶解抑止剤の添加量は、それぞれ、基材樹脂に対する重量%である。
例1
溶解抑止剤SIA−1の調製
クロレンド酸25g(0.064モル) と酢酸t−ブチル 150g(0.64 モル) の混合物に BF3・Et2O 3.7g(0.013モル) を加え、室温で24時間攪拌した。その後、炭酸水素ナトリウムで中和し、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレータで残りの酢酸t−ブチルを除去した。さらにメタノールで再結晶することにより、目的とする溶解抑止剤SIA−1を得た。
レジストパターンの形成
上記のようにして調製した溶解抑止剤SIA−1を、下記の第1表に記載の基材樹脂1g及び光酸発生剤であるトリフェニルスルホニウムトリフレート 0.05gとともに乳酸エチル 9gに溶解し、0.2 μm のメンブランフィルタで濾過した。得られたレジスト溶液をシリコンウェハ上に膜厚0.7 μm になるように塗布し、乾燥した。得られた試料を、I線、KrFエキシマレーザ及び電子線を露光源として、常法に従ってパターン露光した。この試料を、露光直後に、ホットプレート上で90℃で2分間ベークし、さらに2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で1分間浸漬現像した。ポジ型のレジストパターンが得られた。得られたレジストパターンを感度及び解像性に関して評価したところ、次の第1表に記載の結果が得られた。
Figure 0003759745
上記第1表の結果から理解されるように、試験に供したどのレジストも高感度及び高解像性を示している。さらに付け加えると、実際に解像するパターンとマスクのサイズの差、あるいは電子ビームの大きさの差がほとんどなく、連鎖反応距離が短いことをうかがわせる。また、溶解抑止剤SIA−1の添加量は10%以下と非常に少なく、溶解抑止力が大きいことがわかる。
例2
溶解抑止剤SIA−2の調製
2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン2.3 g(0.01 モル) を溶解したテトラヒドロフラン(THF)200 ml中に、t−ブトキシカリウム2.2 g(0.02 モル) を溶解したテトラヒドロフラン50mlを滴下しつつ、室温で2時間攪拌し、生成物をエーテルで抽出した。目的とする溶解抑止剤SIA−2を得た。
レジストパターンの形成
得られた溶解抑止剤SIA−2を使用して前記例1に記載の手法を繰り返した。レジスト溶液を調製し、パターン形成を行った。得られたレジストパターンを感度及び解像性に関して評価したところ、次の第2表に記載のような結果が得られた。
Figure 0003759745
上記第2表の結果から理解されるように、高感度、高解像性が得られることは前記例1に同じである。
例3
溶解抑止剤SIA−3の調製
3,4,5−トリメトキシ安息香酸クロリド2.3 g(0.01 モル) を溶解したTHF300 ml中に、リチウムトリメチルシラノレート0.96g(0.01 モル) を溶解したTHF50mlを室温で滴下し、2時間攪拌した。その後、濾過して溶媒を除去し、水で洗浄した。目的とする溶解抑止剤SIA−3を得た。
レジストパターンの形成
得られた溶解抑止剤SIA−3を使用して前記例1に記載の手法を繰り返した。得られたレジストパターンを感度及び解像性に関して評価したところ、次の第3表に記載のような満足し得る結果が得られた。
Figure 0003759745
例4
溶解抑止剤SIA−4の調製
3,4−ジヒドロキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン1.1 g(0.01 モル) 、ピリジン1.6 g(0.02 モル) 及びTHF200 mlの混合溶液に、トリフェニルメチルクロリド 5.6g(0.02 モル) のTHF50ml溶液を室温で滴下し、2時間攪拌した。その後、濾過して溶媒を除去し、水で洗浄した。目的とする溶解抑止剤SIA−4を得た。
レジストパターンの形成
得られた溶解抑止剤SIA−4を使用して前記例1に記載の手法を繰り返した。得られたレジストパターンを感度及び解像性に関して評価したところ、次の第4表に記載のような満足し得る結果が得られた。
Figure 0003759745
また、得られた溶解抑止剤SIA−4を使用して、但し、上記において使用した光酸発生剤トリフェニルスルホニウムトリフレート 0.05 gの代わりに2,6−ジニトロベンジルトシレート0.05gを使用した。得られたレジストパターンの感度及び解像性を次の第5表に示す。
Figure 0003759745
例5
溶解抑止剤SIA−6の調製
テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸 2.5g(0.01 モル) 及び5塩化燐8.3 g(0.04 モル) を、クロロベンゼン100ml とともに窒素気流下で45分間攪拌し、そのまま徐々に100 ℃まで昇温し、6時間攪拌を行った。その後、溶液を110 ℃に熱して、生成した塩化ホスホリル(POCl3) を除去し、さらに減圧下、クロロベンゼンを蒸留除去した。このようにして調製したテトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸クロリドをTHFに溶解し、リチウムt−ブトキシド3.2 g(0.04 モル) を溶解した300ml のTHFに窒素気流下で滴下した。その後、溶媒を除去し、エーテルで抽出し、そして水で洗浄した。目的とする溶解抑止剤SIA−6を得た。
レジストパターンの形成
上記のようにして調製した溶解抑止剤SIA−6を、下記の第6表に記載の基材樹脂1g及び光酸発生剤であるトリフェニルスルホニウムトリフレート 0.05gとともに乳酸エチル 9gに溶解し、0.2 μm のメンブランフィルタで濾過した。得られたレジスト溶液をシリコンウェハ上に膜厚0.7 μm になるように塗布し、乾燥した。得られた試料を、I線、KrFエキシマレーザ及び電子線を露光源として、常法に従ってパターン露光した。この試料を、露光直後に、ホットプレート上で90℃で2分間ベークし、さらに2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で1分間浸漬現像した。ポジ型のレジストパターンが得られた。得られたレジストパターンを感度及び解像性に関して評価したところ、次の第6表に記載の結果が得られた。
Figure 0003759745
上記第6表の結果から理解されるように、試験に供したどのレジストも高感度及び高解像性を示している。さらに付け加えると、実際に解像するパターンとマスクのサイズの差、あるいは電子ビームの大きさの差がほとんどなく、連鎖反応距離が短いことをうかがわせる。また、溶解抑止剤SIA−6の添加量は10%以下と非常に少なく、溶解抑止力が大きいことがわかる。
例6
溶解抑止剤SIA−7の調製
クエン酸3銀塩5.1 g(0.01 モル) を入れたエーテル200 ml中に沃化t−ブチル5.5 g(0.03 モル) を滴下し、室温で2時間攪拌し、生成物をエーテルで抽出した。得られたクエン酸トリt−ブチルエステルとピリジン2.4 g(0.03 モル) 及びTHF300 mlの混合溶液に、THF50 ml に溶解した塩化トシル5.7 g(0.03 モル) を室温で滴下し、2時間攪拌した。その後、混合物を濾過して溶媒を除去し、水で洗浄した。目的とする溶解抑止剤SIA−7を得た。
レジストパターンの形成
得られた溶解抑止剤SIA−7を使用して前記例5に記載の手法を繰り返した。得られたレジストパターンを感度及び解像性に関して評価したところ、次の第7表に記載のような結果が得られた。
Figure 0003759745
上記第7表の結果から理解されるように、高感度、高解像性が得られることは前記例5に同じである。
例7
溶解抑止剤SIA−8の調製
前記例6で合成したクエン酸トリt−ブチルエステル10.8g(0.03 モル) 、ピリジン2.4 g(0.03 モル) 及びTHF300 mlの混合溶液に、ベンゼントリカルボン酸クロリド2.7 g(0.01 モル) のTHF50ml溶液を室温で滴下し、2時間攪拌した。その後、混合物を濾過して溶媒を除去し、水で洗浄した。目的とする溶解抑止剤SIA−8を得た。
レジストパターンの形成
得られた溶解抑止剤SIA−8を使用して前記例5に記載の手法を繰り返した。得られたレジストパターンを感度及び解像性に関して評価したところ、次の第8表に記載のような結果が得られた。
Figure 0003759745
例8
溶解抑止剤SIA−9の調製
前記例6で合成したクエン酸トリt−ブチルエステル10.8g(0.03 モル) 、ピリジン2.4 g(0.03 モル) 及びTHF300 mlの混合溶液に、1−クロロアダマンタン5.1 g(0.03 モル) のTHF50ml溶液を室温で滴下し、2時間攪拌した。その後、混合物を濾過して溶媒を除去し、水で洗浄した。目的とする溶解抑止剤SIA−9を得た。
レジストパターンの形成
得られた溶解抑止剤SIA−9を使用して前記例5に記載の手法を繰り返した。得られたレジストパターンを感度及び解像性に関して評価したところ、次の第9表に記載のような結果が得られた。
Figure 0003759745
例9
溶解抑止剤SIA−10の調製
チオジこはく酸2.7 g(0.01 モル) 及び5塩化燐8.3 g(0.04 モル) を、クロロベンゼン100ml とともに窒素気流下で45分間攪拌し、そのまま徐々に100 ℃まで昇温し、6時間攪拌した。その後、溶液を110 ℃に熱して、生成した塩化ホスホリル(POCl3)を除去し、さらに減圧下、クロロベンゼンを蒸留除去した。このようにして調製したチオジこはく酸クロリドをTHFに溶解し、リチウムt−ブトキシド3.2 g(0.04 モル) を溶解した300ml のTHFに窒素気流下で滴下した。その後、溶媒を除去し、エーテルで抽出し、そして水で洗浄した。目的とする溶解抑止剤SIA−10を得た。
レジストパターンの形成
得られた溶解抑止剤SIA−10を使用して前記例5に記載の手法を繰り返した。得られたレジストパターンを感度及び解像性に関して評価したところ、次の第10表に記載のような結果が得られた。
Figure 0003759745
例10
溶解抑止剤SIA−11の調製
シクロヘキサン−1,3,5−トリカルボン酸 2.2g(0.01 モル) 及び5塩化燐6.2 g(0.03 モル) を、クロロベンゼン100ml とともに、窒素気流下で45分間攪拌し、そのまま徐々に100 ℃まで昇温し、6時間攪拌した。その後、溶液を110 ℃に熱して、生成した塩化ホスホリル(POCl3) を除去し、さらに減圧下、クロロベンゼンを蒸留除去した。このようにして調製したシクロヘキサン−1,3,5−トリカルボン酸クロリドをTHFに溶解し、そのTHF溶液50mlを、前記例6で合成したクエン酸トリt−ブチルエステル10.8g(0.03 モル) 、ピリジン2.4 g(0.03 モル) 及びTHF300 mlの混合溶液に、室温で滴下し、2時間攪拌した。その後、混合物を濾過して溶媒を除去し、水で洗浄した。目的とする溶解抑止剤SIA−11を得た。
レジストパターンの形成
得られた溶解抑止剤SIA−11を使用して前記例5に記載の手法を繰り返した。得られたレジストパターンを感度及び解像性に関して評価したところ、次の第11表に記載のような結果が得られた。
Figure 0003759745
例11
溶解抑止剤SIA−12の調製
前記例6で合成したクエン酸トリt−ブチルエステル10.8g(0.03 モル) 、ピリジン2.4 g(0.03 モル) 及びTHF300 mlの混合溶液に、イソニペコチン酸クロリド3.6 g(0.03 モル) のTHF50ml溶液を室温で滴下し、2時間攪拌した。その後、混合物を濾過して溶媒を除去し、水で洗浄した。目的とする溶解抑止剤SIA−12を得た。
レジストパターンの形成
得られた溶解抑止剤SIA−12を使用して前記例5に記載の手法を繰り返した。得られたレジストパターンを感度及び解像性に関して評価したところ、次の第12表に記載のような結果が得られた。
Figure 0003759745
例12
溶解抑止剤SIA−13の調製
前記例6で合成したクエン酸トリt−ブチルエステル10.8g(0.03 モル) 、ピリジン2.4 g(0.03 モル) 及びTHF300 mlの混合溶液に、1,2−フェニレンホスホロクロリデイト5.7 g(0.03 モル) のTHF50ml溶液を室温で滴下し、2時間攪拌した。その後、混合物を濾過して溶媒を除去し、水で洗浄した。目的とする溶解抑止剤SIA−13を得た。
レジストパターンの形成
得られた溶解抑止剤SIA−13を使用して前記例5に記載の手法を繰り返した。得られたレジストパターンを感度及び解像性に関して評価したところ、次の第13表に記載のような結果が得られた。
Figure 0003759745
例13
溶解抑止剤SIA−14の調製
シクロヘキサン−1,3,5−トリカルボン酸 2.2g(0.01 モル) 及び5塩化燐6.2 g(0.03 モル) を、クロロベンゼン100ml とともに、窒素気流下で45分間攪拌し、そのまま徐々に100 ℃まで昇温し、6時間攪拌した。その後、溶液を110 ℃に熱して、生成した塩化ホスホリル(POCl3) を除去し、さらに減圧下、クロロベンゼンを蒸留除去した。このようにして調製したシクロヘキサン−1,3,5−トリカルボン酸クロリドをTHFに溶解し、そのTHF溶液50mlを、ナトリウムトリメチルシラノレート 3.4g(0.03 モル) 、ピリジン2.4 g(0.03 モル) 及びTHF300 mlの混合溶液に、室温で滴下し、2時間攪拌した。その後、混合物を濾過して溶媒を除去し、水で洗浄した。目的とする溶解抑止剤SIA−14を得た。
レジストパターンの形成
得られた溶解抑止剤SIA−14を使用して前記例5に記載の手法を繰り返した。得られたレジストパターンを感度及び解像性に関して評価したところ、次の第14表に記載のような結果が得られた。
Figure 0003759745
また、得られた溶解抑止剤SIA−14を使用して、但し、上記において使用した光酸発生剤トリフェニルスルホニウムトリフレート 0.05 gの代わりに2,6−ジニトロベンジルトシレート0.05gを使用した。得られたレジストパターンの感度及び解像性を次の第15表に示す。
Figure 0003759745
例14
溶解抑止剤SIA−15の調製
ベンゾフェノンテトラカルボン酸3.58g(0.01 モル) 、塩化蓚酸5.08g(0.04 モル) 及び痕跡量のピリジンをベンゼン 150ml中で55℃で24時間加熱攪拌した。その後、ベンゼンをエバポレータで除去したところ、ベンゾフェノンテトラカルボン酸クロリドが得られた。このようにして調製したベンゾフェノンテトラカルボン酸クロリド4.32g(0.01 モル) を塩化メチレン50mlに溶解し、0℃に冷却したトリエチルアミン8.08g(0.08 モル) と2−クロロメチル−2−プロパノール43.4g(0.4モル) の混合物に30分間をかけて滴下し、6時間攪拌した。その後、溶媒を除去し、エーテルで抽出し、そして水で洗浄した。目的とする溶解抑止剤SIA−15を得た。
レジストパターンの形成
上記のようにして調製した溶解抑止剤SIA−15を、下記の第16表に記載の基材樹脂1g及び光酸発生剤であるトリフェニルスルホニウムトリフレート 0.05 gとともに乳酸エチル 9gに溶解し、0.2 μm のメンブランフィルタで濾過した。得られたレジスト溶液をシリコンウェハ上に膜厚0.7 μm になるように塗布し、乾燥した。得られた試料を、I線、KrFエキシマレーザ及び電子線を露光源として、常法に従ってパターン露光した。この試料を、露光直後に、ホットプレート上で90℃で2分間ベークし、さらに2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で1分間浸漬現像した。ポジ型のレジストパターンが得られた。得られたレジストパターンを感度及び解像性に関して評価したところ、次の第16表に記載の結果が得られた。
Figure 0003759745
上記第16表の結果から理解されるように、試験に供したどのレジストも高感度及び高解像性を示している。
例15
溶解抑止剤SIA−16の調製
前記例14で合成したベンゾフェノンテトラカルボン酸クロリド4.32g(0.01 モル) を塩化メチレン50mlに溶解し、0℃に冷却したトリエチルアミン8.08g(0.08 モル) と2−トリクロロメチル−2−プロパノール71g(0.4モル) の混合物に30分間をかけて滴下し、6時間攪拌した。その後、溶媒を除去し、エーテルで抽出し、そして水で洗浄した。目的とする溶解抑止剤SIA−16を得た。
レジストパターンの形成
得られた溶解抑止剤SIA−16を使用して前記例14に記載の手法を繰り返した。得られたレジストパターンを感度及び解像性に関して評価したところ、次の第17表に記載のような結果が得られた。
Figure 0003759745
上記第17表の結果から理解されるように、高感度、高解像性が得られることは前記例14に同じである。
例16
溶解抑止剤SIA−17の調製
シクロヘキサン−1,3,5−トリカルボン酸 2.2g(0.01 モル) 、塩化蓚酸5.08g(0.04 モル) 及び痕跡量のピリジンをベンゼン 150ml中で55℃で24時間加熱攪拌した。その後、ベンゼンをエバポレータで除去したところ、シクロヘキサン−1,3,5−トリカルボン酸クロリドが得られた。このようにして調製したシクロヘキサン−1,3,5−トリカルボン酸クロリド3.12g(0.01 モル) を塩化メチレン50mlに溶解し、0℃に冷却したトリエチルアミン8.08g(0.08 モル) と2−クロロメチル−2−プロパノール43.4g(0.4モル) の混合物に30分間をかけて滴下し、6時間攪拌した。その後、溶媒を除去し、エーテルで抽出し、そして水で洗浄した。目的とする溶解抑止剤SIA−17を得た。
レジストパターンの形成
得られた溶解抑止剤SIA−17を使用して前記例14に記載の手法を繰り返した。得られたレジストパターンを感度及び解像性に関して評価したところ、次の第18表に記載のような結果が得られた。
Figure 0003759745
例17
溶解抑止剤SIA−18の調製
前記例16で合成したシクロヘキサン−1,3,5−トリカルボン酸クロリド4.32g(0.01 モル) を塩化メチレン50mlに溶解し、0℃に冷却したトリエチルアミン8.08g(0.08 モル) と2−トリクロロメチル−2−プロパノール71g(0.4モル) の混合物に30分間をかけて滴下し、6時間攪拌した。その後、溶媒を除去し、エーテルで抽出し、そして水で洗浄した。目的とする溶解抑止剤SIA−18を得た。
レジストパターンの形成
得られた溶解抑止剤SIA−18を使用して前記例14に記載の手法を繰り返した。得られたレジストパターンを感度及び解像性に関して評価したところ、次の第19表に記載のような結果が得られた。
Figure 0003759745
化学増幅レジストの酸触媒反応を示す模式図である。 溶解抑止剤中の溶解抑止基の数と発生する連鎖反応の距離との関係を示す模式図である。

Claims (5)

  1. アルカリ可溶性の基材樹脂、光酸発生剤及び溶解抑止剤を組み合わせて有する化学増幅型レジスト組成物において、
    前記溶解抑止剤が、次式(III )により表される化合物:
    Figure 0003759745
    (上式において、
    Aは、溶解抑止剤分子の母核を構成する環式もしくは非環式構造を完成するのに必要な原子の集まりを表し、
    SIGは、それぞれ、同一もしくは異なっていてもよく、前記環式もしくは非環式構造Aに直接的にもしくは間接的に結合しかつ酸の作用によりその構造Aより分離可能な溶解抑止基を表し、下記の基:
    Figure 0003759745
    からなる群から選ばれた1員であり、ここで、上式中のR5、R6及びR7は、それぞれ、同一もしくは異なっていてもよく、水素を表すかもしくは任意の置換基を表し、但し、これらの置換基のうちの少なくとも1個は、炭素原子数3以下のハロゲン化アルキル基であり、そして
    は、前記構造Aに結合した溶解抑止基SIGの数であり、3もしくはそれ以上の整数を表す)であり、そしてその分子量が300〜1500であることを特徴とする、化学増幅型レジスト組成物。
  2. 前記溶解抑止剤化合物の構造Aが、ベンゾフェノン、アダマンタン又はシクロヘキサンであることを特徴とする、請求項に記載の化学増幅型レジスト組成物。
  3. 前記基材樹脂が、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノール−クレゾールノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリカルボキシスチレン及び(又は)ヒドロキシスチレンと炭素−炭素二重結合を含むモノマとの共重合体、カルボキシスチレンと炭素−炭素二重結合を含むモノマとの共重合体、ヒドロキシスチレンとカルボキシスチレンとの共重合体、アセチル化されたベンゼン環を有するシルフェニレンシロキサンポリマ、アセチル化されたベンゼン環を有するシロキサンポリマ、シラノール基を有するシルフェニレンシロキサンポリマ、シラノール基を有するシロキサンポリマ、カルボキシル基又は酸性水酸基を有するシルフェニレンシロキサンポリマ及びカルボキシル基もしくは酸性水酸基を有するシロキサンポリマからなる群から選ばれた1員であることを特徴とする、請求項又はに記載の化学増幅型レジスト組成物。
  4. 前記光酸発生剤が、スルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物、ベンジルトシレート及び含ハロゲン有機化合物からなる群から選ばれた1員であることを特徴とする、請求項のいずれか1項に記載の化学増幅型レジスト組成物。
  5. 下記の工程:
    請求項のいずれか1項に記載の化学増幅型レジスト組成物を被処理基板上に塗布し、
    形成されたレジスト膜を前記レジスト組成物中の溶解抑止剤化合物の分解を誘起し得る結像用放射線で選択的に露光し、そして
    露光後のレジスト膜をアルカリ水溶液で現像すること、
    を含んでなることを特徴とする、レジストパターンの形成方法。
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