JP3743024B2 - 演奏練習装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、予め記憶されている演奏データに基づいて、演奏者の演奏操作を補助しながら演奏技能の上達を図るための演奏練習装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
予めメモリに記憶されている演奏データを、演奏者のトリガー操作に応じて順次読み出し、楽音を発音する自動演奏装置が従来より知られている。このような装置においてトリガー操作は、例えば鍵盤の中の特定のキーを押下することにより行われ、演奏者は正確な音高を指定しなくても特定のキーを押下するだけで演奏することができるが、演奏者が演奏する曲を完全に知っていなければ演奏が困難であり、また曲の途中からトリガー操作を行うことはできなかった。
【0003】
そこで本出願人は、以下に述べるような自動演奏装置を既に提案している(特開平6−274160号公報)。
【0004】
すなわち第1実施例として、自動演奏の複数のトラックのうち少なくとの1つのトラック(トリガー駆動トラック)をトリガー操作に応じて制御し、他のトラック(ノーマルトラック)を周知の自動演奏の処理により再生するように構成し、演奏者がノーマルトラックの演奏を聴きながら、演奏曲の各小節の先頭付近のタイミングでトリガー操作を行うと、トリガー駆動トラックの当該小節の1小節分の演奏データを読み出して再生するものが示されている。
【0005】
また第2実施例として、トリガー駆動トラックを単音楽器のパートとし、記憶されている音符毎の発音タイミング付近でトリガー操作がなされると、その音符に対応する楽音を再生するものが示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記第1実施例の装置は、簡単な操作で演奏を楽しめるという利点があるが、小節単位などの決まった単位でしか演奏ができないため、演奏動作が単調になってそれ以上の技術の向上が望めないという欠点があった。
【0007】
また、第2実施例の装置では、単音楽器のパートでしか演奏できないため、複音楽器の技術向上には適さないものであった。
【0008】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、簡単な演奏動作から難易度の高い演奏動作まで段階的に徐々に技術を向上させることができ、しかも複音楽器のパートにおいても音符単位の制御を可能とした演奏練習装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、複数の演奏データを記憶する演奏データ記憶手段と、演奏者が演奏操作を行うための演奏操作手段と、前記演奏データの発音タイミングを含む発音許可期間、および前記演奏データの消音タイミングを含む消音許可期間であって、前記発音許可期間より期間の広い消音許可期間をそれぞれ設定する設定手段と、該演奏操作手段からの演奏情報によって示される音高と、前記演奏データ記憶手段に記憶された複数の演奏データのうち、現在発音許可期間内または現在消音許可期間内にある演奏データによって示される音高とを比較する比較手段と、該比較手段による比較の結果、当該演奏情報によって示される音高が前記発音許可期間内または消音許可期間内にある演奏データによって示される音高に一致するとき及び当該演奏情報によって示される音高が前記発音許可期間内または消音許可期間内にある演奏データを基準として所定の音高範囲内に含まれるときの少なくとも一方が成立した場合に、前記演奏操作のタイミングで当該演奏データによる発音または消音を指示する発音制御手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、同じ目的を達成するため本発明は、複数の演奏データを記憶する演奏データ記憶手段と、演奏者が演奏操作を行うための演奏操作手段と、演奏の難易度を設定する難易度設定手段と、複数種類の条件から、前記難易度設定手段によって設定された難易度に応じて、いずれかの種類の条件を選択する条件選択手段と、前記演奏データの発音タイミングを含む発音許可期間、および前記演奏データの消音タイミングを含む消音許可期間であって、前記発音許可期間より期間の広い消音許可期間をそれぞれ設定する設定手段と、前記演奏操作手段からの演奏情報と、前記演奏データ記憶手段に記憶された複数の演奏データのうち、現在発音許可期間内または現在消音許可期間内にある演奏データとを、前記条件選択手段によって選択された条件に基づいて比較する比較手段と、該比較手段による比較の結果、前記選択された条件を満たす演奏データによる発音または消音を、前記演奏操作のタイミングで指示する発音制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、前記選択された条件が満たされない場合は、発音処理の停止及び演奏者に対する警告の少なくとも一方を実行することが望ましい。
さらに、前記発音制御手段は、前記演奏データの前記消音許可期間が過ぎたときには、前記演奏操作による消音指示がなされたか否かに拘わらず、当該演奏データによる消音を強制的に指示することが望ましい。
【0013】
【作用】
請求項1の演奏練習装置によれば、演奏者の演奏情報によって示される音高と、予め記憶された複数の演奏データのうち、現在発音許可期間内または現在消音許可期間内にある演奏データによって示される音高とが比較され、その比較の結果、当該演奏情報によって示される音高が前記発音許可期間内または消音許可期間内にある演奏データによって示される音高に一致するとき及び当該演奏情報によって示される音高が前記発音許可期間内または消音許可期間内にある演奏データを基準として所定の音高範囲内に含まれるときの少なくとも一方が成立した場合に、当該演奏データによる発音または消音が指示される。
【0015】
請求項2の演奏練習装置によれば、演奏の難易度に応じて、複数種類の条件からいずれかの種類の条件が選択され、演奏操作手段からの演奏情報と、演奏データ記憶手段に記憶された複数の演奏データのうち、現在発音許可期間内または現在消音許可期間内にある演奏データとが、前記選択された条件に基づいて比較され、その比較の結果、前記選択された条件を満たす演奏データによる発音または消音が、演奏操作のタイミングで指示される。
【0016】
請求項4の演奏練習装置によれば、前記所定の条件が満たされない場合は、発音処理の停止及び演奏者に対する警告の少なくとも一方が実行される。
【0017】
【実施例】
以下本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【0018】
図1は本発明の一実施例にかかる演奏練習装置の構成を示すブロック図であり、この装置は、演奏者がトリガー操作を行うトリガー発生器としての機能を有し、一般的な電子楽器と同様に複数のキーが設けられた鍵盤1と、演奏データ等が記憶されるRAM2と、本装置全体の制御を行うCPU4と、CPU4で実行されるプログラムやプログラムの実行に必要なテーブル等が記憶されるROM3と、曲のテンポ設定、演奏の開始、終了の指示等を行うための各種スイッチ等で構成される操作子5と、演奏中の曲の楽譜等を表示するディスプレイ6と、CPU4の制御のもとに楽音信号を発生させる音源回路7と、この楽音信号をD/A変換し増幅してスピーカから出力するサウンドシステム8と、上記構成要素1〜7を相互の接続するバス9とを備えている。
【0019】
鍵盤1は、キーオン/キーオフ及びベロシティを検出する検出部を有し、その検出信号がCPU4に入力される。本実施例では、キーオン/キーオフがそれぞれトリガーオン/トリガーオフに対応する。
【0020】
RAM2に記憶される演奏データは、図2に示すようにイベントデータE1,E2,…及びデュレーションデータD1,D2,…からなる。イベントデータは、発音すべき楽音のイベントの内容を示すものであり、例えば発音開始を示すノートオンデータや発音終了を示すノートオフデータ等がある。さらに、キーオンデータには、発音すべき楽音の音高を示すノートデータや音の強弱を示すベロシティデータ等が付随する。このようなイベントデータは、曲中のイベントの数だけ順次記憶されている。また、デュレーションデータは、イベントとイベントの間隔を後述する割り込み処理の回数(以下「クロック数」という)で示すデータである。
【0021】
RAM2はさらに演奏者の演奏動作(キーオン、キーオフ)と、予め記憶された演奏データとを比較するための複数のイベントバッファ12として使用される。イベントバッファ12は例えば16個設け、そこに記憶されるデータは図3に示すような構成を有する。すなわち、1つのイベントバッファには、当該バッファが使用中であるとき「1」に設定され、空のとき「0」に設定される使用フラグ12aと、発音データ12bと、消音データ12cとが記憶される。ここで、発音データ12bは、発音開始位置(タイミング)を示す位置データと、発音許可期間の前端及び後端を示す前データ及び後データと、MIDI規格のノートオンメッセージとからなり、消音データ12cは、発音終了位置(タイミング)を示す位置データと、消音許可期間の前端及び後端を示す前データ及び後データと、MIDI規格のノートオフメッセージとからなる。演奏タイミングを示す位置データ等は、演奏開始タイミングからのクロック数で示され、例えば位置データが500のとき、その前24クロックのタイミングからその後48クロックのタイミングまで発音許可する場合、発音データ12bの前データは476(=500−24)、後データは548(=500+48)である。
【0022】
また、本実施例では消音許可範囲を発音許可範囲より広くしているが、これは消音タイミングは多少ずれても発音タイミングのずれより影響が小さいことを考慮したからである。
【0023】
なお、イベントバッファの数を16個としたのは、一人の演奏者が同時に押下するキーの数は最大8個程度であること、及び1つの楽音の消音許可期間と次の楽音の発音許可期間とが重なる場合あることを考慮したからである。もちろん、もっと多くしてもよい。
【0024】
図4は、演奏中にイベントバッファに書き込まれる発音許可期間及び消音許可期間を決定するためのパラメータを、演奏の難易度に対応して格納したテーブルを示す図であり、このテーブルはROM3に格納されている。ここでは難易度を1から10とし(値が大きいほど演奏が難しいことを示す)、難易度が高いほど許可期間が狭くなるように設定されている。同図において、RF及びRRは発音許可期間パラメータ及び消音許可期間パラメータであり、発音許可期間パラメータRFは、図3に示す発音データ12bの前データ決定のための前データ決定パラメータRF1及び後データ決定のための後データ決定パラメータRF2からなる。具体的には、発音データ12bの位置データに各パラメータRF1,RF2を加算することにより、前データ及び後データが決定される。消音許可期間パラメータRFも同様に、前データ決定パラメータRR1及び後データ決定パラメータRR2からなる。
【0025】
なお、難易度1の場合は、消音許可期間パラメータRRが記憶されていない。この場合には、範囲がないと判断して消音データ12cの前データ及び後データはいずれも位置データと同じとされる。これにより、曲進行位置が消音位置を過ぎるとすぐに消音されるので、本来の消音タイミングとほぼ同じタイミングで消音され、特別の処理を必要としない。
【0026】
図5は、ディスプレイ6の表示画面の一例を示す図であり、演奏中の曲の楽譜及び曲の進行状況を示す矢印11が表示される。演奏の進行に伴って矢印が左から右へ移動し、矢印11が右端に達すると画面が更新されるので、演奏者はディスプレイ6上の矢印11の移動に合わせて押鍵することにより、演奏を行うことができる。
【0027】
次に以上のように構成される演奏練習装置の動作の概要を説明する。
【0028】
先ず最も難易度が低いモード(難易度1)では、演奏者は鍵盤1のいずれかのキーを押下すること(キーオン)によりトリガー操作を行うと、そのキーオンのタイミングが発音許可期間に入っているときは、対応する楽音が発音される。このとき発音されるのは単音とは限らず、キーオンタイミングが発音許可期間に入っているすべての楽音が発音される。例えば、図5の矢印11が示すタイミングでは、5つの楽音が同時に発音される。なお、上述したようにこのモードでは演奏者のキーオフタイミングとは無関係に、記憶されている演奏データの消音タイミングで消音される。そして、キーオンタイミングが発音許可期間に入っているときは、得点が加算されディスプレイに表示される。
【0029】
また、難易度が高いモードでは、演奏者によるキーオンタイミングが発音許可期間内にあり、且つキーオンされたキーのキーコードと演奏データのノート番号とが一致するとき発音処理がおこなわれ、さらに演奏者によるキーオフタイミングが消音許可期間内にあり、且つキーオフされたキーのキーコードと演奏データのノート番号が一致するとき消音処理が行われる。そして、発音処理又は消音処理が行われると、得点加算及び表示処理が行われる。
【0030】
次に本装置の動作を図6〜13のフローチャートを参照して詳細に説明する。
【0031】
図6はCPU4で実行されるメインルーチンのフローチャートであり、本ルーチンはこの装置に電源が投入されると起動される。
【0032】
先ずステップS11では、RAM2内の各種レジスタのゼロリセットや、各種フラグへの初期設定値書き込み等の初期設定を行う。次いで、上記した演奏の難易度を設定する処理を行う(ステップS12)。この処理は、前回の演奏時の難易度と得点に応じて今回の難易度を自動的に設定するか、又は演奏者が操作子5により設定する。続くステップS13では、操作子により設定されたテンポに応じて後述する割り込み信号の周期を設定するテンポ設定処理を行う。
【0033】
次いで、スタートイベントがあったか、すなわち演奏のスタートを指示するスイッチにより演奏開始指示がなされたか否かを判別し(ステップS14)、なされていなければ直ちにステップS16に進む。演奏開始指示がなされたときは、自動演奏処理を開始し(ステップS15)、続くステップS16では自動演奏中か否かを判別する。そして、自動演奏中でなければ直ちにステップS18に進み、自動演奏中のときは後述する自動演奏処理(図8)を実行する(ステップS17)。ステップS18では、ストップイベントがあったか否か、すなわち演奏の終了を指示する演奏終了指示がなされたか否かを判別し、なされていなければステップS20に進み、終了指示がなされたときは自動演奏を停止して(ステップS19)、ステップS20に進む。ステップS20では、イベントバッファ12を検索して曲進行位置における押鍵すべき鍵数を得、次いで後述するトリガー処理(図10〜13)を実行し(ステップS21)、さらに楽譜表示処理を行って(ステップS22)、ステップS12へ戻る。
【0034】
図7は、曲のテンポに応じて設定される割り込み周期で実行される割込処理のフローチャートであり、曲の進行位置を示すクロック数を1だけ増加させる処理を行う(ステップS1)。
【0035】
図8は、図6のステップS17で実行される自動演奏処理のフローチャートであり、先ずステップS31では空の(使用されていない)イベントバッファ12があるか否かを判別し、あるときはイベントを検索してイベントバッファ12に記憶する処理(図9)を行い(ステップS32)、ステップS31に戻る。ステップS31,S32を繰り返し実行することにより、16個のイベントバッファ12がすべて使用状態となる。
【0036】
図9のステップS41では、演奏データの検索ポインタを進めてノートオンデータを検索し、空きイベントバッファ12に記憶する。次いで、その検索ポインタを一時的に記憶し(ステップS42)、さらに検索ポインタを進めて対応するノートオフデータを検索し、ステップS41で記憶したイベントバッファと同じイベントバッファ12に記憶する(ステップS43)。
【0037】
続くステップS44では、上記ステップS41及びS43で記憶したノートオンデータ及びノートオフデータからノートオンからノートオフまでの時間データ(音符の長さ)を算出し、その時間データと難易度に応じて図4のテーブルを検索して発音許可期間及び消音許可期間を決定し、前データ及び後データとしてイベントバッファ12に記憶する。次いで、検索ポインタをステップS42で記憶したノートオンデータの位置に戻して(ステップS45)、本処理を終了する。
【0038】
図8に戻り、ステップS31の答が否定(NO)、すなわち空のイベントバッファ12がないときは、曲進行位置を示すクロック数が増えたか否かを判別し、増えていなければ直ちに本処理を終了し、図6のメインルーチンに戻る。また、クロック数が増えたときは、曲進行位置がノートオンの範囲を越えたイベントバッファ12があるか否かを判別する(ステップS34)。具体的には、曲進行位置と発音データ12bの後データとを比較することにより行う。そして、該当するバッファ12がなければ直ちにステップS36に進み、あればそのバッファ12のデータは発音タイミングを過ぎているのでそのバッファ12を空にして(ステップS35)ステップS36に進む。
【0039】
ステップS36では、曲進行位置がノートオフの範囲を越えたイベントバッファ12があるか否かを判別し、該当するバッファ12がなければ直ちにステップS38に進み、あれば演奏者が消音許可期間内にキーオフしなかったことになるので、強制的にノートオフ処理を行うとともにそのバッファ12を空にして(ステップS37)、ステップS38に進む。ステップS38では、曲進行位置におけるノートオン、ノートオフ以外の自動演奏処理、例えば操作子の変化情報や音色の変化情報に応じた処理を行い、ステップS31に戻る。
【0040】
次に図6のステップS21におけるトリガー処理を説明する。このトリガー処理は、難易度により処理内容が異なるので、図10〜13を参照して順に説明する。
【0041】
図10は最も難易度が低い場合の処理であり、トリガーオンイベント(キーオンイベント)があると、曲進行位置が発音許可期間に入っているすべてのイベントバッファ12に記憶されている発音データに対応する楽音を発音し(ステップS51)、得点加算処理及びディスプレイへの表示処理を実行して(ステップS52)、本処理を終了する。この場合の消音処理は、前述したように演奏者のキーオフ操作のタイミングに拘わらず、演奏データのノートオフタイミングで行われる。なお、この処理では、押下されるキーはいずれのキーでもよいこととしている。
【0042】
図11は、図10の処理より難易度を高め、キーオンタイミングに加えて押鍵数の一致もチェックするトリガー処理のフローチャートである。
【0043】
先ずステップS61では、ほぼ同時に押下されたキーの数を検出する。この検出は、最初のトリガーオンイベントから所定時間待ってその間に発生したトリガーオンイベントをカウントすることにより行う。続くステップS62では、検出した押鍵数が演奏データの押鍵すべきキーの数(図6、ステップS20参照)と一致したか否かを判別する。そして、一致していなければ直ちに本処理を終了する一方、一致するときは、曲進行位置が発音許可期間内であるイベントバッファ12のデータに対応する楽音を発音し(ステップS63)、得点加算処理及び表示処理を実行して(ステップS64)、本処理を終了する。
【0044】
この処理によれば、演奏者による押鍵数が演奏データと一致しない場合は、発音されず得点加算が行われない。
【0045】
図12は、さらに難易度を高めた場合のトリガー処理のフローチャートであり、本処理ではキーオンのタイミング及び押鍵されたキーのキーコードが所定条件を満たす場合に発音処理等をおこなう。
【0046】
先ずステップS71では、カウント値iを「1」に設定し、次いで曲進行位置がi番目のイベントバッファの発音許可期間内か否かを判別する(ステップS72)。その答が肯定(YES)のときはさらに押鍵されたキーのキーコードと当該イベントバッファ内のノート番号が一致する否かを判別する(ステップS73)。その結果、ステップS72及びS73の答がともに肯定(YES)のときは、当該イベントバッファのデータに対応する楽音を発音し(ステップS81)、得点加算処理及び表示処理を実行して(ステップS82)、本処理を終了する。このように一致する場合は、後述する所定範囲内に入ったとき(ステップS78の答が肯定(YES)のとき)より加算する点数を多くする。
【0047】
一方ステップS72又はS73の答が否定(NO)のとき、すなわち曲進行位置がi番目のイベントバッファの発音許可期間内にないとき又は押鍵されたキーのキーコードが当該イベントバッファ内のノート番号と一致しないときは、カウント値iが所定数nと等しいか否かを判別し(ステップS74)、i<nであるときは、カウント値iを「1」だけ増加させてステップS72に戻る。ここで、所定数nは、通常はイベントバッファ12の数16とするが、和音を構成する楽音の数の少ない曲では、もっと少なくしてもよい。
【0048】
ステップS74でi=nとなると、カウント値jを「1」に設定し(ステップS76)、曲進行位置がj番目のイベントバッファの発音許可期間内か否かを判別する(ステップS77)。その答が肯定(YES)のときはさらに押鍵されたキーのキーコードが当該イベントバッファ内のノート番号±ノート範囲数の範囲内にあるか否かを判別する(ステップS78)。その結果、ステップS77及びS78の答がともに肯定(YES)のときは、前記ステップS81に進む。
【0049】
一方ステップS77又はS78の答が否定(NO)のとき、すなわち曲進行位置がj番目のイベントバッファの発音許可期間内にないとき又は押鍵されたキーのキーコードが当該イベントバッファ内のノート番号±ノート範囲数の範囲内にないときは、カウント値jが所定数nと等しいか否かを判別し(ステップS79)、j<nであるときは、カウント値jを「1」だけ増加させてステップS77に戻る。ステップS79でj=nとなると、本処理を終了する。
【0050】
本処理により、演奏者によるキーオンタイミングが発音許可期間内にあり、且つキーコードが演奏データと一致するとき又は所定範囲内(ノート番号±ノート範囲数)にあるときは、キーオンタイミング時に発音処理及び得点加算が行われる一方、それ以外のときは発音処理及び得点加算は行われない。
【0051】
図13は、トリガーオフイベントに対応したトリガー処理のフローチャートであり、キーオフイベント(トリガーオフイベント)について図12と同様の処理を行うものである。
【0052】
先ずステップS91では、カウント値kを「1」に設定し、次いで曲進行位置がk番目のイベントバッファの消音許可期間内か否かを判別する(ステップS92)。その答が肯定(YES)のときはさらに離鍵されたキーのキーコードと当該イベントバッファ内のノート番号が一致する否かを判別する(ステップS93)。その結果、ステップS92及びS93の答がともに肯定(YES)のときは、当該イベントバッファのデータに対応する楽音を消音し(ステップS101)、得点加算処理及び表示処理を実行し(ステップS102)、当該イベントバッファを空にして(ステップS103)、本処理を終了する。このように一致する場合は、後述する所定範囲内に入ったとき(ステップS98の答が肯定(YES)のとき)より加算する点数を多くする。
【0053】
一方ステップS92又はS93の答が否定(NO)のとき、すなわち曲進行位置がk番目のイベントバッファの消音許可期間内にないとき又は離鍵されたキーのキーコードが当該イベントバッファ内のノート番号と一致しないときは、カウント値kが所定数nと等しいか否かを判別し(ステップS94)、k<nであるときは、カウント値kを「1」だけ増加させてステップS92に戻る。
【0054】
ステップS94でk=nとなると、カウント値mを「1」に設定し(ステップS96)、曲進行位置がm番目のイベントバッファの消音許可期間内か否かを判別する(ステップS97)。その答が肯定(YES)のときはさらに離鍵されたキーのキーコードが当該イベントバッファ内のノート番号±ノート範囲数の範囲内にあるか否かを判別する(ステップS98)。その結果、ステップS97及びS98の答がともに肯定(YES)のときは、前記ステップS101に進む。
【0055】
一方ステップS97又はS98の答が否定(NO)のとき、すなわち曲進行位置がm番目のイベントバッファの消音許可期間内にないとき又は離鍵されたキーのキーコードが当該イベントバッファ内のノート番号±ノート範囲数の範囲内にないときは、カウント値mが所定数nと等しいか否かを判別し(ステップS99)、m<nであるときは、カウント値mを「1」だけ増加させてステップS97に戻る。ステップS99でm=nとなると、本処理を終了する。
【0056】
本処理により、演奏者によるキーオフタイミングが消音許可期間内にあり、且つキーコードが演奏データと一致するとき又は所定範囲内(ノート番号±ノート範囲数)にあるときは、キーオフタイミング時に消音処理及び得点加算が行われる一方、それ以外のときは図8のステップS37で強制的な消音処理が行われ、得点加算は行われない。
【0057】
以上詳述した図10〜13の処理を選択又は組み合わせて、難易度に応じた得点加算が行われ、低レベルから高レベルまでの広い範囲の演奏技能に対応した演奏の練習が可能となる。例えば、難易度1は図10の処理のみとし、難易度2は図11の処理のみとし、難易度3は図12の処理のみとし、難易度4〜7は図12の処理でノート範囲数を徐々に小さくして実現し、難易度8〜10は図12及び13の処理で、ノート範囲数を徐々に小さくして実現する。
【0058】
以上のように本実施例では、複数のトリガー処理を難易度に応じて選択又は組み合わせるようにしたので、簡単な演奏動作から難易度の高い演奏動作まで段階的に練習することができる。また、イベントバッファを複数設けたので、複音楽器のパートにおいても音符単位の制御を行うことが可能となる。
【0059】
なお、上述した実施例に片手モード(左手のみ、又は右手のみの演奏)を付加する場合には、演奏データのトラックを右手用と左手用に分けておき、一方のみトリガーコントロールを行い、他方のトラックは通常の自動演奏処理を行うようにすればよい。また、片手モードに限らず、従来の技術として述べた自動演奏装置と同様に、複数の自動演奏トラックの1つ又は2つをトリガー駆動トラックとし、他のトラックを通常の自動演奏用のノーマルトラックとしてもよい。
【0060】
また、演奏動作と演奏データをと比較するためのパラメータとして、ベロシティを用い、ベロシティの許可範囲を設定するようにしてもよい。
【0061】
また、上述した実施例では所定の条件を満たす場合のみ発音するようにしたが、これに限るものではなく、所定の条件を満たさない場合も発音するようにしてもよい。ただし、その場合には、得点を加算しないようにし、さらに間違いであることを表示したり、警告音(エラー音)を発音するなどして、演奏者に注意を促すことが望ましい。
【0062】
また、上述した難易度に応じた所定条件を満たす場合のみ、発音及び得点加算を行うトリガー処理を、従来のワンキープレイ専用の練習装置(自動演奏装置)に適用してもよい。その場合は、例えば図14に示すようなトリガー処理を行う。
【0063】
同図ステップS111では、ノートオンデータを読み出し、次いで難易度に応じた所定条件を満たすか否かを判別する。この場合の所定条件としては、例えばキーコードが所定範囲内にあるか、あるいは演奏データと一致するか否かがある。
【0064】
ステップS112に所定条件が満たされる場合は、読み出されたデータに対応する楽音を発音するとともに(ステップS113)、得点加算及び表示処理を行って(ステップS114)、本処理を終了する。
【0065】
また、ステップS112で所定条件が満たされない場合は、エラー音を発音するとともに(ステップS115)、間違いである旨を表示して(ステップS116)、本処理を終了する。
【0066】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項2の演奏練習装置によれば、演奏の難易度に応じて、複数種類の条件からいずれかの種類の条件が選択されるので、簡単な演奏動作から難易度の高い演奏動作まで段階的に練習することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかる演奏練習装置の構成を示すブロック図である。
【図2】演奏データの構成を説明するための図である。
【図3】イベントバッファの記憶内容を説明するための図である。
【図4】発音許可期間及び消音許可期間を決定するためのパラメタータを、演奏の難易度に対応して格納したテーブルを示す図である。
【図5】ディスプレイの表示画面の一例を示す図である。
【図6】図1のCPUで実行されるメインルーチンのフローチャートである。
【図7】割込処理のフローチャートである。
【図8】自動演奏処理のフローチャートである。
【図9】自動演奏処理の一部を詳細に示すフローチャートである。
【図10】トリガー処理のフローチャートである。
【図11】トリガー処理のフローチャートである。
【図12】トリガー処理のフローチャートである。
【図13】トリガー処理のフローチャートである。
【図14】トリガー処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1 鍵盤
2 RAM
3 ROM
4 CPU
5 操作子
6 ディスプレイ
Claims (5)
- 複数の演奏データを記憶する演奏データ記憶手段と、
演奏者が演奏操作を行うための演奏操作手段と、
前記演奏データの発音タイミングを含む発音許可期間、および前記演奏データの消音タイミングを含む消音許可期間であって、前記発音許可期間より期間の広い消音許可期間をそれぞれ設定する設定手段と、
該演奏操作手段からの演奏情報によって示される音高と、前記演奏データ記憶手段に記憶された複数の演奏データのうち、現在発音許可期間内または現在消音許可期間内にある演奏データによって示される音高とを比較する比較手段と、
該比較手段による比較の結果、当該演奏情報によって示される音高が前記発音許可期間内または消音許可期間内にある演奏データによって示される音高に一致するとき及び当該演奏情報によって示される音高が前記発音許可期間内または消音許可期間内にある演奏データを基準として所定の音高範囲内に含まれるときの少なくとも一方が成立した場合に、前記演奏操作のタイミングで当該演奏データによる発音または消音を指示する発音制御手段と
を備えることを特徴とする演奏練習装置。 - 複数の演奏データを記憶する演奏データ記憶手段と、
演奏者が演奏操作を行うための演奏操作手段と、
演奏の難易度を設定する難易度設定手段と、
複数種類の条件から、前記難易度設定手段によって設定された難易度に応じて、いずれかの種類の条件を選択する条件選択手段と、
前記演奏データの発音タイミングを含む発音許可期間、および前記演奏データの消音タイミングを含む消音許可期間であって、前記発音許可期間より期間の広い消音許可期間をそれぞれ設定する設定手段と、
前記演奏操作手段からの演奏情報と、前記演奏データ記憶手段に記憶された複数の演奏データのうち、現在発音許可期間内または現在消音許可期間内にある演奏データとを、前記条件選択手段によって選択された条件に基づいて比較する比較手段と、
該比較手段による比較の結果、前記選択された条件を満たす演奏データによる発音または消音を、前記演奏操作のタイミングで指示する発音制御手段と、
を備えることを特徴とする演奏練習装置。 - 前記複数種類の条件には、前記演奏情報の個数と前記演奏データの個数とが一致するという条件が含まれることを特徴とする請求項2に記載の演奏練習装置。
- 前記選択された条件が満たされない場合は、発音処理の停止及び演奏者に対する警告の少なくとも一方を実行することを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の演奏練習装置。
- 前記発音制御手段は、前記演奏データの前記消音許可期間が過ぎたときには、前記演奏操作による消音指示がなされたか否かに拘わらず、当該演奏データによる消音を強制的に指示することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の演奏練習装置。
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