JP3745634B2 - 端子金具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コネクタハウジング内の端子収容室に挿入される端子金具に関し、詳しくは端子収容室内で後抜け防止のために形成される端子金具のターミナルランスの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の端子金具としては、例えば特開平10−134875号公報に記載されているようなものがある。すなわち、図7に示したような端子金具101は、雌型端子金具であり、相手側の雄型端子金具が挿入される角筒状の接続部103と、被覆電線を圧接した状態に保持して電気的に導通する電線保持部105とから構成されている。
【0003】
前記接続部103は、相手側の雄型端子金具と接触可能な弾性接触片107が前縁部から内側に折り返して形成されている。前記接続部103の天井壁109には、端子金具101を図示しないコネクタハウジングの端子収容室内の正規位置に案内するためのスタビライザ111が上方へ突出して設けられていると共に、端子収容室内に端子金具101を係止させて後抜けを防止するためのターミナルランス113が上方に所定角度で切り起こされている。このターミナルランス113は端子収容室に挿入されるとき下方に弾性変形して、所定位置に挿入された状態で上方へ戻り端子収容室内の係止部に係止される。
【0004】
図8に示したように、端子金具101を形成する金属薄板115の接続部103は、幅方向に5つの領域に分けて折り曲げられるようになっており、 その真ん中の領域が接続部103の底壁117となる。この底壁117の両側には両側壁119、119が設けられ、さらにその隣の領域が重ね合わされて天井壁109、121を構成するようになっている。
上述したターミナルランス113は、天井壁109に縁端部123(肉のつながり部分)を残すように切り欠かれて形成されている。なお、前述のスタビライザ111は、縁端部123を挟んでターミナルランス113の反対側に設けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の端子金具101においては、コネクタハウジングからの後抜けを防止するためのターミナルランス113が、端子金具101の天井壁109を形成する薄板金属の縁端部123を残して切り起こしているため、横幅を大きく取ることができず十分な保持力を確保できないという問題があった。
【0006】
また、ターミナルランス113は、端子金具101の二重に重ねて構成されている上側の天井壁109を構成する薄板金属115により形成されているため、外向きの外力が作用したときに捲れ易く、端子金具101がコネクタハウジングから後抜けするのを確実に防止することができないという問題があった。
本発明の目的は、上記従来の端子金具の問題点に着目してなされたものであり、ターミナルランスの強度を増すことにより確実に後抜け防止を図ることができる端子金具を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の端子金具は、導電性の薄板金属を折り曲げて角筒状に形成された接続部を一端部に有すると共に、コネクタハウジング内の端子収容室からの後抜け防止用のターミナルランスを有する端子金具であって、前記ターミナルランスは、前記接続部の幅方向に折り曲げた折り返し部を備え、全幅にわたって外側方向に所定角度折り曲げ形成されており、前記折り返し部が、前記接続部の一側面を二重に重ね合わせた第1側壁と、該第1側壁を形成する外側板の後方に連設された第2側壁とを有し、該第2側壁の後方を切り欠いて内側板を内側に折り返してコの字状に形成されていることを特徴とする。
従って、接続部の幅方向に折り返し部を設けることでターミナルランスの強度が著しく向上するとともに、接続部の全幅にわたってターミナルランスを形成することができるので、端子収容室内で安定的に係止することができる。よって、端子金具の後抜けを確実に防止することができる。
【0008】
また、前記折り返し部が、前記接続部の一側面を二重に重ね合わせて第1側壁を形成し、該第1側壁を形成する外側板の後方に連設された第2側壁の後方を切り欠いて内側板を内側に折り返すようにコの字状に折り曲げることで形成されているので、前記内側板の上方にターミナルランスの外側板が配置されるとともに、前記内側板の下方にターミナルランスの前記折り返し部が配置される。従って、コの字状のターミナルランスの縦方向の変位に対して前記内側板がストッパ部材として機能する。しかも、第2側壁を切り欠いて折り返し部を形成しているため、第1側壁の全幅にわたってターミナルランスを形成することができる。よって、ターミナルランスの縦方向の変位を確実に抑えることができ、一層安定した係止状態を確保することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の端子金具の一実施形態を図1乃至図6に基づいて詳細に説明する。図1は本実施形態の端子金具を示す斜視図、図2は図1における展開図、図3は図1におけるA−A線断面図、図4は図3におけるB−B線断面図、図5は本実施形態の端子金具のコネクタハウジング内への挿入時の作用を示す斜視図、図6は図5における挿入完了状態を示す断面図である。
本実施形態の端子金具1は、雌型であり、相手側の図示していない雄型端子金具が挿入される角筒状の接続部3と、被覆電線を圧接した状態に保持して電気的に接続する電線保持部5とを有している。
【0010】
図2に示すように端子金具1は、金属薄板を所定形状に打ち抜いて一次加工され、所定箇所を折り曲げて二次加工される。前記接続部3に対応する部分は、曲げ線9A、9B、9C、9Dにより区分されており、中央の底壁11の両外側(図中上下方向)には第2側壁としての側壁13、15と、この側壁13、15の外側に第1側壁としての天井壁17を構成する内側板19と外側板31が設けられている。
また、底壁11と両側壁13、15との間の曲げ線9B、9Cは右側端部に切欠き21、23が各々設けられており、底壁11の図中右端には、底壁11よりも幅が狭い弾性接触片25が突出するように設けられている。また、底壁11の一部は全幅に渡って切り欠かれて開口27が設けられている。
【0011】
また、前記天井壁17のうち、後述する組み付けの際に上側に重ねられる外側板31には、曲げ線29の図中左側にターミナルランス7が設けられている。このターミナルランス7は、L字状の切欠き33により外側板31に隣接する側壁13側に突出する折り返し部35を有している。すなわち、切欠き33は、曲げ線29を延長するように側壁13に切り欠かれ、曲げ線9Bに達する前に図2中左方向へ曲がって側壁13の左端部まで切り欠かれている。
また、この折り返し部35には曲げ線37、39が設けられており、各々内側へ折曲げられる。なお、曲げ線37と曲げ線39との間隔は、少なくとも下側の天井壁19の板厚(金属薄板の板厚)よりも大きく取られている。
【0012】
また、前記電線保持部5は、図2中左側に一対の電線被覆加締部41が設けられており、この電線被覆加締部41に近接(図中右側)して一対の心線加締部43が設けられている。
【0013】
次に、本実施形態の端子金具1の形成手順について説明する。
先ず、図2に示すように、上側の外側板31を曲げ線29に沿って曲げ上げると共に、弾性接触片25の先端を巻き込むように曲げ、さらに曲げ線45から折り返して形成される(図3参照)。
なお、上述したように、弾性接触片25の横幅は底壁11の幅よりも小さく形成されている。また、弾性接触片25上に突起49を設けて、挿入される雄型端子金具に確実に接触するように構成されている(図4参照)。
【0014】
次に、曲げ線9B、9Cを直角に曲げ上げて底壁11を形成した後、曲げ線9Dを直角に折り曲げて内側板19を底壁11と平行に形成する。
次に、曲げ線9Aを直角に折り曲げて外側板31を内側板19上に重ねて角筒状の接続部3を形成する。
次に、折り返し部35を曲げ線37に沿って内側に直角に曲げ下げて縦壁51を形成すると共に、曲げ線39を内側に直角に曲げて係止部53を形成する。
【0015】
また、前記電線保持部5は、電線接続前に接続部3の側壁13、15における曲げ線9B、9Cの延長線上に沿って曲げ上げると共に、電線接続時に一対の心線加締部43および電線被覆加締部41を電線の外側から電線を抱き込むようにして加締める。
【0016】
次に、本実施形態の端子金具のコネクタハウジング内への挿入作用を説明する。上述した構成の端子金具1は、図5に示すように弾性接触片25側を前にしてコネクタハウジング55の端子収容室57内に挿入すると、ターミナルランス7は端子収容室57の天井壁61に当接して押し下げ(図3中C方向)られる。
そして、端子金具1は、所定位置まで挿入されるとターミナルランス7が端子収容室57内部の係止凹部59に達して弾性力により上方へ跳ね上がる(図3中D方向)。これにより、図6に示すようにターミナルランス7の後端部が端子収容室57の天井壁61に設けられている係止段部63に係止され、端子金具1はコネクタハウジング55からの後抜けを確実に防止することができる。
【0017】
上述したように本実施形態の端子金具1は、ターミナルランス7が天井壁17の全幅にわたって設けられているので、ターミナルランス7の強度がアップすると共に、ターミナルランス7の折り返し部35を形成している縦壁51が補強部材として機能するのでターミナルランス7の剛性がアップして端子保持力が向上する。
【0018】
また、ターミナルランス7には内側板19の内側に回り込む係止部53が一体的に設けられているので、ターミナルランス7を起こす方向(図3中D方向)に外力が作用した場合に係止部53が内側板19の下面に当接する。このため、ターミナルランス7の上方への過大変位を阻止して、捲れるのを防止できるので、端子金具1のコネクタハウジング55内からの後抜けを確実に防止することができる。
なお、ターミナルランス7を解除する方向(図3中C方向)に外力が作用しても、ターミナルランス7は内側板19の上面に当接するため上記同様に過度な変形が阻止される。
【0019】
なお、上述した発明の実施形態の端子金具においては、接続部3の天井壁17を内側板19と外側板31の二重構成として、外側板31にターミナルランス7を設ける場合について説明したが、底壁11又は側壁13、15側に設けることも可能である。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の端子金具においては、ターミナルランスは、接続部の幅方向に折り曲げた折り返し部を備え、全幅にわたって外側方向に所定角度折り曲げ形成されている。
従って、ターミナルランスの強度が著しく向上するとともに、接続部の全幅にわたってターミナルランスを形成することができるので、端子収容室内で安定的に係止することができる。よって、端子金具の後抜けを確実に防止することができる。
【0021】
また、本発明の端子金具においては、前記折り返し部が、前記接続部の一側面を二重に重ね合わせて第1側壁を形成し、該第1側壁を形成する外側板の後方に連設された第2側壁の後方を切り欠いて内側板を内側に折り返すようにコの字状に折り曲げることで形成されている。
従って、前記内側板の上方にターミナルランスの外側板が配置されるとともに、前記内側板の下方にターミナルランスの前記折り返し部が配置されるので、コの字状のターミナルランスの縦方向の変位に対して前記内側板がストッパ部材として機能する。よって、ターミナルランスの縦方向の変位を確実に抑えることができ、外側への捲れ等を確実に防止して一層安定した係止状態を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の端子金具を示す斜視図である。
【図2】図1における展開図である。
【図3】図1におけるA−A線断面図である。
【図4】図3におけるB−B線断面図である。
【図5】本発明の端子金具のコネクタハウジング内への挿入時の作用を示す斜視図である。
【図6】図5における挿入完了状態を示す断面図である。
【図7】従来の端子金具を示す斜視図である。
【図8】図7における展開図である。
【符号の説明】
1 端子金具
3 接続部
7 ターミナルランス
17 天井壁(第1側壁)
19 内側板
31 外側板
35 折り返し部
51 縦壁
53 係止部
Claims (1)
- 導電性の薄板金属を折り曲げて角筒状に形成された接続部を一端部に有すると共に、コネクタハウジング内の端子収容室からの後抜け防止用のターミナルランスを有する端子金具であって、
前記ターミナルランスは、前記接続部の幅方向に折り曲げた折り返し部を備え、全幅にわたって外側方向に所定角度折り曲げ形成されており、
前記折り返し部が、前記接続部の一側面を二重に重ね合わせた第1側壁と、該第1側壁を形成する外側板の後方に連設された第2側壁とを有し、該第2側壁の後方を切り欠いて内側板を内側に折り返してコの字状に形成されていることを特徴とする端子金具。
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