JP3751418B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電動パワーステアリング装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ステアリングハンドルの操舵力を軽減して快適な操舵感を与えるために、電動パワーステアリング装置が多用されてきた。この種の電動パワーステアリング装置は、電動機で操舵トルクに応じた補助トルクを発生し、この補助トルクを摩擦係合式双方向クラッチを介してステアリング系に伝達するものであって、例えば特開平1−218973号「電動パワーステアリング装置」の技術がある。
この技術は、その公報の第2図によれば、電動モータ24(番号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)にギヤ機構を介して連結した円筒状のアウタースリーブ23と、操舵輪に連結した6角部12b付き出力軸12とを、摩擦係合式双方向クラッチを介して連結したものである。すなわち、電動モータ24からなるアシスト系とステアリング系とを摩擦係合式双方向クラッチで連結した。
【0003】
また、公報の第3a図及び第3b図によれば、同一円上に配置された複数組の摩擦係合式双方向クラッチ機構は、アウタースリーブ23の内面と6角部12bの外面との間にコロ22・・・を介在したものであり、これらのコロ22・・・は入力軸11の大径部11bの移動に伴って、アウタースリーブ23と6角部12bとを係合・非係合に選択的に切換える(クラッチを係合・解除する)ものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
公報の第5図によれば、操舵トルクTが一定値T以下の場合に、摩擦係合式双方向クラッチ機構が解除になり、上記アシスト系をステアリング系から分離する構造である。摩擦係合式双方向クラッチ機構が解除された状態は、クラッチの中立状態である。操舵トルクがT以下の場合には、電動モータ24の慣性や摩擦抵抗の影響がないので、ステアリングハンドルは良好な操舵感覚が得られる。しかし、ステアリングハンドルから手を離している状態では、アシスト系からステアリング系へ補助トルクを伝達することはない。
【0005】
ところで、近年、クラッチの中立状態であっても、ステアリング系をより積極的に制御する要求が高まってきた。例えば、クラッチの中立状態で、ステアリング系を自動操舵制御できるようにしたい。
そこで本発明の目的は、(1)クラッチの中立状態であっても、ステアリング系を積極的に駆動制御することができ、しかも、(2)上記従来の技術と同様に操舵力が小さな領域においては、良好な操舵感覚(操舵フィーリング)を得ることができる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、電動機で操舵トルクに応じた補助トルクを発生し、この補助トルクを摩擦係合式双方向クラッチ機構を介してステアリング系に伝達するものであって、
摩擦係合式双方向クラッチ機構を、電動機に連結した入力部材と、この入力部材に対して同軸上に配列しステアリング系に連結した出力部材と、入力部材の内周面と出力部材の外周面との間に形成したテーパ状空間部と、このテーパ状空間部に介在させた係合部材と、この係合部材をテーパ状空間部のテーパ方向に付勢する付勢部材と、係合部材の位置決めをなすためにステアリングハンドルに連結した位置制御部材とで構成し、この位置制御部材の回動に伴ってテーパ状空間部の摩擦係合面にくさび作用により係合又は非係合する係合部材で、入力・出力部材を係合・非係合状態に切換える形式の電動パワーステアリング装置において、
摩擦係合式双方向クラッチ機構の位置制御部材を、クラッチの中立状態では、係合部材から離れた位置に配置することで、中立状態の入力・出力部材を係合状態にする構成としたことを特徴とする。
【0007】
クラッチの中立状態では、位置制御部材は係合部材から離れた位置にある。すべての係合部材は、付勢部材で押されてテーパ状空間部の摩擦係合面に係合し、入力・出力部材を係合状態にする。
このような中立状態から、ステアリングハンドルで出力部材を回して摩擦係合式双方向クラッチ機構を解除するための操舵トルクは、係合部材を外すだけの小さいトルクである。このとき、電動機は停止しており、摩擦係合式双方向クラッチ機構は係合しているので、ステアリングハンドルには電動機の慣性や摩擦抵抗の影響による反力を受ける。しかし、その影響の最大値はクラッチ解除のための操舵トルク以上にはならない。従って、電動機の慣性や摩擦抵抗の影響は、クラッチを介在しない電動機直結方式と比べて極めて小さい。この結果、ステアリングハンドルの操舵力が小さな領域において良好な操舵感覚(操舵フィーリング)を得ることができる。
また、摩擦係合式双方向クラッチ機構は中立状態であっても、電動機の駆動トルク(補助トルク)をステアリング系に伝達することができる。従って、クラッチの中立状態でステアリング系を自動操舵制御するなど、より積極的に操舵制御することができる。
【0008】
さらに請求項記載の発明は、摩擦係合式双方向クラッチ機構を同一円上に配置された複数組とし、これら複数組の摩擦係合式双方向クラッチ機構の内の少なくとも1組を、他のクラッチ機構よりも早いタイミングで非係合状態になる早期解除クラッチとしたことを特徴とする。
【0009】
1組のクラッチ機構だけを早いタイミングで解除すると、他のクラッチ機構は力のバランスが崩れて解除の方向に合力が作用するので摩擦力が低下し、小さな解除力で解除になる。従って、一度に全てのクラッチ機構を解除するよりも小さな解除力で、確実に解除することができる。
【0010】
さらに請求項記載の発明は、ステアリング系に出力軸を設け、この出力軸に出力部材を径方向移動可能に取付けたことを特徴とする。
【0011】
出力軸に出力部材を径方向移動可能に取付けたので、出力部材に係合している複数の係合部材の一部が外れると、係合部材で出力部材を押す力のバランスが崩れる。バランスが崩れると、出力部材は他の係合部材で一方に押されて、径方向に移動する。この結果、出力部材と他の係合部材との摩擦力は低下して、より一層安定して係合が外れる。このように、一部のクラッチ機構が解除になると、他のクラッチ機構もより一層安定して解除になるので、電動機が何等かの理由で回転したような時でも、一度にすべてのクラッチ機構を解除するよりも小さな解除力で、確実に解除することができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、摩擦係合式双方向クラッチ機構とステアリング系との間に減速機構を介在することにより、電動機の補助トルクを摩擦係合式双方向クラッチ機構、減速機構、ステアリング系の順に伝達するようにしたことを特徴とする。
【0013】
減速機構の後に摩擦係合式双方向クラッチ機構を連結した場合と比べて、摩擦係合式双方向クラッチ機構に伝達する補助トルクは、減速機構の減速比に反比例した極めて小さいトルクですむ。補助トルクが小さいのでクラッチの伝達容量を小さくすることができ、この結果、摩擦係合式双方向クラッチ機構を小型で軽量にすることができる。
【0014】
請求項記載の発明は、出力部材を出力軸へ押圧する弾性部材を備えることにより、出力軸に対して出力部材に移動方向への予圧を付与したことを特徴とする。
【0015】
径方向移動した出力部材を、すべてのクラッチ機構が解除した後に、弾性部材の弾発力で元の中立位置に自動復帰させることができる。このため、クラッチ機構を何度でも小さな解除力で、しかも、確実に解除できるので、クラッチ機能の安定化を図ることができ、商品性が高まる。
【0016】
請求項記載の発明は、出力部材の径方向移動に伴って、テーパ状空間部における係合部材の位置が変わっても、係合部材の当接部におけるくさび角がほぼ一定となるように、摩擦係合面にテーパ角補正部を形成したことを特徴とする。
【0017】
何等かの理由で、入力部材に対し出力部材が偏心し、この偏心に伴ってテーパ状空間部における係合部材の位置が変わっても、テーパ角補正部は、摩擦係合面と係合部材との間のくさび角がほぼ一定となるように補正する。この結果、出力部材の偏心に伴って、テーパ状空間部における係合部材の位置が変わっても、くさび角はほぼ一定であり、くさび作用も変わらない。このため、テーパ状空間部から係合部材を解除するための解除力は増すことがなく、常に適正な解除力を維持できる。
【0018】
請求項記載の発明は、テーパ状空間部の一部を拡げて、非係合時に係合部材を摩擦係合面から分離できるようにしたことを特徴とする。
【0019】
テーパ状空間部の一部を拡げたので、この拡げた部分と非係合時の係合部材との間の隙間は大きい。このため、非係合時の係合部材を摩擦係合面から確実に分離することができるので、出力部材の径方向移動量を大きくすることができ、この結果、クラッチ機構を確実に解除することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図であり、電動パワーステアリング装置1は、ステアリングハンドル2で発生したステアリング系の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段3と、この操舵トルク検出手段3の検出信号に基づいて制御信号を発生する制御手段4と、この制御手段4の制御信号に基づいて操舵トルクに応じた補助トルクを発生する電動機5と、この電動機5の補助トルクをステアリング系に伝達するトルク伝達手段6並びに機械式クラッチ40とからなり、ピニオン7、ラック8aを介して車輪(操舵輪)9,9を転舵するものである。
【0021】
図2は本発明に係る制御手段の構成図であり、制御手段4は、操舵トルク検出手段3からの信号Tsに基づき電動機5が発生すべき目標補助トルクTaを決定する目標補助トルク決定手段4aと、目標補助トルク決定手段4aからの信号Taに基づき電動機5を駆動する制御信号を発生する制御信号発生手段4bと、制御信号発生手段4bの信号に基づいて電動機5を駆動するための電動機駆動部4cとからなる。
【0022】
図3は本発明に係る電動パワーステアリング装置の要部拡大断面図であり、電動パワーステアリング装置1は、上記ステアリングハンドル2(図1参照)に連結した管状の入力軸11と、この入力軸11内に挿通し且つ入力軸11に上部をピン12で結合したトーションバー(弾性部材)13と、このトーションバー13の下部にピン14で結合し下部に上記ピニオン7を刻設した出力軸15とで、主たるステアリング系を構成したものである。
トーションバー13は、文字通りトルクに対して正確にねじれ角が発生するメンバーであって、入力軸11と出力軸15との間での相対ねじり変位を発生する。
【0023】
操舵トルク検出手段3は、入・出力軸11,15間の相対ねじれ角を検出することにより、ステアリング系の操舵トルクを検出するものであり、本実施の形態ではポテンショメータを用いた。ポテンショメータは、図示せぬ抵抗素子及び抵抗素子に沿って移動する摺動接点を内蔵した検出本体部21と、この検出本体部21内の摺動接点を作動するべく回転可能な棒状の作動子22と、この作動子22を回転方向の一方に付勢するねじりばね23とからなる。ポテンショメータは、入力軸11の下部外周面に検出本体部21をボルト止めし、出力軸15の上部外周面の係合溝15aに作動子22の先端部を掛けて使用するものである。作動子22は、ねじりばね23にて係合溝15aの一方の側壁に常に押し付けられるので、回転方向への遊びがない。
検出本体部21は電気ケーブル24を備え、この電気ケーブル24は、入力軸11側のケーブルリール25に複数巻回した(例えば、3巻き程度)後、ハウジング26側のコネクタ27に接続したものである。
【0024】
後述するトルク伝達手段6のホイール32は、ブッシュ33を介して出力軸15の上部に回転自在に支承した厚肉の円筒部材であり、この円筒部材に、ギヤ部32aと入力部材32bとを軸方向に下から順に形成したものである。
機械式クラッチ40は、入力部材32bの内部に配置したものであり、その断面構成は図6にて詳述する。
なお、ラック8aは、この図の表裏方向に延びたラック軸8に刻設したものである。また、入力軸11とトーションバー13と出力軸15とは同軸上にある。
図中、36,37,38は軸受、39はダストカバーである。
【0025】
図4は図3の4−4線断面図であり、トルク伝達手段6の断面構造を示す。
トルク伝達手段6は、電動機5の電動軸(電動機の出力軸)5aに結合したウォーム31と、出力軸15に回転自在に支承したホイール32とからなるウォームギヤ減速機構である。これにより、図3に示す入力部材32bは電動機5に連結した状態にある。
従って、図3においてステアリング系(入力軸11→トーションバー13→出力軸15)の操舵トルクに、電動機5からの補助トルクを付加した複合トルクで、ピニオン7を介してラック8aを駆動する。
なお、電動機5はハウジング26にボルト止めした。
【0026】
図5は本発明に係る電動パワーステアリング装置の要部分解斜視図である。
入力軸11は下端に、機械式クラッチ40の一構成部品である環状の位置制御手段63をセレーション嵌合し、この位置制御手段63は、下方に延びる3つの位置制御部材64・・・(・・・は複数を示す。以下同じ。)を一体に形成したものである。このため、位置制御部材64・・・は入力軸11を介して、図1に示すステアリングハンドル2に連結したことになる。
出力軸15は基部上端に出力部材34を連結したものであり、この出力部材34は入力部材32bに対して同軸上に配列した部材である。
【0027】
図6は図3の6−6線断面図であり、機械式クラッチ40の断面構成を示す。なお、ハウジング26は省略した。
機械式クラッチ40は、上記電動機5(図3参照)の補助トルクの作用方向がステアリング系の操舵方向と一致した場合のみ、電動機5の補助トルクをステアリング系に伝達する複数組の摩擦係合式クラッチ機構の集合体である。
詳しくは、機械式クラッチ40は、入力部材32bの矢印X方向(図反時計回り方向)に係合する3組の第1クラッチ機構41・・・と、逆廻り方向に係合する3組の第2クラッチ機構51・・・とを、同一円上に交互に並べたものであり、これら第1・第2クラッチ機構41・・・,51・・・は摩擦係合式クラッチ機構からなるワンウエイクラッチである。
互いに隣接する第1クラッチ機構41と第2クラッチ機構51の組合せは、1組の摩擦係合式双方向クラッチ機構の構成となり、合計3組の摩擦係合式双方向クラッチ機構がある。
【0028】
更に詳しくは、第1・第2クラッチ機構41・・・,51・・・は、上記入力・出力部材32b,34間に形成したテーパ状空間部61・・・と、これらのテーパ状空間部61・・・に介在して入力部材32bと出力部材34とを係合する円柱状の係合部材62・・・と、これらの係合部材62・・・の位置決めをなすための位置制御部材64・・・と、これらの位置制御部材64・・・に向って係合部材62・・・を付勢する(テーパ状空間部61・・・のテーパ方向に係合部材62・・・を付勢する)付勢部材としての圧縮ばね65・・・とからなる。
【0029】
出力部材34は、概ねおむすび形断面形状(角部を切り落とした正三角形断面の3つの辺を円弧状とした形状)を呈する。
テーパ状空間部61・・・は、入力部材32bの円形内周面と出力部材34の多角形外周面との間に形成した、周方向端部がテーパ形状を呈する空間部である。
位置制御部材64・・・は、互いに離間しつつ、入力部材32bと出力部材34との間の同一円上に等ピッチで、回動可能に配置された部材である。
このような構成の機械式クラッチ40は、位置制御部材64・・・の移動(回転)に伴って、テーパ状空間部61・・・の摩擦係合面にくさび作用により係合又は非係合する係合部材62・・・で、入力部材32bと出力部材34とを係合・非係合に選択的に切換えて、電動機5からの補助トルクを出力軸15に伝達するものである。
【0030】
ところで、第1・第2クラッチ機構41・・・,51・・・のうち、特定の各1組(以下、「特定第1・第2クラッチ機構41A,51A」と称する。)は、他の組よりも早いタイミングで非係合状態になる早期解除クラッチである。
具体的には、位置制御部材64・・・は、同一円上に等ピッチで配置するが、特定第1・第2クラッチ機構41A,51A側の爪が他のクラッチ機構41・・・,51・・・側の爪よりも長い(L>L)。
【0031】
詳しくは、位置制御部材64・・・は、それらの各中心O〜Oを断面略正三角形である出力部材34の各角部に合致させたものである。そして、2つの位置制御部材64・・・(特定位置制御部材64A,64A)は、中心O,Oから互いに向い合った方の部分(「長爪」と称する。)の円弧長Lが他方の部分(「短爪」と称する。)の円弧長Lよりも大きい。長爪は特定第1・第2クラッチ機構41A,51Aの係合部材62・・・の位置決めをなす。他の1つの位置制御部材64は、中心Oから左右両方の円弧長が等しいL,Lであり、前記短爪の円弧長と同一である。
【0032】
そして、すべての位置制御部材64・・・は、第1・第2クラッチ機構41・・・,51・・・の中立状態では、係合部材62・・・から離れた位置に配置することで、中立状態の入力・出力部材32b,34間を係合状態にする構成としたものである。詳しくは、この図に示すクラッチ中立状態では、すべての位置制御部材64・・・の端が係合部材62・・・から離れるように、円弧長L,Lを設定した。
【0033】
また、上記出力部材34は、入力部材32bに対し相対的に径方向に移動可能に取付けたものである。具体的には、出力部材34を出力軸15に径方向移動可能に取付けたものであり、さらに具体的には、出力部材34を、特定第1クラッチ機構41Aと特定第2クラッチ機構51Aとの中間位置(特定位置制御部材64A,64A間の中間位置)に向って移動可能とした。
【0034】
詳しくは、出力部材34に長円若しくは楕円の貫通孔34aを開け、この貫通孔34aに円形の出力軸15を嵌合し、且つ、貫通孔34aの長手軸上にピン14を通し、このピン14に弾性部材(圧縮ばね等)35を介設して、この弾性部材35で出力部材34の貫通孔34aを出力軸15に相対的に押圧する構成にした。
すなわち、出力軸15の外周面と貫通孔34aの長手軸方向の面との間に弾性部材35を介在し、この弾性部材35の弾性方向を出力部材34の移動方向(貫通孔34aの長手軸方向)に合致させ、出力部材34を出力軸15へ押圧する構成にした。これにより、出力軸15に対して出力部材34に移動方向への予圧を付与することができる。
【0035】
さらに、1組のクラッチ機構(特定第1クラッチ機構41A及び特定第2クラッチ機構51A)のテーパ状空間部61・・・の一部を拡げて、非係合時に係合部材62・・・を摩擦係合面から分離できるようにした。
詳しくは、出力部材34の多角形外周面のうちの、係合面34bの一部に逃げ凹部34cを形成し、特定第1・特定第2クラッチ機構41A,51Aの係合部材62,62を摩擦係合面から分離できるようにした。
【0036】
さらにまた、1組のクラッチ機構(特定第1クラッチ機構41A又は特定第2クラッチ機構51A)のみ解除した際に、出力部材34を径方向移動自在となすべく、他のクラッチ機構41・・・,51・・・の係合部材62・・・と係合する出力部材34の多角形外周面を抜け勾配とした。すなわち、出力部材34が径方向へ移動するときに、多角形外周面が係合部材62・・・から離れ易い形状とした。
このため、1組を解除した場合に、出力部材34は何等規制されることなく径方向に移動できる。従って、1組のクラッチ機構を解除するだけで、他のクラッチ機構をも確実に解除できる。
【0037】
図7は図6の7部詳細図であり、特定第1クラッチ機構41Aのテーパ状空間部61の摩擦係合面を拡大した図である。
なお、第1・第2クラッチ機構41・・・、51・・・におけるテーパ状空間部61・・・の摩擦係合面とは、「入力部材32bの内周面32c(以下、「入力側の摩擦係合面32c」と称する。)と、出力部材34の多角形外周面のうちの係合面34b(以下、「出力側の摩擦係合面34b」と称する。)」を指す。
【0038】
入力部材32bに対して出力部材34が同軸上にあるとき、係合部材62はテーパ状空間部61の摩擦係合面に、図の想像線で示す位置で係合する。このときの入力側の摩擦係合面32cと係合部材62との接点はPであり、出力側の摩擦係合面34bと係合部材62との接点はPである。
【0039】
上述のように、出力部材34は入力部材32bに対して相対的に径方向に移動可能であるが、出力部材34の戻り不良により、あるいは、各部材の製造誤差により、テーパ状空間部61における係合部材62の位置が変わる。これに対応するために、特定第1クラッチ機構41Aのテーパ状空間部61における摩擦係合面に、テーパ角補正部34dを形成したものであり、このテーパ角補正部34dは、係合部材62の位置が変わっても、係合部材62の当接部におけるくさび角θがほぼ一定となるように作用するものである。
【0040】
具体的には、出力側の平坦な摩擦係合面34bに、テーパ状空間部61のテーパが広がる方向(この図の右方向)に傾斜する斜面を形成し、好ましくはこの斜面は所定の曲率半径rの円弧面である。円弧面の基端は、上記接点Pからテーパ方向と逆方向に若干変位した位置である。また、円弧面は円弧中心位置及び係合部材62の径が変わっても(寸法公差や摩耗等により変化しても)、係合部材62の当接部におけるくさび角θがほぼ一定となるように、適宜設定したものである。すなわち、上記円弧面をテーパ角補正部34dとした。
特定第2クラッチ機構51Aも同様に、摩擦係合面にテーパ角補正部34dを有する。
【0041】
次に、上記構成のテーパ角補正部の作用を、図8に基づき説明する。
図8(a)〜(c)は本発明に係るテーパ角補正部の作用図であり、特定第1クラッチ機構41A及びテーパ角補正部34dを模式的に示したものである。
(a)は比較例であり、入力部材32bに対して出力部材34が同軸上にあるとき、出力部材34の平坦な第1面(出力側の摩擦係合面34b)は太い実線で示す下位レベルにある。このときの入力側の摩擦係合面32cと係合部材62との接点はPであり、第1面と係合部材62との接点はPである。また、係合部材62の当接部におけるくさび角はθである。
【0042】
一方、入力部材32bに対して出力部材34が相対的に径方向に移動することにより、第1面は細い実線で示す上位レベルまで移動する。この結果、係合部材62がテーパ状空間部61のテーパ方向と逆方向(この図の右方向)に移動するので、接点Pの位置も同方向に移動する。このため、接点P位置で入力側の摩擦係合面32cに接する接線の傾斜角は小さくなる。傾斜角が小さいので、係合部材62の当接部におけるくさび角θは小さい。従って、移動後のくさび角θは、出力部材34が径方向へ移動した距離に応じて、元の位置でのくさび角θより小さくなる。くさび角θが小さくなるとくさび作用が強まり、テーパ状空間部61から係合部材62を解除するための解除力は増す。
【0043】
(b)は本実施の形態の基本理論を示し、上記(a)を改良したものである。
移動後の第1面に対して、テーパ状空間部61のテーパが広がる方向(この図の右方向)の第2面を設け、この第2面を係合部材62に接するようにし、第2面と入力側の摩擦係合面32cとの間に係合した係合部材62のくさび角をθとし、このくさび角θをくさび角θと同一角度になるようにした。従って、第1面が移動したにもかかわらず、くさび角は変わらない。くさび角が変わらないのでくさび作用も変わらず、テーパ状空間部61から係合部材62を解除するための解除力は増すことがない。
【0044】
(c)は本実施の形態を示し、上記(b)を具体化したものである。
出力側の平坦な第1面の途中に、テーパ状空間部61のテーパが広がる方向に傾く円弧面を形成し、この円弧面を第2面とした。
入力部材32bに対して出力部材34が相対的に径方向(この図の上方)に移動した場合に、この相対移動に伴い、テーパ状空間部61における係合部材62の位置が変わる。第2面は、係合部材62の位置が変わっても、係合部材62の当接部におけるくさび角がほぼ一定となるような円弧面である。この円弧面の基端は、上記接点Pからテーパ方向と逆方向に若干変位した位置である。
【0045】
このように、入力部材32bに対して出力部材34が相対的に径方向に移動しても、くさび角が常にほぼ一定なので、くさび作用も変わらず、テーパ状空間部61から係合部材62を解除するための解除力は増すことがなく、常に適正な解除力を維持できる。
本実施の形態では、前記第2面をテーパ角補正部34dとしたものであり、このテーパ角補正部34dは、特定第1クラッチ機構41Aのクラッチ解除力を常に適正な解除力に維持することができる。
なお、特定第2クラッチ機構51Aも同様の作用をなす。
【0046】
次に、上記構成の機械式クラッチ40において、中立状態からの切換え原理を図9に基づき説明する。
図9(a)〜(d)は機械式クラッチの切換え原理図である。
なお、説明の便宜上、この図では第1クラッチ機構41の係合部材を「第1係合部材62F」と言い、第2クラッチ機構51の係合部材を「第2係合部材62R」と言う。
【0047】
先ず、ステアリングハンドル2(図1参照)の操舵トルクにより、第1・第2クラッチ機構41,51を切換える原理を説明する。
上記図6及び図7でも説明したように、入力側の摩擦係合面32cは円形であり、一方、出力側の摩擦係合面34bは、角部を切り落とした正三角形断面の3つの辺からなる概ね偏平状の面である。入力・出力側の摩擦係合面32c,34b間に形成したテーパ状空間部61は、周方向中央が広幅であって、周方向の両端部がテーパ形状を呈する空間部である。
【0048】
(a)において、第1・第2クラッチ機構41,51は、共に係合した中立状態にある。電動機5(図3参照)は停止しており、このため、入力部材32bもほぼ停止した状態にある。
この中立状態においては、第1・第2係合部材62F,62Rは圧縮ばね65の弾発力により、入力・出力側の摩擦係合面32c,34bにくさび作用で係合する。すなわち、入力・出力側の摩擦係合面32c,34bに、第1係合部材62Fは点Q及び点Qで係合し、第2係合部材62Rは点Q及び点Qで係合する。以下、これらの点Q,Q,Q,Qを「係合点」と言う。
出力部材34の外周面の回転軌跡を線Kで表すことができ、係合点Q及び係合点Qの回転軌跡を線Kで表すことができる。そして、出力側の摩擦係合面34bは概ね偏平であるため、係合点Q及び係合点Qにおいて、回転軌跡Kと交差する。
【0049】
ステアリングハンドル2の操舵トルクにより、出力部材34を矢印X方向に回すとき、テーパ状空間部61は、第1係合部材62Fに対しては、回転に伴って広幅になる。このとき、第1係合部材62Fは、テーパ状空間部61の先から広幅方向へ逃げる方向なので、出力部材34からの操舵トルクを入力部材32bに伝達することはできない。
【0050】
また、ステアリングハンドル2により、出力部材34を矢印X方向に回すとき、テーパ状空間部61は、第2係合部材62Rに対しては、回転に伴って狭幅になる。すなわち、出力側の摩擦係合面34bは、第2係合部材62Rがくい込む方向に回転することになる。このため、第2係合部材62Rの係合は外れない。この結果、第2係合部材62Rは、出力部材34からの操舵トルクを伝達することができる。
ところで、電動機5と入力部材32bとは、トルク伝達手段6(図3参照)で連結したものである。トルク伝達手段6はウォームギヤ減速機構からなるので、摩擦抵抗が極めて大きい。よって電動機5が停止中には、第2係合部材62Rがロックするので、出力部材34は回らない。このときのトルク伝達手段6の摩擦抵抗に伴う反力は、出力部材34を介してステアリングハンドル2に作用する。
【0051】
その後、ステアリングハンドル2の操舵トルクを増すと、位置制御部材64は、矢印X方向への変位角が大きくなる。そして、(b)において図の右端にある位置制御部材64が、第2係合部材62Rを矢印X方向へ押出して、係合を解除する。このときの操舵トルク(切換えトルク)は、T10である。この時点で、ステアリングハンドル2の操舵トルクT10により、出力部材34を回すことができる。
【0052】
その直後に、(c)において、電動機5から入力部材32bへ、矢印X方向の補助トルクT20が伝わるようにすることにより、補助トルクT20は入力部材32b→第1係合部材62F→出力部材34の経路で作用する。従って、出力部材34及び出力軸15(図6参照)は、ステアリング系の操舵トルクT10に電動機5の補助トルクT20を付加した複合トルクによって、矢印X方向に回転する。
【0053】
以上の説明から明らかなように、電動機5は停止した状態なので、ステアリングハンドル2を操作している運転者は機械式クラッチ40を介して電動機5やトルク伝達手段6の慣性・粘性抵抗・摩擦抵抗の影響に伴う反力を受けるものの、その反力の最大値は、第1・第2クラッチ機構41,51の一方だけを解除させるのに必要な、操舵トルクT10以上にはならない。従って、電動機5やトルク伝達手段6の慣性や摩擦抵抗の影響は、クラッチを介在しない電動機直結方式と比べて極めて小さい。この結果、ステアリングハンドル2の操舵力が小さな領域において良好な操舵感覚(操舵フィーリング)を得ることができる。
【0054】
次に、電動機5の電動機トルクにより、第1・第2クラッチ機構41,51を自動的に切換える原理を説明する。
(d)において、第1・第2クラッチ機構41,51は係合した中立状態にある。この中立状態においては、上記(a)に示す操舵トルクによる切換え原理図と同様に、第1・第2係合部材62F,62Rは入力・出力側の摩擦係合面32c,34bに、係合点Q,Q,Q,Qで係合する。
【0055】
この状態で、電動機5から入力部材32bへ、矢印X方向の電動機トルクを伝えると、係合点Q,Qに電動機トルクT30が作用する。
第2係合部材62Rが入・出力側の摩擦係合面32c,34bから外れるためには、第2係合部材62Rが矢印X方向に若干変位する必要がある。しかし、第1係合部材62Fが係合状態にあるので、第2係合部材62Rは変位できない。
ところで、入力部材32bを矢印X方向に回転させたとき、テーパ状空間部61は、第2係合部材62Rに対しては、回転に伴って広幅になる。このとき、第2係合部材62Rは、テーパ状空間部61の先から広幅方向へ逃げる方向なので、出力部材34に電動機トルクを伝達することができない。
この結果、電動機トルクT30は入力部材32b→第1係合部材62Fの経路で出力部材34に作用する。従って、出力部材34及び出力軸15(図6参照)は、電動機5の電動機トルクT30によって、矢印X方向に回転する。
【0056】
次に、上記構成の機械式クラッチ40の作用を、図1、図10〜図13に基づき説明する。
図10〜図13は本発明に係る機械式クラッチの作用図である。
図1において、ステアリングハンドル2を操舵しない場合、操舵トルク検出手段3の信号が無いので、制御装置4は制御信号(アシスト命令信号)を出力しない。このため、電動機5は電動機トルク(補助トルク)を発生しない状態である。この状態では、図10に示すすべての位置制御部材64・・・は係合部材62・・・から離れており、このため、第1・第2クラッチ機構41・・・,51・・・は、すべて係合した中立状態にある。すなわち、すべての係合部材62・・・は、圧縮ばね65・・・でテーパ状空間部61・・・の摩擦係合面に押されただけの係合状態にある。
【0057】
次に、ステアリングハンドル2の操舵トルクが小さく、電動機5が電動機トルク(補助トルク)を発生しない場合、入力軸11(図3参照)に連結した位置制御部材64・・・と出力部材34との間の位相は、ほとんど変化しない。この場合には、各位置制御部材64・・・が、例えば、この図の反時計回り方向に若干移動するものの、係合部材62・・・を押すことはない。
【0058】
その後、ステアリングハンドル2の操舵トルクが一定以上になると、第1クラッチ機構41・・・及び第2クラッチ機構51・・・は、上記図9(b),(c)で説明した原理に基づいて作用する。すなわち、図11に示すように位置制御部材64・・・が、例えば、矢印X方向に移動して、第2クラッチ機構51・・・の係合部材62・・・の係合を解除する。このときには、操舵トルクが大きいので電動機5は補助トルクを発生する。電動機5が回転することで入力部材32bは矢印X方向に回転する。
第1クラッチ機構41・・・が係合しているので、電動機5からの電動機トルク(補助トルク)は入力部材32b→第1クラッチ機構41・・・→出力部材34→ピン14→出力軸15の経路でステアリング系に伝わる。
この結果、出力軸15は、ステアリング系(入力軸11→トーションバー13→出力軸15)の操舵トルクに電動機5の補助トルクを付加した複合トルクによって、矢印X方向に回転する。
【0059】
その後、何等かの理由で電動機5による補助トルクの伝達が継続している場合に、第1クラッチ機構41・・・は次のようにして解除される。
ステアリングハンドル2を逆方向に急速操舵すると、図12に示すようにすべての位置制御部材64・・・は入力部材32bの回転方向と反対方向(矢印Y方向)に回る。そして、特定位置制御部材64Aは、他の位置制御部材64・・・よりも先に、右隣の係合部材62(便宜的に「係合部材62A」と称する。)に当接し、摩擦力及び付勢力に抗して押出す。このため、係合部材62Aは特定第1クラッチ機構41Aの係合を解除する。
【0060】
ところで、ステアリングハンドル2を逆方向に急速操舵した瞬間には、すべての第2クラッチ機構51・・・の係合部材62・・・は、この図のようにまだ解除状態にある。急速転舵時でなくても、第2クラッチ機構51・・・の係合部材62・・・は、摩擦力により入力部材32bの回転方向Xに引きづられており、やはり、第2クラッチ機構51・・・は非係合状態にある。また、他の位置制御部材64・・・は係合部材62・・・と当接していない。
この時点では、他の係合部材62・・・から出力部材34へ継続して、図中の矢印Z,Zで示すベクトルが作用しており、これらのベクトルの合力に基づき、出力部材34に図中の矢印Zで示す偏荷重が作用する。この結果、出力部材34は弾性部材35の弾発力に抗し、ピン14を案内として特定位置制御部材64A側に僅かに移動する。従って、他の係合部材62・・・の係合力が弱まる。
その直後に、他の位置制御部材64・・・も係合部材62・・・と当接して、係合を解除する。
【0061】
この結果、他の第1クラッチ機構41・・・も解除される。出力部材34は弾性部材35の弾発力により、図10に示す中立位置に自動復帰する。
この場合、他の係合部材62・・・には摩擦力が発生しないので、他の位置制御部材64・・・で押圧する解除力は、付勢部材65・・・の付勢力に抗するだけの小さいものですむ。
このように、入力部材32bの回転が持続しているにもかかわらず、3組の第1クラッチ機構41・・・の係合を解除するのに、最大1組分の小さい解除力ですみ、しかも、確実に解除できる。
【0062】
なお、第2クラッチ機構51・・・は、上記第1クラッチ機構41・・・と逆作動をするものであり、ステアリングハンドル2を逆方向に操舵した場合に、上記図10〜図12にて説明した作用と同様の操作で、係合・非係合に切換えることができる。
【0063】
また、図12に示すように、出力部材34の外周面と係合部材62Aとの間の隙間は、凹部34cの深さ分だけ大きい。このため、係合部材62Aを摩擦係合面から確実に分離することができるので、その分だけ出力部材34の径方向移動量を大きくすることができる。従って、第1・第2クラッチ機構41・・・,51・・・を、より一層速やかに且つ確実に解除することができる。
【0064】
ところで、第1・第2クラッチ機構41・・・,51・・・が、図10に示すように中立状態にあるとき、ステアリング系を上記図9(d)で説明した原理に基づいて自動操舵制御することができる。
すなわち、不図示の制御手段により制御されて、電動機5が電動機トルクを発生させると、図13に示すように入力部材32bは、例えば矢印X方向に回転する。上記図9(d)で説明した原理により、第2クラッチ機構51・・・は電動機トルクを伝達できない。このため、電動機5からの電動機トルクは入力部材32b→第1クラッチ機構41・・・→出力部材34→ピン14→出力軸15の経路でステアリング系に伝わる。この結果、出力軸15は、電動機5の補助トルクによって、矢印X方向に回転する。
【0065】
この状態で、電動機5の電動機トルクを概ね零にすると、第1・第2クラッチ機構41・・・,51・・・は、図10に示す状態に復帰する。
また、電動機5から逆向きの電動機トルクを発生させることにより、第1・第2クラッチ機構41・・・,51・・・を上記図10に示す中立状態から上記図13と逆作動に切換えて、出力軸15を矢印Xと反対方向に回転させることができる。
このように、第1・第2クラッチ機構41・・・,51・・・の中立状態でステアリング系を自動操舵制御するなど、より積極的に操舵制御することができる。
【0066】
図14は本発明に係る電動パワーステアリング装置の電動機トルクと補助トルクの関係を示すグラフであり、(a)は電動機系とステアリング系とを常に連結した比較例1、(b)は操舵トルクが所定以下の場合に解除となるクラッチを備えた比較例2、(c)は本発明の実施例を示し、いずれも横軸は電動機5の発生トルク(電動機トルク)TM、縦軸はステアリング系に付加する補助トルクTAである。
電動機5やトルク伝達手段6の慣性・粘性抵抗・摩擦抵抗の影響をαとすると、TA=TM−αとなる。
【0067】
(a)において、グラフの第1・3象限をステアリング方向右と左とすると、TM≧0の領域では、a→b→cの直線(TA=TM−α)となる。TM<0の領域では、前記直線の原点0に対する点対称の直線(d→e→f)となる。
ステアリングハンドルを右操舵トルク状態から左操舵トルク状態へと切り返すと、a→b→c→d→e→fの順にTAが変化するが、b→cの範囲のTAはマイナスとなり、ハンドルが重くなる。d→eの範囲も同様である。
グラフにハッチングを施した領域は、操舵頻度が最も高いところなので、ハンドルが重くなることは好しくない。
【0068】
また、(b)において、TMとTAの関係は、a→b→e→fとなる。すなわち、電動機5やトルク伝達手段6の慣性や摩擦などに伴うαの成分がカットされたことになり、b→eの範囲でハンドルが重くなることはない。
しかし、クラッチ機構の中立状態でステアリング系を自動操舵制御することはできない。
【0069】
一方、(c)においては、上記図9及び図10で詳しく説明した通りに、第1・第2クラッチ機構41・・・,51・・・は、操舵トルクが所定値より小さい場合に中立状態となり、また、操舵トルクが所定値以上になると、一方が解除状態へ移行する。第1・第2クラッチ機構41・・・,51・・・が、中立状態から一方を解除した状態へ移行するまでの切換えトルク(操舵トルク)は、上記図9(a)で説明した通りのT10であり、この切換えトルクT10はc点のTAや、d点のTAよりも小さい。
この結果、TMとTAの関係はa→b→b→c→d→e→e→fとなる。すなわち、b→eの範囲におけるハンドルの重さは、切換えトルクT10分だけですむ。このため、上記(a)に比べて、b→eの範囲でハンドル操作力は極めて小さくてすみ、従って、ハンドルは軽い。
しかも、第1・第2クラッチ機構41・・・,51・・・が両方とも係合した中立状態にあるので、ステアリング系を自動操舵制御するなど、より積極的に操舵制御することができる。
【0070】
次に、本発明の他の実施の形態を、図15〜図21に基づき説明する。なお、上記実施の形態と同じ構成については同一符号を付し、その説明を省略する。
図15は本発明に係る電動パワーステアリング装置(他の実施の形態)の全体構成図であり、電動パワーステアリング装置71は、ステアリングハンドル2で発生したステアリング系の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段73と、この操舵トルク検出手段73の検出信号に基づいて制御信号を発生する制御手段4と、この制御手段4の制御信号に基づいて操舵トルクに応じた補助トルクを発生する電動機75と、この電動機75の補助トルクをステアリング系に伝達する機械式クラッチ40並びにトルク伝達手段76とからなり、ピニオン7、ラック8aを介して車輪(操舵輪)9,9を転舵するものである。
【0071】
図16は本発明に係る電動パワーステアリング装置(他の実施の形態)の要部断面構成図であり、入・出力軸線Lから左半分を入・出力軸線Lに沿って断面し、入・出力軸線Lから右半分を、この図の手前側にある電動機75の軸線に概ね沿って断面した姿を示す。
電動パワーステアリング装置71のステアリング系は、上記ステアリングハンドル2(図15参照)に連結した管状の入力軸11と、この入力軸11内に挿通し且つ入力軸11に上部をピン12で結合したトーションバー13と、このトーションバー13の下部にセレーション結合し下部に上記ピニオン7を設けた出力軸15とを、主要な構成要素としたものである。
【0072】
図17は本発明に係る電動パワーステアリング装置(他の実施の形態)の要部拡大図である。
操舵トルク検出手段73は、入・出力軸11,15間の相対ねじれ角を検出することによりステアリング系の操舵トルクを検出するものであり、スライダ81と可変インダクタンス式センサ82とからなる。スライダ81は、側壁に傾斜溝81aと縦長のストレート溝81bとを備えた円筒体であり、前記入力軸11と出力軸15との間に掛け渡すことで、相対ねじり変位に応じて軸方向へ変位するものである。スライダ81の軸方向への変位量はトルクに比例する。センサ82はスライダ81の変位量を電気信号に変換するものである。
図中、83は圧縮ばねである。
【0073】
図18は図17の18−18線断面図であり、機械式クラッチ機構40とステアリング系との間にトルク伝達手段76を介在することにより、電動機75の補助トルクを機械式クラッチ機構40、トルク伝達手段76、ステアリング系の順に伝達するようにしたことを示す。
電動機75は、ハウジング26にボルト止めしたケース84とステータ85とロータ86と電動軸(電動機の出力軸)87とからなる。
【0074】
トルク伝達手段76は、電動機75の電動軸87に連結したウォーム88と、出力軸15に結合したホイール89とからなるウォームギヤ減速機構である。ホイール89は、出力軸15に結合したボス部89aに一体的に設けたものである。ウォーム88はウォーム軸88aを一体に形成し、このウォーム軸88aの一端を電動軸87の先端に回転可能に支持されるようにした構成である。
図中、91,92は電動軸用軸受、93はウォーム軸用軸受である。
【0075】
ここで一旦、図17に戻って説明すると、スライダ81は下端外周に周溝81cを形成したものである。また、ウォーム軸88aは円筒状の位置制御手段94を回転可能に嵌合し、この位置制御手段94は、ウォーム軸88aに備えたピン88bが貫通する傾斜孔94aと、外周の周溝94bとを形成したものである。
ハウジング26は側面視L字状のリンク95の中央支持部95aを上下回転可能に支持し、リンク95は一端のピン部95bをスライダ81の周溝81cに掛けるとともに、他端のピン部95cを位置制御手段94の周溝94bに掛けた組合せ構成である。このため、位置制御手段94は図15に示すステアリングハンドル2に連結したことになる。
【0076】
図19は本発明に係る機械式クラッチ機構廻り(他の実施の形態)の断面図である。
電動軸87は、先端部に入力部材96を結合し、さらに、入力部材96を貫通した端部に且つ同心上に、ニードルベアリング97を介してウォーム軸88aの一端を回転可能に支持したものである。入力部材96は、電動軸用軸受92を介してハウジング26で回転可能に支持される構成である。
この図に示す機械式クラッチ40は入力部材96の内部に配置したものであり、詳しくは、ウォーム軸88aと、位置制御手段94に備えた3つの位置制御部材64・・・とを、入力部材96の内部に配置した構成である。機械式クラッチ40の断面構成は図20にて詳述する。
なお、入力軸としての電動軸87と出力軸としてのウォーム軸88aとの間にトーションバーを介在していない。
【0077】
図20は図19の20−20線断面図であり、本発明に係る機械式クラッチ40(他の実施の形態)の断面構成を示す。
なお、ハウジング26は省略した。
他の実施の形態における機械式クラッチ40は、上記図6〜図7に示す機械式クラッチ40と同一構成である。この構成において、ウォーム軸88aは機械式クラッチ40の出力軸の役割を果たすことになる。
また、機械式クラッチ40は上記図8〜図14に示す作用をなすものであり、説明を省略する。
【0078】
図21は本発明に係るスライダ及び位置制御部(他の実施の形態)の作用図である。
スライダ81は、ステアリングハンドル2の操舵トルクに基づき、図17に示す入力軸11と出力軸15との間の相対ねじり変位に応じて軸方向(矢印方向)に変位する。これに伴い、リンク95は一端のピン部95bが周溝81cにて引上げられるので矢印方向に揺動する。位置制御手段94は周溝94bが他端のピン部95cにて押圧されるので矢印方向に移動する。この場合、位置制御手段94はピン88bと傾斜溝94aとの係合により周方向(矢印方向)に変位にする。これに伴い、機械式クラッチ40は上記図10〜図13に示す係合作用、解除作用をする。
【0079】
他の実施の形態では、機械式クラッチ40とステアリング系との間にトルク伝達手段(減速機構)76を介在することにより、電動機75の補助トルクを機械式クラッチ40、トルク伝達手段76、ステアリング系の順に伝達するようにしたので、上記図1及び図3に示す構成と比べて、機械式クラッチ40に伝達する補助トルクは、トルク伝達手段76の減速比に反比例した極めて小さいトルクですむ。補助トルクが小さいのでクラッチの伝達容量を小さくすることができ、この結果、機械式クラッチ40を小型で軽量にすることができる。
【0080】
なお、上記実施の形態及び他の実施の形態において、弾性部材13は、操舵トルクに比例して入力軸11と出力軸15との間での相対ねじり変位を発生させるものであればよく、トーションバーに限定するものではない。
第1・第2クラッチ機構41・・・,51・・・の数量は、3組ずつに限定するものではなく、任意に設定可能である。
【0081】
出力部材34は、入力部材32bに対し相対的に径方向に移動可能に取付けるものであればよく、出力部材34を径方向に移動可能にする他に、入力部材32bを径方向に移動可能にする構成であってもよい。
テーパ状空間部61は、非係合時に係合部材62を摩擦係合面から分離できるように、一部を拡げるようにしたものであればよく、例えば、入力部材32bの内周面に凹部を設けた構成であってもよい。
【0082】
出力部材34は、一部の係合部材62が外れた際に、他の係合部材62・・・で押圧されて、径方向移動するものであればよく、移動方向を問わない。出力部材34を他の係合部材62・・・で押圧して移動させれば、これら他の係合部材62・・・と出力部材34との摩擦係合力を減少させることができるからである。
出力部材34の径方向移動を案内する部材は、ピン14に限定するものではない。
出力軸15に出力部材34を押圧する弾性部材は、圧縮ばね35に限定するものではなく、例えば、皿ばねでもよい。
【0083】
テーパ状空間部61は、入力部材32bの内周面と出力部材34の外周面との間に形成するものであればよく、出力部材34の外周面(摩擦係合面)の形状も図6や図20に示すものに限定しない。そして、入力部材32bの内周面を所定の多角形とし、出力部材34の外周面を円形としてもよい。
係合部材62は、テーパ状空間部61の周方向端部と係合・非係合の切換えができるものであればよく、円柱状の他に、例えば球状でもよい。
機械式クラッチ40の付勢部材は圧縮ばね65に限定せず、例えば、硬質ゴム材や板ばね等で構成してもよい。
【0084】
更に、第1・第2クラッチ機構41・・・,51・・・は、摩擦係合式クラッチの構成であればよく、例えば、周知のスプラグ式クラッチでもよい。
スプラグ式クラッチとは、円筒状の内周係合面を有する外方部材(入力部材32bに相当)と、円筒状の外周係合面を有する内方部材(出力部材34に相当)とを同心に配置し、これらの両係合面を対向させ、その間の隙間に、複数のスプラグ(くさび作用をするこま)と、これらのスプラグの位置決めをなすためにステアリングハンドルに連結した部材(位置制御部材64に相当)と、スプラグを前記両係合面に向ってくさび係合させるように付勢するばねとを介在したものである(特開平1−188727号に示すクラッチ装置など)。
【0085】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、電動機で操舵トルクに応じた補助トルクを発生し、この補助トルクを摩擦係合式双方向クラッチ機構を介してステアリング系に伝達するものであって、
摩擦係合式双方向クラッチ機構を、電動機に連結した入力部材と、この入力部材に対して同軸上に配列しステアリング系に連結した出力部材と、入力部材の内周面と出力部材の外周面との間に形成したテーパ状空間部と、このテーパ状空間部に介在させた係合部材と、この係合部材をテーパ状空間部のテーパ方向に付勢する付勢部材と、係合部材の位置決めをなすためにステアリングハンドルに連結した位置制御部材とで構成し、この位置制御部材の回動に伴ってテーパ状空間部の摩擦係合面にくさび作用により係合又は非係合する係合部材で、入力・出力部材を係合・非係合状態に切換える形式の電動パワーステアリング装置において、
摩擦係合式双方向クラッチ機構の位置制御部材を、クラッチの中立状態では、係合部材から離れた位置に配置することで、中立状態の入力・出力部材を係合状態にする構成としたことを特徴とする。
【0086】
クラッチの中立状態では、位置制御部材は係合部材から離れた位置にある。すべての係合部材は、付勢部材で押されてテーパ状空間部の摩擦係合面に係合し、入力・出力部材を係合状態にする。
このような中立状態から、ステアリングハンドルで出力部材を回して摩擦係合式双方向クラッチ機構を解除するための操舵トルクは、係合部材を外すだけの小さいトルクである。このとき、電動機は停止しており、摩擦係合式双方向クラッチ機構は係合しているので、ステアリングハンドルには電動機の慣性や摩擦抵抗の影響による反力を受ける。しかし、その影響の最大値はクラッチ解除のための操舵トルク以上にはならない。従って、電動機の慣性や摩擦抵抗の影響は、クラッチを介在しない電動機直結方式と比べて極めて小さい。この結果、ステアリングハンドルの操舵力が小さな領域において良好な操舵感覚(操舵フィーリング)を得ることができる。
また、摩擦係合式双方向クラッチ機構は中立状態であっても、電動機の駆動トルク(補助トルク)をステアリング系に伝達することができる。従って、クラッチの中立状態でステアリング系を自動操舵制御するなど、より積極的に操舵制御することができる。
【0087】
さらに請求項記載の発明は、摩擦係合式双方向クラッチ機構を同一円上に配置された複数組とし、これら複数組の摩擦係合式双方向クラッチ機構の内の少なくとも1組を、他のクラッチ機構よりも早いタイミングで非係合状態になる早期解除クラッチとしたことを特徴とする。
【0088】
1組のクラッチ機構だけを早いタイミングで解除すると、他のクラッチ機構は力のバランスが崩れて解除の方向に合力が作用するので摩擦力が低下し、小さな解除力で解除になる。従って、一度に全てのクラッチ機構を解除するよりも小さな解除力で、確実に解除することができる。
【0089】
さらに請求項記載の発明は、ステアリング系に出力軸を設け、この出力軸に出力部材を径方向移動可能に取付けたことを特徴とする。
【0090】
出力軸に出力部材を径方向移動可能に取付けたので、出力部材に係合している複数の係合部材の一部が外れると、係合部材で出力部材を押す力のバランスが崩れる。バランスが崩れると、出力部材は他の係合部材で一方に押されて、径方向に移動する。この結果、出力部材と他の係合部材との摩擦力は低下して、より一層安定して係合が外れる。このように、一部のクラッチ機構が解除になると、他のクラッチ機構もより一層安定して解除になるので、電動機が何等かの理由で回転したような時でも、一度にすべてのクラッチ機構を解除するよりも小さな解除力で、確実に解除することができる。
【0091】
請求項2記載の発明は、摩擦係合式双方向クラッチ機構とステアリング系との間に減速機構を介在することにより、電動機の補助トルクを摩擦係合式双方向クラッチ機構、減速機構、ステアリング系の順に伝達するようにしたことを特徴とする。
【0092】
減速機構の後に摩擦係合式双方向クラッチ機構を連結した場合と比べて、摩擦係合式双方向クラッチ機構に伝達する補助トルクは、減速機構の減速比に反比例した極めて小さいトルクですむ。補助トルクが小さいのでクラッチの伝達容量を小さくすることができ、この結果、摩擦係合式双方向クラッチ機構を小型で軽量にすることができる。
【0093】
請求項記載の発明は、出力部材を出力軸へ押圧する弾性部材を備えることにより、出力軸に対して出力部材に移動方向への予圧を付与したことを特徴とする。
【0094】
径方向移動した出力部材を、すべてのクラッチ機構が解除した後に、弾性部材の弾発力で元の中立位置に自動復帰させることができる。このため、クラッチ機構を何度でも小さな解除力で、しかも、確実に解除できるので、クラッチ機能の安定化を図ることができ、商品性が高まる。
【0095】
請求項記載の発明は、出力部材の径方向移動に伴って、テーパ状空間部における係合部材の位置が変わっても、係合部材の当接部におけるくさび角がほぼ一定となるように、摩擦係合面にテーパ角補正部を形成したことを特徴とする。
【0096】
何等かの理由で、入力部材に対し出力部材が偏心し、この偏心に伴ってテーパ状空間部における係合部材の位置が変わっても、テーパ角補正部は、摩擦係合面と係合部材との間のくさび角がほぼ一定となるように補正する。この結果、出力部材の偏心に伴って、テーパ状空間部における係合部材の位置が変わっても、くさび角はほぼ一定であり、くさび作用も変わらない。このため、テーパ状空間部から係合部材を解除するための解除力は増すことがなく、常に適正な解除力を維持できる。
【0097】
請求項記載の発明は、テーパ状空間部の一部を拡げて、非係合時に係合部材を摩擦係合面から分離できるようにしたことを特徴とする。
【0098】
テーパ状空間部の一部を拡げたので、この拡げた部分と非係合時の係合部材との間の隙間は大きい。このため、非係合時の係合部材を摩擦係合面から確実に分離することができるので、出力部材の径方向移動量を大きくすることができ、この結果、クラッチ機構を確実に解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図
【図2】 本発明に係る制御手段の構成図
【図3】 本発明に係る電動パワーステアリング装置の要部拡大断面図
【図4】 図3の4−4線断面図
【図5】 本発明に係る電動パワーステアリング装置の要部分解斜視図
【図6】 図3の6−6線断面図
【図7】 図6の7部詳細図
【図8】 本発明に係るテーパ角補正部の作用図
【図9】 機械式クラッチの切換え原理図
【図10】 本発明に係る機械式クラッチの作用図
【図11】 本発明に係る機械式クラッチの作用図
【図12】 本発明に係る機械式クラッチの作用図
【図13】 本発明に係る機械式クラッチの作用図
【図14】 本発明に係る電動パワーステアリング装置の電動機トルクと補助トルクの関係を示すグラフ
【図15】 本発明に係る電動パワーステアリング装置(他の実施の形態)の全体構成図
【図16】 本発明に係る電動パワーステアリング装置(他の実施の形態)の要部断面構成図
【図17】 本発明に係る電動パワーステアリング装置(他の実施の形態)の要部拡大図
【図18】 図17の18−18線断面図
【図19】 本発明に係る機械式クラッチ機構廻り(他の実施の形態)の断面図
【図20】 図19の20−20線断面図
【図21】 本発明に係るスライダ及び位置制御部(他の実施の形態)の作用図
【符号の説明】
1…電動パワーステアリング装置、2…ステアリングハンドル、5,75…電動機、6,76…減速機構としてのトルク伝達手段、9…操舵輪(車輪)、11…入力軸、13…トーションバー、15…出力軸、32b,96…入力部材、32c…入力部材の内周面(入力側の摩擦係合面)、34…出力部材、34a…貫通孔、34b…出力部材の係合面(出力側の摩擦係合面)、34c…逃げ凹部、34d…テーパ角補正部、35…弾性部材(圧縮ばね)、40…機械式クラッチ、41,41A…摩擦係合式クラッチ(第1クラッチ機構)、51,51A…摩擦係合式クラッチ(第2クラッチ機構)、61…テーパ状空間部、62,62A…係合部材、64,64A…位置制御部材、65…付勢部材(圧縮ばね)、87…入力軸としての電動軸、88a…出力軸としてのウォーム軸。

Claims (5)

  1. 電動機で操舵トルクに応じた補助トルクを発生し、この補助トルクを摩擦係合式双方向クラッチ機構を介してステアリング系に伝達するものであって、
    前記摩擦係合式双方向クラッチ機構を、電動機に連結した入力部材と、この入力部材に対して同軸上に配列しステアリング系に連結した出力部材と、入力部材の内周面と出力部材の外周面との間に形成したテーパ状空間部と、このテーパ状空間部に介在させた係合部材と、この係合部材を前記テーパ状空間部のテーパ方向に付勢する付勢部材と、前記係合部材の位置決めをなすためにステアリングハンドルに連結した位置制御部材とで構成し、この位置制御部材の回動に伴って前記テーパ状空間部の摩擦係合面にくさび作用により係合又は非係合する前記係合部材で、入力・出力部材を係合・非係合状態に切換える形式の電動パワーステアリング装置において、
    前記摩擦係合式双方向クラッチ機構の位置制御部材を、クラッチの中立状態では、前記係合部材から離れた位置に配置することで、中立状態の前記入力・出力部材を係合状態にする構成とし
    前記摩擦係合式双方向クラッチ機構は同一円上に配置された複数組あり、これら複数組の摩擦係合式双方向クラッチ機構の内の少なくとも1組が、他のクラッチ機構よりも早いタイミングで非係合状態になる早期解除クラッチであり、
    前記ステアリング系に出力軸を設け、この出力軸に前記出力部材を径方向移動可能に取付けたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記摩擦係合式双方向クラッチ機構とステアリング系との間に減速機構を介在することにより、前記電動機の補助トルクを摩擦係合式双方向クラッチ機構、減速機構、ステアリング系の順に伝達するようにしたことを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記出力部材を前記出力軸に押圧する弾性部材を備えることにより、前記出力軸に対して前記出力部材に移動方向への予圧を付与したことを特徴とする請求項記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記出力部材の径方向移動に伴って、前記テーパ状空間部における前記係合部材の位置が変わっても係合部材の当接部におけるくさび角がほぼ一定となるように、前記摩擦係合面にテーパ角補正部を形成したことを特徴とする請求項又は請求項記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記テーパ状空間部の一部を拡げて、非係合時に前記係合部材を前記摩擦係合面から分離できるようにしたことを特徴とする請求項、請求項又は請求項記載の電動パワーステアリング装置。
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