JP3741325B2 - プラスチック段ボールの接合装置及び接合方法 - Google Patents
プラスチック段ボールの接合装置及び接合方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック段ボール(以下単に、段ボールともいう。)の接合に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
工業用部品の輸送箱や保管箱などに広く使用されるプラスチック段ボールには、一般にポリプロ樹脂が使われているが、その物性上、接着による接合が困難なため、鋲やステップルによる接合や、熱溶着による接合が一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、中空構造の段ボールは局部的に加圧すると潰れやすいので、鋲やステップルなどによる接合を複数箇所に分散して使用しないと、接合強度を確保することが困難であった。また、金属製の鋲やステップルは使用済み製品のリサイクルや廃材処理に不都合であり、一方、樹脂製の鋲は作業工程や強度の面から原価高になるなどの問題があった。また、超音波振動による摩擦熱で接合面を溶かして接合する熱溶着や、加熱した金属片を段ボールの外面から押し当てて接合面を溶かして接合する熱溶着の方法では、加熱の際に加えられる圧力によって、軟化した接合面が押し潰されて、段ボールを構成するシートの肉厚が、接合した部分と、溶けただけで接合しなかった部分との境界で最も薄くなり、局部的な引き剥がしの外力が加わると、この部分から比較的簡単に引き裂かれてしまう欠点があった。また、接合するものが中空構造の段ボールであるために、加熱用金属片や超音波振動子を押し当てて加熱すると、段ボールの外面に大きな凹みができて外観を損ねるなどの問題があった。
【0004】
例えば図2は従来的な超音波振動などによる熱溶着の接合状態を示す断面図で、接合する段ボール1の下シート1bと段ボール2の上シート2aの接触面を超音波振動の摩擦熱で溶融させて接合するものである。段ボール1,2の外面から圧力を加えながら熱溶着する方法であるため、熱で溶けた下シート1bと、上シート2aが押し潰され、接合した部分と溶けただけで接合しなかった部分との境界が最も薄くなって強度低下の原因となる。また、熱で軟化した接合面を超音波振動子で押さえ付けるので段ボール自体に大きな凹みができる。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、外観を損ねることなく、充分な強度を有する接合が可能な接合装置及び接合方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
プラスチック段ボール同士を重ねて接合面を熱溶着させる接合装置であって、接合面を加熱するための熱板と、その熱板とほぼ同厚である間隔板と、を備え、前記間隔板を熱板の近傍で且つ熱板と同一平面に配置し、熱板と間隔板を前記接合面の間に一緒に挟み込むことにより、熱板の接合面への接触以上の押し付けを間隔板で抑制するようにしたプラスチック段ボールの接合装置を提供する。また、請求項2のように、前記熱板の周囲を間隔板で囲うようにした請求項1記載のプラスチック段ボールの接合装置を提供する。
【0007】
また、プラスチック段ボール同士を重ねて接合面を熱溶着させる接合方法であって、接合面を加熱するための熱板と、その熱板とほぼ同厚である間隔板とを備え、前記間隔板を熱板の近傍で且つ熱板と同一平面に配置してなる接合装置を使用し、前記熱板と間隔板を接合面の間に一緒に挟み込み、熱板の接合面への接触以上の押し付けを間隔板で抑制しつつ熱板の熱で接合面を溶かした後、熱板と間隔板を取り除いてから溶かした接合面同士を密着させるようにしたプラスチック段ボールの接合方法を提供する。
【0008】
本発明によるプラスチック段ボールの接合装置及び接合方法では、プラスチック段ボール以外の異種材料を使用しないので、リサイクルや使用済み製品の廃材処理に都合がよいこと、超音波振動子や、加熱した金属片を外面から押し当てて熱溶着する方法に比べ、加熱中に接合面に圧力を加えないから、接合面が押し潰されて薄くなる恐れがなく、強度をより確実に確保できること、外観的にも優れていることなどの利点がある。なお、間隔板がないと熱板が接合面に押し付けられて、段ボールが溶けて厚みが薄くなり、熱板を取り除いた後に熱膨張と粘着力で溶けた接合面が膨らんでも、元の段ボールの面よりも膨らむことが少なくなり熱溶着が不完全な接合になる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は本発明の接合方法を説明するための段ボール接合部分の斜視図で、接合する段ボール1と段ボール2は、上シート1a,2aと下シート1b,2bの間に多数の支え3を設けた中空構造になっている。4は、段ボール1と段ボール2が重なった接合面である。
【0011】
図6は接合装置の斜視図であり、接合面4を加熱するための熱板5と、その熱板5とほぼ同厚である間隔板6と、前記熱板5と間隔板6を支持する支持体7で構成される。前記間隔板6は熱板5が接合面に接触すること以上に押しつけられないように、加圧を抑制するためのもので、熱板5とほぼ同じ厚みを持ち、熱板5と同一平面に設けられて熱板5の加熱工程と連動するように、共に支持体7に連結している。また、間隔板6は、熱板5からの熱が直接伝わらないように、熱板5から断熱された近傍にあって、図6のごとく熱板5の周囲を囲っている。
【0012】
図3は本発明による接合方法の最初の段階を示すもので、先ず接合面となる段ボール1と段ボール2の相互間に熱板5と間隔板6を一緒に挟み、熱板5で接合面を溶かす。
【0013】
次に図4の如く接合面4相互の間隔を少し広げた後、支持体7を操作して熱板5と間隔板6を取り除くと、熱板5に付着してついて行こうとする溶けた樹脂の粘着力と、局部的な熱膨張によって、下シート1bと上シート2aは、加熱されない部分の表面よりも僅かに膨れ上がった状態になる。
【0014】
次に溶けた下シート1bと上シート2aを密着させて熱溶着すると接合が完了する。図5は本発明の接合方法によって接合した段ボールの断面図で、接合面が押し潰されて薄くなることがなく、段ボールの外面にも凹みができない。
【0015】
【発明の効果】
以上の如く本発明の接合装置及び接合方法は、接合面4の相互間に熱板5と共に間隔板6を挟み込んで、接合面の表面を溶かした後、一旦、接合面相互の間隔を広げて熱板5と間隔板6を取り除き、次に双方の接合面4を密着させて熱溶着するようにしたため、加熱の際に接合面が押し潰されて強度が低下するようなことがなく、また、段ボールの外面に加熱に伴う凹みができて外観を損ねるようなこともない、などの利点がある。
【0016】
【図面の簡単な説明】
【図1】 プラスチック段ボールの接合状態を説明するための接合部分の斜視図である。
【図2】 従来一般的な接合方法による接合部分の断面図である。
【図3】 本発明による接合方法の加熱状態を示す接合部分の断面図である。
【図4】 加熱直後の状態を示す接合部分の断面図である。
【図5】 本発明による接合方法で接合された接合部分の断面図である。
【図6】 接合装置の斜視図である。
【符号の説明】
1 …プラスチック段ボール
2 …プラスチック段ボール
4 …接合面
5 …熱板
6 …間隔板
Claims (3)
- プラスチック段ボール同士を重ねて接合面を熱溶着させる接合装置であって、
接合面を加熱するための熱板と、
その熱板とほぼ同厚である間隔板と、を備え、
前記間隔板を熱板の近傍で且つ熱板と同一平面に配置し、熱板と間隔板を前記接合面の間に一緒に挟み込むことにより、熱板の接合面への接触以上の押し付けを間隔板で抑制するようにしたことを特徴とするプラスチック段ボールの接合装置。 - 前記熱板の周囲を間隔板で囲うようにしたことを特徴とする請求項1記載のプラスチック段ボールの接合装置。
- プラスチック段ボール同士を重ねて接合面を熱溶着させる接合方法であって、
接合面を加熱するための熱板と、その熱板とほぼ同厚である間隔板とを備え、前記間隔板を熱板の近傍で且つ熱板と同一平面に配置してなる接合装置を使用し、
前記熱板と間隔板を接合面の間に一緒に挟み込み、熱板の接合面への接触以上の押し付けを間隔板で抑制しつつ熱板の熱で接合面を溶かした後、熱板と間隔板を取り除いてから溶かした接合面同士を密着させるようにしたプラスチック段ボールの接合方法。
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JP28343396A JP3741325B2 (ja) | 1996-10-03 | 1996-10-03 | プラスチック段ボールの接合装置及び接合方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP28343396A JP3741325B2 (ja) | 1996-10-03 | 1996-10-03 | プラスチック段ボールの接合装置及び接合方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10109368A JPH10109368A (ja) | 1998-04-28 |
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JP28343396A Expired - Fee Related JP3741325B2 (ja) | 1996-10-03 | 1996-10-03 | プラスチック段ボールの接合装置及び接合方法 |
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-
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- 1996-10-03 JP JP28343396A patent/JP3741325B2/ja not_active Expired - Fee Related
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