JP3744131B2 - ボンディングワイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子上の電極と外部リードとを接続するために用いるボンディングワイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
IC、LSIなどの半導体素子上の電極と外部リードとを接続するため、0.02〜0.1mmの範囲の直径を有するボンディングワイヤが用いられる。ボンディングワイヤには良好な導電性と、半導体の電極や外部リードとの接合性、および使用雰囲気中での耐環境性が要求される。そのため、ボンディングワイヤとしては、Al、Au、Cuなどの純金属もしくはその合金が用いられてきた。
【0003】
近年では、低コストという観点から樹脂を用いた半導体パッケージが多用されてきており、そのため耐環境性に優れるAu系ボンディングワイヤが最も多く用いられる。
【0004】
従来より用いられているAu系ボンディングワイヤの多くは、Auが99.99重量%以上の純度を有する軟質のものであった。
【0005】
また、最近の半導体デバイスの発展は、パッケージの多ピン化をもたらし、その結果としてより細いボンディングワイヤを用いて、狭い間隔で行うワイヤボンディングの必要性が増してきた。
【0006】
しかし、従来のAu系ボンディングワイヤはワイヤ強度が低いので、半導体デバイス組立工程中における樹脂封入の際に、ボンディングワイヤの変形不良が頻発することになり、半導体デバイスの組立収率が大幅に低下するという問題があった。
【0007】
また、狭い間隔のワイヤボンディングは、半導体素子上の電極や外部リードとボンディングワイヤとの接合面積を減少させ、良好な接合性が得られない問題があった。
【0008】
従って、高いワイヤ強度で接合性の良いボンディングワイヤが必要となるが、一般にワイヤ強度を向上させると接合性が低下するため、両特性を併せ持つボンディングワイヤは得られていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、かかる点に鑑み、多ピン半導体デバイス用として好適な高いワイヤ強度を持ち、かつ接合性の良いボンディングワイヤを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のボンディングワイヤは、Caを0.0001〜0.003重量%、Cuを0.0005〜0.01重量%(ただし、0.01重量%を除く)含み、残部がAuおよび不可避不純物からなる。
【0011】
または、本発明のボンディングワイヤは、Caを0.0001〜0.003重量%、Cuを0.0005〜0.01重量%(ただし、0.01重量%を除く)、Be、Geのうちの一種以上を合計で0.0001〜0.002重量%含み、残部がAuおよび不可避不純物からなる。
【0012】
または、本発明のボンディングワイヤは、Caを0.0001〜0.003重量%、Cuを0.0005〜0.01重量%(ただし、0.01重量%を除く)、Sr、Y、La、Ce、Pr、Nd、SmおよびEuのうちの一種以上を合計で0.0001〜0.01重量%含み、残部がAuおよび不可避不純物からなる。
【0013】
または、本発明のボンディングワイヤは、Caを0.0001〜0.003重量%、Cuを0.0005〜0.01重量%(ただし、0.01重量%を除く)、Be、Geのうちの一種以上を合計で0.0001〜0.002重量%、Sr、Y、La、Ce、Pr、Nd、SmおよびEuのうちの一種以上を合計で0.0001〜0.01重量%含み、残部がAuおよび不可避不純物からなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の詳細について説明する。
【0015】
本発明の最も好適な実施の形態において、ボンディングワイヤは、Caを0.0001〜0.003重量%、Cuを0.0005〜0.01重量%(ただし、0.01重量%を除く)、Be、Geのうちの一種以上を合計で0.0001〜0.002重量%、Sr、Y、La、Ce、Pr、Nd、SmおよびEuのうち一種以上を合計で0.0001〜0.01重量%含み、残部がAuおよび不可避不純物からなる。
【0016】
Caは、ボンディングワイヤに必要なワイヤ強度と耐熱性をもたらす添加元素である。Caの添加量が0.0001重量%未満であると、所望のワイヤ強度と耐熱性とが得られない。一方、0.003重量%を超えると、上記添加効果は飽和したまま接合性が低下する。
【0017】
Cuは、ワイヤ強度を高める添加元素である。CuはCaとの共存下において、接合性をあまり低下させることなく、ワイヤ強度を高くする。Cuの添加量が0.005重量%未満では、十分なワイヤ強度が得られず、0.01重量%を超えると、接合性が大きく低下する。
【0018】
Be、Geは、Caの添加効果を安定させる添加元素である。これらの添加により高いワイヤ強度で、かつ良好な接合性を安定して獲得することができる。Be、Geのうちの一種以上を合計で0.0001〜0.002重量%を添加する。添加量が0.0001重量%未満の場合には所望の特性安定化効果が得られず、0.002重量%を超えると添加効果が飽和する。
【0019】
Sr、Y、La、Ce、Pr、Nd、SmおよびEuは、ワイヤ強度をさらに高める添加元素である。これらのうちの一種以上を合計で0.0001重量%〜0.01重量%添加する。添加量が0.0001重量%未満の場合には、十分なワイヤ強度向上が得られず、0.01重量%を超えると接合性が著しく低下する。
【0020】
【実施例】
次に実施例を用いて本発明をさらに説明する。
【0021】
(実施例1〜20)
純度99.999重量%の高純度金および所定の添加元素を1重量%含む金母合金を用いて、表1に示す組成の金合金を溶解鋳造した。
【0022】
【表1】
Figure 0003744131
【0023】
得られた鋳魂に、溝ロール加工を施し、さらにダイヤモンドダイスを用いた伸線加工を実施して、直径0.025mmの合金線とした。
【0024】
得られた合金線に熱処理を施して、特性を調整し、試料とした。
【0025】
このように作成された試料の評価として、ワイヤ強度を引っ張り試験により求めた。そして、接合性については、Al−Si−Cu合金で形成した電極パッドを有する半導体素子と、Agメッキを施した100ピンのQFP型リードフレームを用い、ステージ温度を250℃に設定したウェッジボンディング機を用いて超音波熱圧着方式によりボンディングし、ディジー社製BT2400型試験機を用い、1st(ファースト)ボンド接合性はシェア試験を行うことにより、2nd(セコンド)ボンド接合性はプル試験を行うことにより評価した。
【0026】
また、ボンディング接合部の経時変化については、上記と同様な方式でワイヤボンディングした試料を200℃で100時間保持した後に、同様のシェア試験とプル試験とを実施して評価した。
【0027】
さらに、導電性については、直流四端子法によって比抵抗を求めて評価した。
【0028】
表2に上記評価の結果を示した。
【0029】
【表2】
Figure 0003744131
【0030】
表2において、直後とはボンディング直後のことであり、保管後とは200℃で100時間保持後のことである。
【0031】
(比較例1〜6)
表3に示した組成とした以外は、実施例と同様にして評価した。表4に評価の結果を示した。
【0032】
【表3】
Figure 0003744131
【0033】
【表4】
Figure 0003744131
【0034】
表2、表4において明らかなように、本発明によるボンディングワイヤは、ワイヤ強度と接合性に関し、比較的良好な比較例2〜4と比肩しうる特性が得られる。また、本発明のボンディングワイヤは導電性も良好であり、ボンディングワイヤとしての適性を持つ。
【0035】
【発明の効果】
以上から明らかなように本発明により、高いワイヤ強度で、かつ接合性が良好な、多ピン半導体デバイス用として好適なボンディングワイヤを提供することができる。

Claims (4)

  1. Caを0.0001〜0.003重量%、Cuを0.0005〜0.01重量%(ただし、0.01重量%を除く)含み、残部がAuおよび不可避不純物からなるボンディングワイヤ。
  2. Caを0.0001〜0.003重量%、Cuを0.0005〜0.01重量%(ただし、0.01重量%を除く)、Be、Geのうちの一種以上を合計で0.0001〜0.002重量%含み、残部がAuおよび不可避不純物からなるボンディングワイヤ。
  3. Caを0.0001〜0.003重量%、Cuを0.0005〜0.01重量%(ただし、0.01重量%を除く)、Sr、Y、La、Ce、Pr、Nd、SmおよびEuのうちの一種以上を合計で0.0001〜0.01重量%含み、残部がAuおよび不可避不純物からなるボンディングワイヤ。
  4. Caを0.0001〜0.003重量%、Cuを0.0005〜0.01重量%(ただし、0.01重量%を除く)、Be、Geのうちの一種以上を合計で0.0001〜0.002重量%、Sr、Y、La、Ce、Pr、Nd、SmおよびEuのうちの一種以上を合計で0.0001〜0.01重量%含み、残部がAuおよび不可避不純物からなるボンディングワイヤ。
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