JP4208547B2 - 電子カメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子カメラに関し、特に撮像素子の取り扱い電荷量を変更可能とした撮像素子を有する電子カメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電子カメラでは、所要の解像度の撮像信号を得るため、電子カメラの撮影条件に対応して撮像素子の基板電圧Vsubを切り替えて取り扱い電荷量を変更する手法が使用されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、撮像素子は、感光素子に一定量以上の電荷が生じると、例えばオーバフローによって感光素子から例えば基板側に吸収されるようにすることで、ブルーミング、スメア等の減少を防止するようにされている。そして、このオーバフローが開始するような感光素子における蓄積電荷量を取り扱い電荷量と称している。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−211320号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、基板電圧Vsubを切り替えると画像信号レベルが変動し、この結果、後段の信号処理回路、特にクランプ処理回路が誤動作して一時的にノイズが発生し、画像に信号シェーディングが生じるという問題点がある。
図7は、クランプ処理回路の誤動作の原因を説明する図である。
【0006】
動画表示モード(モニタモード)から静止画表示モード(スチルモード)に切り替えるための信号SUBSWが入力されたときには、取り扱い電荷を増加させるため、基板電圧Vsubが低電圧に切り替わる。このとき、CCD出力のバイアスレベルにはわずかではあるがレベル差が生ずる。
【0007】
図7には、モニタモードでのCCD出力波形(a部)と、スチルモードでのCCD出力波形(b部)を拡大して表わしている。この両波形には基板電圧Vsubの切り替えに伴うレベル差xが生じている。
【0008】
また、この拡大されたCCD出力波形(a部、b部)は映像期間とオプチカルブラック部の波形を表わしているが、この内、サンプルパルスであるオプチカルブラッククランプパルスOBCLPが出力されている期間(c部)において、オプチカルブラック部の信号は映像信号の黒レベル基準信号としてクランプされる。
【0009】
ところが、クランプ回路は時定数が長いため、レベル差xの変化にすぐに追従することができず、この結果として黒レベルのクランプミスが発生し画像に信号シェーディングを生じさせるのである。
【0010】
このため、クランプミスによる画像の信号シェーディングを回避するため、基板電圧Vsubの切り替えを行わないことも考えられる。しかしながら、前述のように基板電圧Vsubを切り替えて取り扱い電荷を増加させることは、ノイズの少ない画像を得るために必要であり、逆に基板電圧Vsubの切り替えが行われない場合には、ブルーミング等による画質低下の発生する可能性が高くなる。
【0011】
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであって、取り扱い電荷を効果的に増加させながら、画像信号に重畳するノイズを軽減することのできる電子カメラを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
発明者は、課題の解決を図るために鋭意検討を重ねた。その結果、レベル差xの影響はクランプ回路後段の増幅器において増幅率が高い場合は無視できないレベルにまで増幅されることを確認した。即ち、画像の信号シェーディングの程度は増幅器の増幅率と関連していることがわかった。
【0013】
さらに、この画像の乱れによる影響が増大した場合は、取り扱い電荷が最適とならない場合の影響よりも大きなものであり、その際には取り扱い電荷に優先して対策を図れば画像信号に重畳するノイズの軽減に有効であると確認された。
【0014】
本発明は、かかる調査研究の結果に基づいてなされたものであって、以下のように構成されている。
【0015】
上記課題を解消するため、本発明に係る電子カメラは、複数の画素と該画素で生成した電荷を転送する垂直転送路を有する撮像素子と、レリーズ操作に応答して、前記撮像素子の所定数の画素に蓄積した電荷を前記垂直転送路内において加算して読み出す動画モードから、加算しないで読み出す静止画モードに切り替える画像信号読み出し手段と、前記撮像素子の出力信号のノイズ成分を軽減するための CDS 回路と、前記 CDS 回路の出力部から帰還ループを形成することにより、前記撮像素子の出力信号のうちオプチカルブラック部の信号を前記 CDS 回路の基準信号としてクランプするクランプ手段と、前記CDS 回路の出力信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段の増幅率が所定値未満のときは、前記静止画モードにおいて前記動画モードの場合に比べて前記撮像素子の取り扱い電荷量を増加させるように前記撮像素子の基板電圧を制御し、前記増幅手段の増幅率が所定値以上のときは、前記動画モードと前記静止画モードにおける基板電圧が同じ値になるように制御する基板電圧制御手段と、を備えている。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る電子カメラの構成を示すブロック図である。
【0019】
本電子カメラは、各部を統括的に制御するためのメインCPU1、レンズ2、露出を制御するための絞り機構3、被写界光を電気信号に変換する撮像素子4、撮像素子4の信号を映像信号に変換する撮像回路5、撮像素子4の駆動用タイミング信号を生成するTG回路6、撮像素子4を駆動するCCDドライバ7及び基板電圧Vsubを切り替える基板電圧切り替え手段8を備えている。
【0020】
本電子カメラにおいては、メインCPU1が全ての制御を統括的に行っており、撮像素子4の信号の読出し制御、画像処理、露出制御等の一連の処理を担っている。
【0021】
図2は、撮像回路5の構成の一部を示す図である。
撮像回路5は、CDS(相関2重サンプリング)回路12、増幅器13及びAD変換回路14等を備えている。図2を参照して、黒レベルのクランプ動作について説明する。
【0022】
CCDからの出力信号は、カップリングコンデンサ11を介して直流成分が除去された後、CDS(相関2重サンプリング)回路12において雑音の軽減が図られる。そして、増幅器13で信号増幅された後、AD変換回路14でデジタル信号に変換され、次段において信号処理される。ここで、メインCPU1から指示された増幅器13の増幅率は、ゲイン設定回路15が受け取って増幅器13に設定する。
【0023】
CDS回路12はCCDからの出力信号の波形(CCD出力波形)の内、電荷がリセットされている期間(フィードスルー期間)と信号が出力されている期間(シグナル期間)のCCD出力レベルの差を取ることによって雑音を低減する。
【0024】
そこで、フィードスルー期間に出力されるサンプルホールドパルスSHPによってフィードスルーレベル保存回路16がフィードスルー期間の信号レベルを保存するとともに、シグナル期間に出力されるサンプルホールドパルスSHDによってCDS回路12はシグナル期間の信号レベルを獲得してレベル差を演算する。
【0025】
また、CCD出力波形のうち上述のオプチカルブラック部の信号は、オプチカルブラッククランプパルスOBCLPが出力されている期間にフィードバックアンプ17を介してCDS回路12に帰還され黒レベルの基準信号として処理される。
【0026】
図3は、第1の実施の形態に係る電子カメラの概略の動作を示すフロー図であり、図4は、第1の実施の形態に係る電子カメラの動作を示すタイミングチャートである。垂直同期信号VDの間隔をフレーム期間といい、図4にはフレーム期間を特定するために番号を付している。
【0027】
撮影者がレリーズ操作を行ったかどうかが常に監視されており、先ずレリーズが1段押し込まれた(1stレリーズ操作)場合は(S1 YES)、第1フレーム期間において自動露光のための測光がなされる(S2)。そして、この測光値に基づいて絞り、露光時間などの撮影条件が定められる。
【0028】
次に、レリーズが2段押し込まれたか(2ndレリーズ操作)どうかが監視され、2ndレリーズ操作がなされた場合は(S3 YES)、第2フレーム期間において、基板電圧Vsubを切り替えるかどうかの判断を行う。即ち、増幅器13の増幅率が所定値以上かどうかによって、基板電圧Vsubを切り替えるかどうかを判断する(S4)。
【0029】
そして、増幅器13の増幅率が所定値以上でない場合(S4 NO)は、第3フレーム期間において基板電圧Vsubを低電圧に切り替えて(S5)取り扱い電荷量を増加させるが、増幅器13の増幅率が所定値以上の場合(S4 YES)は、第3フレーム期間において基板電圧Vsubを切り替えず高電圧を維持する(S6)。
【0030】
第3フレーム期間において本露光が行われる(S7)。この第3フレーム期間で撮影モードが動画モードから静止画モードに切り替えられるとともにメカシャッタが閉とされる。
【0031】
ここで、動画モードでは、撮像素子4の電荷は2画素加算モニターモードで読み出される。第1,2,6フレーム期間がこれに該当する。図5は2画素加算モニターモードの動作を説明する図である。この2画素加算モニターモードは、撮像素子4の全電荷を読み出すのではなく、第1の水平列と第3の水平列、第8の水平列と第10の水平列、・・・の電荷を選択的に(間引いて)取り出し、垂直転送路内において加算して読み出すモードである。
【0032】
このようにして読み出すことによって読出し時間を短縮できるため、画質は劣るものの通常の動画表示に対応可能なフレームレートを実現することができる。
【0033】
尚、2画素加算モニターモードで説明したように、2つの感光素子で蓄積された信号電荷を加算して転送する方式をフィールド蓄積方式という。
【0034】
第3フレーム期間は、モード切替直後の期間であるため、読み出された信号は不安定な状態にあると判断し使用されない。さらに、第3フレーム期間のd部において、本露光による信号電荷を転送路に取り出す前に、垂直転送路に生じた暗電流の影響による不要電荷を掃き出すための高速掃き出しを行う。
【0035】
次の第4、第5フレーム期間では、画質の良い静止画を得るためにフレーム読出しモードによって本露光による信号電荷を読み出す(S8)。
【0036】
図6は、フレーム読出しモードの動作を説明する図である。このフレーム読出しモードは、第1フィールド期間に第1、第3、第5・・・の水平列の信号電荷を順次読出し、第2フィールド期間に第2、第4、第6・・・の水平列の信号電荷を順次読出すインタレース読出しを行うモードである。尚、第1フィールドをOdd(奇数)フィールド、第2フィールドをEven(偶数)フィールドと呼ぶこともある。
【0037】
尚、このように加算を行わず1つの感光素子で蓄積された信号電荷を単位として転送する方式をフレーム蓄積方式という。
【0038】
そこで図4の第4フレーム期間において、垂直駆動信号V1A、V1Bに高電圧パルスを印加してOddフィールドの電荷を読出して転送動作を行う。そして、第4フレーム期間のe部において高速掃き出しを行った後、第5フレーム期間において、垂直駆動信号V3A、V3Bに高電圧パルスを印加してEvenフィールドの電荷を読出して転送動作を行う。
【0039】
以上の動作によって本露光の信号電荷を読み出した後、第6フレーム期間においては、撮影モードが静止画モードから動画モードに切り替えられ、基板電圧Vsubが高電圧に切り替えられる。
【0040】
本実施の形態では、増幅器13の増幅率が所定値よりも小さい場合は、基板電圧Vsubを低電圧に切り替えて取り扱い電荷量を増加させるが、増幅器13の増幅率が所定値以上の場合は、基板電圧Vsubを切り替えず高電圧を維持するように構成している。
【0041】
前述のように、基板電圧Vsubを切り替えると、クランプ処理回路が誤動作して画像に信号シェーディングが生じ、この現象は撮像素子の出力段の増幅率が大きくなるほど顕著になる。
【0042】
従って、撮像素子の出力信号を増幅する増幅手段の増幅率が所定以上のときは基板電圧Vsubの切り替えを禁止することにより、顕著な画像の乱れを防止することができる。尚、基板電圧Vsubを切り替えないことに伴う画質の低下が考えられるが、基板電圧Vsubの切り替えに伴う画像の乱れは、取り扱い電荷の減少以上に画質を低下させるものであるため、従来に比して画質を改善させることができる。
【0043】
一方、撮像素子の出力信号を増幅する増幅手段の増幅率が所定以下のときは、基板電圧Vsubを切り替えても画像の乱れは気にならない程度のものである。
【0044】
このように本実施の形態によれば、取り扱い電荷を効果的に増加させながら、画像信号に重畳するノイズを軽減することができる。尚、増幅率の所定値は画像の変動状況に基づいて適宜定めれば良い。もし、それぞれの撮影条件毎に増幅率の最小値が定まっている場合はその値を所定値として採用しても良い。
【0045】
また本実施の形態では、画像信号を動画表示するときには静止画表示をするときよりも、撮像素子の取り扱い電荷が少なくなるように基板電圧Vsubを制御している。
【0046】
通常動画表示をするときは、メカシャッタが開の状態にあり撮像素子に常に光が当っているため、ブルーミングが発生し易い。このため、撮像素子の取り扱い電荷を少なくすることにより、ブルーミングの影響を抑制することができる。
【0047】
ここで、「画像信号を動画表示するとき」とは、撮影モードが動画モードである期間のことをいい、「画像信号を静止画表示するとき」とは、撮影モードが静止画モードである期間のことをいう。従って、本実施の形態では、「画像信号を動画表示するとき」とは、図4に示すように、第1,2,6フレーム期間を意味し、「画像信号を静止画表示するとき」とは、第3,4,5フレーム期間を意味する。
【0048】
また本実施の形態では、フィールド蓄積時ではフレーム蓄積時よりも取り扱い電荷が少なくなるように基板電圧Vsubを制御している。
【0049】
ここで、「フィールド蓄積時」とは、2つの感光素子で蓄積された信号電荷を加算して転送するフィールド蓄積方式によって電荷を読み出すフレーム期間のことをいい、「フレーム蓄積時」とは、加算を行わず1つの感光素子で蓄積された信号電荷を単位として転送するフレーム蓄積方式によって電荷を読み出すフレーム期間のことをいう。
【0050】
フィールド蓄積時は隣接する列の複数画素を同時に読み出すので、列ごとに読み出すフレーム蓄積時と比べて転送ラインの電荷があふれる可能性が大きい。そこで、フィールド蓄積時ではフレーム蓄積時よりも取り扱い電荷量が少なくなるように基板電圧Vsubを制御することにより、転送ラインでの電荷のあふれを少なくすることができる。
【0051】
尚、上述の各動作は、メインCPU1にプログラムとして組み込んで実現するものであっても良く、また個別にハードウエアを用いて構成するものであっても良い。また、それぞれの機能を分割してメインCPU1とハードウエアを組み合わせて構成しても良い。
【0052】
尚、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれているため、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明を抽出することができる。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の電子カメラによれば、取り扱い電荷を効果的に増加させながら、画像信号に重畳するノイズを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子カメラの構成を示すブロック図。
【図2】撮像回路の構成の一部を示す図。
【図3】第1の実施の形態に係る電子カメラの動作を示すフロー図。
【図4】第1の実施の形態に係る電子カメラの動作を示すタイミングチャート。
【図5】高速ドラフトモードの動作を説明する図。
【図6】フレーム読出しモードの動作を説明する図。
【図7】クランプミスの原因を説明する図。
【符号の説明】
1…メインCPU
4…撮像素子
5…撮像回路
6…TG回路
7…CCDドライバ
12…CDS回路
Claims (1)
- 複数の画素と該画素で生成した電荷を転送する垂直転送路を有する撮像素子と、
レリーズ操作に応答して、前記撮像素子の所定数の画素に蓄積した電荷を前記垂直転送路内において加算して読み出す動画モードから、加算しないで読み出す静止画モードに切り替える画像信号読み出し手段と、
前記撮像素子の出力信号のノイズ成分を軽減するための CDS 回路と、
前記 CDS 回路の出力部から帰還ループを形成することにより、前記撮像素子の出力信号のうちオプチカルブラック部の信号を前記 CDS 回路の基準信号としてクランプするクランプ手段と、
前記CDS 回路の出力信号を増幅する増幅手段と、
前記増幅手段の増幅率が所定値未満のときは、前記静止画モードにおいて前記動画モードの場合に比べて前記撮像素子の取り扱い電荷量を増加させるように前記撮像素子の基板電圧を制御し、前記増幅手段の増幅率が所定値以上のときは、前記動画モードと前記静止画モードにおける基板電圧が同じ値になるように制御する基板電圧制御手段と、
を備えたことを特徴とする電子カメラ。
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