JP3747423B2 - ルアー及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、魚釣りに用いるルアー及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のルアーは、合成樹脂等で魚に似せて形成され中空部を有するルアー本体と、ルアー本体頭部に設けられ釣糸を係止可能な係止部と、ルアー本体内部に配置された錘と、ルアー本体腹部および尾部に連結されたフックとを有している。このルアーは、中空部を形成した1対の半割り部材の所定の位置に錘を配置し、この1対の半割り部材を開口側で貼り合わせて製造されるものである。そして、釣糸係止部に釣糸を係止し、狙ったポイントにキャスティングして釣りを行う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の1対の半割り部材を貼りあわせて製造したルアーでは、キャスティング時に投げる方向を誤ってルアーを障害物にぶつけてしまうと、貼りあわせ面から割れて壊れてしまう場合がある。ここで、壊れにくいルアーを提供するためには、貼りあわせ面を有さないルアーを製造する必要がある。このような貼りあわせ面を有さないようなルアーの製造方法として、例えば、合成樹脂素材を型に注入して固めて一体成型する方法が考えられる。
【0004】
しかし、合成樹脂素材を型に注入してルアーを一体成型する場合でも、ルアーでは、前後方向及び左右方向のバランスをとるために、その素材中の正確な位置に錘を配置する必要がある。錘のこのルアー内部に配置される錘の位置が正確に定まらなければ、ルアーは正確な方向にキャスティングできず、また、しなやかな泳動姿勢をとり得ない。
【0005】
本発明の課題は、壊れにくくかつ全体のバランスに優れたルアー及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明1にかかるルアーの製造方法は、以下の工程を含む。
◎左右から中央に向かって突出し所定の位置に錘を挟持可能な1対の挟持柱を有するルアー本体成型用金型に錘を挟持させる工程。
◎金型に素材を注入してルアー本体をインサート成形する工程。
◎インサート成型により製造されたルアー本体の挟持柱跡に挿入部材を挿入し固定する工程。
【0007】
この場合には、1対の挟持柱に錘を挟持させて錘を所定の位置に配置した状態で、ルアー本体成型用金型に素材を注入するので、所望の位置に錘を配置してルアー本体を一体成型できる。この一体成型されたルアーは貼りあわせ面を有さず、キャスティング時に障害物にぶつかっても壊れにくい。また、所定の位置に錘を配置できるので、ルアー全体のバランスも良好に調整できる。
【0008】
また、金型より取り出したルアーに形成されている挟持柱跡には、挿入部材を挿入することができ、ルアーの左右のバランスをとりつつ装飾物を取り付けることが可能である。
発明2にかかるルアーの製造方法は、発明1の方法であって、ルアー本体は魚に似せて形成され、挟持柱はルアー本体の目に該当する箇所に配置されている。
【0009】
この場合には、金型より取り出したルアーに形成されている挟持柱跡がルアー本体の目に該当する部分であり、ここに魚の目に似せた挿入部材を挿入する。この結果、より外形を魚に似せることができ、魚に強くアピールできる。
発明3にかかるルアーの製造方法は、発明1または2の方法であって、1対の挟持柱の先端面はそれぞれ凹凸部が形成されている。
【0010】
この場合には、凹凸部が錘を挟持する際に生じる錘のずれを防止する。また、1対の挟持柱は、一定の力を加えながら錘を挟持するので、挟持時に錘の表面に凹凸を印圧する。この錘に印圧された凹凸は挿入部材を挿入する際、挿入部材と錘との接着面に該当するので、挿入部材の安定性がより向上することになる。
発明4にかかるルアーの製造方法は、発明1〜3のいずれかの方法であって、錘に連結されたワイヤ部材をさらに有し、ルアー本体成型用金型に錘を挟持させる工程はワイヤ部材の一部がルアー本体より外部にはみ出るようにワイヤ部材を配置する。
【0011】
この場合には、錘とともにルアー本体を形成する素材内に配置されるワイヤ部材が、ルアーの強度を向上させる。また、ルアー本体の外部にはみ出るように配置されたワイヤ部材の一部が、ライン(釣糸),フック(釣針)等を連結する連結部となる。この結果、別途連結部材を取り付ける必要がなくなり製造が容易になる。また、ワイヤ部材の一部が形成する連結部は引っ張り強度に優れているので、ルアーの耐久性もさらに向上する。
【0012】
発明5にかかるルアーは、魚釣りに用いるルアーであって、魚形状で目の付近に左右から中央に向かって形成された孔を有する一体成型されたルアー本体と、孔から表面の一部が露出するようにルアー本体の頭部付近内部に埋め込まれた錘と、孔に左右から挿入された1対の挿入部材とを備えている。
【0013】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(構成の概要)
本発明の第1実施形態を採用したルアーは、図1に示すように、プラスチック製のルアー本体1と、ルアー本体1の頭部上面に連結され釣糸を係止可能な釣糸係止部2と、ルアー本体1の腹部及び尾部付近にそれぞれ設けられたアイ(止め輪)3,4とを有している。そして、アイ3,4にはそれぞれスプリットリング5,6を介してフック7,8が連結されている。また、図2に示すように、ルアー本体1の頭部両側面の目の付近には左右から中央に向かって1対の孔11,12が形成されている。そして、ルアー本体1の頭部付近内部には、孔11,12から表面の一部が露出するように錘10が挿入されている。さらに、この孔11,12にはそれぞれ挿入部材20が挿入されている。
【0014】
ルアー本体1は、外形を魚に似せて形成された中実部材である。表面に魚に似せて様々な模様が施されている。後に詳しく説明するように、このルアー本体1は、金型にプラスチィック素材を注入し固化して一体成形した部材である。
錘10は金属製の楕円球状部材である。例えば、鉛,タングステン,またはこれらの合金等から製造されている。そして、ルアー本体1の成型時に所定の位置に配置されインサートされたものである。また、挿入部材20は、プラッスチックまたは金属製の部材であり、魚の目に似せて加工されている。そして、孔11,12にそれぞれ挿入され、接着剤等で接着され固定されている。
【0015】
(製造方法)
このルアーは、以下のように製造される。
図3(a)に示すように、1対の金型30a,30bを用意する。この金型30a,30bは、ルアー本体1の外形に合わせて加工された左右対称のものである。それぞれの金型31a,30bは、ルアー本体1の目に該当する部分に、中央に向かって突出し錘10を挟持可能な1対の挟持柱31,32を有している。また、この挟持柱31,32の先端面は凹凸が形成されており凹凸面31a,32aとなっている。この1対の挟持柱31,32で錘10を所定の位置に挟み込んで固定しながら、1対の金型30a,30bを開口側で貼りあわせる。
【0016】
続いて、図3(b)に示すように、貼りあわせた金型30a,30b内に、ルアー本体1を形成する流体状のプラスチック素材Lを注入する。プラスチック素材Lは、例えば、熱可塑性プラスチックであるABS,ポリカーボネート等を用いることができる。さらに、ルアー本体1を形成する素材Lとしては、ウレタン樹脂やABS樹脂等を発泡させたものを用いてもよい。
【0017】
その後、プラスチック素材Lを加熱固化し、図3(c)に示すように、金型30a,30bから取り外す。この際、挟持柱31,32の跡に孔11,12が形成されることになる。孔11,12から露出している錘10の表面は、挟持柱31,32に挟持されたときに、凹凸面31a,32bによって凹凸が印圧され、印圧面10aが形成されている。この印圧面10a及び孔11,12の内壁面に接着剤を塗布し、魚の目に似せて形成した1対の挿入部材20を孔11,12にそれぞれ挿入して固定する。
【0018】
このルアーでは、1対の挟持柱31,32に錘10を挟持させて錘10を所定の位置に配置した状態で、ルアー本体1を一体成型している。この一体成型されたルアー本体1は貼りあわせ面を有さず、キャスティング時に障害物にぶつかっても壊れにくい。また、所定の位置に錘10を正確に配置できるので、ルアー全体のバランスも良好である。また、金型30a,30bより取り出したルアーに形成されている孔11,12には、挿入部材20を挿入することができ、ルアーの左右のバランスをとりつつ装飾物を取り付けることができる。さらに、錘10を挟持柱31,32が挟持する際に、錘10の表面に凹凸を印圧し印圧面10aを形成するので、挿入部材20の接着安定性が向上する。
【0019】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
本発明の第2実施形態を採用したルアーは、第1実施形態と同様に、プラスチック製のルアー本体1と、ルアー本体1の頭部上面に連結され釣糸を係止可能な釣糸係止部2と、ルアー本体1の腹部及び尾部付近にそれぞれ設けられたアイ(止め輪)3,4とを有している。また、ルアー本体1の頭部両側面の目の付近には左右から中央に向かって1対の孔11,12が形成されている。そして、ルアー本体1の頭部付近内部には、孔11,12から表面の一部が露出するように錘10が挿入されている。さらに、この孔11,12にはそれぞれ挿入部材20が挿入されている。
【0020】
また、図4に示すように、ルアー本体1の内部には、錘10に連結された3つのワイヤ部材40〜42が配置されている。ワイヤ部材40は、両端が錘10に連結されている。そして、一部がルアー本体1の頭部上方から飛び出した状態で折り返されており、この折り返し部分40aが釣糸を係止可能な釣糸係止部になっている。また、ワイヤ部材41,42もそれぞれ両端が錘10に連結されており、一部がそれぞれルアー本体1の腹部,尾部から飛び出した状態で折り返されている。そして、この折り返し部分がフックを連結可能な連結部41a,42aとなっている。
【0021】
この本発明の第2実施形態を採用したルアーも、第1実施形態と同様に製造される。具体的には、挟持柱31,32によってワイヤ部材40〜42が連結された錘10を所定の位置に挟持しつつ、金型30a,30b内に収納する。この際、ワイヤ部材40〜42の折り返し部40a〜42aがルアー本体1から飛び出すようにする。その後、プラスチック素材Lを金型30a,30b内に注入し、加熱固化してこのルアーを製造する。
【0022】
このルアーは、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。また、ルアー本体1内にワイヤ部材40〜42が配置されているので、ルアーの強度が向上する。さらに、釣糸係止部やフックを連結する連結部がワイヤ部材40〜42の一部であり、釣糸やフックの引っ張り強度に優れ、耐久性がさらに向上する。
[他の実施形態]
(a)挿入部材20を孔11,12に挿入する代わりに、魚の目に似せて印刷されたシール部材を孔11,12を塞ぐようにルアー本体1に貼り付けてもよい。
(b)錘10を配置する位置は、ルアー本体1の頭部付近に限定されるものではない。例えば、腹部や尾部付近に錘10を配置するべく、挟持柱31,32を所定の位置に形成した金型30a,30bを用意し、これを用いてルアーを製造してもよい。
【0023】
【発明の効果】
本発明にかかるルアーは、ルアー本体が貼りあわせ面を有していないので、障害物等にぶつかっても壊れにくい。また、所定の位置に正確に錘を配置できるので、全体のバランスに優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を採用したルアーの全体図。
【図2】本発明の第1実施形態を採用したルアーの断面図。
【図3】本発明の第1実施形態にかかるルアーの製造過程を示す図。
【図4】本発明の第2実施形態を採用したルアーを示す図。
【符号の説明】
1 ルアー本体
10 錘
11,12 孔
20 挿入部材
30a,30b 金型
31,32 挟持柱
40〜42 ワイヤ部材
Claims (5)
- 魚釣りに用いるルアーの製造方法であって、
左右から中央に向かって突出し所定の位置に錘を挟持可能な1対の挟持柱を有するルアー本体成型用金型に錘を挟持させる工程と、
前記金型に素材を注入してルアー本体をインサート成形する工程と、
前記インサート成型により製造されたルアー本体の前記挟持柱跡に挿入部材を挿入し固定する工程と
を含むルアーの製造方法。 - 前記ルアー本体は魚に似せて形成され、前記挟持柱は前記ルアー本体の目に該当する箇所に配置されている、請求項1に記載のルアーの製造方法。
- 前記1対の挟持柱の先端面はそれぞれ凹凸部が形成されている、請求項1または2に記載のルアーの製造方法。
- 前記錘に連結されたワイヤ部材をさらに有し、
前記ルアー本体成型用金型に錘を挟持させる工程は、前記ワイヤ部材の一部がルアー本体より外部にはみ出るようにワイヤ部材を配置する、請求項1〜3のいずれかに記載のルアーの製造方法。 - 魚釣りに用いるルアーであって、
魚形状で目の付近に左右から中央に向かって形成された孔を有するルアー本体と、
前記孔から表面の一部が露出するように前記ルアー本体の頭部付近内部に埋め込まれた錘と、
前記孔に左右から挿入された1対の挿入部材と
を備えたルアー。
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