JP3750517B2 - 端子金具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、端子金具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、端子金具として、特開平10−40994号公報に開示されているものがある。これは、前端部に角筒状をなす端子接続部を形成するとともに、後端部に電線圧着部を形成し、さらに端子接続部と電線圧着部との間を連絡部で繋いだ形態とされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記端子金具では、端子接続部は角筒状をなすため強度が強く、電線圧着部も電線に対し包み込むようにカシメ付けられるので強度が強い。ところが、連絡部は、底壁の左右両側縁から側壁を立ち上げた形態であるため、端子接続部や電線圧着部に比べると強度が低い。
【0004】
このように、従来の端子金具には、その長さ方向において部分的に強度の弱い箇所が存在するため、端子金具に曲げ力が作用したときにはは、その部分的に強度の弱い箇所において曲げ変形が生じ易いという問題がある。
本願発明は上記事情に鑑みて創案され、部分的に強度の低い箇所が存在しないようにすることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、後端部には、電線の端末部に圧着接続される電線圧着部が形成され、この電線圧着部の前方には、底壁の側縁から左右一対の側壁を立ち上げた形態をなす連絡部が形成され、前記連絡部の前方には、前記連絡部に隣接して配されるとともに底壁同士及び側壁同士を前記連絡部と連続させた形態の角筒部が形成され、前記角筒部の前方には端子機能部が形成され、前記連絡部における前記側壁の前記底壁からの立ち上がり高さを前記角筒部における側壁の底壁からの立ち上がり高さよりも低くすることで、前記角筒部の上面壁の後端縁に、コネクタハウジングの端子挿入空間に設けた端子抜止め用のランスの突起を後方から係止させるようにした端子金具において、前記連絡部には、前記左右両側壁の立ち上がり端縁から内側下向きに折り返されて前記側壁の内面にほぼ密着する形態とされた補強部が設けられ、前記補強部によって前記側壁が二枚重ね状態となっている構成とした。
【0008】
【発明の作用及び効果】
[請求項1の発明]
連絡部の形状は、底壁から側壁を立ち上げただけなので、電線圧着部や端子機能部に比べると強度が低い、ということが懸念される。しかし、本発明では、連絡部に補強部を設けることで、連絡部の強度を電線圧着部や端子機能部と同程度に向上させることができる。尚、前端側の端子機能部としては、雄端子金具における細長いタブと称される端子接続部、雌端子金具における角筒状の端子接続部、ジョイント端子金具における他の端子金具とのジョイント部等がある。
また、補強部は、連絡部の側壁の立ち上がり端縁から下方へ延出するように形成されているので、連絡部及び補強部の上方にはランスの突起を配するための空間が確保される。したがって、補強部を形成したことに起因してランスによる抜止め機能が損なわれることはない。
また、補強部を形成したことにより、側壁は二枚重ね状態とになるので、高い強度を確保することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
参考例1
以下、本発明の参考例1を図1乃至図4を参照して説明する。
【0012】
本参考例1の端子金具10は、いわゆる雄端子金具と称されるものであって、所定の形状に打ち抜いた金属板材に曲げ加工を施して成形されており、前端部から順に、タブ11(本発明の構成要件である端子機能部)、角筒部14、連絡部20、電線圧着部25が形成されている。尚、以下の説明において、左右方向については、図1における上側を右側ということにする。
タブ11は、下面壁12の左右両側縁部13を前後方向の折り目に沿って上方内側へ左右対称に折り返し、その折り返し端面同士を接近させた付き合わせた二枚重ね状をなし、前後方向に細長く延びている。
【0013】
タブ11の後端に連成された角筒部14は、タブ11の下面壁12に連なる底壁15の左右両側縁から一対の側壁16を直角に立ち上げるとともに、その両側壁16の立ち上がり端縁(上端縁)から内側へ上面壁17を延出させることにより、全体として角筒状をなすものである。
この角筒部14における部分的に二枚重ね状になった上面壁17の後端縁は、コネクタハウジングAの端子収容室B内に後方から挿入した端子金具10を抜け止めする機能を発揮する係止部18とされている。即ち、端子収容室Bの上壁面に沿って形成されたランスCの突起Caが、係止部18に対して後方から係止することにより、端子金具10が後方への遊動(後方への抜け)を規制された状態に保持されるのである。
【0014】
このように端子金具10をランスCによって抜止めするためには、角筒部14の後方にランスCの突起Caを配置するための空間を確保する必要がある。そこで、角筒部14の後方に連続して形成された連絡部20は、次のような形態に形成されている。連絡部20は、角筒部14の底壁15に対して面一状に連続する底壁21と、同じく角筒部14の左右両側壁16に対して面一状に連続する左右一対の側壁22L,22Rとからなり、底壁21の左右両側縁から両側壁22L,22Rが左右対称に且つ直角上向きに立ち上がった形態となっている。そして、この連絡部20における側壁22L,22Rの底壁21からの立ち上がり高さは、角筒部14における側壁16の底壁15からの立ち上がり高さよりも低く設定され、その高さの寸法差は、係止部18に係止された状態の突起Caが、連絡部20の側壁22L,22Rと干渉しないような寸法に設定されている。更に、詳しくは、連絡部20に形成された補強部23と突起Caが干渉しないような寸法に設定されている。
【0015】
このように電線圧着部25と角筒部14(タブ11)との間に配された連絡部20には、その側壁22Rの曲げ変形を規制可能な補強部23が形成されている。補強部23は、底壁21から立ち上がる左右一対の側壁22L,22Rのうち右側の側壁22Rの立ち上がり端縁(上端縁)から内側に向かって(右側に向かって)水平方向、即ち側壁22Rに対して直角な方向に延出する板状をなす。かかる補強部23の延出端縁は、左側の側壁22Lの上端縁に対して上から当接している。また、左右方向における補強部23の延出端面は、左側の側壁22Lの外面に対して面一状となっている。さらに、補強部23の上面の高さについては、端子金具10がランスCにより抜止めされている状態において、ランスCの突起Caと補強部23とが干渉しないような高さに設定されている。
【0016】
連絡部20の後端に連成された電線圧着部25は、連絡部20の底壁21に連なる底壁26の左右両側縁から一対のカシメ部27F,27Rを立ち上げた形態であり、略前半部分がワイヤバレル25Fとされ、略後半部分がインシュレーションバレル25Rとされている。ワイヤバレル25Fは、電線Wの端末部おける絶縁被覆Waを剥いて露出させた芯線Wbに対し、カシメ部27Fを巻き付けるように(カシメ部27Fで包み込むように)して圧着され、インシュレーションバレル25Rは、電線Wの絶縁被覆Waで覆われている部分に対し、カシメ部27Rを巻き付けるように(カシメ部27Fで包み込むように)して圧着され、これにより、電線圧着部25が電線Wに対して強固に接続されている。
【0017】
上記構成になる本参考例1では、連絡部20の形状が、底壁21から一対の側壁22L,22Rを立ち上げただけなので、電線Wに対して巻き付くように強固に圧着される電線圧着部25や、底壁15と側壁16と上面壁17とによって閉じた筒形をなしている角筒部14や、二枚重ねのタブ11に比べると相対的に強度が低くて曲げ変形を生じ易い、ということが懸念される。しかし、本参考例1では、連絡部20に補強部23を設けることで、連絡部20は、補強部23と協動することによって角筒を構成するようになったので、その連絡部20の強度は電線圧着部25、角筒部14及びタブ11と同程度に向上している。したがって、本参考例1の端子金具10には、その長さ方向(前後方向)において部分的に強度の低い個所がない。
【0018】
また、補強部23は、連絡部20の側壁22Rの立ち上がり端縁から側方へ延出する形態に形成されているので、連絡部20及び補強部23の上方にはランスCの突起Caを配するための空間が確保されている。したがって、補強部23と突起Caとの干渉に起因してランスCによる抜止め機能が損なわれる、ということはない。
また、補強部23は、側壁22Rの立ち上がり端縁から延出する板状部材であるから、側壁22Rの立ち上がり端縁において曲げ加工するだけで済んでいる。したがって、底壁21や側壁22L,22Rの一部に叩き出し加工や切り起こし加工を施して補強部23を形成する場合に比べると、加工が簡単である。
【0019】
参考例2
次に、本発明の参考例2を図5を参照して説明する。
本参考例2の補強部30は、右側の側壁22Rの立ち上がり端縁から水平内側へ延出させた第1板部31と、この第1板部31の延出端からさらに下方へ延出する第2板部32とからなる。かかる第2板部32は左側の側壁22Lの内面とに重なるように配されている。さらに、左側の側壁22Lの立ち上がり端縁からは、突起部33が上向きに突成されている。この突起部33の側壁22Lからの高さは、第1板部31の板厚とほぼ同じ寸法とされ、これにより、第1板部31の上面と突起部33の上端面とが同じ高さで面一状に連続している。その他の構成については上記参考例1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0020】
かかる本参考例2の補強部30は、側壁22Rの立ち上がり端縁から延出する板状部材であるから、側壁22Rの立ち上がり端縁において曲げ加工するだけで済み、底壁21や側壁22L,22Rの一部に叩き出し加工や切り起こし加工を施して補強部を形成する場合に比べて、加工が簡単である。また、補強部30を形成したことによって、連絡部20は角筒状をなすようになるので、高い強度を確保することができる。さらに、補強部30を形成したことにより、左側の側壁22Lは二枚重ね状態とになるので、これによっても強度の向上が図られている。
【0021】
参考例3
次に、本発明の参考例3を図6を参照して説明する。
本参考例3の補強部34は、左右両側壁22L,22Rの立ち上がり端縁から内側に突出するように左右対称に一対形成されている。かかる補強部34の側壁22L,22Rからの突出寸法は、側壁22L,22Rの板厚とほぼ同じ寸法とされている。かかる補強部34を形成したことにより、左右両側壁22L,22Rの曲げに抗する強度が高められている。
【0022】
実施形態1
次に、本発明を具体化した実施形態1を図7を参照して説明する。
本実施形態1の補強部35は、左右両側壁22L,22Rの立ち上がり端縁から内側下向きに折り返した形態であり、その折り返し状の補強部35は側壁22L,22Rの内面にほぼ密着する形態となっている。本実施形態1の補強部35によれば、両側壁22L,22Rが二枚重ね状態となるので、側壁22L,221Rの曲げに抗する強度が高められている。
【0023】
参考例4
次に、本発明の参考例4を図8を参照して説明する。
本参考例4の補強部は、右側の側壁22Rの立ち上がり端縁から内側下向きに折り返されるように延出する第1補強部37と、この第1補強部37の延出端縁(下端縁)から左側へ水平に延出する第2補強部38と、この第2補強部38の延出端縁から上方へ立ち上がるように延出する第3補強部39と、左側壁22Lの立ち上がり端縁から上方へ突出する第4補強部40とからなる。第1〜第3補強部37〜39はすべて板状をなし、第1補強部37は右側の側壁22Rの内面にほぼ密着し、第2補強部38は底壁21の内面(上面)にほぼ密着し、第3補強部39は左側の側壁22L及び第4補強部40の内面にほぼ密着している。本実施形態5の補強部36によれば、底壁21と左右両側壁22L,22Rがいずれも二枚重ね状態となるので、底壁21及び側壁22L,221Rの曲げに抗する強度が高められている。
【0024】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0025】
(1)上記実施形態では雄端子金具に適用した例について説明したが、本発明は、雌端子金具やジョイントターミナルなどの他の形態の端子金具にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1の端子金具の平面図
【図2】 端子金具に電線を圧着した状態の側面図
【図3】 端子金具の側面図
【図4】 連絡部を前方から見た状態を示す断面図
【図5】 参考例2の連絡部を前方から見た状態を示す断面図
【図6】 参考例3の連絡部を前方から見た状態を示す断面図
【図7】 実施形態1の連絡部を前方から見た状態を示す断面図
【図8】 参考例4の連絡部を前方から見た状態を示す断面図

Claims (1)

  1. 後端部には、電線の端末部に圧着接続される電線圧着部が形成され、
    この電線圧着部の前方には、底壁の側縁から左右一対の側壁を立ち上げた形態をなす連絡部が形成され、
    前記連絡部の前方には、前記連絡部に隣接して配されるとともに底壁同士及び側壁同士を前記連絡部と連続させた形態の角筒部が形成され、
    前記角筒部の前方には端子機能部が形成され、
    前記連絡部における前記側壁の前記底壁からの立ち上がり高さを前記角筒部における側壁の底壁からの立ち上がり高さよりも低くすることで、前記角筒部の上面壁の後端縁に、コネクタハウジングの端子挿入空間に設けた端子抜止め用のランスの突起を後方から係止させるようにした端子金具において、
    前記連絡部には、前記左右両側壁の立ち上がり端縁から内側下向きに折り返されて前記側壁の内面にほぼ密着する形態とされた補強部が設けられ、
    前記補強部によって前記側壁が二枚重ね状態となっていることを特徴とする端子金具。
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