JP3737188B2 - ドアシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定体および開閉体または開閉体同士間に介挿されてその開閉体の開閉動作をスムーズに行なわせる蝶番ユニットおよびこの蝶番ユニットを用いたドアシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、蝶番は開き戸や折戸などのように開閉体を別の開閉体または固定体に開閉自在に取り付けることができ、至る所で頻繁に使われている。
【0003】
この内、最も一般的な蝶番の一例として図11に示す1点支点構造の蝶番100がある。この蝶番100は1本の共通の軸100aを中心に2枚の取付板100b,100cを互いに回動(回転)自在に組み合せたもので、2枚の取付板100b,100cが、例えば折戸101を成す2枚のパネル体101a,101bの対向する側面に取り付けられる。これにより、パネル体101a,101bが固定軸102を中心に実線および仮想線図示の如く蛇腹状に折れ曲がり、スライド軸103が図示しないレール体内を摺動して開閉自在になっている。
【0004】
この1点支点構造の変形として図12に示す2点支点構造の蝶番110も知られている。この蝶番110はパネル体111a,111bの側面の縦方向の全体に亘って取り付けられる、いわゆる「全体蝶番」(「通し蝶番」とも呼ばれる)になっている。この蝶番110はパネル111a,111bの回動を個別に担う2つの軸110a,110bと、この2つの軸110a,110bを中心に回動する取付板110c,110dと、2つの軸110a,110b間を繋ぐ連結部材110eとを有する。これにより折戸111を開けると、実線図示から仮想線図示の状態にパネル体111a,111bが蛇腹状に折れながら回転する。
【0005】
さらに、別のタイプの蝶番の一例を図13に示す。この蝶番120も全体蝶番の構造を有し、しかも2点支点になっている。この蝶番120はパネル体121a,121bに取り付けられ、かつ一端が湾曲した1対の取付板120a,120bと、この取付板120a,120bを回動自在に連結する連結体120cとを備える。各取付板120a,120bの湾曲部の内外にギヤが形成され、取付板120a,120b同士がその外側ギヤで噛合している。連結体120cは横方向断面が図示の如く凹状に形成され、この両突端内側に円筒部が1201 ,1202 が一体に形成されている。各円筒部1201 ,1202 の円周部にはギヤが形成され、このギヤに前記取付板120a(120b)の湾曲部の内側ギヤが噛合するようになっている。この結果、実線(折戸の開状態)および仮想線(折戸の閉状態)で示すように、2つの円筒部1201 ,1202 を中心にパネル体121a,121bを各々回動でき、折戸を開閉させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の蝶番には以下に示すような不都合があった。
【0007】
図11に示す1点支点の蝶番100は簡単な構造ではあるが、図示仮想線の如くドア開放時のパネル体101a,101b間の隙間W1 、すなわちデッドスペースが比較的多い。しかも、同図仮想線の状態から実線状態に折戸を閉めるとき、パネル体101a,101b間の隙間Pに指を挟む心配があり、特に子供などにおいて、そのことが懸念されていた。指を挟まないようにパネル体101a,101bの角部をテーパー状に成形したり、カバーを付けたりすることもできるが、そのようにすると製造コストや体裁上の問題を生じる。
【0008】
また、図12に示す2点支点の蝶番110は、特に、仮想線で示す如く、蝶番110の連結体110eの存在に因り、パネル体111a,111bを折り畳んだ状態でのデットスペースW2 が非常に大きくなるという問題がある。この問題は図13のものについても同様である。
【0009】
さらに、図11〜図13の構造に共通の未解決の課題としてドアの回動中心の問題がある。この問題は特に折戸に適用した場合に顕著になる。図11〜図13の場合の何れも、パネル体間の回動(回転)中心は、パネルの板厚方向の中心を通る中心線L1 (〜L3 )よりも開閉方向の一方にずれて位置する。このため、一方のパネル体101a(111a,121a)を開閉するとき、そのパネル体101a((111a,121a)の蝶番とは反対側の側端部は、図11で言えば仮想線Mの如く、一度壁方向に拡がってから開くまたは閉まる軌跡を描く。このため、壁(固定体)とパネル体101a(111a,121a)との間にスペースWD を予め大きくとっておかなければならない。この隙間WD は通常使用の折戸で1cm程度は少なくとも必要で、ドアの隙間としてはかなり大きい値となり、仕切性が悪くなる。この仕切性の低下の問題は回動(回転)中心がドアの中心線から外れている構造の蝶番に特有のものである。この隙間WD を塞ぐために壁側にカバーを付けたりする細工もできるが、体裁上の問題や製造コストの上昇の問題が発生してしまう。
【0010】
本発明は上述のような従来の蝶番の問題に鑑みてなされたもので、簡単な構造でありながら、指などを巻き込む恐れを殆ど完全に排除し、閉時の仕切性にも優れた蝶番ユニットおよびこの蝶番ユニットを用いたドアシステムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明のドアシステムは、複数枚のパネル体と、前記パネル体の各々の互いに対向する縦方向の側面に各別に取り付けられる2本の支柱体と、この2本の支柱体の軸方向の上端面および下端面の少なくとも一方の前記パネル体の厚さの中心軸上のそれぞれの位置に互いに噛合可能に各別に取り付けられた2つの歯車を対とする歯車列と、この歯車列を形成する前記の2つの歯車同士を互いに回動可能に連結する連結体とを有し、前記パネル体同士を蛇腹状に開閉自在に連結する蝶番ユニットと、前記複数のパネル体の内吊り元側に位置するパネル体の、開閉時における回転軸近傍に切欠き部が設けられ、該切欠き部内に収まって、その出力軸が前記回転軸と一致するように隣接する壁体に固設されたモータとを備えたものである。
【0012】
好適には、請求項2に記載したように、前記蝶番ユニットは、前記歯車列を形成する前記2つの歯車間への物体の侵入を阻止する阻止手段を備えることが望ましい。
【0013】
また、好適には、請求項3に記載したように、前記歯車は平歯車であって、この平歯車の歯の形成範囲は実質的にその円周の半分の範囲とすることができる。これにより、ドアの開き方向(内開きか外開きか)に関係なく平歯車を使うことができ、汎用性が高まる。
【0014】
さらに、好適には、請求項4に記載したように、前記モータは、トルクモータで構成してもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図1〜図7を参照して説明する。
【0016】
図1および図2には、この実施形態に係る手動式の折戸1の外観を示す。この折戸1は、2枚のパネル体10a,10bと、このパネル体10a,10b間に装備された蝶番ユニット11とを備える。パネル体10a,10bの各々の主要部はここでは木製材料で成り、所定厚さ,サイズに形成されている。
【0017】
蝶番ユニット11は、図1〜図5に示す如く、2本の支柱体20a,20bを備える。この支柱体20a,20bは各々、ここではアルミ製の材料を断面略半円状の棒状に形成したもので、その長さを前記パネル体10a,10bの高さにほぼ合致させるとともに、その最大径をパネル体10a,10bの厚さに合致させている。
【0018】
この支柱体20a,20bの上下の端面には、図4に示すように、固定軸21a,21bを介して平歯車22a,22bが各々固着されている。この平歯車22a,22bの各々は例えば樹脂製で、軸方向の厚さが例えば1cm程度と薄いものが使われている。また、この平歯車22a,22bの各々のその歯は図5に示す如く、全周には設けられておらず、その半周(180°)と若干の余裕分α°の「180°×α°」の範囲にだけ設けられている。パネル体を互いに平行に折り畳む形式の折戸の場合、この平歯車22a,22bの歯の範囲は原理的にはその円周の90°分で間に合う。しかし、本実施形態では、折戸の開閉方向を内開き、外開きの何れに設定しても同一の平歯車22a,22bを使用でき、その汎用性が得られるように「90°+90°」の180°分の歯を形成している。また、余裕分のα°の歯は例えば10°程度の最低限に抑えられ、後述するように、パネル体10a,10bの回転に伴う噛合状態の確実性を保証している。
【0019】
両平歯車22a,22bは互いに噛合状態のまま、薄板状且つT字状の連結板23によってその上端(または下端)側が互いに連結されている。この連結板23の両端部は、平歯車22a,22bに対して回動自在にボルト止めされている。このため、平歯車22a,22b同士は噛合状態のまま連結され、かつ互いに自由に回動(回転)できるようになっている。平歯車22a,22bが回動すると、これに固設している支柱体20a,20bも一体に、その縦方向の中心軸の周りに回動する。なお、平歯車22a,22b(すなわち支柱体20a,20b)は、縦方向には互いにずれないようになっている。
【0020】
一方、連結板23には図4,5に示す如く、その一方の側端中程からT字形状を形成する突片23aが一体に形成されている。連結板23はその突片23aが折戸の折畳み時の外側に向くように、折戸取付時に位置決めされる。突片23aの下方(ユニット上端の場合)または上方(ユニット下端の場合)には図4,5に示すように、阻止手段としての円柱状のバリケード体24が固着状態で垂下または垂設されている。
【0021】
バリケード体24は、2つの平歯車22a,22bが噛合状態で形成する、横方向断が略三角形状の空間をほぼ塞ぐために設けられている。このため、バリケード体24のサイズ(縦長さ、径)はその空間に合わせた値に設定されている。但し、このバリケード体24は平歯車22a,22bとの距離に所定のマージンを有して設けられ、平歯車22a,22bの動きには支障の無いようになっている。
【0022】
また支柱体20a,20bの間隔は、平歯車22a,22bのギヤ高などを適宜に選択することによって、約1mm程度と極めて狭く設定されている。そして、その狭い隙間をさらに無くすために、両支柱体20a,20b間には、折戸の閉状態で封止部材25が介挿されるようになっている。この封止部材25は図4に示す如く、支柱体20a,20bの対向する側面にその縦方向に沿って設けられたモヘヤ、ゴム、ビート(合成ゴム)などの弾力性を有する部材で成る。また、パネル体10a(10b)の壁27a(27b)側にも前述と同様の弾力性のある封止部材28a,28bを取り付けている(図6参照)。
【0023】
一方、2枚のパネル体10a,10bの内、図1における右側のパネル体10bの上下端面には、回転軸32U,32Lが各々固設されている。この回転軸32U,32Lは仮想的に縦方向の同一軸を形成している。この内、上端部の回転軸32Uは回転軸アーム33に結合され、この回転軸アーム33が折戸1の上部壁面内に設けられたスライドレール34内に固設されている。回転軸アーム33は、回転軸32U、すなわちパネル体10bの縦方向位置を調整可能になっている。また下端部の回転軸32Lは床の所定位置に形成された受部で回動自在に支持されている。
【0024】
また、図1における左側のパネル体10aの上端面には別の回転軸35が固着されている。この回転軸35は、上記スライドレール34に収容され且つ摺動自在な4輪スライドローラ36に回転自在に支持されている。なお、回転軸32U,35ならびに回転軸アーム33及び4輪スライドローラ36については、例えば実公平7−24544号に記載のものを使用できる。
【0025】
本実施形態の折戸は以上のように構成され、機能する。このため、一方のパネル体10aの取手37(図1参照)を同図の右側に引くことにより、パネル体10a,10bは蝶番ユニット11を中心に蛇腹状に折れ曲がりながら、4輪スライドローラ36が回転軸32U側に移動し、図6中の仮想線で示すドア開状態となる。
【0026】
反対に、ドア開状態から取手37を図1中の左側に引くと折戸1を閉めることができ、図示しないストッパにより図6の実線で示す閉状態となる。
【0027】
図6に示す如く、平歯車22a,22bの軸方向中心位置がパネル体10a,10bの板厚方向の中心位置を通る中心線Lo 上に在るため、この開閉動作に伴う蝶番ユニット11の仮想的な折れ曲がり中心Coの位置も、その中心線Lo上に在る。これにより開閉時のパネル体10a,10bの端部の移動軌跡が従来とは異なり、外側にはみ出すことはない。したがって、壁27a,27bとパネル体10a,10bとの間の隙間Wa,Wbを極めて小さく設定することができる。
【0028】
このため、隙間隠しのカバーなどを付けなくとも、仕切性を格段に向上させることができる。また、ドア開状態における支柱体20a,20b間の隙間Woはほぼ零となり、デッドスペースは殆ど無くなるから、ドア開時により広い通路などを確保できる。
【0029】
さらにドア閉状態における壁27a,27bとパネル体10a,10bとの間の隙間、およびパネル体10a,10b間の隙間は元々極めて小さいが、さらに封止部材28a,28b,25によって殆ど完全に封止される。これにより、従来に比べて格段に良好な仕切性が達成される。
【0030】
なお、封止部材28a,28b,25は必ずしも設けなくてもよい。というのは、これらの隙間は従来のものと比べても上述したように元々小さいから、封止部材が無くても仕切性は優れたものとなる。
【0031】
一方、人の指などをパネル体間に挟むという問題も殆ど完全に解消できる。ドア開時での支柱体20a,20bの隙間は殆ど零となり、その状態はドア閉時となっても変わらない。従来のようにドア開時にパネル体間に比較的広い隙間ができ、ドア閉時にその隙間が挟まるから指などを挟む心配があった訳で、本実施形態のように最初から隙間が殆ど無ければ、指や物を挟み込むという心配も無い。さらに、平歯車は支柱上端部および下端部の極めて限られた部位のみに設けているので、この歯車が、係る挟み込みに関与することも殆ど想定されない。これに加えて、本実施形態では、蝶番ユニット11の上下端の平歯車22a,22bの折曲がり方向外側には図7に示すように常にバリケード体24が位置している。このため、指や物自体が平歯車の噛合入口に接近するということ自体が排除され、従来指摘されていた指詰めの問題も殆ど完全に解消される。特に、このバリケード体24の効果は、床面上に位置する下端側の平歯車に対して大きく寄与する。
【0032】
さらに本実施形態では、全体蝶番の構造でありながら、上下2ヶ所の局部的な平歯車の噛合によってパネル体が開閉するので、スムーズで安定した開閉動作が得られるとともに、ゴミ詰りなども簡単に除去でき、保守も容易である。
【0033】
このため、本実施形態の蝶番ユニットの適用範囲は広く、その用途の一例を挙げると、店舗入口や一般住宅入口の折戸,一般住宅の通路用,部屋用,トイレ用,格納戸用,風呂場用などの折戸,電動壁,電動車庫用の折戸、さらには電話ボックス用の折戸など、多岐に亘る。
【0034】
(第2の実施形態)
上述した実施形態では手動式の折戸を例示したが、前記スライド軸を電動モータなどを有する駆動機構で駆動することで、容易に電動式の折戸にも実施できる。
【0035】
図8及び図9には本発明の第2の実施形態としての電動式折戸40の一例を示す。この電動式折戸40は2つのパネル体10a,10bと、本発明を実施した蝶番ユニット11とを備えており、これらは第1の実施形態と同様に構成されている。
【0036】
パネル体10a,10bの内、図8における右側のパネル体10bの壁面側下端角部には四角形状に切除された切欠き部41が形成されている。この切欠き部41の位置には交流タイプのトルクモータ42が縦置き状態で固設されている。つまり、トルクモータ42は図9に示すように、そのフレンジ42aがナット止めにより壁面27bに固設される。
【0037】
トルクモータ42の本体カバー42bは、その外周表面が断面半円状に形成され、縦置き状態では折戸の外側および内側に同一径の丸み部が位置するようになっている。
【0038】
さらにトルクモータ42はその内部に図示しないモータ本体、減速機、リミットスイッチなどを有しており、減速機からモータ出力軸42cが延設されている(例えば実公平7−24544号公報参照)。この出力軸42cは切欠き部41の上側のパネル体内部に設けたピボットアーム43に結合している。このため、モータ本体の回転がピボットアーム43を介してパネル体10bに伝えられ、パネル体10bがモータ出力軸42c及びパネル体上端面の回転軸32Uとを同一回転軸として、この回転軸周りに回転可能になっている。
【0039】
トルクモータ42がパネル体10bの折戸開方向に相当する所定方向に回転すると、パネル体10bがその方向に回転するので、これに付勢されて相手のパネル体10aが蝶番ユニット11を介して引き寄せられながら回転し、折戸40が開となる(図6参照)、トルクモータ42がそれとは反対方向に回転すると、パネル体10bがそれまでとは反対方向に回転し、これに対応して相手のパネル体10aが押されながら反対方向に回転し、これにより折戸40は閉まる(図6参照)。
【0040】
またトルクモータ42の回転を制御するため、ドア入口の上部壁面や側面には、光センサ44や手動押釦スイッチ45が設けられている。これらのセンサ信号及び/又はスイッチ信号はコントローラ46に与えられる。コントローラ46は例えばCPUシステムやシーケンス回路により構成され、入力するセンサ信号やスイッチ信号に応答してトルクモータ42を正転または逆転させる回転駆動信号を与える。これにより、トルクモータ42の回転方向が制御される。なお、この折戸40を取り付ける場所に応じて開閉制御のセンサやスイッチの位置、数は任意に設定できる。
【0041】
このように歯車式の蝶番ユニット11を用いた折戸40を自動又は/及び半自動でスムーズに開閉でき、第1の実施形態で得られたのと同一の利点を享受できる。
【0042】
さらに、トルクモータ42のカバー42bの外周面を折戸外側、内側の両サイドに丸みを付けた構成としているため、適用する折戸の開き方向が左開きか、右開きかを気にせず同一のトルクモータ42を使用できる。この第2実施形態の場合、左開き(図9の矢印A参照)であるが、このトルクモータ42を右開き(図9の矢印B参照)の折戸にも同一に使え、非常に汎用性が高くなる。
【0043】
つまり、業者は折戸の開き方向に応じて異なるカバー形状のトルクモータを別々に在庫したり、製造する必要がなくなり、したがってより安価な折戸システムを提供できる。
【0044】
これと同時に、左開き、右開きの両方の折戸システムに対して切欠き部41とトルクモータ42の隙間Wcut (図9参照)を最小限に設定できるため、閉時の仕切り性も高められる。
【0045】
なお、前記実施形態ではパネル体の材質を木製としたが、例えばアルミニウム製のドアにも適用できる。
【0046】
さらにまた、本発明に係る歯車は前述したように支柱体の上下端に各別に設ける態様に限定されるものではなく、例えばドアが軽い場合などは上下端の何れか一方にのみ設けるようにしてもよい。
【0047】
さらに本発明の蝶番ユニットは、パネル体が3枚以上連続する折戸システムにおける、各々のパルル本体間に同時に適用することも勿論可能である。
【0048】
一方、本発明に係る阻止手段としてのバリケード体24は、前述した各実施形態で示した円柱状のものに限定されない。例えば図10に示すように、2つの平歯車22a,22bの露出している歯列面全部を覆う形状の肉厚の部材に形成してもよい。同図では平歯車22a,22bの歯列面に沿って近接かつ湾曲させた形状とし、歯列面に指や物が入り込む可能性を殆ど完全に排除できる。また、単に薄い板体をバリケード体として使用することもできる。
【0049】
さらに、適用するドアシステムは折戸に限らず、例えば一方が固定された壁などの固定体とパネル体との間のドアシステム、すなわち開き戸に本発明の蝶番ユニットを応用することも可能である。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の蝶番ユニットおよびこの蝶番ユニットを用いたドアシステムによれば、支柱体,歯車,および連結体を主要部とする簡単な構造ながら、開状態から閉状態に移行するときの物の挟み込みを殆ど完全に無くすることができ、汎用性が高く、開状態におけるデッドスペースを減らし、さらには閉状態での封止性能を上げて仕切性を向上させることができるという優れた効果を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の蝶番ユニットおよび手動折戸の一例を示す正面図。
【図2】図1中のII−II線に沿った平面図。
【図3】蝶番ユニットの正面図。
【図4】蝶番ユニットの歯車部分の部分拡大図。
【図5】図4の歯車部分の平面図。
【図6】折戸の開閉動作を説明する図。
【図7】バリケード体の機能を説明するための平面図。
【図8】本発明の第2の実施形態の蝶番ユニットおよび電動折戸の一例を示す正面図。
【図9】図8中のIX−IX線に沿った部分断面図。
【図10】バリケード体の別の例を示す図。
【図11】従来の1点支点の蝶番の例を示す動作図。
【図12】従来の2点支点の蝶番の例を示す動作図。
【図13】従来の全体蝶番の例を示す部分動作図。
【符号の説明】
1 折戸(ドアシステム)
10a,10b パネル体
11 蝶番ユニット
20a,20b 支柱体
21a,21b 固定軸
22a,22b 平歯車(歯車)
23 連結板(連結体)
23a 突片
24 バリケード体(阻止手段)
Claims (4)
- 複数枚のパネル体と、
前記パネル体の各々の互いに対向する縦方向の側面に各別に取り付けられる2本の支柱体と、この2本の支柱体の軸方向の上端面および下端面の少なくとも一方の前記パネル体の厚さの中心軸上のそれぞれの位置に互いに噛合可能に各別に取り付けられた2つの歯車を対とする歯車列と、この歯車列を形成する前記の2つの歯車同士を互いに回動可能に連結する連結体とを有し、前記パネル体同士を蛇腹状に開閉自在に連結する蝶番ユニットと、
前記複数のパネル体の内吊り元側に位置するパネル体の、開閉時における回転軸近傍に切欠き部が設けられ、該切欠き部内に収まって、その出力軸が前記回転軸と一致するように隣接する壁体に固設されたモータと、
を備えたことを特徴とするドアシステム。 - 前記蝶番ユニットは、前記歯車列を形成する前記2つの歯車間への物体の侵入を阻止する阻止手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のドアシステム。
- 前記歯車は平歯車であって、この平歯車の歯の形成範囲は実質的にその円周の半分の範囲であることを特徴とする請求項1記載のドアシステム。
- 前記モータは、トルクモータであることを特徴とする請求項1記載のドアシステム。
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