JP3742729B2 - 油圧制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、フォークリフト等に用いられる油圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
フォークリフト等に用いられる油圧制御装置としては、例えば、図2に示すものがある。
図2に示すように、ポンプPの吐出油が導かれる供給流路1には、コンペンセータバルブ2を接続している。
このコンペンセータバルブ2は、その優先流ポート3に優先流路4を接続している。この優先流路4には、図示していないリフトシリンダを制御するパイロット切換弁5と、図示していないチルトシリンダを制御するパイロット切換弁6とを互いにパラレルに接続している。これらパイロット切換弁5、6は、中立位置にあるとき、優先流路4を遮断する構成となっている。
【0003】
また、コンペンセータバルブ2の余剰流ポート7には、余剰流路8を接続している。そして、この余剰流路8に図示しないアタッチメント用アクチュエータを制御するパイロット切換弁9を接続している。このパイロット切換弁9は、中立位置にあるとき、余剰流路8をタンクTに連通する構成となっている。
上記コンペンセータバルブ2の切り換え位置は、一方のパイロット室2aの作用力と、他方のパイロット室2bの作用力およびスプリング10のバネ力の合計した力とのバランスによって決められるが、これらパイロット室2a、2bに導かれるパイロット圧については、後で詳しく説明する。
【0004】
上記コンペンセータバルブ2の上流側の供給流路1には、分岐流路11を接続している。
この分岐流路11には、流量制御弁12を設けるとともに、その下流側に固定絞り13を配置している。
そして、流量制御弁12の一方のパイロット室12aに、ダンパオリフィス14を介して固定絞り13の上流側の圧力を導いている。また、スプリング15を設けた他方のパイロット室12bに、固定絞り13の下流側の圧力を導いている。このようにした流量制御弁12は、固定絞り13前後の差圧を、スプリング15のバネ力に相当する圧力に保って、そこを通過する流量を一定に保つ制御機能を発揮する。
【0005】
上記固定絞り13の下流側は、シャトル弁24を介して、コンペンセータバルブ2の他方のパイロット室2bに接続している。しかも、このシャトル弁24の上流側には、パイロット設定用のリリーフ弁16を接続している。
また、上記シャトル弁24は、シャトル弁23に接続しているが、このシャトル弁23は、パイロット切換弁5、6のシリンダの負荷圧をそれぞれ導く負荷側パイロット通路21、22に接続している。したがって、両パイロット切換弁5、6のうちの高い方の負荷圧が、このシャトル弁23で選択されるとともに、このシャトル弁23で選択された圧力と、リリーフ弁16で設定された圧力との高い方の圧力がシャトル弁24で選択されて、コンペンセータバルブ2の他方のパイロット室2bに導かれる。
【0006】
一方、コンペンセータバルブ2の一方のパイロット室2aには、パイロット切換弁5、6の上流側の圧力が導かれる。
したがって、コンペンセータバルブ2は、パイロット切換弁5、6の上流側の圧力と、リリーフ弁16で設定されたパイロット圧とのバランスで動作する場合と、同じくパイロット切換弁5、6の上流側の圧力とその下流側の圧力とのバランスで動作する場合とがある。
【0007】
上記リリーフ弁16の設定圧として発生したパイロット圧は、パイロット流路17から各パイロット切換弁5、6、9のパイロット室5a、6a、9aに導かれる。そして、パイロット切換弁5、6、9は、パイロット流路17からのパイロット圧を、さらに比例電磁式減圧弁18、19、20で制御して、その励磁電流に比例したパイロット圧をパイロット切換弁5、6、9のパイロット室に作用させるようにしている。
なお、符号25、26は、コンペンセータバルブ2の各パイロット室2a、2b側に設けたダンパオリフィスである。また、符号27は、メインリリーフ弁である。
【0008】
次に、上記従来例の油圧制御装置の作用について説明する。
パイロット切換弁5、6を図示の中立位置すなわち閉位置に保って、ポンプPを駆動すると、優先流路4側にポンプ吐出油が流れようとするが、パイロット切換弁5、6が閉じているので、優先流路4には流れが生じない。ただ、この優先流路4に発生した圧力は、コンペンセータバルブ2の一方のパイロット室2aに作用する。
また、コンペンセータバルブ2の上流側では、ポンプPの吐出油が、分岐流路11を通過するので、パイロット流路17には、リリーフ弁16の設定圧に相当するパイロット圧が発生する。このパイロット流路17に発生したパイロット圧は、シャトル弁24で選択されて、コンペンセータバルブ2の他方のパイロット室2bに導かれる。
【0009】
したがって、コンペンセータバルブ2は、一方のパイロット室2aの作用力と、他方のパイロット室2bの作用力およびスプリング10のバネ力の合計した力とがバランスした位置を保つ。ただし、この場合に、他方のパイロット室2bのパイロット圧は、リリーフ弁16で設定された一定の圧力に保たれる。
そして、上記バランスした状態から、ポンプPの吐出圧が上昇すれば、コンペンセータバルブ2の一方のパイロット室2aの作用力が打ち勝つので、ポンプPの吐出油が、余剰流路8およびパイロット切換弁9の中立流路を介してタンクTに排出される。
【0010】
さらに、パイロット切換弁5、6のうちいずれか一方のパイロット切換弁、例えばパイロット切換弁5を切り換えたとすると、このパイロット切換弁5は、その切り換え量に応じた絞り開度を保つ。この絞り開度の上流側の圧力がコンペンセータバルブ2の一方のパイロット室2aに導かれ、下流側の圧力がシャトル弁23を経由してシャトル弁24に導かれる。そして、このパイロット切換弁5に接続したリフトシリンダの負荷圧が、リリーフ弁16の設定圧以上になったとき、このリフトシリンダに対してコンペンセータバルブ2がロードセンシング機能を発揮する。すなわち、コンペンセータバルブ2が、パイロット切換弁5の開度によって決まる絞り前後の差圧を一定になるように制御する。したがって、リフトシリンダには、その負荷変動に係わりなく、一定の流量が供給される。
【0011】
そして、パイロット切換弁5とパイロット切換弁6とを同時に切り換えた場合には、コンペンセータバルブ2が、それらパイロット切換弁5、6に接続したシリンダのうち、高い方の負荷圧で制御される。しかし、このときには、優先流路4に供給される流量が制御されるだけで、個々のパイロット切換弁5あるいはパイロット切換弁6に接続したシリンダに対して、コンペンセータバルブ2がロードセンシング機能を発揮するわけではない。もし、個々のパイロット切換弁5、6に接続したシリンダに対してもロードセンシング機能を発揮させようとすれば、両パイロット切換弁5、6のそれぞれに個別にコンペンセータバルブを設けなければならない。
【0012】
なお、優先流路4に供給される制御流路以上の余剰流量は、余剰流路8からアタッチメント用のアクチュエータを制御するパイロット切換弁9に供給される。したがって、この余剰流量でアタッチメント用のアクチュエータを動かすことができる。
【0013】
一方、パイロット切換弁5、6を中立位置に保ってパイロット切換弁9のみを切り換えた場合、余剰流路8に、図示していないアタッチメント用のアクチュエータの負荷圧が発生する。このときコンペンセータバルブ2の上流側の圧力は、コンペンセータバルブ2の前後に生じる差圧分だけ高くなる。この高くなったポンプ圧は、優先流路4にも作用する。そして、この優先流路4の圧力が、コンペンセータバルブ2の一方のパイロット室2aに作用する。また、コンペンセータバルブ2の他方のパイロット室2bには、リリーフ弁16で設定されたパイロット圧が作用する。
そして、上記負荷圧が、リリーフ弁16で設定されたパイロット圧よりも十分大きくなって、この負荷圧を導いた一方のパイロット室2aの作用力が、他方のパイロット室2bの作用力およびスプリング10のバネ力を合計した力に打ち勝つと、コンペンセータバルブ2が図中左方向にフルストロークする。
【0014】
ところで、コンペンセータバルブ2のスプール孔というのは、スプール自体の寸法誤差や組み付け時の誤差を考慮して、通常、深めに形成されている。なぜなら、寸法誤差等によってスプール孔が所定の深さよりも浅くなったりすると、スプールを所定の切り換え位置に移動させることができなくなるからである。
したがって、上記のようにコンペンセータバルブ2がフルストロークした場合には、深めに形成された位置までスプールが移動することになる。つまり、コンペンセータバルブ2のスプールが、バランス状態よりも余分にストロークした状態になる。
【0015】
そして、上記のようにコンペンセータバルブ2がフルストロークしている状態から、パイロット切換弁9を中立に戻すと、このパイロット切換弁9およびコンペンセータバルブ2を介してポンプPとタンクTとが連通する。そのため、供給流路1の圧力が下がり、コンペンセータバルブ2の両パイロット室2a、2bのパイロット圧が瞬間的に低くなる。このとき、スプリング10のバネ力によってコンペンセータバルブ2が移動すれば、供給流路1と余剰流路8との連通開度が絞られるので、供給流路1の圧力が立ち上がり、パイロット圧も復帰する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、フルストロークしているコンペンセータバルブ2が、スプリング10のバネ力で、パイロット圧を復帰させる位置まで移動したとしても、その移動位置に至るまでに、多少の時間がかかってしまう。なぜなら、この復帰時には、スプールが深めに形成したスプール孔の最終端から移動するため、スプール孔を深くした分だけ余計にストロークしなければならないからである。
そのため、コンペンセータバルブ2の復帰時に応答遅れが生じてしまう。このようにコンペンセータバルブ2に応答遅れが生じると、供給流路1の圧力の立ち上がりが遅くなり、パイロット圧の立ち上がりも遅くなる。その結果、パイロット切換弁5、6の応答遅れとなる。したがって、パイロット切換弁9を中立位置に戻すと同時に、パイロット切換弁5、6に接続したシリンダを作動させようとすると、このシリンダに作動遅れが生じるという問題があった。
この発明の目的は、寸法誤差を無くすためにコンペンセータバルブのスプール孔を深く形成したとしても、その応答遅れがない油圧制御装置を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この発明は、ポンプと、このポンプに接続したコンペンセータバルブと、このコンペンセータバルブに接続した優先流路および余剰流路と、優先流路にパイロット切換弁を介して接続したメインアクチュエータと、このメインアクチュエータの負荷圧を導く負荷側パイロット通路と、余剰流路にパイロット切換弁を介して接続したサブアクチュエータと、コンペンセータバルブと並列に接続した流量制御弁と、この流量制御弁の下流側に設けたパイロット圧設定用のリリーフ弁と、このリリーフ弁の設定圧と上記負荷側パイロット通路からの負荷圧とを高圧選択する選択手段とを備え、上記コンペンセータバルブの一方のパイロット室にパイロット切換弁の上流側の圧力を導き、コンペンセータバルブの他方のパイロット室に選択手段で選択された圧力を導く構成にした油圧制御装置において、上記負荷側パイロット通路と選択手段との間に切換手段を設けるとともに、この切換手段は、余剰流路を接続し、ノーマル状態で余剰流路と選択手段とを連通し、負荷側パイロット通路と選択手段との連通を遮断する一方、優先流路に接続したパイロット切換弁を切り換えると、余剰流路と選択手段との連通を遮断し、負荷側パイロット通路と選択手段とを連通する構成にしたことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1に示すこの実施例の装置は、シャトル弁23とシャトル弁24、余剰流路8とシャトル弁24のそれぞれを、二位置弁29を介して接続した点に特徴を有する。以下には、従来例との相違点を中心に説明するとともに、従来例と同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0019】
図1に示すように、シャトル弁23とシャトル弁24とを連通する流路28には、二位置弁29を設けている。そして、この二位置弁29の一方のポート30をシャトル弁23側に接続し、他方のポート31を余剰流路8側に接続している。
また、この二位置弁29の一方のパイロット室29aをシャトル弁23側に接続し、スプリング33を設けた他方のパイロット室29bを排出流路32に接続している。
【0020】
上記二位置弁29は、スプリング33のバネ力で図示するノーマル位置を保ち、このノーマル位置で余剰流路8とシャトル弁24とを連通し、シャトル弁23とシャトル弁24との連通を遮断する。ただし、シャトル弁23からの負荷圧が一方のパイロット室29aに作用すると、二位置弁29が図中左方向に切り換わり、この切り換え位置で、シャトル弁23とシャトル弁24とを連通し、余剰流路8とシャトル弁24との連通を遮断する。
【0021】
このようにした実施例の装置によれば、パイロット切換弁5、6を中立位置に保ってパイロット切換弁9のみを切り換えると、パイロット切換弁9を接続した余剰流路8に図示していないアタッチメント用シリンダの負荷圧が発生する。このときパイロット切換弁5、6は中立位置なので、負荷側パイロット通路21、22に負荷圧は導かれない。したがって、二位置弁29は図示するノーマル位置を保ち、余剰流路8の負荷圧をシャトル弁24に供給する。そして、シャトル弁24は、余剰流路8の負荷圧がパイロット流路17からのパイロット圧よりも高ければ、この負荷圧をコンペンセータバルブ2の他方のパイロット室2bに供給する。
【0022】
このときコンペンセータバルブ2の一方のパイロット室2aには、優先流路4の圧力が導かれている。この優先流路4の圧力は、コンペンセータバルブ2の上流側の圧力に相当する。そのため、コンペンセータバルブ2は、その一方のパイロット室2aに上流側の圧力が導かれ、他方のパイロット室2bに下流側の圧力が導かれた状態になる。したがって、コンペンセータバルブ2は、その上流側の圧力を下流側の圧力よりもスプリング10のバネ力分だけ高く保つ位置にバランスする。そして、このようにコンペンセータバルブ2がバランスしていれば、それがフルストロークしたりしない。
【0023】
したがって、上記の状態からパイロット切換弁9を中立位置に戻したとしても、コンペンセータバルブ2は、フルストロークした位置から移動する場合に比べて移動量が少なくてすむので、その応答性が悪くならない。そのため、従来の装置に比べて、供給流路1の圧力の立ち上がりすなわちパイロット圧の立ち上がりが早くなり、パイロット切換弁9を中立位置に戻すと同時にパイロット切換弁5、6を切り換えれば、これらパイロット切換弁5、6に接続したシリンダを遅れずに動かすことができる。
【0024】
なお、いずれかのパイロット切換弁5、6を切り換えた場合には、それによって発生する負荷圧が二位置弁29の一方のパイロット室29aに導かれる。そのため、二位置弁29が図中左方向に移動し、余剰流路8とシャトル弁24との連通を遮断して、シャトル弁23とシャトル弁24とを連通する。そして、負荷圧がパイロット圧よりも高くなれば、シャトル弁24を介してこの負荷圧がコンペンセータバルブ2の他方のパイロット室2bに供給される。したがって、この場合には、コンペンセータバルブ2がロードセンシング機能を発揮する。
なお、この実施例では、シャトル弁24がこの発明の選択手段を構成し、二位置弁29がこの発明の切換手段を構成している。また、図示していないリフトシリンダおよびチルトシリンダがこの発明のメインアクチュエータに相当し、図示していないアタッチメント用シリンダがこの発明のサブアクチュエータに相当する。
【0025】
【発明の効果】
この発明によれば、余剰流路に接続したパイロット切換弁のみを切り換えた場合に、この余剰流路に発生する負荷圧を、コンペンセータバルブの他方のパイロット室に導く構成にしたので、コンペンセータバルブが、その上流側の圧力を下流側の圧力よりも一定圧力分だけ高く保つ位置にバランスする。このようにコンペンセータバルブがバランス状態に保たれれば、それがフルストロークしたりしない。このようにコンペンセータバルブのフルストロークを防止すれば、その応答性が悪くなったりしない。
したがって、余剰流路を中立位置に戻したときに、パイロット圧の立ち上がりの遅れを防止でき、余剰流路に接続したパイロット切換弁を中立に戻すと同時に、メインアクチュエータを動かすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の装置の回路図である。
【図2】従来の装置の回路図である。
【符号の説明】
1 供給流路
2 コンペンセータバルブ
2a コンペンセータバルブの一方のパイロット室
2b コンペンセータバルブの他方のパイロット室
4 優先流路
5、6、9 パイロット切換弁
8 余剰流路
12 流量制御弁
16 リリーフ弁
21、22 負荷側パイロット通路
24 この発明の選択手段を構成するシャトル弁
29 この発明の切換手段を構成する二位置弁
P ポンプ
T タンク
Claims (1)
- ポンプと、このポンプに接続したコンペンセータバルブと、このコンペンセータバルブに接続した優先流路および余剰流路と、優先流路にパイロット切換弁を介して接続したメインアクチュエータと、このメインアクチュエータの負荷圧を導く負荷側パイロット通路と、余剰流路にパイロット切換弁を介して接続したサブアクチュエータと、コンペンセータバルブと並列に接続した流量制御弁と、この流量制御弁の下流側に設けたパイロット圧設定用のリリーフ弁と、このリリーフ弁の設定圧と上記負荷側パイロット通路からの負荷圧とを高圧選択する選択手段とを備え、上記コンペンセータバルブの一方のパイロット室にパイロット切換弁の上流側の圧力を導き、コンペンセータバルブの他方のパイロット室に選択手段で選択された圧力を導く構成にした油圧制御装置において、上記負荷側パイロット通路と選択手段との間に切換手段を設けるとともに、この切換手段は、余剰流路を接続し、ノーマル状態で余剰流路と選択手段とを連通し、負荷側パイロット通路と選択手段との連通を遮断する一方、優先流路に接続したパイロット切換弁を切り換えると、余剰流路と選択手段との連通を遮断し、負荷側パイロット通路と選択手段とを連通する構成にしたことを特徴とする油圧制御装置。
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