JP3755417B2 - 移動体電話用車載システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両内で使用される移動体電話用の車載システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の乗員が車両内に持ち込んだ移動体電話機を車両内に置き忘れそうになったとき、乗員に報知する移動体用電話システムが知られている。たとえば、特開平10−291446号公報には、携帯電話機を車両内の電話機アダプタ(クレードル)に装着したままで運転者が運転席から離れようとすると、スピーカから警告メッセージを流して運転者に報知する技術が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の移動体用電話システムは、運転者が警告メッセージに気づかずに車両から離れてしまうと、それ以降運転者に向けて報知することができない。このため、運転者が携帯電話機がないことに気づいたとき、携帯電話機を車両内に置き忘れたのか、あるいは降車後に立ち寄った別の場所で置き忘れたのかがわからなくなることがあった。
【0004】
本発明の目的は、車両内に持ち込まれた移動体電話機が車両内に放置されると、所有者に向けて報知するようにした移動体電話用車載システムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(1)請求項1に記載の発明による移動体電話用車載システムは、車両内に持ち込まれた移動体電話機を検出する電話機検出手段と、車両内の乗員の有無を検知する乗員有無検知手段と、電話機検出手段で移動体電話機が検出され、かつ乗員有無検知手段で乗員無しが検知された場合に、移動体電話機が車両内に放置されていると判定する放置判定手段と、移動体電話機の発呼先を記憶する記憶手段と、放置判定手段により放置が判定されているとき、発呼先に向けて発呼するように移動体電話機に指示する電話機制御手段とを備えることにより、上述した目的を達成する。
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の移動体電話用車載システムにおいて、移動体電話機と電話機制御手段との間で通信を行う通信手段をさらに備え、電話機検出手段は、通信手段による通信の状況に応じて車両内の移動体電話機を検出することを特徴とする。
(3)請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の移動体電話用車載システムにおいて、電話機制御手段は、通信手段を介して移動体電話機に発呼を指示することを特徴とする。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の移動体電話用車載システムにおいて、現在時刻の情報を生成する計時手段をさらに備え、記憶手段は、発呼先を時刻の情報に対応づけて記憶し、電話機制御手段は、計時手段による現在時刻の情報と合致する時刻の情報に対応づけて記憶されている発呼先に向けて発呼するように移動体電話機に指示することを特徴とする。
(5)請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の移動体電話用車載システムにおいて、現在時刻の情報を生成する計時手段をさらに備え、記憶手段は、移動体電話機の所有者の行先を含むタイムスケジュールおよび行先に対応する発呼先を記憶し、電話機制御手段は、計時手段による現在時刻の情報と合致する行先に向けて発呼するように移動体電話機に指示することを特徴とする。
(6)請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の移動体電話用車載システムにおいて、車両の現在位置の情報を生成する位置検出手段をさらに備え、記憶手段は、発呼先を位置の情報に対応づけて記憶し、電話機制御手段は、位置検出手段による現在位置の情報と略合致する位置の情報に対応づけて記憶されている発呼先に向けて発呼するように移動体電話機に指示することを特徴とする。
(7)請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の移動体電話用車載システムにおいて、電話機制御手段は、放置判定手段により放置が判定されているとき、移動体電話機に着呼がある場合に当該移動体電話機が車室内に放置されていることを報知して応答するように移動体電話機に指示することを特徴とする。
(8)請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の移動体電話用車載システムにおいて、車両の現在位置の情報を生成する位置検出手段をさらに備え、電話機制御手段は、応答に現在位置の情報を付与することを特徴とする。
(9)請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の移動体電話用車載システムにおいて、車両に固有の情報を生成する車両情報生成手段をさらに備え、電話機制御手段は、車両に固有の情報を応答に付与することを特徴とする。
【0006】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果を奏する。
(1)請求項1〜9に記載の発明による移動体電話用車載システムでは、車両内に持ち込まれた移動体電話機が車両内に放置されたと判定されているとき、記憶されている発呼先に向けて発呼するように当該移動体電話機に指示するようにしたので、自動的に当該移動体電話機から発呼先に発呼される。これにより、たとえば、発呼先を移動体電話機の所有者の連絡先にしておけば、この所有者が移動体電話機を置き忘れて車両から離れた後でも、車内に放置された当該電話機から所有者に向けて報知される。
(2)とくに、請求項7、8、9に記載の発明による移動体電話用車載システムでは、車両内に持ち込まれた移動体電話機が車両内に放置されたと判定されているとき、当該移動体電話機に着呼があると、当該電話機が放置されていることを報知して応答するように当該電話機に指示するようにした。これにより、移動体電話機に電話をかけると、電話機が車内にあることが報知される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
−第一の実施の形態−
図1は、本発明の第一の実施の形態による移動体電話用車載システムの概要を示すブロック図である。図1において、車両内に持ち込まれる携帯電話機用に車両内に備えられているハンズフリーシステム50は、セルラーフォンアダプタ30と、スピーカ32と、マイク33とにより構成される。ハンズフリーシステム50は、車両内のLAN61によってナビゲーションシステム20と接続されている。LAN61は、ハンズフリーシステム50やナビゲーションシステム20、不図示のオーディオ装置など、主としてマルチメディア系システム間の通信に用いられるネットワークであり、インターフェイス装置65を介して車両内のLAN62と接続されている。LAN62は、車両の制御情報の通信に用いられるネットワークであり、キースイッチ状態検知回路71、ドアロック状態検知回路72、および乗員検知システム73などが接続されている。インターフェイス装置65は、マルチメディア系LAN61と車両制御LAN62とを接続するインターフェイスである。
【0008】
携帯電話機10は、無線通信によるセルラー電話回線15を介して不図示のセルラー基地局との間でデータ通信を行う一方、Bluetooth12と呼ばれる無線通信によってハンズフリーシステム50との間でデータ通信を行う。Bluetooth12は、互いにBluetoothインターフェイスを備え、100m程度までの見通せる距離を隔てた電子機器間でデータの送受を行う近距離無線データ通信技術である。ここで、携帯電話機10にBluetoothインターフェイス10Aが、ハンズフリーシステム50のセルラーフォンアダプタ30にBluetoothインターフェイス30Aが、それぞれ備えられている。
【0009】
ドライバーが携帯電話機10を車両内に持ち込むと、Bluetoothインターフェイス10A、30Aを介して携帯電話機10とハンズフリーシステム50とがデータ通信を行う。これにより、ドライバーはハンズフリーシステム50を介して携帯電話機10による通話およびデータ送受が可能になる。ドライバーが携帯電話機10を車両外に持ち出すと、Bluetoothインターフェイス10A、30Aによる携帯電話機10とハンズフリーシステム50との間のデータ通信が行われなくなる。これにより、ドライバーは携帯電話機10を直接操作して携帯電話機10による通話およびデータ送受が可能になる。
【0010】
セルラーフォンアダプタ30には、スピーカ32およびマイク33がそれぞれ接続される。セルラーフォンアダプタ30が上述したBluetoothインターフェイス30Aを介して携帯電話機10との間でデータ通信が可能な状態にあるとき、セルラーフォンアダプタ30は、携帯電話機10に着信があると携帯電話機10から出力される音声信号をスピーカ32で再生する。また、セルラーフォンアダプタ30は、携帯電話機10による通話時にマイク33から入力される音声信号を携帯電話機10へ出力する。ドライバーは、マイク33に向かって話し、スピーカ32から再生される音声を聞いてハンズフリー通話を行う。また、携帯電話機10は、セルラーフォンアダプタ30およびLAN61を介して後述するナビゲーションシステム20との間でデータの送受を行う。
【0011】
ナビゲーションシステム20は、情報処理システム20Aと、マルチスイッチ21と、ディスプレイ装置22と、GPSアンテナ23と、データベース24とを有する。情報処理システム20Aは、ナビゲーションシステム20の各ユニットを制御する他、ハンズフリーシステム50などの他の車載システムに対する制御も行う。たとえば、ハンズフリーシステム50を制御する場合は、携帯電話機10がセルラー電話回線15を介して送受するデータや、携帯電話機10に記憶されている電話番号や位置情報付きの電話番号などのデータが、セルラーフォンアダプタ30およびLAN61を介して情報処理システム20Aに送られる。一方、情報処理システム20Aからの制御信号は、LAN61およびセルラーフォンアダプタ30を介して携帯電話機10に送られる。
【0012】
マルチスイッチ21は、ナビゲーションシステム20に対する操作を行う他、他の車載システムに対する操作も行う。たとえば、ドライバーがマルチスイッチ21を操作することにより、ハンズフリーシステム50を介した携帯電話機10の発呼、ハンズフリー通話、データ送受の開始/終了を行う。
【0013】
ディスプレイ装置22は、ナビゲーションシステム20による誘導指示図、データベース24に記録されている地図情報、ハンズフリーシステム50からの携帯電話機10の情報、および上述したマルチスイッチ21の操作時の操作状況や操作ガイドなどを表示する。GPSアンテナ23は、不図示のGPS衛星から送信される信号を受信して情報処理システム20Aに送る。データベース24は、地図情報などが記録されている。
【0014】
キースイッチ状態検知回路71は、車室内に備えられている不図示のイグニションキースイッチの状態、すなわち、イグニションスイッチのオン/オフ、アクセサリスイッチのオン/オフ、キーが抜かれているか否かのそれぞれの状態を検知し、検知信号を出力する。ドアロック状態検知回路72は、車両のドアロックの状態を検知し、検知信号を出力する。乗員検知システム73は、車室内の乗員の有無を検知し、検知信号を出力する。乗員の検知は、座席に設けられている着座センサや赤外線センサなどを用いて行われる。各ユニットから出力される検知信号は、それぞれLAN62、インターフェイス装置65、およびLAN61を介して情報処理システム20Aに送られる。
【0015】
以上説明した車載システムで行われる携帯電話機10の車両内置き忘れ報知について、情報処理システム20Aで行われる処理の流れを示す図2のフローチャートを参照して説明する。第一の実施の形態による車載システムでは、キースイッチの設定状態にかかわらず、情報処理システム20A、およびセルラーフォンアダプタ30のBluetoothインターフェイス30Aが動作するように構成される。
【0016】
図2のステップS1において、情報処理システム20Aは、セルラーフォンアダプタ30が携帯電話機10との間でデータ通信を開始したか否かを判定する。セルラーフォンアダプタ30は、Bluetoothインターフェイス30Aを介して所定の周期ごとに接続信号を送信する。携帯電話機10が車両内に持ち込まれると、携帯電話機10のBluetoothインターフェイス10Aが接続信号に応答して応答信号を送信する。Bluetoothインターフェイス30Aが応答信号を受信すると、セルラーフォンアダプタ30が起動して携帯電話機10との間でデータ通信を開始するとともに、LAN61を介して情報処理システム20Aに通信開始を伝える。情報処理システム20Aは、セルラーフォンアダプタ30からの通信開始信号を受信すると、ステップS1を肯定判定してステップS2へ進み、通信開始信号が受信されない場合はステップS1を否定判定し、再びステップS1の判定処理を行う。
【0017】
ステップS2において、情報処理システム20Aは、携帯電話機10が車両内に持ち込まれたとみなしてステップS3へ進む。ステップS3において、情報処理システム20Aは、マルチスイッチ21からの操作信号に基づいて、ハンズフリーシステム50を介した携帯電話機10の発呼、ハンズフリー通話、データ送受などの制御を行う。
【0018】
ステップS4において、情報処理システム20Aは、キースイッチ状態検知回路71からの検知信号によりエンジンスイッチがオフか否かを判定する。エンジンスイッチがオフの場合はステップS4を肯定判定してステップS5へ進み、エンジンスイッチがオンの場合はステップS4を否定判定し、ステップS4の判定処理を繰り返す。
【0019】
ステップS5において、情報処理システム20Aは、キースイッチ状態検知回路71からの検知信号によりアクセサリスイッチがオフか否かを判定する。アクセサリスイッチがオフの場合はステップS5を肯定判定してステップS6へ進み、アクセサリスイッチがオンの場合はステップS5を否定判定し、ステップS4に戻る。
【0020】
ステップS6において、情報処理システム20Aは、キースイッチ状態検知回路71からの検知信号によりキーが抜かれているか否かを判定する。キーが抜かれている場合はステップS6を肯定判定してステップS7へ進み、キーが差し込まれている場合はステップS6を否定判定し、ステップS4に戻る。
【0021】
ステップS7において、情報処理システム20Aは、ドアロック状態検知回路72からの検知信号によりドアロックされているか否かを判定する。ドアロックされている場合はステップS7を肯定判定してステップS8へ進み、ドアロックされていない場合はステップS7を否定判定し、ステップS4に戻る。
【0022】
ステップS8において、情報処理システム20Aは、乗員検知システム73からの検知信号により乗員の有無を検出する。乗員を検知するとステップS8を肯定判定してステップS4へ戻り、乗員を検知しない場合はステップS8を否定判定してステップS9へ進む。ステップS9において、情報処理システム20Aは、携帯電話機10が車両内に置き忘れられたとみなしてステップS10へ進む。
【0023】
ステップS10において、情報処理システム20Aは、ステップS2の処理によって携帯電話機10が車両内に持ち込まれたとみなされてから経過した時間が、あらかじめ設定されている時間以上か否かを判定する。設定されている時間以上経過した場合、ステップS10を肯定判定してステップS11へ進み、設定されている時間に満たない場合はステップS10を否定判定してステップS4へ戻る。
【0024】
ステップS11において、情報処理システム20Aは、携帯電話機10が車両内に放置されているとみなしてステップS12へ進む。ステップS12において、情報処理システム20Aは、セルラーフォンアダプタ30に制御信号を送り、携帯電話機10内の不図示のメモリにあらかじめ記憶されている報知先に向けて携帯電話機10を発呼させる。報知先は、たとえば、ドライバーの自宅や勤務先、ドライバーが所持するポットベルであり、これらの電話番号やペイジャ番号が携帯電話機10のメモリに登録されている。また、電話番号やペイジャ番号の代わりに、ドライバー宛のメールアドレスを登録しておいてもよい。携帯電話機10が電話番号に発呼する場合は、あらかじめ登録されている音声データ、たとえば、「クルマの中に電話機があります。」というメッセージを報知先に流す。また、携帯電話機10がメールアドレスに発呼する場合は、あらかじめ登録されているメッセージデータ、たとえば、「車内に電話機があります。」というメールを報知先に送信する。報知先に対する発呼を終えると、図2による処理が終了する。
【0025】
図3は、報知先の電話番号やアドレスを記憶する携帯電話機10内のデータベースを説明する図である。図3において、タイマー102は、現在時刻の情報を生成して制御部101に送る。制御部101は、連絡先(報知先)データベース104から現在時刻に対応する電話番号(アドレス)を抽出し、この電話番号(アドレス)を発信連絡先(報知先)101aにセットする。連絡先(報知先)データベース104には、電話番号やアドレスが時刻に対応づけて記憶されている。ドライバーが時刻によって連絡先を変える場合、電話番号やアドレスを時刻に対応させてデータベース104に記憶しておくと、ドライバーに対する連絡が取りやすくなる。
【0026】
制御部101は、たとえば、タイマー102からの時刻情報が19時の場合に、連絡先−1のデータ104aに記憶されている電話番号を抽出して発信連絡先(報知先)101aにセットする。発信連絡先(報知先)101aに電話番号(アドレス)がセットされたことは、Bluetoothインターフェイス103(10A)、セルラーフォンアダプタ30、およびLAN61を介して情報処理システム20Aに伝えられる。情報処理システム20Aは、報知先の電話番号(アドレス)がセットされたことを受けて、携帯電話機10に向けて発呼指令を送る。これにより、携帯電話機10は発信連絡先(報知先)101aにセットされている事務所の電話番号(アドレス)に発呼し、携帯電話機10が車内に放置されていることを報知する。
【0027】
なお、携帯電話機10は、セルラー電話回線15に発呼する電源がオフの場合、Bluetoothインターフェイス10Aにより受信される信号により、セルラー電話回線15に接続するための電源をオンできるように構成されている。そこで、上述したステップS12において情報処理システム20Aがセルラーフォンアダプタ30に制御信号を送る場合、携帯電話機10のセルラー電話回線15に発呼する電源をオンさせる信号に続けて、携帯電話機10を報知先に向けて発呼させる信号を送る。
【0028】
クルマを離れたドライバーが携帯電話機10を車内に置き忘れたことに気づき、当該携帯電話機10に向けて電話をかけた場合、携帯電話機10は情報処理システム20Aに着信を伝える。携帯電話機10は、情報処理システム20Aから送られる制御信号にしたがって電話を受け、あらかじめ登録されている音声データ、たとえば、「この電話機はクルマの中にあります。」というメッセージをドライバーに流す。なお、この場合のメッセージは、ドライバーがかけている電話からトーン信号により所定の識別番号を送信した場合に流すようにしてもよい。
【0029】
以上説明した第一の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)セルラーフォンアダプタ30はBluetoothインターフェイス30Aを介して定期的に接続信号を送り、携帯電話機10は接続信号を受信できる範囲、すなわち車内で接続信号を受信するとBluetoothインターフェイス10Aを介して応答信号を送るようにした。これにより、車載システムの情報処理システム20Aは、携帯電話機10が車内に持ち込まれたことを検知できる。
(2)セルラーフォンアダプタ30は、Bluetoothインターフェイス30A、10Aを介して携帯電話機10との間でデータ通信を行うようにしたので、携帯電話機10をホルダなどに固定する必要がない上、ケーブルなどで携帯電話機10とセルラーフォンアダプタ30とを接続する必要もない。この結果、携帯電話機10を車内に持ち込んだときに携帯電話機10をバッグや上着のポケットから出さなくてもよくなり、煩わしさを低減できる。
(3)情報処理システム20Aは、エンジンスイッチおよびアクセサリスイッチがオフされるとともに、キーが抜かれてドアロックされ、さらに乗員が検知されない状態が所定時間続くと携帯電話機10が車内に放置されているとみなすようした。このため、たとえば、乗員が駐車した車内で待機する場合や、乗員が買い物のために一時的にクルマを離れる場合などに、誤って携帯電話機10が放置されていると判定することがない。
(4)情報処理システム20Aは、携帯電話機10が車内に放置されているとみなすと、携帯電話機10内に記憶されている報知先に向けて携帯電話機10を発呼させ、たとえば、「クルマの中に電話機があります。」というメッセージを報知先に流すようにした。これにより、従来技術と異なり、ドライバーがクルマから離れた後からでも報知先に携帯電話機10の車内置き忘れを報知することができる。
(5)携帯電話機10内に報知先の電話番号(アドレス)を記憶するデータベース104は、電話番号(アドレス)と時刻とを対応づけて記憶するようにしたので、クルマから離れた乗員が時刻によって連絡先を変える場合に、現在の時刻に対応する報知先を抽出できるから、乗員に対する連絡が取りやすくなる。
【0030】
上述した説明では、車載システムの情報処理システム20Aは、携帯電話機10とセルラーフォンアダプタ30とがBluetoothインターフェイス10A、30Aを介してデータ通信を開始した場合(ステップS1で肯定判定)に、携帯電話機10が車内に持ち込まれたとみなした。この代わりに、セルラーフォンアダプタ30のBluetoothインターフェイス30Aにおいて受信されるBluetoothインターフェイス10Aからの信号レベルをチェックし、信号レベルが所定値より高い場合に携帯電話機10が車内に持ち込まれたと判定してもよい。
【0031】
また、第一の実施の形態による車載システムでは、キースイッチの設定状態にかかわらず、情報処理システム20A、およびセルラーフォンアダプタ30のBluetoothインターフェイス30Aが動作するように構成されるようにしたが、情報処理システム20Aは、Bluetoothインターフェイス10Aおよび30A間でデータ通信を開始してから、すなわち、携帯電話機10が車内に持ち込まれてから起動するようにしてもよい。
【0032】
−第二の実施の形態−
携帯電話機10内のデータベースを図4のように構成してもよい。図4は、第二の実施の形態による携帯電話機10内のデータベースを説明する図である。図4において、タイマー102は、現在時刻の情報を生成して制御部201に送る。制御部201は、行動スケジュールデータベース205から現在時刻に対応する行動先を選び、選んだ行動先の電話番号(アドレス)を連絡先(報知先)データベース204から抽出し、この電話番号(アドレス)を発信連絡先(報知先)201aにセットする。
【0033】
行動スケジュールデータベース205には、ドライバーのその日の行動スケジュールが行動先と時刻とに対応づけて記憶されている。連絡先(報知先)データベース204には、電話番号やアドレスが連絡先と対応づけて記憶されている。制御部201は、たとえば、タイマー102からの時刻情報が13時10分の場合に、連絡先−1のデータ204aに記憶されている電話番号を抽出して発信連絡先(報知先)201aにセットする。発信連絡先(報知先)201aに電話番号(アドレス)がセットされたことは、Bluetoothインターフェイス103(10A)、セルラーフォンアダプタ30、およびLAN61を介して情報処理システム20Aに伝えられる。情報処理システム20Aは、報知先の電話番号(アドレス)がセットされたことを受けて、携帯電話機10に向けて発呼指令を送る。これにより、携帯電話機10は発信連絡先(報知先)201aにセットされている事務所の電話番号(アドレス)に発呼し、携帯電話機10が車内に放置されていることを報知する。
【0034】
以上説明した第二の実施の形態によれば、携帯電話機10内の行動スケジュールデータベース205にドライバーのその日の行動スケジュールを行動先と時刻とに対応づけて記憶し、連絡先(報知先)データベース204に電話番号(アドレス)と連絡先と対応づけて記憶するようにしたので、クルマから離れた乗員の行動先の電話番号(アドレス)を抽出できるから、乗員に対する連絡が取りやすくなる。
【0035】
−第三の実施の形態−
携帯電話機10内のデータベースを図5のように構成してもよい。図5は、第三の実施の形態による携帯電話機10内のデータベースを説明する図である。図5において、制御部301は、連絡先(報知先)データベース206に記憶されている電話番号(アドレス)の中から、現在の車両位置に近い位置情報とともに記憶されている電話番号(アドレス)を抽出し、この電話番号(アドレス)を発信連絡先(報知先)301aにセットする。連絡先(報知先)データベース206には、電話番号やアドレスが位置情報(緯度および経度)に対応づけて記憶されている。ドライバーが車両から離れる場合、現在の車両位置に近い場所に立ち寄る可能性が高い。したがって、電話番号(アドレス)を位置情報に対応させてデータベース206に記憶しておくことにより、位置情報を利用して車両位置に近い立ち寄り先の電話番号(アドレス)を抽出できるからドライバーに対する連絡が取りやすくなる。
【0036】
ここで、現在の車両位置はナビゲーションシステム20によって検出される。情報処理システム20Aは、GPSアンテナ23によって受信された信号を用いて周知の位置検出演算を行うことにより、車両位置を検出する。検出された車両位置の情報は、LAN61、セルラーフォンアダプタ30、およびBluetoothインターフェイス103(10A)を介して携帯電話機10の制御部301に送られる。
【0037】
制御部301は、たとえば、情報処理システム20Aからの車両位置情報が東経145度98分、北緯23度25分の場合に、連絡先−2のデータ206bに記憶されている電話番号を抽出して発信連絡先(報知先)301aにセットする。発信連絡先(報知先)301aに電話番号(アドレス)がセットされたことは、Bluetoothインターフェイス103(10A)、セルラーフォンアダプタ30、およびLAN61を介して情報処理システム20Aに伝えられる。情報処理システム20Aは、報知先の電話番号(アドレス)がセットされたことを受けて、携帯電話機10に向けて発呼指令を送る。これにより、携帯電話機10は発信連絡先(報知先)301aにセットされている自宅の電話番号(アドレス)に発呼し、携帯電話機10が自宅車庫の車内に放置されていることを報知する。
【0038】
以上説明した第三の実施の形態によれば、携帯電話機10内の連絡先(報知先)データベース206に電話番号(アドレス)と位置情報(緯度および経度)とを対応づけて記憶するようにしたので、ナビゲーションシステム20によって検出される現在の車両位置に近い電話番号(アドレス)を抽出できるから、乗員に対する連絡が取りやすくなる。
【0039】
情報処理システム20Aが携帯電話機10の車内放置を判定した場合に携帯電話機10から報知先に向けて流すメッセージに、ナビゲーションシステム20によって検出される位置情報を付加してもよい。付加される位置情報は、緯度および経度であってもよいし、たとえば、「○○町△丁目付近のクルマの中に電話機があります。」というように住所であってもよい。また、「□□ビル付近のクルマの中に電話機があります。」というように建物や施設の名称であってもよい。
【0040】
また、携帯電話機10から報知先に向けて流すメッセージに、車内放置を判定した日時の情報を付加してもよい。たとえば、「クルマの中に電話機があります。△月△日○時○分です。」と付加する。
【0041】
さらにまた、携帯電話機10から報知先に向けて流すメッセージに、車両の登録ナンバーのように車両に固有の情報を付加してもよい。たとえば、「クルマの中に電話機があります。ナンバーは○△○△です。」と付加する。このようにすると、たとえば、会社の営業マンが会社に複数ある営業車のうち1台を使用し、帰社した際に車内に電話機を置き忘れ、しかも使用した営業車のナンバーを覚えていない場合に、車両のナンバーが報知されると同じ車種のクルマを1台ずつ順番に探す手間を省くことができる。
【0042】
連絡先(報知先)データベース206に電話番号が位置情報(緯度および経度)に対応づけて記憶されていない場合に、ナビゲーション用のデータベース24を利用して電話番号に対応する位置を求めるようにしてもよい。この場合には、ナビゲーションシステム20の電話番号検索機能を用いる。携帯電話機10の制御部301は、データベース206に記憶されている連絡先(報知先)電話番号を情報処理システム20Aへ送る。この電話番号は複数の報知先のものであってもよい。情報処理システム20Aは、送られた電話番号のそれぞれについてナビゲーションシステムが備える周知の電話番号検索機能によりデータベース24を検索し、当該電話番号に対応する住所、すなわち、位置情報を得る。情報処理システム20Aは、電話番号検索によって得た位置情報の中から上述したGPS信号により検出した車両位置に近い位置情報を選び、当該位置情報に対応する電話番号を発信連絡先(報知先)とする。この結果、現在の車両位置に近い連絡先に向けて発呼を行うことができるようになり、ドライバーに対する連絡が取りやすくなる。
【0043】
以上説明した第一〜第三の実施の形態では、報知先の電話番号、ペイジャ番号やメールアドレスを記憶するデータベースを移動体電話機10内に設けるようにしたが、データベースをセルラーフォンアダプタ30内、あるいは、情報処理システム20A内に設けるようにしてもよい。データベースがセルラーフォンアダプタ30に設けられる場合には、発信連絡先(報知先)としてセットされた電話番号(メールアドレス)がBluetoothインターフェイス30A、10Aを介して携帯電話機10に送られる。データベースが情報処理システム20Aに設けられる場合には、発信連絡先(報知先)としてセットされた電話番号(メールアドレス)がLAN61およびBluetoothインターフェイス30A、10Aを介して携帯電話機10に送られる。携帯電話機10は、情報処理システム20Aからの発呼指令を受けると、発信連絡先に携帯電話機10が放置されていることを報知する。
【0044】
セルラーフォンアダプタ30と携帯電話機10とは、Bluetoothインターフェイス30A、10Aを介さずにデータ通信を行うようにしてもよい。この場合には、携帯電話機10をホルダなどに固定するか、ケーブルなどで携帯電話機10とセルラーフォンアダプタ30とを接続する。これにより、不図示のホルダ内に設けられたコネクタやケーブルを介してセルラーフォンアダプタ30および携帯電話機10間でデータ通信が行われる。
【0045】
上述した車載システムは、乗用車、バスおよび運搬車、工事用車両ならびに建設用機械など、走行車両であれば全ての車両に適用することができる。
【0046】
特許請求の範囲における各構成要素と、発明の実施の形態における各構成要素との対応について説明すると、携帯電話機10が移動体電話機に、情報処理システム20Aが電話機検出手段、放置判定手段、および車両情報生成手段に、乗員検知システム73が乗員有無検知手段に、情報処理システム20Aおよび携帯電話機10の制御部101(201,301)が電話機制御手段に、電話番号(ペイジャ番号、メールアドレス)が発呼先に、メモリ内のデータベース104(204,205,206)が記憶手段に、携帯電話機10のBluetoothインターフェイス10A、セルラーフォンアダプタ30のBluetoothインターフェイス30A、セルラーフォンアダプタ30、およびLAN61が通信手段に、セルラーフォンアダプタ30と携帯電話機10との間でデータ通信できるか否かが通信の状況に、タイマー102が計時手段に、行動スケジュールがタイムスケジュールに、連絡先が行先に、ナビゲーションシステム20が位置検出手段に、それぞれ対応する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施の形態による車載システムの概要を示すブロック図である。
【図2】携帯電話機の車両内置き忘れ報知処理の流れを示すのフローチャートである。
【図3】報知先を記憶するデータベースを説明する図である。
【図4】第二の実施の形態における報知先を記憶するデータベースを説明する図である。
【図5】第三の実施の形態における報知先を記憶するデータベースを説明する図である。
【符号の説明】
10…携帯電話機、
10A(103A),30A…Bluetoothインターフェイス、
20…ナビゲーションシステム、 20A…情報処理システム、
30…セルラーフォンアダプタ、 50…ハンズフリーシステム、
61,62…LAN、 71…キースイッチ状態検知回路、
72…ドアロック状態検知回路、 73…乗員検知システム、
101,201,301…制御部、 102…タイマー、
104,204,205,206…データベース
Claims (9)
- 車両内に持ち込まれた移動体電話機を検出する電話機検出手段と、
前記車両内の乗員の有無を検知する乗員有無検知手段と、
前記電話機検出手段で前記移動体電話機が検出され、かつ前記乗員有無検知手段で前記乗員無しが検知された場合に、前記移動体電話機が前記車両内に放置されていると判定する放置判定手段と、
前記移動体電話機の発呼先を記憶する記憶手段と、
前記放置判定手段により放置が判定されているとき、前記発呼先に向けて発呼するように前記移動体電話機に指示する電話機制御手段とを備えることを特徴とする移動体電話用車載システム。 - 請求項1に記載の移動体電話用車載システムにおいて、
前記移動体電話機と前記電話機制御手段との間で通信を行う通信手段をさらに備え、
前記電話機検出手段は、前記通信手段による通信の状況に応じて車両内の移動体電話機を検出することを特徴とする移動体電話用車載システム。 - 請求項2に記載の移動体電話用車載システムにおいて、
前記電話機制御手段は、前記通信手段を介して移動体電話機に発呼を指示することを特徴とする移動体電話用車載システム。 - 請求項1に記載の移動体電話用車載システムにおいて、
現在時刻の情報を生成する計時手段をさらに備え、
前記記憶手段は、前記発呼先を時刻の情報に対応づけて記憶し、
前記電話機制御手段は、前記計時手段による現在時刻の情報と合致する時刻の情報に対応づけて記憶されている発呼先に向けて発呼するように前記移動体電話機に指示することを特徴とする移動体電話用車載システム。 - 請求項1に記載の移動体電話用車載システムにおいて、
現在時刻の情報を生成する計時手段をさらに備え、
前記記憶手段は、前記移動体電話機の所有者の行先を含むタイムスケジュールおよび前記行先に対応する発呼先を記憶し、
前記電話機制御手段は、前記計時手段による現在時刻の情報と合致する行先に向けて発呼するように前記移動体電話機に指示することを特徴とする移動体電話用車載システム。 - 請求項1に記載の移動体電話用車載システムにおいて、
前記車両の現在位置の情報を生成する位置検出手段をさらに備え、
前記記憶手段は、前記発呼先を位置の情報に対応づけて記憶し、
前記電話機制御手段は、前記位置検出手段による現在位置の情報と略合致する位置の情報に対応づけて記憶されている発呼先に向けて発呼するように前記移動体電話機に指示することを特徴とする移動体電話用車載システム。 - 請求項1に記載の移動体電話用車載システムにおいて、
前記電話機制御手段は、前記放置判定手段により放置が判定されているとき、前記移動体電話機に着呼がある場合に当該移動体電話機が車室内に放置されていることを報知して応答するように前記移動体電話機に指示することを特徴とする移動体電話用車載システム。 - 請求項7に記載の移動体電話用車載システムにおいて、
前記車両の現在位置の情報を生成する位置検出手段をさらに備え、
前記電話機制御手段は、前記応答に前記現在位置の情報を付与することを特徴とする移動体電話用車載システム。 - 請求項7に記載の移動体電話用車載システムにおいて、
前記車両に固有の情報を生成する車両情報生成手段をさらに備え、
前記電話機制御手段は、前記車両に固有の情報を前記応答に付与することを特徴とする移動体電話用車載システム。
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