JP3742057B2 - 無線情報通信における電波状態の解析技術 - Google Patents

無線情報通信における電波状態の解析技術 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線情報通信における電波状態の解析技術に関し、詳しくは、周波数帯域の重なり合う複数のチャンネルでスペクトラム拡散通信方式により情報のやり取りを行う無線情報通信のチャンネル毎の電波の伝搬状態を解析する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
周波数帯域の重なり合う複数のチャンネルでスペクトラム拡散通信方式により情報のやり取りを行う無線情報通信として無線ローカルエリアネットワーク(以下、無線LANという)を形成するための通信がある。IEEE802.11b規格に準拠した無線LAN通信では、中心周波数が2412〜2384メガヘルツ(以下、MHzと表記)の14チャンネルを使用し、チャンネル毎に22〜24MHzの帯域幅に信号を拡散している。従来、この無線LAN通信で使用する電波の伝搬状態を判別するため、受信した電波信号から検出した電界強度を用いて判別するものがあった。
【0003】
例えば、下記特許文献には、受信した電波信号から検出した電界強度を用いて電波の伝搬状態を判別する技術が記載されている。
【特許文献1】
特開2002−158667号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、1チャンネルの周波数帯域の中に、他のチャンネルの周波数帯域が重なり合っているため、判別しようとするチャンネルの中心周波数帯の電界強度を、受信した電波信号から検出しても、他のチャンネルにおいて拡散した電波信号の電界強度も合わせて検出してしまい、チャンネル毎の電波の伝搬状態を精度良く判別できないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記した問題点を解決するためになされたものであり、チャンネル毎の電波の伝搬状態の判別精度を向上させる電波状態の解析技術を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記した課題を解決するため、周波数帯域の重なり合う複数のチャンネルでスペクトラム拡散通信方式により情報のやり取りを行う無線情報通信に用いる電波の状態を解析する解析装置であって、前記複数の周波数帯域の電波信号を受信する受信手段と、前記受信した電波信号から、チャンネル毎の中心周波数帯の電界強度を検出する第1の強度検出手段と、前記受信した電波信号の拡散復調を行う拡散復調手段と、前記拡散復調した電波信号から、チャンネル毎の中心周波数帯の電界強度を検出する第2の強度検出手段と、前記第1の強度検出手段が検出した電界強度と、前記第2の強度検出手段が検出した電界強度とをチャンネル毎に照合して、チャンネル毎の電波の状態を判別する判別手段と、前記判別した電波の状態を表示する表示手段とを備え、前記無線情報通信は、無線ローカルエリアネットワークを形成するための通信を含むことを特徴とする。
【0007】
かかる解析装置は、受信した電波信号を拡散復調することにより、他のチャンネルの拡散した電波信号やこの無線情報通信以外の電波信号を排除した電波信号から検出した電界強度を用いて、電波の伝搬状態を判別して表示する。よって、判別しようとするチャンネルの無線情報通信による電波のみの電界強度を用いて電波の伝搬状態を判別するため、チャンネル毎の電波の伝搬状態の判別精度を向上させることができる。また、電波の状態を解析する無線情報通信には、無線ローカルエリアネットワークを形成するための通信を含むため、複数のチャンネルを用いる無線ローカルエリアネットワークにおいて、チャンネル毎の電波の伝搬状態の判別精度を向上させることができる。
【0008】
上記の構成を有する本発明の解析装置は、以下の態様を採ることもできる。前記判別手段は、少なくとも、当該無線情報通信によって使用中である状態と、当該無線情報通信の使用に適する状態と、当該無線情報通信の使用に適さない状態とのいずれかの状態を判別するとしても良い。かかる解析装置によれば、無線情報通信の基地局を管理する者は、解析装置の判別した状態に基づいて、管理する基地局の最適な設置場所や設置した基地局で使用する最適なチャンネルの選定を精度良く行うことができる。また、無線情報通信の端末機器のユーザは、解析装置の判別した状態に基づいて、端末機器の最適な利用場所や端末機器で使用する最適なチャンネルの選定を精度良く行うことができる。
【0010】
また、この発明に対応した接続装置の発明は、周波数帯域の重なり合う複数のチャンネルでスペクトラム拡散通信方式により情報のやり取りを行う無線ローカルエリアネットワークを介して、端末機器を広域ネットワークへ接続する接続装置であって、前記複数の周波数帯域の電波信号を受信する受信手段と、前記受信した電波信号から、チャンネル毎の中心周波数帯の電界強度を検出する第1の強度検出手段と、前記受信した電波信号の拡散復調を行う拡散復調手段と、前記拡散復調した電波信号から、チャンネル毎の中心周波数帯の電界強度を検出する第2の強度検出手段と、前記第1の強度検出手段が検出した電界強度と、前記第2の強度検出手段が検出した電界強度とをチャンネル毎に照合して、チャンネル毎の電波の状態を判別する判別手段と、前記判別した電波の状態に基づいて、端末機器と情報のやり取りに使用するチャンネルを選択する選択手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
かかる接続装置は、受信した電波信号を拡散復調することにより、他のチャンネルの拡散した電波信号やこの無線情報通信以外の電波信号を排除した電波信号から検出した電界強度を用いて、電波の伝搬状態を判別して、情報のやり取りに使用するチャンネルを選択する。よって、判別しようとするチャンネルの無線情報通信による電波のみの電界強度を用いて電波の伝搬状態を判別するため、情報のやり取りに最適なチャンネルの選定を精度良く行うことができる。
【0012】
また、この発明に対応した端末機器の発明は、周波数帯域の重なり合う複数のチャンネルでスペクトラム拡散通信方式により情報のやり取りを行う無線ローカルエリアネットワークを提供する接続装置に接続することにより、該無線ローカルエリアネットワークを介して広域ネットワークに接続する端末機器であって、前記複数の周波数帯域の電波信号を受信する受信手段と、前記受信した電波信号から、チャンネル毎の中心周波数帯の電界強度を検出する第1の強度検出手段と、前記受信した電波信号の拡散復調を行う拡散復調手段と、前記拡散復調した電波信号から、チャンネル毎の中心周波数帯の電界強度を検出する第2の強度検出手段と、前記第1の強度検出手段が検出した電界強度と、前記第2の強度検出手段が検出した電界強度とをチャンネル毎に照合して、チャンネル毎の電波の状態を判別する判別手段と、前記判別した電波の状態に基づいて、接続装置と情報のやり取りに使用するチャンネルを選択する選択手段と
を備えたことを特徴とする。
【0013】
かかる端末機器は、受信した電波信号を拡散復調することにより、他のチャンネルの拡散した電波信号やこの無線情報通信以外の電波信号を排除した電波信号から検出した電界強度を用いて、電波の伝搬状態を判別して、情報のやり取りに使用するチャンネルを選択する。よって、判別しようとするチャンネルの無線情報通信による電波のみの電界強度を用いて電波の伝搬状態を判別するため、情報のやり取りに最適なチャンネルの選定を精度良く行うことができる。
【0014】
また、この発明に対応した方法の発明は、周波数帯域の重なり合う複数のチャンネルでスペクトラム拡散通信方式により情報のやり取りを行う無線情報通信に用いる電波の状態を判別する方法であって、前記複数の周波数帯域の電波信号を受信して、前記受信した電波信号から検出したチャンネル毎の中心周波数帯の電界強度と、前記受信した電波信号を拡散復調した電波信号から検出したチャンネル毎の中心周波数帯の電界強度とを、チャンネル毎に照合して、チャンネル毎の電波の状態を判別し、前記無線情報通信は、無線ローカルエリアネットワークを形成するための通信を含むことを特徴とする。
【0015】
かかる方法によれば、受信した電波信号を拡散復調することにより、他のチャンネルの拡散した電波信号や、この無線情報通信以外の電波信号を排除した電波信号から検出した電界強度を用いて、電波の伝搬状態を判別する。よって、判別しようとするチャンネルの無線情報通信による電波のみの電界強度を用いて電波の伝搬状態を判別するため、チャンネル毎の電波の伝搬状態の判別精度を向上させることができる。また、電波の状態を解析する無線情報通信には、無線ローカルエリアネットワークを形成するための通信を含むため、複数のチャンネルを用いる無線ローカルエリアネットワークにおいて、チャンネル毎の電波の伝搬状態の判別精度を向上させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成及び作用を一層明らかにするために、以下本発明を適用した無線情報通信における電波状態の解析技術の一つとして、無線LAN通信における電波状態の解析技術について説明する。
【0017】
本発明の第1の実施例である解析装置10について説明する。図1は、第1の実施例における解析装置10の外観図である。解析装置10は、IEEE802.11b規格に準拠した無線LAN通信に用いる電波の状態を解析するものである。この無線LAN通信では、図8に示すように、2412〜2484MHzを中心周波数とした22〜24MHzの帯域幅を持つ第1から第14チャンネルが使用され、周波数帯域の重なり合う複数のチャンネルでスペクトラム拡散通信方式により情報のやり取りが行われる。
【0018】
この解析装置10は、ノートパソコン20と、PCMCIAに準拠したPCカードであり無線LANの電波を送受信可能な無線カード30とを備える。このノートパソコン20は、CPU,ROM,RAMなどで構成した制御装置210、ハードディスクドライブ(以下、HDDという)などの記憶装置220、PCMCIAに準拠したインターフェースであるインターフェース装置320,文字や図形などを表示するディスプレイなどの表示装置240、ユーザからの入力を受け付けるキーボードなどの入力装置250などを備える周知のノート型パーソナルコンピュータである。制御装置210は、無線LAN通信における電波状態の解析に関する各種の処理を実行する。記憶装置220は、制御装置210で実行された処理の結果をデータとして格納する。インターフェース装置230は、無線カード30と接続してデータのやり取りを行う。表示装置240は、制御装置210で実行された処理の結果をディスプレイに表示する。
【0019】
他方、無線カード30は、アンテナ,フィルタ,RF/IFコンバータ,直交変復調器などで構成したRF装置310、A/Dコンバータ,逆拡散回路などで構成したベースバンド装置320、CUP,ROM,RAMなどで構成したMAC装置330などを備える。RF装置310は、無線LAN通信に用いる周波数帯域の電波の受信から、DBPSK(Differential Binary Phase Shift Keying),DQPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying),4bitCCK(Complementary Code Keying),8bitCCKなどの一次復調までのアナログ信号に関する処理を行う。ベースバンド装置320は、無線LAN通信で行うスペクトラム拡散のPN(Pseudorandom Noise)符号により、一次復調した電波信号を拡散復調する。MAC装置330は、無線LAN通信のデジタル信号に関する処理のほか、無線LAN通信における電波状態の解析に関する各種の処理を実行する。
【0020】
次に、解析装置10の内部構造を機能的に説明する。図2は、第1の実施例における解析装置10の内部構造を機能的に示したブロック図である。解析装置10は、無線LAN通信に用いる複数の周波数帯域の電波信号を受信して処理する受信部410と、受信した電波信号からチャンネル毎の中心周波数帯の電界強度(以下、RSSI1という)を検出する第1強度検出部420と、受信した電波信号の拡散復調を行う拡散復調部430と、拡散復調した電波信号からチャンネル毎の中心周波数帯の電界強度(以下、RSSI2という)を検出する第2強度検出部440と、RSSI1とRSSI2とをチャンネル毎に照合して電波の状態を判別する判別部450と、判別した電波の状態を表示する表示部460とを備える。
【0021】
RF装置310は受信部410と第1強度検出部420の機能を、ベースバンド装置320は拡散復調部430の機能を、MAC装置330は第2強度検出部440の機能をそれぞれ担う。制御装置210は判別部450の機能を、表示装置240は表示部460の機能をそれぞれ担う。図2には、解析装置10を構成する各装置が担う解析装置としての機能のみを示すが、実際の各装置は、無線LAN通信を行うための種々の機能を併せ持っている。
【0022】
第1強度検出部420が検出するRSSI1は、受信部410が受信したあるチャンネルの周波数帯域の電波信号を拡散復調する前の電界強度であるため、RSSI1は、そのチャンネルの無線LAN通信による電波信号のほか、他のチャンネルの無線LAN通信が存在すれば、その無線LAN通信から拡散された電波信号や、電子レンジやアマチュア無線機器などの無線LAN通信以外の機器が存在すれば、これらからの電波信号などを含む電界強度となる。一方、第2強度検出部440が検出するRSSI2は、受信部410が受信したあるチャンネルの周波数帯域の電波信号を拡散復調した後の電界強度であるため、RSSI2は、そのチャンネルの無線LAN通信による電波信号のみの電界強度となる。
【0023】
次に、解析装置10の判別部450が、RSSI1とRSSI2とからチャンネル毎の電波の状態を判別する処理(以下、状態判別処理という)について説明する。図3は、第1の実施例における判別部450の状態判別処理を示すフローチャートである。入力装置250が、解析装置10のユーザからの解析処理始動の入力を受けると、判別部450は、図3に示した状態判別処理を開始する。その後、入力装置250が、解析装置10のユーザからの解析処理中止の入力を受けるまで、所定のタイミングでこの処理を繰り返す。判別部450は、図3に示した処理を開始すると、まず、第1チャンネルの電波状態の判別を行うため、第1強度検出部420が検出する第1チャンネルについてのRSSI1を読み込み(ステップS310)、第2強度検出部440が検出する第1チャンネルについてのRSSI2を読み込む(ステップS310)。
【0024】
RSSI2の読み込みの後(ステップS320)、RSSI1とRSSI2とを照合して、RSSI1の絶対強度が、予め設定したP1デシベルメートルより小さく、かつ、RSSI2が、予め設定したP2デシベルメートル小さい場合には(ステップS330)、この第1チャンネルの電波状態は、無線LAN通信に使用されていない、かつ、無線LAN通信を阻害する電波が発生していない「無線LAN通信の使用に適する状態」であると判別する(ステップS350)。なお、P1およびP2の値は、判別に求められる精度の関係など、種々の要因を検討して定めれば良い。
【0025】
一方、ステップS330の条件に該当せず、RSSI2の絶対強度が、P2デシベルメートル以上である場合には(ステップS340)、この第1チャンネルの電波状態は、「無線LAN通信によって使用中である状態」であると判別する(ステップS360)。他方、ステップ340の条件にも該当しない場合には(ステップS340)、この第1チャンネルの電波状態は、無線LAN通信を阻害する電波の発生により「無線LAN通信の使用に適さない状態」であると判別する(ステップS370)。
【0026】
これらの判別を終えると(ステップS350,S360,S370)、全てのチャンネルである第1から第14チャンネルについて電波状態を判別したかを判断する(ステップS380)。第14チャンネルまで判別していなければ(ステップS380)、次のチャンネル(すなわち、第1チャンネルを判別したら、次は第2チャンネル)についての判別を行うため、ステップS310からの処理を繰り返す。一方、全てのチャンネルについて電波状態を判別したら(ステップS380)、全てのチャンネルについての電波状態の判別結果を表示部460で表示するための処理(以下、結果表示処理という)を行う(ステップS390)。その後、処理を終了する。
【0027】
次に、上述の図3に示した結果表示処理(ステップS390)における結果表示について説明する。RSSI1の結果表示について説明する。図4は、第1の実施例におけるRSSI1の結果表示を示す説明図である。RSSI1の結果表示として、横軸には、第1から第14チャンネルを左から順に表示する。縦軸には、各チャンネルのRSSI1を、全てのチャンネルのうち最も強度の高いチャンネルを基準として相対的に棒グラフとして表示するとともに、前述の図3に示した状態判別処理において電波状態の判別の基準とした絶対強度P1デシベルメートルのレベルも表示する。図4に示した結果表示においては、第8から第11チャンネル以外のチャンネルが、P1デシベルメートル以上である状態を示している。
【0028】
次に、RSSI2の結果表示について説明する。図5は、第1の実施例におけるRSSI2の結果表示を示す説明図である。RSSI2の結果表示として、図4に示したRSS1の表示と同様の表示を行い、電波状態の判別の基準として絶対強度P2デシベルメートルのレベルを表示する。図5に示した結果表示においては、第12から第14チャンネルが、P2デシベルメートル以上である状態を示している。
【0029】
次に、電波状態の判別の結果表示について説明する。図6は、第1の実施例における電波状態の判別の結果表示を示す説明図である。電波状態の結果表示として、図4に示したRSSI1の表示と同様の表示を行うが、図4とは異なり、前述の図3に示した状態判別処理の判別結果に応じて、それぞれ、棒グラフの色を変えて表示する。図6に示した結果表示においては、「無線LAN通信の使用に適する状態」と判別した第8から第11チャンネルは、「青色(図6には、ハッチング無しで示す)」で表示する。「無線LAN通信によって使用中である状態」と判別した第12から第14チャンネルは、「黄色(図6には、右下がりのハッチングで示す)」で表示する。「無線LAN通信の使用に適さない状態」と判別した第1から第7チャンネルは、「赤色(図6には、左下がりのハッチングで示す)」で表示する。なお、結果表示処理における結果表示は、これらの表示に限るものではなく、種々の態様で行うことができる。例えば、電波状態の判別の結果のみを表示しても良い。また、棒グラフ表示以外の他のグラフ表示、キャラクタによる表示、数字や文字,記号による表示であっても良い。また、音声により結果を出力するようにしても良い。また、図4〜図6に示した結果表示を別々の画面に表示するのではなく、ひとつの画面に並べて表示しても良い。これにより、解析装置10のユーザによる電波状態の把握を、より容易なものとすることができる。
【0030】
以上説明した実施例によれば、解析装置10は、受信した電波信号を拡散復調部430で拡散復調することにより、他のチャンネルの拡散した電波信号やこの無線LAN通信以外の電波信号を排除したRSSI2を用いて、電波の伝搬状態を判別して表示する。よって、判別しようとするチャンネルの無線情報通信による電波のみの電界強度を用いて電波の伝搬状態を判別するため、チャンネル毎の電波の伝搬状態の判別精度を向上させることができる。
【0031】
本発明の第2の実施例であるアクセスポイントシステムについて説明する。図7は、第2の実施例におけるアクセスポイントシステム90の全体構成図である。アクセスポイントシステム90は、広域ネットワークであるインターネット70を利用したものである。インターネット70には、接続装置50が接続されている。この接続装置50は、IEEE802.11b規格に準拠した無線LANにより端末機器60と接続する。なお、図7では、接続装置50および端末機器60の全てを図示しないが、実際のアクセスポイントシステム90には、複数の接続装置50および端末機器60がある。
【0032】
接続装置50は、無線LANで接続する端末機器60と、インターネット70に接続されたサーバ75などとの間のデータのやり取りの中継を行う。これにより、端末機器60は、接続装置50を介して、インターネット70に接続されたサーバ75などとのデータのやり取りを行うインターネット通信が可能となる。この端末機器60のインターネット通信の形態としては、ウェブコンテンツの取得、電子メールの受送信、インターネット電話などがある。
【0033】
次に、接続装置50の内部構造について説明する。接続装置50は、CPU,ROM,RAMなどで構成した制御装置510、HDDなどの記憶装置520、インターネット70のインターフェースなどのほか、前述の図1に示した解析装置10と同様に、RF装置530、ベースバンド装置540、MAC装置550を備える。制御装置510は、端末機器60へのインターネット通信の提供に関する各種の処理を実行する。記憶装置520は、制御装置510で実行された処理の結果をデータとして格納する。
【0034】
次に、端末機器60の内部構造について説明する。端末機器60の内部構造は、前述の図1に示した解析装置10と同様であり、制御装置610、記憶装置620、RF装置630、ベースバンド装置640、MAC装置650などを備える。制御装置610は、接続装置50によるインターネット通信の提供に関する各種の処理を実行する。
【0035】
次に、接続装置50が、端末機器60と接続するための無線LANのチャンネルを選択するチャンネル選択処理について説明する。接続装置50の制御装置510は、使用しているチャンネルの通信速度が所定の速度以下に低下した場合に、チャンネル選択処理を開始する。通信速度が低下する場合とは、近隣の他の接続装置50と同じチャンネルを使用している場合、同じチャンネルで多くの端末機器60が接続している場合、無線LANと同じ周波数帯域の電波を用いる電子レンジ80などからの電波が発生している場合などがある。処理を開始すると、前述の図3に示した状態判別処理における結果表示処理(ステップS390)以外と同様の処理行った後、「無線LAN通信の使用に適する状態」と判別したチャンネルのうち最も電界強度の低いチャンネルを選択して、処理を終了する。一方、「無線LAN通信の使用に適する状態」と判別したチャンネルがない場合には、「無線LAN通信によって使用中である状態」と判別したチャンネルのうち最も電界強度の低いチャンネルを選択して、処理を終了する。この処理の後、選択したチャンネルを使用して、端末機器60からの接続要求を受け付けるためのビーコン信号を送信する。その後、接続要求をした端末機器60との接続を行う。
【0036】
次に、端末機器60が、接続装置50と接続するための無線LANチャンネルを選択する端末チャンネル選択処理について説明する。端末機器60の制御装置610は、使用しているチャンネルの通信速度が所定の速度以下に低下した場合に、チャンネル選択処理を開始する。処理を開始すると、前述の図3に示した状態判別処理における結果表示処理(ステップS390)以外と同様の処理行った後、「無線LAN通信によって使用中である状態」と判別したチャンネルのうち最も電界強度の高いチャンネルを選択して、処理を終了する。この処理の後、選択したチャンネルを使用してビーコン信号を送信する接続装置50に接続要求を行い、接続装置50との接続を行う。
【0037】
以上説明した実施例によれば、接続装置50や端末機器60は、受信した電波信号を拡散復調することにより、他のチャンネルの拡散した電波信号やこの無線情報通信以外の電波信号を排除した電波信号から検出した電界強度を用いて、電波の伝搬状態を判別して、情報のやり取りに使用するチャンネルを選択する。よって、判別しようとするチャンネルの無線情報通信による電波のみの電界強度を用いて電波の伝搬状態を判別するため、情報のやり取りに最適なチャンネルの選定を精度良く行うことができる。
【0038】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。例えば、判別する無線情報通信は、無線LAN通信に限らず、他の無線情報通信としても良い。また、接続装置50や端末機器60は、結果表示処理(ステップS390)を行って判別結果を表示するようにしても良いし、この表示を基づいて、管理やユーザが、チャンネルを選定できるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施例における解析装置10の外観図である。
【図2】 第1の実施例における解析装置10の内部構造を機能的に示したブロック図である。
【図3】 第1の実施例における判別部450の状態判別処理を示すフローチャートである。
【図4】 第1の実施例におけるRSSI1の結果表示を示す説明図である。
【図5】 第1の実施例におけるRSSI2の結果表示を示す説明図である。
【図6】 第1の実施例における電波状態の判別の結果表示を示す説明図である。
【図7】 第2の実施例におけるアクセスポイントシステム90の全体構成図である。
【図8】 無線LAN通信のチャンネルの周波数帯域を示す説明図である。
【符号の説明】
10…解析装置
20…ノートパソコン
30…無線カード
50…接続装置
60…端末機器
70…インターネット
75…サーバ
80…電子レンジ
90…アクセスポイントシステム
210…制御装置
220…記憶装置
230…インターフェース装置
240…表示装置
250…入力装置
310…RF装置
320…インターフェース装置
320…ベースバンド装置
330…MAC装置
410…受信部
420…第1強度検出部
430…拡散復調部
440…第2強度検出部
450…判別部
460…表示部
510…制御装置
520…記憶装置
530…RF装置
540…ベースバンド装置
550…MAC装置
610…制御装置
620…記憶装置
630…RF装置
640…ベースバンド装置
650…MAC装置

Claims (5)

  1. 周波数帯域の重なり合う複数のチャンネルでスペクトラム拡散通信方式により情報のやり取りを行う無線情報通信に用いる電波の状態を解析する解析装置であって、
    前記複数の周波数帯域の電波信号を受信する受信手段と、
    前記受信した電波信号から、チャンネル毎の中心周波数帯の電界強度を検出する第1の強度検出手段と、
    前記受信した電波信号の拡散復調を行う拡散復調手段と、
    前記拡散復調した電波信号から、チャンネル毎の中心周波数帯の電界強度を検出する第2の強度検出手段と、
    前記第1の強度検出手段が検出した電界強度と、前記第2の強度検出手段が検出した電界強度とをチャンネル毎に照合して、チャンネル毎の電波の状態を判別する判別手段と、
    前記判別した電波の状態を表示する表示手段と
    を備え
    前記無線情報通信は、無線ローカルエリアネットワークを形成するための通信を含む解析装置。
  2. 請求項1記載の解析装置であって、
    前記判別手段は、少なくとも、当該無線情報通信によって使用中である状態と、当該無線情報通信の使用に適する状態と、当該無線情報通信の使用に適さない状態とのいずれかの状態を判別する解析装置。
  3. 周波数帯域の重なり合う複数のチャンネルでスペクトラム拡散通信方式により情報のやり取りを行う無線ローカルエリアネットワークを介して、端末機器を広域ネットワークへ接続する接続装置であって、
    前記複数の周波数帯域の電波信号を受信する受信手段と、
    前記受信した電波信号から、チャンネル毎の中心周波数帯の電界強度を検出する第1の強度検出手段と、
    前記受信した電波信号の拡散復調を行う拡散復調手段と、
    前記拡散復調した電波信号から、チャンネル毎の中心周波数帯の電界強度を検出する第2の強度検出手段と、
    前記第1の強度検出手段が検出した電界強度と、前記第2の強度検出手段が検出した電界強度とをチャンネル毎に照合して、チャンネル毎の電波の状態を判別する判別手段と、
    前記判別した電波の状態に基づいて、端末機器と情報のやり取りに使用するチャンネルを選択する選択手段と
    を備えた接続装置。
  4. 周波数帯域の重なり合う複数のチャンネルでスペクトラム拡散通信方式により情報のやり取りを行う無線ローカルエリアネットワークを提供する接続装置に接続することにより、該無線ローカルエリアネットワークを介して広域ネットワークに接続する端末機器であって、
    前記複数の周波数帯域の電波信号を受信する受信手段と、
    前記受信した電波信号から、チャンネル毎の中心周波数帯の電界強度を検出する第1の強度検出手段と、
    前記受信した電波信号の拡散復調を行う拡散復調手段と、
    前記拡散復調した電波信号から、チャンネル毎の中心周波数帯の電界強度を検出する第2の強度検出手段と、
    前記第1の強度検出手段が検出した電界強度と、前記第2の強度検出手段が検出した電界強度とをチャンネル毎に照合して、チャンネル毎の電波の状態を判別する判別手段と、
    前記判別した電波の状態に基づいて、接続装置と情報のやり取りに使用するチャンネルを選択する選択手段と
    を備えた端末機器。
  5. 周波数帯域の重なり合う複数のチャンネルでスペクトラム拡散通信方式により情報のやり取りを行う無線情報通信に用いる電波の状態を判別する方法であって、
    前記複数の周波数帯域の電波信号を受信して、
    前記受信した電波信号から検出したチャンネル毎の中心周波数帯の電界強度と、前記受信した電波信号を拡散復調した電波信号から検出したチャンネル毎の中心周波数帯の電界強度とを、チャンネル毎に照合して、チャンネル毎の電波の状態を判別し、
    前記無線情報通信は、無線ローカルエリアネットワークを形成するための通信を含む方法。
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