JP3756717B2 - パネル間のシール構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、上下及び左右に接続されるパネル間のシール構造に関し、詳しくは、パネルを接続する際の横目地及び縦目地における通気路を連通して等圧とすることで、通気路における空気の流れを効果的に抑制して、空気の流れ及び圧力の変動による雨水の浸入を防止し、かつ、毛細管現象に伴う雨水の浸入を防止し、結果として、シール構成を簡素化しながら、充分なシールを得るようにしようとする技術に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、上下及び左右に接続されるパネル間のシール構造は、例えば、図7及び8に示す特願平9−107746号のように、パネル1a,1aの上下方向の接続においては、接続凹部3aと接続凸部2aの間にパッキン13aを介装し、パネル1a,1aの横方向の接続においては、左右のパネル1aの側部接続片10と断熱材との間にパッキン14aを介装し、左右のパッキン14a,14a間に樋状体23を架設してシールをおこなうのである。又、パネル1a…の上下左右の接合箇所には、略T字状のパッキン24を配設するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなシール構造においては、構造が複雑になりながら、毛細管現象に起因したパネル背部への漏水を防止することができないという問題があった。
【0004】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、パネルを接続する際の横目地及び縦目地を有効に利用することでシール構成を簡素化しながら、毛細管現象による漏水を確実に防止して充分なシール性を得ることができるパネル間のシール構造を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1においては、パネル1の上下端の一方に接続凸部2を、他方に接続凹部3を形成し、パネル1の表面の上端部に固定用凹部4を、パネル1の表面の下端部に固定用凹部4に対して横目地溝5を残して被せる覆い片6を垂下し、パネル1の左右端部にパネル1の表面外皮7を折り曲げて側部接続片10,10を形成し、上下及び左右に接続されるパネル1…間のシール構造であって、接続凸部2と接続凹部3との間にパネル1の全幅にわたる第1パッキン11を設け、第2パッキン12はベローズ状に形成され、第2パッキン12に形成した突条部20を覆い片6の背面に形成した凹溝21に係入して固定用凹部4と覆い片6との間にパネル1の全幅にわたる第2パッキン12を設け、第1パッキン11は第2パッキン12よりも上位に設けられ、第2パッキン12の直下方で覆い片6と固定用凹部4とで構成される横目地溝5の底部にパネル1の全幅にわたる第3パッキン13を敷設し、第3パッキン13を溝長さ方向に分断して通気用の第1開口17を形成し、第2パッキン12に第1開口17とは左右方向における位置を異ならせて第2開口18を形成し、第2パッキン12と第1パッキン11とで囲繞される横通気路19を形成し、側部接続片10,10間にパネル1の全高にわたる第4パッキン14を設け、第4パッキン14よりもパネル表面側で上記第3パッキン13の長さ方向の側端部間に縦目地片15を介装し、第4パッキン14、第3パッキン13及び縦目地片15にて囲繞して縦通気路16を形成し、上記横通気路19を上記縦通気路16に連通して成ることを特徴とするものである。
【0006】
このような構成によれば、第3パッキン13と第2パッキン12との間の左右通気路25は大気側に連通して大気圧と等しい圧になるのであり、同様に、第2パッキン12に第2開口18が形成されて第2パッキン12と第1パッキン11との間の横通気路19においても大気圧となるのであり、一方、縦目地片15及び第4パッキン14などにて囲繞される縦通気路16もその上下端は開放されていて大気圧となるのであり、このように、横目地における第3パッキン13の第1開口17部分及びこれに連通する縦目地における縦通気路16とは共に大気圧となる等圧になるのであり、したがって、第1開口17から雨滴が風圧によって吹き込まれようとしても、等圧となっている左右通気路25、横通気路19及び縦通気路16の空気が動くのを効果的に抑制することができ、したがって、雨水の吹き込みを効果的に抑制することができる(等圧理論による)。
【0007】
更に、第1開口17と第2開口18とは位置がずれていることから、第1開口17から降り込んだ雨滴が第2開口18を経て横通気路19へと溢流することを防止することができるのであり、雨滴の浸入を効果的に防止することができる。
【0008】
加えて、万一、雨水が第1開口17、第2開口18を通過して浸入したとしても、横通気路19は縦通気路16に連通していることから、浸入した雨水を縦通気路16を経て下方に排水することができ、かつ、縦目地片15から浸入した雨水を排水することができ、しかして、パネル1の裏面側への雨水の浸入を効果的に防止することができる。
【0009】
このように請求項1に係る発明においては、パネル1を接続する際の横目地における左右通気路25、横通気路19と縦目地における縦通気路16を連通して等圧にすることから、各通気路25、19、16における空気の流れ及び圧力の変動を抑制して、効果的に雨水の浸入を防止するとともに毛細管現象による漏水を確実に防止することができるのであり、シール構成を簡素化して充分なシールをおこなうのである。
【0010】
更に、請求項1においては、第1パッキン11は第2パッキン12よりも上位に設けてあることを特徴とするものである。このような構成によれば、仮に、通気路19に雨水が浸入しても第1パッキン11が上位にあることから、雨水が上方の第1パッキン11を越えてパネル1の裏面側に回り込むのを防止することができる。
【0011】
更に、請求項1においては、第2パッキン12はベローズ状に形成され、端部の突条部20を覆い片6の背面に形成した凹溝21に係入していることを特徴とするものである。このような構成によれば、中間に位置する第2パッキン12の取付けを容易におこなうことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は概略縦断面図、図2は概略正面図、図3は図1のX−X線断面図、図4は図1のY−Y線断面図、図5は図1のZ−Z線断面図である。
【0013】
送り出し装置にて送り出された金属製の表側外皮7と裏側外皮8の上下両端にはロール成形により成形されて接続凸部2及び接続凹部3が形成され、これら表裏の外皮7,8間に断熱性を備えた芯材9としてのロックウール材、珪酸カルシウムが装填されている。表裏の外皮7,8は若干の隙間が形成されて表裏の外皮7,8間の熱伝動を回避するようにしている。
【0014】
パネル1の表面の上端部に固定用凹部4を、パネル1の表面の下端部に固定用凹部4に対して横目地溝5を残して被せる覆い片6を垂下している。パネル1の左右端部にパネル1の表面外皮7を折り曲げて側部接続片10,10を形成している。側部接続片10には凹溝27を形成している。
【0015】
しかして、図1に示すように、下位のパネル1を固定用凹部4においてはボルト(図示せず)にて壁下地に固定し、接続凸部2に上位のパネル1の接続凹部3を接続するとともに、覆い片6を固定用凹部4に横目地溝5を残して被せるのである。
【0016】
この場合、接続凸部2と接続凹部3との間にパネル1の全幅にわたって管状の第1パッキン11を介装するのである。又、固定用凹部4と覆い片6との間にパネル1の全幅にわたってベローズ状の第2パッキン12を介装するのである。更に、第2パッキン12よりも下位で、かつ、覆い片6と固定用凹部4とで構成される横目地溝5の底部においてパネル1の全幅にわたる第3パッキン13を敷設するのである。このようにして、パネル1,1を上下に接続するのである。
【0017】
一方、側部接続片10,10間にパネル1の全高にわたる第4パッキン14を介装するのである。第4パッキン14は、中空パッキン14a,14aを対向させて構成され、中空パッキン14aの凸条28を側部接続片10の凹溝27に挿入して中空パッキン14a,14aにてシールを図っている。上記第3パッキン13,13の長さ方向の側端部間に縦目地片15を介装している。第4パッキン14、第3パッキン13,13及び縦目地片15にて囲繞して縦通気路16を形成している。このような縦通気路16の上下端は開放されている。
【0018】
ところで、横目地溝5の底部に敷設した第3パッキン13を溝長さ方向に分断して通気用の第1開口17を形成している。第2パッキン12に第1開口17とは左右方向における位置を異ならせて第2開口18を形成している。
【0019】
このように、横目地溝5の底部に敷設される第3パッキン13には第1開口17が形成されていることから、第3パッキン13と第2パッキン12との間の左右通気路25は大気側に連通して大気圧と等しい圧になるのである。同様に、第2パッキン12に第2開口18が形成されて第2パッキン12と第1パッキン11との間の横通気路19においても大気圧となるのである。一方、縦目地片15及び第4パッキン14などにて囲繞される縦通気路16も大気圧となるのである。
【0020】
しかして、横目地における第3パッキン13の第1開口17部分及びこれに連通する縦目地における縦通気路16とは共に大気圧となる等圧になるのである。したがって、第1開口17から雨滴が風圧によって吹き込まれようとしても、等圧となっている左右通気路25、横通気路19及び縦通気路16の空気が動く(図2矢印イで示す)のを効果的に抑制するのであり、雨水の吹き込みを効果的に抑制するのである。
【0021】
更に、第1開口17と第2開口18とは正面視における位置がずれていることから、第1開口17から降り込んだ雨滴が第2開口18を経て横通気路19へと溢流することを防止するのであり、雨滴の浸入を効果的に防止することができるのである。
【0022】
ところで、万一、雨水が第1開口17、第2開口18を通過して浸入したとしても、横通気路19は縦通気路16に連通していることから、浸入した雨水を縦通気路16を経て下方に排水することができ、しかして、パネル1の裏面側への雨水の浸入を効果的に防止するのである。
【0023】
このように、パネル1を接続する際の横目地における左右通気路25、横通気路19と縦目地における縦通気路16を連通して等圧にすることから、各通気路25、19、16における空気の流れ及び圧力の変動を抑制して、効果的に雨水の浸入を防止するとともに毛細管現象による漏水を確実に防止することができるのであり、シール構成を簡素化して充分なシールをおこなうのである。
【0024】
ところで、第1パッキン11は第2パッキン12よりも上位に設けてあって、仮に、通気路19に雨水が浸入しても第1パッキン11が上位にあることから、雨水が上方の第1パッキン11を越えてパネル1の裏面側に雨水が回り込むのを防止するのである。
【0025】
更に、第2パッキン12はベローズ状に形成され、端部の突条部20を覆い片6の背面に形成した凹溝21に係入していることから、第2パッキン12の取付けを容易におこなうことができるのである。
【0026】
図6は上記パッキン11、12、13、14の関係を示す斜視図であり、第4パッキン14の中空パッキン14a,14aが必要に応じて上下に突き合せされてその前方(パネル前面側)の縦通気路16を形成し、第1パッキン11の長さ方向の端部が中空パッキン14aの外側面に弾接して横通気路19の上限域を形成し、横目地溝5の溝底に敷設される第3パッキン13の端部にブロック状の第5パッキン30が載設され、第5パッキン30の段部31に第2パッキン12の突条部20の端部を載置し、第2パッキン12にて横通気路19の下限域を形成するものである。
【0027】
尚、実施の形態においては、第4パッキン14を一対の中空パッキン14a,14aにて形成したが、一体化した一本物にしてもよいものである。
【0028】
【発明の効果】
請求項1においては、パネルの上下端の一方に接続凸部を、他方に接続凹部を形成し、パネルの表面の上端部に固定用凹部を、パネルの表面の下端部に固定用凹部に対して横目地溝を残して被せる覆い片を垂下し、パネルの左右端部にパネルの表面外皮を折り曲げて側部接続片を形成し、上下及び左右に接続されるパネル間のシール構造であって、
接続凸部と接続凹部との間にパネルの全幅にわたる第1パッキンを設け、第2パッキンはベローズ状に形成され、第2パッキンに形成した突条部を覆い片の背面に形成した凹溝に係入して固定用凹部と覆い片との間にパネルの全幅にわたる第2パッキンを設け、第1パッキンは第2パッキンよりも上位に設けられ、第2パッキンの直下方で覆い片と固定用凹部とで構成される横目地溝の底部にパネルの全幅にわたる第3パッキンを敷設し、第3パッキンを溝長さ方向に分断して通気用の第1開口を形成し、第2パッキンに第1開口とは左右方向における位置を異ならせて第2開口を形成し、第2パッキンと第1パッキンとで囲繞される横通気路を形成し、側部接続片間にパネルの全高にわたる第4パッキンを設け、第4パッキンよりもパネル表面側で上記第3パッキンの長さ方向の側端部間に縦目地片を介装し、第4パッキン、第3パッキン及び縦目地片にて囲繞して縦通気路を形成し、上記横通気路を上記縦通気路に連通しているから、つまり、横目地溝の底部に敷設される第3パッキンには第1開口が形成されていることから、第3パッキンと第2パッキンとの間の左右通気路は大気側に連通して大気圧と等しい圧になるのであり、同様に、第2パッキンに第2開口が形成されて第2パッキンと第1パッキンとの間の横通気路においても大気圧となるのであり、一方、縦目地片及び第4パッキンなどにて囲繞される縦通気路もその上下端は開放されていて大気圧となるのであり、このように、横目地における第3パッキンの第1開口部分及びこれに連通する縦目地における縦通気路とは共に大気圧となる等圧になるのであり、したがって、第1開口から雨滴が風圧によって吹き込まれようとしても、等圧となっている左右通気路、横通気路及び縦通気路の空気が動くのを効果的に抑制することができ、したがって、雨水の吹き込みを効果的に抑制することができるという利点がある。
【0029】
更に、第1開口と第2開口とは位置がずれていることから、第1開口から降り込んだ雨滴が第2開口を経て横通気路へと溢流することを防止することができるのであり、雨滴の浸入を効果的に防止することができるという利点がある。加えて、万一、雨水が第1開口、第2開口を通過して浸入したとしても、横通気路は縦通気路に連通していることから、浸入した雨水を縦通気路を経て下方に排水することができ、しかして、パネルの裏面側への雨水の浸入を効果的に防止することができるという利点がある。
【0030】
このように請求項1に係る発明においては、パネルを接続する際の横目地における左右通気路、横通気路と縦目地における縦通気路を連通して等圧にすることから、各通気路における空気の流れ及び圧力の変動を抑制して、雨水の浸入を効果的に防止するとともに毛細管現象による漏水を確実に防止することができるのであり、シール構成を簡素化して充分なシールをおこなうことを特徴とするものである。
【0031】
更に、請求項1においては、第1パッキンは第2パッキンよりも上位に設けてあるから、仮に、横通気路に雨水が浸入しても第1パッキンが上位にあることから、雨水が上方の第1パッキンを越えてパネルの裏面側に雨水が回り込むのを防止することができるという利点がある。
【0032】
更に、請求項1においては、第2パッキンはベローズ状に形成され、端部の突条部を覆い片の背面に形成した凹溝に係入しているから、第2パッキンの取付けを容易におこなうことができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の概略縦断面図である。
【図2】同上の概略正面図である。
【図3】図1のX−X線断面図である。
【図4】図1のY−Y線断面図である。
【図5】図1のZ−Z線断面図である。
【図6】同上のパッキンの相互の関係を示す斜視図である。
【図7】従来例を示す概略斜視図である。
【図8】同上の上下方向の接続状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 パネル
2 接続凸部
3 接続凹部
4 固定用凹部
5 横目地溝
6 覆い片
7 表側外皮
8 裏側外皮
9 芯材
10 側部接続片
11 第1パッキン
12 第2パッキン
13 第3パッキン
14 第4パッキン
15 縦目地片
16 縦通気路
17 第1開口
18 第2開口
19 通気路
20 突条部
21 凹溝
Claims (1)
- パネルの上下端の一方に接続凸部を、他方に接続凹部を形成し、パネルの表面の上端部に固定用凹部を、パネルの表面の下端部に固定用凹部に対して横目地溝を残して被せる覆い片を垂下し、パネルの左右端部にパネルの表面外皮を折り曲げて側部接続片を形成し、上下及び左右に接続されるパネル間のシール構造であって、
接続凸部と接続凹部との間にパネルの全幅にわたる第1パッキンを設け、第2パッキンはベローズ状に形成され、第2パッキンに形成した突条部を覆い片の背面に形成した凹溝に係入して固定用凹部と覆い片との間にパネルの全幅にわたる第2パッキンを設け、第1パッキンは第2パッキンよりも上位に設けられ、第2パッキンの直下方で覆い片と固定用凹部とで構成される横目地溝の底部にパネルの全幅にわたる第3パッキンを敷設し、第3パッキンを溝長さ方向に分断して通気用の第1開口を形成し、第2パッキンに第1開口とは左右方向における位置を異ならせて第2開口を形成し、第2パッキンと第1パッキンとで囲繞される横通気路を形成し、側部接続片間にパネルの全高にわたる第4パッキンを設け、第4パッキンよりもパネル表面側で上記第3パッキンの長さ方向の側端部間に縦目地片を介装し、第4パッキン、第3パッキン及び縦目地片にて囲繞して縦通気路を形成し、縦通気路の上下端を大気に連通して成ることを特徴とするパネル間のシール構造。
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