JPH11111046A - ショートアークメタルハライドランプ用光学装置およ びそれを用いた液晶プロジェクタ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 側方から冷却される構造の液晶プロジェク
タ装置内のショートアークメタルハライドランプ用光学
装置において、ショートアークメタルハライドランプ発
光管の局部的な温度差を少なくするように発光管を位置
させることで、発光管の熱歪みを緩和させ、ランプ点滅
による破裂の可能性を少なくしたショートアークメタル
ハライドランプ用光学装置を提供する。 【解決手段】 ショートアークメタルハライドランプ
が組み合わされて配置され、反射面が球面または放物面
または楕円面等よりなる凹面状反射鏡と、前記ショート
アークメタルハライドランプのアーク軸が、前記凹面状
反射鏡の光軸上に位置され、直流点灯される光学装置と
よりなり、該光学装置の側方からの冷却風が直接、発光
管の排気管封止部に吹きつけられ、前記冷却風が前記発
光管の排気管封止部の反対側に吹き抜けるるように、発
光管の排気管封止部を位置させたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、外管を設けずに発
光管と反射鏡とを組み合わせて用いられる、主に映像用
機器、あるいは光学用機器の光源であるショートアーク
メタルハライドランプ用光学装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、液晶パネルとレンズ等の光学系と
を組み合わせて大型スクリーンに映像を投影するように
構成した液晶プロジェクタ装置が普及している。そし
て、該液晶プロジェクタ装置内には、外管を用いない発
光管のみで構成されるショートアークメタルハライドラ
ンプと反射鏡とを組み合わせた光学装置が、使い易さ、
色再現性あるいは明るさの面から主流となって使用され
ている。

【０００３】また、液晶プロジェクタ装置全体を小型軽
量化し、更に使い易くする上で、直流点灯用のショート
アークメタルハライドランプが使用されている。これ
は、前記液晶プロジェクタ装置に内蔵する安定器とし
て、直流点灯用安定器が小型で安価にできるからであ
る。さらに、特に液晶パネルを使用したプロジェクタ装
置では、液晶パネルの光透過角度に制限があるため、反
射鏡による光の角度の制御が、光の有効利用の点から重
要となってくる。そのため、反射鏡の焦点に光が集まる
ように、ショートアークメタルハライドランプが、より
点光源に近い、アーク長の短いものが使用されてきてい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、直流点
灯では、陽極部が高温となり、陰極部との温度差がで
き、発光管の局部的な温度差が生じる。また、短アーク
化では、発光管の温度のバラツキが多くなり、最冷部領
域が拡大して、封入金属の発光の偏りが起きるととも
に、発光管の局部的な温度差を生じる部分が多くなる。

【０００５】このように発光管の小型化は、発光管の局
部的な温度差を生じさせる要因となり、発光管の構成物
質である石英ガラスに熱歪みを発生させやすくする。特
にランプが側方から冷却されるような構造の液晶プロジ
ェクタ装置の場合、発光管の排気管封止部の位置によっ
ては、熱歪みの発生が冷却風によって助長されたり、熱
歪みが発光管の排気管封止部付近に集中したりして、点
滅の繰り返しでランプが破裂してしまうという問題があ
る。

【０００６】本発明は、側方から冷却される構造の液晶
プロジェクタ装置における上記問題点を解決するために
なされたものであり、ショートアークメタルハライドラ
ンプの発光管の局部的な温度差を少なくするように発光
管を配置させることで、発光管の熱歪みを緩和させ、ラ
ンプ点滅による破裂の可能性を少なくしたショートアー
クメタルハライドランプ用光学装置およびそれを用いた
液晶プロジェクタ装置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め、請求項１記載の発明は、石英管の両端に一対の電極
を具備し、両電極間のアーク長が２．０ｍｍ以下で、内
部に少なくとも水銀、希ガス、金属ハロゲン化物を封入
し、内容積が０．２ｃｃ以下である一重管構造の発光管
をアーク軸が水平となるよう配置したショートアークメ
タルハライドランプと、該ショートアークメタルハライ
ドランプが組み合わされて配置され、反射面が球面、放
物面または楕円面等よりなる凹面状反射鏡と、前記ショ
ートアークメタルハライドランプのアーク軸が、前記凹
面状反射鏡の光軸上に位置され、直流点灯される光学装
置とよりなり、該光学装置の側方からの冷却風が直接、
発光管の排気管封止部に吹きつけられ、前記冷却風が前
記発光管の排気管封止部の反対側に吹き抜けるように、
発光管の排気管封止部を位置させたことを特徴とするシ
ョートアークメタルハライドランプ用光学装置である。

【０００８】請求項２記載の発明は、前記ショートアー
クメタルハライドランプの電極封止部の断面形状が、長
方形または楕円形状からなり、該断面形状の表面積が小
さい方を風上側に配置させたことを特徴とする請求項１
記載のショートアークメタルハライドランプ用光学装置
であり、請求項３の発明は、請求項１または、請求項２
記載の光学装置を組み込んだことを特徴とする液晶プロ
ジェクタ装置である。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下本発明を図に基づいて説明す
る。図１は、本発明に係わるショートアークメタルハラ
イドランプ用光学装置の一実施例を示す概略断面図であ
る。(ａ)は風上側の側面図で、(ｂ)は平面図を示す。石
英ガラス製発光管１の両端には陽極２ａ，陰極２ｂが封
止部に埋め込み固定されている。陽極２ａ，陰極２ｂ間
距離、すなわちアーク長は１．５ｍｍであり、３は電極
封止部で、４は口金となっている。

【００１０】このようにして形成された発光管１の最大
外径は９．０ｍｍで、内容積は０．１８ｃｃで、発光管
１内には、封入添加物として、ＤｙＩ₃−ＮｄＩ₃−Ｃｓ
Ｉをそれぞれ重量比で８：２：５としたものを０．６ｍ
ｇと、始動用アルゴンを３３２５０Ｐａと、バッファガ
スとしての水銀を封入している。

【００１１】なお、５は電極２ａ、２ｂに接続されたモ
リブデン箔で、外部リード線に接続されるようになって
いる。陰極２ｂの埋設部付近には白色のアルミナシリカ
からなる耐熱保温兼反射膜６が塗布されている。発光管
１は、コールドミラー付反射鏡７の底部にセメントで口
金４を介して固定し、ショートアークショートアークメ
タルハライドランプ用光学装置を構成している。

【００１２】また、図２は本発明の液晶プロジェクタ装
置内での冷却機構を示す概略断面図であり、８は発光管
の排気管封止部、９はショートアークメタルハライドラ
ンプ用光学装置、１０はランプボックス、１１は前面ガ
ラス、１２は冷却ファンとなっている。

【００１３】実験１として、上記実施例のショートアー
クメタルハライドランプ用光学装置を側方から冷却され
る構造の液晶プロジェクタ装置内に入れ、定格電力(１
３０Ｗ)の１．５倍の１９５Ｗを入力し直流点灯させ、
２時間４５分点灯、１５分消灯の点滅試験を行なった。
点灯延べ時間が２０時間に達したところで、歪み計にて
発光管の熱歪みの観察を行った。

【００１４】図３は実験１の説明図で、発光管の排気管
封止部を風上側に配置したランプＡ(図３(ａ)）、発光
管の排気管封止部を風下側に配置したランプＢ(図３
(ｂ)）、発光管の排気管封止部を点灯方向に対し上側に
配置したランプＣ(図３(ｃ)）をそれぞれｎ＝５で試験
を行なった結果を表１に示す。なお、冷却風量は発光管
上部(図３Ｐ点)が９００℃になるように設定されてい
る。表中、◎は熱歪みの発生があまりない、○は熱歪み
の発生がややある、△は熱歪みの発生がある、×は熱歪
みの発生が局部的にあることを示す。

【００１５】

【表１】

【００１６】図４は実験１における各ランプの熱歪みの
発生箇所１３を斜線で図示したもので、発光管の排気管
封止部を冷却風の風上側に配置させたランプＡ(図４
(ａ))では、風上側の発光管の側面全体がほぼ均一に冷
却されて、熱歪みができる面積の割合が小さく、局部的
な熱歪みの発生もない。

【００１７】また、風下に発光管の排気管封止部を配置
させたランプＢ(図４(ｂ))では、発光管の排気管封止部
付近だけが緩やかに冷却され、発光管の排気管封止部付
近とそれ以外の部分とで、部分的な温度差が生じて熱歪
みができる面積の割合も大きくなっているが、局部的な
熱歪みの発生はない。しかし、発光管の排気管封止部を
上側に配置させたランプＣ(図４(ｃ))では、冷却風によ
り発光管の風上側半分だけは冷却されるが、発光管の排
気管封止部付近は冷却されないため、発光管の排気管封
止部付近に局部的な熱歪みが発生し、最も破裂する可能
性が高いものとなる。

【００１８】なお、比較的アーク長が長く、内容積の大
きいランプでは、発光管の排気管封止部を冷却風の風上
に位置させると発光管全体を冷却することが難しくな
り、発光管の排気管封止部のみが冷却されて、局部的な
温度差が生じて、熱歪みが局部的にできる。

【００１９】実験２として、発光管の最大外径１１．０
ｍｍ、内容積２．６ｃｃ、アーク長を３．０ｍｍとし
て、発光管の排気管封止部を冷却風の風上になるように
位置させ、実験１と同様の点滅試験を行なったところ、
点灯延べ時間５時間で、試験数５本のうち２本が発光管
の排気管封止部の局部的な熱歪みによる発光管の破裂が
発生した。アーク長や内容積を変化させた、このような
実験を繰り返し行なった結果、アーク長２．０ｍｍ、内
容積０．２ｍｍ以下であれば、発光管の局部的な温度差
を生じさせないことが判明した。

【００２０】請求項２における電極封止部の断面形状及
び配置の規定の理由は以下の通りである。ランプが直流
点灯のため、陽極はかなりの高温になる。特にこの陽極
封止部断面形状を、長方形や楕円形状の様な縦横比の同
一ではない形状とすれば、前記形状の表面積が小さい方
を冷却風に対し、風上側に配置させることで冷却風に直
接当たる部分が小さくなり、冷却風による局部的な温度
差の発生をなくして、熱歪みの発生を少なくできるから
である。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
冷却風が光学装置の側方から吹きつけられる構造の液晶
プロジェクタ装置において、光学装置の側方から冷却風
が直接、発光管の排気管封止部に吹きつけられ、冷却風
が前記発光管の排気管封止部の反対側に吹き抜けるよう
にショートアークメタルハライドランプを配置させるこ
とで、発光管の局部的な温度差を生じさせず、発光管の
熱歪みの発生を緩和させ、発光管が破裂することのない
ショートアークメタルハライドランプ用光学装置を得る
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す概略断面図である。

【図２】本発明の一実施例を示す液晶プロジェクタ装置
内での冷却機構を示す概略断面図である。

【図３】実験１のショートアークメタルハライドランプ
用光学装置を正面から見た場合の説明図である。

【図４】実験１の結果における各ランプの熱歪みの発生
箇所を表わす説明図である。

【符号の説明】

１ 発光管 ２ａ 陽極 ２ｂ 陰極 ３ 電極封止部 ４ 口金 ５ モリブデン箔 ６ 耐熱保温兼反射膜 ７ 反射鏡 ８ 排気管封止部 ９ ショートアークメタルハライドランプ用光学装
置 １０ ランプボックス １１ 前面ガラス １２ 冷却ファン １３ 熱歪みの発生箇所

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】石英管の両端に一対の電極を具備し、両電
   極間のアーク長が２．０ｍｍ以下で、内部に少なくとも
   水銀、希ガス、金属ハロゲン化物を封入し、内容積が
   ０．２ｃｃ以下である一重管構造の発光管をアーク軸が
   水平となるよう配置したショートアークメタルハライド
   ランプと、該ショートアークメタルハライドランプが組
   み合わされて配置され、反射面が球面、放物面または楕
   円面等よりなる凹面状反射鏡と、前記ショートアークメ
   タルハライドランプのアーク軸が、前記凹面状反射鏡の
   光軸上に位置され、直流点灯される光学装置とよりな
   り、該光学装置の側方からの冷却風が直接、発光管の排
   気管封止部に吹きつけられ、前記冷却風が前記発光管の
   排気管封止部の反対側に吹き抜けるように、発光管の排
   気管封止部を位置させたことを特徴とするショートアー
   クメタルハライドランプ用光学装置。
2. 【請求項２】前記ショートアークメタルハライドランプ
   の電極封止部の断面形状が、長方形または楕円形状から
   なり、該断面形状の表面積が小さい方を風上側に配置さ
   せたことを特徴とする請求項１記載のショートアークメ
   タルハライドランプ用光学装置。
3. 【請求項３】請求項１または、請求項２記載の光学装置
   を組み込んだことを特徴とするショートアークメタルハ
   ライドランプ用光学装置を用いた液晶プロジェクタ装
   置。