JP3757192B2 - 水中成形用組合せ菓子及びそれを用いたチューインガムの製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、水中成形用組合せ菓子及びそれを用いたチューインガムの製造方法に関し、更に詳しくは、喫食者が水性媒体中で粉末成分を混合するという簡単な作業だけで、成形性、食感及び風味に優れた一塊の大きなチューインガムを形成することができ、且つ、視覚的変化、意外性をも体感することができる水中成形用組合せ菓子及びそれを用いたチューインガムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、チューインガムは、購入時に既に板状やブロック状に成形されており、通常そのまま口中に入れて喫食される。しかしながら、最近のように多種多様なチューインガムが出回っている状況では、チューインガムの食感や風味のみならず、外観や食べ方等に変化や面白さを付加することが望まれている。
【0003】
例えば、喫食者が手作りで塊状チューインガムを作ることができる従来の組合せ菓子としては、特開昭64−10946号公報記載の組合せチューインガムおよびその製法がある。この組合せ菓子は、無水結晶麦芽糖が含水結晶麦芽糖に変化する時の膨化力によって、粉末チューインガムの組織をポーラスな組織とし、直ちに水分を粉末チューインガム組織内に浸透させることにより、手で振るなどの軽い振動を与えるだけで塊状チューインガムを形成するものである。
しかしながら、上記組合せ菓子においては、水を滴下した部分のみがチューインガムに変化するため、形状が劇的に変化することがない。また、無水結晶麦芽糖原料が配合されているため、ごく少量の水しか加水できず、得られるチューインガムが小粒のものに限られ、視覚的変化、意外性に欠けるものであった。更には、水分が瞬時に粉末チューインガム組織内部に取り込まれてしまうので、咀嚼したときに、噛み口がやや固く、食感及び風味についても改良の余地があった。
【0004】
一方で、特許第2896241号公報記載の組合せ菓子がある。この組合せ菓子は、筒状シリンダーと該筒状シリンダー内に沿って上下運動し得るピストンとからなる成型用治具を用いて、喫食者自身が、ガムベースと粉末糖質甘味料を主体とする粉末チューインガムを押圧成型し、任意形状の成型チューインガムを作ることができるという楽しさを有しているものである。
しかしながら、上記組合せ菓子において用いられる通常の粉末チューインガムは、緻密な組織の粒子であるため、強い力で押圧成型しないと成型チューインガムが脆く崩れ易くなり、また、年少者にとっては、簡単な操作で視覚的変化、意外性を得ることができないという問題があった。更には、成型チューインガムを喫食したとき、しばらく咀嚼しないとチューインガム組織としてまとまりが弱く、チューイング性が発現しにくいという問題点を有するものである。
【0005】
更に、上記公報に関連する組合せ菓子としては、特許第3156899号公報記載の組合せ菓子およびそれを用いた成型チューインガムの製法がある。この組合せ菓子は、ガムベースと粉末糖質甘味料とを主体とする粉末チューインガムと、水と接触して顕色する粉末状水溶性色素を含有する粉末成分とが、それぞれ別に調製され、粉体混合された粉末組成物を、筒状シリンダーに充填して、ごく少量の水を加水した後、該筒状シリンダー内に沿って上下運動し得るピストンとからなる成型用治具を用いて押圧成型することで、色変わりを楽しめ、喫食者自身が、任意形状の成型チューインガムを作ることができるというものである。
しかしながら、上記組合せ菓子において、粉末チューインガム自体の成形性は何ら改善されておらず、該粉末チューインガム粒子の外周に、水分を有する粉末成分が介在したとしても、粉末成分が存在しない部分では、やはり成型性やチューイング性に改良の余地があった。また、特許第2896241号公報及び特許第3156899号公報記載の両発明とも、筒状シリンダーからなる成型用治具の準備が必要であり、年少者であっても、極めて、簡単な操作で視覚的変化、意外性を付与する点については依然問題点が解決されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、喫食者が水性媒体中で粉末成分を混合するという簡単な作業だけで、成形性、食感及び風味に優れ、大きさに制限のない一塊のチューインガムを形成することができ、且つ、視覚的変化、意外性をも体感することができる水中成形用組合せ菓子及びそれを用いたチューインガムの製造方法を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ガムベース及び粉末糖質甘味料を含有する粉末チューインガム成分(但し、粉末チューインガム成分製造工程中で含水化させた、含水結晶麦芽糖を含まない)を含む組合せ菓子であって、酸成分及びアルカリ成分が組合されていることを特徴とする水中成形用組合せ菓子により前記目的を達成する。
【0008】
好ましくは、酸成分もしくはアルカリ成分のいずれか一方を粉末チューインガム成分(但し、粉末チューインガム成分製造工程中で含水化させた、含水結晶麦芽糖を含まない)に含有し、酸成分もしくはアルカリ成分の他方とは別包装してもよい。また、酸成分及びアルカリ成分を、前記粉末チューインガム成分(但し、粉末チューインガム成分製造工程中で含水化させた、含水結晶麦芽糖を含まない)とは別包装し、また、前記酸成分とアルカリ成分とは反応しない状態下で、同包装もしくは別包装してもよい。
【0009】
前記ガムベースは、粉末チューインガム成分全体重量中に、10重量%以上含有することが好ましく、より好ましくは、10〜21重量%含有する。
【0010】
また、本発明は、下記(1)〜(3)の工程を備えてなることを特徴とする水中混合成形用組合せ菓子を用いたチューインガムの製造方法によって前記目的を達成する。
(1)ガムベース及び粉末糖質甘味料を含有する粉末チューインガム成分(但し、粉末チューインガム成分製造工程中で含水化させた、含水結晶麦芽糖を含まない)を準備する工程。
(2)チューインガム製造用容器に、重量比で上記粉末チューインガム成分1に対して、水性媒体0.35以上の割合で両成分を投入し、粉末チューインガム成分液を調製する工程。
(3)上記粉末チューインガム成分液を混合し、チューインガムを形成する工程。
【0011】
更に詳しくは、本発明は、下記(1)〜(4)の工程を備えてなることを特徴とする水
中混合成形用組合せ菓子を用いたチューインガムの製造方法によって前記目的を達成する。
(1)ガムベース、粉末糖質甘味料及び酸成分もしくはアルカリ成分のいずれか一方を含有する粉末チューインガム成分(但し、粉末チューインガム成分製造工程中で含水化させた、含水結晶麦芽糖を含まない)と、酸成分もしくはアルカリ成分の他方とを準備する工程。
(2)チューインガム製造用容器に、上記粉末チューインガム成分及び発泡成分全体重量1に対する重量が0.35以上の水性媒体と、上記粉末チューインガム成分に含有された酸成分もしくはアルカリ成分の他方を投入し、発泡成分溶液を調製する工程。
(3)上記発泡成分溶液に、上記粉末チューインガム成分を投入する工程。
(4)上記(3)成分液を混合し、チューインガムを形成する工程。
【0012】
すなわち、本発明者らは、筒状シリンダーからなる成型用治具等を用いることなく、手作りでチューインガムを簡便に調製する過程で、視覚的変化や意外性を付与することができないか検討を行った結果、従来のように、粉末チューインガム中に少量の水を加えるのではなく、粉末成分を水性媒体中に浸し混合するという逆転の発想を想起し、水性媒体中で大きさに制限のない一塊のチューインガムを形成させることを考えた。そして、粉末チューインガム成分としてガムベース及び粉末糖質甘味料を用いると、水性媒体中において、短時間で風味の良好な一塊のチューインガムに変化することを見出した。
更に、水性媒体中で粉末チューインガム成分を混合する際に、酸成分とアルカリ成分とを反応させ、発泡させることにより、視覚的変化、意外性、食感及び風味が良好となるだけではなく、粉末チューインガム成分同士がより良好に結合し、崩れにくく、成形性のよい一塊のチューインガムが得られ好適であることを見出し、本発明に到達した。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を詳しく説明する。
本発明の水中成形用組合せ菓子とは、ガムベース及び粉末糖質甘味料を含有する粉末チューインガム成分(但し、粉末チューインガム成分製造工程中で含水化させた、含水結晶麦芽糖を含まない)に、酸成分及びアルカリ成分を組合せたものである。
上記水中成形用組合せ菓子とは、全粉末成分全体重量1に対して0.35以上の水性媒体を用いてチューインガムを調製するための組合せ菓子である。
【0014】
まず、本発明にかかるガムベースは、例えば、弾性体(チクル等の天然樹脂、天然ゴム、天然弾性体、酢酸ビニル樹脂、合成ゴム、合成弾性体、ポリイソブチレン、ポリイソプレン等)、ワックス(ライスワックス、カルナバワックス等)、無機質(炭酸カルシウム等)等が挙げられる。
【0015】
また、ガムベースの含有量は、粉末チューインガム成分全体重量中、好ましくは10重量%以上、更に好ましくは10〜21重量%とすることが、粉末チューインガムの製造適性、成形性及び風味の点で望ましい。
【0016】
次に、本発明にかかる粉末糖質甘味料としては、粉糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、糖アルコール等が挙げられ、これらの中から適宜選択して単独もしくは複数組み合わせて用いればよい。
【0017】
粉末糖質甘味料の含有量は、粉末チューインガム成分全体重量中、好ましくは90重量%未満、更に好ましくは70重量%以上90重量%未満に設定することがチューインガムの成形性及び風味の点で望ましい。
【0018】
また、上記粉末糖質甘味料は、特に粉糖を主体とすることが、粉末チューインガム成分の製造適性や風味の点で好ましい。粉糖を主体とする場合には、粉末糖質甘味料全体重量中、粉糖を80重量%以上とすることが風味の点で好ましい。なお、「粉糖を主体とする」とは、全体が粉糖のみからなる場合も含む趣旨である。
【0019】
また、粉末糖質甘味料の一部に代えて、水あめ、果糖ぶどう糖液糖、糖アルコール等の液体糖質甘味料を用いてもよい。その含有量は、粉末チューインガム成分全体重量中の3重量%以下に設定することが、粉末チューインガム製造時の製造適性、成形性の点で望ましい。
【0020】
本発明にかかる粉末チューインガム成分には、上記成分の他に、副原料を含有させてもよい。副原料としては、色素、調味料、香料、乳化剤、安定剤、コーヒー、洋酒、乳酸菌、粉末香料、香気成分、着色料、ビタミン、ミネラル等が挙げられ、適宜選択して単独もしくは複数組み合わせて用いてもよい。
【0021】
また、水中成形用組合せ菓子には、上記ガムベース、粉末糖質甘味料以外に、酸成分及びアルカリ成分を用いることが、視覚的変化、意外性、成形性、食感及び風味の点で重要である。
【0022】
酸成分としては、クエン酸、無水クエン酸、リンゴ酸、フマール酸、乳酸、酢酸、酒石酸等の有機酸類もしくは有機酸塩類や、リン酸等の無機酸類、これらを含有とする調味料、醸造酢、梅酢、果実酢、果汁、ビタミンC等が挙げられ、これらの中から適宜選択して単独もしくは複数組み合わせて用いればよい。この中でも、風味や発泡性の良い点で酒石酸、クエン酸は好適に用いられる。
【0023】
また、アルカリ成分としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられ、これらの中から適宜選択して単独もしくは複数組み合わせて用いればよい。この中でも、風味や発泡性の良い点で炭酸水素ナトリウムは好適に用いられる。
【0024】
また、酸成分とアルカリ成分の各成分の含有量は、ガムベース及び粉末糖質甘味料の全体重量1に対して、0.01〜0.2とすることが成形性、風味及び食感の点で望ましい。このとき、アルカリ成分と酸成分の重量比は、アルカリ成分1に対して、酸成分1〜2とすることが風味の点で望ましい。
【0025】
なお、本発明の組合せ菓子において、酸成分及びアルカリ成分は、両者が反応しない状態下で粉末チューインガム成分中に含有させてもよく、または、一方の成分を粉末チューインガム成分中に含有させ、他方は発泡成分として別包装してもよい。もしくは、上記粉末チューインガム成分、酸成分、アルカリ成分をそれぞれ別包装してもよく、粉末チューインガム成分と、酸成分及びアルカリ成分を別包装してもよく、適宜設定すればよい。
この中でも、酸成分もしくはアルカリ成分の一方の成分を粉末チューインガム成分中に含有させ、他方は別包装するか、粉末チューインガム成分、酸成分、アルカリ成分をそれぞれ別包装とした方が、水性媒体に順次粉末成分を入れることにより発泡が得られるため、視覚的変化が良好に得られる点で好適である。特に、前者の方が、簡便性の点でも好適である。
【0026】
酸成分もしくはアルカリ成分の少なくとも一方を、粉末チューインガム成分と別包装する場合には、別包装された該酸成分もしくはアルカリ成分の少なくとも一方に、上記副原料の他、糖質甘味料(粉糖、ブドウ糖、乳糖、糖アルコール、高甘味度甘味料、オリゴ糖、果糖、粉末水飴等)等を適宜選択して単独もしくは複数組み合わせて用いてもよい。
【0027】
本発明の組合せ菓子は、例えば、次のようにして得られる。
まず、上記ガムベース、粉末糖質甘味料を用いて、本発明にかかる粉末チューインガム成分(但し、粉末チューインガム成分製造工程中で含水化させた、含水結晶麦芽糖を含まない)を調製する。
すなわち、まず、常法に従い、加温された混合機にて、ガムベース及び粉末糖質甘味料を所定量混合した後、取り出してオシレーターにかけ、常温まで冷却し、粗粒粉末チューインガムを得る。次に、この粗粒粉末チューインガムを粉砕機、シフター等にかけて更に細かく粉末化した後、篩別して粉末チューインガムとする。
【0028】
次に、上記粉末チューインガムと、必要に応じて副原料とを粉体混合機等で混合し、粉末チューインガム成分とする。
このとき、粉末チューインガム成分の粒度は、好ましくは4メッシュパス以下、更に好ましくは6メッシュパス以下に設定することが、粉末チューインガム成分から、一塊の大きなチューインガムを形成するという視覚的変化、意外性が得られる点で望ましい。
また、粉末チューインガム成分は、減圧乾燥機を用いて測定した水分量が、好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下に設定されていることが、成形性及び食感の点で望ましい。
【0029】
なお、粉末チューインガム成分に、酸成分及びアルカリ成分を含有させる場合は、上記粉末チューインガムと副原料とを混合する際に、酸成分及びアルカリ成分も併せて、混合すればよい。
【0030】
次に、本発明の水中成形用組合せ菓子の製品化は、例えば次のようにして行われる。
すなわち、上記粉末チューインガム成分を包装する。そして、更に、これを必要に応じ、一つの包装体に密封し、組合せ菓子製品とすればよい。
このときの包装は、例えば、ポリエチレン等の軟質なプラスチック袋等に包装すればよい。その包装形態は、袋体、筒状や箱状等が挙げられる。また、その材質は、プラスチックに限定するものではなく紙等でもよくあるいは金属各種材質等の中から適宜選択して用いればよい。
なお、上記組合せ菓子の製品化にあたっては、チューインガム製造用容器、攪拌喫食用治具等を同封するようにしてもよい。
【0031】
次に、上記水中成形用組合せ菓子を用いてチューインガムを得るには、例えば次のようにして行う。
すなわち、まず、図1(A)に示すように、チューインガム製造用容器1に、水性媒体2と、容器詰めされた粉末チューインガム成分3とを投入することにより、粉末チューインガム成分液4を調製する。このとき、水性媒体の量は、全粉末成分の全体重量1に対して、0.35以上であり、更に好ましくは0.8〜1.1に設定することが、成形性及び風味の点で望ましい。
上記水性媒体2は、例えば、水、牛乳、水溶性エキス等が挙げられ、これらの中から適宜選択して単独もしくは複数組み合わせて用いればよい。この中でも、特に手軽に使用でき、チューインガムが素早く得られ、風味が好適である点で水が好適に用いられる。なお、水性媒体2は容器詰め等を行い、上記水中成形用組合せ菓子とセットにして製品化するようにしてもよい。
また、チューインガム製造用容器1の形状、材質は特に限定されるものではなく、組合せ菓子の製品化に際して、専用容器を同封しない場合は、一般家庭にある茶碗、カップ、深めの皿等を使用してもよい。
【0032】
次に、図1(B)に示すように、粉末チューインガム成分液4を、治具6等で混合することにより、図1(C)に示すように、一塊のチューインガム7を得ることができる。
治具6は、組合せ菓子の製品化に際して、同封するようにしてもよいが、専用治具を同封しない場合は、一般家庭にある混練棒、ハシ、スプーン、フォーク、ストロー等を使用してもよい。
【0033】
また、他の組合せ菓子としては、まず、粉末チューインガムを上述したように常法により調製する。
次に、上記粉末チューインガムと、酸成分もしくはアルカリ成分のいずれか一成分と、必要に応じて副原料とを粉体混合機等で混合し、粉末チューインガム成分とする。
そして、上記粉末チューインガム成分と、酸成分もしくはアルカリ成分の他方とをそれぞれ別包装して、組合せ菓子とする。
【0034】
上記組合せ菓子を用いてチューインガムを得るには、例えば次のようにして行う。
まず、図2(A)に示すように、チューインガム製造用容器1に、水性媒体2と、粉末チューインガム成分に含有した酸成分もしくはアルカリ成分の他方5とを投入し、発泡成分溶液9を調製する。このとき、水性媒体の量は、全粉末成分の全体重量1に対して、0.35以上であり、更に好ましくは0.8〜1.1である。
次に、図2(B)に示すように、上記発泡成分溶液9の中に、粉末チューインガム成分3を投入して浸し、治具6等で混合することにより、図2(C)に示すように、一塊のチューインガム7を得ることができる。
【0035】
また、本発明に係る他の組合せ菓子としては、まず、粉末チューインガムを上述したような常法により調製した後、必要に応じて副原料を粉体混合機等で混合し、粉末チューインガム成分とする。
次に、上記粉末チューインガム成分と、酸成分及びアルカリ成分とを別包装し、また、該酸成分と該アルカリ成分とを、反応しない状態下にあるように同包装もしくは別包装して組合せ菓子とする。
【0036】
上記組合せ菓子を用いてチューインガムを得るには、例えば次のようにして行う。
まず、チューインガム製造用容器に、水性媒体と、同包装された酸成分及びアルカリ成分を投入し、発泡成分溶液を調製する。このとき、水性媒体の量は、全粉末成分の全体重量1に対して、0.35以上であり、更に好ましくは0.8〜1.1である。
次に、上記発泡成分溶液に、粉末チューインガム成分を投入し、治具等で混合すると、図2(C)に示すように、一塊のチューインガムを得ることができる。
【0037】
なお、酸成分とアルカリ成分とが別包装されている場合には、例えば、次のように行ってもよい。まず、別包装された酸成分もしくはアルカリ成分のいずれか一方を水性媒体に投入して発泡成分溶液とした後、該発泡成分溶液の中に、粉末チューインガム成分と、上記酸成分あるいはアルカリ成分の他方を投入して浸し、更に治具等で混合することにより、一塊のチューインガムを得ることができる。このとき、水性媒体の量は、全粉末成分の全体重量1に対して、0.35以上であり、更に好ましくは0.8〜1.1である。
【0038】
かくして得られたチューインガム7は、そのままでも喫食可能であるが、更に、図1(C)、図2(C)に示すように、形成されたチューインガム7にトッピング8を施してもよい。トッピング材料としては、きなこ、粉末ジュース、抹茶、各種ソース類、ジャム、シロップ等が挙げられ、これらは適宜選択して単独もしくは複数組み合わせて用いてもよい。なお、上記トッピング材料の形態は、粉末状、顆粒状、液状等から適宜選択すればよい。
【0039】
あるいは、予め粉末チューインガム成分もしくは発泡成分中に、pHによって発色が異なる色素を添加しておき、粉末チューインガム成分もしくは発泡成分のpHが異なるように設定しておくことによって、チューインガムが形成する際に色変わりさせるようにしてもよい。
または、粉末チューインガム成分及び発泡成分中に水性媒体と接触して発色する色素を添加しておくと、更に視覚的変化や意外性を増大させることができ好適である。
【0040】
【発明の効果】
本発明の水中成形用組合せ菓子は、喫食者が水性媒体中で粉末チューインガム成分(但し、粉末チューインガム成分製造工程中で含水化させた、含水結晶麦芽糖を含まない)を混合するという簡単な作業だけで、成形性、食感及び風味に優れ、大きさに制限のない一塊のチューインガムを形成することができ、且つ視覚的変化、意外性に富んだチューインガムを得ることができる。
また、本発明の水中成形用組合せ菓子は、特別な製造設備を用いることなく、従来の粉末チューインガムの製造設備等を用いて簡便に製造することができる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
【0042】
〈参考例1〉
《粉末チューインガムの調製》
表1に示す組成で、まず、蒸気にて約1kgf/cm2の条件で加温された混合機にて、ガムベース及び粉末糖質甘味料を混合した後、取り出してオシレーターにかけ、常温まで冷却し、粗粒粉末チューインガムを得る。次に、この粗粒粉末チューインガムを粉砕機、シフター等にかけて更に細かく粉末化した後、篩別して粉末チューインガム(粒度4Mパス以下)とする。
【0043】
《水中成型用組合せ菓子の調製》
上記のように調製した粉末チューインガムをプラスチック袋に密封充填して粉末チューインガム成分とし、チューインガム製造用トレイ、木製の攪拌治具とを添付し、更にプラスチック袋に一纏めに密封することにより水中成形用組合せ菓子とした。
【0044】
《チューインガムの調製》
上記粉末チューインガム成分、チューインガム製造用トレイ、木製の攪拌治具とを用い、図1(A)〜(C)に示す手順でチューインガムを調製した。
すなわち、まず、チューインガム製造用容器1内に水20mlを入れ、粉末チューインガム成分17gを投入して粉末チューインガム成分溶液4とした後、治具6で混合することにより、塊状チューインガム7を得た。
形成されたチューインガム7に5gのトッピング材8を振り入れて喫食に供した。
【0045】
〈実施例1〉
表1に示す組成で、参考例1と同様に調製した粉末チューインガムに、酸成分及びアルカリ成分を粉体混合して密封充填とし、粉末チューインガム成分とした他は、参考例1と同様にした。
【0046】
〈実施例2〜9〉
表1に示す組成で、17gの粉末チューインガム成分と4gの発泡成分(1)を、また
、実施例3においては、更に4gの発泡成分(2)をそれぞれ別包装して組合せる他は、参考例1と同様にして組合せ菓子を得た。
次に、図2(A)〜(C)に示す手順でチューインガムを調製した。
すなわち、まず、チューインガム製造用容器1内に水20mlを入れ、発泡成分(1)を投入後、該溶液に、粉末チューインガム成分3を投入した。なお、実施例3においては、更にその後、発泡成分(2)を投入した。次いで、該溶液を治具6で混合することにより、塊状チューインガム7を得た。
形成されたチューインガム7にトッピング材8を振り入れて喫食に供した。
【0047】
〈比較例1〉
比較例1は、特許第3156899号公報記載の実施例に準じて、シリンダーとピストンとからなる成型用治具、トレイを用いてチューインガムを成型した。
つまり、表1の参考例1と同様に調製した粉末チューインガム成分8gをシリンダー内に入れ、次いでピストンにて軽く押圧して凹部を形成した。この凹部に0.8gの水をスプーンを用いて滴下し、更にピストンで押圧成型した後、シリンダーから押し出して成型チューインガムを得た。
【0048】
上記のようにして得られたチューインガムについて、成形性、意外性、視覚的変化、食感、風味及び簡便性を専門パネラー20名にて、また、粉末チューインガムの製造適性(粉末状のチューインガムとしての粉末化容易性)について、製造担当者5名にて評価した。
以上の結果を表1にあわせて示す。
【0049】
【表1】
【0050】
実施例1〜5の水中成形用組合せ菓子は、特定組成の粉末チューインガム成分と酸成分とアルカリ成分と組合せてチューインガムを調製したため、他の実施例に比べてよりまとまりがよく、崩れにくい、一塊のチューインガムが得られるとともに、視覚的変化、意外性に優れたチューインガムであった。
一方、比較例1のチューインガムは、シリンダーから押し出して成型チューインガムを得たので、実施例のチューインガムに比べ、成形性、意外性、簡便性等に劣るチューインガムであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水中成形用組合せ菓子を用いてチューインガムを製造するための一例を示す説明図
【図2】本発明の水中成形用組合せ菓子を用いてチューインガムを製造するための一例を示す説明図
【符号の説明】
1.チューインガム製造用容器
2.水性媒体
3.粉末チューインガム成分
4.粉末チューインガム成分液
5.粉末チューインガム成分に含有された酸成分もしくはアルカリ成分の他方
6.治具
7.チューインガム
8.トッピング
9.発泡成分溶液
Claims (7)
- ガムベース及び粉末糖質甘味料を含有する粉末チューインガム成分(但し、粉末チューインガム成分製造工程中で含水化させた、含水結晶麦芽糖を含まない)を含む組合せ菓子であって、酸成分及びアルカリ成分が組合されていることを特徴とする水中成形用組合せ菓子。
- ガムベース、粉末糖質甘味料及び酸成分もしくはアルカリ成分のいずれか一方を含有する粉末チューインガム成分(但し、粉末チューインガム成分製造工程中で含水化させた、含水結晶麦芽糖を含まない)と、酸成分もしくはアルカリ成分の他方とを含み、該粉末チューインガム成分と該酸成分もしくはアルカリ成分の他方とが別包装されてなる請求項1記載の水中成形用組合せ菓子。
- ガムベース及び粉末糖質甘味料を含有する粉末チューインガム成分(但し、粉末チューインガム成分製造工程中で含水化させた、含水結晶麦芽糖を含まない)と、酸成分と、アルカリ成分とを含み、該粉末チューインガム成分と、該酸成分及び該アルカリ成分とは別包装されてなり、また、該酸成分と該アルカリ成分とは、反応しない状態下にあるように同包装もしくは別包装されてなる請求項1記載の水中成形用組合せ菓子。
- ガムベースが、粉末チューインガム成分(但し、粉末チューインガム成分製造工程中で含水化させた、含水結晶麦芽糖を含まない)全体重量中10重量%以上含有されている請求項1乃至3の何れか1項に記載の水中成形用組合せ菓子。
- ガムベースが、粉末チューインガム成分(但し、粉末チューインガム成分製造工程中で含水化させた、含水結晶麦芽糖を含まない)全体重量中10〜21重量%含有されている請求項1乃至4の何れか1項に記載の水中成形用組合せ菓子。
- 下記(1)〜(3)の工程を備えてなることを特徴とする水中混合成形用組合せ菓子を用いたチューインガムの製造方法。
(1)ガムベース及び粉末糖質甘味料を含有する粉末チューインガム成分(但し、粉末チューインガム成分製造工程中で含水化させた、含水結晶麦芽糖を含まない)を準備する工程。
(2)チューインガム製造用容器に、重量比で上記粉末チューインガム成分1に対して、水性媒体0.35以上の割合で両成分を投入し、粉末チューインガム成分液を調製する工程。
(3)上記粉末チューインガム成分液を混合し、チューインガムを形成する工程。 - 下記(1)〜(4)の工程を備えてなることを特徴とする水中混合成形用組合せ菓子を用いたチューインガムの製造方法。
(1)ガムベース、粉末糖質甘味料及び酸成分もしくはアルカリ成分のいずれか一方を含有する粉末チューインガム成分(但し、粉末チューインガム成分製造工程中で含水化させた、含水結晶麦芽糖を含まない)と、酸成分もしくはアルカリ成分の他方とを準備する工程。
(2)チューインガム製造用容器に、上記粉末チューインガム成分及び発泡成分全体重量1に対する重量が0.35以上の水性媒体と、上記粉末チューインガム成分に含有された酸成分もしくはアルカリ成分の他方を投入し、発泡成分溶液を調製する工程。
(3)上記発泡成分溶液に、上記粉末チューインガム成分を投入する工程。
(4)上記(3)成分液を混合し、チューインガムを形成する工程。
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