JP3738692B2 - トロイダル型無段変速機の組立治具及び組立方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等に適用されるトロイダル型無段変速機の組立治具及び組立方法の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用無段変速機は、その滑らかさ、運転のしやすさ及び燃費向上の期待もあって近年研究開発が進められていて、油膜のせん断によって動力を伝達するトラクションドライブ式のトロイダル型無段変速機が既に実用化されている。
【0003】
このトロイダル型無段変速機の入出力ディスク間に動力伝達可能に挟圧されるパワーローラは、例えば、特開平6−129509号公報に記載されているように、ピボットシャフトを介してトラニオンに支持されている。
【0004】
このピボットシャフトは、相互に偏心した両端部を持ち、一端部側にパワーローラを抜け止め状態で回転自在に支持し、他端部側にトラニオンを抜け止め状態で回転自在に支持している。よって、ユニットを組み付ける際、パワーローラとトラニオンがピボットシャフトを介して不離一体に連結されているため、パワーローラがトラニオンから離脱してしまうということがない。
【0005】
これに対し、例えば、特開平7−198014号公報では、トラニオンに、入出力ディスクの回転方向に配置したパワーローラ収納部が形成され、パワーローラがトラニオンのパワーローラ収納部で平行移動可能に支持することで、ピボットシャフトを省略し、トラニオンのコストを抑え、かつ、トラニオンの剛性を高めたパワーローラ支持構造が提案されている。
【0006】
相互に偏心した両端部を持つピボットシャフトを有するが、パワーローラ内輪の剛性を高めることを目的とし、パワーローラ外輪と反対側の内径側を塞いだ構造としたパワーローラ内輪がピボットシャフトから離脱可能なパワーローラ支持構造も考えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平7−198014号公報に記載されている従来のトロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造及びパワーローラ内輪の内径部が閉塞されたトロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造にあっては、いずれもパワーローラをトラニオンに組み付けた状態で、パワーローラ回転軸線方向にパワーローラがトラニオンから離脱可能な構造を採用しているため、ユニットを組み付ける際、予め変速機ケースに配置された入出力ディスクによって形成されるトロイダルキャビティ空間内に、パワーローラが連結されたトラニオンを挿入し、かつ、予め変速機ケースに固定されたアッパーリンクの開孔部にトラニオンを配設する際、パワーローラが落下してしまうという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、パワーローラ内輪またはパワーローラがトラニオンから離脱可能なパワーローラ支持構造を採用しても、アッパーリンクの開孔部にトラニオンを配設する際、パワーローラ内輪またはパワーローラが落下することなく、トロイダル型無段変速機の組み立て性能を向上させることができるトロイダル型無段変速機の組立治具及び組立方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、
同軸の回転軸に対し回動可能に対向配置された入出力ディスクと、
該入出力ディスクに摩擦接触するパワーローラ内輪と、
該パワーローラ内輪を、回転支持軸を介して支持するトラニオンと、を備え、
前記パワーローラ内輪が、前記回転支持軸が挿入される内径穴であって前記入出力ディスクの回転軸側の一端部を塞いだ閉塞部を有するトロイダル型無段変速機の組立治具において、
該治具は、トラニオン下部で傾転軸を軸心とするトラニオンシャフトに挿着させるシャフト挿入穴を一端部に有し、
前記パワーローラ内輪の前記回転支持軸方向への移動を規制する移動規制部を他端部に有する板状部材としたことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明では、同軸の回転軸に対し回動可能に対向配置された入出力ディスクと、
該入出力ディスクに挟圧され、駆動力を一方のディスクから他方のディスクへ伝達するパワーローラと、
該パワーローラを回転可能に支持するトラニオンと、を備え、
前記パワーローラは、入出力軸に摩擦接触するパワーローラ内輪と、前記入出力ディスクからパワーローラ内輪に入力される接触荷重を、スラスト軸受を介して受け止めるパワーローラ外輪とを有し、前記トラニオン傾転軸方向およびパワーローラ回転軸方向の双方に垂直な方向に平行移動可能なトロイダル型無段変速機の組立治具において、
該治具は、トラニオン下部で傾転軸を軸心とするトラニオンシャフトに挿着させるシャフト挿入穴を一端部に有し、
前記パワーローラ内輪の前記回転支持軸方向への移動を規制する移動規制部を他端部に有する板状部材としたことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明では、請求項1または請求項2に記載のトロイダル型無段変速機の組立治具において、
前記板状部材は、弾性体で形成された板状弾性部材であることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明では、請求項1ないし請求項3に記載のトロイダル型無段変速機の組立治具において、
前記板状部材は、前記シャフト挿入穴の一部に切欠を有する部材であることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明では、請求項1ないし請求項4に記載のトロイダル型無段変速機の組立治具において、
前記板状部材は、前記トラニオンシャフトの軸周りに回転するのを規制する回転規制手段を有する部材であることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明では、請求項1ないし請求項5に記載のトロイダル型無段変速機の組立治具において、
前記板状部材は、シャフト挿入穴が形成された一端部を、前記トラニオンシャフト端部の雄ねじ部まで軸方向に延長した筒状部とし、前記雄ねじ部にナットを螺合することにより固定される部材であることを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明では、請求項1ないし請求項6に記載のトロイダル型無段変速機の組立治具において、
前記板状部材は、シャフト挿入穴が形成された一端部のパワーローラ側接触面を、前記トラニオンの傾転を支持する軸受が仮設されている段差面に対し、接触させた状態で嵌合固定される部材であることを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の発明では、同軸の回転軸に対し回動可能に対向配置された入出力ディスクと、
該入出力ディスクに摩擦接触するパワーローラ内輪と、
該パワーローラ内輪を、回転支持軸を介して支持するトラニオンと、を備え、 前記パワーローラ内輪が、前記回転支持軸が挿入される内径穴であって前記入出力ディスクの回転軸側の一端部を塞いだ閉塞部を有するトロイダル型無段変速機の組立治具において、
該治具は、端部を互いに係止可能で、パワーローラ内輪の前記回転支持軸方向への移動を一時的に規制するように、パワーローラ内輪をトラニオンに対し抱持する帯状部材とし、
前記帯状部材は、パワーローラ内輪またはパワーローラを、トラニオンに対し抱持する部分を一つの抱持帯部とし、抱持帯部の両端部をそれぞれ二股形状による二股部とし、該二股部の両端部を2箇所で係止可能な部材であることを特徴とする。
【0017】
請求項9記載の発明では、同軸の回転軸に対し回動可能に対向配置された入出力ディスクと、
該入出力ディスクに挟圧され、駆動力を一方のディスクから他方のディスクへ伝達するパワーローラと、
該パワーローラを回転可能に支持するトラニオンと、を備え、
前記パワーローラは、入出力軸に摩擦接触するパワーローラ内輪と、前記入出力ディスクからパワーローラ内輪に入力される接触荷重を、スラスト軸受を介して受け止めるパワーローラ外輪とを有し、前記トラニオン傾転軸方向およびパワーローラ回転軸方向の双方に垂直な方向に平行移動可能なトロイダル型無段変速機の組立治具において、
該治具は、端部を互いに係止可能で、パワーローラがパワーローラ回転軸方向へ移動することを一時的に規制するように、パワーローラをトラニオンに対し抱持する帯状部材とし、
前記帯状部材は、パワーローラ内輪またはパワーローラを、トラニオンに対し抱持する部分を一つの抱持帯部とし、抱持帯部の両端部をそれぞれ二股形状による二股部とし、該二股部の両端部を2箇所で係止可能な部材であることを特徴とする。
【0021】
請求項10のトロイダル型無段変速機の組立方法では、
トラニオンシャフトにトラニオンの傾転を支持する軸受を仮設する工程と、
内径穴に閉塞部を有するパワーローラ内輪を、トラニオンに支持された回転支持軸に挿入する工程と、
前記パワーローラ内輪が前記回転支持軸方向に移動することを規制する板状部材をトラニオンシャフトに挿着する工程と、
前記軸受の一端面と前記板状部材のパワーローラ内輪側接触面を接触させた状態で、前記軸受の他端面と、前記板状部材のパワーローラ内輪側接触面との対向する面であるトラニオンの段差面との隙間を測定する工程と、
トロイダル型無段変速機ケース内に、トラニオンの傾転を支持するアッパーリンク、および入出力ディスクを配置する工程と、
該入出力ディスクにより形成されるトロイダルキャビティ空間内に、前記板状部材が挿着されたトラニオンを挿入し、該トラニオンの端部をアッパーリンクの開孔部に挿入する工程と、
その後に前記板状部材のみをトロイダル型無段変速機内から取り出す工程と、
上記隙間の大きさが適正でない場合には、前記仮設した軸受を取り外し、上記隙間が適正となるような軸受を挿着する工程と、
を有することを特徴とする。
【0022】
請求項11のトロイダル型無段変速機の組立方法では、
トラニオンシャフトにトラニオンの傾転を支持する軸受を仮設する工程と、
トラニオンの傾転軸およびパワーローラの回転軸の双方に垂直な方向に平行移動可能なパワーローラを、トラニオンに回転可能に係合させる工程と、
前記パワーローラが回転軸方向に移動することを規制する板状部材をトラニオンシャフトに挿着する工程と、
前記軸受の一端面と前記板状部材のパワーローラ側接触面を接触させた状態で、前記軸受の他端面と、前記板状部材のパワーローラ側接触面との対向する面であるトラニオンの段差面との隙間を測定する工程と、
トロイダル型無段変速機ケース内に、トラニオンの傾転を支持するアッパーリンク、および入出力ディスクを配置する工程と、
該入出力ディスクにより形成されるトロイダルキャビティ空間内に、前記板状部材が挿着されたトラニオンを挿入し、該トラニオンの端部をアッパーリンクの開孔部に挿入する工程と、
その後に前記板状部材のみをトロイダル型無段変速機内から取り出す工程と、
上記隙間の大きさが適正でない場合には、前記仮設した軸受を取り外し、上記隙間が適正となるような軸受を挿着する工程と、
を有することを特徴とする。
【0023】
【発明の作用および効果】
請求項1記載の発明にあっては、内径穴に閉塞部を有するパワーローラ内輪をトラニオンに支持された回転支持軸に挿入された組み付け状態で、パワーローラ内輪が回転支持軸から離脱可能な構造を持つトロイダル型無段変速機の組み立て時、まず、板状部材のシャフト挿入穴をトラニオンシャフトに挿着させ、板状部材のパワーローラ移動規制部によりトラニオンに対しパワーローラ内輪が、パワーローラ内輪の回転支持軸方向へ移動するのを規制することで、パワーローラ内輪をトラニオンから離脱させないようにする。
【0024】
すなわち、ユニットを組み付ける際、予め変速機ケースに配置された入出力ディスクによって形成されるトロイダルキャビティ空間内に、パワーローラ内輪が連結されたトラニオンを挿入し、かつ、予め変速機ケースに固定されたアッパーリンクの開孔部にトラニオンを配設する際、組立治具である板状部材により、パワーローラ内輪の落下が防止される。ユニット組み付け後は、板状部材をトラニオンシャフトの軸方向に沿って引き抜くことで、板状部材が取り外される。
【0025】
よって、パワーローラ内輪の入出力ディスク回転軸側の内径穴を塞いだパワーローラ支持構造を採用しても、アッパーリンクの開孔部にトラニオンを配設する際、パワーローラ内輪が落下することなく、トロイダル型無段変速機の組み立て性能を向上させることができる。
【0026】
請求項2記載の発明にあっては、組立治具の取り付けおよび取り外し方は請求項1に記載のものと同じであるため省略するが、パワーローラがトラニオン傾転軸およびパワーローラ回転軸の双方に対し垂直な方向に平行移動可能なパワーローラ支持構造を採用しても、アッパーリンクの開孔部にトラニオンを配設する際、パワーローラが落下することなく、トロイダル型無段変速機の組み立て性能を向上させることができる。
【0027】
請求項3記載の発明にあっては、板状部材を弾性体にて形成したので、組立時の取り扱いが容易であり、治具によりトロイダル型無段変速機の部品に傷を付けることもなくなる。
【0028】
請求項4記載の発明にあっては、板状部材が、シャフト挿入穴の一部に切欠を有する部材とされる。
【0029】
例えば、途中に縮径部を有するトラニオンシャフトの場合、縮径部の位置において、板状部材の切欠を軸直交方向から差し込み、板状部材を少し軸方向に移動させることで、パワーローラ内輪またはパワーローラをトラニオンから離脱させないように板状部材を取り付けることができる。また、板状部材の取り外しの際も、板状部材を少し軸方向に移動させ、トラニオンシャフトの縮径部の位置において、板状部材の切欠を軸直交方向に引き抜くことで、板状部材を取り外すことができる。
【0030】
また、例えば、板状部材にてパワーローラ内輪またはパワーローラを押さえ、サーボピストンまで組み込んだ状態で変速機ケースに組み込み、その後、板状部材を取り外す場合、切欠があることで、ナットを緩めるだけでサーボピストンを抜かなくても、板状部材を取り外すことが可能になる。
【0031】
よって、板状部材の取り付け取り外しに際し、トラニオンシャフトの全長にわたる軸方向移動を要することなく、簡単な差し込みや引き抜き操作により板状部材の取り付け取り外しを行うことができる。
【0032】
請求項5記載の発明にあっては、板状部材が、トラニオンシャフトの軸周りに回転するのを規制する回転規制手段を有する部材とされる。
【0033】
よって、板状部材をトラニオンシャフトに挿着させただけである場合、板状部材が多少回転してしまうことがあるが、トラニオンシャフトの軸周りの回転を規制することで、確実にパワーローラ内輪またはパワーローラをトラニオンに対し保持させることができる。
【0034】
請求項6記載の発明にあっては、板状部材が、シャフト挿入穴が形成された一端部を、トラニオンシャフト端部の雄ねじ部まで軸方向に延長した筒状部とし、雄ねじ部にナットを螺合することにより固定される部材とされる。
【0035】
よって、板状部材のシャフト挿入穴をトラニオンシャフトに挿着させ、トラニオンシャフト端部の雄ねじ部において、ナットを螺合することにより、確実にパワーローラ内輪またはパワーローラをトラニオンに対し保持させることができる。
【0036】
請求項7記載の発明にあっては、板状部材が、シャフト挿入穴が形成された一端部のパワーローラ側接触面を、トラニオンの傾転を支持する軸受が仮設されている段差面に対し、接触させた状態で嵌合固定される部材とされる。
【0037】
すなわち、板状部材を、サーボピストン等で挟んで嵌合固定し、仮設された軸受の一端面と板状部材のパワーローラ側接触面を接触させた状態とした後、軸受の他端面とトラニオンの段差面との隙間を測定し、この隙間が適正な値となるような厚さの軸受を選択し、パワーローラとトラニオンを変速機ケースに組み込んだ後、軸受を適正なものに交換することができる。
【0038】
よって、板状部材を、組立治具としての用途以外に、軸受の隙間を適正なものにするための軸受隙間管理治具として利用することができる。
【0039】
請求項8記載の発明にあっては、内径穴に閉塞部を有するパワーローラ内輪をトラニオンに支持された回転支持軸に挿入された組み付け状態で、パワーローラ内輪が回転支持軸から離脱可能な構造を持つトロイダル型無段変速機の組み立て時、まず、帯状部材によりパワーローラ内輪をトラニオンに抱持し、帯状部材の端部を互いに係止することで、パワーローラ内輪をトラニオンから離脱させないようにする。
【0040】
すなわち、ユニットを組み付ける際、予め変速機ケースに配置された入出力ディスクによって形成されるトロイダルキャビティ空間内に、パワーローラ内輪が連結されたトラニオンを挿入し、かつ、予め変速機ケースに固定されたアッパーリンクの開孔部にトラニオンを配設する際、組立治具である帯状部材により、パワーローラ内輪の落下が防止される。ユニット組み付け後は、帯状部材の係止されている端部の係止を解除することで、帯状部材が取り外される。
【0041】
よって、パワーローラ内輪の入出力ディスク回転軸側の内径穴を塞いだパワーローラ支持構造を採用しても、アッパーリンクの開孔部にトラニオンを配設する際、パワーローラ内輪が落下することなく、トロイダル型無段変速機の組み立て性能を向上させることができる。
加えて、帯状部材が、パワーローラ内輪またはパワーローラをトラニオンに抱持する部分を一つの抱持帯部とし、抱持帯部の両端部をそれぞれ二股形状による二股部とし、該二股部の両端部を2箇所で係止可能な部材とされる。
よって、組み立て性能を向上させる帯状部材として、ただ一つの部品点数による部材とすることができる。
【0042】
請求項9記載の発明にあっては、組立治具の取り付けおよび取り外し方は請求項8に記載のものと同じであるため省略するが、パワーローラがトラニオン傾転軸およびパワーローラ回転軸の双方に対し垂直な方向に平行移動可能なパワーローラ支持構造を採用しても、アッパーリンクの開孔部にトラニオンを配設する際、パワーローラ内輪が落下することなく、トロイダル型無段変速機の組み立て性能を向上させることができる。
加えて、帯状部材が、パワーローラ内輪またはパワーローラをトラニオンに抱持する部分を一つの抱持帯部とし、抱持帯部の両端部をそれぞれ二股形状による二股部とし、該二股部の両端部を2箇所で係止可能な部材とされる。
よって、組み立て性能を向上させる帯状部材として、ただ一つの部品点数による部材とすることができる。
【0047】
請求項10記載の発明にあっては、パワーローラ内輪が入出力ディスクの回転軸側の内径穴を塞いだ閉塞部を有するパワーローラ支持構造において、板状部材を、トラニオンシャフト挿入穴が形成された一端部のパワーローラ内輪側接触面と、トラニオンの傾転を支持する下側軸受が仮設されている段差面とを接触させた状態で嵌合固定し、前記軸受の他端面とトラニオンの段差面との隙間を測定し、この隙間が適正な値となるような軸受を選択し、パワーローラとトラニオンを変速機ケースに組み込んだ後、軸受を適正なものに交換するため、前記板状部材を組立治具として利用するばかりでなく軸受隙間治具としても利用できる。
【0048】
請求項11記載の発明にあっては、トラニオン傾転軸およびパワーローラ回転軸の双方に対し垂直な方向に平行移動可能なパワーローラ支持構造において、板状部材を、トラニオンシャフト挿入穴が形成された一端部のパワーローラ側接触面と、トラニオンの傾転を支持する下側軸受が仮設されている段差面とを接触させた状態で嵌合固定し、前記軸受の他端面とトラニオンの段差面との隙間を測定し、この隙間が適正な値となるような軸受を選択し、パワーローラとトラニオンを変速機ケースに組み込んだ後、軸受を適正なものに交換するため、前記板状部材を組立治具として利用するばかりでなく軸受隙間治具としても利用できる。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のトロイダル型無段変速機の組立治具及び組立方法を、図面に示す第1実施例〜第6実施例に基づいて説明する。
【0050】
(第1実施例)
第1実施例は請求項1,2,3に記載の発明に対応するトロイダル型無段変速機の組立治具である。まず、構成を説明する。
【0051】
[トロイダル型無段変速機の全体構成]
図1は第1実施例のトロイダル型無段変速機を示す全体構成図で、10はトロイダル型無段変速機を示し、図外のエンジンからの回転駆動力がトルクコンバータ12を介して入力される。トルクコンバータ12は、ポンプインペラ12a,タービンランナ12b,ステータ12c,ロックアップクラッチ12d,アプライ側油室12e,及びリリース側油室12f等からなり、その中心部をインプットシャフト14が貫通している。
【0052】
前記インプットシャフト14は、前後進切換機構36と連結され、該機構36は、遊星歯車機構42,前進用クラッチ44及び後進用ブレーキ46などを備える。遊星歯車機構42は、ダブルピニオンを支持するピニオンキャリヤ42aとダブルピニオンの夫々と噛合するリングギヤ42b,サンギヤ42cを有してなる。前記遊星歯車機構42のピニオンキャリヤ42aはトルク伝達軸16に連結され、該トルク伝達軸16には、第一無段変速機構18及び第二無段変速機構20が変速機ケース22内の下流側にタンデム配置される。尚、符号64で示すベースに、コントロールバルブ系のボディを配置する。
【0053】
前記第一無段変速機構18は、対向面がトロイド曲面に形成される一対の入力ディスク18a及び出力ディスク18bと、これら入出力ディスク18a,18bの対向面間に挟圧配置されると共にトルク伝達軸16に関し対称配置される一対のパワーローラ18c,18dと、これらパワーローラ18c,18dをそれぞれ傾転可能に支持する支持部材及び油圧アクチュエータとしてのサーボピストン(図2)を備える。第二無段変速機構20も同様、対向面がトロイド曲面に形成される一対の入力ディスク20a及び出力ディスク20bと、一対のパワーローラ20c,20dと、その支持部材及びサーボピストン(図2)を備える。
【0054】
前記両無段変速機構18,20の出力ディスク18b,20bは、トルク伝達軸16上においてが互いに逆向きに配置されている。また、第一無段変速機構18の入力ディスク18aは、トルクコンバータ12を経た入力トルクに応じた押圧力を発生するローディングカム装置34によって図中軸方向右側に向かって押圧されている。前記ローディングカム装置34は、ローディングカム34aを有し、スライドベアリング38を介しトルク伝達軸16に支持される。第二無段変速機構20の入力ディスク20aは、皿ばね40により図中軸方向左側に向かって押圧付勢されている。各入力ディスク18a,20aは、ボールスプライン24,26を介して伝達軸16に回転可能かつ軸方向に移動可能に支持される。
【0055】
上記機構において、各パワーローラ18c,18d,20c,20dは、後述する作動により変速比に応じた傾転角が得られるようにそれぞれ傾転され、入力ディスク18a,20aの入力回転を無段階(連続的)に変速して出力ディスク18b,20bに伝達する。
【0056】
出力ディスク18b,20bは、トルク伝達軸16上に相対回転可能に嵌合された出力ギヤ28とスプライン結合され、伝達トルクは該出力ギヤ28を介し、カウンタ軸30に結合したギヤ30aに伝達され、これらギヤ28,30aはトルク伝達機構32を構成する。また、カウンタ軸30に設けたギヤ52と、出力軸50上に設けたギヤ56と、これらにそれぞれ噛合するアイドラギヤ54とよりなる伝達機構48を設け、出力軸50はこれをプロペラシャフト60に連結する。
【0057】
[トロイダル型無段変速機の変速制御系構成]
上記パワーローラ18c,18d,20c,20dを変速比に応じた傾転角が得られるようにそれぞれ傾転させる変速制御系について、図2に示す概略図により説明する。
【0058】
まず、各パワーローラ18c,18d,20c,20dは、トラニオン17a,17b,27a,27bの一端に支持されていて、パワーローラ回転軸線15a,15b,25a,25bを中心として回転自在であり、ディスク回転軸方向である前後方向に平行移動可能に支持される。このトラニオン17a,17b,27a,27bの他端部には、トラニオン17a,17b,27a,27bを上下方向に移動させて各パワーローラ18c,18d,20c,20dを傾転させる油圧アクチュエータとしてのサーボピストン70a,70b,72a,72bが設けられている。
【0059】
前記サーボピストン70a,70b,72a,72bを作動制御する油圧制御系として、ハイ側油室に接続されるハイ側油路74と、ロー側油室に接続されるロー側油路76と、ハイ側油路74を接続するポート78aとロー側油路76を接続するポート78bを有する変速制御弁78とが設けられている。この変速制御弁78のライン圧ポート78cには、オイルポンプ80及びリリーフ弁82を有する油圧源からのライン圧が供給される。
【0060】
前記変速制御弁78の変速スプール78dは、トラニオン17aの軸方向及び傾転方向を検知し、変速制御弁78にフィードバックするレバー84及びプリセスカム86と連動する。前記変速制御弁78の変速スリーブ78eは、ステップモータ88により軸方向に変位するように駆動される。
【0061】
前記ステップモータ88を駆動制御する電子制御系として、CVTコントローラ110が設けられ、このCVTコントローラ110には、スロットル開度センサ112、エンジン回転センサ114、入力軸回転センサ116、出力軸回転センサ(車速センサ)118等からの入力情報が取り込まれる。
【0062】
[パワーローラ支持構造]
上記各パワーローラ18c,18d,20c,20dから代表として選んだパワーローラ18cの支持構造について、図3によりその構成を説明する。尚、他のパワーローラ18d,20c,20dについても同様の構造を採用する。
【0063】
前記パワーローラ18cは、入出力ディスク18a,18bにトラクションオイルを介して接触する内輪93と、該内輪93を回転可能に支持する軸部を有する外輪94と、前記内輪93と外輪94との間に介装された玉軸受92とを有して構成され、内輪93はパワーローラ回転軸15aを中心として回転自在に外輪94に対し支持されている。
【0064】
前記トラニオン17aには、パワーローラ収納部91が凹設され、該パワーローラ収納部91のパワーローラ回転軸15aから上下方向に離れた位置に共通ころ軸受96c,96cが配置され、この共通ころ軸受96c,96cによりパワーローラ18cの外輪94は、入出力ディスク18a,18bの回転軸方向である前後方向に沿って平行移動可能に支持されている。すなわち、ピボットシャフトレスのパワーローラ支持構造を採用していて、パワーローラ18cをトラニオン17aに組み付けた状態で、パワーローラ回転軸15aの軸線方向にパワーローラ18cがトラニオン17aから離脱可能な構造となっている。
【0065】
前記トラニオン17aの上下位置の軸部には、アッパーリンク31との支持部に上側軸受33と、ロアーリンク35との支持部に下側軸受37が設けられ、両軸受33,37により、トラニオン17aは、パワーローラ回転軸線15aと直交する傾転軸19aに沿う上限方向に変位可能であると共に、傾転軸19aの周りに傾転可能に支持されている。
【0066】
前記トラニオン17aの下側軸受37の下部には、二面幅を持つ突起部39に対し、各トラニオン17a,17b,27a,27bの傾転を同期させるワイヤを捲回するワイヤプーリ41が取り付けられている。また、トラニオン17aの下部を貫通して傾転軸19aを軸心とするトラニオンシャフト43が圧入固定されている。このトラニオンシャフト43の端部には雄ねじ部43aが形成され、トラニオンシャフト43の途中には縮径部43bが形成されている。
【0067】
なお、トラニオン17aには、軸受部の潤滑のため、潤滑油供給油路98が設けられ、その開口端とパワーローラ18cの外輪94に形成された軸心油路99とは、連通管102により連通されている。
【0068】
[組立治具構造]
前記トロイダル型無段変速機10の組み立て時、パワーローラ18cをトラニオン17aから離脱させないために用いる第1実施例の組立治具は、図4に示す板状弾性部材A1とされる。
【0069】
前記板状弾性部材A1は、図4に示すように、樹脂・プラスチック等の弾性材料を素材とするL字形状の板部材で、前記トラニオンシャフト43に挿着させるシャフト挿入穴1aを一端部1bに有し、前記トラニオン17aに対しパワーローラ18cがパワーローラ回転軸方向へ移動することを規制するパワーローラ移動規制部1cを他端部1dに有する。
【0070】
次に、作用を説明する。
【0071】
[変速比制御作用]
トロイダル型無段変速機10は、パワーローラ18c,18d,20c,20dを傾転させることによって変速比を変える。つまり、CVTコントローラ90からの目標変速比が得られる駆動指令によりステップモータ88を回転させることによって変速スリーブ78eが変位すると、サーボピストン70a,70b,72a,72bの一方のサーボピストン室に作動油が導かれ、他方のサーボピストン室から作動油が排出され、トラニオン17a,17b,27a,27bが上下方向に変位する。このトラニオン17a,17b,27a,27bの上下方向変位により、パワーローラ18c,18d,20c,20dの回転中心がディスク18a,18b,20a,20bの回転中心に対してオフセットし、このオフセットによってパワーローラ18c,18d,20c,20dに傾転力が発生して傾転角が変化する。
【0072】
この傾転運動およびオフセットは、プリセスカム86及びレバー84を介して変速スプール78dに伝達され、ステップモータ88により変位する変速スリーブ78eとの釣り合い位置で静止するフィードバック制御動作により、パワーローラ18c,18d,20c,20dの傾転角が、目標変速比が得られる傾転角とされる。
【0073】
[パワーローラの荷重支持とスライド作用]
動力伝達時、挟圧に伴い入出力ディスク18a,18bからパワーローラ18c,18dの内輪93に入力される接触荷重は、玉軸受92を介して外輪94により受け止められる。そして、外輪94とパワーローラ収納部91との間であって、パワーローラ回転軸15aから離れた上下位置に傾斜配置された一対の共通ころ軸受96c,96cを介して、パワーローラ18c,18d,20c,20dの左右方向に作用する押付力と、パワーローラ18c,18d,20c,20dの上下方向に作用する動力伝達力がトラニオン17a,17b,27a,27bにより共に支えられる。
【0074】
そして、変速によるパワーローラ18c,18d,20c,20dの傾転角の変化により、入力ディスク18a,20aが前後方向に移動し、出力ディスク18b,20bとの間隔を変えるが、これに追従してパワーローラ18c,18d,20c,20dをトラニオン17a,17b,27a,27bに対し前後方向に移動させる必要がある。このパワーローラ18c,18d,20c,20dを前後方向へ移動させる荷重が作用すると、傾斜配置された一対の共通ころ軸受96c,96cのころが回転することによる低い転がり抵抗により、荷重方向に従って前後方向へパワーローラ18c,18d,20c,20dが移動し、円滑なパワーローラ18c,18d,20c,20dのスライド運動が確保される。
【0075】
[組み立て作用]
各パワーローラ18c,18d,20c,20dから代表として選んだパワーローラ18cの組み立て作用について説明する。尚、他のパワーローラ18d,20c,20dについても同様の組み立て方法を採用する。
【0076】
上記のように、パワーローラ18cをトラニオン17aに組み付けた状態で、パワーローラ回転軸15aの軸線方向にパワーローラ18cがトラニオン17aから離脱可能な構造を持つトロイダル型無段変速機10の組み立て時、図5に示すように、まず、板状弾性部材A1のシャフト挿入穴1aをトラニオンシャフト43に挿着させ、板状弾性部材A1のパワーローラ移動規制部1cによりトラニオン17aに対しパワーローラ18cがパワーローラ回転軸15aの軸線方向へ移動することを規制することで、パワーローラ18cをトラニオン17aから離脱させないようにする。
【0077】
そして、ユニットを組み付ける際、予め変速機ケース22に配置された入出力ディスク18a,18bによって形成されるトロイダルキャビティ空間内に、パワーローラ18cが連結されたトラニオン17aを挿入し、かつ、図6に示すように、予め変速機ケース22に固定されたアッパーリンク31の開孔部31aにトラニオン17aを配設する際、組立治具である板状弾性部材A1により、パワーローラ18cが図6の矢印方向に落下するのが防止される。
【0078】
ユニット組み付け後は、板状弾性部材A1をトラニオンシャフト43の軸方向に沿って引き抜くことで、板状弾性部材A1が取り外される。
【0080】
次に、効果を説明する。
第1実施例のトロイダル型無段変速機10の組立治具にあっては、トラニオンシャフト43に挿着させるシャフト挿入穴1aを一端部1bに有し、トラニオン17aに対しパワーローラ18cが、パワーローラ回転軸方向へ移動することを規制するパワーローラ移動規制部1cを他端部1dに有する板状弾性部材A1としたため、パワーローラ18cがトラニオン17aから離脱可能なパワーローラ支持構造を採用しても、アッパーリンク31の開孔部31aにトラニオン17aを配設する際、パワーローラ18cが落下することなく、トロイダル型無段変速機10の組み立て性能を向上させることができる。
【0081】
(第2実施例)
第2実施例は請求項1,2,3,4に記載の発明に対応するトロイダル型無段変速機の組立治具である。まず、構成を説明する。ここで、トロイダル型無段変速機の全体構成、変速制御系構成及びパワーローラ支持構造については第1実施例と同様であるので図示並びに説明を省略する。
【0082】
[組立治具構造]
前記トロイダル型無段変速機10の組み立て時、パワーローラ18cをトラニオン17aから離脱させないために用いる第2実施例の組立治具は、図7に示す板状弾性部材A2とされる。
【0083】
前記板状弾性部材A2は、図7に示すように、樹脂・プラスチック等の弾性材料を素材とするL字形状の板部材で、前記トラニオンシャフト43に挿着させるシャフト挿入穴1aを一端部1bに有し、前記トラニオン17aに対しパワーローラ18cが、パワーローラ回転軸方向へ移動することを規制するパワーローラ移動規制部1cを他端部1dに有すると共に、前記シャフト挿入穴1aの一部に切欠1eを有する部材とされている。なお、この切欠1eは、トラニオンシャフト43の縮径部43bの径より大きく、シャフト挿入穴1aの穴径より小さい幅を持つ。
【0084】
次に、作用を説明する。
ここで、変速比制御作用及びパワーローラの荷重支持とスライド作用については第1実施例と同様であるので説明を省略する。
【0085】
[組み立て作用]
上記のように、パワーローラ18cをトラニオン17aに組み付けた状態で、パワーローラ回転軸15aの軸線方向にパワーローラ18cがトラニオン17aから離脱可能な構造を持つトロイダル型無段変速機10の組み立て時、図8に示すように、まず、トラニオンシャフト43の縮径部43bの位置において、板状弾性部材A2の切欠1eを軸直交方向から差し込み、板状弾性部材A2を少し軸方向に移動させることで、パワーローラ18cをトラニオン17aから離脱させないように板状弾性部材A2を取り付けることができる。
【0086】
そして、ユニットを組み付ける際の作用は、第1実施例と同様に、予め変速機ケース22に配置された入出力ディスク18a,18bによって形成されるトロイダルキャビティ空間内に、パワーローラ18cが連結されたトラニオン17aを挿入することで行われ、予め変速機ケース22に固定されたアッパーリンク31の開孔部31aにトラニオン17aを配設する際、組立治具である板状弾性部材A2により、パワーローラ18cの落下が防止される。
【0087】
ユニット組み付け後は、板状弾性部材A2を取り外すが、この際、板状弾性部材A2を少し軸方向に移動させ、図8の矢印に示すように、トラニオンシャフト43の縮径部43bの位置において、板状弾性部材A2の切欠1eを軸直交方向に引き抜くことで、板状弾性部材A2を取り外すことができる。尚、縮径部を有さないようなトラニオンシャフトの場合であっても、板状弾性部材が樹脂やプラスチック等でできているため、切欠1eを一時的に変形させることで、板状弾性部材の取り付け取り外しが可能である。
【0088】
また、例えば、図13に示すように、板状弾性部材A2にてパワーローラ18cを押さえ、サーボピストン45まで組み込んだ状態で変速機ケース22に組み込み、その後、板状弾性部材A2を取り外す場合、切欠1eがあることで、ナット47を緩めるだけでサーボピストン45を抜かなくても、板状弾性部材A2を取り外すことが可能になる。このとき、切欠1eの幅は、突起39の二面幅より少し広い幅に設定される。
【0090】
次に、効果を説明する。
第2実施例のトロイダル型無段変速機10の組立治具にあっては、トラニオンシャフト43に挿着させるシャフト挿入穴1aを一端部1bに有し、トラニオン17aに対しパワーローラ18cが、パワーローラ回転軸方向へ移動することを規制するパワーローラ移動規制部1cを他端部1dに有すると共に、シャフト挿入穴1aの一部に切欠1eを有する板状弾性部材A2としたため、第1実施例の組み立て性能の向上効果に加え、板状弾性部材A2の取り付け取り外しに際し、トラニオンシャフト43の全長にわたる軸方向移動を要することなく、簡単な差し込みや引き抜き操作により板状弾性部材A2の取り付け取り外しを行うことができる。
【0091】
(第3実施例)
第3実施例は請求項1,2,3,5に記載の発明に対応するトロイダル型無段変速機の組立治具である。まず、構成を説明する。ここで、トロイダル型無段変速機の全体構成、変速制御系構成及びパワーローラ支持構造については第1実施例と同様であるので図示並びに説明を省略する。
【0092】
[組立治具構造]
前記トロイダル型無段変速機10の組み立て時、パワーローラ18cをトラニオン17aから離脱させないために用いる第3実施例の組立治具は、図9に示す板状弾性部材A3とされる。
【0093】
前記板状弾性部材A3は、図9に示すように、樹脂・プラスチック等の弾性材料を素材とするL字形状の板部材で、前記トラニオンシャフト43に挿着させるシャフト挿入穴1aを一端部1bに有し、前記トラニオン17aに対しパワーローラ18cが、パワーローラ回転軸方向へ移動することを規制するパワーローラ移動規制部1cを他端部1dに有すると共に、前記シャフト挿入穴1aに、トラニオン17aの突起部39の二面幅に嵌合する回転規制面1f,1f(回転規制手段に相当)を有する部材とされている。
【0094】
次に、作用を説明する。
ここで、変速比制御作用及びパワーローラの荷重支持とスライド作用については第1実施例と同様であるので説明を省略する。
【0095】
[組み立て作用]
上記のように、パワーローラ18cをトラニオン17aに組み付けた状態で、パワーローラ回転軸15aの軸線方向にパワーローラ18cがトラニオン17aから離脱可能な構造を持つトロイダル型無段変速機10の組み立て時、図10に示すように、まず、板状弾性部材A3のシャフト挿入穴1aをトラニオンシャフト43に挿着させ、トラニオン17aの突起部39に回転規制面1f,1fを有するシャフト挿入穴1aを嵌合し、板状弾性部材A3のパワーローラ移動規制部1cによりトラニオン17aに対しパワーローラ18cが、パワーローラ回転軸方向へ移動することを規制することで、パワーローラ18cをトラニオン17aから離脱させないようにする。
【0096】
そして、ユニットを組み付ける際の作用は、第1実施例と同様に、予め変速機ケース22に配置された入出力ディスク18a,18bによって形成されるトロイダルキャビティ空間内に、パワーローラ18cが連結されたトラニオン17aを挿入することで行われ、予め変速機ケース22に固定されたアッパーリンク31の開孔部31aにトラニオン17aを配設する際、組立治具である板状弾性部材A3により、パワーローラ18cの落下が防止される。
【0097】
ユニット組み付け後は、板状弾性部材A3の回転規制面1f,1fを有するシャフト挿入穴1aが突起部39に嵌合しているのを外し、トラニオンシャフト43の軸方向に沿って引き抜くことで、板状弾性部材A3が取り外される。
【0099】
次に、効果を説明する。
第3実施例のトロイダル型無段変速機10の組立治具にあっては、トラニオンシャフト43に挿着させるシャフト挿入穴1aを一端部1bに有し、前記トラニオン17aに対しパワーローラ18cが、パワーローラ回転軸方向へ移動することを規制するパワーローラ移動規制部1cを他端部1dに有すると共に、シャフト挿入穴1aに、トラニオン17aの突起部39の二面幅に嵌合する回転規制面1f,1fを有する板状弾性部材A3としたため、第1実施例のように板状弾性部材A1をトラニオンシャフト43に挿着させただけである場合、板状弾性部材A1が多少回転してしまうことがあるが、トラニオンシャフト43の軸周りの回転を規制することで、確実にパワーローラ18cをトラニオン17aに対し保持させることができる。
【0100】
また、トラニオン17aに予め形成されている二面幅を有する突起部39を利用した回転規制構造としたため、シャフト挿入穴の形状を変更するだけの簡単な変更により、板状弾性部材A3がトラニオンシャフト43の軸周りに回転するのを規制することができる。
【0101】
(第4実施例)
第4実施例は請求項1,2,3,6に記載の発明に対応するトロイダル型無段変速機の組立治具である。まず、構成を説明する。ここで、トロイダル型無段変速機の全体構成、変速制御系構成及びパワーローラ支持構造については第1実施例と同様であるので図示並びに説明を省略する。
【0102】
[組立治具構造]
前記トロイダル型無段変速機10の組み立て時、パワーローラ18cをトラニオン17aから離脱させないために用いる第4実施例の組立治具は、図11に示す板状弾性部材A4とされる。
【0103】
前記板状弾性部材A4は、図11に示すように、樹脂・プラスチック等の弾性材料を素材とする部材で、前記トラニオンシャフト43に挿着させるシャフト挿入穴1aが形成された一端部をトラニオンシャフト端部の雄ねじ部43aまで軸方向に延長した筒状部1gとし、前記トラニオン17aに対しパワーローラ18cが、パワーローラ回転軸方向へ移動することを規制するパワーローラ移動規制部1cを他端部1dに有し、トラニオンシャフト43の雄ねじ部43aにナット47を螺合することにより固定される部材とされている。
【0104】
次に、作用を説明する。
ここで、変速比制御作用及びパワーローラの荷重支持とスライド作用については第1実施例と同様であるので説明を省略する。
【0105】
[組み立て作用]
上記のように、パワーローラ18cをトラニオン17aに組み付けた状態で、パワーローラ回転軸15aの軸線方向にパワーローラ18cがトラニオン17aから離脱可能な構造を持つトロイダル型無段変速機10の組み立て時、図12に示すように、まず、板状弾性部材A4の筒状部1gに形成されたシャフト挿入穴1aをトラニオンシャフト43に挿着させ、板状弾性部材A4のパワーローラ移動規制部1cによりトラニオン17aに対しパワーローラ18cが、パワーローラ回転軸方向へ移動することを規制した状態で、トラニオンシャフト43の雄ねじ部43aにナット47を螺合することにより板状弾性部材A4を固定し、パワーローラ18cをトラニオン17aから離脱させないようにする。
【0106】
そして、ユニットを組み付ける際の作用は、第1実施例と同様に、予め変速機ケース22に配置された入出力ディスク18a,18bによって形成されるトロイダルキャビティ空間内に、パワーローラ18cが連結されたトラニオン17aを挿入することで行われ、予め変速機ケース22に固定されたアッパーリンク31の開孔部31aにトラニオン17aを配設する際、組立治具である板状弾性部材A4により、パワーローラ18cの落下が防止される。
【0107】
ユニット組み付け後は、トラニオンシャフト43の雄ねじ部43aに螺合させているナット47を外し、トラニオンシャフト43の軸方向に沿って引き抜くことで、板状弾性部材A4が取り外される。
【0109】
次に、効果を説明する。
第4実施例のトロイダル型無段変速機10の組立治具にあっては、トラニオンシャフト43に挿着させるシャフト挿入穴1aが形成された一端部をトラニオンシャフト端部の雄ねじ部43aまで軸方向に延長した筒状部1gとし、トラニオン17aに対しパワーローラ18cが、パワーローラ回転軸方向へ移動することを規制するパワーローラ移動規制部1cを他端部1dに有し、トラニオンシャフト43の雄ねじ部43aにナット47を螺合することにより固定される板状弾性部材A4としたため、第1実施例の組み立て性能の向上効果に加え、板状弾性部材A4をナット47を螺合して固定することにより、確実にパワーローラ18cをトラニオン17aに対し保持させることができる。
【0110】
(第5実施例)
第5実施例は請求項1,2,3,4,7に記載の発明に対応するトロイダル型無段変速機の組立治具である。まず、構成を説明する。ここで、トロイダル型無段変速機の全体構成、変速制御系構成及びパワーローラ支持構造については第1実施例と同様であるので図示並びに説明を省略する。
【0111】
[組立治具構造]
前記トロイダル型無段変速機10の組み立て時、パワーローラ18cをトラニオン17aから離脱させないために用いる第5実施例の組立治具は、図13に示す板状弾性部材A5とされる。
【0112】
前記板状弾性部材A5は、図13に示すように、樹脂・プラスチック等の弾性材料を素材とするL字形状の板部材で、図7に示す板状弾性部材A2と同様に、前記トラニオンシャフト43に挿着させるシャフト挿入穴1aを一端部1bに有し、前記トラニオン17aに対しパワーローラ18cが、パワーローラ回転軸方向へ移動することを規制するパワーローラ移動規制部1cを他端部1dに有すると共に、前記シャフト挿入穴1aの一部に切欠1eを有する部材であって、シャフト挿入穴1aが形成された一端部1bのパワーローラ側接触面1hを、トラニオン17aの傾転を支持する下側軸受37が仮設されている段差面39aに対し、接触させた状態でサーボピストン45及びナット47により嵌合固定される部材とされている。
【0113】
次に、作用を説明する。
ここで、変速比制御作用及びパワーローラの荷重支持とスライド作用については第1実施例と同様であるので説明を省略する。
【0114】
[組み立て作用]
上記のように、パワーローラ18cをトラニオン17aに組み付けた状態で、パワーローラ回転軸15aの軸線方向にパワーローラ18cがトラニオン17aから離脱可能な構造を持つトロイダル型無段変速機10の組み立て時、図13に示すように、まず、下側軸受37を仮設しておき、板状弾性部材A5に形成されたシャフト挿入穴1aをトラニオンシャフト43に挿着させ、板状弾性部材A4のパワーローラ移動規制部1cによりトラニオン17aに対しパワーローラ18cが、パワーローラ回転軸方向へ移動することを規制した状態でサーボピストン45を挿着し、トラニオンシャフト43の雄ねじ部43aにナット47を螺合することにより板状弾性部材A5を固定し、パワーローラ18cをトラニオン17aから離脱させないようにする。
【0115】
そして、ユニットを組み付ける際の作用は、第1実施例と同様に、予め変速機ケース22に配置された入出力ディスク18a,18bによって形成されるトロイダルキャビティ空間内に、パワーローラ18cが連結されたトラニオン17aを挿入することで行われ、予め変速機ケース22に固定されたアッパーリンク31の開孔部31aにトラニオン17aを配設する際、組立治具である板状弾性部材A5により、パワーローラ18cの落下が防止される。
【0116】
ユニット組み付け後は、トラニオンシャフト43の雄ねじ部43aに螺合させているナット47を緩め、板状弾性部材A5をトラニオンシャフト43の軸直交方向に引き抜くことで、切欠1eを有するシャフト挿入穴1aが二面幅を有する突起部39から外れて板状弾性部材A5が取り外される。
【0117】
ここで、板状弾性部材A5を、サーボピストン45で挟んで嵌合固定した状態で、図13の拡大断面図に示すように、仮設された下側軸受37の一端面と板状弾性部材A5のパワーローラ側接触面1hを接触させた状態とした後、下側軸受37の他端面とトラニオン17aの段差面39bとの隙間Lを測定し、この隙間Lが適正な値となるような厚さの下側軸受37を選択し、パワーローラ18cとトラニオン17aを変速機ケース22に組み込んだ後、下側軸受37を適正なものに交換する。
【0118】
尚、本組み立て方法は、請求項10及び請求項11に記載の発明に対応する組み立て方法を示すものである。
【0119】
次に、効果を説明する。
第5実施例のトロイダル型無段変速機10の組立治具にあっては、シャフト挿入穴1aが形成された一端部1bのパワーローラ側接触面1hを、トラニオン17aの傾転を支持する下側軸受37が仮設されている段差面39aに対し、接触させた状態でサーボピストン45及びナット47により嵌合固定される板状弾性部材A5としたため、第1実施例の組み立て性能の向上効果に加え、板状弾性部材A5を、組立治具としての用途以外に、下側軸受37の隙間Lを適正なものにするための軸受隙間管理治具として利用することができる。
【0120】
(第1参考例)
第1参考例の構成を説明する。ここで、トロイダル型無段変速機の全体構成、変速制御系構成及びパワーローラ支持構造については第1実施例と同様であるので図示並びに説明を省略する。
【0121】
[組立治具構造]
前記トロイダル型無段変速機10の組み立て時、パワーローラ18cをトラニオン17aから離脱させないために用いる第1参考例の組立治具は、図14に示す帯状部材B1とされる。
【0122】
前記帯状部材B1は、図14に示すように、伸縮性のある布やゴム等を素材とする部材で、ベルクロテープやスナップボタン等の再使用可能な固定により端部2a,2bを互いに係止可能で、ユニット組み付け時に周辺部品に干渉することが無く、トラニオン17aに配設後は取り外しが簡単なように、パワーローラ18cをトラニオン17aに抱持する部材とされ、この帯状部材B1を二本一組として組立治具とされている。
【0123】
次に、作用を説明する。
ここで、変速比制御作用及びパワーローラの荷重支持とスライド作用については第1実施例と同様であるので説明を省略する。
【0124】
[組み立て作用]
上記のように、パワーローラ18cをトラニオン17aに組み付けた状態で、パワーローラ回転軸15aの軸線方向にパワーローラ18cがトラニオン17aから離脱可能な構造を持つトロイダル型無段変速機10の組み立て時、図15に示すように、まず、帯状部材B1,B1によりパワーローラ18cをトラニオン17aに抱持し、帯状部材B1,B1のそれぞれの端部2a,2bを互いに係止することで、パワーローラ18cをトラニオン17aから離脱させないようにする。
【0125】
そして、ユニットを組み付ける際の作用は、第1実施例と同様に、予め変速機ケース22に配置された入出力ディスク18a,18bによって形成されるトロイダルキャビティ空間内に、パワーローラ18cが連結されたトラニオン17aを挿入することで行われ、予め変速機ケース22に固定されたアッパーリンク31の開孔部31aにトラニオン17aを配設する際、組立治具である帯状部材B1,B1によるパワーローラ18cの抱持により、パワーローラ18cの落下が防止される。
【0126】
ユニット組み付け後は、帯状部材B1,B1のそれぞれの端部2a,2bの係止を解除し、帯状部材B1,B1を引き抜くことで、帯状部材B1,B1が取り外される。
【0128】
次に、効果を説明する。
第1参考例のトロイダル型無段変速機10の組立治具にあっては、端部2a,2bを互いに係止可能で、パワーローラ18cをトラニオン17aに抱持する帯状部材B1,B1としたため、パワーローラ18cがトラニオン17aから離脱可能なパワーローラ支持構造を採用しても、アッパーリンク31の開孔部31aにトラニオン17aを配設する際、パワーローラ18cが落下することなく、トロイダル型無段変速機10の組み立て性能を向上させることができる。
【0129】
加えて、端部を係止可能な同幅ベルトによる帯状部材B1としたため、第1実施例〜第5実施例に比べて低コストの組立治具とすることができる。
【0130】
(第6実施例)
第6実施例は請求項8,9に記載の発明に対応するトロイダル型無段変速機の組立治具である。まず、構成を説明する。ここで、トロイダル型無段変速機の全体構成、変速制御系構成及びパワーローラ支持構造については第1実施例と同様であるので図示並びに説明を省略する。
【0131】
[組立治具構造]
前記トロイダル型無段変速機10の組み立て時、パワーローラ18cをトラニオン17aから離脱させないために用いる第6実施例の組立治具は、図16に示す帯状部材B2とされる。
【0132】
前記帯状部材B2は、図16に示すように、伸縮性のある布やゴム等を素材とする部材で、パワーローラ18cをトラニオン17aに抱持する部分を一つの抱持帯部2cとし、抱持帯部2cの両端部をそれぞれ二股形状による二股部2d,2eとし、該二股部2d,2eの両端部2f,2gを2箇所においてベルクロテープやスナップボタン等の再使用可能な固定により互いに係止可能とする部材とされ、この帯状部材B2は、一部材で組立治具とされている。
【0133】
次に、作用を説明する。
ここで、変速比制御作用及びパワーローラの荷重支持とスライド作用については第1実施例と同様であるので説明を省略する。
【0134】
[組み立て作用]
上記のように、パワーローラ18cをトラニオン17aに組み付けた状態で、パワーローラ回転軸15aの軸線方向にパワーローラ18cがトラニオン17aから離脱可能な構造を持つトロイダル型無段変速機10の組み立て時、図17に示すように、まず、帯状部材B2の抱持帯部2cによりパワーローラ18cをトラニオン17aに抱持し、この抱持帯部2cから延長される二股部2d,2eをトラニオン17aに巻き付け、二股部2d,2eの両端部2f,2gを互いに係止することで、パワーローラ18cをトラニオン17aから離脱させないようにする。
【0135】
そして、ユニットを組み付ける際の作用は、第1実施例と同様に、予め変速機ケース22に配置された入出力ディスク18a,18bによって形成されるトロイダルキャビティ空間内に、パワーローラ18cが連結されたトラニオン17aを挿入することで行われ、予め変速機ケース22に固定されたアッパーリンク31の開孔部31aにトラニオン17aを配設する際、組立治具である帯状部材B2によるパワーローラ18cの抱持により、パワーローラ18cの落下が防止される。
【0136】
ユニット組み付け後は、帯状部材B2のそれぞれの端部2f,2gの係止を解除し、帯状部材B2を引き抜くことで、帯状部材B2が取り外される。
【0138】
次に、効果を説明する。
第6実施例のトロイダル型無段変速機10の組立治具にあっては、パワーローラ18cをトラニオン17aに抱持する部分を一つの抱持帯部2cとし、抱持帯部2cの両端部をそれぞれ二股形状による二股部2d,2eとし、該二股部2d,2eの両端部2f,2gを2箇所にて互いに係止可能とする帯状部材B2としたため、第6実施例の組み立て性能を向上効果に加え、組立治具として帯状部材B2によるただ一つの部品点数による部材とすることができる。
【0139】
(他の実施例)
以上、第1実施例〜第6実施例について説明してきたが、請求項1〜請求項9に記載されている組立治具に含まれるものであれば、設計変更等が施されても本発明に含まれる。
【0140】
例えば、第1実施例〜第6実施例では、パワーローラをトラニオンに組み付けた状態で、パワーローラ回転軸線方向にパワーローラがトラニオンから離脱可能な構造を持つトロイダル型無段変速機として、図3に示すピボットシャフトレスのパワーローラ支持構造を有するものを示したが、図18に示すように、ピボットシャフトは有するが、パワーローラ回転軸線方向にパワーローラがトラニオンから離脱可能な構造のものにも適用することができるし、従来出典として挙げた特開平7−198014号公報に記載されている構造のものにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のトロイダル型無段変速機を示す全体システム図である。
【図2】第1実施例のトロイダル型無段変速機の変速制御系システム図である。
【図3】第1実施例のトロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造を示す断面図である。
【図4】第1実施例のトロイダル型無段変速機の組立治具を示す斜視図である。
【図5】第1実施例の組立治具をトラニオン及びパワーローラに取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】第1実施例の組立治具を用いてアッパーリンクの開孔部にトラニオンを配設する状態を示す斜視図である。
【図7】第2実施例のトロイダル型無段変速機の組立治具を示す斜視図である。
【図8】第2実施例の組立治具をトラニオンから取り外す状態を示す斜視図である。
【図9】第3実施例のトロイダル型無段変速機の組立治具を示す斜視図である。
【図10】第3実施例の組立治具をトラニオン及びパワーローラに取り付けた状態を示す斜視図である。
【図11】第4実施例のトロイダル型無段変速機の組立治具を示す斜視図である。
【図12】第4実施例の組立治具をトラニオン及びパワーローラに取り付けた状態を示す斜視図である。
【図13】第5実施例のトロイダル型無段変速機の組立治具が装着されたトラニオン及びパワーローラを示す断面図である。
【図14】第1参考例のトロイダル型無段変速機の組立治具を示す斜視図である。
【図15】第1参考例の組立治具をトラニオン及びパワーローラに取り付けた状態を示す斜視図である。
【図16】第6実施例のトロイダル型無段変速機の組立治具を示す斜視図である。
【図17】第6実施例の組立治具をトラニオン及びパワーローラに取り付けた状態を示す斜視図である。
【図18】第1実施例〜第6実施例の組立治具を適用できる他のパワーローラ支持構造を示す断面図である。
Claims (11)
- 同軸の回転軸に対し回動可能に対向配置された入出力ディスクと、
該入出力ディスクに摩擦接触するパワーローラ内輪と、
該パワーローラ内輪を、回転支持軸を介して支持するトラニオンと、を備え、 前記パワーローラ内輪が、前記回転支持軸が挿入される内径穴であって前記入出力ディスクの回転軸側の一端部を塞いだ閉塞部を有するトロイダル型無段変速機の組立治具において、
該治具は、トラニオン下部で傾転軸を軸心とするトラニオンシャフトに挿着させるシャフト挿入穴を一端部に有し、
前記パワーローラ内輪の前記回転支持軸方向への移動を規制する移動規制部を他端部に有する板状部材としたことを特徴とするトロイダル型無段変速機の組立治具。 - 同軸の回転軸に対し回動可能に対向配置された入出力ディスクと、
該入出力ディスクに挟圧され、駆動力を一方のディスクから他方のディスクへ伝達するパワーローラと、
該パワーローラを回転可能に支持するトラニオンと、を備え、
前記パワーローラは、入出力軸に摩擦接触するパワーローラ内輪と、前記入出力ディスクからパワーローラ内輪に入力される接触荷重を、スラスト軸受を介して受け止めるパワーローラ外輪とを有し、前記トラニオン傾転軸方向およびパワーローラ回転軸方向の双方に垂直な方向に平行移動可能なトロイダル型無段変速機の組立治具において、
該治具は、トラニオン下部で傾転軸を軸心とするトラニオンシャフトに挿着させるシャフト挿入穴を一端部に有し、
前記パワーローラ内輪の前記回転支持軸方向への移動を規制する移動規制部を他端部に有する板状部材としたことを特徴とするトロイダル型無段変速機の組立治具。 - 請求項1または請求項2に記載のトロイダル型無段変速機の組立治具において、
前記板状部材は、弾性体で形成された板状弾性部材であることを特徴とするトロイダル型無段変速機の組立治具。 - 請求項1ないし請求項3に記載のトロイダル型無段変速機の組立治具において、
前記板状部材は、前記シャフト挿入穴の一部に切欠を有する部材であることを特徴とするトロイダル型無段変速機の組立治具。 - 請求項1ないし請求項4に記載のトロイダル型無段変速機の組立治具において、
前記板状部材は、前記トラニオンシャフトの軸周りに回転するのを規制する回転規制手段を有する部材であることを特徴とするトロイダル型無段変速機の組立治具。 - 請求項1ないし請求項5に記載のトロイダル型無段変速機の組立治具において、
前記板状部材は、シャフト挿入穴が形成された一端部を、前記トラニオンシャフト端部の雄ねじ部まで軸方向に延長した筒状部とし、前記雄ねじ部にナットを螺合することにより固定される部材であることを特徴とするトロイダル型無段変速機の組立治具。 - 請求項1ないし請求項6に記載のトロイダル型無段変速機の組立治具において、
前記板状部材は、シャフト挿入穴が形成された一端部のパワーローラ側接触面を、前記トラニオンの傾転を支持する軸受が仮設されている段差面に対し、接触させた状態で嵌合固定される部材であることを特徴とするトロイダル型無段変速機の組立治具。 - 同軸の回転軸に対し回動可能に対向配置された入出力ディスクと、
該入出力ディスクに摩擦接触するパワーローラ内輪と、
該パワーローラ内輪を、回転支持軸を介して支持するトラニオンと、を備え、 前記パワーローラ内輪が、前記回転支持軸が挿入される内径穴であって前記入出力ディスクの回転軸側の一端部を塞いだ閉塞部を有するトロイダル型無段変速機の組立治具において、
該治具は、端部を互いに係止可能で、パワーローラ内輪の前記回転支持軸方向への移動を一時的に規制するように、パワーローラ内輪をトラニオンに対し抱持する帯状部材とし、
前記帯状部材は、パワーローラ内輪またはパワーローラを、トラニオンに対し抱持する部分を一つの抱持帯部とし、抱持帯部の両端部をそれぞれ二股形状による二股部とし、該二股部の両端部を2箇所で係止可能な部材であることを特徴とするトロイダル型無段変速機の組立治具。 - 同軸の回転軸に対し回動可能に対向配置された入出力ディスクと、
該入出力ディスクに挟圧され、駆動力を一方のディスクから他方のディスクへ伝達するパワーローラと、
該パワーローラを回転可能に支持するトラニオンと、を備え、
前記パワーローラは、入出力軸に摩擦接触するパワーローラ内輪と、前記入出力ディスクからパワーローラ内輪に入力される接触荷重を、スラスト軸受を介して受け止めるパワーローラ外輪とを有し、前記トラニオン傾転軸方向およびパワーローラ回転軸方向の双方に垂直な方向に平行移動可能なトロイダル型無段変速機の組立治具において、
該治具は、端部を互いに係止可能で、パワーローラがパワーローラ回転軸方向へ移動することを一時的に規制するように、パワーローラをトラニオンに対し抱持する帯状部材とし、
前記帯状部材は、パワーローラ内輪またはパワーローラを、トラニオンに対し抱持する部分を一つの抱持帯部とし、抱持帯部の両端部をそれぞれ二股形状による二股部とし、該二股部の両端部を2箇所で係止可能な部材であることを特徴とするトロイダル型無段変速機の組立治具。 - トラニオンシャフトにトラニオンの傾転を支持する軸受を仮設する工程と、
内径穴に閉塞部を有するパワーローラ内輪を、トラニオンに支持された回転支持軸に挿入する工程と、
前記パワーローラ内輪が前記回転支持軸方向に移動することを規制する板状部材をトラニオンシャフトに挿着する工程と、
前記軸受の一端面と前記板状部材のパワーローラ内輪側接触面を接触させた状態で、前記軸受の他端面と、前記板状部材のパワーローラ内輪側接触面との対向する面であるトラニオンの段差面との隙間を測定する工程と、
トロイダル型無段変速機ケース内に、トラニオンの傾転を支持するアッパーリンク、および入出力ディスクを配置する工程と、
該入出力ディスクにより形成されるトロイダルキャビティ空間内に、前記板状部材が挿着されたトラニオンを挿入し、該トラニオンの端部をアッパーリンクの開孔部に挿入する工程と、
その後に前記板状部材のみをトロイダル型無段変速機内から取り出す工程と、上記隙間の大きさが適正でない場合には、前記仮設した軸受を取り外し、上記隙間が適正となるような軸受を挿着する工程と、
を有することを特徴とするトロイダル型無段変速機の組立方法。 - トラニオンシャフトにトラニオンの傾転を支持する軸受を仮設する工程と、
トラニオンの傾転軸およびパワーローラの回転軸の双方に垂直な方向に平行移動可能なパワーローラを、トラニオンに回転可能に係合させる工程と、
前記パワーローラが回転軸方向に移動することを規制する板状部材をトラニオンシャフトに挿着する工程と、
前記軸受の一端面と前記板状部材のパワーローラ側接触面を接触させた状態で、前記軸受の他端面と、前記板状部材のパワーローラ側接触面との対向する面であるトラニオンの段差面との隙間を測定する工程と、
トロイダル型無段変速機ケース内に、トラニオンの傾転を支持するアッパーリンク、および入出力ディスクを配置する工程と、
該入出力ディスクにより形成されるトロイダルキャビティ空間内に、前記板状部材が挿着されたトラニオンを挿入し、該トラニオンの端部をアッパーリンクの開孔部に挿入する工程と、
その後に前記板状部材のみをトロイダル型無段変速機内から取り出す工程と、上記隙間の大きさが適正でない場合には、前記仮設した軸受を取り外し、上記隙間が適正となるような軸受を挿着する工程と、
を有することを特徴とするトロイダル型無段変速機の組立方法。
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