JP3739343B2 - 靴下 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、着用時のずり落ちを効果的に防止して気持ち良く着用し続けることができるストッキングとソックスとを含む靴下に関する技術である。
【0002】
【従来の技術】
靴下は、その着用中の足の動きが激しければ激しいほど次第にずり落ちてきて弛みが生じたりしわができてしまうことから、見た目に見苦しいばかりでなく、着用者に不快感を感じさせることになる。
【0003】
このため、靴下は、その口ゴム部をゴム編み組織としたり、人体接触面側にゴムのような摩擦係数の高い素材を塗布するなどして、ずり落ちを防止する工夫が凝らされていた。
【0004】
さらに、着用の都度、靴下の口ゴム部の人体接触面側に接着性に富む糊状のものを塗布することさえも行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、口ゴム部にゴム編み組織を採用する従来タイプの靴下は、ずり落ち防止を追求するあまりその締付け力が強くなり過ぎて着用中に不快感や違和感を与えてしまう不都合があった。
【0006】
また、口ゴム部の人体接触面側にゴムのような摩擦係数の高い素材が塗布されている靴下は、洗濯を繰り返すにつれ剥落するなどしてその効果が次第に低下してしまう不具合があった。
【0007】
さらに、着用の都度、口ゴム部の人体接触面側に糊状のものを塗布する手法は、作業的に煩雑であるばかりでなく、着用中に不快なベタツキ感があるなどの問題があった。
【0008】
本発明は、従来からある靴下にみられた上記課題に鑑み、着用中に不快な思いをすることなくずり落ちを防止して気持ち良く着用することができる靴下を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成すべくなされたものであり、ストッキングとソックスとを含む靴下におけるレッグ部の上側領域に位置する口ゴム部を内側面部と外側面部との二層で形成し、そのうちの前記内側面部は、弾性芯糸に紡績糸またはフィラメント糸を巻き付けてなるカバリングヤーンと弾性裸糸とを用いて混在させたダブルメッシュ編み組織とプレーン編み組織とで人体接触面側の摩擦係数を高めて編成し、前記外側面部は、2本の前記カバリングヤーンと2本のウーリーナイロン糸とを用いた伸縮性に富むメッシュ編み組織により編成するとともに、前記レッグ部の上縁側領域は、1本の前記カバリングヤーンと2本の前記弾性裸糸と1本の前記ウーリーナイロン糸とを用いて人体接触面側に前記弾性裸糸を表出させたフロート編み組織により編成したことに構成上の特徴がある。
【0010】
本発明における前記口ゴム部は、非着用時における長さ方向での縦幅を4〜6cmとして形成するのが好ましい。また、前記弾性裸糸は、40〜840デニールの太さのものを好適に用いることができ、特に、200%伸張時のパワーが8〜130gfの範囲にあるポリウレタン系弾性裸糸を好適に用いることができる。さらに、前記フロート編み組織は、非着用時における長さ方向での縦幅を4〜7cmとするのが望ましく、さらには、口ゴム部における前記外側面部は、120%以上の伸縮性を有するメッシュ編み組織により編成するのが望ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、ストッキングとソックスとを含む靴下のうち、ストッキングに本発明を適用した際の一例を示す説明図であり、そのうちの(a)は全体図を、(b)は(a)におけるA−A線矢視方向での拡大断面図をそれぞれ示す。
【0012】
図1(a)によれば、靴下11のひとつであるストッキング12は、履き口を兼ねる口ゴム部13と、大腿部から足までを覆うレッグ部33とでその全体が形成されている。なお、図示例におけるレッグ部33は、大腿部から足首部までを覆う脚部34と、爪先部を含むインステップ部とソール部とを覆う足部44とで形成されている。
【0013】
ストッキング12におけるレッグ部33の上側領域に位置する口ゴム部13は、図1(b)に示されているようにその着用時に人体に直接接触する内側面部14と、人体とは直接に接触することのない外側面部24との二層構造となっており、非着用時における長さ方向での縦幅がそれぞれ4〜6cm程度となって形成されている。
【0014】
このうち、口ゴム部13において内側の一層を構成している内側面部14は、弾性芯糸に紡績糸またはフィラメント糸を巻き付けてなるカバリングヤーン18と弾性裸糸19とを用いた2口編みにより、図2に示すようにダブルメッシュ編み組織15とプレーン編み組織15とを混在させることにより人体接触面側の摩擦係数を高めた状態のもとで編成されている。
【0015】
そして、これらカバリングヤーン18と弾性裸糸19とを用いたダブルメッシュ編み組織15を編成して柄状となった凹凸面17を形成することにより、摩擦係数をより高めてやることができるほか、あたかも吸盤のような吸い付き機能をも同時に内側面部14に対し付与することができることになる。
【0016】
一方、口ゴム部13において外側の一層を構成している外側面部24の側は、図3に示すように2本のカバリングヤーン26,27と2本のウーリーナイロン糸28,29とを用いた4口編みによるメッシュ編み組織25を編成することにより、優れた伸縮性が付与されて形成されている。
【0017】
また、境界帯域41を介して口ゴム部13と隣り合う位置にあるレッグ部33にあって、その脚部34の上縁側領域35は、図4に示すように1本のカバリングヤーン37と2本の弾性裸糸38,39と1本のウーリーナイロン糸40とを用いた4口編みによるフロート編み組織36により人体接触面側に弾性裸糸38,39が表出する状態のもとで編成されており、このような編み組織とすることにより所要の着圧を生成することができるほか、摩擦係数を高めてやることもできる。
【0018】
さらに、上記した上縁側領域35を除く脚部34と境界帯域41とのそれぞれは、着圧を効果的に付与することができるリブフロート編み組織により編成されている。
【0019】
また、ヒール部45と爪先部とを除く足部44は、同様に着圧を効果的に付与することができるリブフロート編み組織により編成されている。
【0020】
本発明におけるカバリングヤーン18,26,27,37は、弾性芯糸としてポリウレタン弾性糸を用い、該ポリウレタン弾性糸にフィラメント糸を一重に巻き付けてなるシングルカバリングヤーンを好適に用いることができるほか、必要によりポリウレタン弾性糸にフィラメント糸を二重に巻き付けてなるダブルカバリングヤーンを用いることもできる。
【0021】
また、弾性裸糸19,38,39は、40〜840デニールの太さのものを好適に用いることができ、特に、500%伸張時のパワーが60〜300gfの範囲にあるポリウレタン系弾性裸糸を好適に用いることができる。
【0022】
さらに、フロート編み組織36は、非着用時における長さ方向での縦幅を4〜7cmとするのが望ましく、さらには、口ゴム部13における外側面部24は、適度な圧迫力によりずり落ちや丸まりを防止するために、120%以上の伸縮性を有するメッシュ編み組織25により編成するのが望ましい。
【0023】
次に、本発明の作用・効果につき図示例を参酌しながら説明すれば、靴下11としてのストッキング12を着用した際における口ゴム部13は、人体に直接接触する内側面部14と、人体とは直接に接触することのない外側面部24との二層構造となっているので、このうちの内側面部14が人体である例えば大腿部と直に接触することになる。
【0024】
この場合、内側面部14は、カバリングヤーン18と弾性裸糸19とが用いられたダブルメッシュ編み組織15とプレーン編み組織15とで広幅に編成されているので、高い摩擦係数のもとで人体に接触させることができるほか、柄状に形成された凹凸面17を介することであたかも吸盤のような吸い付き機能をも同時に発揮させることができる。
【0025】
しかも、口ゴム部13にあって表側に位置することになる外側面部24は、伸縮性に優れたメッシュ編み組織25で広幅に編成されていることから、摩擦係数の高い内側面部14をその着用時にソフトな感覚のもとで人体側に押し当ててやることができるので、好ましい着用感のもとでずり落ちを効果的に防止して着用を続けることができる。
【0026】
さらに、境界帯域41を介して口ゴム部13と隣り合う位置にあるレッグ部33における脚部34の上縁側領域35は、所要の着圧を備え、かつ、人体接触面側に弾性裸糸38,39を表出させた広幅なフロート編み組織36で編成されているので、高い摩擦係数のもとで人体側に接触させることにより、口ゴム部13と同様に着用中のずり落ち防止機能を発揮させてやることができる。
【0027】
つまり、本発明によれば、口ゴム部13と脚部34の上縁側領域35との二面領域にて、好ましい着圧のもとでずり落ちを防止しながら人体側と接触させることができるので、その着用時におけるずり落ちと口ゴム部13部位に発生しがちな丸まりとを効果的に防止して、気持ち良く着用を続けることができる。
【0028】
以上は、本発明をあくまでも図示例に従って説明したものであり、その内容はこれに限定されるものではない。例えば、本発明が適用される靴下11としては、図示例以外に、例えばアンクルソックス、クルーソックス、ハイソックス、オーバーニーソックス、爪先部を有しないストッキングのほか、適宜形状の弾性靴下なども含まれる。
【0029】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、口ゴム部の内側面部は、ダブルメッシュ編み組織とプレーン編み組織とで広幅で、かつ、凹凸面をも設けて編成されているので、高い摩擦係数のもとで人体側に密着させることができる。
【0030】
しかも、口ゴム部の外側面部は、伸縮性に優れたメッシュ編み組織で広幅に編成されていることから、その着用時にソフトな感覚のもとで内側面部を人体側に押し当ててやることができるので、好ましい着用感のもとでずり落ちを効果的に防止することができる。
【0031】
さらに、レッグ部における脚部の上縁側領域は、所要の着圧を備え、かつ、人体接触面側に弾性裸糸を表出させたフロート編み組織で編成されているので、高い摩擦係数のもとで人体側に接触させることにより、口ゴム部と同様に着用中のずり落ち防止機能を発揮させてやることができる。
【0032】
したがって、本発明によれば、口ゴム部と脚部の上縁側領域との二面領域にて、好ましい着圧のもとでずり落ちを防止しながら人体側と接触させることができることになり、その着用時におけるずり落ちと口ゴム部の側に発生しがちな丸まりとを効果的に防止して、気持ち良く着用を続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例を非着用状態のもとで示す説明図であり、そのうちの(a)は全体図を、(b)は(a)におけるA−A線矢視方向での拡大断面図をそれぞれ示す。
【図2】口ゴム部を構成している内側面部の側の編み組織につき要部を拡大して示す説明図。
【図3】口ゴム部を構成している外側面部の側の編み組織につき要部を拡大して示す説明図。
【図4】レッグ部を構成している脚部における上縁側領域の編み組織につき要部を拡大して示す説明図。
【符号の説明】
11 靴下
12 ストッキング
13 口ゴム部
14 内側面部
15 ダブルメッシュ編み組織
16 プレーン編み組織
17 凹凸面
18 カバリングヤーン
19 弾性裸糸
24 外側面
25 メッシュ編み組織
26,27 カバリングヤーン
28,29 ウーリーナイロン糸
33 レッグ部
34 脚部
35 上縁側領域
36 フロート編み組織
37 カバリングヤーン
38,39 弾性裸糸
40 ウーリーナイロン糸
41 境界帯域
43 リブフロート編み組織
44 足部
45 ヒール部
46 リブフロート編み組織
47 プレーン編み組織

Claims (6)

  1. ストッキングとソックスとを含む靴下におけるレッグ部の上側領域に位置する口ゴム部を内側面部と外側面部との二層で形成し、
    そのうちの前記内側面部は、弾性芯糸に紡績糸またはフィラメント糸を巻き付けてなるカバリングヤーンと弾性裸糸とを用いて混在させたダブルメッシュ編み組織とプレーン編み組織とで人体接触面側の摩擦係数を高めて編成し、前記外側面部は、2本の前記カバリングヤーンと2本のウーリーナイロン糸とを用いた伸縮性に富むメッシュ編み組織により編成するとともに、
    前記レッグ部の上縁側領域は、1本の前記カバリングヤーンと2本の前記弾性裸糸と1本の前記ウーリーナイロン糸とを用いて人体接触面側に前記弾性裸糸を表出させたフロート編み組織により編成したことを特徴とする靴下。
  2. 前記口ゴム部は、非着用時における長さ方向での縦幅が4〜6cmである請求項1に記載の靴下。
  3. 前記弾性裸糸は、40〜840デニールの太さである請求項1または2に記載の靴下。
  4. 前記弾性裸糸は、500%伸張時のパワーが60〜300gfの範囲にあるポリウレタン系弾性裸糸である請求項1ないし3のいずれかに記載の靴下。
  5. 前記フロート編み組織は、非着用時における長さ方向での縦幅が4〜7cmである請求項1ないし4のいずれかに記載の靴下。
  6. 口ゴム部における前記外側面部は、120%以上の伸縮性を有するメッシュ編み組織により編成した請求項1ないし5のいずれかに記載の靴下。
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