JP3754559B2 - 電磁マグネットのヨーク製造方法 - Google Patents

電磁マグネットのヨーク製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁マグネットのコイル周囲に磁路を形成するためのヨークと該ヨークを製造する方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、巻上機を駆動する電動機のブレーキ装置に使用する電磁マグネットは、そのヨークを図9に示すように、鋳物砂からなる鋳型を用いた鋳造作業によって製作していた。前記鋳造を行う場合、図9(a)に示す下型1に、鋳造する製品の型枠となる木型2を配置し、この木型2の周囲に十分な成型性を有する鋳物砂3を充填して突き固める。この後、前記木型2を下型1から取出すことによって、前記鋳物砂3は木型2の形状をそのまま正確に下型1にうつし取った状態で鋳型4を形成する。
【0003】
つづいて、図示しない木型によって湯溜り5,湯道6等の湯口系を鋳物砂3にて形成した上型7を図9(b)に示すように、下型1上に乗載し、前記湯溜り5から鋳物の溶湯8を鋳型4内に注ぎ込む。このとき、溶湯8には適正な強度維持と、湯流れを良好に保つうえから一般に、炭素含有率が3〜3.3%程度のねずみ鋳鉄を使用していた。
【0004】
前記湯溜り5から注湯した溶湯8は、湯道6を通って鋳型4内に流れ込み、鋳型4に充填される。そして、鋳型4内に充満した溶湯8が凝固し冷却したら鋳型4内の鋳物を下型1から取り出し、その鋳物の鋳造時に付着した表面の砂や酸化物等の排除と、突起部分の研磨処理等を行って、例えば、図10に示すような図示しない巻上機等のブレーキ装置9に使用する電磁マグネット10のヨーク11を形成していた。
【0005】
次に、図10により電磁マグネット10を使用した前記ブレーキ装置9の概略構成を説明する。図10において、12はヨーク11の中央に形成された円柱孔13にボス部12aを進退可能に挿入した可動鉄心で、前記円柱孔13を設けてヨーク11と一体に形成した固定鉄心14の基部に、圧縮バネ15を介して常時固定鉄心14から遠ざかる方向に付勢された状態で取付けられている。16は前記図示しない巻上機等を駆動する電動機17の回転子軸18先端に装着したブレーキディスクで、その外周縁の可動鉄心12と対応する側面には制動用のブレーキパッド19が止着され、前記電磁マグネット10のコイル20を励磁・消磁することにより駆動する可動鉄心12と接離して、電動機17に制動力を付与したり解除したりする。
【0006】
前記電磁マグネット10の組立に際しては、ヨーク11内にコイル20を挿入して樹脂モールドを行う。次に固定鉄心14の円柱孔13に圧縮バネ15を挿入したら、可動鉄心12のボス部12aを前記円柱孔13に挿入することにより、前記可動鉄心12は固定鉄心14の円柱孔13に進退可能に、かつ、ヨーク11の周縁に形成した取付孔21に挿入した取付突起22にて回動不能に取付けられて電磁マグネット10を形成する。
【0007】
そして、前記コイル20が通電により励磁されると、可動鉄心12は圧縮バネ15の付勢力に抗してコイル20の吸引作用によって固定鉄心14側(右方)へ移動して、ブレーキディスク16のブレーキパッド19から離反する。これにより電動機17はその制動が解除されて回転し前記図示しない巻上機を駆動する。
【0008】
また、コイル20への通電を断つと、可動鉄心12はその吸引作用が解かれ、圧縮バネ15の付勢力によりブレーキディスク16のブレーキパッド19に衝接して電動機17に制動力を付与し、その回転を停止させていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
然るに、前記ヨーク11を図示しない例えば、巻上機の駆動源となる電動機17のブレーキ装置9に使用する電磁マグネット10に用いた場合、前記電磁マグネット10は巻上機に吊持される重量物の重量に抗して電動機17に制動力を付与したり、解放しなければならないため、大きな吸引力を必要としていた。ところが、前記電磁マグネット10に使用するヨーク11は、鋳型への鋳込みの際その湯流れ等を良くするために、ねずみ鋳鉄はその炭素含有率が3〜3.3%程度のものを使用していたが、コイル20を励磁したとき、ヨーク11に発生する磁束密度は、炭素含有量が多くなるに伴って順次低下し、前記可動鉄心12を所要の吸引力で吸引することが困難であった。
【0010】
そこで、前記問題点を解決するために、例えば、可動鉄心12に充分な吸引力を付与するため、電磁マグネット10の起磁力=NI(Nはコイル20の巻数、Iはコイル20に流れる電流の積の値を示す)を大きく設定することが考えられるが、この場合は、コイル20の巻数Nを増加させることは、電磁マグネット10の大型化を招くことは必定となり、また、コイル20に通電する電流の積の値Iを大きくすることは、前記コイル20のジュール熱I1 2 R(Rは電磁マグネットの直流抵抗、I1 はコイルの励磁電流)を増加させてコイル20自体が発熱により焼損してしまうといった問題があった。
【0011】
本発明は、前記問題点に鑑みて、電磁マグネットの大型化やコイルの発熱等の問題を解消させた磁気および吸引特性に優れた電磁マグネットのヨークとその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明における電磁マグネットのヨーク製造する方法は、磁性金属鋼板を円形に打抜き、かつ、その中央部に円状の挿通孔を穿孔する工程と、前記挿通孔を穿孔した円形状の磁性金属鋼板を所定の曲率で曲成加工する工程と、前記曲成加工した磁性金属鋼板の外周縁をコイルを包囲する長さで直角に折曲して有底円筒状の側壁部を有する周壁部材を成形加工する工程と、磁性金属鋼をその外周面に段差部を設けて中空円筒状の軸部材を形成する工程と、前記有底筒状に成形した周壁部材の挿通孔に中空円筒状に形成した軸部材の段差部を衝合し、かつ、前記挿通孔から突出する軸部材の頂部外周縁を複数箇所押潰して軸部材を周壁部材にかしめ接合する工程とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の電磁マグネットのヨーク製造方法において、前記ヨークの一部を構成する軸部材は、固定鉄心として使用され、この固定鉄心に可動鉄心が吸引されたとき、該可動鉄心と固定鉄心との間に所定の間隙を形成するように構成したことを特徴とする。
【0016】
本発明の電磁マグネットのヨーク製造方法は、前記ヨークは鋼板を帽子状に押圧成形して形成した周壁部材と、中空円筒状に形成した軸部材をかしめ接合することによって電磁マグネットのヨークを形成するようにしたので、前記ヨークをその製造工程において連続作業により生産することが可能となり、しかも、前記ヨークを鋳型成形した場合のように、その表面を特別に研磨処理する工程を必要としないので、電磁マグネットにおけるヨークの生産性を著しく向上させるとともに、その製造原価を効果的に低減することができる。
【0017】
また、本発明の電磁マグネットのヨーク製造方法において、固定鉄心を構成する軸部材に可動鉄心を吸引させたとき、前記可動鉄心と固定鉄心との間に所定の間隙が形成するようにしたので、電磁マグネットの磁気回路におけるインダクタンスは小さくなり、コイルへの通電を停止した場合、可動鉄心は残留磁気の影響による吸引動作を継続することなく瞬時に釈放動作を行うことを可能とした。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし図8によって説明する。なお、図1において図10に示す従来と同一箇所は同一符号を付して説明する。図1は、例えば、図10に示す巻上機等のブレーキ装置9に使用する電磁マグネット10の従来のヨーク11に代えて用いるヨーク23を示す縦断面図であり、このヨーク23は、JISG3131に示されている熱間圧延軟鋼板(SPHC)からなる周壁部材23aと、JISG3102に示されている機械構造用炭素鋼(S20C)からなる固定鉄心14aを構成する軸部材23bとによって構成されている。つづいて、前記熱間圧延軟鋼板(SPHC)と機械構造用炭素鋼(S20C)の性質について説明する。
【0019】
ヨーク23の周壁部材23aを形成する熱間圧延軟鋼板(SPHC)は、炭素(C)の含有率が0.15%以下であり、これは鋳造時に鋳型に流し込むねずみ鋳鉄の炭素含有率(3〜3.3%)に比べて1/20程度に相当するものである。一般的に炭素含有量の少ない軟鋼は磁気特性に優れており、前記熱間圧延軟鋼板(SPHC)によって構成したヨーク23は、発生する磁束密度が従来の鋳型成形品に使用されるねずみ鋳鉄と比較して飛躍的に増加する。
【0020】
また、前記熱間圧延軟鋼板(SPHC)は非常に曲げ性に優れた素材であり、外力による加工変形に耐え、製品に要求される強度と加工精度を保持することが可能な素材であるため、プレス加工に適した材料である。
【0021】
前記ヨーク23の軸部材23bを形成する機械構造用炭素鋼(S20C)は、炭素の含有率が0.18〜0.23%で、これも前記鋳造の際に使用されるねずみ鋳鉄の炭素含有率(3〜3.3%)と比較して約1/15程度に相当するため、その磁気特性はねずみ鋳鉄に比して十分良好である。また、前記機械構造用炭素鋼(S20C)は硬度が高いため、構造物の軸芯として使用するのに非常に適した素材である。
【0022】
次に、前記図1に示す電磁マグネット10aのヨーク23を製造する場合について説明する。図2は所定の板厚を有する単一の熱間圧延軟鋼板(SPHC)24を、その外枠形状が円形の打抜装置25によって打抜加工する状態を上方から示す図であり、前記打抜装置25は図3に縦断面図で示すように、中央部に先端が尖鋭化された円形の打抜ポンチ26が下方(熱間圧延軟鋼板(SPHC)24側)に向けて備えられ、また、前記打抜装置25の外周縁には鋭い刃角を有する円形の剪断切刃27が、前記打抜ポンチ26と一体となって具備されている。
【0023】
一方、前記熱間圧延軟鋼板(SPHC)24を乗載する第1の枠型28は、前記打抜装置25の打抜ポンチ26,剪断切刃27と対応する位置で、これら打抜ポンチ26,剪断切刃27を遊嵌する嵌合溝29が形成されており、この枠型28上に前記熱間圧延軟鋼板(SPHC)24を載置し、打抜装置25を図3(a)に示す位置から同図(b)に示す位置まで降下駆動させて、前記熱間圧延軟鋼板(SPHC)24を打抜加工すると、前記熱間圧延軟鋼板(SPHC)24は、その中央部に固定鉄心14aを止着する円形の挿通孔30を穿孔した円形薄板31を形成する。
【0024】
そして、前記挿通孔30を穿孔した円形薄板31は、ヨーク23の製造に際し最初に、図4(a)に示すように、すり鉢状に曲成した成形穴32を有する第2の枠型33上に該成形穴32を跨ぐようにして乗載し、円形薄板31の上方から、図4(b)に示すように、先端が前記成形穴32と同等の曲率を備えて略球面状に構成した押圧体34を図示しないプレス等の押圧手段によって押圧降下する。この結果、前記円形薄板31は図4(b)に示すように、押圧体34により枠型33の成形穴32内に押込まれ、所定の曲率で曲げ加工(湾曲成形)される(図4(b)参照)。
【0025】
つづいて、前記曲げ加工された円形薄板31は、図5(a)に示す中央部に一段深い円形溝35を形成した円状の成形穴36を有する第3の枠型37上に、前記成形穴36を跨いで載置し、前工程の湾曲成形時と同様、成形穴36と合致するように形成した凸形押圧体38を、図示しないプレス等の押圧手段により押圧降下し、前記湾曲成形した円形薄板31を枠型37の成形穴36内に嵌合させる(図5(b)参照)。
【0026】
このとき、前記円形薄板31は前工程によって所定の曲率で湾曲成形されているので、図5(a)に示す凸型押圧体38を枠型37の成形穴36内に嵌合する際、前記円形薄板31は事前に成形穴36側に押圧される方向に曲成しやすい状態に湾曲されているため、良好に成形穴36内に嵌合させることができる。
【0027】
なお、前記凸型押圧体38を成形穴36内に押圧降下するときは、成形穴36上に跨がって載置した円形薄板31が図5(a)に示す左右方向にずれた状態で成形穴36内に押込まれることのないように、円形薄板31の中央部に穿孔した挿通孔30に凸型押圧体38の突部38aが確実に挿通したことを確認した後で、前記凸型押圧体38を成形穴36内に進入させるとよい。これにより、前記円形薄板31は図5(b)に示すように、中央部に固定鉄心14aを取付ける挿通孔30を備え、外周に垂直に起立した側壁部を有する有底円筒状の周壁部材23aを形成することができる。
【0028】
次に、図6,7により図1に示すヨーク23に取付けられる固定鉄心14aを構成する軸部材23bを製造する場合について説明する。ヨーク23の軸部材23bは、図6(a)に示すように円柱状の機械構造用炭素鋼(S20C)39を、内周側に軸受40を備えたチャック41にねじ42を締付けることによって、心押し台43の支持軸44,44aに回転可能に支持される。そして、図示しない駆動源により支持軸44を回転させると、前記機械構造用炭素鋼(S20C)39は図6(a)に示すチャック41に支えられた状態で図の矢印方向に回転する。
【0029】
前記心押し台43の支持軸44,44aに支持されて回転する機械構造用炭素鋼(S20C)39は、その外周を図示しない刃物台に抜脱可能に取付けた切削工具45を図6(a)に示す矢印方向(機械構造用炭素鋼39の軸方向)に平行移動させて切削することにより、前記機械構造用炭素鋼(S20C)39の外周に一定の深さを有する段差部46を形成する。
【0030】
つづいて、前記切削工具45を、同図(b)に示すような刃角の鋭い切削工具47と交換し、、この切削工具47を図6(b)に示す矢印方向(機械構造用炭素鋼39と直交する垂直方向)に垂直移動させることにより、回転する機械構造用炭素鋼(S20C)39からヨーク23の軸部材23bとなる加工対象部材48(軸部材23bの原型)を所定の長さ寸法で切断する。
【0031】
前記機械構造用炭素鋼(S20C)39から切断された加工対象部材48は、図7に示すように、切屑の排出口49を備えた載置台50上に前記排出口49を閉塞する状態で、左右前後より挟持手段51,51によって締付・固定する(図7においては、作図上左右の挟持手段51,51のみ記載)。そして、前記加工対象部材48はその軸方向上端の中央部に、上方よりねじ切り刃(以下、ドリル)52を回転させながら降下させることにより、前記加工対象部材48の軸芯に前記ドリル52と同径の貫通孔53を穿孔して、図1に示すヨーク23の軸部材23bを形成する。
【0032】
このとき、前記加工対象部材48は、ドリル52による切削によって切屑が発生するが、前記切屑は載置台50に形成した排出口49から適宜排出されるため、前記ドリル52が発生する切屑との間で余分な摩擦抵抗を生じることなく良好に穴あけ作業を行うことができる。
【0033】
そして、前記軸部材23bは、その段差部46を周壁部材23aの挿通孔30と衝合させて、図8(a)に示すように、第4の枠型54に形成した取付溝55内に一体的に嵌込固定する。前記取付溝55内に嵌込まれた軸部材23bは、周壁部材23aの挿通孔30から上方に突出する段差部46の上端外周縁の数箇所を、先端に押付突起56を備えた押圧体57により、図8(b)に示すように上端外周縁の数箇所を押潰して、前記周壁部材23aと固定鉄心14aを構成する軸部材23bとを押潰部にて抜脱不能にかしめ接合することにより、図1に示すような電磁マグネット10aのヨーク23を形成する。
【0034】
なお、図1中60は前記固定鉄心14aを構成する軸部材23bの貫通孔53の開口部53aに、例えば、図示しないねじ等により締付固定される蓋体で、圧縮バネ15を介在させることにより、可動鉄心12のボス部12aが軸部材23bの貫通孔53内に摺動可能に取付けられる。
【0035】
このように形成されたヨーク23は、図1のように軸部材23bの外側にコイル20を挿入して樹脂モールドすることにより、図10に示す巻上機等のブレーキ装置9の電磁マグネット10aを構成する。そして、図示しない電源部からの通電により図1に示すコイル20が励磁されると、ヨーク23はその内部に磁束の磁路を形成して、可動鉄心12を固定鉄心14a側(図10の右方)に圧縮バネ15の付勢力に抗して吸引動作する。これにより、前記可動鉄心12はブレーキディスク16のブレーキパッド19から離反して、図10に示すブレーキ装置9の制動を解除し、図示しない巻上機を駆動する。
【0036】
また、コイル20への通電が断たれると、前記可動鉄心12はその吸引作用が解かれ、圧縮バネ15の付勢力により図10においてその左方へ移動してブレーキディスク16のブレーキパッド19に衝接し、回転駆動する電動機17に制動力を付与して、例えば、巻上機に吊持される重量物を任意の高さで瞬時に停止させることができる。
【0037】
前記ヨーク23を構成する周壁部材23aと軸部材23bは、図1に示すように、それぞれ軸方向の長さ寸法が異なるようにして形成してある。即ち、軸部材23bの長さ寸法を周壁部材23aの長さ寸法よりやや短くして間隙Lを形成する。前記間隙Lを設けるのは、コイル20を励磁して可動鉄心12を吸引した場合、前記可動鉄心12と軸部材23bとの間に間隙Lが形成されることにより、コイル20への通電を断って可動鉄心12の吸引作用を解除すると、前記間隙Lの存在によってヨーク23から固定鉄心14aに流れる磁束は、前記間隙Lの部位で流れが阻害され電磁エネルギーを早急に減退させることができる。
【0038】
即ち、電磁マグネット10aの磁気回路におけるインダクタンスを小さくして、電磁マグネット10aの過渡現象を短時間に終了させることにより、前記可動鉄心12をコイル20への通電解除とほぼ同時に釈放することができるようになる。この結果、図示しない巻上機等に使用されるブレーキ装置9を構成する電磁マグネット10aは、例えば、巻上機に吊持される重量物をコイル20への通電を断つことによって所望の高さで急停止させることができ、ブレーキ装置9の信頼性を著しく向上させることができる。なお、前記間隙Lの寸法は、本発明者等の実験結果より、例えば、L=A/10にて設定すると、電磁マグネット10aの磁気回路のインダクタンスを所望の範囲で小さくできることを確認した。
【0039】
また、前記ヨーク23の周壁部材23aと軸部材23bは、それぞれ、材質が周壁部材23aは熱間圧延軟鋼板(SPHC)を使用し、軸部材23bは機械構造用炭素鋼(S20C)を使用しているので、前記ヨーク23の炭素含有率は、ヨーク23全体としても0.23%以下に制限される。
【0040】
これは、通常の鋳型成形に用いられるねずみ鋳鉄に含まれている炭素(3〜3.3%)の約1/15以下程度に相当するものである。この結果、前記ヨーク23内に発生する磁束の密度は、ねずみ鋳鉄を使用した鋳型成形によってヨーク23を製造した場合と比べて格段に増加して磁気特性を飛躍的に向上させることができる。
【0041】
したがって、前記磁気特性の良い材質からなるヨーク23を、例えば、図10に示す電動機17に制動力を付与するブレーキ装置9の電磁マグネット10aに使用すれば、コイル20を励磁することによって、前記ヨーク23には可動鉄心12および固定鉄心14aを介して相当量の磁束が良好に流れ、前記可動鉄心12を固定鉄心14aに非常に大きな吸引力で吸引動作することができる。
【0042】
これにより、前記可動鉄心12と固定鉄心14a間には、付勢力の充分大きな圧縮バネ15を介在させることが可能となり、コイル20を消磁した場合、可動鉄心12は圧縮バネ15の大きな付勢力により、図10に示すブレーキディスク16のブレーキパッド19に衝接して、電動機17に充分大きな制動力を付与することができるため、前記ヨーク23を、図示しない巻上機等のブレーキ装置9を構成する電磁マグネット10aに使用した場合、重量の重い物体を吊持する巻上機を任意の位置で安全に急停止させることが可能となる。
【0043】
また、一般的に、可動鉄心12の吸引作用を解除する場合においては、ヨーク23自体が磁気特性に優れた材料を使用している関係上、コイル20への通電を断っても電磁マグネット10aは残留磁気の影響を受けて吸引動作をしばらくの時間継続しようとするが、本発明は、可動鉄心12と固定鉄心14aとの間に間隙Lが形成されているので、ヨーク23に流れる磁束は、前記間隙Lによってその流れが阻害され、電磁マグネット10aの磁気回路におけるインダクタンスを小さくして、電磁エネルギーを急速に減少させることとなるため、電磁マグネット10aの過渡現象を短時間で終了させることができる。
【0044】
この結果、前記可動鉄心12はコイル20への通電を断つことにより、瞬時にその吸引作用を解除することができ、図10に示すブレーキ装置9の電動機17を急速に停止させて、前記ブレーキ装置9が使用される図示しない巻上機は、吊下げる重量物を適切な高さ位置で停止させることができ、前記重量物が惰性で降下するという問題を確実に防ぐことができる。
【0045】
前記のように、本発明は、所定の板厚を有する熱間圧延軟鋼板(SPHC)24をプレス成形することにより、ヨーク23の円筒状の周壁部材23aを形成し、また、円柱状の機械構造用炭素鋼(S20C)39を切削・剪断加工することにより、ヨーク23の軸部材23bを形成して、前記周壁部材23aの挿通孔30と軸部材23bの段差部46を当接して両者を一体的に組合わせ、これら、周壁部材23aの挿通孔30と軸部材23bの段差部46とをかしめ接合することにより、電磁マグネット10aのヨーク23を製造するものである。
【0046】
この結果、前記電磁マグネット10aのヨーク23は、その製造をほぼ連続的に行うことができ、その生産性を著しく向上させることができる。なお、前記のようにして形成したヨーク23は、段落番号[0006]で説明した手順で電磁マグネット10aの組立を行い、例えば、巻上機等のブレーキ装置9を構成する電磁マグネット10aに使用するものである。
【0047】
また、本発明の電磁マグネット10aのヨーク23は、炭素含有率の低い材質によって形成されるため、その磁気特性は鋳型成形する場合に用いられるねずみ鋳鉄に比して非常に良好であり、該ヨーク23を巻上機等のブレーキ装置9を構成する電磁マグネット10aに使用した場合にも、前記電磁マグネット10aは充分な大きさの力で可動鉄心12を吸引・釈放動作させることができ、前記巻上機等の駆動を迅速・適切に行うことが可能となる。
【0048】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように、プレス加工して形成した周壁部材と切削・剪断加工して形成した軸部材とをかしめ接合して電磁マグネットのヨークを製造するようにしたので、従来の鋳型成形によって製造したヨークのように、表面を研磨処理するといった時間と手間のかかる作業を完全に省略することができ、しかも、前記ヨークの製造はほぼ自動的に連続して行うことができるため、ヨークの生産性を飛躍的に向上させることができる。
【0049】
また、本発明は、可動鉄心と固定鉄心との間に小間隙を形成し、電磁マグネットの磁気回路におけるインダクタンスを必要に応じて小さくするようにしたので、電磁マグネットのヨークを磁気特性に優れた材料によって形成した場合でも、コイルへの通電を解除した際には、可動鉄心は残留磁気の影響による吸引動作を継続することなく迅速に釈放動作を行えるため、巻上機等のブレーキ装置として最適の電磁マグネットの製造が可能となり利便である。
更に、本発明の電磁マグネットにおいては、そのヨークに炭素の含有率が従来のねずみ鋳鉄と比較して約1/15以下程度の材質を用いることにより、電磁マグネットのコイルを励磁した際にヨーク内に形成される磁束密度は、前記ねずみ鋳鉄を鋳型成形して形成したヨークと比較して飛躍的に増加する。それにより、前記電磁マグネットはコイルの巻数を増加させたり、コイルに通電する電流の積の値を大きくすることなく磁気特性を向上することができ、充分に大きな力で可動鉄心を吸引・釈放動作させて、巻上機等を良好に駆動させることができるという利点を備えている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁マグネットのヨークの構造を示す縦断面図である。
【図2】熱間圧延軟鋼板(SPHC)を打抜装置によって打抜加工する状態を説明する平面図である。
【図3】(a)は熱間圧延軟鋼板(SPHC)を打抜装置によって打抜加工する前の状態を示す断面図である。(b)は熱間圧延軟鋼板(SPHC)を打抜装置によって打抜加工した後の状態を示す断面図である。
【図4】(a)は円状薄板を押圧片によって曲げ加工する前の状態を示す断面図である。(b)は前記円状薄板を押圧片によって曲げ加工した後の状態を示す断面図である。
【図5】(a)は曲げ加工した円状薄板を凸型押圧片によって成形加工する前の状態を示す断面図である。(b)は前記円状薄板を凸型押圧片によって成形加工した後の状態を示す断面図である。
【図6】(a)は軸部材に段差部を形成する工程を説明する側面図である。(b)は前記軸部材を切断・形成する工程を説明する側面図である。
【図7】軸部材に貫通孔を穿孔する工程を説明する要部断面図である。
【図8】(a)は周壁部材と軸部材をかしめ接合する前の状態を示す断面図である。(b)は周壁部材と軸部材をかしめ接合した状態を示す断面図である。
【図9】(a)は鋳型成形時に使用される下型に木枠によって鋳物部を形成する工程を説明する縦断面図である。(b)は前記鋳物部に溶湯を流込む状態を示す縦断面図である。
【図10】ブレーキ装置に使用する電磁マグネットの内部構造を示す縦断面図である。
【符号の説明】
9 ブレーキ装置
10,10a 電磁マグネット
11,23 ヨーク
12 可動鉄心
14,14a 固定鉄心
15 圧縮バネ
23a 周壁部材
23b 軸部材
24 熱間圧延軟鋼板
25 打抜装置
28,33,37,54 枠型
31 円形薄板
34,38,57 押圧体
39 機械構造用炭素鋼
46 段差部
56 押付突起
L 間隙

Claims (2)

  1. 磁性金属鋼板を円形状に打抜き、かつ、その中央部に円状の挿通孔を穿孔する工程と、前記挿通孔を穿孔した円形状の磁性金属鋼板を所定の曲率で曲成加工する工程と、前記曲成加工した磁性金属鋼板の外周縁をコイルを包囲する長さで直角に折曲して有底円筒状の側壁部を有する周壁部材を成形加工する工程と、磁性金属鋼をその外周面に段差部を設けて中空円筒状の軸部材を形成する工程と、前記有底円筒状に成形した周壁部材の挿通孔に中空円筒状に形成した軸部材の段差部を衝合し、かつ、前記挿通孔から突出する軸部材の頂部外周縁を複数箇所押潰して軸部材を周壁部材にかしめ接合する工程とを備えたことを特徴とする電磁マグネットのヨーク製造方法。
  2. 前記軸部材は、固定鉄心を構成してこの固定鉄心に可動鉄心が吸引されたとき、該可動鉄心と固定鉄心との間に所定の間隙を形成するように構成したことを特徴とする請求項1記載の電磁マグネットのヨーク製造方法
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