JP3742847B2 - 室内引き戸ユニット及び引き戸 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、室内の間仕切り壁の通用開口部に複数枚の引き戸を装着する室内引き戸ユニット及び引き戸に関し、特に、引き戸を装着する薄肉軽量構造の上下レール枠及び竪枠を前記開口部の天井、床及び壁の仕上げ材に直接固設して、木枠などを用いずに簡単に取付けられる室内引き戸ユニット及びこれに適用される好適な引き戸に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の鉄筋コンクリート製マンションやホテル、あるいは一般住宅などの居室においては、室内の間仕切り壁の通用開口部に取付けられる引き戸は、ほとんどが木製の枠を介して、一部浴室など水回りの間仕切りを除き、木製の上下レール枠及び竪枠又は柱に囲まれた木枠内に装着されている。
また、従来の引き戸は、下又は上戸車がボールベアリングを装着しているか、又はボールベアリングを装着せず直接回転軸に挿通された金属又は硬質プラスチック製などの戸車が用いられている。なお、上戸車が用いられているケースは少ない。
さらに、アルミ製などの引き戸の周囲枠を構成する扉框体の前後両端の扉縦框は、左右非対称形状に形成されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−169325号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の技術においては、前記木枠に日常掃除の時に掃除機や、その他移動・運搬時の家具類などをぶつけて木枠を傷付け易かった。
また、前記木枠は、経年劣化により塗装が剥がれたり、木枠固定用の釘が錆びたり、特に洗面所やトイレなど水回りの場所では腐食し易く、補修が面倒であった。
また、前記木枠は、デザインの自由度が取り難く単純な平板構造にほとんど限定され、さらに、木枠固定用の釘が露出するなど美観的にも劣っていた。
【0005】
また、特に下レール枠は、床仕上げ材上に突出しており、歩行時に蹴躓いて負傷するなどの危険性があった。
さらに、釘などによる新規木枠取付けや、床材又は天井材などリフォーム時などの木枠は、床又は天井の仕上げ材取外し及び取付けの施工後に、現場においてそれらに合せて加工し、取外し又は取付けを行うなど施工が手間取る等々の欠点があった。
【0006】
また、従来の下又は上戸車は、ボールベアリンを装着しているものは重厚で高価であり、一方、ボールベアリンを装着せずに直接回転軸に挿通された戸車は、回転軸又は回転軸挿通孔部が磨耗し易い上、回転がスムースでなく戸車を引きずり偏摩耗し易いなどの問題点があった。
特に、アルミ製の引き戸用に設けられる上戸車ユニットは、取付け個所が引き戸の上面のみに限定され、木製の引き戸用には一面のみの固定では取付け強度不足のため不適当であるなどの問題点があった。
【0007】
また、従来のアルミ製などの引き戸の周囲枠を構成する扉框体の前後両端の扉縦框は、左右非対称形状に形成されているため、引き戸の裏表の配置方向が限定される制約があった。
【0008】
本発明はこれらの問題点を解決するためになされたもので、その目的は、室内間仕切壁の通用開口部に木枠を用いず直付けされて、外観デザインの自由度があり、美観、歩行時の安全性及び耐久性に優れ、新規又はリフォーム時の係脱施工が容易な室内引き戸ユニット、及びこれに適用され、軽快で低コストの戸車を有し左右配置自在な引き戸を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記問題を解決するため、本発明の室内引き戸ユニットは、室内の間仕切り壁の上側が天井仕上げ部材表面まで、下側が床仕上げ材表面まで開口された通用開口部に直付けされて、複数枚の引き戸を装着する枠体を構成する引き戸ユニットであって、前記枠体は、薄肉軽量構造により形成され、前記通用開口部の床仕上げ材に設けられた取付け用長孔に主要部を埋設して、床上面と略水平面内に直付けされ、複数枚の引き戸の下戸車を案内する複数条のレールを備えた下レール枠と、前記通用開口部の天井仕上げ部材に直付けされ、前記引き戸の上端部を案内する複数条のレールを備えた上レール枠と、前記通用開口部の両側面の壁仕上げ材又は竪軸に直付けされ、前記引き戸の各前後端面が当接する複数の引き戸当接面を備えた竪枠とからなり、前記下レール枠は、長手方向に沿って凹溝状に形成された前記複数条のレールと、該レールの左右両端外側に沿って水平に延設され、前記取付け用長孔が形成された床仕上げ部材上面に当接し、左右先端上面角部が滑らかに形成された薄板状の床面当設部と、該両床面当設部の内側端にそれぞれレールに沿って下方向に突設され、前記取付け用長孔内に埋設される薄板状の埋設部と、前記複数条のレール間部にレールに沿って凹型開口部が形成され、その底面が前記取付け用長孔内の床下地材に複数の固定部材を介して固定される複数条の固定部と、前記開口部の上端部両側に設けられた固定部側係合部に係合するキャップ側係合部が両端に突設され、開口部を覆うように係脱可能に装着された薄板状のキャップとからなり、前記上レール枠は、上面が前記天井仕上げ部材に長手方向に沿って複数の固定部材を介して固定される固定部と、該固定部の下方平行に配置され前記レールの上底を形成する薄板状の基板と、前記固定部材による上レール枠の取付け又は取外しのために前記基板に設けられたアクセス孔と、前記基板の左右両端に沿って下方向に突設され、その内面が前記レール面となる薄板状の端部レール板と、該両端部レール板の内側に沿って下方向に突設され、逆凹形溝状の前記複数条のレールを形成する複数枚の中間レール板とからなることを特徴とする。
【0012】
また、前記竪枠は、前記通用開口部側面の壁仕上げ材又は竪軸に複数の固定部材を介して固定される固定部と、縦方向に沿って前記固定部と平行に閉鎖断面状に形成された前記複数の引き戸当接面と、該引き戸当接面の左右両端に引き戸側面外に突出して形成され、上下端の左右内側にそれぞれ前記上下レール枠の両端部が挟設される凸端部と、前記固定部の両端部内側に形成され、前記通用開口部側面の壁材が挟設される凹部と、前記複数の引き戸当接面の間に縦方向に沿って開口され、前記固定部材を介して固定される固定部を底面とする複数の凹型開口部とからなることを特徴とする。
【0013】
また、前記竪枠の凹型開口部の上端部には、該上端部両側に固定部側係合部が設けられ、該固定部側係合部に係合するキャップ側係合部が両端に突設された薄板状のキャップが、開口部を覆うように係脱可能に装着されていることを特徴とする。
【0014】
さらに、前記下レール枠及び竪枠の凹型開口部の底面となる固定部の中央上面には、前記固定部が撓み易くなるように凹溝が形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、前記室内引き戸ユニットに適用される本発明の引き戸、薄肉軽量構造により形成され引き戸の周囲枠を構成する扉框体の前後両端の扉縦框は、左右対称閉断面形状に形成された端部の前端面と、前記端部の後部に連設して左右面外に曲折され左右対称断面形状に形成された基部と、前記前端面に固着された弾性物質からなるシール部材とを備えた同一形状に形成され、前記シール部材は、前記扉縦框の前端面に接着固定された直線部と該直線部の一端部又は両端部に連続する円弧部から構成されて、全体として半円弧断面形状又は半円筒形状に形成されていることを特徴とする。
【0016】
また、前記室内引き戸ユニットに適用される本発明の引き戸、薄肉軽量構造により形成され引き戸の周囲枠を構成する扉框体の前後両端の扉縦框は、左右対称閉断面形状に形成された端部の前端面と、前記端部の後部に連設して左右面外に曲折され左右対称断面形状に形成された基部と、前記前端面に固着された弾性物質からなるシール部材とを備えた同一形状に形成され、前記シール部材は、前記扉縦框の前端面に接着固定された直線部と該直線部の一端部又は両端部に連続する円弧部から構成されて、全体として半円弧断面形状又は半円筒形状に形成されていることを特徴とする。
【0017】
また、前記室内引き戸ユニットに適用される引き戸であって、扉下框の前後両端に設けられ、回転軸挿通孔の内面に薄肉円筒状に形成されたシリコン系樹脂又は二硫化モリブデンなどの潤滑剤を含浸したオイレスメタル等の潤滑部材が装着され、前記下レール枠のレール上を走行する下戸車と、倒立した略コ形形状の天井面が前後方向に傾斜して形成され一方の端に回転軸を介して前記下戸車を挟設した薄肉構造の基体と、基体の他方の端に形成され、前記下戸車と反対方向から略水平に扉下框に設けられた調整ネジが螺合する調整ネジ孔とからなる下戸車ユニットを備えたことを特徴とする。
【0018】
さらに、前記室内引き戸ユニットに適用される引き戸であって、扉上框の前後両端に設けられ、回転軸挿通孔の内面に薄肉円筒状に形成されたシリコン系樹脂又は二硫化モリブデンなどの潤滑剤を含浸したオイレスメタル等の潤滑部材が装着され、前記上レール枠のレール側面上を走行する上戸車と、回転軸を介して前記上戸車を左右水平に少なくとも1個ずつ配置して支持する基板と、基板の中央の片端に突設され取付け孔が形成された第1取付け部と、基板の中央の他端に下方略直角に曲設され取付け孔が形成された第2取付け部とからなる上戸車ユニットを備えたことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る好ましい一実施の形態について、添付図面を参照し詳細に説明する。
図1は、本発明に係る一実施の形態による室内引き戸ユニットの縦断面図で、図3は、図1のA−A矢視、横断面図である。
本発明の一実施の形態による室内引き戸ユニットは、例えばマンションなどの室内間仕切り壁の通用開口部が天井仕上げ材30面までぎりぎり一杯に開口され、小横木軸81、82及び大横木軸83などの天井木軸80、小竪木軸70及び大竪木軸71などの竪軸等からなる木軸下地に天井仕上げ材30、壁材50及び壁仕上げ材51が外装された構造の場合に適用されたものである。
【0020】
図2は、本発明に係る他の実施の形態による室内引き戸ユニットの縦断面図で、図4は、図2のB−B矢視、横断面図である。
本発明に係る他の実施の形態による室内引き戸ユニットは、例えばマンションなどの室内間仕切り壁の通用開口部が天井仕上げ材30面までぎりぎり一杯に開口され、天井スラブ100に固定部材46により固設された支持部材45に連結された複数のシングル及びダブルクリップ43及び44に支持されたシングル及びダブル野縁41及び42などの野縁40、小角スタッド60、大角スタッド61などの竪軸等からなる軽鉄下地に天井仕上げ材30、壁材50及び壁仕上げ材51が外装された構造の場合に適用されたものである。
【0021】
本発明の室内引き戸ユニットは、前記間仕切り壁の通用開口部に木枠を用いず直付けされて、複数枚(以下、図示例では3枚)の引き戸10を装着する枠体を構成する引き戸ユニットであって、前記枠体は、例えば、主要部肉厚が1.2〜2mm程度のアルミ合金製薄肉軽量構造により形成され、前記開口部の床仕上げ材20に設けられた取付け用長孔21に主要部を埋設して、床仕上げ材20の上面と略水平面内に直付けされ、複数枚の引き戸10の下戸車11を案内する複数条のレール1cを備えた下レール枠1と、前記通用開口部の天井仕上げ部材30に直付けされ、引き戸10の上端部の上戸車12を案内する複数条のレールを備えた上レール枠2と、前記通用開口部の両側面の壁仕上げ材51、又は大、小竪木軸71、70又は大、小角スタッド60、61又は中角スタッド62及びスタッド63などの竪軸に直付けされ、引き戸10の各前後端面が当接する複数の引き戸当接面3aを備えた竪枠3とからなる。
前記枠体は、アルミ合金、その他の金属又は高分子材量などの建築材料から構成してもよいが、生産性、組付け性及びコスト的観点からは、一体又は分割型成形品とし、少なくとも下レール枠1、上レール枠2及び竪枠3は、それぞれ一体型に形成することが望ましい。
なお、前記通用開口部に必要に応じて、従来のような木枠を介して前記枠体を取付けできることは言うまでもない。
【0022】
下レール枠1は、例えば図1、図2及び図6に示すように、長手方向に沿って略V形などの凹溝状に形成された複数条のレール1c、1c、1cと、レール1cの左右両端外側に沿って水平に延設され、取付け用長孔21の床仕上げ部材20上面に当接し、左右先端上面角部が滑らかに、例えば、先端方向に傾斜したテーパ面1a1が形成された薄板状の床面当設部1a、1aと、床面当設部1a、1aの内側端にそれぞれレール1cに沿って下方向に突設され、取付け用長孔21内に埋設される薄板状の埋設部1b、1bと、複数条のレール1c、1c、1c間部にレール1cに沿って凹型開口部1h、1h形成され、その底面が取付け用長孔21内の床下地材22に固定される複数条の固定部1d、1dとからなっている。
このような構成により、下枠レール1は、床仕上げ部材20上面に、先端方向に傾斜したテーパ面1a1が形成された、例えば肉厚1.2mm程度の薄板状の床面当設部1aがあるのみで、これ以上の突出部はないため、歩行時に躓くような危険性がない上、美観上も優れている。
【0023】
上レール枠2は、例えば図1、図2及び図5に示すように、上面が天井仕上げ材30に長手方向に沿って固定される固定部2d、2eと、固定部2d、2eの下方平行に配置され前記レールの上底を形成する薄板状の基板2aと、基板2aの左右両端に沿って下方向に突設され、その内面が前記レール面となる薄板状の端部レール板2b、2bと、両端部レール板2b、2bの内側に沿って下方向に突設され、逆凹形溝状の前記複数条のレールを形成する複数枚の中間レール板2c、2cとからなっている。
【0024】
また、図5に示すように、固定部2eには、図示しない固定ネジなどの固定部材を挿通する複数の取付け孔2h、2h、2hが設けられている。そして、基板2aには、取付け孔2h、2h、2hと略同軸状に対向して前記固定部材による上レール枠2の取付け又は取外し時のアクセス用孔2k、2k、2kが複数設けられ、各アクセス用孔2kには目隠し部材5が嵌め込まれている。
【0025】
本発明の一実施の形態による竪枠3は、例えば図3、図4及び図7に示すように、前記通用開口部側面の壁仕上げ材51又は竪軸70、71、又は60、61に固定される固定部3b1、3cと、縦方向に沿って固定部3b1、3cと平行に閉鎖断面状に形成された引き戸当接面3a、3a、3aと、引き戸当接面3a、3a、3aの左右両端に引き戸側面外に突出して曲折形成され、上下端の左右内側面3b2、3b2にそれぞれ前記上下レール枠2、1の両端部が挟設される凸端部3b、3bと、固定部3b1、3cの両端部内側に形成され、前記通用開口部側面の壁材50が挟設される凹部3h、3b2と、複数の引き戸当接面3a、3a、3aの間に縦方向に沿って開口された複数の凹型開口部3g、3gとからなっている。
【0026】
また、本発明の他の実施の形態による竪枠3は、図8に示すように、凸端部3b、3bが中実状に形成され、その他の構成は前記図7と同様に構成されている。
【0027】
また、図5に示すように、両端部レール板2b、2b及び中間レール板2c、2cにより形成される逆凹型レール溝の両端部内側上端に配置され、左右の縦枠3の引き戸当接面3a、3a、3aの上端部側に戸当り部材6、6、6が取付けられる。
【0028】
また、下レール枠1の固定部1dの凹型開口部1h、1h及び竪枠3の凹型開口部3g、3gの上端部には、それぞれ凹型開口部1h及び3gを覆う、例えば肉厚1.2mm程度の薄板状のキャップ4を装着する固定部側係合部1e、1e及び3d、3dを備え、図10に示すように、キャップ基板4aの両端に突設され、固定部側係合部1e、1e及び3d、3dに係合するキャップ側係合部4b、4bを備えたキャップ4が取付けられている。前記凹型開口部1h及び3gは、固定部1d及び3cの固定用孔1f及び3eに図示しない固定ネジなどの固定部材を取付け又は取外しする時のアクセス用開口部である。
【0029】
さらに、下レール枠1及び竪枠3の固定部1d及び3cの中央上面には、図6及び図8に示すように、例えば略V形などの凹溝1g及び3fが形成されている。これは、前記凹型開口部1h及び3gの上端にキャップ4が係脱する際にキャップ側係合部4bが両端の固定部側係合部1e、1e及び3d、3dを乗り越えて係脱するため、両端の固定部側係合部1e、1e及び3d、3d間が広がるように固定部1d及び3cが撓み易くするためである。
【0030】
次に、前記室内引き戸ユニットに適用される本発明の一実施の形態による引き戸10について、図11乃至図13に基づき詳細に説明する。
図11(a)は、アルミ合金、その他の金属又は高分子材量などの薄肉軽量構造により形成され引き戸10の周囲枠を構成する扉框体の前後両端の扉縦框13の第1の実施例である。図11(a)に示すように、前端面13aに弾性物質からなるシール部材13dを備え、左右対称閉断面形状に形成された端部13bと、端部13bの後部に連設して左右面外に曲折され左右対称断面形状に形成された基部13cと、基部13cの前面側から伸延して前端面13aに接続される補強部材13eから構成されている。
【0031】
シール部材13dは引き戸の開閉に際し、引き戸10と竪枠3の引き戸当接面3aの衝突を緩衝する部材であり、ゴム等の弾性力のある材料で構成される。
シール部材13dの断面形状は、直線部13d1と、その両端で直線部13d1に接続される円弧部13d2からなり、全体として中空の半円状の断面形状をなし、直線部13d1で前端面13aに固定される。
また、補強部材13eは、引き戸の開閉に際し、引き戸10と竪枠3の引き戸当接面3aの衝突で扉縦框13が変形するのを防ぐ部材である。
【0032】
図11(b)は、扉縦框13の第2の実施例である。図11(a)に示した第1の実施例と比較して、シール部材13dの断面形状が異なるのと、補強部材が削除されている点が異なっている。本実施例におけるシール部材13dの断面形状は、直線部13d1と、その一端で直線部と接続された半円状、あるいは草刈鎌状の円弧部13d2からなり、直線部13d1で前端面13aに固定される。
【0033】
なお、扉縦框13の第1及び第2の実施例では、それぞれ、中空の半円状のシール部材と補助部材を有する場合、及び、草刈鎌状のシール部材と補助部材を有さない場合を示したが、両実施例におけるそれぞれのシール部材の形状と補助部材とをどのように組合わせても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
このように本発明の引き戸10の扉縦框13は、左右対称形状に形成されているので、引き戸10を裏表いずれの向きにも自在に配置することができるという長所がある。
【0034】
図12の(a)は本発明の一実施の形態による引き戸の下戸車ユニットの側面図を、(b)はそのE−E矢視図を示す。
図1、図2及び図12に示すように、引き戸10の扉下框14の前後両端に設けられた下戸車ユニット11は、回転軸挿通孔の内面にシリコン系樹脂又は二硫化モリブデンなどの潤滑剤を含浸したオイレスメタル等の潤滑部材11bが装着され、前記下レール枠1のレール1c上を走行する下戸車11aと、倒立した略コ形形状の天井面11c1が前後方向に傾斜して形成され一方の端に回転軸11dを介して下戸車11aを挟設した薄肉構造の基体11cと、基体11cの他方の端に形成され、下戸車11aと反対方向から略水平に扉下框14に設けられた調整ネジ16が螺合する調整ネジ孔11eとから構成されている。
調整ネジ16を締め込むか緩めることにより、基体11cの傾斜天井面11c1が扉下框14の図示しないガイド部に当接ガイドされて基体11cが前後移動するのに伴い基体11cの一端に取付けられた戸車11aが扉下框14に対して上下するように調整される。
【0035】
なお、下戸車11aの外形先端部は、図1、図2及び図12の(b)に示すように、下レール枠1のレール1cの最も単純な形状でコスト的にも有利な略V形状に合せて略V形に形成されている。
しかし、レール1cの形状を略U形、又は逆に略∧形、凸形形状にし、それに合せて下戸車11aの外形先端部を略U形、又はW形、逆凹形など種々の形状に形成することができる。
【0036】
図13の(a)は本発明の一実施の形態による引き戸の上戸車ユニットの正面図を、(b)はそのF−F矢視図を、(c)は(a)のG−G矢視図を示す。
図1、図2及び図13に示すように、引き戸10の扉上框15の前後両端に設けられた上戸車ユニット12は、回転軸挿通孔の内面に薄肉円筒状に形成されたシリコン系樹脂又は二硫化モリブデンなどの潤滑剤を含浸したオイレスメタル等の潤滑部材12bが装着され、前記上レール枠2の端部及び中間レール板2b及び2cの側面レール上を走行する上戸車12aと、回転軸12fを介して上戸車12aを左右水平に少なくとも1個ずつ配置して支持する基板12cと、基板12cの中央の片端に突設され取付け孔12gが形成された第1取付け部12dと、基板12cの中央の他端に下方略直角に曲設され取付け孔12hが形成された第2取付け部12eとから構成されている。
このように上戸車ユニット12の第1及び第2取付け部12d及び12eを、引き戸10の前後両端角部の上面及び前後面の2箇所ずつに図示しないネジなどの固定部材により固定することができるので、引き戸10が木製の場合にも上戸車ユニット12を強固に取付けることができる。
なお、上戸車12aの外形先端部は、図1、図2及び図13の(a)及び(c)に示すように、転動面(外周面)の片当りを防止するため略V形に形成されているが、略円弧形、多角形状又は平坦形状に形成してもよい。
【0037】
また、下戸車11a及び上戸車12aには、シリコン系樹脂又はオイレスメタル等の潤滑部材12bが装着されているので、給油不要などメンテナンスフリーで、長寿命かつ軽快な引き戸の走行機構が実現でき、コスト的にも従来のボーリングベアリング装着型戸車式引き戸より有利となる。
【0038】
【発明の効果】
以上、詳細に説明した本発明による室内引き戸ユニットは、従来のような前記木枠を一切用いず、天井仕上げ材面までぎりぎり一杯に開口された間仕切り壁の通用開口部周辺に直接取付けられ、複数枚の引き戸を装着する枠体が、事前に工場においてアルミ合金などの薄肉軽量構造により形成されているので、下記の通り従来にない優れた効果を奏する。
【0039】
(1)床又は天井工事後に、複数枚の引き戸を装着する枠体の現場での係脱施工が容易化されるため、施工時間が短縮され新規又はリフォーム施工費が割安となる。
(2)床仕上げ材上面には、肉厚1.2mm程度の薄板状の床面当設部以上の突出部はないため、歩行時に躓くような危険性がない上、美観上も優れている。
(3)薄肉軽量合金製の枠体の外観デザインの自由度があり、ネジなどの固定部材も露出せず、美観及び耐久性に優れている。
(4)従来のような突出した木枠を一切用いず、天井仕上げ材面まで一杯に開口された間仕切り壁の通用開口部周辺に薄肉軽量合金構造の枠体を直接取付けるので、特に通用開口部の高さを大きく取れ、スペースの有効利用及び美観の向上に寄与することができる。
【0040】
また、以上、詳細に説明した本発明による引き戸は、扉縦框を左右対称形状に形成するとともに、下戸車及び上戸車を軽快なシリコン系樹脂又はオイレスメタル等の潤滑部材を挿入するなどの構成としたので、下記の通り従来にない優れた効果を奏する。
【0041】
(1)引き戸の扉縦框を左右対称形状に形成したので、引き戸を裏表いずれの向きにも自在に配置することができる。
(2)下戸車及び上戸車の回転軸受として薄肉円筒状のシリコン系樹脂又はオイレスメタル等の潤滑部材を挿入したので、給油不要などメンテナンスフリーで、長寿命かつ軽快な引き戸の走行機構が実現でき、コスト的にも従来のボーリングベアリング装着型戸車式引き戸より有利となる。
(3)上戸車ユニットの第1及び第2取付け部を引き戸の前後両端角部の上面及び前後面の2箇所ずつに固定することができるので、引き戸がアルミ合金などの金属製又は木製のいずれの場合にも上戸車ユニットを強固に取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施の形態による室内引き戸ユニットの縦断面図である。
【図2】本発明に係る他の実施の形態による室内引き戸ユニットの縦断面図である。
【図3】図1のA−A矢視、横断面図である。
【図4】図2のB−B矢視、横断面図である。
【図5】本発明の室内引き戸ユニットの上レール枠の断面図である。
【図6】本発明の室内引き戸ユニットの下レール枠の断面図である。
【図7】本発明に係る一実施の形態による室内引き戸ユニットの竪枠の断面図である。
【図8】本発明に係る他の実施の形態による室内引き戸ユニットの竪枠の断面図である。
【図9】図6、図7及び図8のC部及びD部の拡大図である。
【図10】本発明の室内引き戸ユニットのキャップの断面図である。
【図11】(a)は本発明に係る引き戸の扉縦框の第1の実施例の断面図である。(b)は本発明に係る引き戸の扉縦框の第2の実施例の断面図である。
【図12】(a)は本発明に係る一実施の形態による引き戸の下戸車ユニットの側面図で、(b)は(a)のE−E矢視図である。
【図13】(a)は本発明に係る一実施の形態による引き戸の下戸車ユニットの正面図、(b)は(a)のF−F矢視図、(c)は(a)のG−G矢視図である。
【符号の説明】
1 下レール枠
1a 床面当設部
1b 埋設部
1c レール
1d、2d、2e、3b1、3c 固定部
1e、3d 固定部側係合部
1f、2h、3e、12g、12h 取付け孔
1g、3f 凹溝
1h、3g 凹型開口部
2 上レール枠
2a、12c 基板
2b 端部レール板
2c 中間レール板
2k アクセス用孔
3 竪枠
3a 引き戸当接部
3b 凸端部
4 キャップ
4a キャップ基板
4b キャップ側係合部
5 目隠し部材
6 戸当り部材
10 引き戸
11 下戸車ユニット
11a 下戸車
11b、12b オイレスメタル
11c 基体
11d、12f 回転軸
11e ネジ孔
12 上戸車ユニット
12a 上戸車
12d 第1取付け部
12e 第2取付け部
13 扉縦框
13a 前端面
13b 端部
13c 基部
13d シール部材
13e 補強部材
14 扉下框
15 扉上框
16 調整ネジ
20 床仕上げ材
21 取付け用長孔
22 床下地材
30 天井仕上げ材
40 野縁
41 シングル野縁
42 ダブル野縁
43 シングルクリップ
44 ダブルクリップ
45 支持部材
46 固定部材
50 壁材
51 壁仕上げ材
60 小角スタッド
61 大角スタッド
70 小竪木軸
71 大竪木軸
80 天井木軸
81、82 小横木軸
83 大横木軸
100 天井スラブ

Claims (8)

  1. 室内の間仕切り壁の上側が天井仕上げ部材(30)表面まで、下側が床仕上げ材(20)表面まで開口された通用開口部に直付けされて、複数枚の引き戸(10)を装着する枠体を構成する引き戸ユニットであって、
    前記枠体(3)は、薄肉軽量構造により形成され、前記通用開口部の床仕上げ材(20)に設けられた取付け用長孔(21)に主要部を埋設して、床上面と略水平面内に直付けされ、複数枚の引き戸(10)の下戸車(11a)を案内する複数条のレールを備えた下レール枠(1)と、
    前記通用開口部の天井仕上げ部材(30)に直付けされ、前記引き戸(10)の上端部を案内する複数条のレールを備えた上レール枠(2)と、
    前記通用開口部の両側面の壁仕上げ材(51)又は竪軸(70、71、又は60、61)に直付けされ、前記引き戸(10)の各前後端面が当接する複数の引き戸当接面を備えた竪枠(3)とからなり、
    前記下レール枠(1)は、
    長手方向に沿って凹溝状に形成された前記複数条のレール(1c)と、
    該レール(1c)の左右両端外側に沿って水平に延設され、前記取付け用長孔(21)が形成された床仕上げ部材(20)上面に当接し、左右先端上面角部が滑らかに形成された薄板状の床面当設部(1a)と、
    該両床面当設部(1a)の内側端にそれぞれレール(1c)に沿って下方向に突設され、前記取付け用長孔(21)内に埋設される薄板状の埋設部(1b)と、
    前記複数条のレール(1c)間部にレール(1c)に沿って凹型開口部(1h)が形成され、その底面が前記取付け用長孔(21)内の床下地材(22)に複数の固定部材を介して固定される複数条の固定部(1d)と、
    前記開口部(1h)の上端部両側に設けられた固定部側係合部(1e)に係合するキャップ側係合部(4b)が両端に突設され、開口部(1h)を覆うように係脱可能に装着された薄板状のキャップ(4)とからなり、
    前記上レール枠(2)は、
    上面が前記天井仕上げ部材(30)に長手方向に沿って複数の固定部材を介して固定される固定部(2d、2e)と、
    該固定部(2d、2e)の下方平行に配置され前記レールの上底を形成する薄板状の基板(2a)と、
    前記固定部材による上レール枠(2)の取付け又は取外しのために前記基板(2a)に設けられたアクセス孔(2k)と、
    前記基板(2a)の左右両端に沿って下方向に突設され、その内面が前記レール面となる薄板状の端部レール板(2b)と、
    該両端部レール板(2b)の内側に沿って下方向に突設され、逆凹形溝状の前記複数条のレールを形成する複数枚の中間レール板(2c)とからなることを特徴とする室内引き戸ユニット。
  2. 前記竪枠(3)は、
    前記通用開口部側面の壁仕上げ材(51)又は竪軸(70、71、又は60、61)に複数の固定部材を介して固定される固定部(3b1、3c)と、
    縦方向に沿って前記固定部(3b1、3c)と平行に閉鎖断面状に形成された前記複数の引き戸当接面(3a)と、
    該引き戸当接面(3a)の左右両端に引き戸側面外に突出して形成され、上下端の左右内側にそれぞれ前記上下レール枠(2、1)の両端部が挟設される凸端部(3b)と、
    前記固定部(3b1、3c)の両端部内側に形成され、前記通用開口部側面の壁材(50)が挟設される凹部(3h)と、
    前記複数の引き戸当接面(3a)の間に縦方向に沿って開口され、前記固定部材を介して固定される固定部(3c)を底面とする複数の凹型開口部(3g)とからなることを特徴とする請求項1に記載の室内引き戸ユニット。
  3. 前記竪枠(3a)の凹型開口部(3g)の上端部には、該上端部両側に固定部側係合部(3d)が設けられ、該固定部側係合部(3d)に係合するキャップ側係合部(4b)が両端に突設された薄板状のキャップ(4)が、開口部(3g)を覆うように係脱可能に装着されていることを特徴とする請求項2に記載の室内引き戸ユニット。
  4. 前記下レール枠(1)及び竪枠(3)の凹型開口部(1h、3g)の底面となる固定部(1d、3c)の中央上面には、前記固定部(1d、3c)が撓み易くなるように凹溝(1g、3f)が形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の室内引き戸ユニット。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の室内引き戸ユニットに適用される引き戸(10)であって、
    薄肉軽量構造により形成され引き戸(10)の周囲枠を構成する扉框体の前後両端の扉縦框(13)は、
    左右対称閉断面形状に形成された端部の前端面(13a)と、
    前記端部の後部に連設して左右面外に曲折され左右対称断面形状に形成された基部(13c)と、
    該基部(13c)から伸延して前記前端面(13a)に接続され左右対称断面形状に形成された補強部材(13e)と、
    前記前端面(13a)に固着された弾性物質からなるシール部材(13d)とを備えた同一形状に形成され、
    前記シール部材(13d)は、前記扉縦框(13)の前端面(13a)に接着固定された直線部(13d1)と該直線部(13d1)の一端部又は両端部に連続する円弧部(13d2)とから構成されて、全体として半円弧断面形状又は半円筒形状に形成されていることを特徴とする引き戸(10)。
  6. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の室内引き戸ユニットに適用される引き戸(10)であって、
    薄肉軽量構造により形成され引き戸(10)の周囲枠を構成する扉框体の前後両端の扉縦框(13)は、
    左右対称閉断面形状に形成された端部の前端面(13a)と、
    前記端部の後部に連設して左右面外に曲折され左右対称断面形状に形成された基部と、
    前記前端面(13a)に固着された弾性物質からなるシール部材(13d)とを備えた同一形状に形成され、
    前記シール部材(13d)は、前記扉縦框の前端面に接着固定された直線部(13d1)と該直線部(13d1)の一端部又は両端部に連続する円弧部(13d2)から構成されて、全体として半円弧断面形状又は半円筒形状に形成されていることを特徴とする引き戸(10)。
  7. 扉下框(14)の前後両端部に設けられ、回転軸挿通孔の内面に薄肉円筒状に形成されたシリコン系樹脂又は二硫化モリブデンの潤滑剤を含浸したオイレスメタルの潤滑部材(11b)が装着され、前記下レール枠(1)のレール(1c)上を走行する下戸車(11a)と、
    倒立した略コ形形状の天井面(11c1)が前後方向に傾斜して形成され、一方の端に回転軸(11d)を介して前記下戸車(11a)を挟設した薄肉構造の基体(11c)と、
    該基体(11c)の他方の端に形成され、前記下戸車(11a)と反対方向から略水平に扉下框(14)に設けられた調整ネジ(16)が螺合する調整ネジ孔(11e)とからなる下戸車ユニット(11)を備えたことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の引き戸(10)。
  8. 扉上框(15)の前後両端に設けられ、回転軸挿通孔の内面に薄肉円筒状に形成されたシリコン系樹脂又は二硫化モリブデンの潤滑剤を含浸したオイレスメタルの潤滑部材(12b)が装着され、前記上レール枠(2)のレール側面上を走行する上戸車(12a)と、
    回転軸(12f)を介して前記上戸車(12a)を左右水平に少なくとも1個ずつ配置して支持する基板(12c)と、
    該基板(12c)の中央の片端に突設され取付け孔が形成された第1取付け部(12d)と、
    前記基板(12c)の中央の他端に下方略直角に曲設され取付け孔が形成された第2取付け部(12e)とからなる上戸車ユニット(12)を備えたことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の引き戸(10)。
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