JP3751806B2 - 画像処理装置および記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像に対して処理を施す画像処理装置に係り、特には、モアレの発生の抑制などに効果がある画像処理装置およびその処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に従来より、画像処理は、CCDなどの画像入力機で原稿または対象物体を光学的に読み取り、デジタル化することによってデジタル画像を取得し、そのデジタル画像に対して種々の処理を施すことにより行われる。
【0003】
例えば、画像の鮮鋭度を向上させる場合には取得したデジタル画像にシャープネス処理が施される。また、シャープネス処理以外にも、画像中の画素の階調値を変換する階調変換処理や画像を変倍する変倍処理(たとえば縮小処理)などの画像編集処理が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来、例えば、デジタル画像に対してシャープネス処理などの画像処理を行った場合、処理後の画像にモアレが発生することがあった。
【0005】
本発明者は、このようなモアレの発生状態や発生原因を調査した。その結果、まず、このようなモアレは、画像内に布地や網模様、格子パターンなどの周期性を有する画像パターンが存在する画像領域で発生することが判明した。
【0006】
このようなモアレは、以下のような原因で発生すると考えられる。例えば、原稿内に図31に示すような周期性を有する画像パターン(白黒の縞模様)GPTが存在し、この原稿を画像入力機で読み取ってデジタル画像を得る場合を考える。このとき、原稿の画像パターンGPTと画像入力機の光学読み取り素子(光電素子)IDとの位置関係によって、得られたデジタル画像の各画素の階調値は変化する。
【0007】
例えば、原稿の画像パターンGPTと光電素子IDとの位置関係が図31(a)に示す状態であれば、得られたデジタル画像の各画素の階調値は、図32(a)の階調プロファイルに示すように、白黒が明確に分かれる「INフェイズ状態」となる。また、原稿の画像パターンGPTと光電素子IDとの位置関係が図31(b)に示す状態であれば、得られたデジタル画像の各画素の階調値は、図32(b)の階調プロファイルに示すように、白黒の中間値が発生する「OUTフェイズ状態」となる。
【0008】
図32に示す各階調プロファイルは「INフェイズ状態」と「OUTフェイズ状態」とで相違するが、各々の平均階調値AKIN、AKOUTは略等しい。
【0009】
しかしながら、デジタル画像に、例えば、シャープネス処理を施すと、「INフェイズ状態」で読み取られた画像と「OUTフェイズ状態」で読み取られた画像とで平均階調値AKIN、AKOUTに違いが生じる。例えば、図32(a)、(b)に示す各画像にそれぞれシャープネス処理を施すと、計算上、各画素の階調値は各々図33(a)、(b)に示すようになる。ここで、計算上、階調値が階調レンジKR(図では、0〜255)から外れるサチレーションが起きると、その階調値は、強制的に階調レンジKRの上下限値に修正される。すなわち、図32(a)、(b)に示す各画像にそれぞれシャープネス処理を施すと、処理後の各画素の階調値は各々図34(a)、(b)の実線に示すようになる。
【0010】
ここで、この例の画像パターンGPTは、デジタル画像上で4画素周期の周期性を有しているが、1周期ごとに、図34(a)では、白2画素だけにサチレーションSRが起き、図34(b)では、白1画素と黒1画素とにサチレーションSRが起きている。その結果、図34(a)(「INフェイズ状態」)の平均階調値AKINは、図34(b)(「OUTフェイズ状態」)の平均階調値AKOUTに比べて低くなる。
【0011】
ところで、図31では、画像パターンGPTの白黒の幅が、光電素子IDの幅の整数倍である場合を示したが、画像パターンGPTの白黒の幅が、光電素子IDの幅の整数倍でない場合、原稿の画像パターンGPTと光電素子IDとの位置関係が周期的にずれるので、得られた画像上では、画像パターンGPTは、「INフェイズ状態」と「OUTフェイズ状態」とで読み込まれる状態が周期的に繰り返されることになる。この場合、このデジタル画像にシャープネス処理を施すと、平均階調値が周期的に変動する状態が生じる。この平均階調値が周期的に変動する状態が、モアレとなって現れるものと考えられる。
【0012】
この周期変動は、原稿や対象物体には無い画像であるため、画像の品質が著しく低下することになる。
【0013】
また、このようなモアレとしては、上記のようにシャープネス処理に伴い発生するものの他、網点化処理に伴い発生するものや、画像編集処理(縮小処理など)に伴い発生するものなどが存在する。なお、これらの処理に伴い発生するモアレは、詳細には上記の原因とは若干異なる原因に起因するものではあるが、いずれも周期的な画像パターンの繰り返しが存在する領域に発生する現象である。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、モアレの発生の抑制に効果がある画像処理技術を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の画像処理装置は、画像に対して処理を施す画像処理装置であって、画像における注目画素について、当該注目画素を含む注目領域と当該注目領域以外の周辺領域との相関特性に基づいて画像パターンの繰り返しの有無の程度を示す周期性指標を算出する周期性指標算出手段と、前記画像における注目画素とその周辺画素との明暗比を示す指標であるコントラスト量を算出するコントラスト量算出手段と、前記周期性指標および前記コントラスト量に基づいて、前記画像における注目画素についてのシャープネス処理の程度であるシャープネス処理係数を決定するシャープネス処理係数決定手段と、前記シャープネス処理係数決定手段により決定されたシャープネス処理係数に基づいて、前記画像における注目画素についてのシャープネス処理を行うシャープネス処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載の画像処理装置は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記画像に対して画像編集処理を施す画像編集処理手段、をさらに備え、前記周期性指標算出手段は、前記画像編集処理に応じて前記周期性指標を更新し、前記コントラスト量算出手段は、前記画像編集処理に応じて前記コントラスト量を更新し、前記シャープネス処理係数決定手段は、更新された周期性指標と更新されたコントラスト量とに基づいて、前記画像編集処理が施された編集後画像における注目画素についてのシャープネス処理の程度であるシャープネス処理係数を決定し、前記シャープネス処理手段は、前記シャープネス処理係数決定手段により決定されたシャープネス処理係数に基づいて、前記編集後画像における注目画素についてのシャープネス処理を行うことを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載の画像処理装置は、画像に対して処理を施す画像処理装置であって、画像における注目画素について、当該注目画素を含む注目領域と当該注目領域以外の周辺領域との相関特性に基づいて画像パターンの繰り返しの有無の程度を示す周期性指標を算出する周期性指標算出手段と、前記周期性指標に基づいて、前記画像における注目画素についての網点化処理に用いる網点化データを決定する網点化データ決定手段と、前記網点化データ決定手段により決定された網点化データに基づいて、前記画像における注目画素についての網点化処理を行う網点化処理手段と、前記画像における注目画素とその周辺画素との明暗比を示す指標であるコントラスト量を算出するコントラスト量算出手段と、前記画像パターンの繰り返しの周期値を算出する周期値算出手段と、前記周期値に基づいて前記画像に関する高精細な線画パターンデータを生成する線画パターンデータ生成手段と、前記画像における注目画素について、前記線画パターンデータを挿入する挿入処理と前記網点化データを用いる網点化処理とのいずれを行うかを、前記周期性指標および前記コントラスト量に基づいて決定し、当該決定に基づいて前記画像に対応する高精細な二値化画像を得る二値化画像取得手段と、を備えることを特徴とする。
【0020】
請求項に記載の画像処理装置は、請求項に記載の画像処理装置において、前記画像に対して画像編集処理を施す画像編集処理手段、をさらに備え、前記周期性指標算出手段は、前記画像編集処理に応じて前記周期性指標を更新し、前記コントラスト量算出手段は、前記画像編集処理に応じて前記コントラスト量を更新し、前記網点化データ決定手段は、更新された周期性指標と更新されたコントラスト量とに基づいて、前記画像編集処理が施された編集後画像における注目画素についての網点化処理に用いる網点化データを決定する網点化データを決定し、前記網点化処理手段は、前記網点化データ決定手段により決定された網点化データに基づいて、前記編集後画像における注目画素についての網点化処理を行うことを特徴とする。
【0021】
請求項に記載の画像処理装置は、画像に対して処理を施す画像処理装置であって、画像における注目画素について、当該注目画素を含む注目領域と当該注目領域以外の周辺領域との相関特性に基づいて画像パターンの繰り返しの有無の程度を示す周期性指標を算出する周期性指標算出手段と、前記画像における注目画素とその周辺画素との明暗比を示す指標であるコントラスト量を算出するコントラスト量算出手段と、前記周期性指標および前記コントラスト量に基づいて、前記画像における注目画素についてのぼかし処理の程度であるぼかし量を決定するぼかし量決定手段と、前記ぼかし量決定手段により決定されたぼかし量に基づいて、前記画像における注目画素についてのぼかし処理を行うぼかし処理手段と、前記ぼかし処理が施された画像に対して所定の画像編集処理を施す画像編集処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0022】
請求項に記載の画像処理装置は、請求項に記載の画像処理装置において、前記所定の画像編集処理は、画像の縮小処理であり、前記ぼかし処理手段は、前記ぼかし量決定手段により決定されたぼかし量に応じた空間フィルタであって、かつ、前記画像の縮小率に応じたサイズを有する空間フィルタを用いて、前記画像における注目画素についてのぼかし処理を行うことを特徴とする。
【0023】
請求項に記載の記録媒体は、コンピュータを、請求項1ないし請求項のいずれかに記載の画像処理装置として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
<A.第1実施形態>
<1.画像処理装置の全体構成>
図1は、この発明の実施形態に係る画像処理装置1のハードウエア構成を表す概念図である。画像処理装置1は、CPU2、半導体メモリおよびハードディスクなどを含む記憶部3、各種の記録媒体9から情報を読み出すメディアドライブ4、モニタなどを含む表示部5、キーボートおよびマウスなどを含む入力部6、デジタル画像を読み込む画像入力部7、処理後の画像を出力する画像出力部8を備えるコンピュータシステムである。CPU2は、バスラインBLおよび入出力インターフェースIFを介して、記憶部3、メディアドライブ4、表示部5、入力部6、画像入力部7、画像出力部8などに接続されている。また、メディアドライブ4は、CD−ROM、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスクなどの可搬性の記録媒体9からその中に記録されている情報を読み出す。このコンピュータシステムは、プログラムを記録した可搬性記録媒体9からそのプログラムを読み込むことによって、後述するような各種の原因によって生じ得るモアレを除去するモアレ除去機能などの各機能を有する画像処理装置として動作する。さらに、記憶部3は、読み込まれたプログラムの全部または一部を記憶するプログラム記憶部3a、および各種の処理画像を記憶する画像記憶部3bなどを有する。
【0025】
また、入力スキャナなどで構成される画像入力部7によって読み込まれたデジタル画像は、記憶部3内の画像記憶部3bに記憶され、この入力画像に対して、後述するような周期画像領域の抽出処理やコントラスト量算出等の各処理が施される。
【0026】
図2は、図1の画像処理装置1の機能的構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この画像処理装置1は機能的に、周期画像領域抽出部10、自己相関特性算出部20、コントラスト量算出部30、ぼかし処理部40、シフト処理部50、シャープネス処理部(USM処理部)60、CMYK変換処理部70、網点化処理部80、および線画パターン生成部90を備えている。このうち、自己相関特性算出部20は、画像パターンの繰り返しの周期値Tを算出する周期値算出部22と、周期性度合いを表す周期性指標Mを算出する周期性指標算出部24とを有しており、周期値Tおよび周期性指標Mを含む自己相関特性を算出する。なお、周期値Tおよび周期性指標Mについては後述する。
【0027】
また、画像処理装置1は、差分画像作成部35、ぼかし量決定部45、シフト量決定部55、シャープネス処理係数決定部(USM処理係数決定部)65、および網点化データ決定部85をさらに備えている。
【0028】
なお、これらの処理部はいずれも、CPU2内において、上記処理プログラムによって実現される手段であり、それぞれの機能および処理内容については後に詳述する。
【0029】
<2.画像処理の手順>
図3は、画像処理装置1における画像処理の処理手順の概要を示すフローチャートである。画像処理に先立って、原稿または対象物体が画像入力部7によってデジタル画像として読み込まれ、画像記憶部3bに記憶される。そして、読み込まれたデジタル画像は、周期画像領域抽出部10に与えられ、画像から周期的な画像パターンの繰り返しが存在する周期画像領域が抽出される(ステップS1)。また、このときに後述する相関特性に基づいて、周期性指標算出部24が画像パターンの繰り返しの有無の程度を示す周期性指標を算出する(ステップS2)。なお、ステップS2においては、この周期性指標とともに、周期値Tも算出しておく。
【0030】
一方、読み込まれたデジタル画像は、差分画像作成部35にも与えられ、処理前画像から差分画像が作成される。差分画像は加工部37によって加工され、その加工後の差分画像に基づいてコントラスト量算出部30が明暗比を示す指標であるコントラスト量を算出する(ステップS3)。なお、ステップS2の処理とステップS3の処理とはその処理順序が逆であっても良い。
【0031】
その後、ぼかし量決定部45が上記の周期性指標およびコントラスト量に基づいてぼかし処理の程度であるぼかし量を決定する(ステップS4)。また、シフト量決定部55が上記の周期性指標およびコントラスト量に基づいてシフト処理の程度であるシフト量を決定する(ステップS5)。なお、ステップS4の処理とステップS5の処理とはその処理順序が逆であっても良い。
【0032】
そして、決定されたぼかし量に従って、ぼかし処理部40が読み込まれた画像のぼかし処理を行い(ステップS6)、決定されたシフト量に従ってシフト処理部50がシフト処理を行う(ステップS7)。
【0033】
さらに、シャープネス処理係数決定部65は、上記の周期性指標およびコントラスト量に基づいてシャープネス処理の程度であるシャープネス処理係数(USMゲイン)を決定する(ステップS8)。そして、決定されたシャープネス処理係数に基づいて、シャープネス処理部60がシャープネス処理を行う(ステップS9)。なお、ここでは、シャープネス処理の一例としてUSM(アンシャープマスキング)処理を行う場合について説明するが、USM処理以外のシャープネス処理を行う場合にも本発明を適用することができる。
【0034】
ここで、上記の処理画像は、通常、R(レッド),G(グリーン),B(ブルー)の3枚の画像からなるRGB画像として構成されている。CMYK変換処理部70は、このRGB画像をYMCK画像へと変換する処理を行う(ステップS10)。
【0035】
また、網点化データ決定部85は、上記の周期性指標に基づいて網点化データを決定し(ステップS11)、網点化処理部80は、各YMCK画像についての網点化処理をステップS11で決定された網点化データに基づいて行う(ステップS12)。
【0036】
以上のような概略手順に従って画像処理は行われる。なお、ステップS1からステップS12の処理は画像中の画素単位で行われるものであり、原則として読み込まれた画像の全画素について行われる。また、処理が終了した画像は記憶部3bに記憶される。
【0037】
以下、図3の各処理手順についてさらに詳細に説明する。
【0038】
<2−1.周期画像領域の抽出および周期性指標の算出>
周期性を有する画像パターンが存在する画像領域、すなわちモアレの発生が予測される周期的な画像パターンの繰り返しが存在する周期画像領域の抽出は、周期画像領域抽出部10が処理前画像の自己相関特性を調べることにより行われる。
【0039】
具体的には、まず、処理前画像の或る画素を注目画素(xc,yc)として、以下の数1によって注目画素(xc,yc)の周辺領域の自己相関データS(a,b)を求める。
【0040】
【数1】
Figure 0003751806
【0041】
但し、ABS{}は絶対値を求める関数、P(x,y)は処理前画像の画素(x,y)の階調値、m,nは差分積算領域Eを決める定数、a,bは自己相関を比較するズラシ量、wx,wyは1つの中心画素(xc,yc)に対して自己相関特性を調べる範囲Wを決める定数である。
【0042】
(xc,yc)=(4,4)、m=n=1(差分積算領域:3×3)、wx=xy=2(a=b=-2〜+2)とした場合において、a=b=+2のときの自己相関データS(a,b)の算出形態を図4に示す。
【0043】
なお、m,n,wx,wyは予め設定された固定値として処理するようにしてもよいし、入力装置6からオペレータによって適宜に変更可能に構成してもよい。
【0044】
ところで、上記の数1では、自己相関データを2次元的に求めているので処理量が多くなる。そこで、例えば、2次元の処理前画像内で互いに直交する2つの画素列方向であるx方向、y方向それぞれに沿った周期的な画像パターンの繰り返しの存在を調べて周期画像領域を抽出するために、x方向、y方向それぞれに沿った自己相関データH(a)、V(b)を以下の数2、数3によって求めて、処理の高速化を図るようにしてもよい。
【0045】
【数2】
Figure 0003751806
【0046】
【数3】
Figure 0003751806
【0047】
(xc,yc)=(4,4)、m=1(差分積算領域:3×1)、wx=2(a=-2〜+2)とした場合において、a=+2のときのx方向に沿った自己相関データH(a)の算出形態を図5に、また、(xc,yc)=(4,4)、n=1(差分積算領域:1×3)、wy=2(b=-2〜+2)とした場合において、b=+2のときのy方向に沿った自己相関データV(b)の算出形態を図6にそれぞれ示す。
【0048】
次に、上記で求めた自己相関データ(S(a,b)、または、H(a)、V(b))に基づき、画像中における周期的な画像パターンの繰り返しの有無を調べる。
【0049】
すなわち、周期的な画像パターンの繰り返しが存在すると、その画像パターンの周期ごとに自己相関が高くなり、上記数1、数2、数3で求まる自己相関データは規則的に小さくなる。従って、まず、(A)自己相関データの極小値を検索し、(B)それら極小値が所定レベル以下で、かつ、(C)それら極小値が規則的に存在していることを調べる。
【0050】
図7は(xc,yc)=(7,3)、m=1、wx=5(a=-5〜+5)とした場合のP(x,y)、H(a)の一例を示すデータとそのH(a)をグラフ化した図である。すなわち、同図は注目画素(xc,yc)=(7,3)について、当該注目画素を含む注目領域と当該注目領域以外の周辺領域との相関特性を示すものである。なお、a=0は、同じ画素同志の自己相関であるので、H(0)=0となり極小値になる。
【0051】
自己相関データH(a)について、上記(A)の処理は、〔(H(k-1)>H(k))and(H(k)<H(k+1))〕の条件を満たすkを+側と−側とで求める。この条件を満たすkについてのH(k)の値が極小値となる。
【0052】
上記(B)の処理は、上記(A)の条件を満たすH(k)、すなわち極小値となるH(k)が所定のしきい値以下となるか否かで判定する。このしきい値は、予め入力装置6等によって複数が設定されており、例えば図7においては、”SL1=7.5”、”SL2=5”の2つが設定されている。そして、極小値となるH(k)が少なくとも最も高い値のしきい値SL1以下となっていれば、上記(B)の処理において、所定レベル以下であると判定される。
【0053】
なお注目領域のコントラストが高いほど、H(a)の全体レベルが上がるため、しきい値は固定値ではなく、H(a)の最大値に対する比率(SLK1=58%,SLK2=38%)で規定してもよい。
【0054】
上記(C)の処理では、例えば、上記(A)の条件を満たす+側のkをkp、−側のkをkmとしたとき(ABS{kp+km}≦1)を満たすか否かで規則性の有無を判定する。また、例えば、上記(A)の条件を満たす各極小値に対して、隣接する各極小値間の幅の相互の差分の絶対値が各々1以下であるか否か、すなわち、ABS{D(d+1)−D(d)}≦1(d=0,1,2,・・・:図7では、d=O)によって規則性の有無を判定することもできる。後者の判定によれば、例えば、極小値が+側、−側にそれぞれ2個以上存在する場合にも適用できる。
【0055】
H(a)に極小値が存在しても、ある程度大きかったり(最も高い値のしきい値SL1を越えていたり)、それら極小値が不規則に存在しているような場合は周期性が有るとは言い難いが、上記(B)によりレベル判定が行え、上記(C)により極小値の規則性が判別でき、周期性の有無を確実に判定できる。
【0056】
従って、上記(A)、(B)、(C)の条件を全て満たす場合、注目画素(xc,yc)の周囲の範囲W内の画像に周期的な画像パターンの繰り返しが存在することになる。このことは換言すれば、注目画素(xc,yc)の周囲の範囲W内の画像が周期画像領域として抽出されたことを意味する。例えば、図7に示す自己相関データH(a)には周期性が有るため、注目画素(xc,yc)の周囲の範囲W内の画像が周期画像領域として抽出される。これに対して、図8に示すような自己相関データH(a)には周期性が無く、周期画像領域として抽出されることもない。
【0057】
ところで、図7において、x方向の周期値Thは((kp−km)/2))または(D(d))である。
【0058】
また、上記ではx方向に沿った周期性の有無や周期値(Th)について説明したが、y方向に沿った周期性の有無や周期値(Tv)も同様の処理により求めることができる。
【0059】
図9に示すように、x方向の周期値(Th)とy方向の周期値(Tv)が判れば、周期方向θは(arctan(Tv/Th))であり、処理前画像上の実際の周期値(周期方向に沿った周期値)Tは(Th×sinθ)(または、Tv×cosθ)により求めることができる。
【0060】
自己相関データS(a,b)を用いた場合には、上記と同様の処理を2次元的に行うことで、周期性の有無や処理前画像上の実際の周期方向及び周期値を得ることができるが、上述したようにx方向、y方向それぞれに沿った自己相関データH(a)、V(b)を用いても同様の結果を高速に得ることができる。なお、自己相関データS(a,b)を用いた場合、実際の画像パターンの周期を種々の方向から調べることになるが、このとき、周期値が最小となる方向がその画像パターンの周期方向となる。
【0061】
また、周期画像領域抽出部10が上記(A)、(B)、(C)の処理を行う過程において、図7に示したような相関特性に基づいて、周期性指標算出部24が画像パターンの繰り返しの有無の程度を示す周期性指標Mを算出する。自己相関データH(a)は、周期性の度合い(画像パターンの繰り返しの有無の程度)を示すものであるため、極小値となるH(k)がより低い値のしきい値以下となっている場合には、周期性の度合いが大きいと言える。例えば、図7において、極小値H(-3)はしきい値SL1としきい値SL2との間であるのに対して、極小値H(+3)はしきい値SL2よりも小さい。つまり、極小値H(+3)の方が周期性の度合いが大きいことを示している。従って、極小値H(k)がいずれのしきい値以下となっているかを判定することによって、画像パターンの繰り返しの有無の程度を判別することができるのである。
【0062】
具体的には、以下のようにして周期性指標算出部24が周期性指標Mを算出する。周期性指標Mの算出に関与するのは、上記(A)の処理において極小値と判定され、上記(B)の処理において最高しきい値SL1以下と判定され、かつ上記(C)の処理において規則性有りと判定された極小値H(k)のみである。但し、H(0)は、注目画素自身との相関であって、必ず0になる値であるため、周期性指標Mの算出には関与しない。従って、例えば、図7においては、しきい値SL1以下の極小値H(-3)および極小値H(+3)がいずれのしきい値以下となっているかによって周期性指標Mは算出される。なお、上記(A)、(B)、(C)の条件を満たすH(k)が存在しない場合には、その注目画素(xc,yc)についての周期性指標M(xc,yc)=0とすることにより、周期性は存在しないものされる。
【0063】
複数のしきい値のそれぞれには周期性指標Mの値が0から1の範囲にて規定されており、例えば図7の例では、しきい値SL1に”M=0”、しきい値SL2に”M=1”が規定されている。そして、しきい値SL2以下の極小値H(k)については”M(k)=1”とする。一方、しきい値SL1としきい値SL2との間の極小値H(k)については、しきい値SL1としきい値SL2との間において周期性指標Mが線形的に変化するものとみなして、算出する。例えば、図7の場合、以下の数4に従って算出する。
【0064】
【数4】
Figure 0003751806
【0065】
そして、複数の極小値H(k)について算出されたM(k)の平均値が注目画素(xc,yc)についての周期性指標M(xc,yc)となる。例えば、図7においては、極小値H(+3)はしきい値SL2よりも小さいため、M(+3)=1となる。また、極小値H(-3)はしきい値SL1としきい値SL2との間であるため、数4に従い、M(-3)=(7.5-6)/(7.5-5)=0.6となる。よって、注目画素(xc,yc)=(7,3)についての周期性指標M(7,3)=(1+0.6)/2=0.8となる。
【0066】
なお、周期性指標Mの算出に使用するしきい値は2つに限定されるものではなく、3つ以上であっても良い。最高しきい値と最低しきい値との間において周期性指標Mが線形的に変化する場合は、2つで十分であるが、非線形的に変化する場合は3つ以上のしきい値を設定した方が好ましい。
【0067】
また、上記のしきい値とは別に、自己相関データH(a)の最大値について判定するためのしきい値を設けるようにしても良い。自己相関データH(a)の最大値が所定のしきい値よりも小さい場合は、均一な画像中にノイズが存在している場合が多いと考えられ、このような場合は周期的な画像パターンの繰り返しであるとは言えない。従って、自己相関データH(a)の最大値が所定のしきい値よりも小さい場合は、注目画素(xc,yc)についての周期性指標M(xc,yc)=0とすることにより、周期性は存在しないものと判定するのである。
【0068】
上述したような周期画像領域抽出部10および自己相関特性算出部20による一連の処理を、処理前画像内の全ての画素(または、一定間隔ごとの画素でもよい)を順次注目画素(xc,yc)として行うことにより、処理前画像内において周期性を有する画像パターンが存在する画像領域、すなわち周期的な画像パターンの繰り返しが存在する周期画像領域を全て抽出することができるとともに、注目画素(xc,yc)についての周期性の度合い(画像パターンの繰り返しの有無の程度)である周期性指標M(xc,yc)を算出することができる。
【0069】
なお、上記処理で随時説明した周期性指標と周期方向と周期値とを周期性データとする。
【0070】
<2−2.コントラスト量の算出>
次に、コントラスト量の算出について説明する。既述したように、処理前画像は差分画像作成部35にも与えられ、差分画像作成部35、加工部37およびコントラスト量算出部30による処理を経て注目画素(xc,yc)についてのコントラスト量C(xc,yc)が算出される。注目画素(xc,yc)についてのコントラスト量とは、注目画素(xc,yc)とその周辺画素との明暗比を示す指標である。
【0071】
図10は、コントラスト量算出の手順を示すフローチャートである。図10に示した各処理のうち、ステップS31〜ステップS33の処理は差分画像作成部35によって、ステップS34〜ステップS36の処理は加工部37によって、ステップS37の処理はコントラスト量算出部30によって実行されるものであり、以下これらについて順に説明する。
【0072】
まず、差分画像作成部35が高濃度領域拡張画像および高濃度領域縮小画像を作成する(ステップS31,S32)。図11は、高濃度領域の拡張または縮小について説明する図である。同図に示すように、白地中に黒地の四角形の図形(斜線を付した部分)が描かれた処理前画像の高濃度領域を拡張または縮小する場合を例として説明する。
【0073】
図11において、白地部分が階調値P=”255”の高濃度領域であり、黒の図形部分が階調値P=”0”の低濃度領域である。高濃度領域を拡張するときには、この画像に対して3×3の画素行列で構成されるフィルタF1によるフィルタ操作を行う。フィルタF1は、その構成画素(3×3=9画素)の階調値のうちの最大値を中央画素の出力値とするフィルタである。そして、このフィルタF1を、画像に対して順次に走査させることによって高濃度領域の拡張を行う。すなわち、フィルタF1が黒の図形の周辺部分を走査するときには、高濃度(高階調値)である白地部分の階調値(P=255)が出力され、当該周縁部分が黒から白地に置換される。このことは、高濃度領域(白地)が拡張されることを意味しており、いわゆる太らせ処理が行われていることとなる。
【0074】
図12は、図11の画像の高濃度領域が拡張された高濃度領域拡張画像を示す図である。高濃度領域(白地)が拡張され、黒の図形部分が処理前画像よりも小さくなっている。
【0075】
一方、高濃度領域を縮小するときにも上記と同様に、処理前画像に対して3×3の画素行列で構成されるフィルタF2によるフィルタ操作を行う。フィルタF2は、その構成画素(3×3=9画素)の階調値のうちの最小値を中央画素の出力値とするフィルタである。従って、上記拡張と同様に、フィルタF2を処理前画像に対して順次に走査させると、黒の図形の周辺部分において、低濃度(低階調値)である黒の階調値(P=0)が出力され、当該周辺部分が白地から黒に置換される。このことは、高濃度領域(白地)が縮小されることを意味しており、いわゆる細らせ処理が行われていることとなる。
【0076】
図13は、図11の画像の高濃度領域が縮小された高濃度領域縮小画像を示す図である。高濃度領域(白地)が縮小され、黒の図形部分が処理前画像よりも大きくなっている。
【0077】
次に、差分画像作成部35が高濃度領域拡張画像と高濃度領域縮小画像との差分である差分画像を作成する(ステップS33)。本実施形態における差分画像とは、高濃度領域拡張画像の画素の階調値から当該画素に対応する高濃度領域縮小画像の画素の階調値を減算して得られる画像である。すなわち、以下の数5によって得られる画像である。
【0078】
【数5】
Figure 0003751806
【0079】
数5において、Pdif(x,y)は差分画像の画素(x,y)の階調値、Pmax(x,y)は高濃度領域拡張画像の画素(x,y)の階調値、Pmin(x,y)は高濃度領域縮小画像の画素(x,y)の階調値である。
【0080】
図14は、作成された差分画像を示す図である。図11に示した処理前画像と比較すると明らかなように、処理前画像においてコントラストが高い領域、すなわち、ある画素とその周辺との明暗比が大きい領域が差分画像においては大きな階調値を有している。このことは、差分画像とは、処理前画像からコントラストが高い領域を抽出した画像であることを意味しており、差分画像の作成とは高コントラスト領域の抽出処理であると言える。
【0081】
この実施形態においては、後述のように、高コントラスト領域にぼかし処理を施すことによってモアレの発生を抑制している。ある程度面積の大きな高コントラスト領域(例えば、エアコンのフロントパネルについての画像領域)であれば、ぼかし処理が有効なのであるが、高コントラストであっても面積の小さな領域(例えば、エアコンのスイッチについての画像領域)にぼかし処理を施すと鮮鋭度を喪失するため適当ではない。そこで、本実施形態においては、加工部37によって上記差分画像を加工し、高コントラストであっても面積の小さな領域やノイズ部分を除去している(コントラストを低下させている)。
【0082】
加工部37による加工は、ステップS34〜ステップS36の3段階の工程によって行われる。まず、ステップS33にて作成された差分画像について、加工部37がバイリニア縮小を行う(ステップS34)。バイリニア縮小とは、例えば、差分画像を1つの領域が8×8の画素群で構成される複数の領域に分割し、複数の領域のそれぞれに含まれる64の画素の階調値を平均して1つの画素の階調値として出力する画像縮小処理である。このようなバイリニア縮小によって、差分画像は縦横ともに1/8に縮小されるとともに、差分画像の階調値が平滑化されることとなる。
【0083】
次に、バイリニア縮小によって得られた縮小画像に対して加工部37がメディアンフィルタによるフィルタ操作を行う(ステップS35)。メディアンフィルタは、その構成画素(例えば、3×3=9画素)の階調値のうちの中央値(メディアン)を中央画素の出力値とするフィルタであり、画像中のノイズ部分を除去するためのフィルタである。メディアンフィルタを上記縮小画像に対して順次に走査させると、当該縮小画像中のノイズ部分が除去される。縮小画像中においてノイズ部分となるのは、元の処理前画像中における面積の小さな高コントラスト領域やノイズ領域である。
【0084】
また、縮小画像に対して3×3のメディアンフィルタによるフィルタ操作を行うことは、元の差分画像に対して24×24のメディアンフィルタによるフィルタ操作を行うことと実質的に等価である。フィルタ操作は、フィルタのサイズが小さいほどCPU1の負担が軽く、高速に実行することができる。すなわち、バイリニア縮小を行った後に小さなフィルタによるフィルタ操作を行うことで、大きなフィルタによるフィルタ操作を行ったのと同様の効果を高い処理効率にて得ることができるのである。
【0085】
次に、フィルタ操作後の縮小画像に対して加工部37がバイリニア拡大を行い、加工後の差分画像を得る(ステップS36)。バイリニア拡大とは、フィルタ操作後の縮小画像に含まれる画素の階調値を補間しつつ、当該縮小画像を元の差分画像と同等の大きさに拡大する処理である。
【0086】
図15は、バイリニア拡大を概念的に説明するための図である。フィルタ操作後の縮小画像において、図15(a)に示すように、階調値P=255、P=0、P=255の順に並ぶ画素列が存在していたとする。これを縦に8倍に拡大すると、図15(b)に示すような元の差分画像と同等の大きさの画像が得られるのであり、このときに階調値P=255の画素と階調値P=0の画素との間に生成された画素列L1および画素列L2については階調値P=255と階調値P=0との間にて直線近似にて補間(バイリニア補間)した階調値を付与する。このようにすれば、フィルタ操作後の縮小画像において隣接する画素の階調値が大きく異なっていたとしても、拡大後の差分画像においては階調値が滑らかに変化する状態(いわゆる「なじむ」状態)となる。このことは、後述するコントラスト量の急激な変化を抑制して、ぼかし処理の程度の急激な変化による画質低下の防止につながるのである。
【0087】
以上のようにして、加工部37による加工が実行されるのであり、バイリニア縮小とバイリニア拡大との組み合わせによって差分画像に対する一種のぼかし処理を行うとともに、メディアンフィルタによるフィルタ操作を行うことによって、高コントラストであっても面積の小さな領域やノイズ部分が十分に除去された加工後の差分画像を取得することができる。
【0088】
なお、ステップS34〜ステップS36の加工処理は必須の処理ではなく、処理前画像中に高コントラストであっても面積の小さな領域等がほとんど存在しないような場合は、省略可能な処理である。
【0089】
次に、ステップS37に進み、コントラスト量算出部30が差分画像(加工後の差分画像または加工を行っていない差分画像)から注目画素の階調値を検出することによって、当該注目画素についてのコントラスト量を算出する。ここでの注目画素とは、既述した周期性指標の算出時の注目画素(xc,yc)と同じである。
【0090】
差分画像は、処理前画像からコントラストが高い領域を抽出した画像であり、その階調値が大きいということは、処理前画像においてコントラストが高いことを意味している。従って、差分画像における注目画素(xc,yc)の階調値は、そのまま注目画素(xc,yc)とその周辺との明暗比を示す指標となり、すなわち注目画素(xc,yc)についてのコントラスト量C(xc,yc)となるのである。
【0091】
<2−3.ぼかし量の決定>
以上のようにして、注目画素(xc,yc)についての周期性指標M(xc,yc)およびコントラスト量C(xc,yc)が算出された後、ぼかし量決定部45がそれらに基づいてぼかし処理の程度であるぼかし量を決定する(図3のステップS4)。本実施形態において、ぼかし処理とは、平滑化処理のことであり、注目画素(xc,yc)を含む所定領域に含まれる画素の階調値の加重平均を注目画素(xc,yc)の階調値として出力する加重平均処理である。
【0092】
ぼかし処理の具体的な手法については後述するが、加重平均フィルタ(いわゆる平滑化フィルタ)を用いたフィルタ操作により行っている。そして、本実施形態では、平滑化処理に使用する加重平均フィルタを予め複数用意しておき、それらから加重平均フィルタを選択することによってぼかし処理の程度であるぼかし量を決定している。
【0093】
図16は、ぼかし量の決定手法を説明するための図である。本実施形態においては、注目画素(xc,yc)についての周期性指標M(xc,yc)とコントラスト量C(xc,yc)との積に基づいて加重平均フィルタを選択している。すなわち、周期性指標Mとコントラスト量Cとの積をぼかし量を規定するためのぼかし量規定値(C×M)とする。そして、ぼかし量規定値(C×M)に基づき、図16に示すようなルックアップテーブル(LUT2、図2参照)を用いて加重平均フィルタのID番号を決定する。同図に示すように、ID番号として64段階(ID=0〜63)が設定されており、ぼかし量規定値(C×M)の値が大きくなるほど、決定される加重平均フィルタのID番号も大きくなる。
【0094】
図17は、加重平均フィルタの例を示す図である。図17(a)に示す最も大きなID番号の加重平均フィルタによれば、フィルタ内の全画素の階調値が均等に平均化され、平滑化の程度が大きい(ぼかし量が大きい)といえる。一方、図17(b)に示す最も小さなID番号の加重平均フィルタによれば、フィルタ内の中心画素の階調値がそのまま出力されることとなり、これは全く平滑化が行われない(ぼかし量が0)ことを意味する。これら以外のID番号の加重平均フィルタは、そのID番号の大きさに応じて上記2つの加重平均フィルタによる平滑化の程度の間の平滑化を行うフィルタであり、換言すれば、ID番号の大きな加重平均フィルタほど平滑化の程度が大きくなる。
【0095】
従って、ぼかし量規定値(C×M)の値が大きくなるほど、ルックアップテーブルによって決定される加重平均フィルタのID番号が大きくなり、選択される加重平均フィルタの平滑化の程度が大きく、すなわちぼかし量が大きくなるのである。
【0096】
なお、ぼかし量の決定手法は、上述した手法に限定されるものではなく、ぼかし量規定値(C×M)の値が大きくなるほど加重平均フィルタの平滑化の程度が大きくなるような手法であれば良い。
【0097】
<2−4.シフト量の決定>
次に、シフト処理の程度であるシフト量の決定について説明する(図3のステップS5)。シフト量の決定は、シフト量生成部57が生成したシフト量を基準にして、シフト量決定部55が注目画素(xc,yc)についての周期性指標M(xc,yc)およびコントラスト量C(xc,yc)に基づいて決定する。
【0098】
まず、シフト量生成部57が生成するシフト量について説明する。処理前画像の各画素(x,y)のシフト量は、図18に示すように、x方向のシフト量dx(x,y)と、y方向のシフト量dy(x,y)とにより規定される。なお、図18では格子状の交点部分が各画素位置であり、処理前画像の注目画素(xc,yc)に対するx方向のシフト量dx(xc,yc)と、y方向のシフト量dy(xc,yc)とにより規定されるシフト方向とシフト量とを示している。このように、シフト量生成部57は、シフト量とともにシフト方向(以下、これらを総称して「シフトデータ」とする)も決定する。このようなシフトデータの決定には以下のような方法を採用できる。
【0099】
▲1▼次の数6に従って、ランダムに決定する。
【0100】
【数6】
Figure 0003751806
【0101】
但し、R(-1.0〜+1.0)は、-1.0〜+1.0の間の乱数を発生する関数で、kmは最大シフト量(通常は0<km≦1)である。なお、dx(x,y)を決定する際のR(-1.0〜+1.O)とdy(x,y)を決定する際のR(-1.0〜+1.0)とは別個であり、決定されたdx(x,y)の値とdy(x,y)の値とは必ずしも同じではない。
【0102】
このようにdx(x,y)とdy(x,y)とをランダムに決定することにより、シフト方向とシフト量とをランダムに決定することができる。生成されたシフト量は、-1.0〜+1.0の間の値になる。
【0103】
▲2▼次の数7に従って、周期関数を用いて決定する。
【0104】
【数7】
Figure 0003751806
【0105】
但し、kmは最大シフト量(通常は0<km≦1)で、Fは周期関数の周波数(通常は、0<F≦1)、R(O.0〜+1.O)はO.0〜+1.Oの間の乱数を発生する関数、RR(x)はx座標における周期関数の初期値を規定するデータ、RR(y)はy座標における周期関数の初期値を規定するデータである。
【0106】
この周期関数は、決定しようとするシフト方向と直交する方向に周期性を有する関数であり、dx(x,y)の決定においてはx座標が同じdx(x,y)は全て同じ周期関数によって決定し、dy(x,y)の決定においてはy座標が同じdy(x,y)は全て同じ周期関数によって決定する。周期関数を用いた場合であっても、生成されたシフト量は、-1.0〜+1.0の間の値になる。
【0107】
なお、周期関数としてはsin関数に限らずcos関数など他の周期性を有するdx(x,y)、dy(x,y)が決定できる関数を用いることができる。
【0108】
▲3▼固定する。
【0109】
[dx(x,y),dy(x,y)]を常に、例えば、[+0.5,+0.5]や[+0.5,-0.5]、[-0.5,+0.5]、[-0.5,-0.5]などに固定する。この場合、生成されたシフト量は、固定された[dx(x,y),dy(x,y)]によって規定される値となる。
【0110】
以上、シフトデータの決定に関して3つの方法を述べたが、シフト量生成部57がシフトデータを決定するに際して上記いずれの方法を採用するかは、既述した周期性データ、より具体的には周期値T(図9)を参照して決定しても良い。例えば、画像パターンが2画素周期の周期性(周期値T=2)を有するときには▲3▼の方法を選択するのが有効である。また、本発明者の実験により、画像パターンが所定の周期値の場合に▲2▼の方法でシフトデータを決定すると良好な結果が得られないことがあったので、例えば、周期値Tが2以外で、かつ、上記所定の周期値以外の場合は▲2▼の方法を選択し、上記所定の周期値の場合は▲1▼の方法を選択することなども考えられる。
【0111】
また、▲2▼の方法における周波数Fは固定値として処理してもよいし、入力装置6からオペレータにより設定されたデータを用いて処理してもよいし、さらに、周期性データに基づき決定してもよい。例えば、周期関数の周期と、画像パターンの周期とが干渉するのを避けるような周波数Fを決定することが好ましい。
【0112】
また、乱数を発生する関数R(乱数発生範囲)による乱数の発生頻度は乱数発生範囲内で均一にしてもよいし、例えば、0.0付近の乱数を発生し易くしたり、+1.O付近の乱数を発生し易くしたりするなど、乱数の発生頻度を偏重させるようにしてもよい。この乱数の発生頻度の設定は、入力装置6からオペレータにより設定可能に構成してもよい。
【0113】
また、例えば、画像パターンの周期方向がx方向と一致していれば、dy(x,y)=0として、dx(x,y)だけでシフトデータを決定したり、画像パターンの周期方向がy方向と一致していれば、dx(x,y)=0として、dy(x,y)だけでシフトデータを決定したりすることにより、画像パターンの周期方向だけに注目画素の位置がシフトされるようにシフトデータのシフト方向を決定してもよい。
【0114】
以上のようにして、シフト量生成部57がシフトデータを決定し、シフト量が生成される。そして、生成されるシフト量は、上記いずれの方法によったとしても、−km〜+kmの間の値になる。
【0115】
一方、シフト量決定部55は、後述するシフト処理時における実際のシフト量を規定するためのシフト量規定値を算出する。シフト量規定値は、上述したぼかし量規定値(C×M)に基づいてルックアップテーブルにより求められた値に周期性指標Mを乗じて得られる値である。
【0116】
図19は、シフト量規定値の算出に用いられるルックアップテーブル(LUT1、図2参照)を示す図である。ぼかし量規定値(C×M)は上述のぼかし量決定に用いたものと同じであり、注目画素(xc,yc)についての周期性指標M(xc,yc)とコントラスト量C(xc,yc)との積である。図19に示すように、ぼかし量規定値(C×M)が所定の値よりも小さいときは、ルックアップテーブルにより求められる値は1.0である。そして、ぼかし量規定値(C×M)が所定の値よりも大きいときは、ぼかし量規定値(C×M)が大きくなるに従ってルックアップテーブルにより求められる値は小さくなり、ある値以上になるとルックアップテーブルにより求められる値が0.0になる。すなわち、このルックアップテーブルの特性を定性的に表現すれば、ぼかし量規定値(C×M)が大きくなるに従って、小さな値を出力するものであると言える。
【0117】
シフト量決定部55は、上記ルックアップテーブルにより求められる値に周期性指標Mを乗じてシフト量規定値Sを得る。シフト量規定値Sも注目画素ごとに算出されるものであり、注目画素(xc,yc)についてシフト量規定値S(xc,yc)が決定されるのである。なお、周期性指標Mは0以上1以下の値であり、図19のルックアップテーブルにより求められる値も0以上1以下の値であるため、それらの積であるシフト量規定値Sも0以上1以下の値となる。
【0118】
シフト量決定部55は、さらに、シフト量生成部57が生成したシフト量にシフト量規定値Sを乗ずることによって、最終的なシフト量、すなわちシフト処理時における実際のシフト量を算出する(図2参照)。なお、最終的なシフト量の算出も注目画素(xc,yc)ごとに行われるものである。また、シフト量生成部57が生成するシフト量は−km以上+km以下の値であり、シフト量規定値Sは0以上1以下の値であるため、最終的なシフト量は−km以上+kmの値となる。
【0119】
以上のようにして、注目画素(xc,yc)についてのシフト量が算出され、シフト方向も決定されるのである。
【0120】
<2−5.ぼかし処理およびシフト処理>
注目画素(xc,yc)についてのぼかし量およびシフト量が上述の如く算出され、シフト方向が決定された後、そのぼかし量に従ってぼかし処理部40が処理前画像のぼかし処理を行い、そのシフト量およびシフト方向に従ってシフト処理部50がシフト処理をこの順序で行う(図3のステップS6,S7)。
【0121】
まず、ぼかし処理部40が行うぼかし処理とは、ぼかし量決定部45が選択した加重平均フィルタ(図17参照)を用いたフィルタ操作による処理である。このフィルタ操作自体は、一般的なフィルタリング処理であり、ぼかし量決定部45が選択した加重平均フィルタを処理前画像の注目画素(xc,yc)に対して作用させるものである。具体的には、ぼかし量決定部45が選択した図17の如き加重平均フィルタを構成する各画素の係数を図20のように表すとすると、この加重平均フィルタからの出力Qb(xc,yc)は、次の数8に従って算出され、この値が注目画素(xc,yc)の新たな階調値となる。
【0122】
【数8】
Figure 0003751806
【0123】
なお、P(xc,yc)が処理前画像の注目画素(xc,yc)であることは上述の通りである。例えば、図17(a)に示す加重平均フィルタが選択されたとすると、注目画素(xc,yc)を中心とする5×5画素の領域内の各画素の階調値のそれぞれに1/25を乗じ、これらを積算した値がフィルタの出力Qb(xc,yc)であり、注目画素(xc,yc)の新たな階調値となる。
【0124】
次に、上記ぼかし処理後にシフト処理部50が行うシフト処理は、上記の決定されたシフト方向およびシフト量に従って、注目画素(xc,yc)の位置を移動(シフト)させる処理である。このときに、シフト後の位置に応じた注目画素(xc,yc)の新たな階調値Q(xc,yc)は、シフト後の位置の近傍画素の階調値を補間して求める。この補間法は、一般的なバイリニア法などを採用することができる。
【0125】
具体的には、例えば、注目画素(xc,yc)が図18に示すようなシフト方向およびシフト量(シフト量規定値S=1とする)に従って移動した場合、ぼかし処理後の階調値Qb(xc,yc)、Qb(xc+1,yc)、Qb(xc,yc+1)、Qb(xc+1,yc+1)に基づき、これら4つ画素位置((xc,yc)、(xc+1,yc)、(xc,yc+1)、(xc+1,yc+1))の間で階調値が線形的に変化しているものと仮定して、移動後の注目画素(xc+dx(xc,yc),yc+dy(xc,yc))の階調値を算出する。より具体的には、ぼかし処理後の階調値Qb(xc,yc)、Qb(xc+1,yc)から階調値Qb(xc+dx(xc,yc),yc)を直線近似にて算出し、ぼかし処理後の階調値Qb(xc,yc+1)、Qb(xc+1,yc+1)から階調値Qb(xc+dx(xc,yc),yc+1)を直線近似にて算出する。その後、これらの階調値Qb(xc+dx(xc,yc),yc)および階調値Qb(xc+dx(xc,yc),yc+1)から移動後の注目画素の階調値Qb(xc+dx(xc,yc),yc+dy(xc,yc))を直線近似にて算出するのである。
【0126】
以上のようなぼかし処理およびシフト処理において、ぼかし量規定値(C×M)が大きい場合には、平滑化の程度が大きい加重平均フィルタ(図17(a)参照)が選択されて大きなぼかし量のぼかし処理が行われる一方、図19のルックアップテーブルによりシフト量が0になり、シフト処理が行われないこととなる。ぼかし量規定値(C×M)が大きい場合とは、注目画素の周辺において画像パターンの繰り返しの有無の程度が大きく、かつ高コントラストであることを意味しており、例えばエアコンのフロントパネルについての画像等が該当する。
【0127】
通常、このような画像にシフト処理を施すと画像中の輪郭部分(高コントラストを発生する部分)が乱れて画質が劣化するのであるが、上記のような各処理を行えば、大きなぼかし量のぼかし処理のみが行われてシフト処理は実質的に行われないため、画質の劣化はほとんど生じない。なぜなら、高コントラスト部分はUSM強調する必要がなく、ぼかし処理をおこなっても画質が劣化しないためである。そして、本処理後の画像に対してシャープネス処理等を施したとしても、サチレーションが抑制もしくは解消されるため、先に説明した平均レベルの変動すなわち、平均階調値が周期的に変動する状態は生じず、モアレの発生を抑制することができる。すなわち、画像パターンの繰り返しの有無の程度が大きく、かつ高コントラストの画像であったとしても、その画質を劣化させることなくモアレの発生を抑制することができるのである。
【0128】
一方、注目画素の周辺において画像パターンの繰り返しの有無の程度は大きいが、低コントラストである場合、例えば衣服の布地についての画像等の場合は、コントラスト量Cの値が小さくなるため、ぼかし量規定値(C×M)の値も小さくなる。従って、平滑化の程度が小さい加重平均フィルタ(図17(b)参照)が選択されてほとんどぼかし処理が行われない一方、シフト量規定値Sの値は大きくなり、大きなシフト処理が行われる。この場合、大きなシフト処理を行っても画質の劣化はほとんどない。なぜなら、画像パターンの繰り返しの有無の程度は大きいが低コントラストの画像であるテクスチャ領域は、ぼかし処理ではテクスチャが消滅するなどの問題が発生するが、シフト処理ではテクスチャは消滅しないからである。しかも「INフェイズ状態」と「OUTフェイズ状態」との周期性が崩れ、「INフェイズ状態」と「OUTフェイズ状態」とがランダムに分散される。従って、本処理後の画像に対してシャープネス処理等を施したとしても、平均階調値が周期的に変動する状態は生じず、モアレの発生を抑制することができる。すなわち、画像パターンの繰り返しの有無の程度が大きく、かつ低コントラストの画像であったとしても、その画質を劣化させることなくモアレの発生を抑制することができるのである。
【0129】
なお、画像パターンの繰り返しの有無の程度が小さな画像については、周期性指標Mの値が小さくなるため、そのコントラストの高低の如何に関わらず、ぼかし量規定値(C×M)の値およびシフト量規定値Sの値ともに小さくなり、ぼかし処理もシフト処理も行われない。画像パターンの繰り返しの有無の程度が小さな画像については、そもそもモアレの発生がほとんどないものと考えられるため、画質の低下を回避する観点からぼかし処理もシフト処理も行わないのが好ましいのである。
【0130】
以上を集約すると、上述のように画像の内容に応じてぼかし処理およびシフト処理の程度を変化させることにより、種々の種類の画像について画質を劣化させることなくモアレの発生を抑制することができるのである。
【0131】
<2−6.シャープネス処理>
上記においては、シャープネス処理(次述)に先立って、周期性指標Mおよびコントラスト量Cに基づいて決定したぼかし量およびシフト量を用いてぼかし処理およびシフト処理を行うことにより、このシャープネス処理におけるモアレの発生を抑制する技術について説明した。ここでは、さらに、このシャープネス処理を行うにあたって、そのシャープネス処理自身におけるパラメータ(シャープネス処理係数)を周期性指標Mおよびコントラスト量Cに応じて変更することによって、モアレの発生を抑制する技術について説明する。なお、後述するように、上記のぼかし処理(ステップS6)およびシフト処理(ステップS7)を伴うことなく、このシャープネス処理(図3、ステップS9)を単独で行ってもよい。
【0132】
図3のステップS8に示すように、シャープネス処理(ステップS9)を行うにあたって、シャープネス処理係数決定部65は、注目画素(xc,yc)についての周期性指標M(xc,yc)およびコントラスト量C(xc,yc)に基づいてシャープネス処理の程度であるシャープネス処理係数を決定する。
【0133】
シャープネス処理としては、いわゆるUSM処理に代表される輪郭強調処理等を適用することができる。具体的には、注目画素の信号(主信号S)および当該注目画素の近傍領域(注目画素を含んでも良い)の平滑化された信号(アンシャープ信号U)を画像より取り出し、両者の差信号(S−U)をもって輪郭強調の基礎信号(アンシャープマスク信号)とする。そして、アンシャープマスク信号に適当な係数g(以下、シャープネス処理係数とも称する)を乗ずる形で増幅した信号を輪郭強調信号(g×(S−U))とし、これを主信号Sに加算して当該注目画素の階調値とすることにより、輪郭を強調することができる。
【0134】
図21は、シャープネス処理係数gの決定手法を説明するための図である。ここでは、注目画素(xc,yc)についての周期性指標M(xc,yc)とコントラスト量C(xc,yc)との積に基づいてシャープネス処理係数gを決定している。すなわち、周期性指標Mとコントラスト量Cとの積(C×M)に基づき、図21のグラフに示すような特性を有するルックアップテーブル(LUT3、図2参照)を用いてシャープネス処理係数gを決定する。
【0135】
また、このシャープネス処理は、上記のぼかし処理と逆の特性を有するものといえる。そのため、このシャープネス処理におけるルックアップテーブルLUT3は、ぼかし処理におけるルックアップテーブルLUT2に対して逆の特性を有するように規定する。
【0136】
図21に示すように、このルックアップテーブルLUT3(図2)は、シャープネス処理係数gが値(C×M)が大きくなるにつれて小さくなるように規定されている。したがって、値(C×M)が大きな領域については、シャープネス処理係数gが小さくなるため輪郭強調の効果が小さくなる。この場合、上述したシャープネス処理におけるサチレーションが抑制もしくは解消されるため、先に説明した平均レベルの変動すなわち、平均階調値が周期的に変動する状態は生じず、モアレの発生を抑制することができる。すなわち、画像パターンの繰り返しの有無の程度が大きく、かつ高コントラストの画像であったとしても、その画質を劣化させることなくモアレの発生を抑制することができるのである。また、値(C×M)が大きいことは、コントラスト量Cも大きいことを意味するが、このようなコントラスト量Cが大きな領域に対してはシャープネス処理を施す必要性は低い。
【0137】
一方、周期性指標Mの値が小さい領域やコントラスト量Cが小さい領域については、値(C×M)が小さくなり、これに応じてシャープネス処理係数gが大きくなるため、十分な輪郭強調処理が行われる。したがって、画像の鮮鋭化を的確に行うことが可能になる。
【0138】
このように、値(C×M)に基づいて決定されたシャープネス処理係数gに基づいて、画像における注目画素についてのシャープネス処理を行うことにより、モアレの発生を抑制しつつ、画像の鮮鋭化を図ることができる。すなわち、このようなシャープネス処理によれば、上述のように画像の内容に応じてシャープネス処理の程度を変化させることにより、サチレーションを抑制して鮮鋭化を図りつつモアレの発生を抑制することが可能である。
【0139】
なお、ここでは、このステップS9におけるシャープネス処理を、上記のぼかし処理(ステップS6)およびシフト処理(ステップS7)と併せて行う場合について説明しているが、ぼかし処理(ステップS6)およびシフト処理(ステップS7)を伴うことなくシャープネス処理(ステップS9)のみを原画像に対して行ってもよい。特に、ぼかし処理とシャープネス処理とは一種の双対性を有しており、ぼかし処理でそのぼかし度合いを高く設定することと、シャープネス処理でそのシャープネスの強調度合いを低く設定することとは、モアレ発生の抑制に関して同様の効果を奏するものと考えられるので、ステップS6のぼかし処理を行わずにステップS9のシャープネス処理のみを行っても、シャープネス処理におけるモアレ発生の抑制を図ることが可能である。
【0140】
また、上記においては、シャープネス処理の一例としてUSM処理を行う場合について説明したがこれに限定されず、USM処理以外のシャープネス処理、たとえば、鮮鋭化を行うラプラシアンなどの空間フィルタを用いるシャープネス処理に適用してもよい。その場合、上述したように、複数のフィルタを予め準備しておき、値(C×M)に応じたID番号を有するフィルタをその複数のフィルタの中から選択してシャープネス処理を行えばよい。具体的には、ID番号が大きくなるにつれて鮮鋭化の程度が大きくなる複数のフィルタ(言い換えれば、ID番号が小さくなるにつれて鮮鋭化の程度が小さくなる複数のフィルタ)を予め準備しておき、その複数のフィルタの中から、値(C×M)が大きくなるほど小さなID番号のフィルタが選択されるように(C×M)の各値に対して対応づけられたフィルタを選択してシャープネス処理を行えばよい。
【0141】
<2−7.網点化処理等>
その後、ステップS10(図3)において、CMYK変換処理が行われる。これにより、RGB画像からYMCK画像への変換が行われる。なお、以降のステップS11,S12の網点化処理においては、YMCKの各色別に網点化処理が行われる。
【0142】
次に、ステップS11,S12の各処理について説明する。この網点化処理においては、SPM(スクリーンメモリーパターン)に記憶されたデータ(SPMデータ)を用いて網点化処理を行う。網点化処理は、画像における階調値(濃度値)を面積(網点の大小)に変換する処理であり、これにより画像の階調表現を行うものである。デジタル画像においては、所定の解像度(たとえば350dpi)を有する画像における各画素の多段階(たとえば256段階)の階調値が、さらに高解像度(たとえば2400dpi)の二値化画像において「1」または「0」のいずれかの値で表現される各画素値(いいかえれば微小点の有無)に変換されることにより、網点化処理が行われる。元の画像よりも高精細な二値化画像(網点化画像)においては、2つの値を有する画素の面積比により元の画像の階調値が表現される。
【0143】
この網点化処理に用いられるSPMデータ(網点化データ)には、所定の規則の繰り返しにより表現されている通常の網点化処理を行うノーマルドットSPMデータと、ランダム要素を取り入れてモアレを抑制を行うランドットSPMデータとが存在する。
【0144】
ノーマルドットSPMデータを用いて網点化を行う場合には、上述したように、モアレが発生してしまうことがある。このモアレは、網点パターンにおける網点ピッチと処理対象画像における画素ピッチとの比が整数比にならない場合に、このノーマルドットSPMデータによる各画素の網点化の結果が周期的に変動することに起因するものである。
【0145】
一方、ランドットSPMデータは、このようなノーマルドットSPMデータを用いて網点化を行う場合に生じるモアレの抑制を図るべく、網点パターンにランダム性(非一様性)を取り入れたものである。このランドットSPMデータによれば、モアレの発生を抑制することができるものの、粒状性の増加といった副作用をもたらすため、このランドットSPMデータをその画像全体に用いることは一般に好ましくない。
【0146】
この実施形態においては、このようなトレードオフの関係を解消すべく、これら2種類のSPMデータを処理対象となる画像内において適宜に使い分けることを行う。
【0147】
ここでは周期性指標Mを用いた使い分けについて説明する。この周期性指標Mは、上述したように、モアレの発生を生じやすい周期性の強いパターンである度合いを示すものであり、この指標Mが大きな値である程、モアレが発生しやすい状況であるといえる。なお、コントラスト量Cをも考慮して使い分けを行ってもよいが、網点化処理において発生するモアレは周期性指標Mに対して特に強い関連性があるとの知見に基づき、ここでは周期性指標Mのみを考慮して使い分けを行う。
【0148】
そのため、ステップS11においては、網点化データ決定部85(図2)は、各画素についての網点化処理を行うにあたって、周期性指標Mの大小に応じて、ランドットSPMデータとノーマルドットSPMデータとのいずれか一方のSPMデータを選択し、選択したSPMデータを、網点化処理(ステップS12)に用いる網点化データとして決定する。具体的には、正規化された周期性指標M(0.0≦M≦1.0)が所定値(たとえば0.5)以上のとき(すなわち0.5≦M≦1.0のとき)には、ランドットSPMデータが選択され、一方、周期性指標Mがこの所定値よりも小さいとき(すなわち0.0≦M<0.5のとき)には、ノーマルドットSPMデータが選択される。
【0149】
そして、次のステップS12において、ステップS11において選択されたSPMデータを用いて網点化処理を行う。
【0150】
これにより、比較的大きな周期性指標Mを有する領域に対しては、モアレ抑制効果の高いランドットSPMデータを用いて網点化処理が行われる。比較的大きな周期性指標Mを有する領域は、モアレが発生しやすい領域であるが、このような領域に対して、ランドットSPMデータを用いて網点化処理を行うことにより、モアレの発生を有効に抑制することができる。
【0151】
一方、比較的小さな周期性指標Mを有する領域に対しては、粒状性が発生しないノーマルドットSPMデータを用いて網点化処理が行われる。比較的小さな周期性指標Mを有する領域は、元来モアレが発生しにくい領域であるため、このような領域に対して、ランドットSPMデータを用いてモアレを抑制する必要性は少ない。むしろ、ノーマルドットSPMデータを用いて網点化処理を行うことにより、ランドットSPMデータを用いた場合に生じる粒状性の発生を抑制することができるので、総合的に好適な網点化処理を行うことができる。
【0152】
このように、周期性指標Mに基づいて画像における注目画素についての網点化処理に用いる網点化データを決定し(ステップS11)、決定された網点化データに基づいて画像における注目画素についての網点化処理を行う(ステップS12)ことにより、粒状性の発生を抑制しつつ、モアレの発生をも抑制することが可能になる。
【0153】
上記のような各処理を行うことにより、USM処理におけるモアレの発生と網点化処理におけるモアレの発生とを有効に抑制しつつ、所望の網点化画像を得ることが可能である。そして、この網点化画像を画像出力部8を用いて印刷出力することにより、モアレの発生を有効に抑制した印刷画像を得ることが可能である。
【0154】
<2−8.高解像度線画パターン挿入処理など>
上記においては、線画パターン生成部90による処理を行わず、網点化処理部80による網点化処理のみを行うことにより高精細な二値化画像である網点化画像を得る場合について説明した。ここでは、さらに高コントラストな画像をモアレの発生を抑制しつつ得る技術について説明する。
【0155】
図22は、処理対象となる画像IMGの一例(エアコンの撮像画像)を示す図である。この画像IMG中において、例えばエアコンのフロントパネルは、水平方向の直線が垂直方向に繰り返し配置される図形領域RGとして形成される。この領域RGにおけるコントラスト量Cおよび周期性指標Mは、いずれも大きくなる。
【0156】
このような領域RGにおいて、上述のように網点化データ決定部85および網点化処理部80を用いた画像処理等を行うことにより、モアレを抑制しつつ鮮鋭化を図ることも可能であるが、以下では、網点化処理部80および線画パターン生成部90(図2)を用いて、モアレを抑制しつつさらに鮮鋭な画像を作成する技術について説明する。より詳細には、網点化処理部80と線画パターン生成部90と合成部97とを用いて、線画パターンデータに基づく高精細画像と網点化処理により得られた網点化画像とを合成することにより、高精細な二値化画像を得る技術について説明する。
【0157】
上述したように、網点化処理においては、所定の解像度(たとえば350dpi)を有する画像における各画素の多段階の階調値が、さらに高解像度(たとえば2400dpi)の二値化画像において「1」または「0」のいずれかの値で表現される微小画素の集まりとして表現される。高解像度の二値化画像における中間階調値は、「1」の状態(ここでは点が存在する状態を想定する)の点と「0」の状態(ここでは点が存在しない状態を想定する)の点との比率(面積比)を変更することにより表現される。したがって、上記の原画像あるいはシャープネス処理後の画像において、中間階調の画素が存在する場合には、中間階調値を表現する面積比の部分が存在することになる。
【0158】
それに対して、線画パターン生成部90は、高解像度を有する二値化画像中において、所定の図形(たとえば直線)を描くことにより、高コントラストの線画パターンデータを生成する。具体的には、図23の(線画パターンの)拡大図に示すように、水平方向に伸びる直線LN(図中斜線で示す)を垂直方向に繰り返し描くことにより、エアコンのフロントパネルの領域RG(図22)に対応する図形を描画する。すなわち、領域RGに対応する線画パターンデータを生成する。より具体的には、たとえば直線の幅および間隔は、上述の周期値T(Tx,Ty)を用いて決定することができ、また、その方向は周期方向θ(=Ty/Tx)に垂直な方向として決定することなどが可能である。
【0159】
この場合、点の有無を用いて中間階調値を表現する網点化領域は存在せず、二値化された高精細な線画パターンとしての画像を直接的に生成することができるので、さらに高精細でかつ高コントラストな画像を得ることができる。特に、原画像において画素幅と同程度もしくはそれ以下の幅を有する細い直線であっても、高解像度の二値化画像における画素HR(図23)の幅よりも大きな幅を有する直線であれば、中間階調値表現を用いずに極めて高コントラストな直線として描画することが可能である。
【0160】
したがって、線画パターン生成部90において生成された領域RGに関する線画パターンを、網点化処理部80において網点化処理された他の領域とを合成することにより、画像IMGに関する処理後画像(処理前画像よりも高精細な二値化画像)を得ることが可能である。
【0161】
ここにおいて、この画像処理装置1は、図2に示すように、切換部95と合成部97とをさらに備えている。
【0162】
切換部95は、上記のコントラスト量Cおよび周期性指標Mに基づいて、画像IMG中の各画素について、網点化処理部80による網点化処理を行うのか、線画パターン生成部90による線画パターンの生成処理を行うのかを切り換える。具体的には、切換部95は、コントラスト量Cが所定の基準値C0よりも大きく、且つ、周期性指標Mも所定の基準値M0よりも大きいという条件(たとえば、0.0以上1.0以下の値を有するように正規化された各値C,Mについて、0.9≦C、かつ、0.95≦M)を満たす場合には、線画パターン生成部90による線画パターンの生成処理を行う旨を決定し、この条件が満たされない場合には、網点化処理部80による網点化処理を行う旨を決定する。
【0163】
その後、画像IMGの各画素についての切換部95の決定に応じて、対応する処理部80,90のいずれか(網点化処理部80および線画パターン生成部90のいずれか)がその処理を行う。すなわち、各画素に関して、切換部95の決定に応じて、線画パターン生成部90による線画パターンの生成処理と網点化処理部80による網点化処理とのいずれかが行われる。
【0164】
そして、合成部97は、これらの網点化処理部80および線画パターン生成部90による処理結果を合成することにより、画像IMGに対して網点化処理等にを施した高精細な二値化画像(網点化画像)を得ることができる。
【0165】
この場合、コントラスト量Cおよび周期性指標Mが大きく、モアレの発生が予想される領域RGに対しては網点化処理が行われないため、網点化処理に起因するモアレの発生を回避することができる。また、この領域RGに対しては、網点化処理部80による網点化処理の代わりに、線画パターン生成部90による線画パターンの生成処理が行われるので、高コントラストかつ鮮鋭化された線画パターン画像として形成される。このように、上記の処理によれば、モアレの発生を抑制しつつ鮮鋭かつ高コントラストな画像を得ることができる。
【0166】
なお、上記においては、画像IMGの各画素について、切換部95が網点化処理および線画パターン生成処理のいずれを行うかを決定した後、合成部97が各処理結果を合成していたが、これに限定されない。たとえば、網点化処理部80および線画パターン生成部90のそれぞれが画像IMG中の全画素について網点化処理および線画パターン生成処理の両方を行った後、合成部97がコントラスト量Cおよび周期性指標Mに基づいて網点化処理部80および線画パターン生成部90のいずれの処理結果を選択するかを決定した上で合成することにより、上述のような網点化画像を得ることも可能である。
【0167】
また、このような線画パターン生成部90を用いた高解像度線画パターンの挿入処理は、シャープネス処理部60および網点化処理部80などを用いたステップS9,S12の各処理を伴うことなく、これらの処理の代わりに行ってもよい。
【0168】
<2−9.画像編集処理(その1)>
また、上述したように、元の画像をそのまま出力する場合だけでなく、元の画像(原画像)に対して、変倍(拡大/縮小)、回転、階調変換などの画像編集処理を行う場合が存在する。たとえば、シャープネス処理(ステップS9)の前、あるいは、網点化処理(ステップ12)の前に画像編集処理を行う場合がある。たとえば、入力部6(図1)を介して入力されるオペレータの指示に基づいて画像縮小等の画像編集処理が行われることがある。そして、このような場合にも、各種の画像編集処理によって何らかの周期的なずれが発生することに起因したモアレが発生することがある。
【0169】
そして、この場合にも、シャープネス処理係数決定部65および網点化データ決定部85によって、コントラスト量Cおよび周期性指標Mに基づきシャープネス処理および網点化処理における各パラメータ等を決定した上で、シャープネス処理部60および網点化処理部80によって上記のようなシャープネス処理および網点化処理を施すことにより、モアレの発生を抑制しつつシャープネス処理および網点化処理のそれぞれを行うことが可能である。
【0170】
ただし、その場合には、図24に示すように、縮小などの画像編集処理によって各画素の対応位置関係等が変更されるので、画像の縮小等の編集処理に伴って、各種の各処理(ステップS9,S12など)において用いられる各画素についての、コントラスト量C、周期性指標M、および周期値Tの各パラメータの値を更新する。言い換えれば、画像編集処理に伴う対応関係を用いて、編集後画像IMG2における各画素についてのコントラスト量CE、周期性指標ME、および周期値TEを求めることを行う。なお、図24の編集後画像IMG2は、編集前画像IMG1に対して縮小処理(画像編集処理)を施して得られる画像である。
【0171】
具体的には、編集後画像IMG2の各画素のコントラスト量Cは、当該各画素の編集前画像IMG1における対応位置近傍の1つまたは複数の画素についてのコントラスト量Cに基づいて、バイリニア法を用いて求めること(バイリニア縮小)などが可能である。たとえば、図25に示すように、編集後画像IMG2における画素E2の位置(x2,y2)に対応する(編集前画像IMG1内での)位置(対応位置PC)を想定すると、編集後画像IMG2内の位置(x2,y2)に存在する画素E2についてのコントラスト量Cは、その対応位置PCの近傍に存在する4つの画素(x1,y1)、(x1+1,y1)、(x1,y1+1)、(x1+1,y1+1)のコントラスト量Cを用いて算出することができる。より具体的には、対応位置近傍の4つの画素についてのコントラスト量Cが線形的に変化しているものと仮定して、対応位置におけるコントラスト量CE、すなわち、編集後画像IMG2の注目画素のコントラスト量CEとして決定することができる。
【0172】
また、同様に、周期性指標Mについても求めることができる。すなわち、当該各画素の編集前画像IMG1における対応位置近傍の1つまたは複数の画素についての周期性指標Mに基づいて、バイリニア法を用いて求めること(バイリニア縮小)などが可能である。
【0173】
さらに、周期値Tについても同様に求めることが可能であるが、画像編集動作として変倍動作を伴う場合については、動作内容に修正が必要である。なぜなら、周期値Tは、画像の大きさ(ないし解像度)をも考慮した値であるからである。
【0174】
図26は、編集前画像IMG1を1/2に変倍(縮小)するにあたって、編集後画像IMG2における各画素値についての周期値TEを求める場合について説明する概念図である。編集前画像IMG1における所定方向に連続する4つの画素の周期値Tが(4,4,4,4)で表されるものとすると、1/2の縮小動作により、これら4つの画素は編集後画像IMG2における2つの画素に相当し、これらの2つの画素についての周期値Tは、その値自体が1/2に変更される必要がある。
【0175】
したがって、編集後画像IMG2におけるこれらの2つの画素についての周期値Tは、上記と同様のバイリニア法などを用いて、対応位置の周期値Tを求めた上で、その求められた周期値Tに対して、変倍率(縮小率)(=1/q)を乗じた値を編集後画像IMG2における周期値TEとして求めることができる。たとえば、変倍率が1/2倍のときには、編集後画像IMG2における2つの画素のそれぞれは、対応位置の周期値T(=4)に1/2を乗じた値、すなわち2になる。したがって、編集前画像IMG1における4つの画素の周期値Tの配列(4,4,4,4)は、編集後画像IMG2における2つの画素の周期値Tの配列(2,2)として表される。
【0176】
なお、ここでは対応位置の周期値Tを求めた上で、その求められた周期値Tに対して、変倍率(縮小率)を乗じた値を編集後画像IMG2における周期値TEとして求める場合について説明したが、これに限定されず、編集前画像IMG1における各画素についての周期値Tに対してそれぞれ変倍率(縮小率)(=1/q)を乗じた上で、対応位置の周期値Tを求めてもよい。
【0177】
また、上記においては簡単化のため、周期値Tは各画素について単一の値を有するものとして説明しているが、実際には周期値Tはそのx方向成分Txとy方向成分Tyとに基づいて定められる。したがって、これらの各成分Tx,Tyのそれぞれについて上記の処理を行ってもよい。
【0178】
さらに、上記においては、縮小の場合について説明したが、平行移動および/または回転移動などを伴う場合には、基準点(たとえば原点)のオフセット量等をも考慮することにより、編集後画像IMG2の各画素に関して、編集前画像IMG1の各画素との対応関係を求めることができる。
【0179】
以上のように、アフィン変換後の幾何学的な対応関係を求めた上でその対応位置近傍の複数の画素についてのコントラスト量C、周期性指標M、周期値Tの各値を用いることにより、編集後画像IMG2の各画素についてのコントラスト量CE、周期性指標ME、周期値TEなどの各値を求めることができる。
【0180】
このような画像編集処理は、図3のステップS8の前、あるいは、ステップS11の前などにおいて行われる。
【0181】
たとえば、この画像編集処理が、ステップS8の前(より具体的にはステップS7とステップS8との間)に行われた場合には、その画像編集処理動作に引き続いて、上述の各パラメータの変更動作を行った後に、ステップS8以降の動作を行う。
【0182】
この場合、ステップS8においては、編集後画像IMG2の各画素についてのコントラスト量CEおよび周期性指標MEなどを用いて同様の動作を行うことによりシャープネス処理係数決定動作(ステップS8)を行うことができる。そして、その決定されたシャープネス処理係数に基づいて、編集後画像IMG2の各画素(注目画素)についてシャープネス処理(ステップS9)を行うことにより、上述のようにモアレの発生を抑制しつつ鮮鋭な画像を得ることが可能になる。
【0183】
同様に、ステップS11においては、編集後画像IMG2の各画素(注目画素)についてのコントラスト量CEおよび周期性指標MEなどを用いて同様の動作を行うことにより網点化データ決定動作を行い、さらに、編集後画像IMG2の各画素(注目画素)について、決定された網点化データに基づいて網点化処理(ステップS12)を行う。これにより、上述のように粒状性の発生を抑制しつつモアレの発生をも抑制することが可能である。
【0184】
なお、上記においては、画像編集処理として、変倍、平行移動、回転移動などのアフィン変換を伴う処理について説明したが、画像編集処理はこれに限定されず、階調変換処理であってもよい。
【0185】
例えば、図27に示すようなルックアップテーブルによって各画素の階調値を変換するような階調変換処理など、サチレーションに偏りが生じるような画像処理を施した場合にも上記のような平均階調値が周期的に変動する状態が発生し、その結果、処理後の画像にモアレが発生すると考えられる。さらに、例えば、図28に示すようなルックアップテーブルによって各画素の階調値を変換する階調変換処理などでも、「INフェイズ状態」と「OUTフェイズ状態」とで平均階調値に違いが生じ、上記のような平均階調値が周期的に変動する状態が発生する結果、処理後の画像にモアレが発生すると考えられる。これらの階調変換処理を行う場合であっても、その後に上記のようなUSM処理(ステップS9)などを行うことにより、USM処理に伴うモアレの発生を抑制することが可能である。
【0186】
また、画像編集処理として階調変換を行う場合には、その階調変換に応じて、コントラスト量Cをも変更することが好ましい。具体的には、その階調変換動作によってコントラスト量Cが全体的に所定の倍数(たとえば1.1倍)となることが想定される場合には、各画素のコントラスト量Cに対してその所定の倍数(たとえば1.1倍)を乗じて得られた値を、新たな各画素についてのコントラスト量Cとする。そして、この新たなコントラスト量Cを用いて、その後のぼかし処理、シフト処理、シャープネス処理、および網点化処理などを適宜に行えばよい。
【0187】
<2−10.画像編集処理(その2)>
上記においては、USM処理および/または網点化処理を伴う場合において、画像編集処理におけるモアレの発生を抑制する技術について説明したが、以下では、上述のようなUSM処理や網点化処理を伴わずに、画像編集処理において生じ得るモアレの発生を抑制することが可能な技術について説明する。
【0188】
図29は、画像編集処理として画像の縮小処理を行う場合に関する概要を示す図である。図29に示すように、この処理においては、処理前画像IMG3に対してぼかし処理を行って画像IMG4を得た後に、さらにこの画像IMG4に対して縮小処理を行うことによって、画像編集(縮小)後の画像(編集後画像)IMG5を得る。
【0189】
画像IMG3に対するぼかし処理は、ぼかし量決定部45によって決定されたぼかし量に基づいて、ぼかし処理部40によって行われる。この場合、ぼかし量決定部45は、コントラスト量Cおよび周期性指標Mに基づいてぼかし量を決定する点は、上述と同様である。
【0190】
ただし、ここでは、ぼかし量決定部45によるぼかし量を決定する以前に、縮小倍率が予め判っている場合を想定する。言い換えれば、所定倍率の縮小処理を行う前提の下に、その縮小処理を行う前処理としてぼかし処理を行う場合を想定する。
【0191】
この場合において、ぼかし処理部40は、画像の縮小率に応じたサイズを有する空間フィルタを用いて、画像における各注目画素についてのぼかし処理を行う。具体的には、縮小率(=1/q)に対して、(q+1)×(q+1)のサイズの空間フィルタ(2次元フィルタ)を用いたぼかし処理を行う。たとえば、縮小率が1/2のときには3×3のサイズの空間フィルタを用い、縮小率が1/4のときには5×5のサイズの空間フィルタを用いて、ぼかし処理を行う。なお、フィルタサイズを(奇数)×(奇数)にするため、(q+1)が偶数のときには、(q+2)×(q+2)のサイズの空間フィルタを用いるものとする。
【0192】
ここで、縮小率に応じて異なるサイズの空間フィルタを用いること、より具体的には、変倍率1/qのqが大きくなるにつれて、より大きなサイズの空間フィルタを用いることによれば、縮小後画像における高周波成分をより効果的にカットして、モアレの発生を抑制することが可能になる。これは、縮小後画像におけるモアレは、サンプリング定理に基づき所定の周波数以上の高周波成分の折返しに起因して発生するという性質を利用するものである。すなわち、この性質に鑑み、あらかじめそのぼかし処理によってその所定の周波数以上の高周波成分をカットすることにより、モアレを抑制することが可能である。
【0193】
一般に、変倍率1/qのqが大きくなる(画像がより小さく縮小される)ことは、サンプリング定理における基準周波数(折返し周波数)が低下することに対応する。一方、相対的に大きなサイズのフィルタを用いてぼかし処理を行えば、高周波成分のうち、相対的に低い周波数成分に至るまでの成分を減衰させることが可能になる。したがって、変倍率1/qのqが大きくなる(画像がより小さく縮小される)につれて、より大きなサイズのフィルタを用いて、より低い周波数成分まで減衰させるぼかし処理を行うことが可能になるので、基準周波数よりも高い周波数成分が残存することに伴うモアレの発生を抑制することができる。
【0194】
ここにおいて、各フィルタは、図17に例示したようなピラミッド型に加重値が配列されたフィルタである。また、各フィルタサイズごとに、そのぼかし量が異なる複数のフィルタがあらかじめ準備されている。たとえば、そのぼかし処理の程度が異なる64個の3×3サイズのフィルタを有するフィルタ群と、64個の5×5サイズのフィルタを有するフィルタ群と、64個の7×7サイズのフィルタを有するフィルタ群と、...を予め準備しておけばよい。
【0195】
そして、上述のように、変倍率1/qのqの値に応じて、所定のサイズを有するフィルタ群を選択し、そのフィルタ群の中から、コントラスト量Cおよび周期性指標Mに基づき、当該ぼかし量に応じて決定された所定のIDを有する1つのフィルタを選択する。そして、この選択されたフィルタを用いてぼかし処理を行うのである。
【0196】
ここにおいて、このぼかし処理に用いられるフィルタとして、変倍率1/qのqの値に応じた所定のサイズ(たとえば、(q+1)×(q+1)のサイズ)を有するフィルタが選択されるので、ぼかし処理における高周波成分の抑制を好適に行うことができる。
【0197】
また、このぼかし処理に用いられるフィルタは、その所定のサイズを有する複数のフィルタのうち、コントラスト量Cおよび周期性指標Mに基づいて決定されたぼかし量に対応するものとして選択されるフィルタである。したがって、画像中の各画素についてこのような処理を行うことにより、ぼかし処理の程度を画像中において局所的に適宜に変更しつつぼかし処理を行うことができるので、鮮鋭さの度合いが低減してしまうことを最小限に止めつつ、モアレの発生を抑制することが可能になる。
【0198】
なお、この技術は、網点化処理を伴うことを要しないので、モニタ(表示部5)などの画面上において縮小画像を表示する場合にも適用することが可能である。
【0199】
<B.変形例>
上記実施形態の網点化処理においては、網点化処理部80は、周期性指標Mに応じてデータ決定部85が決定した、ノーマルドットSPMデータとランドットSPMデータとのいずれか一方の網点化データを選択的に用いて網点化処理を行っていたが、これに限定されない。たとえば、ノーマルドットSPMデータとランドットSPMデータとに基づき、周期性指標Mに応じた新たな網点化データを合成し、その合成された新たな網点化データを利用することにより、画像における各画素についての網点化処理を行ってもよい。
【0200】
図30は、このような新たな網点化データの生成動作について説明する図である。網点化データ決定部85は、加重係数Rとして周期性指標M(0.0≦M≦1.0)を選択し、ランドットSPMデータに係数Rを乗じた値と、ノーマルドットSPMデータに係数(1−R)を乗じた値とを加算して加重平均をとることにより、網点化処理における閾値を新たに合成する処理、すなわち、新たな網点化データを合成する処理を行う。網点化処理は、元の画像の各画素に相当する領域内に含まれる(処理後画像の)高精細な複数の画素のそれぞれについて閾値を設定し、その閾値と元の画像の画素の階調値とを比較して、その高精細な二値化画像における各画素の状態(「1」であるか「0」であるか)を定めることにより行われる。上記の加重平均処理によれば、元の画像の1つの画素に相当する領域内に存在する高精細画像の複数の画素のそれぞれの画素値(「1」または「0」)を決定する際の閾値が周期性指標Mに応じて定められることになる。
【0201】
このように、周期性指標Mに応じて加重平均によりその閾値が定められた網点化データを合成し、その網点化データを用いて網点化処理を行うことによっても、網点化処理に伴うモアレの発生を抑制することが可能である。特に、この網点化データにおける閾値は、加重平均を用いて周期性指標Mに応じて定められているので、周期性指標Mの値を少なくとも多段階に反映させることが可能である。言い換えれば、ノーマルドットSPMデータとランドットSPMデータとのいずれか一方の網点化データを選択的に用いて網点化処理を行う場合において生じ得る不連続性(すなわちこれら2つのSPMデータ(網点化データ)の切り替わり部分において生じ得る不連続性)が解消され、より連続的に変化する網点化データを用いた網点化処理を行うことが可能になる。
【0202】
なお、上記においては、周期性指標Mに応じて、新たな網点化データを逐次に作成していたが、周期性指標Mに応じて加重平均を用いて合成される上記の新たな複数の網点化データをあらかじめ作成しておき、これらの複数の網点化データの中から周期性指標Mに応じた網点化データを選択することにより、網点化処理において用いる網点化データを決定してもよい。この場合、網点化データを逐次に作成する必要がなく、予め準備された複数の網点化データの中から1つの網点化データを選択するだけでよいので、処理の高速化を図ることが可能である。
【0203】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の画像処理装置によれば、シャープネス処理係数決定手段は、周期性指標およびコントラスト量に基づいて、画像における注目画素についてのシャープネス処理の程度であるシャープネス処理係数を決定し、シャープネス処理手段は、シャープネス処理係数決定手段により決定されたシャープネス処理係数に基づいて、画像における注目画素についてのシャープネス処理を行うので、シャープネス処理に伴うモアレの発生を抑制することができる。
【0204】
請求項2に記載の画像処理装置によれば、シャープネス処理係数決定手段は、更新された周期性指標と更新されたコントラスト量とに基づいて、画像編集処理が施された編集後画像における注目画素についてのシャープネス処理の程度であるシャープネス処理係数を決定し、シャープネス処理手段は、シャープネス処理係数決定手段により決定されたシャープネス処理係数に基づいて、編集後画像における注目画素についてのシャープネス処理を行うので、編集後画像についてのシャープネス処理に伴うモアレの発生を抑制することができる。
【0205】
また、請求項3に記載の画像処理装置によれば、網点化データ決定手段は、周期性指標に基づいて画像における注目画素についての網点化処理に用いる網点化データを決定し、網点化処理手段は、網点化データ決定手段により決定された網点化データに基づいて画像における注目画素についての網点化処理を行うので、網点化処理に伴い発生するモアレを抑制することができる。また、周期値に基づいて画像に関する高精細な線画パターンデータを生成する線画パターンデータ生成手段と、画像における注目画素について、線画パターンデータを挿入する挿入処理と網点化データを用いる網点化処理とのいずれを行うかを、周期性指標およびコントラスト量に基づいて決定し、当該決定に基づいて注目画素についての高精細な二値化画像を得る二値化画像取得手段と、を備えるので、モアレの発生を抑制しつつ、高コントラストで高精細な画像を得ることができる。
【0208】
請求項に記載の画像処理装置によれば、網点化データ決定手段は、更新された周期性指標と更新されたコントラスト量とに基づいて、画像編集処理が施された編集後画像における注目画素についての網点化処理に用いる網点化データを決定する網点化データを決定し、網点化処理手段は、網点化データ決定手段により決定された網点化データに基づいて、編集後画像における注目画素についての網点化処理を行うので、編集後画像についての網点化処理に伴うモアレの発生を抑制することができる。
【0209】
さらに、請求項に記載の画像処理装置によれば、ぼかし量決定手段は、周期性指標およびコントラスト量に基づいて、画像における注目画素についてのぼかし処理の程度であるぼかし量を決定し、ぼかし処理手段は、ぼかし量決定手段により決定されたぼかし量に基づいて画像における注目画素についてのぼかし処理を行い、画像編集処理手段は、ぼかし処理が施された画像に対して所定の画像編集処理を施すので、画像編集処理に伴うモアレの発生を抑制できる。
【0210】
請求項に記載の画像処理装置によれば、所定の画像編集処理は、画像の縮小処理であり、ぼかし処理手段は、ぼかし量決定手段により決定されたぼかし量に応じた空間フィルタであって、かつ、画像の縮小率に応じたサイズを有する空間フィルタを用いて、画像における注目画素についてのぼかし処理を行うので、縮小後の画像における高周波成分を予め抑制し、画像編集処理が施された画像におけるモアレの発生を抑制することができる。
【0211】
また、請求項に記載の記録媒体によれば、請求項1ないし請求項に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1の画像処理装置の機能的構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図1の画像処理装置における画像処理の処理手順の概要を示すフローチャートである。
【図4】自己相関データの算出形態の一例を示す図である。
【図5】x方向に沿った自己相関データの算出形態の一例を示す図である。
【図6】y方向に沿った自己相関データの算出形態の一例を示す図である。
【図7】処理前画像の各画素の階調値の一例およびそれから得られたx方向に沿った自己相関データを示す図である。
【図8】周期性が無いx方向に沿った自己相関データの一例を示す図である。
【図9】x方向に沿った周期値およびy方向に沿った周期値と実際の周期方向及び周期値との関係を示す図である。
【図10】コントラスト量算出の手順を示すフローチャートである。
【図11】高濃度領域の拡張または縮小について説明する図である。
【図12】図11の画像の高濃度領域が拡張された高濃度領域拡張画像を示す図である。
【図13】図11の画像の高濃度領域が縮小された高濃度領域縮小画像を示す図である。
【図14】作成された差分画像を示す図である。
【図15】バイリニア拡大を概念的に説明するための図である。
【図16】ぼかし量の決定手法を説明するための図である。
【図17】加重平均フィルタの例を示す図である。
【図18】シフトデータのシフト方向とシフト量とを示す図である。
【図19】シフト量規定値の算出に用いられるルックアップテーブルを示す図である。
【図20】図17の加重平均フィルタの係数を示す図である。
【図21】シャープネス処理係数gの決定手法を説明するための図である。
【図22】処理対象となる画像IMGの一例(エアコンの撮像画像)を示す図である。
【図23】線画パターンの拡大図である。
【図24】画像編集処理(縮小)に伴うパラメータ(コントラスト量C、周期性指標M、および周期値T)の値を変更を説明する図である。
【図25】縮小処理後の画素についてのコントラスト量C(および周期性指標M)の算出について説明する図である。
【図26】縮小処理後の画素についての周期値Tの算出について説明する図である。
【図27】モアレが発生し得る階調変換処理を実施するルックアップテーブルの一例を示す図である。
【図28】モアレが発生し得る階調変換処理を実施するルックアップテーブルの他の例を示す図である。
【図29】画像編集処理として縮小処理を行う場合の概要を示す図である。
【図30】新たな網点化データの生成動作について説明する図である。
【図31】従来の問題点を説明するための図であって、画像パターンと光電素子との位置関係を示す図である。
【図32】デジタル画像の画像パターンが4画素周期である場合の「INフェイズ状態」と「OUTフェイズ状態」とを示す図である。
【図33】図32のデジタル画像にシャープネス処理を施した場合の計算上の各画素の階調値を示す図である。
【図34】図32のデジタル画像にシャープネス処理を施した場合の各画素の最終的な階調値を示す図である。
【符号の説明】
1 画像処理装置
45 ぼかし量量決定部
55 シフト量決定部
57 シフト量生成部
65 シャープネス処理係数決定部
85 網点化データ決定部
C,CE コントラスト量
M,ME 周期性指標

Claims (7)

  1. 画像に対して処理を施す画像処理装置であって、
    画像における注目画素について、当該注目画素を含む注目領域と当該注目領域以外の周辺領域との相関特性に基づいて画像パターンの繰り返しの有無の程度を示す周期性指標を算出する周期性指標算出手段と、
    前記画像における注目画素とその周辺画素との明暗比を示す指標であるコントラスト量を算出するコントラスト量算出手段と、
    前記周期性指標および前記コントラスト量に基づいて、前記画像における注目画素についてのシャープネス処理の程度であるシャープネス処理係数を決定するシャープネス処理係数決定手段と、
    前記シャープネス処理係数決定手段により決定されたシャープネス処理係数に基づいて、前記画像における注目画素についてのシャープネス処理を行うシャープネス処理手段と、
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  2. 請求項1に記載の画像処理装置において、
    前記画像に対して画像編集処理を施す画像編集処理手段、
    をさらに備え、
    前記周期性指標算出手段は、前記画像編集処理に応じて前記周期性指標を更新し、
    前記コントラスト量算出手段は、前記画像編集処理に応じて前記コントラスト量を更新し、
    前記シャープネス処理係数決定手段は、更新された周期性指標と更新されたコントラスト量とに基づいて、前記画像編集処理が施された編集後画像における注目画素についてのシャープネス処理の程度であるシャープネス処理係数を決定し、
    前記シャープネス処理手段は、前記シャープネス処理係数決定手段により決定されたシャープネス処理係数に基づいて、前記編集後画像における注目画素についてのシャープネス処理を行うことを特徴とする画像処理装置。
  3. 画像に対して処理を施す画像処理装置であって、
    画像における注目画素について、当該注目画素を含む注目領域と当該注目領域以外の周辺領域との相関特性に基づいて画像パターンの繰り返しの有無の程度を示す周期性指標を算出する周期性指標算出手段と、
    前記周期性指標に基づいて、前記画像における注目画素についての網点化処理に用いる網点化データを決定する網点化データ決定手段と、
    前記網点化データ決定手段により決定された網点化データに基づいて、前記画像における注目画素についての網点化処理を行う網点化処理手段と、
    前記画像における注目画素とその周辺画素との明暗比を示す指標であるコントラスト量を算出するコントラスト量算出手段と、
    前記画像パターンの繰り返しの周期値を算出する周期値算出手段と、
    前記周期値に基づいて前記画像に関する高精細な線画パターンデータを生成する線画パターンデータ生成手段と、
    前記画像における注目画素について、前記線画パターンデータを挿入する挿入処理と前記網点化データを用いる網点化処理とのいずれを行うかを、前記周期性指標および前記コントラスト量に基づいて決定し、当該決定に基づいて前記画像に対応する高精細な二値化画像を得る二値化画像取得手段と、
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  4. 請求項3に記載の画像処理装置において、
    前記画像に対して画像編集処理を施す画像編集処理手段、
    をさらに備え、
    前記周期性指標算出手段は、前記画像編集処理に応じて前記周期性指標を更新し、
    前記コントラスト量算出手段は、前記画像編集処理に応じて前記コントラスト量を更新し、
    前記網点化データ決定手段は、更新された周期性指標と更新されたコントラスト量とに基づいて、前記画像編集処理が施された編集後画像における注目画素についての網点化処理に用いる網点化データを決定する網点化データを決定し、
    前記網点化処理手段は、前記網点化データ決定手段により決定された網点化データに基づいて、前記編集後画像における注目画素についての網点化処理を行うことを特徴とする画像処理装置。
  5. 画像に対して処理を施す画像処理装置であって
    画像における注目画素について、当該注目画素を含む注目領域と当該注目領域以外の周辺領域との相関特性に基づいて画像パターンの繰り返しの有無の程度を示す周期性指標を算出する周期性指標算出手段と、
    前記画像における注目画素とその周辺画素との明暗比を示す指標であるコントラスト量を算出するコントラスト量算出手段と、
    前記周期性指標および前記コントラスト量に基づいて、前記画像における注目画素についてのぼかし処理の程度であるぼかし量を決定するぼかし量決定手段と、
    前記ぼかし量決定手段により決定されたぼかし量に基づいて、前記画像における注目画素についてのぼかし処理を行うぼかし処理手段と、
    前記ぼかし処理が施された画像に対して所定の画像編集処理を施す画像編集処理手段と、
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  6. 請求項5に記載の画像処理装置において、
    前記所定の画像編集処理は、画像の縮小処理であり、
    前記ぼかし処理手段は、前記ぼかし量決定手段により決定されたぼかし量に応じた空間フィルタであって、かつ、前記画像の縮小率に応じたサイズを有する空間フィルタを用いて、前記画像における注目画素についてのぼかし処理を行うことを特徴とする画像処理装置。
  7. コンピュータを、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の画像処理装置として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
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