JP3738558B2 - 植樹擁壁ユニット及び植樹擁壁の構築方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばコンクリート製品から形成された植樹擁壁ユニット及び植樹擁壁の構築方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より各種の植樹擁壁の構築方法が提案され、それら各種の方法で擁壁等が構築されているが、自然環境を破壊することなく、構築後には山林のように充分な緑で覆われ、防音効果、遮音効果が充分に考慮され、さらには長期間にわたって強固に構築されてなる等の要求を満たす植樹擁壁で、しかも曲線状なす箇所にも無理なく構築でき、さらに製造コストも安価にしうる植樹擁壁の構築方法は提案されていなかった。
【0003】
しかして、このような曲線状の箇所にも無理なく構築できる植樹擁壁の構築方法についての提案は従来より要請、要望されていたところである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かくして、本発明は前記従来の要請に答えるべく開発されたものであり、自然環境を破壊することなく、構築後には山林のように充分な緑で覆われ、しかも防音効果、遮音効果あるいは吸音効果が考慮され、かつ長期間にわたって強固に構築され、さらには長期間にわたって強固に構築されてなる等の要求を満たす植樹擁壁で、かつ曲線状なす箇所にも無理なく構築でき、製造コストを安価にした植樹擁壁の構築方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、植樹擁壁ユニットが中央に略長方形状をなす透孔6が設けられた方形状をなす底板2と、前記底板2の前端より上り勾配で前方に張り出す前壁3と、当該前壁3及び底板2の両側端部から垂直に立ち上がって設けられた側壁4,4と、前記底板2の後端から上り急勾配で立ち上がる後壁5と、を有し、前記底板2、前壁3、後壁5及び両側壁4,4で略ボックス状に形成されてなり、
上端部は、両側壁4,4と後壁5の上端面とで形成された平坦載置部7と、該平坦載置部7の前端より前記前壁3と同じ上り勾配で立ち上がる前壁当接部9とで構成されてなる植樹擁壁ユニットであり、
前記後壁5には透孔を複数設け、前記前壁当接部9は、所定の奥行きからなるスペーサ10をはめ込み可能とした、
ことを特徴とし、また、上記植樹擁壁ユニット1を横方向に1つ飛ばし状態でかつ曲線状に敷設し、上段に下段の飛ばし箇所に跨って前記植樹擁壁ユニット1を曲線状に架設し、複数段積み重ね、前記横方向に1つ飛ばし状態でかつ曲線状に敷設した植樹ユニット1の平坦載置部7上には、積み重ねる上段側植樹壁ユニット1の底板2の下面8が凹凸なく密着載置されていることを特徴とし、または、上記植樹擁壁ユニット1を略直角に交差する線に沿って各々の方向から敷設し、敷設した植樹擁壁ユニット1,1間に跨るようにして植樹擁壁ユニット1を設置し、複数段積み重ねて構築することを特徴とするものである。
【0006】
(作用)本発明では、中央に透孔が設けられた方形状をなす底板と、前記底板の前端より上り勾配で張り出す前壁と、当該前壁及び底板の両側に設けられた側壁と、前記底板の後端より上り急勾配で立ち上がる後壁と、を有し、上端部は両側壁と後壁の上端面とで形成された平坦載置部と、該平坦載置部の前端より上り勾配で立ち上がる前壁当接部とで構成された植樹擁壁ユニットが形成される。
【0007】
そして、該植樹擁壁ユニットを横方向に1つ飛ばし状態で敷設し、上段には下段の飛ばし箇所に跨って前記植樹擁壁ユニットを架設し、構築して植樹擁壁が形成される。さらに、該植樹擁壁ユニットを横方向に1つ飛ばし状態でかつ曲線状に敷設し、上段に下段の飛ばし箇所に跨って前記植樹擁壁ユニットを曲線状に架設することが出来、それらを複数段積み重ねて曲線的な植樹擁壁が、あるいは別に直角的な植樹擁壁が形成できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、各図に基づいて本発明に係る植樹擁壁の構築方法の実施例について説明する。図1、図2において、符号1は植樹擁壁ユニットを示す。該植樹擁壁ユニット1は一般にコンクリート製品で形成されており、内型枠と外型枠の内部にコンクリートを充填し、所定期間養生させ、固化させた後、脱型して取り出すことにより製造される。
【0009】
そして、該植樹擁壁ユニット1は底板2と前壁3と側壁4,4と後壁5とを備えて構成される。ここで、底板2は図2から理解されるように、中央に略長方形状の透孔6が穿設され、略長方形状をなして形成されている。前壁3は底板2の前端より上り勾配を有し前方に張り出して設けられている。
【0010】
また、後壁5は底板2の後端から前記前壁3より急勾配の傾斜で立ち上がり形成されている。尚、図示されていないが該後壁5に透孔を複数設け、斜面状の地盤に植樹擁壁ユニット1を設置する際、その地盤との密着性を向上させることが出来る。さらに両側壁4,4は前記底板2両側の端部から各々垂直に立ち上がって設けられており、これら底板2、前壁3、後壁5及び両側壁4,4で略ボックス状に形成されている。
【0011】
また、この植樹擁壁ユニット1の上端面は図1,図2から理解されるように、両側壁4,4と後壁5との上端面は平坦面として形成され、平坦載置部7を形成している。さらに、底板2の下面8も平坦面として形成されている(図2参照)。ここで、符号9は前壁当接部であり、前記平坦載置部7の前端より前壁3と同じ上り勾配を有する立ち上がり辺として形成されている。
【0012】
そして後述するように、これら植樹擁壁ユニット1は積み重ねられるが、その際、下段の植樹擁壁ユニット1の前壁当接部9に上段の植樹擁壁ユニット1の前壁3が当接して積み重ねられるものとなる。これにより上段側に積み重ねられた植樹擁壁ユニット1は下段側の植樹擁壁ユニット1の前壁当接部9に係止し、崩れ落ちることがない。
【0013】
以上において、基本的な植樹擁壁の構築方法について説明する。図3から理解されるように複数の植樹擁壁ユニット1は斜面状地盤に敷設される。ここで、図4に示すように最下段の植樹擁壁ユニット1は横方向に1つ飛ばしの状態で敷設される。そして2段目の植樹擁壁ユニット1は、1段目の1つ飛ばした箇所に跨るようにして設置される。さらに、3段目は2段目の1つ飛ばした箇所に跨るように設置される。この様に設置した後、それぞれの植樹擁壁ユニット1内に土を収納し、かつ樹木や草木を植樹することにより図3に示すような植樹擁壁が完成する。
【0014】
次に本発明方法の第1実施例につき説明する。第1実施例は図5から理解されるように、植樹擁壁を曲線状に形成したものである。
【0015】
本発明によれば、簡単な作業で曲線状の植樹擁壁を構築できる。すなわち、最下段の植樹擁壁ユニット1を図5に示すように曲線状で、しかも1つ飛ばしで設置する。次いで第2段目の植樹擁壁ユニット1を前記第1段目に設置した植樹擁壁ユニット1,1間にまたげて配置する。
【0016】
この際、下段における植樹擁壁ユニット1,1間の1つ飛ばしの隙間は若干狭くしておくものとする。そうすれば、前記下段における1つ飛ばしの植樹擁壁ユニット1,1間に第2段目の植樹擁壁ユニット1を設置しても、はずれて落下するおそれがない。また、曲線状に積み重ねるにつき、植樹擁壁ユニット1の上端面は両側壁4,4の上端面と後壁5の上端面とで平坦面に形成した平坦載置部7となっているため、積み重ねる上段側植樹擁壁ユニット1の底板下面8を凸凹なく密着載置することが出来る。
【0017】
次に図6,図7に本発明方法の第2実施例を示す。本実施例は植樹擁壁を略直角に形成したものである。すなわち図6に示すように略直角に交差するよう各々の方向から敷設した植樹擁壁ユニット1,1間に跨るようにして植樹擁壁ユニット1を設置する。この際、またげて設置する上段の植樹擁壁ユニット1は、前記各々の方向から敷設された植樹擁壁ユニット1,1と略135度の角度を有して積み重ねられることとなる(図6参照)。
【0018】
さらに、図8乃至図10に本発明の実施例を示す。この実施例は植樹擁壁ユニット1の積み重ね状態を示すもので、通常利用される勾配で構わない場合は図9に示すように積み上げればよい。
【0019】
しかし、もっとなだらかな勾配にしたい場合には図10に示すように前壁当接部9に所定の奥行きからなるスペーサ10をはめ込むものとする。このようなスペーサ10により、上に積み上げられる植樹擁壁ユニット1はさらに後ろ側にずらされて積み上げられることになるからである。しかして、このスペーサ10は、コンクリートブロックを後からはめ込むものである。
【0020】
しかして、複数段植樹擁壁ユニット1を積み重ねた後、この植樹擁壁ユニット1内に土を充填して擁壁を形成すればよい。この際、土内に各種の木や草や花等を植樹すれば、数年経過後根を張って強固な植樹擁壁を形成することが出来る。しかも、表面側は木、草及び花が成長して綺麗な景観を提供できる。
【0021】
本発明では自然環境を破壊することなく、緑に富んだ自然的な植樹擁壁を構築しうる。しかも、この植樹擁壁は防音効果、遮音効果をも充分に発揮できる。さらに、植樹された複数本の草木は植樹擁壁ユニット1内に充填された土の奥深く根をはるものとなり、それにより一層強固な植樹擁壁を構築できる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による植樹擁壁及び植樹擁壁の構築方法であれば、自然環境を破壊することなく、構築後には短期間で山林のように充分な緑で覆われ、しかも前記草木での防音効果、遮音効果あるいは吸音効果が考慮され、かつ長期間にわたって強固に構築された植樹擁壁を提供できる。
【0023】
さらに、曲線状なす箇所にも無理なく構築でき、かつ製造コストを安価にした植樹擁壁を提供出来るとの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 植樹擁壁ユニットの説明図
【図2】 植樹擁壁ユニットの概略構成説明図
【図3】 植樹擁壁の構築状態の説明図
【図4】 植樹擁壁の構築状態の説明図
【図5】 植樹擁壁の構築状態の説明図
【図6】 植樹擁壁の構築状態の説明図
【図7】 植樹擁壁の構築状態の説明図
【図8】 植樹擁壁ユニットの説明図
【図9】 植樹擁壁ユニットの積み重ね状態の説明図
【図10】 植樹擁壁ユニットの積み重ね状態の説明図
【符号の説明】
1 植樹擁壁ユニット
2 底板
3 前壁
4 側壁
5 後壁
6 透孔
7 平坦載置部
8 底板の下面
9 前壁当接部
10 スペーサ
Claims (3)
- 中央に略長方形状をなす透孔6が設けられた方形状をなす底板2と、前記底板2の前端より上り勾配で前方に張り出す前壁3と、当該前壁3及び底板2の両側端部から垂直に立ち上がって設けられた側壁4,4と、前記底板2の後端から上り急勾配で立ち上がる後壁5と、を有し、前記底板2、前壁3、後壁5及び両側壁4,4で略ボックス状に形成されてなり、
上端部は、両側壁4,4と後壁5の上端面とで形成された平坦載置部7と、該平坦載置部7の前端より前記前壁3と同じ上り勾配で立ち上がる前壁当接部9とで構成されてなる植樹擁壁ユニットであり、
前記後壁5には透孔を複数設け、前記前壁当接部9は、所定の奥行きからなるスペーサ10をはめ込み可能とした、
ことを特徴とする植樹擁壁ユニット。 - 請求項1に記載された植樹擁壁ユニット1を横方向に1つ飛ばし状態でかつ曲線状に敷設し、上段に下段の飛ばし箇所に跨って前記植樹擁壁ユニット1を曲線状に架設し、複数段積み重ね、
前記横方向に1つ飛ばし状態でかつ曲線状に敷設した植樹ユニット1の平坦載置部7上には、積み重ねる上段側植樹壁ユニット1の底板2の下面8が凹凸なく密着載置されていることを特徴とする曲線的な植樹擁壁の構築方法。 - 請求項1に記載された植樹擁壁ユニット1を略直角に交差する線に沿って各々の方向から敷設し、敷設した植樹擁壁ユニット1,1間に跨るようにして植樹擁壁ユニット1を設置し、
複数段積み重ねて構築することを特徴とする直角的な植樹擁壁の構築方法。
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