JP3748279B2 - ハロゲン化銀カラー写真材料用補充液の調製方法 - Google Patents

ハロゲン化銀カラー写真材料用補充液の調製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料の組成物及び自動現像機に関し、特に、補充液の混合性を著しく向上し、補充液の調液を著しく簡便化した処理組成物及び自動現像機に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理は、基本的にはカラー現像と脱銀工程の2工程から成り、脱銀工程は漂白と定着工程あるいは、これらと併用もしくは単独で用いる一浴漂白定着工程より成っている。必要によりこの他に付加的な処理工程、すなわち、水洗、停止処理、安定化処理、現像促進などのための前処理などが加えられる。
ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理は、これらの工程の処理液に、補充液を加えながら連続的に行なうことが一般的である。連続的な処理により、処理液中の反応により消費される化合物例えばカラー現像液中の現像主薬やアルカリ剤、定着液中の定着剤などが減少し、感光材料から溶出する化合物例えば現像液中のハロゲンイオン、定着液中の銀などが増大する。この消費成分や蓄積成分の濃度を一定に保つために補充が行なわれる。
【0003】
この補充液は、安定性向上及び体積減少を目的に複数の濃縮パートに分割して供給されるのが一般的である。ユーザーは、複数の濃縮パートと水を混合して、補充液を調液する作業を行なっている。
最近のミニラボシステムでは、ミニラボの補充タンクで補充液を調液することが一般的であるが、補充タンク内の攪拌棒などで攪拌を必要とし、調液に時間や手間がかかるという欠点を有していた。
また、濃縮パートの混合は、非常に混ざりにくく、混合不良による析出や写真性変動トラブルの原因ともなっていた。
これに対して、公開特許公報 特開平2−264945号、WO86/04522などに、自動調液装置が開示されているが、ミニラボなどに使用するには、場所、コストの面で実用性が低く、また、補充液調液に時間がかかることには何ら改善が見られなかった。
この様に、補充液を簡便にかつ確実に行なう方法が強く望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の第1の目的は、補充液の調液が簡便化された処理組成物を提供することにある。本発明の第2の目的は、補充液の調液が簡便化された自動現像機を提供することにある。第3の目的は、補充液の調液に際し、攪拌が不要である処理組成物及び自動現像機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に対して検討した結果、その目的が以下に示す処理方法により達成されることを見い出した。
【0006】
(1) 2パートから成るハロゲン化銀カラー写真感光材料用補充液を水で希釈することなく混合して補充する補充方法であって、該2パートの補充液の比重及び液量が下記の式(I)を満足することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料用補充液の補充方法
式(I) 0.5≧A/B≧0.01
A=(先に投入するパート液の比重−1)×先に投入するパートの液量(リットル)
B=(後に投入するパート液の比重−1)×後に投入するパートの液量(リットル)
式(I)において、パート液の比重は1.001〜1.500であり、且つパート液の液量は0.005〜5リットルである。
【0007】
本発明者は、補充液パートを混合する際に攪拌を不要とするパート液の組成や、補充タンク構造を検討し、水での希釈が無く2パートの比重、液量が特定の関係にある場合、パート液を添加するだけで、混合可能であることを見い出したものである。
【0008】
以下、本発明の構成要件について詳細に説明する。
本発明において、処理組成物が2パートから成り、かつ、水で希釈することなく混合されることが必要である。水で希釈することなくとは、あくまでも調液水を用いないことを指すものであり、少量のタンク洗浄水や、蒸発補正水などの添加は除外される。
【0009】
次に式(I)について詳細に説明する。
式(I)においてA/Bは0.5以下0.01以上であることが必要である。A/Bが上記値以外の場合、攪拌をせずにパート液を混合すると、混合不良が発生し、本発明の目的を達成するものではない。
式(I)においてA/Bは、好ましくは0.45以下0.02以上であり、更に好ましくは0.40以下、0.025以上である。
式(I)において、パート液の比重は、1.001〜1.500であることが好ましく、1.003〜1.300であることが更に好ましい。
式(I)において、パート液の液量は、0.005〜5リットルであることが好ましく、0.01〜2.5リットルであることが更に好ましい。
【0010】
次に本発明において、好ましく用いられる自動現像機について説明する。
本発明において、補充タンク内で補充液を調液することが好ましく、補充タンクを自動現像機内に有することが好ましい。
また、本発明において、補充タンクで上記2パート構成の補充液を混合する際、補充液タンクのパート液の投入口と、補充タンク底面との高さの差が0.5〜1.0mである場合、パート液の混合性が著しく向上する。好ましくは高さの差が0.6〜0.9mである。
【0011】
次に、本発明において使用できる処理液について説明する。
本発明において、2パートから成る液体処理組成物は、いかなる工程の処理液にも適用される。例えば、カラー現像、漂白、定着、漂白定着、安定などであるがこれらに限定されるものではない。
【0012】
カラー現像液は、現像主薬を含有するアルカリ性水溶液である。カラー現像主薬としては、特開平6−347961号 P5〜6記載のパラフェニレンジアミン誘導体が好ましく用いられる。現像主薬の保恒剤として、亜硫酸塩、ヒドロキシルアミン、特開平6−347961号 P6記載の一般式(I)で示されるヒドロキシルアミン誘導体、同 P8記載の有機保恒剤を用いることができる。この中でもP6記載の一般式(I)で示されるヒドロキシルアミン誘導体、特に例示化合物I−7の使用が好ましい。また、特開平6−34796号 P8記載の一般式(II)で示される芳香族ポリヒドロキシ化合物を添加することが好ましい。
【0013】
カラー現像液は、その他に各種pH緩衝剤、各種キレート剤、各種現像促進剤、各種カブリ防止剤、各種蛍光増白剤を添加することができる。また、現像主薬の溶解性を向上する目的でp−トルエンスルホン酸を含有することが特に好ましい。
緩衝剤の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)などを挙げることができる。
該緩衝剤のカラー現像液及びカラー現像補充液への添加量は、0.1モル/リットル以上であることが好ましく、特に0.1モル/リットル〜0.4モル/リットルであることが特に好ましい。
【0014】
キレート剤の具体例としては、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンホスホン酸、トランスシロヘキサンジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸等が挙げられる。これらのキレート剤は必要に応じて2種以上併用しても良い。
これらのキレート剤の添加量はカラー現像液中の金属イオンを封鎖するのに充分な量であれば良い。例えば1リットル当り0.1g〜10g程度である。
【0015】
現像促進剤としては、特公昭37−16088号、同37−5987号、同38−7826号、同44−12380号、同45−9015号及び米国特許第3,318,247号等に表わされるチオエーテル系化合物、特開昭52−49829号及び同50−15554号に表わされるp−フェニレンジアミン系化合物、特開昭50−137726号、特公昭44−30074号、特開昭56−156826号及び同52−43429号等に表わされる4級アンモニウム塩類、米国特許第2,494,903号、同3,128,182号、同4,230,796号、同3,253,919号、特公昭41−11431号、米国特許第2,482,546号、同2,596,926号及び同3,582,346号等に記載のアミン系化合物、特公昭37−16088号、同42−25201号、米国特許第3,128,183号、特公昭41−11431号、同42−23883号及び米国特許第3,532,501号等に表わされるポリアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ピラゾリドン類、イミダゾール類、等を必要に応じて添加することができる。
【0016】
カブリ防止剤としては、塩化ナトリウム、臭化カリウム、沃化カリウムの如きアルカリ金属ハロゲン化物及び有機カブリ防止剤が使用できる。有機カブリ防止剤としては、例えばベンドトリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、インダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如き含窒素ヘテロ環化合物を代表例としてあげることができる。
【0017】
蛍光増白剤としては、トリアジニルスチルベン系化合物が好ましい。中でも特開平6−34796号 P10記載の一般式(SR)で示される化合物の使用が特に好ましい。
【0018】
また、上記以外に必要に応じて各種界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の具体例としては特開平4−195037号記載の一般式(I)及び(II)の化合物、特開平4−81750号記載の一般式(I)〜(X)の化合物を挙げることができる。
【0019】
カラー現像補充液を2パート構成とする場合、ヒドロキシルアミンと亜硫酸塩を別パートとすることが安定性という点で好ましい。また、現像主薬とヒドロキシルアミン誘導体、亜硫酸塩を同一パートとすることが安定性という点で好ましい。また、ヒドロキシルアミンを含有しないことが特に好ましい。
【0020】
次に本発明において、使用できる漂白能を有する処理液について説明する。漂白能を有する処理液とは具体的には漂白定着液を指す。漂白能を有する液は漂白剤を含有する。
漂白剤としては、例えば鉄(III) などの多価金属の化合物、過酸類、キノン類、ニトロ化合物等が用いられる。代表的漂白剤としては鉄(III) の有機錯塩、例えばエチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、メチルイミノ二酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、特開平4−121739号、第4ペ−ジ右下欄から第5ペ−ジ左上欄の1,3−プロピレンジアミン四酢酸鉄錯塩をはじめとする漂白剤、特開平4−73647号に記載のカルバモイル系の漂白剤、特開平4−174432号に記載のヘテロ環を有する漂白剤、N−(2−カルボキシフェニル)イミノ二酢酸第二鉄錯塩をはじめとする欧州特許公開第520457号に記載の漂白剤、エチレンジアミン−N−2−カルボキシフェニル−N,N’,N’−三酢酸第二鉄酢酸をはじめとする特開平5−66527号記載の漂白剤、欧州特許公開第501479号に記載の漂白剤、特開平4−127145号に記載の漂白剤、特開平3−144446号公報の(11)ページに記載のアミノポリカルボン酸第二鉄塩又はその塩が好ましく用いられる。これらのなかで特開平4−121739号、第4ペ−ジ右下欄から第5ペ−ジ左上欄の1,3−プロピレンジアミン四酢酸鉄錯塩をはじめとする漂白剤が好ましく、1,3−プロピレンジアミン四酢酸鉄錯塩が特に好ましい。
漂白能を有する液に含有される漂白剤濃度としては、本発明においては、0.003〜3.0モル/リットルの範囲が適当であり、0.02〜2.0モル/リットルの範囲が好ましく、0.05〜1.0モル/リットルの範囲が特に好ましい。
【0021】
漂白能を有する液中にジカルボン酸を含んでいることが好ましい。ジカルボン酸化合物とは1分子内にカルボキシル基を2つ有する飽和ジカルボン酸や不飽和ジカルボン酸、芳香族カルボン酸及びこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩を示す。
以下に好ましいジカルボン酸類の例を挙げるが、これに限定されるものではない。シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、フタル酸、ジグリコール酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられる。この中でも特に好ましいのが、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸であり、これらを2種以上組み合わせて使用することが好ましく、さらにこれらを2種または3種組み合わせて使用することが好ましく、特にコハク酸とマレイン酸の2種を併用することが最も好ましい。
【0022】
本発明の漂白能を有する液には、上記のジカルボン酸の他に酸解離定数(pKa) が2〜5.5である有機酸を使用することができる。具体的な化合物としては、酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸などがあげられる。
【0023】
本発明において脱銀処理浴には漂白剤の他に前述の特開平3−144446号公報の(12)ページに記載の再ハロゲン化剤、pH緩衝剤及び公知の添加剤、アミノポリカルボン酸類、有機ホスホン酸類等が使用できる。
また、本発明において、漂白液またはその前浴には、各種漂白促進剤を添加することができる。このような漂白促進剤については、例えば、米国特許第3,893,858号明細書、ドイツ特許第1,290,821号明細書、英国特許第1,138,842号明細書、特開昭53−95630号公報、リサーチ・ディスクロージャー第17129号(1978年7月号)に記載のメルカプト基またはジスルフィド基を有する化合物、特開昭50−140129号公報に記載のチアゾリジン誘導体、米国特許第3,706,561号明細書に記載のチオ尿素誘導体、特開昭58−16235号公報に記載の沃化物、ドイツ特許第2,748,430号明細書に記載のポリエチレンオキサイド類、特公昭45−8836号公報に記載のポリアミン化合物などを用いることができる。更に、米国特許第4,552,834 号に記載の化合物も好ましい。これらの漂白促進剤は感材中に添加してもよい。撮影用のカラー感光材料を漂白定着するときにこれらの漂白促進剤は特に有効である。特に好ましくは英国特許第1,138,842号明細書、特開平2−190856号に記載のようなメルカプト化合物が好ましい。
【0024】
次に本発明に使用される定着能を有する処理液について説明する。
本発明の定着能を有する処理液とは、具体的には、定着液、漂白定着液、定着安定液等を指すが、好ましくは定着液及び漂白定着液である。
定着液には定着剤が含有される。定着剤としては前記のチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸アンモニウムナトリウム、チオ硫酸カリウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸カリウムのようなチオシアン酸塩(ロダン塩)、チオ尿素、チオエーテル等をあげることができる。なかでもチオ硫酸塩が好ましい。チオ硫酸塩の好ましい使用量は定着液1リットル当り0.1〜3モル、好ましくは0.5〜1.5モルである。
【0025】
定着液には、保恒剤として亜硫酸塩(例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム)、ヒドロキシルアミン類、ヒドラジン類、アルデヒド化合物の重亜硫酸塩付加物(例えばアセトアルデヒド重亜硫酸ナトリウム)、特開平1−231051号明細書に記載のスルフィン酸化合物またはアルキルスルフィン酸(例えばメタンスルフィン酸アンモニウム、メタンスルフィン酸ナトリウム)などを含有させることができる。特にスルフィン酸類の添加が液安定性を向上する上で好ましい。さらに、各種の蛍光増白剤や消泡剤あるいは界面活性剤、ポリビニルピロリドン、メタノール等の有機溶剤を含有させることができる。
【0026】
さらに定着液には処理液の安定化の目的で各種アミノポリカルボン酸類や、有機ホスホン酸類等のキレート剤の添加が好ましい。好ましいキレート剤としては、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、ニトリロ酢酸二プロピオン酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、1,2−プロピレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン二コハク酸、1,3−プロピレンジアミン二コハク酸などのアミノポリカルボン酸をあげることができる。キレート剤の添加量としては、処理液1リットル当り0.01〜0.3モル、好ましくは0.03〜0.2モルである。
【0027】
本発明は定着促進剤あるいは定着剤、例えばチオシアン酸アンモニウム(ロダンアンモニウム)、チオ尿素、チオエーテル(例えば3,6−ジチア−1,8−オクタンジオール)、チオスルフィン酸(例えばメタンチオスルフィン酸アンモニウム、メタンチオスルフィン酸ナトリウム)を使用することが好ましい。使用するこれらの化合物の量は、定着液1リットル当り0.01〜1モル、好ましくは、0.1〜0.5モルで使用するのがよい。
【0028】
定着液や漂白定着液をこのようなpH領域に調整するため、また緩衝剤として、pKaが6.0〜9.0の範囲の化合物を含有することが処理液の安定性を向上させるため好ましい。これらの化合物としては、例えば、リン酸塩、あるいはイミダゾール、1−メチル−イミダゾール、2−メチル−イミダゾール、1−エチル−イミダゾールのようなイミダゾール類、トリエタノールアミン、N−アリルモルホリン、N−ベンゾイルピペラジン等があげられるが、最も好ましいのはイミダゾール化合物である。イミダゾール化合物の好ましいものは、特開平4−130432の一般式(I)で示される化合物であり、具体例は同明細書の(1)〜(12)のイミダゾール化合物である。これらの内、特に好ましいものは、イミダゾール及び2−メチルイミダゾールである。
これらの化合物は好ましくは、処理液1リットルあたり0.01〜2モル、好ましくは0.05モル〜0.5モルである。
【0029】
本発明において、漂白定着補充液を2パート構成とすることが、安定性という点で特に好ましい。漂白定着補充液を2パート構成とする場合、漂白剤と定着剤を別パートとすることが好ましい。また、定着剤と亜硫酸塩を、漂白剤とイミダゾールを同一パートとすることが特に好ましい。保恒剤としてスルフィン酸化合物を用いる場合、スルフィン酸は亜硫酸塩と別パートとし、漂白剤と同一パートとすることが特に好ましい。
【0030】
定着処理工程の後には、通常、水洗処理工程を行う。定着液で処理後、実質的な水洗を行わず安定液を用いた安定化処理を行う簡便な処理方法を用いることもできる。
【0031】
本発明の感光材料は、脱銀処理後、水洗及び/又は安定工程を経るのが一般的である。水洗工程での水洗水量は、感光材料の特性(例えばカプラー等使用素材による)、用途、更には水洗水温、水洗タンクの数(段数)、向流、順流等の補充方式、その他種々の条件によって広範囲に設定し得る。このうち、多段向流方式における水洗タンク数と水量の関係は、Journ-al of the Society of Motion Picture and Tele- vision Engineers第64巻、P. 248〜253 (1955 年5月号)に記載の方法で、求めることができる。前記文献に記載の多段向流方式によれば、水洗水量を大幅に減少し得るが、タンク内における水の滞留時間の増加により、バクテリアが繁殖し、生成した浮遊物が感光材料に付着する等の問題が生じる。本発明のカラー感光材料の処理において、このような問題が解決策として、特開昭62-288,838号に記載のカルシウムイオン、マグネシウムイオンを低減させる方法を極めて有効に用いることができる。また、特開昭57-8,542号に記載のイソチアゾロン化合物やサイアベンダゾール類、塩素化イソシアヌール酸ナトリウム等の塩素系殺菌剤、その他ベンゾトリアゾール等、堀口博著「防菌防黴剤の化学」(1986年)三共出版、衛生技術会編「微生物の滅菌、殺菌、防黴技術」(1982年)工業技術会、日本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事典」(1986年)に記載の殺菌剤を用いることもできる。
【0032】
また、安定液には色素画像を安定化させる化合物、例えば、ホルマリン、m−ヒドロキシベンズアルデヒド等のベンズアルデヒド類、ホルムアルデヒド重亜硫酸付加物、ヘキサメチレンテトラミン及びその誘導体、ヘキサヒドロトリアジン及びその誘導体、ジメチロール尿素、N−メチロールピラゾールなどのN−メチロール化合物、有機酸やpH緩衝剤等が含まれる。これらの化合物の好ましい添加量は安定液1リットルあたり0.001〜0.02モルであるが、安定液中の遊離ホルムアルデヒド濃度は低い方がホルムアルデヒドガスの飛散が少なくなるため好ましい。このような点から色素画像安定化剤としては、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン、N−メチロールピラゾールなどの特開平4−270344号記載のN−メチロールアゾール類、N,N′−ビス(1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ピペラジン等の特開平4−313753号記載のアゾリルメチルアミン類が好ましい。特に特開平4−359249号(対応、欧州特許公開第519190A2号)に記載の1,2,4−トリアゾールの如きアゾール類と、1,4−ビス(1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ピペラジンの如きアゾリルメチルアミン及びその誘導体の併用が、画像安定性が高く、且つホルムアルデヒド蒸気圧が少なく好ましい。また、その他必要に応じて塩化アンモニウムや亜硫酸アンモニウム等のアンモニウム化合物、Bi、Alなどの金属化合物、蛍光増白剤、硬膜剤、米国特許4,786,583号に記載のアルカノールアミンや、前記の定着液や漂白定着液に含有することができる保恒剤、例えば、特開平1−231051号公報に記載のスルフィン酸化合物を含有させることも好ましい。
【0033】
水洗水及び安定液には処理後の感光材料の乾燥時の水滴ムラを防止するため、種々の界面活性剤を含有することができる。中でもノニオン性界面活性剤を用いるのが好ましく、特にアルキルフェノールエチレンオキサイド付加物が好ましい。アルキルフェノールとしては特にオクチル、ノニル、ドデシル、ジノニルフェノールが好ましく、またエチレンオキサイドの付加モル数としては特に8〜14が好ましい。さらに消泡効果の高いシリコン系界面活性剤を用いることも好ましい。
【0034】
水洗水及び安定液中には、各種キレート剤を含有させることが好ましい。好ましいキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸などのアミノポリカルボン酸や1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N,N′−トリメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンホスホン酸などの有機ホスホン酸、あるいは、欧州特許345,172A1号に記載の無水マレイン酸ポリマーの加水分解物などをあげることができる。
【0035】
次に本発明において使用される自動現像機について説明する。
自動現像機には種々の部品材料が用いられるが、好ましい材料を以下に記載する。
処理槽及び温調槽等特に補充液タンクのタンク材質は、変性PPO(変性ポリフェニレンオキサイド)、変性PPE(変性ポリフェニレンエーテル)樹脂が好ましい。変性PPOは、日本ジーイープラスチック社製「ノリル」、変性PPEは、旭化成工業製「ザイロン」、三菱瓦斯化学製「ユピエース」等が挙げられる。また、これらの材質は、処理ラック、クロスオーバー等の処理液に接触する可能性のある部位に適している。
処理部のローラー材質は、PVC(ポリ塩化ビニル)やPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、TPX(ポリメチルペンテン)等の樹脂が適している。また、これらの材質は、その他の処理液接触部にも使用することが可能である。尚、PE樹脂はブロー形成による補充タンクの材質にも好ましい。
処理部、ギヤ、スプロケット、軸受などの材質には、PA(ポリアミド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、UHMPE(超高分子量ポリエチレン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、LCP(全芳香族ポリエステル樹脂、液晶ポリマー)等の樹脂が適している。
PA樹脂は、66ナイロンや12ナイロン、6ナイロン等のポリアミド樹脂で、ガラス繊維や炭素繊維等を含有したものは、処理液による膨潤に対して強く、使用可能である。
またMCナイロンの様な高分子量品やコンプレッション形成品は、繊維強化なしでも使用することが可能である。UHMPE樹脂は、未強化品が適しており、三井石油化学(株)製「リューブマ」、「ハイゼックス・ミリオン」作新工業(株)「ニューライト」、旭化成工業(株)「サンファイン」等が適している。分子量は、好ましくは100万以上、より好ましくは100万〜500万である。
PPS樹脂は、ガラス繊維や炭素繊維強化のものが好ましい。LCP樹脂は、ICIジャパン(株)「ビクトレックス」、住友化学(株)「エコノール」、日本石油(株)「ザイダー」、ポリプラスチックス(株)「ベクトラ」などが含まれる。
特に搬送ベルトの材質としては、特願平2−276886号記載の超高強力ポリエチレン繊維やポリフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
スクイズローラー等の軟質材料としては、発砲塩化ビニル樹脂や発砲シリコン樹脂、発砲ウレタン樹脂が適している。発砲ウレタン樹脂としては東洋ポリマー(株)製「ルビセル」が挙げられる。
配管の継手やアジテーションジェットパイプの継手、シール材などのゴム材質としては、EPDMゴム、シリコンゴム、バイトンゴムなどが好ましい。
【0036】
本発明に使用される補充カートリッジの材質は、紙、プラスチック、金属等いかなる材質でも用いることができるが、特に酸素透過係数が50ミリリットル/m2・atm ・day 以下のプラスチック材料が好ましい。尚、酸素透過係数は「O2 パーミエイション・オブ・プラスチック・コンテイナー、モダーン・パッキング」(O2 permeation of plastic container, Modern Packing; N.J.Calyan, 1968)の12月号、第143〜145頁に記載の方法により測定することができる。
好ましいプラスチック材料としては、具体的には塩化ビニリデン(PVDC) 、ナイロン(NY)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PES) 、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA) 、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVAL)、ポリアクリロニトリル(PAN) 、ポリビニルアルコール(PVA) 、ポリエチレンテレフタレート(PET) 等を挙げることができる。
本発明では、酸素透過性を低減する目的で、PVDC、NY、PE、EVA 、EVAL及びPET の使用が好ましい。
これらの材料は単一で使用し、整形して使用されても良いし、フィルム状にし、複数種貼り合わせて使用する方法(いわゆる複合フィルム)を用いても良い。また、容器の形状としては、瓶タイプ、キュービックタイプ、ピロータイプ等の各種形状を使用することができるが、本発明はフレキシブルで取扱性が容易で使用後減容化が可能なキュービックタイプ及びこれに類する構造が特に好ましい。
また、複合フィルムとして使用する場合は下記に示す構造が特に好ましいが、これらに限定されるものではない。PE/EVAL/PE、PE/アルミニウム箔/PE、NY/PE/NY、NY/PE/EVAL、PE/NY/PE/WVAL/PE、PE/NY/PE/PE/PE/NY/PE、PE/SiO2 膜/PE、PE/PVDC/PE、PE/NY/アルミニウム箔/PE、PE/PP/アルミニウム箔/PE、NY/PE/PVDC/NY、NY/EVAL/PE/EVAL/NY、NY/PE/EVAL/NY、NY/PE/PVDC/NY/EVAL/PE、PP/EVAL/PE、PP/EVAL/PP、NY/EVAL/PE、NY/アルミニウム箔/PE、紙/アルミニウム箔/PE、紙/PE/アルミニウム箔/PE、PE/PVDC/NY/PE、NY/PE/アルミニウム箔/PE、PET/EVAL/PE、PET/アルミニウム箔/PE、PET/アルミニウム箔/PET/PE、
【0037】
上記複合フィルムの厚みは5〜1500ミクロン程度であり、好ましくは10〜1000ミクロン程度である。また、完成容器の内容量は100ミリリットル〜20リットル、好ましくは5.00ミリリットル〜10リットル程度である。
上記容器(カートリッジ)は、ダンボールやプラスチックの外箱を有しても良く、外箱と一体形成にて作成されていても良い。
本発明のカートリッジには各種処理液を充填することができる。例えば、カラー現像液、黒白現像液、漂白液、調整液、反転液、定着液、漂白定着液、安定液等を挙げることができるが、特に酸素透過係数の低いカートリッジにはカラー現像液、黒白現像液、定着液及び漂白定着液を使用するのが好ましい。
【0038】
従来からの処理液用容器として、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の1層材料や、ナイロン/ポリエチレン(NY/PE)の様な多層材質を用いた剛性のある容器を使用することができる。
また、内容物を排出して空になった後に、容器の減容化、即ち、所要スペースを減少させやすい柔軟性を有する液体用容器を使用することができる。
本発明において、上記柔軟性を有する容器を用いることが好ましい。上記柔軟性を有する容器の具体例として、柔軟性を有する容器本体から上方へ突出した硬質の口部がこれに係合する蓋部材により開閉される液体用容器であって、容器本体と口部が一体成形されると共に、容器本体の高さ方向の少なくとも一部に蛇腹部を有する容器(特開平6−347961号図-1、2)をあげることができる。
【0039】
本発明は如何なる感光材料にも適用することができる。本発明において適用されるハロゲン化銀乳剤やその他の素材(添加剤など)および写真構成層(層配置など)、並びにこの感材を処理するために適用される処理法や処理用添加剤としては、下記の特許公報、特に欧州特許EP0,355,660A2号(特願平1−107011号)に記載されているものが好ましく用いられる。
【0040】
【実施例】
(実施例−1)
カラー現像液の補充液を下記のパート構成とし、補充タンクでの混合テストを行なった。混合テストは富士写真フイルム社製ミニラボFP−560Bの補充タンクを用いかつ、各パート添加後に全く攪拌しない条件で行なった。また補充タンクを改造し、パート液投入口を変えて、底面の高さとの差を第1表に示す様に変化させた。
混合性の評価は、全パート投入後に、補充タンク底面から2cm部及び液面から2cm部からそれぞれ50ml液を採取し、現像主薬、ヒドロキシルアミンを分析した。各パートが完全に混合された場合の濃度を100とし、上記サンプルの分析値を換算した結果を第1表に示した。
【0041】
Figure 0003748279
【0042】
Figure 0003748279
【0043】
【表1】
Figure 0003748279
【0044】
【表2】
Figure 0003748279
【0045】
第1表の結果から、2パート構成で、水で希釈することなく混合し、かつ、2パート液の比重及び液量の関係を示すA/Bの値が本発明の範囲(0.5≧A/B≧0.01)である場合、補充タンク上部液と下部液の濃度が共に完全に攪拌された場合の濃度に非常に近く、本発明の効果がわかる。
本発明の中でも0.40≧A/B≧0.025であることが特に好ましいことがわかる。
また、補充タンクのパート投入口から底面までの高さの差が0.5〜1mである場合に本発明の効果が著しいことがわかる。
【0046】
(実施例−2)
漂白定着液の補充液を下記のパート構成とし、補充タンクでの混合テストを実施例−1と同様にして行なった。ただし、混合テストには富士写真フイルム社製ミニラボプリンタープロセッサーPP1820V の補充タンクを用い、混合性評価には、エチレンジアミン鉄錯塩(EDTA・Fe) 、チオ硫酸アンモニウム(ATS) を分析し、各パートが完全に混合された場合の濃度を100として上記分析値を換算した結果を第2表に示した。
【0047】
Figure 0003748279
【0048】
Figure 0003748279
【0049】
【表3】
Figure 0003748279
【0050】
【表4】
Figure 0003748279
【0051】
第2表の結果から、2パート構成で、水で希釈することなく混合し、かつ、2パート液の比重及び液量の関係を示すA/Bの値が本発明の範囲(0.5≧A/B≧0.01)である場合、補充タンク上部液と下部液の濃度が共に完全に攪拌された場合の濃度に非常に近く、本発明の効果がわかる。
本発明の中でも0.40≧A/B≧0.025であることが特に好ましいことがわかる。
また、補充タンクのパート投入口から底面までの高さの差が0.5〜1mである場合に本発明の効果が著しいことがわかる。
【0052】
【発明の効果】
本発明により、補充液調液の簡便性が著しく向上し、攪拌することなく、補充液パート液を補充タンクに投入するだけで調液作業が終了可能となった。

Claims (1)

  1. 2パートから成る補充液を水で希釈することなく混合するハロゲン化銀カラー写真感光材料用補充液の調製方法であって、2パートの補充液の比重及び液量が下記の式(I)を満足することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料用補充液の調製方法。
    式(I) 0.5≧A/B≧0.01
    A=(先に投入するパート液の比重−1)×先に投入するパートの液量(リットル)
    B=(後に投入するパート液の比重−1)×後に投入するパートの液量(リットル)
    式(I)において、パート液の比重は1.001〜1.500であり、且つパート液の液量は0.005〜5リットルである。
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