JP3741689B2 - 底面に交差形の刻印を含む熱可塑性容器 - Google Patents

Description

本発明は、予備成形物をブロー成形または延伸ブロー成形することによって得られる熱可塑性の容器、特に瓶（ｂｏｔｔｌｅ）の改良に関する。これらの容器は、側壁と、この側壁に連結された底面とを含んでおり、前記底面がその中央領域に、底壁の外面に刻み込まれた多分枝交差形の刻印を含み、この交差形の刻印が中央にほぼ円形の窪み（ｈｏｌｌｏｗ）を有し、その周りに均一な間隔をあけて配置された径方向に延びる分枝が放射状に広がっている。

このようにして形成される容器、特に瓶は、高温の液体（すなわち、約９４℃以下の温度のもの）を充填することができる。このように設計される容器の底面は、その中央部分の材料が不定形状態のままであるので高温液体との接触に関する機械的強度が低いが、多分枝交差形の刻印によって機械的に強化されており、熱の影響を受けて変形しない。

しかし、このような容器は、中に入っている液体の低温殺菌プロセス（例えば、７０℃程度の温度で２０分間程度の熱処理）に耐えることができない。低温殺菌時には、温度の作用を受けて液体の体積がかなり増加し、容器底面の高温材料は増加した応力に対して変形せずに耐えることができない。

さらに、容器に入っている低温殺菌すべき液体が、圧力をかけて溶解させた気体を含んでいる（炭酸液である）とき、例えばビールの場合には、同じ問題が更に大きいものになる。容器底面の材料は、高温液体の体積の増加による高い応力に耐えなければならないだけでなく、高温気体の圧力の大幅な増加にも耐えなければならない。前述した容器は、底面の顕著な変形なしにこのような応力に耐えることができない。

したがって、本発明の目的は、この不都合を取り除き、容器が底面の変形なしに低温殺菌プロセスに耐えることのできる、容器底面の改良型設計を提案することである。

これらの目的で、本発明によって配置された前述の熱可塑性の容器、特に瓶は、底面がペタロイド（ｐｅｔａｌｏｉｄ）タイプでもあり、その底壁が概ね外側に凸状の形で、少なくとも３個の足部（ｆｏｏｔ）が、底面の周辺部に向かって位置し、底面の凸状壁部分によって隔てられ均一な角度間隔で配置された突出部によって形成されており、
足部の数と交差形の刻印の分枝の数とが等しく、
交差形の刻印の分枝が足部に合わせて配置され、足部に対して径方向に位置合わせされており、
各足部がその支承部分に応力吸収ノッチを有し、
各足部では、応力吸収ノッチが、交差形の刻印の対応する分枝の端部から径方向に隔てられていることを特徴とする。

確かに、瓶などの容器にペタロイドタイプの底面を設けることは以前から知られており、このような底面は、ガス化された液体（特に炭酸液）を入れる容器で広く使用されているが、「ペタル（ｐｅｔａｌ）」足部を隔てている放射状の窪みは、充填時の昇圧による力に耐え、足部の支承表面を同一平面かつ容器の軸にほぼ垂直に保つことができる。

本発明による容器の状況では、ペタロイド底面が容器内部の圧力に適正に耐えることができるので、容器が、低温殺菌プロセス時に加熱された液体の体積の増加による圧力上昇に変形せずに耐え、良好に使用される。

本発明による容器は、以下の好ましい有利な効果を組み合わせている。

−一方では、高温液体の体積の増加に変形せずに耐えるペタロイド底面であるということ、
−他方では、底面が、ペタロイド部分の足部の平坦性を変化させずに変形でき、内側に変形することによって低温殺菌された液体が冷えるときの体積の減少に対応できる、多分枝の星形の刻印を備えていることである。このように底面の中央部分（ほぼ不定形材料の領域）が制御された通りに変形できるので、同時に容器本体の壁面が変形するのが抑えられることになる。この目的で、容器本体の壁面は、並置パネルの形態に作製されている。この結果、本体の壁面上に設けられた前記パネルをより小さい面積で作製することができるので、容器の設計に全体として高い自由度が与えられる。

以下で述べる利点は、容器が、非発泡性の（ガス化されていない）、低温殺菌された液体で充填されるときにも有効である。

またこれらの利点は、さらに、圧力をかけて溶解させた気体を含む低温殺菌された液体（例えばビール）で充填された容器の場合にも有効であり、これらの容器は、それに加えて低温殺菌時に加熱された気体の高い圧力にも曝される。

また、損傷することなしに低温殺菌の効果を受けることができるので、本発明による容器がさらに、損傷することなしに高温充填（約９４℃以下の温度の高温液体で充填）可能であることも理解される。

さらに、ペタロイドパターンと多分枝十字の刻印とを幾何学的に組み合わせることによって、これら２個のパターンの形成に利用可能な底面上の空間を小さくすることが考えられる。すなわち、交差形の刻印の分枝を、足部に合わせて配置し、足部に対して径方向に位置合わせする。

最後に、各足部には前述のように応力吸収ノッチが配置されているので、足部が応力を受けるときには、そのノッチの位置で変形が生じる。さらに、底面がそれによって支持体上に置かれる、足部の２個の突出部またはパッドの間にノッチがあるので、結果として支承点の数が２倍になり、容器の安定性を高めるのに役立つ。

底面の中央部分の剛性を高め、同時に本発明の状況で求められている目的に必要な所望の変形性を可能にする一実施形態では、中央のほぼ円形のボウル状部分の深さが、交差形の刻印の分枝の深さよりも著しく深いことが望ましい。

有利には、隣接する２個の足部を隔てている底面の凸状壁の一部分が、交差形の刻印の対応する隣接分枝間を中央のカップの縁部までいくらか延びている。ただし、中央部の強度低下を避けるために、隣接する２個の脚部を隔てている底面の凸状壁の前述した部分を中央のカップに通じさせず、中央に向かって径方向に位置するその端部を、リムによって中央のカップから隔てておくことが好ましい。このリムが、中央の窪みの周囲を補強するのに役立つ。

本発明による配置を実施するには、所望の質を有する容器底面を達成するために妥協点に達する必要がある。すなわち、ペタロイド底面の足部は、原理的には任意の個数にすることができ、多数設けることもできる。同様に、多分枝交差形の窪んだ刻印の分枝は、原理的には任意の個数にすることができ、多数設けることもできる。ただし、前述した本発明の好ましい実施形態によれば、交差形の刻印の分枝には径方向の長さがあり、１つにはそれによって分枝が足部を構成するペタルの開始位置に到達しており、また交差形の刻印の分枝の幅もかなりあるので、このことから本発明の容器では、足部および交差形の刻印の分枝を多数設けることができないことになる。実際には、この数は、３個（容器を確実に安定して立たせるのに必要な最小数）より多くしなければならないが、５個を超えるのは不可能と思われる。実際には、４個が最良の妥協点と思われる。

また、底面を過剰な厚さにする必要はなく、試験から、厚い底面によって得られた結果が凡庸なものであることが示されたことにも留意する。

この目的で、本発明によって配置された容器底面の厚さが、高温充填だけの目的で容器に単一の多分枝交差形の刻印が設けられている底面の厚さよりもかなり薄いことが示される。したがって本発明の装置を使用すると、容器のタイプに応じて、使用される材料の量を底面だけで２０〜３０％程度、容器全体で３〜１０％程度、かなり削減することができる。この結果、金銭的に大幅な節約になり、高温充填に適した容器に利用するだけの場合でも本発明の配置が有利なものになる。

本発明は、単に説明として与える以下の好ましい実施形態の詳細な説明を読めば、さらによく理解される。この説明では、添付の図面を参照する。

以下の説明は、より詳細には液体を入れることを目的とした瓶の底面の設計に関するものであるが、これは本発明の配置の好ましい応用例と思われるからであり、この配置が同様にフラスコや缶などの他のタイプの容器にも容易に適応することが理解される。

本発明は、予め成形によって得られた予備成形物をブロー成形または延伸ブロー成形することによって得られる、熱可塑性の、例えばＰＥＴ製の容器に関する。

図２Ｂおよび図３Ｂでその全体が参照番号１によって示されている瓶（図では、瓶の下方部分だけを見ることができる）は、側壁２と、この側壁に連結された底面３とを含む。

底面３は、その中央領域に、底壁５の外面に刻み込まれた多分枝交差形の刻印４を含む。交差形の刻印４は、中央にほぼ円形のカップ６（底面に突き出たほぼ丸い台皿（ｐｌａｔｅａｕ）７になっている）を有しており、その中央には、知られているように、予備成形物の射出点の部位に対応する材料の瘤（ｋｎｏｂ）または小塊（ｌｕｍｐ）９がある。中央のカップ６の周りには、均等な間隔をあけて径方向に延びる分枝８が放射状に広がっている。

図示した例では、交差形の刻印４の分枝８は、４個あり、９０°の間隔をあけて配置されている。この理由については、後で説明する。

交差形の刻印４の分枝８は、寸法がかなり大きく、はっきりとした浮彫り（ｒｅｌｉｅｆ）を備えている。例えば、分枝８の個々の形状は、平行な縁部を備えた長方形であり、あるいは図のように縁部が周辺部に向かっていくらか広がってほぼ台形になる。これらの長さは、その平均幅の約２倍であり、その平均深度は、平均幅の約半分である。

交差形の刻印４は、熱可塑性物質が不定形であった、底壁５の中央領域内に形成される。

さらに、底面３の形は、底壁５が概ね外側に凸状の形をした「ペタロイド」式である。底壁５には、底面の周辺部に向かって位置し、外側に突き出た突出部１０が形成されており、より精確には、突出部１０の最も突き出ている部分１１が底面の周辺部付近にあり、一方、突出部が底面の中央に向かって緩やかに下がるように傾斜している。突出部１０は、均一な角度間隔で配置され、凸状の底壁部分によって互いに隔てられており、この底壁部分が、隣接する２個の突出部を隔てるように径方向に延びている溝（ｖａｌｌｅｙ）１２を構成している。

突出部１０は、足部を構成しており、その最も突き出ている部分１１は、容器がそれによって支持体上に置かれる支承領域である。

図のように、突出部または足部１０の数と、中央の刻印４によって形成された十字の分枝８の数は等しい。それは、特に図１から明らかなように、交差形の刻印の分枝８が、少なくともそれぞれの端部に向かって、足部１０に、少なくともその突出量が最少の部分で係合しているからである。言い換えれば、足部１０と分枝８は、数が等しいだけでなく、互いに径方向に位置合わせもされている。

実際には、このような構成は、容器を支持体上に安定に置くことができるように少なくとも３個の足部を設ける必要があることによって、また、かなりの浮彫りと、特にその幅の点でかなりの寸法とを有する交差形の刻印４の分枝８を設ける必要があることによって決定される。

結果として、足部の数と、したがって交差形の刻印４の分枝８の数とは、３個未満にすることはできないが、逆に、製造時にブロー成形を用いて適正な形状を得ることに関わる要件があるので実際にはあまり多くすることもできない。

実際には、標準的な寸法の瓶には、図１〜図５に示すように４個が良い妥協点であると思われる。

瓶３が使用時には高い剛性を有し、同時に、高温液体が存在するときには変形する相対能力を有するように、適切な補強要素を設けることが望ましい。

したがって、隣接する２個の足部を隔てる凸状の壁部分または溝１２が、中央の交差形の刻印の連続した２個の分枝８の間を事実上中央のカップ６の縁部まで延び、ただしこのカップには通じておらず、その径方向の内側端部と中央カップ６との間にわずかなリム１５を残していて、このリム１５が補強材の働きをすることが有利である。

さらに、足部１０の最も突き出ている部分１１は、平坦でなく、凹状部分が外側を向いているへこみまたはノッチ１３を有する。その結果、足部１０が応力を受けるとき、この応力に起因した変形は、応力吸収ノッチとして知られるこのノッチ１３の位置で生じる。

副次的な結果として、応力吸収ノッチ１３の存在が、２個の支承領域１１ａおよび１１ｂをこのノッチの両側の位置に分離する。これが、支承領域の数を２倍に増やしており、その数は、足部の数に対応した４個（この例の場合）でなく、８個になる。このことが、支持体上に置かれている容器に高い安定性を与えている。

さらに、各足部１０のこの配置によって、中央の交差形の刻印４の各分枝８の径方向外側の縁部と、足部１０の応力吸収ノッチ１３との間で分枝の延長に位置している、横向きの帯状部（ｓｔｒｉｐ）１４が明らかになっている。この横向きの帯状部１４は、一方では、足部１０の径方向に延びる２個の側縁部を支えることによって、足部１０の緩やかに傾斜している部分を補強する働きをし、他方では、液体が冷えてこの中央部分が内側に吸引されるときに、交差形の刻印４によって補強された底面の中央部分の節（ａｒｔｉｃｕｌａｔｉｏｎ）の働きをする。このように、容器が冷えるときに瓶が制御された通りに内側に動くことができるので、瓶の本体壁面のパネル上にかかる応力が軽減されることになり、結果として前記パネルの面積を削減することができる。

このようにして形成される瓶は、その液体内容物が非発泡性の液体（例えば果汁）であるか、溶存気体を含む液体または炭酸液（例えばビール）であるかに関わらず、その底面の大幅な変形なしに、液体内容物に低温殺菌プロセスを実施することができる。このような瓶は、さらに、高温充填プロセスに耐えることができる。

この瓶を作製する材料の厚さが、従来技術の容器に較べてかなり薄い（例えば、２０〜３０％程度の削減である）ことが強調される。この点で、本発明の瓶は、同じタイプの瓶の場合には底面がかなり厚くなる、高温充填に適した現在使用されている瓶よりもはるかに有利である。

本発明によって配置された容器底面の下方から見た様子を示す図である。 図１のＩＩＡ−ＩＩＡでの直径方向断面図である。 図１の容器底面の矢印ＩＩＢの方向の側面図である。 図１のＩＩＩＡ−ＩＩＩＡでの直径方向断面図である。 図１の容器底面の矢印ＩＩＩＢの方向の側面図である。 図１〜３の容器底面の下方４５度から見た様子を示す図である。 図１〜４の容器底面の上方４５度から見た様子を、容器本体を取り除いて示す図である。

Claims (6)

1. 予備成形物をブロー成形または延伸ブロー成形することによって得られ、側壁（２）と、この側壁に連結された底面（３）とを含んでおり、前記底面（３）がその中央領域に、底壁（５）の外面に刻み込まれた多分枝交差形の刻印（４）を含み、この交差形の刻印（４）が中央にほぼ円形の窪み（６）を有し、その周りに均一な間隔をあけて配置された径方向に延びる分枝（８）が放射状に広がっている熱可塑性の容器であって、
   前記底面（３）がペタロイドタイプであり、その底壁（５）が概ね外側に凸状の形で、少なくとも３個の足部（１０）が、底面の周辺部に向かって位置し、底面の凸状壁部分（１２）によって隔てられ均一な角度間隔で配置された突出部によって形成されており、
   足部（１０）の数と交差形の刻印（４）の分枝（８）の数とが等しく、
   交差形の刻印（４）の分枝（８）が、足部（１０）に合わせて配置され、足部に対して径方向に位置合わせされており、
   各足部（１０）がその支承部分（１１）に応力吸収ノッチ（１３）を有し、
   各足部では、前記応力吸収ノッチ（１３）が、交差形の刻印（４）の対応する分枝（８）の端部から径方向に隔てられていることを特徴とする容器。
2. 前記中央のほぼ円形のカップ（６）の深さが、前記交差形の刻印（４）の分枝（８）の深さよりも有意に深いことを特徴とする請求項１に記載の容器。
3. 隣接する２個の足部（１０）を隔てている底面の凸状壁（５）の部分（１２）が、交差形の刻印（４）の対応する隣接分枝（８）の間を中央のカップ（６）のほぼ縁部にまで延びていることを特徴とする請求項２に記載の容器。
4. 隣接する２個の脚部（１０）を隔てている底面の凸状壁（５）の前述した部分（１２）が中央のカップ（６）にまで通じておらず、中央に向かって径方向に位置するその端部がリム（１５）によって中央のカップ（６）から隔てられていることを特徴とする請求項３に記載の容器。
5. 各足部（１０）で、前記交差形の刻印（４）の分枝（８）の径方向外側の端部と、前記応力吸収ノッチ（１３）とが、横向きの帯状部（１４）によって隔てられていることを特徴とする請求項１から４のいずれか一項に記載の容器。
6. 前記底面（３）が４個の足部（１０）を有し、前記交差形の刻印（４）が４個の分枝（８）を備えた十字形であることを特徴とする請求項１から５のいずれか一項に記載の容器。

Images