JP3744160B2 - 映像信号処理方法及び映像信号処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮像装置(例えばビデオカメラ等)に適用されるものであって、いわゆる2チャンネル出力全画素読み出し方式の固体撮像素子にて撮像して生成された映像信号に対して、信号処理を施す映像信号処理方法及び映像信号処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の固体撮像素子(Charge Coupled Devise:CCD)は、例えばNTSC(National Television System Committee)放送方式の2:1インターレース走査に合わせ、2ラインの信号電荷を垂直CCD中で混合するフィールド蓄積モードにて、通常は使用されている。このフィールド蓄積モードは、各画素信号が時間的に殆どズレを生じさせず、高速な電子シャッタが可能であるという長所があるものの、垂直解像度が画素数の半分の240TV本しか得られないという欠点がある。
【0003】
一方で、フレーム蓄積モードのCCDでは、各画素信号を混合せずに読み出すようになされているので、水平解像度と略々同等の480TV本の垂直解像度を得ることが可能であるが、1ラインおきに蓄積時間が1フィールド期間(1/60秒)ずれるので、例えば被写体が動いている場合に映像が流れてしまう。したがって、フレーム蓄積モードのCCDを使用する撮像装置では、このフレーム蓄積モードを使用することで解像度を確保し、機械式シャッタまたはストロボによって動きのある被写体に対応するようになされている。しかし、この撮像装置は、ストロボや機械式シャッタを要するために構成の小型化が困難であり、コストも上昇するという欠点がある。
【0004】
このようなことから、近年は、1フィールド期間内に全画素の信号電荷を独立に読み出し、混合せずに出力することで、動きの速い被写体であっても高い水平解像度及び垂直解像度を得ることができる、いわゆる全画素読み出し方式のCCDを使用する撮像装置が登場している。
【0005】
ただし、この全画素読み出し方式のCCDは、1フィールド期間に出力する信号が、同じ画素数のインターレース走査のCCDの2倍(すなわち2倍の転送速度が必要)であるため、水平、垂直CCDともに、インターレース走査のCCDとは異なる構造となされている。すなわち、全画素読み出し方式のCCDは、例えば垂直CCDに3層電極の3層駆動垂直CCDを用い、水平CCDには例えば2チャンネルの水平CCD構造が採用されている。
【0006】
当該全画素読み出し方式のCCDからの2チャンネルの信号は、各チャンネル毎に、それぞれアンプによる増幅、相関二重サンプリング(CDS)回路による相関二重サンプリング処理、さらに自動利得制御(AGC)回路による利得制御等のアナログ処理が施された後、アナログ/デジタル変換器にてデジタル信号に変換されて信号処理回路に送られることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、2チャンネル出力の全画素読み出し方式CCDを使用した場合、上述のように、各チャンネルを、それぞれ別系統で独立して設けられているアンプ、相関二重サンプリング回路、自動利得制御回路等のアナログ回路に通すことになるため、これら各チャンネルのアナログ回路のバラツキ等により、各チャンネル間で信号レベルにバラツキ(すなわちレベル差或いはゲイン差)が発生してしまう。
【0008】
このように、チャンネル間で信号のレベル差が発生すると、後に表示デバイス上への表示を行う時に、そのレベル差に起因するフリッカが発生してしまうことになる。
【0009】
なお、従来のフィールド蓄積モードのCCDでは、フィールド2ライン分を混合して1ラインを生成していたので、2チャンネル出力の全画素読み出し方式CCDのような信号レベル差は発生しない。
【0010】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、2チャンネル出力の全画素読み出し方式の固体撮像素子を使用した場合において、各チャンネル毎に独立して設けられているアンプや相関二重サンプリング、自動利得制御等のバラツキの影響を取り除き、結果としてフリッカを抑圧することが可能な映像信号処理方法及び映像信号処理装置の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る映像信号処理方法は、上述の課題を解決するために、全画素読み出し方式の固体撮像素子の各受光画素に蓄積された各電荷を垂直CCDを介して第1,第2水平CCDに転送して読み出された第1,第2チャンネルの各映像信号に対してそれぞれ信号処理を行う際に、チャンネル間での信号レベルのバラツキを補正する映像信号処理方法において、
前記第1チャンネルの映像信号中で有効画素期間の前方側に位置する光学的黒レベル期間中に付加された基準信号の第1ピーク値に対して積算して平均化した平均値を複数の奇数ラインに沿って所定ライン数分積算した基準信号の第1ピーク値の積算値と、前記基準信号の第1ピーク値の積算値から前記有効画素期間の後方側に位置する光学的黒レベル期間中の第1光学的黒レベル値に対して積算して平均化した平均値を前記複数の奇数ラインに沿って前記所定ライン数分積算した第1光学的黒レベル値の積算値を減算した第1差分値とを、光学的黒レベルの積算値を一定値に保持できなくなった境目を閾値として選択的に切り換えて出力する第1の切り換えステップと、
前記第2チャンネルの映像信号中で前記前方側に位置する前記光学的黒レベル期間中に付加された前記基準信号の第2ピーク値に対して積算して平均化した平均値を複数の偶数ラインに沿って前記所定ライン数分積算した基準信号の第2ピーク値の積算値と、前記基準信号の第2ピーク値の積算値から前記後方側に位置する前記光学的黒レベル期間中の第2光学的黒レベル値に対して積算して平均化した平均値を前記複数の偶数ラインに沿って前記所定ライン数分積算した第2光学的黒レベル値の積算値を減算した第2差分値とを、前記閾値に応じて選択的に切り換えて出力する第2の切り換えステップと、
前記第1の切り換えステップから出力された前記基準信号の第1ピーク値の積算値と前記第2の切り換えステップから出力された前記基準信号の第2ピーク値の積算値との比率、又は、前記第1の切り換えステップから出力された前記第1差分値と前記第2の切り換えステップから出力された前記第2差分値との比率のいずれかを演算するステップと、
前記比率に応じた補正係数を前記第1チャンネル又は前記第2チャンネルのいずれか一方の映像信号に乗算して該一方の映像信号を補正するステップとを有する。
【0012】
また、本発明に係る映像信号処理装置は、上述の課題を解決するために、全画素読み出し方式の固体撮像素子の各受光画素に蓄積された各電荷を垂直CCDを介して第1,第2水平CCDに転送して読み出された第1,第2チャンネルの各映像信号に対してそれぞれ信号処理を行う際に、チャンネル間での信号レベルのバラツキを補正する映像信号処理装置において、
前記第1チャンネルの映像信号中で有効画素期間の前方側に位置する光学的黒レベル期間中に付加された基準信号の第1ピーク値に対して積算して平均化した平均値を複数の奇数ラインに沿って所定ライン数分積算した基準信号の第1ピーク値の積算値と、前記基準信号の第1ピーク値の積算値から前記有効画素期間の後方側に位置する光学的黒レベル期間中の第1光学的黒レベル値に対して積算して平均化した平均値を前記複数の奇数ラインに沿って前記所定ライン数分積算した第1光学的黒レベル値の積算値を減算した第1差分値とを、光学的黒レベルの積算値を一定値に保持できなくなった境目を閾値として選択的に切り換えて出力する第1の切り換え手段と、
前記第2チャンネルの映像信号中で前記前方側に位置する前記光学的黒レベル期間中に付加された前記基準信号の第2ピーク値に対して積算して平均化した平均値を複数の偶数ラインに沿って前記所定ライン数分積算した基準信号の第2ピーク値の積算値と、前記基準信号の第2ピーク値の積算値から前記後方側に位置する前記光学的黒レベル期間中の第2光学的黒レベル値に対して積算して平均化した平均値を前記複数の偶数ラインに沿って前記所定ライン数分積算した第2光学的黒レベル値の積算値を減算した第2差分値とを、前記閾値に応じて選択的に切り換えて出力する第2の切り換え手段と、
前記第1の切り換え手段から出力された前記基準信号の第1ピーク値の積算値と前記第2の切り換え手段から出力された前記基準信号の第2ピーク値の積算値との比率、又は、前記第1の切り換え手段から出力された前記第1差分値と前記第2の切り換え手段から出力された前記第2差分値との比率のいずれかを演算する演算手段と、
前記比率に応じた補正係数を前記第1チャンネル又は前記第2チャンネルのいずれか一方の映像信号に乗算して該一方の映像信号を補正する映像信号補正手段とを有する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る映像信号処理方法及び映像信号処理装置の好ましい実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
本発明実施の形態に係る映像信号処理方法及び映像信号処理装置は、例えば固体撮像素子にて撮像した映像信号を、磁気テープ等のテープ状記録媒体、磁気ディスクや光ディスク等のディスク状記録媒体、或いは該装置内に配される半導体メモリや着脱可能な半導体メモリカード等に記録する、ビデオカメラ等に適用することができる。
【0019】
また、本実施の形態のビデオカメラにて使用する固体撮像素子は、1フィールド期間内に全画素の信号電荷を独立に読み出し、混合せずに出力することで、動きの速い被写体であっても高い水平,垂直解像度を得ることができる、いわゆる全画素読み出し方式を採用している。
【0020】
本発明の一実施の形態となるビデオカメラの主要部の構成を図1に示す。なお、この図1では、図示を簡略化するため、レンズ光学系や記録媒体への記録系、各種信号処理系、操作系など、ビデオカメラに一般的に備えられているものについては省略している。
【0021】
この図1において、固体撮像素子を備えた撮像デバイス1上には、図示しないレンズ光学系を介し、さらに複数色の色フィルタを介した被写体等からの光が入射されて結像される。
【0022】
この撮像デバイス1は、受光画素及び垂直CCDを備えた撮像部2と、2チャンネルの水平CCD3A及び3B(以下、水平CCD3A側をAチャンネル、水平CCD3B側をBチャンネルとする)と、後述する基準信号を発生する基準信号発生器4と、基準信号発生器4にて発生された基準信号をAチャンネル,Bチャンネルの撮像信号にそれぞれ付加する付加器5A,5Bと、付加器5A,5Bを介したAチャンネル,Bチャンネルの撮像信号をそれぞれ増幅するアンプ6A,6Bとを、少なくとも有してなるものである。ここで2チャンネルとは、撮像デバイス1上で複数の固体撮像素子が水平方向と垂直方向にマトリックス状に配列されているときに、水平方向の一つの奇数ライン目とこの一つの奇数ライン目と対をなす一つの偶数ライン目を水平CCD3A及び3Bで呼び出した時に、Aチャンネルを奇数ライン目Bチャンネルを偶数ライン目と設定したものである。
【0023】
すなわち、この撮像デバイス1の撮像部2では、受光画素に蓄積された電荷が3層電極の3層駆動垂直CCDを介して、水平CCD3A及び水平CCD3Bに転送される。水平CCD3Aに転送されたAチャンネルの信号電荷と水平CCD3Bに転送されたBチャンネルの信号電荷は同時に読み出され、Aチャンネルの撮像信号及びBチャンネルの撮像信号としてそれぞれ対応する付加器5A,5Bに供給される。
【0024】
一方、基準信号発生器4では、所定のレベルを有し且つ所定の時間長を有する基準信号を、所定のタイミングで発生するものであり、この基準信号をA,Bチャンネルの付加器5A及び5Bに供給する。そして、付加器5Aでは、該基準信号を水平CCD3Aから供給されたAチャンネルの撮像信号に付加し、付加器5Bでは、該基準信号を水平CCD3Bから供給されたBチャンネルの撮像信号に付加する。
【0025】
すなわち、基準信号は、図2中の指示符号PTa,PTbに示すように、Aチャンネル及びBチャンネルの撮像信号の内、水平ラインの例えば光学的黒レベル期間(いわゆるオプティカルブラックの期間)が配される期間に、所定レベルで且つ所定時間長を有する信号として付加されるものであり、一般にパイロット信号とも呼ばれているものである。ただし、この基準信号は、全ライン、或いは複数ラインおきに付加されるものであり、いずれのタイミングで付加するかは撮像デバイスの設計仕様により異なる。この際、基準信号を複数ラインおきに付加するにあたって、Aラインに付加する基準信号とBラインに付加する基準信号は複数ライン中同数であることが前提となる。なお、図2中の指示符号SGにて示す期間は有効画素の期間を表し、図中指示部号SBにて示す期間は光学的黒レベル(OB)の期間を、図中指示符号DBにて示す期間はダミービットの期間を表している。
【0026】
付加器5Aによって基準信号PTaが付加されたAチャンネルの撮像信号はアンプ6Aにて所定レベルに増幅され、付加器5Bによって基準信号PTbが付加されたBチャンネルの撮像信号はアンプ6Bにて所定レベルに増幅された後、該撮像デバイス1から出力される。この撮像デバイス1から出力されたAチャンネルの撮像信号は相関二重サンプリング(CDS)回路7Aに供給され、Bチャンネルの撮像信号は相関二重サンプリング回路7Bに供給される。
【0027】
これら相関二重サンプリング回路7A,7Bは、CCDのランダム雑音(信号と暗電流のショット雑音)を除く雑音低減手法の一つである、いわゆる相関二重サンプリング処理を行う回路であって、具体的には、信号期間レベルからフィールドスルー期間のレベルを差し引くことによってリセット雑音を抑圧するような処理が行われる。相関二重サンプリング回路7Aの出力は、自動利得制御(AGC)回路8Aに供給され、相関二重サンプリング回路7Bの出力は、自動利得制御回路8Bに供給される。
【0028】
これら自動利得制御回路8A,8Bは、それぞれ供給された信号の利得を所定値に自動調整する。自動利得制御回路8Aの出力は、アナログ/デジタル(A/D)変換器9Aに送られ、自動利得制御回路8Bの出力は、アナログ/デジタル変換器9Bに送られる。すなわち、ここでの自動利得制御回路8A,8Bは、後段のアナログ/デジタル変換器9A,9Bへの入力レベルを適正な値に調整することが行われている。
【0029】
アナログ/デジタル変換器9A,9Bは、入力側にサンプルホールド回路を含み、それぞれ供給されたアナログ撮像信号を該サンプルホールド回路にてサンプルホールドし、そのサンプルホールドされたアナログ撮像信号を、所定のサンプル周波数にてサンプリングしてデジタル信号に変換する。これらアナログ/デジタル変換器9A,9Bにてそれぞれデジタル信号に変換されたA,Bチャンネルの撮像信号は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)10に送られる。
【0030】
該デジタルシグナルプロセッサ10は、供給されたA,Bチャンネルの撮像信号に対して、一般のビデオカメラにて通常行われる信号処理を施すと共に、後述するようにフリッカを抑圧するための補正処理をも行っている。
【0031】
すなわち、本実施の形態の撮像デバイス1のように、2チャンネル出力の全画素読み出し方式CCDを使用した場合には、該撮像デバイス1から出力されたA,B各チャンネルの撮像信号を、それぞれ別系統で独立して設けられているアンプ6A,6B、相関二重サンプリング回路7A,7B、自動利得制御回路8A,8B等のアナログ回路に通すことになるため、これらA,B各チャンネルに対応するアナログ回路のバラツキ等により、各チャンネル間で信号レベルにバラツキ(すなわちレベル差)が発生してしまい、結果としてフリッカが発生することになってしまう。したがって、本実施の形態のデジタルシグナルプロセッサ10では、AチャンネルとBチャンネルとの間で発生する信号レベルのバラツキ(レベル差、ゲイン差)を補正することで、フリッカを抑圧するような補正処理を行うようにしている。
【0032】
より具体的に説明すると、本発明の第1の実施の形態に係るデジタルシグナルプロセッサ10では、AチャンネルとBチャンネルにそれぞれ付加されている基準信号のピーク値のライン積算と光学的黒レベルのライン積算とを行い、これら基準信号のピーク値のライン積算値と光学的黒レベルのライン積算値とを用いて、A,Bチャンネル間の出力信号レベル(出力ゲイン)の差を補正するようにしている。
【0033】
図3には、第1の実施の形態に係るデジタルシグナルプロセッサ10における、基準信号のピーク値のライン積算値と光学的黒レベルのピーク値のライン積算値とを用いたA,Bチャンネル間のレベル差補正処理を実現するための回路構成を示す。なお、デジタルシグナルプロセッサ10では、実際にはソフトウェアにて該補正処理等のデジタル信号処理を行うが、図3はそのソフトウェアによる補正処理を回路図として表現したものである。したがって、該ソフトウェアを変更すれば、補正処理における各種設定値や動作を容易に変更できることは言うまでもない。
【0034】
この図3において、入力端子11Aに供給されたAチャンネルの撮像信号は、ゲート21及び22に送られ、入力端子11Bに供給されたBチャンネルの撮像信号は、ゲート31及び32に送られる。
【0035】
ゲート21では、後述するタイミング信号Tpaに基づいて、入力Aチャンネル撮像信号から、基準信号のうちの所定部分を抜き出して積算器23に供給する。該積算器23では、供給された基準信号の所定部分内のピーク値をライン積算する。また、ゲート22では、後述するタイミング信号Toaに基づいて、入力Aチャンネル撮像信号から、光学的黒レベル期間のうちの所定部分のレベルを抜き出して積算器24に供給する。該積算器24では、供給された光学的黒レベル期間の所定部分のレベルをライン積算する。
【0036】
一方、ゲート31では、後述するタイミング信号Tpbに基づいて、入力Bチャンネル撮像信号から基準信号のうちの所定部分を抜き出して積算器33に供給する。該積算器33では、供給された基準信号の所定部分内のピーク値をライン積算する。また、ゲート32では、後述するタイミング信号Tobに基づいて、入力Bチャンネル撮像信号から光学的黒レベル期間のうちの所定部分を抜き出して積算器34に供給する。該積算器34では、供給された光学的黒レベルの所定部分のレベルをライン積算する。
【0037】
なお、タイミング信号Tpa及びTpbにて、A,Bチャンネルの基準信号から抜き出す所定部分は、例えば該基準信号の中央部分であって、このように例えば中央部分を抜き出すのは、例えば信号の立ち上がり部分や立ち下がり部分のように不安定な期間の基準信号を使用しないようにするためである。同じく、タイミング信号Toa及びTobにて、A,Bチャンネルの光学的黒レベル期間から抜き出す所定部分も、該光学的黒レベルとして安定した部分であり、不安定な期間の光学的黒レベルを使用しないようにしている。
【0038】
ここで、一例として、図2のA,Bチャンネル撮像信号において基準信号が存在する位置であり、且つ、ゲート21及び31にて該基準信号から抜き出される所定部分を、水平方向の各画素に対応する水平基準クロックをカウントした水平基準カウント値に換算して4カウント目から8カウント目までの4クロック分に相当する撮像信号上の位置とし、また、図2のA,Bチャンネルの撮像信号において光学的黒レベル期間であり、且つ、ゲート22及び32にて該光学的黒レベル期間から抜き出される所定部分を、同じく水平基準カウント値に換算して750カウント目から757カウント目までの8クロック分に相当する期間であるとする。
【0039】
さらに、一例として、基準信号から抜き出した所定部分のピーク値をライン積算すると共に光学的黒レベル期間から抜き出した所定部分のレベル値をライン積算する複数ラインを、Aチャンネルについては垂直方向の各画素に対応する垂直基準クロックをカウントした垂直基準カウント値に換算して62カウント目から188カウント目までの128ラインのうちの奇数ライン分の64ラインとし、Bチャンネルについては同じく垂直基準カウント値に換算して63カウント目から189カウント目までの128ラインのうちの偶数ライン分の64ラインとする。
【0040】
これら一例として挙げた数値を用いて、ゲート21及び積算器23、ゲート22及び積算器24、ゲート31及び積算器33、ゲート32及び積算器34における動作を、以下に説明する。
【0041】
すなわち、これら一例の数値を用いた場合において、ゲート21及び積算器23では、Aチャンネル撮像信号に付加されている基準信号から、水平基準カウント値の4カウント目から8カウント目までの4クロック分に相当する期間の信号部分のピーク値の平均積算値を求め、この平均積算値を垂直基準カウント値の62カウント目から188カウント目までの128ラインの内、奇数ライン分の64ラインで垂直積算する。
【0042】
同様に、ゲート31及び積算器33では、Bチャンネル撮像信号に付加されている基準信号から、水平基準カウント値の4カウント目から8カウント目までの4クロック分に相当する期間の信号部分のピーク値の平均積算値を求め、この平均積算値を垂直基準カウント値の63カウント目から189カウント目までの128ラインの内、偶数ライン分の64ラインで垂直積算する。
【0043】
また、ゲート22及び積算器24では、Aチャンネル撮像信号の光学的黒レベル期間から、水平基準カウント値の750カウント目から757カウント目までの8クロック分に相当する期間の信号部分のレベルの平均積算値を求め、この平均積算値を垂直基準カウント値の62カウント目から188カウント目までの128ラインの内、奇数ライン分の64ラインで垂直積算する。
【0044】
同様に、ゲート32及び積算器34では、Bチャンネル撮像信号の光学的黒レベル期間から、水平基準カウント値の750カウント目から757カウント目までの8クロック分に相当する期間の信号部分のレベルの平均積算値を求め、この平均積算値を垂直基準カウント値の63カウント目から189カウント目までの129ラインの内、偶数ライン分の64ラインで垂直積算する。
【0045】
上述のように、Aチャンネル側のゲート21及び積算器23により生成された基準信号についてのライン積算値は減算器25に送られ、ゲート22及び積算器24により生成された光学的黒レベルについてのライン積算値は減算信号として減算器25に送られる。
【0046】
この減算器25では、Aチャンネルの基準信号についてのライン積算値から、光学的黒レベルについてのライン積算値を減算し、得られた差分信号pLaをマイクロコンピュータ(マイコン)36に供給する。
【0047】
また、Bチャンネル側のゲート31及び積算器33により生成された基準信号についてのライン積算値は減算器35に送られ、ゲート32及び積算器34により生成された光学的黒レベルについてのライン積算値は減算信号として減算器35に送られる。
【0048】
この減算器35では、Bチャンネルの基準信号についてのライン積算値から、光学的黒レベルについてのライン積算値を減算し、得られた差分信号pLbをマイクロコンピュータ36に供給する。
【0049】
マイクロコンピュータ36では、A,B両チャンネルから供給された差分信号pLa及びpLbを用いて下記式の所定の演算を行い、例えばBチャンネルの撮像信号のレベル補正を行うための補正係数Kを求める。
【0050】
K=pLa/pLb
すなわち、この補正係数Kは、Bチャンネルの撮像信号のレベルを、Aチャンネルの撮像信号のレベルに合わせるための補正信号に相当する。このマイクロコンピュータ36にて求められた補正係数Kは、乗算器37へ乗算係数として送られる。
【0051】
この乗算器37には、入力端子11Bに供給されたBチャンネルの撮像信号がそのまま入力されており、したがって、該乗算器37ではBチャンネルの撮像信号に補正係数Kが乗算されることで、レベル補正が行われる。この乗算器37の出力がレベル補正後のBチャンネルの撮像信号として、端子12Bを介してデジタルシグナルプロセッサ10内の後段の信号処理部に送られることになる。また、Aチャンネルの撮像信号については、そのまま端子12Aを介してデジタルシグナルプロセッサ10内の後段の信号処理部に送られることになる。なお、補正係数KがBチャンネルの撮像信号に反映されることになるのは、ライン積算演算後の次フィールドとなるが、1フィールドは1/60秒であるため、その遅延分は視覚的に殆ど気にならないレベルである。
【0052】
第1の実施の形態では、補正係数KとしてBチャンネルの撮像信号のレベルをAチャンネルの撮像信号のレベルに合わせる係数を求める例を挙げたが、該補正係数KをAチャンネルの撮像信号のレベルをBチャンネルの撮像信号のレベルに合わせる係数とすることも可能である。この場合のマイクロコンピュータ36では、
K=pLb/pLa
の演算式によって補正係数Kを求める。また、この場合、乗算器37はBチャンネル側ではなく、Aチャンネル側に設けられることになり、該Aチャンネル側に設けられた乗算器37によって、入力端子11Aに供給されたAチャンネルの撮像信号に補正係数Kが乗算され、Aチャンネルの撮像信号のレベル補正が行われることになる。
【0053】
上述したように本発明の第1の実施の形態によれば、AチャンネルとBチャンネルの撮像信号のレベルを合わせることができるため、後のフリッカの発生を抑えることが可能となる。
【0054】
なお、第1の実施の形態のように、デジタルシグナルプロセッサ10内部にて、基準信号のピーク値のライン積算と光学的黒レベルのライン積算を行うのは、一つの基準信号のピーク値や一つの光学的黒レベルのみを用いたのでは例えばノイズ等による信号対雑音比(S/N)の変動の影響を受ける可能性があるためであり、基準信号のピーク値及び光学的黒レベルの各ライン積算を行うようにすれば、ノイズを平均化させることができて、信号対雑音比の変動の影響を受け難くなるためである。
【0055】
また、基準信号のみでなく、光学的黒レベルも使用するのは、図2に示したように、該基準信号自身には光学的黒レベルデータも含まれているためであり、基準信号と共に該光学的黒レベルデータについてもライン積算を行い、この光学的黒レベルのライン積算値と基準信号のピーク値のライン積算値との差分をとることによって、基準信号のピーク値のライン積算値のみを使用した場合よりも精度の高い補正信号(補正係数)を得るようにするためである。
【0056】
第1の実施の形態では、A,B両チャンネルにおいて、それぞれ基準信号についてのライン積算値と光学的黒レベルについてのライン積算値の両方を求める例を挙げたが、第2の実施の形態として、構成を簡略化して、A,B両チャンネルにおいて基準信号についてのライン積算値のみを求め、これらA,B両チャンネルで求めた基準信号についてのライン積算値を、それぞれマイクロコンピュータ36に供給する信号pLa及びpLbとすることも可能である。
【0057】
この第2の実施の形態の構成は、図示は省略するが、図3の構成からゲート22と積算器24と減算器25を削除し、また、ゲート32と積算器34と減算器35を削除した構成となり、積算器23と積算器33の出力が直接マイクロコンピュータ36に供給されることになる。
【0058】
本発明の第2の実施の形態においても、AチャンネルとBチャンネルの撮像信号のレベルを合わせることができるため、後のフリッカの発生を抑えることが可能となる。
【0059】
また、この第2の実施の形態のように、光学的黒レベルを撮像信号のレベル補正に使用しないようにした場合は、構成の簡略化のみならず、例えば強い光が撮像デバイス1に入射することによって撮像部2の光学的黒レベル部周辺に光が漏れ込み、光学的黒レベル期間の信号レベルがゆすられてしまうような場合に特に有効である。
【0060】
なお、該第2の実施の形態において、Aチャンネルの撮像信号のレベルをBチャンネルの撮像信号のレベルに合わせるようにすることも可能である。
【0061】
次に、第3の実施の形態として、第1の実施の形態と第2の実施の形態の両方の機能を兼ね備えた構成とすることも可能である。
【0062】
すなわち、第1の実施の形態のように、A,B両チャンネルにおいてそれぞれ基準信号についてのライン積算値と光学的黒レベルについてのライン積算値の両方を求め、それらの差分信号pLa,pLbをマイクロコンピュータ36に供給するような動作と、第2の実施の形態のように、A,B両チャンネルにおいて基準信号についてのライン積算値のみをマイクロコンピュータ36へ供給する信号pLa,pLbにする動作とを、切り換え得るようにすることも可能である。
【0063】
この第3の実施の形態の構成例を図4に示す。なお、図4において、図1と同じように動作する各構成要素についてはそれぞれ同一の指示符号を付して、それらの説明については省略する。
【0064】
この図4において、Aチャンネル側の積算器23から出力される基準信号についてのライン積算値は、減算器25に送られると共に、切換スイッチ41Aの一方の被切換端子に供給される。また、減算器25から出力される、基準信号についてのライン積算値と光学的黒レベルについてのライン積算値との差分信号は、切換スイッチ41Aの他方の被切換端子に供給される。
【0065】
一方、Bチャンネル側の積算器33から出力される基準信号についてのライン積算値は、減算器35に送られると共に、切換スイッチ41Bの一方の被切換端子に供給される。また、減算器35から出力される、基準信号についてのライン積算値と光学的黒レベルについてのライン積算値との差分信号は、切換スイッチ41Bの他方の被切換端子に供給される。
【0066】
切換スイッチ41A,41Bは、端子13を介して供給される切換信号に応じて、一方若しくは他方の被切換端子の何れかに切換制御されるものである。切換信号は、「H(ハイレベル)」,「L(ローレベル)」の何れか一方を示す信号である。
【0067】
具体的に説明すると、Aチャンネル側に設けられている切換スイッチ41Aは、切換信号が「H」であるときに一方の被切換端子、すなわち積算器23から出力される基準信号についてのライン積算値側に切り換えられ、切換信号が「L」であるときに他方の被切換端子、すなわち減算器25から出力される差分信号側に切り換えられる。同様に、Bチャンネル側に設けられている切換スイッチ41Bは、切換信号が「H」であるときに一方の被切換端子、すなわち積算器33から出力される基準信号についてのライン積算値側に切り換えられ、切換信号が「L」であるときに他方の被切換端子、すなわち減算器35から出力される差分信号側に切り換えられる。これら切換スイッチ41A,41Bからの出力が信号pLa,pLbとして、マイクロコンピュータ36に供給される。
【0068】
この第3の実施の形態においては、通常状態では基準信号についてのライン積分値と光学的黒レベルについてのライン積分値の差分信号をマイクロコンピュータ36に供給するように、切換スイッチ41A,41Bの切換動作を制御しているが、例えば強い光が撮像デバイス1に入射することによって光学的黒レベル期間の信号レベルがゆすられてしまうような場合には、基準信号についてのライン積分値のみをマイクロコンピュータ36に供給するように切換スイッチ41A,41Bの切換動作を制御する。
【0069】
このような切換スイッチ41A,41Bの切換動作制御を行うための切換信号は、例えば、光学的黒レベルについての積算値が一定値になるように相関二重サンプリング回路7A,7Bと自動利得制御回路8A,8Bのセットアップのフィードバック制御を行い、該光学的黒レベルについての積算値を一定値に保持できなくなった境目を閾値とし、この閾値を越えたときに「H」となり、越えていないときには「L」となる信号として生成されるものである。
【0070】
この第3の実施の形態のように、切換スイッチ41A,41Bを切換制御することによって、第1の実施の形態の動作と第2の実施の形態の動作を状況に応じて切り換え可能となり、第1の実施の形態にて説明した効果と、第2に実施の形態にて説明した効果の両方を、適応的に得ることが可能となる。
【0071】
すなわち、第3の実施の形態の構成によれば、第1,第2の実施の形態の場合と同様に、AチャンネルとBチャンネルの撮像信号のレベルを合わせることによるフリッカの抑圧のみならず、第1の実施の形態の場合のように、ノイズを平均化させて信号対雑音比の変動の影響を受け難くすると共に精度の高い補正信号を得ることができ、また、第2の実施の形態の場合のように、例えば強い光が撮像デバイス1に入射することによって撮像部2の光学的黒レベル部周辺に光が漏れ込み、光学的黒レベル期間の信号レベルがゆすられてしまうような場合にも有効である。
【0072】
なお、該第3の実施の形態において、Aチャンネルの撮像信号のレベルをBチャンネルの撮像信号のレベルに合わせるようにすることも可能である。
【0073】
次に、第1乃至第3の実施の形態において、さらに以下のような動作を行わせることも可能である。
【0074】
すなわち、自動利得制御回路8A,8Bでは、基準信号についての利得調整も行っており、該自動利得制御回路8A,8Bでの自動利得調整動作によって例えば基準信号のレベルがアナログ/デジタル変換器9A,9Bへの適正入力レベルを越えるようになったりすると、該基準信号は正規な値であるとは言えなくなり、したがってこの基準信号をデジタルシグナルプロセッサ10に供給することは好ましくない。
【0075】
このような場合には、図示は省略するが、自動利得制御回路8A,8Bによる利得調整値が基準信号に付加されないように、例えばフラグを立てて、自動利得制御回路8A,8Bの利得調整量が変動しても基準信号が影響されないようにする。
【0076】
さらに、第1乃至第3の実施の形態の構成において、Aチャンネルの撮像信号及び、補正係数Kによるレベル補正後のBチャンネルの撮像信号に、さらに光学的黒レベルのクランプ処理を施すことも可能である。
【0077】
すなわち第4の実施の形態として、第1乃至第3の実施の形態の構成に対してさらに図5に示すように、光学的黒レベルのクランプ処理を行うクランプ回路51A,51BをAチャンネル及びBチャンネルに設ける。なお、この図5において、図3や図4のゲート21,22,31,32からマイクロコンピュータ36までの構成は、積算演算回路50としてまとめて表している。
【0078】
この図5において、Aチャンネル側については入力端子11Aと出力端子12Aの間にクランプ回路51Aと減算器52Aを設け、Bチャンネル側については乗算器37と出力端子12Bとの間にクランプ回路51Bと減算器52Bを設けるようにする。
【0079】
これらA,Bチャンネルに対してクランプ回路51A,51Bを設けた場合の該クランプ回路51A,51Bにおける動作を、前述したゲート及び積算器と同様に、一例を挙げて説明する。
【0080】
Aチャンネル側に設けられたクランプ回路51Aでは、入力端子11Aに供給されたAチャンネルの撮像信号の光学的黒レベル期間から、水平基準カウント値の750カウント目から757カウント目までの8クロック分に相当する期間の信号部分のレベルの平均積算値を求め、この平均積算値を垂直基準カウント値の62カウント目から189カウント目までの128ライン分で垂直積算し、平均化する。
【0081】
一方、Bチャンネル側に設けられたクランプ回路51Bでは、乗算器37にてレベル補正処理された後のBチャンネルの撮像信号の光学的黒レベル期間から、水平基準カウント値の750カウント目から757カウント目までの8クロック分に相当する期間の信号部分のレベルの平均積算値を求め、この平均積算値を垂直基準カウント値の62カウント目から189カウント目までの128ライン分で垂直積算し、平均化する。
【0082】
減算器52Aでは、入力端子11Aを介して供給されているAチャンネルの撮像信号から、クランプ回路51Aにて求められた積算平均値を減算する。これにより、減算器52Aからは、Aチャンネルの撮像信号の光学的黒レベルがクランプされた信号が出力されることになる。
【0083】
また、減算器52Bでは、乗算器37にてレベル補正された後のBチャンネルの撮像信号から、クランプ回路51Bにて求められた積算平均値を減算する。これにより、減算器52Bからは、レベル補正後のBチャンネル撮像信号の光学的黒レベルがクランプされた信号が出力されることになる。
【0084】
なお、該第4の実施の形態においても、Aチャンネルの撮像信号のレベルをBチャンネルの撮像信号のレベルに合わせるようにすることができる。
【0085】
本発明は上述した実施の形態に限定されることはなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論であり、ビデオカメラ以外の撮像装置、例えばデジタルスチルカメラ等にも適用でき、また、CCDは単板式、3板式の何れにも適用可能である。
【0086】
【発明の効果】
請求項1に記載の本発明に係る映像信号処理方法によれば、全画素読み出し方式の固体撮像素子の各受光画素に蓄積された各電荷を垂直CCDを介して第1,第2水平CCDに転送して読み出された第1,第2チャンネルの各映像信号に対してそれぞれ信号処理を行う際に、チャンネル間での信号レベルのバラツキを補正する映像信号処理方法において、前記第1チャンネルの映像信号中で有効画素期間の前方側に位置する光学的黒レベル期間中に付加された基準信号の第1ピーク値に対して積算して平均化した平均値を複数の奇数ラインに沿って所定ライン数分積算した基準信号の第1ピーク値の積算値と、前記基準信号の第1ピーク値の積算値から前記有効画素期間の後方側に位置する光学的黒レベル期間中の第1光学的黒レベル値に対して積算して平均化した平均値を前記複数の奇数ラインに沿って前記所定ライン数分積算した第1光学的黒レベル値の積算値を減算した第1差分値とを、光学的黒レベルの積算値を一定値に保持できなくなった境目を閾値として選択的に切り換えて出力する第1の切り換えステップと、前記第2チャンネルの映像信号中で前記前方側に位置する前記光学的黒レベル期間中に付加された前記基準信号の第2ピーク値に対して積算して平均化した平均値を複数の偶数ラインに沿って前記所定ライン数分積算した基準信号の第2ピーク値の積算値と、前記基準信号の第2ピーク値の積算値から前記後方側に位置する前記光学的黒レベル期間中の第2光学的黒レベル値に対して積算して平均化した平均値を前記複数の偶数ラインに沿って前記所定ライン数分積算した第2光学的黒レベル値の積算値を減算した第2差分値とを、前記閾値に応じて選択的に切り換えて出力する第2の切り換えステップと、前記第1の切り換えステップから出力された前記基準信号の第1ピーク値の積算値と前記第2の切り換えステップから出力された前記基準信号の第2ピーク値の積算値との比率、又は、前記第1の切り換えステップから出力された前記第1差分値と前記第2の切り換えステップから出力された前記第2差分値との比率のいずれかを演算するステップと、前記比率に応じた補正係数を前記第1チャンネル又は前記第2チャンネルのいずれか一方の映像信号に乗算して該一方の映像信号を補正するステップとを有しているため、撮像素子中で光学的黒レベル部周辺に光が漏れ込み、光学的黒レベル期間の信号レベルがゆすられてしまうような場合には基準信号の第1,第2ピーク値の積算値の比率に応じて第1,第2チャンネルのいずれか一方の映像信号を補正し、また、通常の場合には第1,第2差分値の比率に応じて第1,第2チャンネルのいずれか一方の映像信号を補正することができるので、2チャンネル出力の全画素読み出し方式の固体撮像素子を使用した場合において、各チャンネル毎に独立して設けられているアンプや相関二重サンプリング、自動利得制御等のアナログ回路のバラツキの影響を取り除き、結果としてフリッカを抑圧することが可能である。
【0087】
請求項2に記載の本発明に係る映像信号処理装置によれば、全画素読み出し方式の固体撮像素子の各受光画素に蓄積された各電荷を垂直CCDを介して第1,第2水平CCDに転送して読み出された第1,第2チャンネルの各映像信号に対してそれぞれ信号処理を行う際に、チャンネル間での信号レベルのバラツキを補正する映像信号処理装置において、前記第1チャンネルの映像信号中で有効画素期間の前方側に位置する光学的黒レベル期間中に付加された基準信号の第1ピーク値に対して積算して平均化した平均値を複数の奇数ラインに沿って所定ライン数分積算した基準信号の第1ピーク値の積算値と、前記基準信号の第1ピーク値の積算値から前記有効画素期間の後方側に位置する光学的黒レベル期間中の第1光学的黒レベル値に対して積算して平均化した平均値を前記複数の奇数ラインに沿って前記所定ライン数分積算した第1光学的黒レベル値の積算値を減算した第1差分値とを、光学的黒レベルの積算値を一定値に保持できなくなった境目を閾値として選択的に切り換えて出力する第1の切り換え手段と、前記第2チャンネルの映像信号中で前記前方側に位置する前記光学的黒レベル期間中に付加された前記基準信号の第2ピーク値に対して積算して平均化した平均値を複数の偶数ラインに沿って前記所定ライン数分積算した基準信号の第2ピーク値の積算値と、前記基準信号の第2ピーク値の積算値から前記後方側に位置する前記光学的黒レベル期間中の第2光学的黒レベル値に対して積算して平均化した平均値を前記複数の偶数ラインに沿って前記所定ライン数分積算した第2光学的黒レベル値の積算値を減算した第2差分値とを、前記閾値に応じて選択的に切り換えて出力する第2の切り換え手段と、前記第1の切り換え手段から出力された前記基準信号の第1ピーク値の積算値と前記第2の切り換え手段から出力された前記基準信号の第2ピーク値の積算値との比率、又は、前記第1の切り換え手段から出力された前記第1差分値と前記第2の切り換え手段から出力された前記第2差分値との比率のいずれかを演算する演算手段と、前記比率に応じた補正係数を前記第1チャンネル又は前記第2チャンネルのいずれか一方の映像信号に乗算して該一方の映像信号を補正する映像信号補正手段とを有しているため、上記した請求項1記載と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る映像信号処理方法及び映像信号処理装置が適用される実施の形態のビデオカメラの主要部構成を示すブロック図である。
【図2】Aチャンネル及びBチャンネルの撮像信号に付加される基準信号と、撮像信号の光学的黒レベルの説明に用いる波形図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るマイクロコンピュータ内のレベル補正処理部の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係るマイクロコンピュータ内のレベル補正処理部の構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係るマイクロコンピュータ内のレベル補正処理部の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…撮像デバイス
2…撮像部
3A,3B…垂直CCD
4…基準信号発生器
5A,5B…付加器
6A,6B…アンプ
7A,7B…相関二重サンプリング回路
8A,8B…自動利得制御回路
9A,9B…アナログ/デジタル変換器
10…デジタルシグナルプロセッサ
21,22,31,32…ゲート
23,24,33,34…積算器
25,35,52A,52B…減算器
36…マイクロコンピュータ
37…乗算器
41A,41B…切換スイッチ
51A,51B…クランプ回路
Claims (2)
- 全画素読み出し方式の固体撮像素子の各受光画素に蓄積された各電荷を垂直CCDを介して第1,第2水平CCDに転送して読み出された第1,第2チャンネルの各映像信号に対してそれぞれ信号処理を行う際に、チャンネル間での信号レベルのバラツキを補正する映像信号処理方法において、
前記第1チャンネルの映像信号中で有効画素期間の前方側に位置する光学的黒レベル期間中に付加された基準信号の第1ピーク値に対して積算して平均化した平均値を複数の奇数ラインに沿って所定ライン数分積算した基準信号の第1ピーク値の積算値と、前記基準信号の第1ピーク値の積算値から前記有効画素期間の後方側に位置する光学的黒レベル期間中の第1光学的黒レベル値に対して積算して平均化した平均値を前記複数の奇数ラインに沿って前記所定ライン数分積算した第1光学的黒レベル値の積算値を減算した第1差分値とを、光学的黒レベルの積算値を一定値に保持できなくなった境目を閾値として選択的に切り換えて出力する第1の切り換えステップと、
前記第2チャンネルの映像信号中で前記前方側に位置する前記光学的黒レベル期間中に付加された前記基準信号の第2ピーク値に対して積算して平均化した平均値を複数の偶数ラインに沿って前記所定ライン数分積算した基準信号の第2ピーク値の積算値と、前記基準信号の第2ピーク値の積算値から前記後方側に位置する前記光学的黒レベル期間中の第2光学的黒レベル値に対して積算して平均化した平均値を前記複数の偶数ラインに沿って前記所定ライン数分積算した第2光学的黒レベル値の積算値を減算した第2差分値とを、前記閾値に応じて選択的に切り換えて出力する第2の切り換えステップと、
前記第1の切り換えステップから出力された前記基準信号の第1ピーク値の積算値と前記第2の切り換えステップから出力された前記基準信号の第2ピーク値の積算値との比率、又は、前記第1の切り換えステップから出力された前記第1差分値と前記第2の切り換えステップから出力された前記第2差分値との比率のいずれかを演算するステップと、
前記比率に応じた補正係数を前記第1チャンネル又は前記第2チャンネルのいずれか一方の映像信号に乗算して該一方の映像信号を補正するステップとを有することを特徴とする映像信号処理方法。 - 全画素読み出し方式の固体撮像素子の各受光画素に蓄積された各電荷を垂直CCDを介して第1,第2水平CCDに転送して読み出された第1,第2チャンネルの各映像信号に対してそれぞれ信号処理を行う際に、チャンネル間での信号レベルのバラツキを補正する映像信号処理装置において、
前記第1チャンネルの映像信号中で有効画素期間の前方側に位置する光学的黒レベル期間中に付加された基準信号の第1ピーク値に対して積算して平均化した平均値を複数の奇数ラインに沿って所定ライン数分積算した基準信号の第1ピーク値の積算値と、前記基準信号の第1ピーク値の積算値から前記有効画素期間の後方側に位置する光学的黒レベル期間中の第1光学的黒レベル値に対して積算して平均化した平均値を前記複数の奇数ラインに沿って前記所定ライン数分積算した第1光学的黒レベル値の積算値を減算した第1差分値とを、光学的黒レベルの積算値を一定値に保持できなくなった境目を閾値として選択的に切り換えて出力する第1の切り換え手段と、
前記第2チャンネルの映像信号中で前記前方側に位置する前記光学的黒レベル期間中に付加された前記基準信号の第2ピーク値に対して積算して平均化した平均値を複数の偶数ラインに沿って前記所定ライン数分積算した基準信号の第2ピーク値の積算値と、前記基準信号の第2ピーク値の積算値から前記後方側に位置する前記光学的黒レベル期間中の第2光学的黒レベル値に対して積算して平均化した平均値を前記複数の偶数ラインに沿って前記所定ライン数分積算した第2光学的黒レベル値の積算値を減算した第2差分値とを、前記閾値に応じて選択的に切り換えて出力する第2の切り換え手段と、
前記第1の切り換え手段から出力された前記基準信号の第1ピーク値の積算値と前記第2の切り換え手段から出力された前記基準信号の第2ピーク値の積算値との比率、又は、前記第1の切り換え手段から出力された前記第1差分値と前記第2の切り換え手段から出力された前記第2差分値との比率のいずれかを演算する演算手段と、
前記比率に応じた補正係数を前記第1チャンネル又は前記第2チャンネルのいずれか一方の映像信号に乗算して該一方の映像信号を補正する映像信号補正手段とを有することを特徴とする映像信号処理装置。
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