JP2002155538A - 植栽擁壁ユニット及び植栽擁壁の構築方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 自然環境を破壊せず、構築後には充分な緑で
覆われ、しかも防音効果、遮音効果あるいは吸音効果が
考慮され、かつ長期間にわたって強固に構築され、かつ
曲線状なす箇所にも無理なく構築でき、安価に製造でき
る植栽壁ユニット及び植栽擁壁の構築方法を提供する。 【解決手段】 上下方向に貫通する水抜き用孔が設けら
れた略方形状をなす底板と、前記底板先端部より上り勾
配で張り出す前壁と、前記前壁及び底板の両側に設けら
れ、上端部が両側壁の平坦面状上端面で形成された平坦
載置部と、該平坦載置部の先端より前記前壁の勾配とほ
ぼ同様の上り勾配で立ち上がる前壁当接面部とで構成さ
れた側壁と、前記底板の後端部から底板表面より上方に
断面略方形状に立ち上げて形成され、両端が両側壁に連
結された段差条部と、を有し、前記段差条部の内側に位
置する底板上には尻部に網状シートが設けられた網状シ
ート取付条部が前記段差条部に掛合可能に配置される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えばコンクリー
ト製品から形成された植栽擁壁ユニット及びこの植栽擁
壁ユニットを積み上げて構築した植栽擁壁の構築方法に
関するものである。

【従来の技術】従来より各種の植栽擁壁及びその構築方
法が提案され、それら各種の方法で擁壁等が構築されて
いるが、自然環境を破壊することなく、構築後には山林
のように充分な緑で覆われる植栽能力に優れ、しかも防
音効果、遮音効果が充分に考慮され、さらには長期間に
わたって強固に構築されてなる等の要求を満たす植栽擁
壁で、曲線状をなす箇所にも無理なく構築でき、さらに
は製造コストも安価にしうるコンクリート製品からなる
植栽擁壁のユニット及びその構築方法は提案されていな
かった。

【０００２】特に、急勾配で高さの高い盛土部において
植栽擁壁を構築することは、難しく地震等により前記盛
土部に構築した植栽擁壁が倒壊しない植栽擁壁ユニット
及び植栽擁壁の構築方法が要望されていた。

【発明が解決しようとする課題】かくして、本発明は前
記従来の要望に答えるべく開発されたものであり、特
に、急勾配で高さの高い盛土部に構築された植栽擁壁で
あっても地震等により倒壊することがなく、さらに自然
環境を破壊することなく、構築後には山林のように充分
な緑で覆われ、しかも防音効果、遮音効果あるいは吸音
効果が考慮され、かつ長期間にわたって強固に構築さ
れ、長期間にわたって強固に構築されてなる等の要求を
満たす植栽擁壁で、かつ曲線状なす箇所にも無理なく構
築でき、製造コストを安価にした植栽壁ユニット及び植
栽擁壁の構築方法を提供することを目的とするものであ
る。

【課題を解決するための手段】本発明による植栽擁壁ユ
ニットは、上下方向に貫通する水抜き用孔が設けられた
略方形状をなす底板と、前記底板先端部より上り勾配で
張り出す前壁と、前記前壁及び底板の両側に設けられ、
上端部が両側壁の平坦面状上端面で形成された平坦載置
部と、該平坦載置部の先端より前記前壁の勾配とほぼ同
様の上り勾配で立ち上がる前壁当接面部とで構成された
側壁と、前記底板の後端部から底板表面より上方に断面
略方形状に立ち上げて形成され、両端が両側壁に連結さ
れた段差条部と、を有し、前記段差条部の内側に位置す
る底板上には尻部に網状シートが設けられた網状シート
取付条部が前記段差条部に掛合可能とされて配置された
ことを特徴とすし、また、本発明による植栽擁壁の構築
方法は、前記の植栽擁壁ユニットを横方向に１つ飛ばし
状態で敷設し、かつ該上段には前記の飛ばし箇所に跨っ
て前記植栽擁壁ユニットを架設し、構築したことを特徴
とし、または、前記の植栽擁壁ユニットを横方向に１つ
飛ばし状態でかつ曲線状に敷設し、かつ該上段には前記
の飛ばし箇所に跨って前記植栽擁壁ユニットを曲線状に
曲げて架設し、複数段積み重ねて構築したことを特徴と
するものである。

【発明の実施の形態】以下、各図に基づいて本発明に係
る植栽擁壁ユニット及びこの植栽擁壁ユニットを使用し
た植栽擁壁の構築方法の一実施例について説明する。

【０００３】図１において、符号１は植栽擁壁ユニット
を示す。

【０００４】該植栽擁壁ユニット１は一般にコンクリー
ト製品で形成されており、内型枠と外型枠の内部にコン
クリートを充填し、所定期間養生させ、固化させた後、
脱型して取り出すことにより製造される。

【０００５】そして、該植栽擁壁ユニット１は底板２と
前壁３と側壁４，４と段差条部５とを備えて背面を略筒
抜け状態にした略箱形に構成される。

【０００６】ここで、底板２は図３から理解されるよう
に、平板の長方形状に形成され、上下方向に貫通した複
数の水抜き用孔６が穿設されて形成されている。

【０００７】また、前壁３は前記底板２の先端より上り
勾配を有し前方に張り出して設けられている。

【０００８】側壁４，４は前記した底板２及び前壁３の
両側から垂直方向に立ち上げて設けられており、かつこ
の側壁４の底板側に位置する上端面は底板２の表面と水
平をなす平坦面状の上端面として、いわゆる平坦載置部
７として形成されている。

【０００９】そして、前記平坦載置部７の先端からは、
前壁３が前方へ張り出して突設された上り勾配の角度と
ほぼ同様の勾配角度で立ち上がり、かつその上面が平坦
面として形成された前壁当接面部８が設けられている。

【００１０】次に、段差条部５は底板２の後端部より該
底板２の表面より上方に向かって断面略方形状に立ち上
げて形成されており（図１参照）、その両端は両側壁
４，４と連結、固着されている（図３参照）。

【００１１】また、符号９は網状シート取付条部を示
し、該網状シート取付条部９は長尺の四角柱状をなし
て、前記段差条部５と略同様の形状に形成され、その尻
部となる一側面からは、網状シート取付条部９の長さと
ほぼ同様の幅を有し、かつ後方へ長尺の長さを有して略
長方形状に形成された網状シート１０が取り付けられ、
後方へ延出されている。しかして、該網状シート取付条
部９は図１から理解されるように、前記段差条部５に掛
合するようにして、段差条部５の内側に位置する底板２
の上に配置される。

【００１２】このように、当該植栽擁壁ユニット１は底
板２、前壁３、段差条部５及び両側壁４，４で背面に高
い壁のない状態での略箱状の形状として形成されている
こと前述の通りである。

【００１３】そして後述するように、これら植栽擁壁ユ
ニット１は積み重ねられるが、その際、下段の植栽擁壁
ユニット１の前壁当接面部８に上段の植栽擁壁ユニット
１の前壁３表面が当接して積み重ねられるものとなる。

【００１４】これにより上段側に積み重ねられた植栽擁
壁ユニット１は下段側の植栽擁壁ユニット１の前壁当接
面部９に係止し、容易に崩れ落ちることがないものとな
る。

【００１５】しかも、それぞれ設置される植栽擁壁ユニ
ット１にはその後ろ方向に長尺の網状シート１０が取り
付けられており、この網状シート１０が土に埋設される
ことによりアンカーの役目を果たし、もってそれぞれの
植栽擁壁ユニット１は前方へ崩れ落ちることが全くない
のである。

【００１６】以上において、本発明による植栽擁壁の構
築方法について説明する。

【００１７】図１，図６及び図７から理解されるように
複数の植栽擁壁ユニット１は斜面状地盤、たとえば急勾
配で高さの高い盛土部等に敷設される。

【００１８】ここで、最下段の植栽擁壁ユニット１は横
方向に１つ飛ばしの状態で敷設される。そして２段目の
植栽擁壁ユニット１は、１段目の１つ飛ばした箇所に跨
るようにして設置される。さらに、３段目は２段目の１
つ飛ばした箇所に跨るように設置される。

【００１９】ところで、それぞれの植栽擁壁ユニット１
には前記のようにその後ろ方向に長尺の網状シート１０
が取り付けられており、この網状シート１０が埋設され
ることによりアンカーの役目を果たし、植栽擁壁ユニッ
ト１は前方へ崩れ落ちることがないものとしている。

【００２０】この様に設置した後、それぞれの植栽擁壁
ユニット１内及びその後ろ側へ土を収納し、かつ樹木や
草木を植栽することにより植栽擁壁が完成する。

【００２１】尚、本発明の植栽擁壁ユニット１を使用す
れば植栽擁壁を曲線状態にして敷設することができる。
すなわち、簡単な作業で曲線状の植栽擁壁を構築でき
る。

【００２２】まず、最下段の植栽擁壁ユニット１を図７
に示すように曲線状態で、しかも１つ飛ばしで設置す
る。

【００２３】次いで第２段目の植栽擁壁ユニット１を前
記第１段目に設置した植栽擁壁ユニット１，１間にまた
げて配置する。

【００２４】この際、下段における植栽擁壁ユニット
１，１間の１つ飛ばしの隙間は若干狭くしておくものと
する。そうすれば、前記下段における１つ飛ばしの植栽
擁壁ユニット１，１間に第２段目の植栽擁壁ユニット１
を設置しても、はずれて落下するおそれがない。

【００２５】また、曲線状態で積み重ねるにつき、植栽
擁壁ユニット１の両側壁４，４上の上端面は平坦面状の
上端面であり、すなわち平坦載置部７となっているた
め、積み重ねる上段側植栽擁壁ユニット１の底板下面を
凸凹なく密着載置することが出来る。

【００２６】さらに本発明の植栽擁壁ユニット１を使用
して植栽擁壁を略直角に曲げた形で形成することができ
る。

【００２７】すなわち略直角に交差するよう各々の方向
から敷設した植栽擁壁ユニット１，１間に跨るようにし
て植栽擁壁ユニット１を積み重ねれば略直角に曲げて設
置できる。

【００２８】この際、またげて設置する上段の植栽擁壁
ユニット１は、前記各々の方向から敷設された植栽擁壁
ユニット１，１と略１３５度の角度を有して積み重ねら
れることとなる。

【００２９】しかして、複数段に植栽擁壁ユニット１を
積み重ねた後、この植栽擁壁ユニット１内に土を充填し
て擁壁を形成すればよい。

【００３０】この際、土内に各種の木や草や花等を植栽
すれば、数年経過後根を張って強固な植栽擁壁を形成す
ることが出来る。しかも、表面側は木、草及び花が成長
して綺麗な景観を提供できる。

【００３１】本発明では自然環境を破壊することなく、
緑に富んだ自然的な植栽壁を構築しうる。しかも、この
植栽壁は防音効果、遮音効果をも充分に発揮できる。

【００３２】さらに、植栽された複数本の草木は植栽擁
壁ユニット１内に充填された土の奥深く根をはるものと
なり、それにより一層強固な植栽壁を構築できる。

【００３３】特に本発明によれば植栽擁壁ユニット１の
背面が筒抜けになっているため、きわめて植栽能力に優
れるものとなり、数年で自然状態を復元できる。

【００３４】また、網状シート１０が埋められてアンカ
ーの機能を果たすものとなり、急勾配で高さの高い盛土
部であっても容易に、かつ耐久性の高い植栽擁壁を構築
できる。

【００３５】尚、図８，図９に植栽擁壁ユニット１の変
形例を示す。しかして、この実施例では前壁３が略中間
部でさらに上り勾配で折れ曲がっているタイプのものが
使用されている。このようなタイプの植栽擁壁ユニット
１であれば、複数段に積み重ねたときの外観審美性を向
上させることができる。

【発明の効果】以上説明したように本発明による植栽擁
壁ユニット及び植栽擁壁の構築方法であれば、自然環境
を破壊することなく、構築後には短期間で山林のように
充分な緑で覆われ、しかも前記草木での防音効果、遮音
効果あるいは吸音効果が考慮され、特に、急勾配で高さ
の高い盛土部であっても容易に、かつ耐久性が高く、長
期間にわたって強固に構築された植栽擁壁を提供でき
る。

【００３６】さらに、曲線状なす箇所にも無理なく構築
でき、かつ製造コストを安価にした植栽壁を提供出来る
との優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による植栽擁壁ユニットの概略構成説
明図（その１）である。

【図２】 本発明による植栽擁壁ユニットの概略構成説
明図（その２）である。

【図３】 本発明による植栽擁壁ユニットの概略構成説
明図（その３）である。

【図４】 本発明による植栽擁壁ユニットの概略構成説
明図（その４）である。

【図５】 本発明による植栽擁壁ユニットの概略構成説
明図（その５）である。

【図６】 植栽擁壁ユニットの積み重ね状態を説明する
説明図（その１）である。

【図７】 植栽擁壁ユニットの積み重ね状態を説明する
説明図（その２）である。

【図８】 本発明による植栽擁壁ユニットの概略構成説
明図（その６）である。

【図９】 本発明による植栽擁壁ユニットの概略構成説
明図（その７）である。

【符号の説明】

１ 植栽擁壁ユニット ２ 底板 ３ 前壁 ４ 側壁 ５ 段差条部 ６ 水抜き孔 ７ 平坦載置部 ８ 前壁当接面部 ９ 網状シート取付条部 １０ 網状シート

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上下方向に貫通する水抜き用孔が設けら
   れた略方形状をなす底板と、 前記底板先端部より上り勾配で張り出す前壁と、 前記前壁及び底板の両側に設けられ、上端部が両側壁の
   平坦面状上端面で形成された平坦載置部と、該平坦載置
   部の先端より前記前壁の勾配とほぼ同様の上り勾配で立
   ち上がる前壁当接面部とで構成された側壁と、 前記底板の後端部から底板表面より上方に断面略方形状
   に立ち上げて形成され、両端が両側壁に連結された段差
   条部と、を有し、 前記段差条部の内側に位置する底板上には尻部に網状シ
   ートが設けられた網状シート取付条部が前記段差条部に
   掛合可能とされて配置されたことを特徴とする植栽擁壁
   ユニット。
2. 【請求項２】 請求項１に記載された植栽擁壁ユニット
   を横方向に１つ飛ばし状態で敷設し、かつ該上段には前
   記の飛ばし箇所に跨って前記植栽擁壁ユニットを架設
   し、構築したことを特徴とする擁壁構築方法。
3. 【請求項３】 請求項１に記載された植栽擁壁ユニット
   を横方向に１つ飛ばし状態でかつ曲線状に敷設し、かつ
   該上段には前記の飛ばし箇所に跨って前記植栽擁壁ユニ
   ットを曲線状に曲げて架設し、複数段積み重ねて構築し
   たことを特徴とする擁壁構築方法。