JP3744223B2 - 光源装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は光源装置に関する。特に、液晶プロジェクター等の投影機器に使用される光源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶プロジェクターなどに使用される光源装置には、光源ランプとして、メタルハライドランプや超高圧水銀ランプといった放電ランプが使用される。この放電ランプからの放射光は凹面反射鏡により集光され、さらにインテグレータレンズ等の各種光学レンズでスクリーンでの照度が均一になるように工夫され、液晶面に照射される。
【0003】
例えば、光源ランプとして使用されるショートアーク型放電ランプは、点灯時には、発光管内の圧力が20〜150atm程度の動作圧のものがあるが、通常使用されるランプ寿命の期間内において、発光管が劣化して放電ランプが破損する恐れもある。また、放電ランプが破損すると破片が外部に飛散して危険であり、また非常に大きな破裂音が発生する。
【0004】
この破損対策として、凹面反射鏡の前面開口を光透過性ガラスで覆い、万一放電ランプが点灯中に破損しても、その破片が外部に飛散しないようにし、また、光透過性ガラスで覆うことによって破裂音を消音して大きな破裂音が聞こえないようにした光源装置が知られている。このような光源装置は、例えば特開平5−251054号公報に開示されている。
【0005】
このように、凹面反射鏡の前面開口を光透過性ガラスで覆うと凹面反射鏡がほぼ完全に密封空間になるので、点灯時に凹面反射鏡がきわめて高温になる。具体的には、凹面反射鏡の鏡面温度がきわめて高温になり蒸着膜の耐熱温度を超えたり、あるいは反射鏡の内面と外面の間で大きな温度差を生じた場合に蒸着膜のヒビ割れ等の熱劣化や反射鏡が熱により大きなクラックや割れ等の破裂を起こすことがある。
【0006】
【発明がしようとする課題】
この発明が解決しようとする課題は、凹面反射鏡の前面開口を光透過性ガラスで覆う内部に放電ランプを有する光学装置において、凹面反射鏡の鏡面を効率良く冷却できる構造を提供することである。
【0007】
上記課題を解決するために、前面開口が光透過性ガラスで覆われた凹面反射鏡の首部に光軸が一致するように放電ランプが固定され、この放電ランプは略水平に配置される光源装置において、前記放電ランプはショートアーク型水銀ランプであり、前記凹面反射鏡は内面に蒸着膜が施されており、前記首部には冷却排風穴を有するとともに、前面開口の下側周縁部には冷却送風穴を有し、この冷却送風穴は、凹面反射鏡の鏡面の放電ランプより上側に向かって形成され、前記冷却送風穴から導入された冷却風は、放電ランプより上側の鏡面に直接あたった後、放電ランプの発光部と封止部を冷却しつつ、前記冷却排風穴に向かって流れることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の光源装置の実施例を示す。放電ランプ10は凹面反射鏡20(以下、「反射鏡」ともいう)の中に略水平になるように配置され、反射鏡20の前面開口には光透過性ガラス30が配置される。
【0009】
放電ランプ10は、例えば、150Wのショートアーク型水銀ランプであって、発光部11の中に一対の電極を有し、発光部11の両端には封止部12が形成される。封止部12の中には金属箔が埋設され、この金属箔の一端には電極が接続されるとともに、他端には外部リードが接続される。
【0010】
反射鏡20の首部21にはスリーブ22が接着剤により取り付けられ、続いて放電ランプの一方の封止部12に、接着剤、ランプベース23を介してスリーブ22と接続する。このようにして反射鏡20と光軸を一致、あるいは略一致させて放電ランプが固定される。反射鏡20の前面開口側に位置する外部リードは、反射鏡20に貫通穴を設けて外部に出している。あるいは、放電ランプ10のそばを通し、首部21から外部に出すことも可能である。
【0011】
光透過性ガラス30は光透過性ガラス固定枠31に接着剤などで固定される。この固定枠31には冷却送風穴40が設けられる。また、反射鏡20の首部21に接合させるスリーブ22には冷却排風穴50が設けられる。冷却送風穴40には冷却風を運ぶパイプなどが連設される場合がある。
【0012】
この光源装置において、冷却風は、送風穴40から凹面反射鏡20の鏡面に直接あたり、反射鏡の首部に向かって流れる。この冷却風の流れを矢印Aで示す。そして、凹面反射鏡20の鏡面を効果的に冷却するとともに、あわせて放電ランプの封止部や発光部をも冷却することができる。
【0013】
通常、光源装置の使用される液晶プロジェクター等の投影装置(不図示)では装置内の吸気ファンから冷却風を取り入れ、排気ファンから冷却風を排気する。これによって、液晶板等の光学系、電源部、ランプ等を冷却する構成が取られている。
そして、本発明の光源装置は、吸気ファンと排気ファンの間にあって、冷却風の流れの経路内に配置されることにより、冷却風が光源装置内を通過して効率良く凹面反射鏡の鏡面を冷却できる。
【0014】
図3は本発明の光源装置が液晶プロジェクター等の装置に組み込まれた状態を示すものである。液晶プロジェクター等の装置32の中に本発明にかかる光源装置1が配置される。液晶プロジェクター等の装置32の壁の一部には吸気ファン33が取り付けられ、また、吸気ファン33の取り付けられた壁と異なる他の壁には排気ファン34が取り付けられる。光学装置1は仕切壁35によって吸気ファン40と排気ファン50の間に差圧を形成する。これによって、吸気ファン33から排気ファン34に流れる風の流れが形成されるわけである。このような差圧値が形成されているのは光学装置1に光透過性ガラス30が設けられているからにほかならない。
【0015】
ここで、凹面反射鏡20は、例えば材質の一例を示すと、一般的に硼珪酸ガラスが使われる。
この場合の硼珪酸ガラスには、熱膨張率が32〜38×10-7/℃付近のものが使われ、最高使用温度460〜490℃、通常使用温度230℃、耐熱衝撃は肉厚3.3mmのガラスでは温度差160℃迄耐えるものである。つまり、このような仕様に冷却条件を設定しなければならないわけである。
【0016】
また、反射鏡が高温になり耐熱性等が必要になる場合は結晶化ガラスが使われる。この結晶化ガラスは硼珪酸ガラスに比べて耐熱性、熱膨張率が優れている。一例をあげると、熱膨張率は、4.1×10-7/℃、最高使用温度600℃、通常使用温度500℃、耐熱衝撃は肉厚3.3mmのガラスでは温度差400℃迄耐える。
【0017】
また、このような凹面反射鏡20の鏡面には、酸化ケイ素(SiO2)と酸化チタン(TiO2)の多層膜蒸着が施される。この場合の使用温度は450℃程度以下にしなければならない。
【0018】
光透過性ガラス30には硼珪酸ガラスが一般的に使用される。取り付け方については発光管が破損する場合を想定して、発光管破損時の瞬時的な力で、外れないように止め具を用いるなどができる。
なお、光透過性ガラス30は、反射鏡20とともにインテグレータレンズとして構成させることもできる。この場合は、反射鏡20、光透過性ガラス30を各々、同じ数のエリアに分割させて、1つのエリア同士は一対一に対応させるものである。このような反射鏡と光透過性ガラスでインテグレータレンズを構成させることで均一な光の照射をコンパクトな構造で達成させることができる。この技術については、詳しくは、本出願人の先願である特開平9−185008号を参照されたい。
【0019】
図2は図1に示した光源装置の正面図を示す。反射鏡20と光透過性ガラス30の固定枠31には複数の送風穴41、42が設けられる。いずれの送風穴もまず凹面反射鏡の鏡面にあたるように形成されている。
ここで、送風穴が固定枠の下側に設けられている理由は、凹面反射鏡の鏡面は下方より上方のほうが高温になるので、下側から上側に向けて冷却風を導いているのである。
【0020】
次に、本発明の光源装置の効果を示す実験を示す。
図1、図2に示した光源装置と同様のものを使った。ランプは定格消費電力150Wの交流点灯型のものを使い、冷却風の送風は12Vのプロペラファンを使って、上記送風穴41、42から送風して冷却を行なった。そして、点灯後40分程してほぼ安定した時の温度は以下の通りである。ここで、実験1、実験2は光源装置の送風穴位置と排風穴位置での圧力差を調整し冷却風量を変えたもので、実験1は圧力差2.7mmH2O、冷却風量9.0リットル/min、実験2は圧力差1.76mmH2O、冷却風量6.5リットル/minである。
これらは液晶プロジェクター等の用途で使用されるときの一般的な数値を適用している。なお、圧力差の増減は送風穴径や穴数を変えることで可能となり、さらに、表における限界値とは、各々その値以上になると上記弊害を生じるとされる数値である。
【0021】
【表1】
Figure 0003744223
【0022】
この結果、実験1、実験2の両方において、各温度は限界値より許容な数値となり、凹面反射鏡の内面に対して直接冷却風をあてるような構造であっても、放電ランプの発光管、封止部をも良好に冷却できることを表している。
【0023】
なお、本発明では、放電ランプは定格130W以上で点灯するものに特に有効であり、また、凹面反射鏡の前面開口は最大開口径が80mm以下であることが好ましい。
【0024】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の送風穴、排風穴を有する光源装置とすることによって、発光管上部の冷却と同時に凹面反射鏡の前面開口側に位置するランプ封止部の冷却をも可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光源装置の一実施例の断面図を示す。
【図2】 本発明の光源装置の正面図を示す。
【図3】 本発明の光源装置が液晶プロジェクター等の装置に組み込まれた状態を示す。
【符号の説明】
10 放電ランプ
20 反射鏡
30 光透過性ガラス
40 冷却送風穴
50 冷却排風穴

Claims (1)

  1. 前面開口が光透過性ガラスで覆われた凹面反射鏡の首部に光軸が一致するように放電ランプが固定され、この放電ランプは略水平に配置される光源装置において、
    前記放電ランプはショートアーク型水銀ランプであり、前記凹面反射鏡は内面に蒸着膜が施されており、
    前記首部には冷却排風穴を有するとともに、前面開口の下側周縁部には冷却送風穴を有し、この冷却送風穴は、凹面反射鏡の鏡面の放電ランプより上側に向かって形成され、
    前記冷却送風穴から導入された冷却風は、放電ランプより上側の鏡面に直接あたった後、放電ランプの発光部と封止部を冷却しつつ、前記冷却排風穴に向かって流れることを特徴とする光源装置。
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