JP3757914B2 - 炊飯器 - Google Patents
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Description
【発明の属する利用分野】
本発明は米飯の保温を効果的に行う炊飯器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的な炊飯器の構成を図2に示す。図に示すように、本体15内に鍋16を着脱自在に内装し、鍋上面を覆う開閉自在の蓋17を設けている。また鍋16内の米と水を加熱するため鍋加熱手段18を鍋16の底部に配置し、さらに蓋17内に蓋加熱手段19を配置している。また、米飯の加熱状態を制御するため、鍋16底部に鍋16温度を検知する鍋温度検知手段20と、鍋16上面の温度を検知する蓋温度検知手段21を配置している。制御手段22はこの鍋温度検知手段20、蓋温度検知手段21の検知温度に基づいて鍋加熱手段18、蓋加熱手段19を適時動作させるものである。
【0003】
以上の構成において、炊飯動作を説明する。鍋16に炊飯を行う量の米と米量に適した水を入れ、炊飯を行った後、保温行程に移行する。米飯は保温行程における保持温度が高いほど、乾燥などの劣化が急速にすすみ、パサパサした米飯となり食味が劣る。したがって、保温行程においては、鍋16内の米飯の温度を均一に保持しながら徐々に温度を低下させる。保温温度を米飯の老化現象が発生しない温度まで低下させて保温し、定期的に米飯を加熱し菌の増殖を抑制させる方法がとられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来の炊飯器における米飯の保温方法においては、菌の増殖を抑制させるために、鍋加熱手段18、蓋加熱手段19などの加熱手段により鍋16内の米飯を定期的に加熱するものである。したがって、その加熱の間に米飯の保持する水分が放出され乾燥が徐々に進行し、保温米飯の食味が劣化してしまう。
【0005】
また、保温中の加熱における加熱ムラが生じ、特に底面近傍の米飯が高温になりすぎ劣化が進行しやすい。さらに、少量の米飯に対してはより大きく乾燥の影響が生じてしまうなど、保温を行う量によって保温状態が異なるなどの課題を有するものである。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、米飯の保温を効果的に行い、より長時間、炊きたての米飯の状態を維持させることができる炊飯器を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の炊飯器は、鍋加熱手段による加熱に加えて、鍋内に蒸気を放出するようにし、蒸気により米飯の乾燥を防止しながら加熱保温するものである。
【0008】
これにより、米飯の保温において、より長時間、炊きたての米飯の状態を維持させることができるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、本体に内装した鍋と、鍋開口部を覆う開閉自在な蓋と、鍋底部を加熱する鍋加熱手段と、鍋加熱手段により加熱される鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、鍋内に蒸気を適時投入する蒸気発生手段と、保温中に、少なくとも鍋温度検知手段の出力に基づき鍋加熱手段および蒸気発生手段を制御する制御手段とを有し、前記蒸気発生手段は100度を超える蒸気を生成させる蒸気加熱手段を備え、前記制御手段は、保温中における前記鍋加熱手段の菌の増殖を防止する一定の時間間隔の間欠的な加熱時に鍋内に蒸気を放出するよう蒸気発生手段を制御する炊飯器とすることにより、鍋加熱手段に加えて蒸気発生手段による蒸気加熱を行うことで、米飯の乾燥を防止しながら保温温度に保持することができ、より長時間、炊きたての米飯の状態を維持させることができる。このため、保温による食味劣化を防止することができるものである。
【0010】
さらに、比較的低温で保温される米飯に対して、菌の増殖を防止する間欠的な加熱における加熱時に、米飯の乾燥を防止しながら一定の時間間隔で蒸気により効率よく加熱し、保温による食味劣化を防止することができるものである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、本体に内装した鍋と、鍋開口部を覆う開閉自在な蓋と、鍋底部を加熱する鍋加熱手段と、鍋加熱手段により加熱される鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、鍋内に蒸気を適時投入する蒸気発生手段と、保温中に、少なくとも鍋温度検知手段の出力に基づき鍋加熱手段および蒸気発生手段を制御する制御手段とを有し、前記蒸気発生手段は100度を超える蒸気を生成させる蒸気加熱手段を備え、前記制御手段は、保温中の任意時期に使用者の指示により前記鍋加熱手段が保温中に加熱を行う時に保湿を目的として鍋内に蒸気を放出するよう蒸気発生手段を制御する炊飯器とすることにより、保温中の加熱を行う時、米飯の乾燥を防止しながら任意時期に蒸気により効率よく加熱することで、保温による食味劣化を防止することができるものである。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は本発明の実施例における炊飯器を示すものであり、図において、1は炊飯器の本体を示し、着脱自在に鍋2を内装している。3は鍋2の上面を覆う蓋で、開閉自在に設置されている。4は鍋2底部を加熱する鍋加熱手段で、鍋2底部が着脱自在に載置されている。5は鍋加熱手段4により加熱される鍋2の温度を検知する鍋温度検知手段で、鍋2の底部中央に接している。6は蓋3内部に設けた水タンク6で、その底部には水タンク加熱手段7を有し、また、加熱手段7による水タンク6で発生する蒸気をさらに加熱する蒸気加熱手段8を有し、さらに、水タンク6内の水量を検知する水量検知手段9を配置している。この水タンク6と水タンク加熱手段7と蒸気加熱手段8と水量検知手段9により蒸気発生手段10を構成している。この蒸気発生手段10は、実施例のように蓋3内部に設けることにより全体をコンパクトな構成としたが、これに限らず本体1内、あるいは本体1外に設けるようにしてもよい。11は蒸気発生手段10と鍋2の上面の一部を接続した蒸気管11で、鍋2上面の開口部より蒸気を放出するものである。12は蒸気管11の開口部に設けた逆流防止手段で、蒸気管11内に炊飯時に鍋2から発生する蒸気が侵入することを防止する。13は鍋2内の保温される米飯の量を検知する残米飯検知手段である。この残米飯検知手段13は、鍋2内の米飯量に応じて鍋温度検知手段5の検知する温度変化の時間の長短を捕らえて、鍋2内の米飯量を推測する方式、または、鍋2や本体1の重量を計測する方式など、様々な方式であってよい。
【0014】
そして、14は本体1内部に設けた制御手段で、鍋温度検知手段5、残米飯検知手段13の出力をもとに、鍋加熱手段4、水タンク加熱手段7、さらに蒸気加熱手段8を制御するものである。なお、実施例では、鍋温度検知手段5、残米飯検知手段13の両出力に基づき各手段を制御したが、制御対象によってはいずれか一方の出力によって制御するようにしてもよい。
【0015】
上記の構成において炊飯動作を説明する。炊飯を行う米とその米量に対応する水を鍋2入れ、本体1の所定の状態に内装する。さらに本体1に設けられた水タンク6内に所定量の水を入れ、炊飯開始スイッチ(図示せず)を使用者が操作すると、炊飯工程が実施される。
【0016】
水タンク6には水量検知手段9が設けられ、所定量の水が無ければ使用者に水が足りないことを報知する。予約炊飯においても使用者が予約スイッチ(図示せず)を操作する時点で水量検知手段9の出力を確認して、水が足りなければその状態を報知するものである。
【0017】
そして、炊飯を終了すると、炊飯の終了を使用者に報知し米飯の保温行程に移行する。米飯を保温する温度が高いほど、保温臭や米飯が黄色に変色する黄変等の保温において嫌われる現象が顕著に現れる。したがって、保温行程においては、保温に適した約60〜75度の温度範囲で米飯温度を保持する。この温度範囲において米飯の温度は低いほど、前記の保温臭や黄変といった現象を緩和することが可能となる。しかし、菌が鍋2内に混入した場合に菌が増殖する危険性があるために、定期的に米飯の温度を上昇させ菌の増殖を抑制させなければならない。
【0018】
したがって、定期的に保温中の米飯を加熱させるために、制御手段14は鍋加熱手段4を動作させ鍋2底から加熱を行い、さらに蒸気発生手段10を動作させて、蒸気を生成し、蒸気管11の先端に設置される逆流防止手段12を開放することで、生成された蒸気は蒸気管11を介して鍋2の上方から放出され、その蒸気により米飯は直接加熱されるものである。蒸気により米飯を加熱することにより、米飯内に保有する水分が米飯粒の表面から放出されることを防止しながら加熱するものである。
【0019】
また、残米飯検知手段13により、鍋2内に保温されている米飯量を検知するため、保温中に米飯が食べられて徐々に減少する量を加熱動作開始時または加熱動作の最中に認識し、その保温される米飯量に応じた加熱時間と投入される蒸気温度の加熱条件により制御された加熱が行われるものである。
【0020】
蒸気発生手段10は、水タンク6にあらかじめ入れられた水を、水タンク加熱手段7により加熱し蒸気を生成する。さらに高温の蒸気を必要とする場合に蒸気加熱手段8を動作させて、100度を超える蒸気を生成させるものである。
【0021】
保温中の蒸気加熱は、予め定められた時機に行われるが、別に定めた時機に保湿を目的として蒸気を鍋2に投入することも可能である。
【0022】
その他、保温中に加熱を行う目的として、保温時の米飯の温度は炊飯直後の温度に比べ低いので、使用者の好みにより炊きたての温度まで加熱を行うことを可能とする。この場合には、使用者が必要とする時機にボタン操作を行うことで実施される。この場合においても、残米飯検知手段13により加熱時の保温米飯量に応じた加熱時間と投入される蒸気温度の加熱条件により制御された加熱が行われるものである。
【0023】
また、炊飯以外の蒸気調理も可能とするために、調理に応じた加熱時間と投入される蒸気温度の加熱条件を得ることができるものである。また、調理や白米以外の炊飯を行った場合の臭いが鍋2内に残ることを防止するために、鍋2内に蒸気を連続投入して手軽に臭いを除去することができるものである。なお、水タンク6の水量検知手段9は、炊飯以外の調理を行う場合にも必要な水量がなければ使用者に水が足りないことを報知するものである。
【0024】
また、想定以上に保温を継続される等、使用中に水タンク6内の水が無くなってしまった場合には、水量検知手段9、また新たに水タンク温度検知手段(図示せず)を設けることにより、水タンク6内に水ば無くなったことを検出して、水タンク加熱手段7の動作を停止させる安全対策をとるものである。
【0025】
また、炊飯中の鍋2の熱、または炊飯中に鍋2から放出される蒸気の熱を活用して水タンク6内の水の温度を上昇させる構成をとることで、水タンク加熱手段7による投入熱量を低減させる。さらには、炊飯時に鍋2から放出される蒸気量を削減させる構成をとることもできる。
【0026】
以上の炊飯器は、鍋加熱手段4として、加熱ヒータ、鍋の電磁誘導、ガスなどの方式においても同様の効果が得られる。
【0027】
また、炊飯中に発生する蒸気を水タンク6に回収して、保温中に蒸気として活用する構成をとることで、使用者が炊飯時に水タンク6へ水を投入する手間を省略させることができ、より利便性のよい炊飯器とすることができる。
【0028】
さらに、炊飯器への水自動投入機構を持つ炊飯器においては、炊飯時、調理時においても水の供給について使用者は意識する必要がなく水タンク6に供給でき、より手軽に蒸気を活用することが可能となる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、本発明の炊飯器によれば、炊飯器の保温時における加熱において、鍋加熱手段による加熱と蒸気加熱手段による蒸気加熱により、米飯の乾燥を防止しながら加熱保温し、保温による米飯の劣化を防ぎ、より長時間、炊きたての米飯の状態を維持させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例における炊飯器の断面図
【図2】 従来の炊飯器を示す断面図
【符号の説明】
1 本体
2 鍋
3 蓋
4 鍋加熱手段
5 鍋温度検知手段
6 水タンク
7 水タンク加熱手段
8 蒸気加熱手段
9 水量検知手段
10 蒸気発生手段
11 蒸気管
12 逆流防止手段
13 残米飯検知手段
14 制御手段
Claims (2)
- 本体に内装した鍋と、鍋開口部を覆う開閉自在な蓋と、鍋底部を加熱する鍋加熱手段と、鍋加熱手段により加熱される鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、鍋内に蒸気を適時投入する蒸気発生手段と、保温中に、少なくとも鍋温度検知手段の出力に基づき鍋加熱手段および蒸気発生手段を制御する制御手段とを有し、前記蒸気発生手段は100度を超える蒸気を生成させる蒸気加熱手段を備え、前記制御手段は、保温中における前記鍋加熱手段の菌の増殖を防止する一定の時間間隔の間欠的な加熱時に鍋内に蒸気を放出するよう蒸気発生手段を制御する炊飯器。
- 本体に内装した鍋と、鍋開口部を覆う開閉自在な蓋と、鍋底部を加熱する鍋加熱手段と、鍋加熱手段により加熱される鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、鍋内に蒸気を適時投入する蒸気発生手段と、保温中に、少なくとも鍋温度検知手段の出力に基づき鍋加熱手段および蒸気発生手段を制御する制御手段とを有し、前記蒸気発生手段は100度を超える蒸気を生成させる蒸気加熱手段を備え、前記制御手段は、保温中の任意時期に使用者の指示により前記鍋加熱手段が保温中に加熱を行う時に保湿を目的として鍋内に蒸気を放出するよう蒸気発生手段を制御する炊飯器。
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