JP3751673B2 - スクリュ−型流体機械用の中空ロ−タ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、車両のス−パ−チャ−ジャに用いられるスクリュ−型流体機械用の中空ロ−タに関する。
【0002】
【従来の技術】
スクリュー型コンプレッサは、図3に示すように、歯すじ部153,163で互いに噛み合い可能な雄型と雌型のスクリュー形状のロータ151,161を有している。各ロータ151,161は、中心孔155,165に圧入固定したロータシャフト158,168により、コンプレッサケーシング(図示せず)内で回転させられ、軸方向一方側の吸込口から吸込んだ空気を圧縮して、軸方向他方側の吐出口から吐出する。各ロータシャフト158,168には、タイミングギヤ(図示せず)が設けられており、雄型、雌型のロータ151,161は互いに接触せずに噛み合うようになっている。
【0003】
従来のロータとしては、例えば実開昭63−198401号公報に「スクリュー流体機械の中空ロータ」が記載され、特開平5−195701号公報に「スクリューロータおよびその製造方法」が記載されている。図4は前者に用いられている雄型のロータ201を示し、図5は後者に用いられている雄型のロータ203を示している。
【0004】
車両のスーパーチャージャに用いられる、これらのスクリュー型コンプレッサは高速で回転するので、ロ−タの慣性能率が大きいと、エンジン急加速時のレスポンスが悪くなる。また、エンジンとスーパーチャージャは電磁クラッチなどで断続されるが、エンジンと連結する際の滑りを防止するためにこの電磁クラッチを大型にしなければならない。更に、慣性能率が大きいと、急な加速や減速をする際にロータ同士が互いに接触し、ロータ表面のコ−ティングが剥がれる恐れがある。
【0005】
特に、雄型ロータ201,203は噛み合い相手の雌型ロータよりも歯厚が厚く重いうえに、歯数が少なく回転数がより大きいので、その慣性能率がより問題となる。そのため、雄型ロータ201,203は歯すじ部205,207が中空にされて軽量化され、慣性能率が低減されている。これにより急加速時のレスポンスが改善され、クラッチの大型化や急加減速の際のロータの接触などが防止されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図4の雄型ロータ201は、押し出し、引き抜き、精密鋳造などで中空にした中空孔209に樹脂等を充填する構成になっており、製造コストが高いうえに、充填する樹脂の重量だけ軽量化効果と慣性能率の低減効果が低下する。また、図5の雄型ロータ203は薄板の積層構造になっており、積層した薄板211,213の接合は中空孔215にセラミックパウダを充填し、加熱炉を内蔵した圧力容器内で高温、高圧を加えて行われる。このように、積層と一体化の作業工数が大きいからコストが高いと共に、積層構造のロータ203は表面を滑らかに加工するのが難しかった。
【0007】
本発明は、特別な充填物が不要で、簡単な加工により低コスト化すると共に、中空ロ−タ本体とロ−タ軸との結合強度を確保し、かつ中空部からの圧洩れを防止できるロ−タの提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載したスクリュ−型流体機械用の中空ロ−タは、基部の外周に形成されたスクリュ−形状の歯すじ部と、消失型の中子及びこの中子を支持する幅木によって歯すじ部に形成された中空部と、基部に設けられた中心孔と、中空部から中心孔に開口した幅木用の孔とを有するロ−タ本体と、前記中心孔に圧入されると共に、幅木用の孔以外の位置で中心孔に結合するセレ−ション部及び、幅木用の孔の開口部で中心孔に嵌合し幅木用の孔を閉塞して圧洩れを防止する平滑部を有するロ−タ軸とを備えたことを特徴とする。
【0009】
このように、ロ−タ本体に設けたロ−タ軸圧入用の中心孔に幅木用の孔を開口させ、ロ−タ軸のセレ−ション部をこの幅木孔の開口部以外の位置で中心孔に結合させると共に、ロ−タ軸の平滑部で幅木孔の開口部を閉塞した。
【0010】
従って、ロ−タ本体とロ−タ軸との回転方向の位置決めを行うセレ−ション部が幅木孔に掛からないから、ロ−タ本体とロ−タ軸との結合強度低下が防止され強固な結合が得られる。また、セレ−ション部の圧入時に生じる切り粉がロ−タ本体の中空部に入り込まないから、これの除去作業が不要となる。更に、幅木孔の開口部がロ−タ軸の平滑部によって閉塞され、圧洩れが生じないから、流体機械の性能低下が防止される。
【0011】
なお、このようにロ−タ本体を中空にしたから、中空ロ−タは慣性能率が小さくなり、加速時のレスポンスが向上すると共に、ス−パ−チャ−ジャに用いられた場合エンジンとの断続をする電磁クラッチなどを小型にしても、エンジンと連結する際の滑りは生じない。更に、急速な加速や減速をする際もロ−タ同士の接触とロ−タ表面のコ−ティングの剥離とが生じない。
【0012】
請求項2に記載したスクリュ−型流体機械用の中空ロ−タは、請求項1の構成において、ロ−タ軸が、ロ−タ本体への圧入方向から順次大径になるように形成された第1の円筒部とセレ−ション部と第2の円筒部とを備えると共に、第1又は第2の円筒部が幅木用の孔を閉塞する平滑部になるものである。
【0013】
このような形状のロ−タ軸を中心孔に圧入することによって、セレ−ション部は幅木用の孔以外の位置で中心孔と強固に結合すると共に、切り粉が幅木用孔から中空部に侵入することが防止され、更に、第1または第2の円筒部によって幅木孔の開口部が閉塞され、圧洩れが防止される。
【0014】
こうして、ロ−タ軸を圧入するだけで、ロ−タ軸とロ−タ本体との強固な結合と、幅木孔の閉塞と、切り粉の侵入防止などを、一回の工程で容易に行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1により、本発明の第1実施形態を説明する。この実施形態は請求項1、2の特徴を備えており、図1はこの実施形態の中空ロ−タ1を示している。左右の方向は図1での左右の方向であり、符号を与えていない部材等は図示されていない。
【0016】
この中空ロ−タ1は車両のス−パ−チャ−ジャであるスクリュ−型コンプレッサ(流体機械)に用いられている。中空ロ−タ1は雄型のスクリュ−ロ−タであり、コンプレッサケ−シングの内部で、タイミングギヤ組を介して、雌型のスクリュ−ロ−タと互いに接触せずに噛み合いながら、エンジンの駆動力によって回転駆動され、コップレッサケ−シングの軸方向一側の吸入口から吸い込んで圧縮した吸気を軸方向他側の吐出口から吐出して、エンジンを過給する。
【0017】
図1のように、中空ロ−タ1は、ロ−タ本体3とロ−タ軸5とから構成されている。ロ−タ本体3は、アルミニウム鋳造材などによる鋳造品であり、基部7の外周にはスクリュ−形状の歯すじ部9が形成され、基部7の中心部には中心孔11が形成されている。各歯すじ部9には鋳造時に消失型の中子を用いて中空部13が形成されている。中空部13の右端には開口部15が設けられ、左端には中空部13を閉塞する閉塞部17が設けられている。閉塞部17はコップレッサケ−シングの吐出側に位置する端面である。開口部15には回転バランスをとるバランスウェ−ト部19が設けられている。
【0018】
閉塞部17側には、基部7を貫通し各中空部13と中心孔11とを連通する幅木孔21が形成されている。消失型の中子はそれぞれ開口部15とこの幅木孔21を通る幅木によって、軸方向の両端で支持される。
【0019】
ロ−タ軸5はロ−タ本体3の中心孔11に、矢印23の方向に圧入される。ロ−タ軸5には、この圧入方向に、第1の円筒部25(半径r1)とセレ−ション部27(半径r2)と第2の円筒部29(平滑部:半径r3)とが形成されており、これらは順に大径(r1<r2<r3)になっている。また、中心孔11の内径はこれらの外径に応じた内径に加工されている。
【0020】
各円筒部25、29とセレ−ション部27とを中心孔11に圧入することによりロ−タ軸5とロ−タ本体3とが結合されて一体になる。このとき、セレ−ション部25は、幅木孔21の右方で、中心孔11の内周に食い込んで、結合を更に強固にすると共に、ロ−タ軸5の回り止めをする。また、幅木孔21は第2の円筒部29によって閉塞され、密閉される。
【0021】
中空ロ−タ1は、ロ−タ軸5の両端の嵌合部31、33に嵌合したベアリングによってコンプレッサケ−シングの内部に支承される。
【0022】
中空ロ−タ1の歯すじ部9と雌型スクリュ−ロ−タの歯すじ部にはコ−ティングが施されている。
【0023】
こうして、中空ロ−タ1が構成されている。
【0024】
上記のように、中空ロ−タ1はロ−タ本体3に設けた中心孔11に幅木孔21を開口させ、ロ−タ軸5のセレ−ション部27をこの幅木孔21の開口部以外の位置で中心孔11に結合させている。
【0025】
このように、セレ−ション部27が幅木孔21に掛からないから、ロ−タ本体3とロ−タ軸5との結合強度が低下しない。また、セレ−ション部27の圧入時に生じる切り粉が中空部13に入り込むことが防止される。
【0026】
更に、ロ−タ軸5の円筒部29によって幅木孔21が閉塞されるから、ス−パ−チャ−ジャの高圧側と低圧側との間で圧洩れが発生せず、性能低下が防止される。
【0027】
これに加えて、ロ−タ軸5のセレ−ション部27を幅木孔21を避けた位置に設けると共に、円筒部25とセレ−ション部27と円筒部29とを圧入側から順次大径にすることにより、ロ−タ軸5を中心孔11に圧入するだけで、ロ−タ軸5とロ−タ本体3との強固な結合と、幅木孔21の閉塞と、中空部13への切り粉の侵入防止などを、一回の工程で、容易に行うことができる。
【0028】
なお、中空ロ−タ1はロ−タ本体3を中空構造にし慣性能率を小さくしたから、加速時のス−パ−チャ−ジャのレスポンスが向上すると共に、エンジンとの断続をする電磁クラッチを小型にしても、エンジンと連結する際の滑りは生じない。更に、慣性能率が小さいから急速な加速や減速をする際も雌型ロ−タとの接触が防止され、各ロ−タ表面のコ−ティングが剥離しない。
【0029】
次に、図2によって本発明の第2実施形態を説明する。この実施形態は請求項1、2の特徴を備えており、図2はこの実施形態の中空ロ−タ35を示している。左右の方向は図2での左右の方向であり、符号を与えていない部材等は図示されていない。
【0030】
以下、第1実施形態の中空ロ−タ1と同機能の部材には同一の符号を与えて引用しながら、中空ロ−タ1との相違点を説明する。
【0031】
図2のように、中空ロ−タ35は、ロ−タ本体3とロ−タ軸37とから構成されている。
【0032】
ロ−タ軸37はロ−タ本体3の中心孔11に、矢印39の方向に圧入される。ロ−タ軸37には、この圧入方向に、第1の円筒部41(平滑部:半径r1)とセレ−ション部43(半径r2)と第2の円筒部45(半径r3)とが形成されており、これらは順に大径(r1<r2<r3)になっている。また、中心孔11はこれらの外径に応じた内径に加工されている。
【0033】
各円筒部41、45とセレ−ション部43とを中心孔11に圧入することによりロ−タ軸37とロ−タ本体3とが結合されて一体になる。このとき、セレ−ション部43は、幅木孔21の右方で、中心孔11の内周に食い込んで、結合を更に強固にすると共に、ロ−タ軸37を回り止めする。また、幅木孔21は第1の円筒部41によって閉塞され、密閉される。
【0034】
中空ロ−タ35は、ロ−タ軸37の両端の嵌合部47、49に嵌合したベアリングによってコンプレッサケ−シングの内部に支承されている。
【0035】
こうして、中空ロ−タ35が構成されている。
【0036】
中空ロ−タ35は、上記の中空ロ−タ1と同様に、ロ−タ本体3の中心孔11に幅木孔21を開口させ、ロ−タ軸37のセレ−ション部43をこの幅木孔21の開口部以外の位置で中心孔11に結合させている。
【0037】
従って、ロ−タ本体3とロ−タ軸37との結合強度低下が防止される。また、セレ−ション部43の圧入時に生じる切り粉が中空部13に侵入することが防止される。更に、ロ−タ軸37の円筒部41によって幅木孔21が閉塞されるから、ス−パ−チャ−ジャの高圧側と低圧側との間で圧洩れが発生せず、性能低下が防止される。
【0038】
これに加えて、上記のように、ロ−タ軸37のセレ−ション部43を幅木孔21を避けた位置に設けると共に、円筒部41とセレ−ション部43と円筒部45とを圧入側から順次大径にすることにより、ロ−タ軸37を中心孔11に圧入するだけで、ロ−タ軸37とロ−タ本体3との強固な結合と、幅木孔21の閉塞と、中空部13への切り粉の侵入防止などを、一回の工程で、容易に行うことができる。
【0039】
中空ロ−タ35はロ−タ本体3を中空構造にし慣性能率を小さくしたから、加速時のレスポンスが向上すると共に、エンジンとの断続をする電磁クラッチを小型にしても、エンジンと連結する際の滑りは生じない。更に、慣性能率が小さいから急速な加速や減速をする際も雌型ロ−タとの接触が防止され、各ロ−タ表面のコ−ティングが剥離しない。
【0040】
なお、本発明の中空ロ−タを用いる流体機械は、各実施例のようにコンプレッサとして作動させる他に、加圧された流体を与えてロ−タから回転を取り出すと共に、流体を冷却する膨張機として用いてもよい。
【0041】
【発明の効果】
請求項1に記載したスクリュ−型流体機械用の中空ロ−タは、上記のように、セレ−ション部が幅木孔に掛からないから、ロ−タ本体とロ−タ軸との結合強度低下が防止されて強固な結合が得られると共に、セレ−ション部の圧入時に生じる切り粉がロ−タ本体の中空部に入り込むことが防止される。また、幅木孔の開口部がロ−タ軸の平滑部によって閉塞されるから、圧洩れによる流体機械の性能低下が防止される。
【0042】
請求項2に記載したスクリュ−型流体機械用の中空ロ−タは、ロ−タ軸のセレ−ション部を幅木孔を避けた位置に設けると共に、第1の円筒部とセレ−ション部と第2の円筒部とを圧入側から順次大径にすることにより、ロ−タ軸を中心孔に圧入するだけで、ロ−タ軸とロ−タ本体との強固な結合と、幅木孔の閉塞と、中空部への切り粉の侵入防止などを、一回の工程で容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態を示す断面図である。
【図3】一般のスクリュ−型コンプレッサにおけるロータの噛み合い構造を示す斜視図である。
【図4】従来のロータの端面図である。
【図5】従来の他のロータの側面図である。
【符号の説明】
1、35 中空ロ−タ
3 ロ−タ本体
5、37 ロ−タ軸
7 基部
9 スクリュ−形状の歯すじ部
11 中心孔
13 中空部
15 開口部
17 閉塞部
21 幅木孔
25 第1の円筒部
27、43 セレ−ション部
29 第2の円筒部(平滑部)
41 第1の円筒部(平滑部)
45 第2の円筒部
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、車両のス−パ−チャ−ジャに用いられるスクリュ−型流体機械用の中空ロ−タに関する。
【0002】
【従来の技術】
スクリュー型コンプレッサは、図3に示すように、歯すじ部153,163で互いに噛み合い可能な雄型と雌型のスクリュー形状のロータ151,161を有している。各ロータ151,161は、中心孔155,165に圧入固定したロータシャフト158,168により、コンプレッサケーシング(図示せず)内で回転させられ、軸方向一方側の吸込口から吸込んだ空気を圧縮して、軸方向他方側の吐出口から吐出する。各ロータシャフト158,168には、タイミングギヤ(図示せず)が設けられており、雄型、雌型のロータ151,161は互いに接触せずに噛み合うようになっている。
【0003】
従来のロータとしては、例えば実開昭63−198401号公報に「スクリュー流体機械の中空ロータ」が記載され、特開平5−195701号公報に「スクリューロータおよびその製造方法」が記載されている。図4は前者に用いられている雄型のロータ201を示し、図5は後者に用いられている雄型のロータ203を示している。
【0004】
車両のスーパーチャージャに用いられる、これらのスクリュー型コンプレッサは高速で回転するので、ロ−タの慣性能率が大きいと、エンジン急加速時のレスポンスが悪くなる。また、エンジンとスーパーチャージャは電磁クラッチなどで断続されるが、エンジンと連結する際の滑りを防止するためにこの電磁クラッチを大型にしなければならない。更に、慣性能率が大きいと、急な加速や減速をする際にロータ同士が互いに接触し、ロータ表面のコ−ティングが剥がれる恐れがある。
【0005】
特に、雄型ロータ201,203は噛み合い相手の雌型ロータよりも歯厚が厚く重いうえに、歯数が少なく回転数がより大きいので、その慣性能率がより問題となる。そのため、雄型ロータ201,203は歯すじ部205,207が中空にされて軽量化され、慣性能率が低減されている。これにより急加速時のレスポンスが改善され、クラッチの大型化や急加減速の際のロータの接触などが防止されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図4の雄型ロータ201は、押し出し、引き抜き、精密鋳造などで中空にした中空孔209に樹脂等を充填する構成になっており、製造コストが高いうえに、充填する樹脂の重量だけ軽量化効果と慣性能率の低減効果が低下する。また、図5の雄型ロータ203は薄板の積層構造になっており、積層した薄板211,213の接合は中空孔215にセラミックパウダを充填し、加熱炉を内蔵した圧力容器内で高温、高圧を加えて行われる。このように、積層と一体化の作業工数が大きいからコストが高いと共に、積層構造のロータ203は表面を滑らかに加工するのが難しかった。
【0007】
本発明は、特別な充填物が不要で、簡単な加工により低コスト化すると共に、中空ロ−タ本体とロ−タ軸との結合強度を確保し、かつ中空部からの圧洩れを防止できるロ−タの提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載したスクリュ−型流体機械用の中空ロ−タは、基部の外周に形成されたスクリュ−形状の歯すじ部と、消失型の中子及びこの中子を支持する幅木によって歯すじ部に形成された中空部と、基部に設けられた中心孔と、中空部から中心孔に開口した幅木用の孔とを有するロ−タ本体と、前記中心孔に圧入されると共に、幅木用の孔以外の位置で中心孔に結合するセレ−ション部及び、幅木用の孔の開口部で中心孔に嵌合し幅木用の孔を閉塞して圧洩れを防止する平滑部を有するロ−タ軸とを備えたことを特徴とする。
【0009】
このように、ロ−タ本体に設けたロ−タ軸圧入用の中心孔に幅木用の孔を開口させ、ロ−タ軸のセレ−ション部をこの幅木孔の開口部以外の位置で中心孔に結合させると共に、ロ−タ軸の平滑部で幅木孔の開口部を閉塞した。
【0010】
従って、ロ−タ本体とロ−タ軸との回転方向の位置決めを行うセレ−ション部が幅木孔に掛からないから、ロ−タ本体とロ−タ軸との結合強度低下が防止され強固な結合が得られる。また、セレ−ション部の圧入時に生じる切り粉がロ−タ本体の中空部に入り込まないから、これの除去作業が不要となる。更に、幅木孔の開口部がロ−タ軸の平滑部によって閉塞され、圧洩れが生じないから、流体機械の性能低下が防止される。
【0011】
なお、このようにロ−タ本体を中空にしたから、中空ロ−タは慣性能率が小さくなり、加速時のレスポンスが向上すると共に、ス−パ−チャ−ジャに用いられた場合エンジンとの断続をする電磁クラッチなどを小型にしても、エンジンと連結する際の滑りは生じない。更に、急速な加速や減速をする際もロ−タ同士の接触とロ−タ表面のコ−ティングの剥離とが生じない。
【0012】
請求項2に記載したスクリュ−型流体機械用の中空ロ−タは、請求項1の構成において、ロ−タ軸が、ロ−タ本体への圧入方向から順次大径になるように形成された第1の円筒部とセレ−ション部と第2の円筒部とを備えると共に、第1又は第2の円筒部が幅木用の孔を閉塞する平滑部になるものである。
【0013】
このような形状のロ−タ軸を中心孔に圧入することによって、セレ−ション部は幅木用の孔以外の位置で中心孔と強固に結合すると共に、切り粉が幅木用孔から中空部に侵入することが防止され、更に、第1または第2の円筒部によって幅木孔の開口部が閉塞され、圧洩れが防止される。
【0014】
こうして、ロ−タ軸を圧入するだけで、ロ−タ軸とロ−タ本体との強固な結合と、幅木孔の閉塞と、切り粉の侵入防止などを、一回の工程で容易に行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1により、本発明の第1実施形態を説明する。この実施形態は請求項1、2の特徴を備えており、図1はこの実施形態の中空ロ−タ1を示している。左右の方向は図1での左右の方向であり、符号を与えていない部材等は図示されていない。
【0016】
この中空ロ−タ1は車両のス−パ−チャ−ジャであるスクリュ−型コンプレッサ(流体機械)に用いられている。中空ロ−タ1は雄型のスクリュ−ロ−タであり、コンプレッサケ−シングの内部で、タイミングギヤ組を介して、雌型のスクリュ−ロ−タと互いに接触せずに噛み合いながら、エンジンの駆動力によって回転駆動され、コップレッサケ−シングの軸方向一側の吸入口から吸い込んで圧縮した吸気を軸方向他側の吐出口から吐出して、エンジンを過給する。
【0017】
図1のように、中空ロ−タ1は、ロ−タ本体3とロ−タ軸5とから構成されている。ロ−タ本体3は、アルミニウム鋳造材などによる鋳造品であり、基部7の外周にはスクリュ−形状の歯すじ部9が形成され、基部7の中心部には中心孔11が形成されている。各歯すじ部9には鋳造時に消失型の中子を用いて中空部13が形成されている。中空部13の右端には開口部15が設けられ、左端には中空部13を閉塞する閉塞部17が設けられている。閉塞部17はコップレッサケ−シングの吐出側に位置する端面である。開口部15には回転バランスをとるバランスウェ−ト部19が設けられている。
【0018】
閉塞部17側には、基部7を貫通し各中空部13と中心孔11とを連通する幅木孔21が形成されている。消失型の中子はそれぞれ開口部15とこの幅木孔21を通る幅木によって、軸方向の両端で支持される。
【0019】
ロ−タ軸5はロ−タ本体3の中心孔11に、矢印23の方向に圧入される。ロ−タ軸5には、この圧入方向に、第1の円筒部25(半径r1)とセレ−ション部27(半径r2)と第2の円筒部29(平滑部:半径r3)とが形成されており、これらは順に大径(r1<r2<r3)になっている。また、中心孔11の内径はこれらの外径に応じた内径に加工されている。
【0020】
各円筒部25、29とセレ−ション部27とを中心孔11に圧入することによりロ−タ軸5とロ−タ本体3とが結合されて一体になる。このとき、セレ−ション部25は、幅木孔21の右方で、中心孔11の内周に食い込んで、結合を更に強固にすると共に、ロ−タ軸5の回り止めをする。また、幅木孔21は第2の円筒部29によって閉塞され、密閉される。
【0021】
中空ロ−タ1は、ロ−タ軸5の両端の嵌合部31、33に嵌合したベアリングによってコンプレッサケ−シングの内部に支承される。
【0022】
中空ロ−タ1の歯すじ部9と雌型スクリュ−ロ−タの歯すじ部にはコ−ティングが施されている。
【0023】
こうして、中空ロ−タ1が構成されている。
【0024】
上記のように、中空ロ−タ1はロ−タ本体3に設けた中心孔11に幅木孔21を開口させ、ロ−タ軸5のセレ−ション部27をこの幅木孔21の開口部以外の位置で中心孔11に結合させている。
【0025】
このように、セレ−ション部27が幅木孔21に掛からないから、ロ−タ本体3とロ−タ軸5との結合強度が低下しない。また、セレ−ション部27の圧入時に生じる切り粉が中空部13に入り込むことが防止される。
【0026】
更に、ロ−タ軸5の円筒部29によって幅木孔21が閉塞されるから、ス−パ−チャ−ジャの高圧側と低圧側との間で圧洩れが発生せず、性能低下が防止される。
【0027】
これに加えて、ロ−タ軸5のセレ−ション部27を幅木孔21を避けた位置に設けると共に、円筒部25とセレ−ション部27と円筒部29とを圧入側から順次大径にすることにより、ロ−タ軸5を中心孔11に圧入するだけで、ロ−タ軸5とロ−タ本体3との強固な結合と、幅木孔21の閉塞と、中空部13への切り粉の侵入防止などを、一回の工程で、容易に行うことができる。
【0028】
なお、中空ロ−タ1はロ−タ本体3を中空構造にし慣性能率を小さくしたから、加速時のス−パ−チャ−ジャのレスポンスが向上すると共に、エンジンとの断続をする電磁クラッチを小型にしても、エンジンと連結する際の滑りは生じない。更に、慣性能率が小さいから急速な加速や減速をする際も雌型ロ−タとの接触が防止され、各ロ−タ表面のコ−ティングが剥離しない。
【0029】
次に、図2によって本発明の第2実施形態を説明する。この実施形態は請求項1、2の特徴を備えており、図2はこの実施形態の中空ロ−タ35を示している。左右の方向は図2での左右の方向であり、符号を与えていない部材等は図示されていない。
【0030】
以下、第1実施形態の中空ロ−タ1と同機能の部材には同一の符号を与えて引用しながら、中空ロ−タ1との相違点を説明する。
【0031】
図2のように、中空ロ−タ35は、ロ−タ本体3とロ−タ軸37とから構成されている。
【0032】
ロ−タ軸37はロ−タ本体3の中心孔11に、矢印39の方向に圧入される。ロ−タ軸37には、この圧入方向に、第1の円筒部41(平滑部:半径r1)とセレ−ション部43(半径r2)と第2の円筒部45(半径r3)とが形成されており、これらは順に大径(r1<r2<r3)になっている。また、中心孔11はこれらの外径に応じた内径に加工されている。
【0033】
各円筒部41、45とセレ−ション部43とを中心孔11に圧入することによりロ−タ軸37とロ−タ本体3とが結合されて一体になる。このとき、セレ−ション部43は、幅木孔21の右方で、中心孔11の内周に食い込んで、結合を更に強固にすると共に、ロ−タ軸37を回り止めする。また、幅木孔21は第1の円筒部41によって閉塞され、密閉される。
【0034】
中空ロ−タ35は、ロ−タ軸37の両端の嵌合部47、49に嵌合したベアリングによってコンプレッサケ−シングの内部に支承されている。
【0035】
こうして、中空ロ−タ35が構成されている。
【0036】
中空ロ−タ35は、上記の中空ロ−タ1と同様に、ロ−タ本体3の中心孔11に幅木孔21を開口させ、ロ−タ軸37のセレ−ション部43をこの幅木孔21の開口部以外の位置で中心孔11に結合させている。
【0037】
従って、ロ−タ本体3とロ−タ軸37との結合強度低下が防止される。また、セレ−ション部43の圧入時に生じる切り粉が中空部13に侵入することが防止される。更に、ロ−タ軸37の円筒部41によって幅木孔21が閉塞されるから、ス−パ−チャ−ジャの高圧側と低圧側との間で圧洩れが発生せず、性能低下が防止される。
【0038】
これに加えて、上記のように、ロ−タ軸37のセレ−ション部43を幅木孔21を避けた位置に設けると共に、円筒部41とセレ−ション部43と円筒部45とを圧入側から順次大径にすることにより、ロ−タ軸37を中心孔11に圧入するだけで、ロ−タ軸37とロ−タ本体3との強固な結合と、幅木孔21の閉塞と、中空部13への切り粉の侵入防止などを、一回の工程で、容易に行うことができる。
【0039】
中空ロ−タ35はロ−タ本体3を中空構造にし慣性能率を小さくしたから、加速時のレスポンスが向上すると共に、エンジンとの断続をする電磁クラッチを小型にしても、エンジンと連結する際の滑りは生じない。更に、慣性能率が小さいから急速な加速や減速をする際も雌型ロ−タとの接触が防止され、各ロ−タ表面のコ−ティングが剥離しない。
【0040】
なお、本発明の中空ロ−タを用いる流体機械は、各実施例のようにコンプレッサとして作動させる他に、加圧された流体を与えてロ−タから回転を取り出すと共に、流体を冷却する膨張機として用いてもよい。
【0041】
【発明の効果】
請求項1に記載したスクリュ−型流体機械用の中空ロ−タは、上記のように、セレ−ション部が幅木孔に掛からないから、ロ−タ本体とロ−タ軸との結合強度低下が防止されて強固な結合が得られると共に、セレ−ション部の圧入時に生じる切り粉がロ−タ本体の中空部に入り込むことが防止される。また、幅木孔の開口部がロ−タ軸の平滑部によって閉塞されるから、圧洩れによる流体機械の性能低下が防止される。
【0042】
請求項2に記載したスクリュ−型流体機械用の中空ロ−タは、ロ−タ軸のセレ−ション部を幅木孔を避けた位置に設けると共に、第1の円筒部とセレ−ション部と第2の円筒部とを圧入側から順次大径にすることにより、ロ−タ軸を中心孔に圧入するだけで、ロ−タ軸とロ−タ本体との強固な結合と、幅木孔の閉塞と、中空部への切り粉の侵入防止などを、一回の工程で容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態を示す断面図である。
【図3】一般のスクリュ−型コンプレッサにおけるロータの噛み合い構造を示す斜視図である。
【図4】従来のロータの端面図である。
【図5】従来の他のロータの側面図である。
【符号の説明】
1、35 中空ロ−タ
3 ロ−タ本体
5、37 ロ−タ軸
7 基部
9 スクリュ−形状の歯すじ部
11 中心孔
13 中空部
15 開口部
17 閉塞部
21 幅木孔
25 第1の円筒部
27、43 セレ−ション部
29 第2の円筒部(平滑部)
41 第1の円筒部(平滑部)
45 第2の円筒部
Claims (2)
- 基部の外周に形成されたスクリュ−形状の歯すじ部と、消失型の中子及びこの中子を支持する幅木によって歯すじ部に形成された中空部と、基部に設けられた中心孔と、中空部から中心孔に開口した幅木用の孔とを有するロ−タ本体と、前記中心孔に圧入されると共に、幅木用の孔以外の位置で中心孔に結合するセレ−ション部及び、幅木用の孔の開口部で中心孔に嵌合し幅木用の孔を閉塞して圧洩れを防止する平滑部を有するロ−タ軸とを備えたことを特徴とするスクリュ−型流体機械用の中空ロ−タ。
- ロ−タ軸が、ロ−タ本体への圧入方向から順次大径になるように形成された第1の円筒部とセレ−ション部と第2の円筒部とを備えると共に、第1又は第2の円筒部が幅木用の孔を閉塞する平滑部になる請求項1のスクリュ−型流体機械用の中空ロ−タ。
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JP5108809B2 (ja) * | 2009-02-26 | 2012-12-26 | 株式会社日立産機システム | スクリューロータの製造方法及びスクリューロータ |
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- 1996-01-17 JP JP00595996A patent/JP3751673B2/ja not_active Expired - Fee Related
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