JP4806460B2 - 高圧放電ランプ、ランプユニット及び画像表示装置 - Google Patents
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Description
本発明に係る画像表示装置は、前記ランプユニットを備えることを特徴とする。
[高圧放電ランプ及びランプユニットの概略構成]
図1は、本実施形態に係るランプユニットを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は側面図である。図1に示すように、ランプユニット100は、本実施の形態に係る高圧放電ランプ101と、反射鏡102と、ハウジング103とを備える。
また、発光部111は、発光管110の管軸Zと前記発光管110の内面との接点Sから前記発光部111の中心(放電空間113の中心)Oまでの長さWが約4[mm]であり、前記中心Oを通り且つ前記管軸Zに直交する垂直軸YOと前記発光管110の内面との接点TOから前記中心Oまでの長さCO(中心Oに相当する部分の内径半径)が約2.0[mm]であり、前記中心Oと前記接点Sとの中間点Mを通り且つ前記管軸Zに直交する垂直軸YMと前記発光管110の内面との接点TMから前記中間点Mまでの長さ(中間点Mに相当する部分の内径半径)CMが約1.7[mm]であり、前記発光管110における封止部近傍部分114の最小肉厚Xが約1.95[mm]である。
なお、発光部111に関する各寸法は上記に限定されず、高圧放電ランプ101の仕様により適宜変更可能である。但し、高圧放電ランプ101を小型にするために、長さWは3.0〜5.0[mm]、長さCOは1.5〜3.0[mm]である。また、配光特性に優れた高圧放電ランプ101とするために、長さCMと長さCOとは、CM/CO≧0.8の関係を満たす。さらに、発光管110が破損し難いように、最小肉厚Xと最大外径Dとは、X/D≧0.2の関係を満たす。それらの理由についての詳細は後述する。
各電極130は、例えば、タングステン製の電極ピン131と、当該電極ピン131の先端に巻装され融着されたタングステン製のコイル132とを有する。それら電極130は、先端が放電空間113で約0.95[mm]の間隔をあけて互いに対向し、且つ、基端が封止部112に封止された状態で、略一直線上に並べて配設されている。なお、一対の電極130の先端間の間隔すなわちアーク長は、高圧放電ランプを点光源に近づけるために、0.5〜2.0[mm]の範囲であることが好ましい。
[mm]、短手方向の幅が約1.5[mm]、肉厚が約20[μm]である。なお、金
属箔140に関する各寸法は上記に限定されないが、長手方向の幅は10〜20[mm]、短手方向の幅は1.0〜2.0[mm]、肉厚は10〜30[μm]の範囲であることが好ましい。
反射鏡102は、高圧放電ランプ101の一方の封止部112が取着されるネック部161と、前記高圧放電ランプ101から出射された光をハウジング103側に反射する回転楕円曲面163と、を有する漏斗形状のダイクロイック反射鏡であって、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、又は結晶化ガラスなどの耐熱性に優れた材料をプレス成形したものである。
また、回転楕円曲面163は、OF2Rの角度がOF2Qの角度以下である(図2に示す例では、角OF2Rと角OF2Qとは同じ角度である)。ここで、OF2Rの角度とは、中心Oを前記回転楕円曲面163の第1焦点F1に合わせた場合に、前記中心Oと、前記回転楕円曲面163の第2焦点F2と、前記一対の封止部のうちのネック部161に取着されていない方の封止部112の端面外周縁Rと、がなす角OF2Rの角度をいう。また、OF2Qの角度とは、前記中心Oと、前記第2焦点F2と、前記発光部の外面と前記垂直軸YOとの接点Qと、がなす角OF2Qの角度をいう。また、回転楕円曲面163の長軸半径Aと短軸半径Bとが、0.4≦(A−B)/A≦0.6の関係を満たす。したがって、高圧放電ランプ101は配光特性に優れている。それらの理由についての詳細は後述する。
本体171の互いに対向する一対の側壁173には、外気をそれぞれ本体171内に取り込むための冷却窓174が設けられており、反射鏡102とハウジング103とに囲まれた高圧放電ランプ101を効率的に冷却できるようになっている。したがって、高圧放電ランプ101の発光部111及び封止部112の温度を好適に維持することができ、熱による前記発光部111の劣化・破損が起こり難い。なお、各冷却窓174には、防塵のためのフィルター175が取り付けられている。
次に、発光部111に関する各寸法の好適範囲を説明すると共に、その臨界的意義について説明する。
<X/D≧0.2について>
図4は、X/Dと発光管の破損との関係を示す図であって、(a)は水銀密度が0.3[mg/mm3]の場合の関係を示す図、(b)は水銀密度が0.4[mg/mm3]の場合の関係を示す図である。図中における値は、破損数/評価サンプル数である。
なお、水銀密度が0.4[mg/mm3]の場合は、水銀密度が0.3[mg/mm3]の場合と比べて、X/D<0.20未満の場合に、発光管の破損数が若干増大した。これは水銀密度が高くなったために水銀蒸気圧が高くなったことが影響していると推察できる。
まず、最大外径Dは、放電空間113の大きさと発光部111のガラスの厚みによって決まるが、放電空間には一定の大きさが必要であるため、高圧放電ランプを小型化するためには最大外径Dを小さくせざるを得ず、その結果、封止部近傍部分のガラスの肉厚は薄くならざるを得ない。
<CM/CO≧0.80について>
CM/COが配光特性に与える影響を調べるために、CM/COが異なる3種の仕様の高圧放電ランプを作製して、それらの配光特性を評価した。各高圧放電ランプは、いずれも、最大外径Dが9.0[mm]、長さCOが2.0[mm]、発光部の外面の曲率半径が5.45mm[mm]である。配光特性は、中心Oを中心に発光管を360°回転させながら、中心Oから約30cm離れた位置に設けた照度計によりランプ点灯時の照度を測定して評価した。
図8(a)に示すように、従来の反射鏡の一例としての□50mm反射鏡は、例えば、第1焦点距離f1が6.5[mm]、第2焦点距離f2が150[mm]、楕円扁平率(A−B)/Aが0.59であって、発光管から放射された光に対する有効反射領域は、中心Oからネック部側に48.31[°]、開口側に39.59[°]の幅を有する。
また、一般に、回転楕円曲面は、ネック部側端縁付近においては面精度が悪くなる傾向にあり、開口側端縁付近においては膜厚が他の箇所に比べて薄くなる傾向にあるのに対して、中央付近においてはそのような傾向が少ない。しかも、前記中央付近は、反射効率に対する重み付けが高く、スクリーン光束に対する影響度が高い。このような事情からも、CM/COが0.85cの高圧放電ランプは、反射鏡と組み合わせるのに好適である。
図3に示すように、長さCOが1.5〜3.0[mm]、且つ、長さWが3.0〜5.0[mm]の場合は、発光部111の内面がなだらかな円弧形状となるため、放電空間113から発光部111のガラスに入射する光は、垂直軸YOとのなす角度が小さくなる。これにより、配光特性は中央部分にピークを持つ分布になる。そのため、有効反射領域の小さい小型の反射鏡と組み合わせても光束の絶対量が低下し難く、小型・薄型の画像表示装置に有効である。
一方、長さWが3.0[mm]未満の場合は、発光中心と封止部112の発光部近傍部分116との距離が近づき過ぎ、封止部112の発光部近傍部分116の温度が高くなり過ぎるため、発光管110に破損が生じるおそれがある。また、始動時に電極のタングステンがスパッタして内面に付き易いなどの不具合を生じる。また、長さWが5.0[mm]を超える場合は、発光部111の封止部近傍部分114が発光中心から離れすぎるために温度が低くなり、水銀が全て気化しなくなるため光束が低下する。
所望の形状の発光部を得るための発光管の製造方法について説明する。例えば、外径6[mm]、内径2[mm]、長さ1200[mm]の石英管を4等分して、300[mm]のカット管を得る。このカット管の両端を回転式のチャックで保持し、前記カット管を回転させながら前記カット管の中央部分をガスバーナーで過熱して軟化させる。その際、カット管の両端からアルゴンや窒素などの不活性ガスをカット管内に吹き込み、発光部の内面形状を形成する。また、同時に、カット管の中央部分の外周に金型治具を設けて加熱により膨らんだ部分を挟み込んで、発光部の外面形状を形成する。発光管の発光部については、このようにバーナー火力や不活性ガスの圧力、カット管の両端から中央部に押し込む力や速度などの条件を調整して加工形成する。
<角OF2Rと角OF2Qの角度について>
図2に示すように、高圧放電ランプ101と反射鏡102とは、中心Oと回転楕円曲面163の第1焦点F1とが一致するように位置合わせされている。そして、発光管110から発せられた光は回転楕円曲面163における領域G〜Hの範囲で反射する。当該領域G〜Hの範囲で反射する光は、その全てが回転楕円曲面163の第2焦点F2に集束するのが理想である。
具体的には、例えば、封止部112の先端の径を小さくすることで、角OF2Rの角度を角OF2Qの角度以下にすることができる。すなわち、図2において仮想線で示すように封止部112の先端の径が一定であり、角OF2R’の角度が角OF2Qの角度よりも大きくなってしまう場合において、前記封止部112の先端の径を小さくすれば、角OF2Rの角度を角OF2Qの角度以下にすることが可能である。
図2に示すように、回転楕円曲面163は、長軸半径Aと短軸半径Bとが、0.4≦(A−B)/A≦0.5の関係を満たすことが好ましい。例えば、□35mm反射鏡の場合、長軸半径Aを32.4[mm]、短軸半径Bを16.971[mm]、第1焦点距離f1を4.8[mm]、第2焦点距離f2を60[mm]とすれば、小型でスクリーン光束が高い反射鏡を得ることができる。この場合、(A−B)/Aは約0.48となり、平行化レンズ172への入射角は約19[°]となる。
一方、(A−B)/A<0.4の場合、回転楕円曲面163の第2焦点F2に設置される平行化レンズ172(図1参照)への入射角が大きくなるため、平行化レンズ172の表面において無駄な反射が生じ光束がロスする。なお、例えば、第1焦点距離f1が約1[mm]の両凹レンズを平行化レンズ172として用いる場合、光束のロスを抑えるためには入射角を26.6[°]以下にしなければならない。
[高効率の確認実験]
高効率化に対する本発明の効果を確認するため、以下の実験を行なった。
本発明の発光管を備えた高圧放電ランプ(最大外径Dが9.0[mm]、発光管外面の曲率半径が5.45[mm]、長さCOが2.0[mm]、CM/COが0.8、長さWが4.0[mm]、水銀密度が0.3[mg/mm3])を□35mm反射鏡(第1焦点距離f1が4.8[mm]、第2焦点距離f2が60[mm])に組み込んでランプユニットを作製した。そして、この作製したランプユニットを電力200[W]にて点灯させ、アパーチャー径5φを通過させた出射光を積分球に集めてその照度[lx]を測定した。また、比較のために、従来の発光管を備えた高圧放電ランプ(最大外径Dが10.2[mm]、発光管外面の曲率半径が5.1[mm]、長さCOが2.2[mm]、CM/COが0.72、長さWが4.0[mm]、水銀密度が0.3[mg/mm3])を□50mm反射鏡(第1焦点距離f1が6.5[mm]、第2焦点距離f2が150[mm])に組み込んでランプユニットを作製し、作製したランプユニットに対して本発明の高圧放電ランプと同じ条件にてその照度を測定した。なお、アパーチャー径5φは各々の反射鏡の第2焦点位置に設け、出射光を通過させている。
<実験2>
次に、実験1で用いた従来の発光管を備えた高圧放電ランプを□35mm反射鏡に同様に組み込んでランプユニットを作製し、実験1と同条件でアパーチャーφ5を通過させた出射光による照度を測定した。
実験2より、単純に反射鏡を小型化すると反射鏡の有効反射領域が狭くなり、また図8に基づく説明で述べたように、発光管の配光特性に寄与するCM/COが0.8未満であると封止部近傍の光束が照度に活かされなかったことが照度低下の要因であると推定できる。
[画像表示装置]
図9は、本実施の形態に係る画像表示装置の一例を示す一部破断斜視図であって、内部の様子がわかるように筐体の天板を取り除いている。図9に示すように、本実施の形態に係る第1の画像表示装置200は、前方に設置したスクリーン(図示しない)に向けて画像を投影する投射型のフロントプロジェクタであって、DLP(登録商標)方式を採用している。当該画像表示装置200は、筐体201内に、光源としてのランプユニット100、DMD(登録商標)や3色のカラーフィルタからなるカラーホイール(いずれも図示しない)などを有する光学ユニット202、前記DMDなどを駆動制御する制御ユニット203、投射レンズ204、冷却ファンユニット205、及び、商用電源から供給される電力を前記制御ユニット203やランプユニット100に適した電力に変換して供給する電源ユニット206などが収納された構成を有する。
[変形例]
以上、本発明に係る高圧放電ランプ、ランプユニット及び画像表示装置を実施の形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明の内容は、上記の実施の形態に限定されず、例えば以下のような変形例が考えられる。
図11及び図12は、第1の変形例に係るランプユニットの発光部周辺を示す断面図である。なお、図11及び図12における符号「G」、「N」及び「N’」は、図2における符号「G」、「N」及び「N’」と同じ意味をなす。
図11に示すように、第1の変形例に係るランプユニットの反射鏡102には、回転楕円曲面163のネック部側(図11における左側)に、さらに球面反射面164が形成されている。
しかしながら、回転楕円曲面163の第1焦点F1を中心とする球面反射面164を、少なくとも領域G〜Nに相当する領域をカバーするように形成すれば、回転楕円曲面163の領域G〜Nで反射され発光部111に遮られるはずだった光を、前記球面反射面164で反射させ中心Oに集束させることができる。中心Oに集束した光は、その後、中心Oを通過し、発光部111を通り抜け、回転楕円曲面163で反射されて、第2焦点F2に集束する。このように、発光部111による光束ケラレでロスするはずであった光を有効に活用することができるため、ランプユニットの集束効率が向上し、スクリーン光束が大きくなる。
角OF2Rの角度が角OF2Qの角度よりも大きい場合は、図12に示すように、少なくとも領域G〜N’に相当する領域をカバーするように球面反射面164を形成すれば良い。これにより、封止部112による光束ケラレでロスする分の光束も有効に活用することができる。
図13は、第2の変形例に係るランプユニットを示す断面図である。図13に示すように、第2の変形例に係るランプユニットは、高圧放電ランプ101と反射鏡102とがベース104により接合されている。
ベース104は、キャップ状であって、封止部112が挿通される挿通孔181を頂部に有し、外気を前記ベース104内に取り込むための一対の通風窓182を側部に有する。ベース104と反射鏡102とは、前記ベース104を前記反射鏡102のネック部161に外嵌させた状態で接着剤などにより固着されている。また、ベース104と高圧放電ランプ101とは、高圧放電ランプ101の封止部112を挿通孔181に挿通させた状態で接着剤などにより固着されている。高圧放電ランプ101と反射鏡102とをベース104によって接合する構成であるため、ネック部161と封止部112との隙間にはセメントが充填されておらず、前記隙間には空気が通るようになっている。
101 高圧放電ランプ
102 反射鏡
103 ハウジング
110 発光管
111 発光部
112 封止部
161 ネック部
163 回転楕円曲面
164 球面反射面
130 電極
174 冷却窓
200,300 画像表示装置
Claims (8)
- 内部に水銀が封入され且つ一対の電極の先端が対向配置された略球状の発光部と、当該発光部の両側に延設され前記電極の基端が封止された封止部とを有する発光管を備えた高圧放電ランプであって、
前記水銀の封入量が0.2〜0.4[mg/mm3]であり、
前記発光管の管軸Zと前記発光管の内面との接点Sから前記発光部の中心Oまでの長さWが3.0〜5.0[mm]であり、
前記中心Oを通り且つ前記管軸Zに直交する垂直軸YOと前記発光管の内面との接点TOから前記中心Oまでの長さCOが1.5〜3.0[mm]であり、
前記中心Oと前記接点Sとの中間点Mを通り且つ前記管軸Zに直交する垂直軸YMと前記発光管の内面との接点TMから前記中間点Mまでの長さCMと、前記長さCOとが、CM/CO≧0.8の関係を満たし、
前記発光管の外面における前記発光部と前記封止部との境界から前記発光管の内面までの最短長さX[mm]と、前記発光部の最大外径D[mm]とが、X/D≧0.2の関係を満たす
ことを特徴とする高圧放電ランプ。 - 定格電力Pが100〜300[W]であり、
前記最大外径D[mm]と前記定格電力Pとが、D≦0.02×P+6の関係を満たすことを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。 - 請求項1又は2に記載の高圧放電ランプと、
当該高圧放電ランプの一方の封止部が取着されるネック部と前記高圧放電ランプから出射された光を反射する回転楕円曲面とを有する反射鏡と
を備えることを特徴とするランプユニット。 - 前記反射鏡の前記ネック部側とは反対側に取り付けられたハウジングをさらに備え、当該ハウジングに冷却窓が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のランプユニット。
- 前記中心Oを前記回転楕円曲面の第1焦点F1に合わせた場合に、
前記中心Oと、前記回転楕円曲面の第2焦点F2と、前記一対の封止部のうちの前記ネック部に取着されていない方の封止部の端面外周縁Rと、がなす角OF2Rの角度が、
前記中心Oと、前記第2焦点F2と、前記発光部の外面と前記垂直軸YOとの接点Qと、がなす角OF2Qの角度以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載のランプユニット。 - 前記回転楕円曲面の長軸半径Aと短軸半径Bとが、0.4≦(A−B)/A≦0.6の関係を満たすことを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載のランプユニット。
- 前記反射鏡は、前記回転楕円曲面の前記ネック部側に、前記回転楕円曲面の第1焦点F1を中心とする球面反射面をさらに有することを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載のランプユニット。
- 請求項3から7のいずれかに記載のランプユニットを備えることを特徴とする画像表示装置。
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