JP3742609B2 - セメントコンクリート混和剤混合装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セメントコンクリートと、セメントコンクリートにその打込み前に加えられるセメントコンクリート混和剤とを混合するためのセメントコンクリート混和剤混合装置に関する。なお、「セメントコンクリート」という用語は、セメントペースト、モルタル及びコンクリートの総称として用いる。
【0002】
【従来の技術】
近年、打込みコンクリートの種々の要求性能を改善するため、そのベースコンクリートに急結剤等の混和剤を添加することが広く行われている。例えば、トンネル掘削工事においては、地山や掘削面の崩落を防ぐため、吹付け直前のベースコンクリートに急結剤を添加・混合して、吹付けコンクリートが早期に硬化するように改質している。
【0003】
コンクリートと急結剤を混合するための装置として、特公平1−31928号公報及び特開平5−49887号公報には、管状のハウジング内に螺旋状の羽根体を固定したものが開示されている。これらの装置では、ハウジングの上流側に主管と枝管を有するY字管が接続され、主管から供給されるコンクリートと枝管から供給される急結剤をハウジング内で合流させ、ここで両者を羽根体によって撹拌・混合するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の装置には、次のような欠点があった。即ち、イ)上記螺旋状の羽根体は、コンクリート及び急結剤の流れをハウジングの円周方向に移動させながら混合するものであるため、円周方向に該流れの粗密が生じてハウジング内に偏流が発生し易くなり、これに伴ってよどみ部分ができる。このような偏流やよどみ部分は混合効率を悪化させ、また、よどみ部分が硬化してハウジング内を閉塞させる。
【0005】
ロ)コンクリートに急結剤を加えるとコンクリートの流動性が速やかになくなるが、これによってコンクリートがハウジング内を閉塞し易くなり、閉塞した場合、吹付け作業を一旦中断してハウジング内を速やかに洗浄する必要がある。しかし、従来の装置では、羽根板がハウジングに溶接等により固定されているため、この洗浄が非常に面倒であった。
【0006】
本発明は、以上の問題点イ)及びロ)に鑑みてなされたもので、その目的は、偏流やよどみ部分が生じ難く、洗浄が容易なセメントコンクリート混和剤混合装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に係る本発明によれば、セメントコンクリートを圧送するコンクリート圧送管の一部を成す圧送管部と、コンクリート圧送管に接続される、圧送管部内に混和剤を供給するための混和剤供給管と、圧送管部内に出し入れ自在に配置可能な、セメントコンクリートと混和剤を混合するための混合部材とを備え、前記混合部材が、セメントコンクリート及び混和剤の流れの少なくとも一部を円錐状の面(半球状の面を含む。)で圧送管部の半径方向外側にそらすバッフル部と、バッフル部の直ぐ下流において、セメントコンクリート及び混和剤の流れをテーパー絞り面で半径方向内側に絞った後、放出口から放出するテーパー絞り部とを有し、前記圧送管部が、内径が下流側に縮小するテーパー内面を有し、前記混合部材が、このテーパー内面の途中に前記テーパー絞り部が受け止められて固定されることを特徴とするコンリート混和剤混合装置が提供される。
【0008】
本発明では、混和剤が添加されたセメントコンクリート流は混合部材によって次のように混合される。即ち、まず、セメントコンクリート流の少なくとも一部は、バッフル部の円錐状の面によって半径方向外側にそらされ、次に、テーパー絞り部のテーパー絞り面によって半径方向内側に絞られ、その後、テーパー絞り部の放出口から下流側に放出される。このように、該流れは、混合部材によって半径方向にのみ移動されながら混合されるため、円周方向に流れがばらつかず、偏流やよどみ部分が生じ難い。更に、セメントコンクリート流は、テーパー絞り部の放出口から放出されると、空間の拡大に伴って拡散・膨張し、この際、該流れに乱れが生じることによっても混合作用を受ける。
【0009】
また、混合部材は、圧送管部に対し出し入れ自在であるため、これを取り出して容易に洗浄や交換をすることができる。
【0010】
混和剤としては、急結剤の他、増粘剤、減水剤等を挙げることができる。
【0011】
本発明では、混合部材を圧送管部内に移動不能に配置するため、圧送管部に下流側に縮小するテーパー内面を設け、これを混合部材のストッパーとして利用する。
【0012】
請求項2に係る本発明では、上記セメントコンクリート混和剤混合装置において、前記混合部材を圧送管部の軸方向に複数配置する。これにより、混合効果を更に高めることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を、混和剤として急結剤を用いた場合で、添付図面を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
図1は、本発明に係るセメントコンクリート混和剤混合装置としての静止型混合器1の縦断面図である。静止型混合器1は、吹付けコンクリートに対しその吹付け直前に急結剤を添加・混合するためのもので、コンリートポンプ(図示せず)からコンクリートを吹付けノズル(図示せず)に圧送・供給するコンクリート圧送管の一部を成す圧送管部としてのハウジング10と、ハウジング10内に急結剤を供給するための急結剤供給管20と、ハウジング10内に配置される混合部材としての混合チップ30とを備えている。
【0015】
ハウジング10は、急結剤供給管20が接続される上流部10aと、混合チップ30が後述するように取り付けられる下流部10bとから成り、これらはそれぞれの対向側端部のフランジ部11a、11bをボルト締結して連結される。下流部10bには、その上流側端から下流側に内径が次第に縮小するテーパー内面12が設けられている。このテーパー内面12は、混合チップ30を取り付け・取り外し自在に固定するためのものであり、詳細は後述する。
【0016】
図2は混合チップ30の側面図、図3及び図4は上流側及び下流側から見た混合チップ30の正面図である。混合チップ30は、円錐傘様形状のバッフル部材31と、裁頭円錐筒状のテーパー絞り部材32とから基本的に構成される。バッフル部材31は、頂部31aと底部31bとこれらの間の外側を向く円錐面31cとを有する。テーパー絞り部材32は、一端に開口する受入口32aと、他端に開口し、かつ受入口32aに比べて径が小さい放出口32bと、受入口32aから放出口32bへと内径が次第に縮小するテーパー絞り面32cとを有する。なお、テーパー絞り面32cの絞り角は、上述したハウジング下流部10bのテーパー内面12の絞り角よりもずっと大きい(図1参照)。
【0017】
テーパー絞り部材32の受入口32aには十文字状のビーム33が架設されており、このビーム33にバッフル部材31の底部31bがテーパー絞り部材32の外側で溶接、接着剤等によって固定され、これにより、バッフル部材31とテーパー絞り部材32は一体化されている。なお、バッフル部材31の最大径(底部31bの径)は、テーパー絞り部材32の受入口32aより小さく、かつ放出口32bより大きくなるように設定される。また、テーパー絞り部材32の最大外径(受入口32aでの外径)は、ハウジング下流部10bのテーパー内面12の最大径と最小径の間に設定される。
【0018】
以上の混合チップ30をハウジング10に取り付ける場合、ハウジング下流部10bの上流端側開口又は上流部10aの上流端側開口から混合チップ30をテーパー絞り部材32を先頭にして下流部10b内に挿入する。この際、混合チップ30は、テーパー絞り部材32(の最大外径部)が下流部10bのテーパー内面12の途中でつっかえて受け止められることにより、ここに配置される。この状態で、混合チップ30に上流からコンクリート流が導入されると、混合チップ30がハウジング下流部10b内において下流側に押され、テーパー絞り部材32とテーパー内面12との間に楔作用が生じるため、混合チップ30は移動することなく確実に固定される。また、混合チップ30は、ハウジング10に溶接等によって固定されているわけではないので、ハウジング10から取り出して容易に洗浄や交換を行うことができる。
【0019】
次に静止型混合器1の混合作用について説明する。コンクリートと、これに急結剤供給管20から合流する急結剤とは、ハウジング下流部10bに入ると、図5に便宜的に示すように、その半径方向外側の部分を除き、バッフル部材31の円錐面31cによって半径方向外側にそらされ、次いで、受入口32aからテーパー絞り部材32内に入り、ここでテーパー絞り面32cによって半径方向内側に絞られた後、放出口32bから吹付けノズル側へ放出される。この際、コンリート及び急結剤の流れが半径方向外側・内側への拡張・絞り込み作用を受けること、バッフル部材31によるそらし具合が流れの半径方向位置によって不均一なこと、流れの半径方向外側部分がバッフル部材31に衝突しないこと、テーパー絞り部材32によって絞られ、放出口32bから放出された流れに拡散・膨張作用によって乱流が生じること等によってコンクリートと急結剤の混合が促される。
【0020】
また、混合チップ30は、流れを円周方向には移動させないため、円周方向に流れの粗密が生じず、偏流やよどみ部分が生じ難く、閉塞を起こす頻度が少なくなる。
【0021】
図6は、ハウジング10内に2体の混合チップ30A、30Bを配置する例を示す。この場合、各混合チップ30A、30Bは、その取り付け・取り外しを一つのチップと同様に行うため、共通の軸部材34によって一体的に連結される。また、混合器30A、30Bの各最大外径部がハウジング10のテーパー内面22に接して安定するように、上流側の混合チップ30Bの最大外径を下流側の混合チップ30Aの最大外径より大きく設定される。このように混合チップを軸方向に複数配列することにより、混合効果を更に高めることできる。
【0022】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係るセメントコンクリート混和剤混合装置では、セメントコンクリート及び混和剤の流れを混合部材によって圧送管部の半径方向のみの拡張・絞り作用によって混合するものであるため、偏流やよどみ部分が生じ難く、閉塞を起こす頻度が少なくなり、また、混合部材が出し入れ自在なため、これを容易に洗浄等することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 静止型混合器の縦断面図である。
【図2】 混合チップの側面図である。
【図3】 上流側から見た混合チップの正面図である。
【図4】 下流側から見た混合チップの正面図である。
【図5】 混合チップの混合作用の説明図である。
【図6】 2体の混合チップを配列した説明図である。
【符号の説明】
1 静止型混合器
10 ハウジング
12 テーパー内面
20 急結剤供給管
30、30A、30B 混合チップ
31 バッフル部材
31c 円錐面
32 テーパー絞り部材
32c テーパー絞り面
32b 放出口
Claims (2)
- セメントコンクリートを圧送するコンクリート圧送管の一部を成す圧送管部と、コンクリート圧送管に接続される、圧送管部内に混和剤を供給するための混和剤供給管と、圧送管部内に出し入れ自在に配置可能な、セメントコンクリートと混和剤を混合するための混合部材とを備え、
前記混合部材が、セメントコンクリート及び混和剤の流れの少なくとも一部を円錐状の面で圧送管部の半径方向外側にそらすバッフル部と、バッフル部の直ぐ下流において、セメントコンクリート及び混和剤の流れをテーパー絞り面で半径方向内側に絞った後、放出口から放出するテーパー絞り部とを有し、
前記圧送管部が、内径が下流側に縮小するテーパー内面を有し、前記混合部材が、このテーパー内面の途中に前記テーパー絞り部が受け止められて固定されることを特徴とするセメントコンクリート混和剤混合装置。 - 前記混合部材を圧送管部の軸方向に複数配置する請求項1記載のセメントコンクリート混和剤混合装置。
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