JP3736949B2 - 温度調整装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、床、壁、天井等の対象物に配置して、屋内若しくは室内等の温度の調整をするための温度調整装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば屋内を暖房するために、この種の温度調整装置が図14と図15のように床SFに配置される。この種の温度調整装置1000は、面状に広がるマット部材1001と、このマット部材1001のほぼ全面に配置される温水パイプ1002を備えている。そして、マット部材1001の上面には伝熱部材1003が配置されており、温水パイプ1002に通る温水の熱は、この伝熱部材1003を通して、伝熱部材1003の上にある床面を暖房するようになっている。
【0003】
従来のマット部材1001は、補強のために数本の補強部材1004を備えており、これらの補強部材1004は、マット部材1001の切り欠き部1004の中に単に嵌め込まれる構造である。
ところで、この種の温度調整装置は、例えば暖房の用途に用いられる場合には温水マット等と呼ばれているが、その温度調整装置1000を梱包して、施工しようとする対象物まで搬送する場合には、図16のように巻く。つまり、温度調整装置1000の伝熱部材1003側を外側になるようにして、この温度調整装置1000のマット部材1001がロール状に巻かれる。
【0004】
ところが、このような温度調整装置1000を図16のように巻いた状態で施工現場に搬送し、温度調整装置1000の巻き状態を解除して、この温度調整装置1000を広げると、図17に示すように、伝熱部材1003が下側になり、マット部材1001が上側にきてしまう。図16のように、伝熱部材1003を外側にして巻くのは、補強部材1004が外側に飛び出て脱落してしまうのを防ぐようにするためである。図16のような従来の温度調整装置の巻き方では、上述のように図17に示すように伝熱部材1003側が下側になり、マット部材1001が上側になってしまうので、実際に図15のように例えばスラブ面SFに対してその温度調整装置1000を施工しようとする場合には、図17の状態から図15に示すように伝熱部材1003が上側になるように作業者が施工現場で裏返す必要がある。
しかし、このような温度調整装置1000の面積が大きい場合には、このような裏返す作業が大変である。
【0005】
そこで、図18のように図16とは逆の方向に温度調整装置1000を巻く場合、即ち、伝熱部材1003が内側になるように巻いていくと、各補強部材1004が、マット部材1001の切り欠き部1005から脱落してしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図16或いは図18に示すような状態で温度調整装置1000を巻き取ってしまうと、中央部に大きな空間SPができてしまうのが避けられない。従って、温度調整装置1000をこのようなほぼ渦巻き状態に巻き取った状態で、梱包して搬送する場合には、その専有スペースが大きく、倉庫等に保管している場合であっても、転がってしまったり、段積みすることが難しい。
そこで、本発明上記課題を解消し、コンパクトに折り畳むことで、容易に梱包及び搬送を行うことができる温度調整装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、本発明にあっては、対象物に設定することで周囲温度を調整するための温度調整装置であり、対象物に設定するための第1面と、この第1面とは反対側の第2面を有する板状の断熱部材と、断熱部材の第1切り欠き部に配置される第1補強部材と、断熱部材の第2の切り欠き部に配置される第2補強部材と、断熱部材に配置されて熱媒体を循環するための熱媒体案内部材と、断熱部材の第2面に固定されて、熱媒体案内部材を通る熱媒体の熱を伝熱する伝熱部材と、断熱部材を折り畳む際に、断熱部材の第1面同志を対面させた状態で断熱部材を第1切り欠き部付近で折り曲げ可能で、且つ断熱部材の第2面側同志を対面させた状態で断熱部材により、達成される。
【0008】
本発明では、板状の断熱部材が、対象物に設定するための第1面と、この第1面とは反対側の第2面を有している。第1補強部材は、断熱部材の第1切り欠き部に配置され、第2補強部材は断熱部材の第2切り欠き部に配置される。
熱媒体案内手段は、断熱部材に配置されて熱媒体を循環する。伝熱部材は、断熱部材の第2面に固定されて、熱媒体案内部材を通る熱媒体の熱を伝熱するようになっている。
そして、断熱部材を折り畳んで、梱包或いは搬送するような場合には、断熱部材の第1面側同志を対面させた状態で、断熱部材を第1切り欠き部付近で折り曲げ、且つ断熱部材の第2面側同志を対面させた状態で、断熱部材を第2切り欠き部付近で折り曲げることができるようになっている。
このようにすることで、第1補強部材と第2補強部材があっても、断熱部材はほぼジグザグ状に折り重ねて畳むことができるので、中間部分に空間が形成されてしまうような従来の温度調整装置とは異なり、専有スペースを小さくでき、しかも保管時や搬送時において転がるような現象が発生せず、積み重ねて保管或いは搬送することが可能である。
【0009】
本発明において好ましくは、断熱部材を折り畳む際に、断熱部材の第1面側同志を対面させた状態で断熱部材を第1切り欠き部付近で折り曲げるために、第1補強部材を第1切り欠き部から取り出し可能で、且つ断熱部材の第2面側同志を対面させた状態で断熱部材を第2切り欠き部付近で折り曲げるために、第2補強部材が伝熱部材側に位置される。
本発明では、断熱部材を第1切り欠き部付近で折り曲げるために、第1補強部材を第1切り欠き部から取り出すだけですみ、同様にして断熱部材を第2切り欠き部付近で折り曲げるために、第2補強部材を断熱部材側に位置させるだけで良い。これにより、簡単に作業者が断熱部材を折り畳むことができる。
【0010】
本発明において好ましくは、第1切り欠き部における熱媒体案内部材は、伝熱部材の内側に配置されて、第1補強部材は粘着材により断熱部材に固定されており、断熱部材を展開した際に第1補強部材は第1切り欠き部に嵌め込み可能である。
第1切り欠き部における熱媒体案内部材が、伝熱部材の内側に配置されており、第1補強部材は粘着材により断熱部材に固定されていて、断熱部材を展開した際には、第1補強部材は第1切り欠き部に嵌め込み可能になっていることで、熱媒体案内部材は、伝熱部材の内側に沿って大きく湾曲することが可能である。しかも、第1補強部材を粘着材により断熱部材に固定されており、断熱部材を折り畳んだ状態から展開した際には、第1補強部材を第1切り欠き部に嵌め込むだけで、簡単に温度調整装置を組み立てることができる。
【0011】
本発明において好ましくは、第2切り欠き部における第2補強部材は、断熱部材に対して粘着材により保持されている。第2切り欠き部における第2補強部材が、断熱部材に対して粘着材により保持されているので、断熱部材を折り畳んだ状態でも第2補強部材が断熱部材から離脱することがない。
本発明において好ましくは、粘着材が伸縮可能であるので、断熱部材を折り畳む際に、断熱部材を第2切り欠き部付近で折り曲げる動作が第2補強部材を第2切り欠き部に配置した状態であっても、スムーズに行うことができる。
【0012】
本発明において好ましくは、断熱部材を折り畳む際に、断熱部材の第1面側同志を対面させた状態で断熱部材を第1切り欠き部付近で折り曲げるために、第1補強部材を第1切り欠き部内に位置させ、第1補強部材の付近にある断熱部材の近傍部分が第1切り欠き部内から取り出し可能である。
断熱部材を折り畳む際に、断熱部材を第1切り欠き部付近で折り曲げるために、第1補強部材を第1切り欠き部内に位置させて、第1補強部材の付近にある断熱部材の近傍部分が第1切り欠き部内から取り出し可能になっているので、この近傍部分のみを取り出せば、第1補強部材を第1切り欠き部内から取り出さずに位置させたままで、断熱部材を第1切り欠き部付近で折り曲げていくことができる。そして、再び断熱部材を展開する場合には、この断熱部材の近傍部分を第1切り欠き部内側に嵌め込めばすむ。
【0013】
本発明において好ましくは、断熱部材の近傍部分は、断熱部材から離脱可能である。断熱部材の近傍部分から離脱できるようになっていれば、簡単に断熱部材を第1切り欠き部で折り曲げることができる。
本発明において好ましくは、断熱部材の近傍部分は、断熱部材に対して粘着材により保持可能である。断熱部材の近傍部分が、断熱部材に対して粘着材により保持できるようになっていれば、近傍部分を断熱部材側に常に保持させておくことができるので、近傍部分の紛失を防ぐことができる。
【0014】
本発明において好ましくは、断熱部材の近傍部分には、伝熱部材と対面する位置に離型材が配置されている。断熱部材の近傍部分に離型材を配置すれば、伝熱部材と対面する近傍部分は、離型材の作用により簡単に離すことができる。
本発明において好ましくは、断熱部材に対して第1補強部材を位置きめするための位置決め部材を有する。第1補強部材が、位置決め部材により断熱部材に対して位置決めできるようにしておけば、近傍部分を断熱部材から取り外しても、第1補強部材が第1切り欠き部部分内でずれてしまうことがない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
図1は本発明の温度調整装置の好ましい実施の形態を示す斜視図であり、図1の実施の形態では、特に床暖房装置としてこの温度調整装置が使われている例を示している。
図2は、図1の温度調整装置10を示す平面図であり、図3は図2の温度調整装置10の一部分を示す断面図である。
【0016】
図1に示す温度調整装置10は、床暖房用の温水暖房装置であり、例えば建物の床スラブSFの上に配置される。床スラブSFは、例えば鉄筋コンクリートの集合住宅の住戸の床スラブである。この床スラブSFには、温度調整装置10以外の領域にはダミーの構造用合板28が配置されている。
温度調整装置10は、断熱部材であるマット12、熱媒体を案内する案内部材としての複数本のパイプ14、補強部材としての複数本の小根太16a,16b(以下、補強部材という)、補強部材の脱落阻止部材としてのテープ33(図3参照)、伝熱部材であるアルミ箔18(図1参照)等を有している。
【0017】
マット12は、図1及び図2に示すようにほぼ長方形状になっており、マット12の図3に示す厚みd1は、例えばほぼ12mmになっている。しかも、補強部材16a,16bの厚みもほぼマット12の厚みd1と同様に設定されている。マット12は、例えば断熱機能を有する発泡ポリエチレンホーム(例えば発泡率が20倍)やポリスチレンホーム等により作られている。各パイプ14は、図3に示すようにマット12内に平行に埋め込まれており、例えば架橋ポリエチレン管、ポリプロピレン管や金属管を使用することができる。マット12は、第1面12aと第2面12bを有しており、パイプ14はマット12の第2面12b側の溝に埋め込まれている。
アルミ箔18は、マット12の第2面12bとパイプ14を被覆するようにして接着剤等により第2面12bに固定されている。このアルミ箔18は、パイプ14に通る例えば温水の熱を、図1のフローリング32側に熱伝導する役目を果している。尚、図1のアルミ箔18には、補強部材16a,16bの位置を表すマーク18aが入っている。
【0018】
このパイプ14の形状は、円形形状或いは楕円形状或いは矩形状等多様な形状を採用することができる。
パイプ14は、図2のようにマット12のX方向及びY方向に沿って配置されており、複数本のパイプ14が平行でほぼジグザグ状にしかも補強部材16a,16bにほぼ平行になっている。これらのパイプ14は、熱媒体の供給回収手段であるヘッダー部30に接続されている。このヘッダー部30は、パイプ14に対して、温水を供給して戻ってきた低温の温水を回収して外部の例えば給湯器等に導くようになっている。具体的には、パイプ14は、各補強部材16a,16bに平行に通り、且つ補強部材16a,16bの端部の付近の領域AR付近を迂回するようにしてジグザグ状に引き回されている。
【0019】
補強部材16a,16bは、図2のようにマット12の切り欠き部12eの中に嵌め込まれている。補強部材16aは、マット12のほぼ全面にわたって互いに平行に交互に配列されている。マット12の上辺から下辺に対して、複数本の補強部材16aが配列されている。これらの補強部材16aの先端側は下辺に達しないように、領域ARを残してマット12の領域ARを残している。補強部材16bは、補強部材16aに対してLの間隔をおいて平行に配列されており、やはり補強部材16bの先端部は、上辺に達しないように一定の領域ARを残している。これらの領域ARにも、既に平行にパイプ14が通っている。補強部材16a,16bはマット12の補強の役割を果たす。この温度調整装置10が、木造の床構造の上に配置される場合には、床構造の根太に、補強部材16a,16bが一致する場所にある。
【0020】
ヘッダー部30から導入された温水は、先ずマット12の全面を通過して、アルミ箔18を通してフローリング32に対して熱を伝える。これにより、マット12の前面にわたって均等にフローリング32に対して温水暖房することができる。
【0021】
図3は、図2の温度調節装置10におけるA−Aにおける断面の一例を示している。
図3において、断熱部材12に形成されている第1切り欠き部12eと第2切り欠き部12fは、既に述べたように図1と図2に示す通りに平行に所定間隔Lをおいて形成されている。断熱部材12は、第1面12aと12bを有している。第1面12aは、例えば床スラブSFに対して設定される面である。断熱部材12の第2面12bには、伝熱部材である例えばアルミ箔18が例えば接着剤により固定されている。
【0022】
断熱部材12の第1切り欠き部12eには、第1補強部材16aが配置されており、第2切り欠き部12fには第2補強部材16bが配置されている。第1補強部材16aと第2 補強部材16bのそれぞれの厚さは、断熱部材12の厚さd1とほぼ同じに設定されている。
【0023】
第1補強部材16aの上面16gと、アルミ箔18の内面の間には、接着剤が塗布されておらず、第1補強部材16aは、アルミ箔18から自由に離脱することができる。一方、第2補強部材16bの上面16hは、アルミ箔18の内面に対して、接着剤により固定されている。
【0024】
図3に示す温度調整装置が、図5及び図6に示すようにほぼジグザグ状にコンパクトに折り畳むことができるように、次のような工夫が施されている。
図3の第1補強部材16aは、断熱部材12に対して、粘着材88により取り付けられている。同様にして、第2補強部材16bは、粘着材89を用いて断熱部材12に対して固定されている。
図3の第1切り欠き部12eの付近が第1折り曲げ部180となっており、第2切り欠き部12fの付近で第2折り曲げ部190となっている。それらの第1折り曲げ部180と第2折り曲げ部190を用いて、図5と図6に示すように温度調整装置10が、ジグザク状に小さくコンパクトに折り畳むことができる。
【0025】
図4は、図1に示した領域ARの付近を示しており、第1補強部材16a或いは16bの先端部分16sの付近を示している。
領域ARにおいては、熱媒体案内部材であるパイプ14が、平行に且つ所定間隔をおいて通っている。これらのパイプ14はアルミ箔の内面18aに沿って密着しており、パイプ14の配列方向は、第1補強部材16a、第2補強部材16bの長手方向と直交する方向である。この領域ARにおいて、先端部16sの付近では、断熱部材の一部分は除去されているのが好ましい。
【0026】
次に、図3、図5、図6を参照して、温度調整装置10の折り曲げる方式について説明する。
図5と図6において、この温度調整装置10の断熱部材12を折り畳む際には、断熱部材12の第1面12a,12a同志を対面させた状態で、断熱部材12を第1切り欠き部12eの付近の第1折り曲げ部180で折り曲げて、且つ断熱部材12の第2面12b,12b同志を対面させた状態で、断熱部材12を第2切り欠き部12fの付近の第2折り曲げ部190で折り曲げることで、温度調整装置10を、ジグザグ状に折り畳むことができるようになっている。
【0027】
この温度調整装置10の折り畳み方式について更に詳しく説明すると、既に図3を参照して説明したように、第1補強部材16aと、断熱部材12は、粘着材88により固定されており、第2補強部材16bは、断熱部材12に対して粘着材89により固定されている。
【0028】
図6のαの第1折り曲げ部180は、図7で拡大して示しており、図6の第2折り曲げ部190を示す部分βは、図8に拡大して示している。
図7と図3を参照すると、第1折り曲げ部180に位置している第1補強部材16aは、断熱部材12に対して粘着材88により固定されており、第1折り曲げ部180において、断熱部材12が折り曲げられる場合には、第1補強部材16aは第1切り欠き部12eから退出して、しかも粘着材88により一方の断熱部材12に対して保持できるようになっている。
またパイプ14は、第1補強部材16aが退出したことにより、アルミ箔18の内面18aに沿って大きく湾曲することができるので、このパイプ14が破損するようなことはない。
図7の状態のように、断熱部材12を第1折り曲げ部180において折り曲げると、断熱部材12の第1面12a同志が対面する状態となる。
これに対して、図8及び図3を参照すると、第2折り曲げ部190においては、断熱部材12に対して第2補強部材16bが例えば接着剤により固定されている。しかも、第2補強部材16bの端面16y,16j,16kは、断熱部材12の端面12p,12qに対して粘着材89により一体化されている。
これにより粘着材12の第2面12b,12bが対面(即ちアルミ箔18,18が対面する)するようにして折り曲げると、第2補強部材16bは図5及び図6に示すように、表側に飛び出るようにして位置されることになる。
【0029】
このような要領で、図1乃至図3に示す温度調整装置10は、図5乃至図8に示すように、順次ジグザグ状にコンパクトに折り畳んでいることができる。折り畳んだ際には、パイプ14は図7に示すように、アルミ箔18の内面に沿って大きな曲率で曲げることができるので、パイプ14の破損が生じない。
また図7のように第1補強部材16aは、粘着材88により断熱部材12側に保持しておくことができるので、第1補強部材16aを紛失するようなことがない。同様にして第2補強部材16bも図8に示すように、粘着材89により断熱部材12側に固定しておくことができるので、第2補強部材16bの紛失を防ぐことができる。
【0030】
次に、図3乃至図8を参照して、温度調整装置10の折り畳み手順及び温度調整装置10を展開する手順について説明する。
図1乃至図3に示すような温度調整装置10は、梱包したり、保管或いは搬送する場合に、図5及び図6のようにジグザグ状に折り畳む必要がある。このように折り畳むようにすることで、従来のように螺旋状又はロール状に巻いていくのに比べて、中間部分に空間ができてしまうのを防ぐことができるので、よりコンパクトにできるからである。
【0031】
先ず、図5及び図6に示すように温度調整装置10を折り畳む手順について説明する。
図1乃至図3に示すように既に作られた温度調整装置10は、平板状になっているが、これを図5及び図6のように折り畳むには、第1折り曲げ部180において、第1補強部材16aを第1切り欠き部12eの中からR1方向に回転して取り出す。この場合に第1補強部材16aは、粘着材88により断熱部材12側にしっかりと固定されている。このようにした後に、図5乃至図8に示すように、第1折り曲げ部180と第2折り曲げ部190を交互に折り曲げていくことで、図7と図8のような状態を作り出す。即ち、第1折り曲げ部180においては、既に第1補強部材16aが第1切り欠き部12eから取り出されており、パイプ14は、大きく湾曲されている。
【0032】
これに対して、図6と図8のように第2補強部材16bは、第2折り曲げ部190において、突出した形で、しかも粘着材89により断熱部材12に対してしっかりと固定されている。
以上のようにして、図5及び図6に示すようにジグザグ状に温度調整装置10を折り畳んむことができる。このように折り畳んだ温度調整装置10は、梱包して、保管したり或いは施工しようする場所に搬送することができる。
【0033】
次に、このように折り畳んだ温度調整装置10を施工場所で展開(広げること)をする場合には、作業者が断熱部材12を順次持ち上げて広げてゆき、作業者が第1補強部材16aを第1切り欠き部12e内に戻すだけで、後は第2補強部材16bは自動的に第2切り欠き部12fの中に戻すことができる。従って、作業者は第1補強部材16aのみを第1切り欠き部12eに単に嵌め込むだけで、簡単に図1乃至図3に示すような温度調整装置10の展開状態を再現することができる。
このように広げた温度調整装置10は、図1に示すように床スラブSFの上に設定し、アルミ箔18の上にフローリング32を設定することで、簡単に温度調整装置の設定をすることができる。
【0034】
次に、図9を参照して、図7に対応する本発明の別の実施の形態を説明する。図9において、第1補強部材16aは、粘着材88により、断熱部材12に対して固定されている。ただし、第1補強部材16aの狭い端面16lが、粘着材88を用いて断熱部材12の端面12mに対して取り付けられいる。図9の実施の形態のその他の点については図7の実施の形態と同様である。
【0035】
図10を参照して、本発明の別の実施の形態について説明する。
図10(A)乃至(C)に示すのは、第1補強部材16a或いは第2補強部材16bに近い位置にある断熱部材12の近傍部分12tが、第1補強部材16a或いは第2補強部材16b側から簡単に取り外すことができるようになっている。近傍部分12t,12tは、第1補強部材16a、或いは第2補強部材16bの付近に配置された状態から、矢印R2に示すように取り外すことができる。
このような場合に近傍部分12tが、断熱部材12に対して粘着材188により 取り付けられている。粘着材188を用いて近傍部分12tを断熱部材12に対して取り付けるようにしているのは、図10(B)に示すようにR2の方向に近傍部分12tを回転するだけで取り外すことができ、その状態で保持し、そして組立てる際に再びR2の方向と反対方向に回転するだけで嵌め込むことができるようにするためである。しかも、この粘着材188を用いることで、近傍部分12tが梱包時或いは搬送時に紛失してしまうのを防ぐことができる。
【0036】
図10(A)乃至(C)に示すように、近傍部分12tの面であって、アルミ箔18の内面に対面する位置には離型紙201が設けられている。このように離型紙201を設けることにより、断熱部材12をアルミ箔18の内面に接着剤により固定した場合であっても、離型紙201の作用により近傍部分12tは、アルミ箔18の内面に接着されることがなくなる。従って、温度調整装置10を折り畳む際に、近傍部分12tを図10(A乃至C)に示すように簡単に第1切り欠き部12e或いは第2切り欠き部12fから除去することができる。
図10(C)に示すように、温度調整装置10を折り畳んだ状態では、第1切り欠き部12e内に第1補強部材16aが、綴じ込められた状態で断熱部材12を折り曲げることができる。
【0037】
次に、図11の本発明の別の実施の形態おいては、図10の実施の形態と異なり、近傍部分12tが完全に断熱部材12から取り外すことができるようになっているものである。
図10(A)では、離型紙201を介してアルミ箔18の内面側に近傍部分12tが配置されている。しかし、図11(B)に示すようにこの近傍部分12tが取り除かれると、図11(C)に示すように、切り欠き部分12eの中には第1補強部材16aが綴じ込まれた状態で、断熱部材12が確実に折り曲げることができる。
【0038】
図12の実施の形態は、図11或いは図10の実施の形態において、適応される実施の形態であり、近傍部分12t,12tが断熱部材12から取り除かれた状態で空間SPが形成された場合に、この空間SPのところで第1補強部材16aが矢印U方向に移動してしまうのを防ぐために、位置決め部材230を設けた例である。この位置決め部材230は、例えばテープ状或いはテープ状の粘着材等を用いることができる。この位置決め部材230は、第1補強部材16aの一方の面16pと、断熱部材12の第2面12bとの間に貼り付けられており、これにより第1歩強部材16aは、U方向に移動することがなくなる。
これにより、図1における隣接する第1補強部材16a、第2補強部材16b間の間隔Lの変化を無くすことができる。
【0039】
図13(A)、(B)は、図3における第2折り曲げ部190の他の例を示し、図13(C)及び(D)は、第2折り曲げ部190の更に別の実施の形態を示している。
先ず、図13(A)、(B)においては、伸縮可能なテープ状の粘着材388が、第2補強部材16bを断熱部材12,12に対して12,12の第1面12aに対して粘着している。
図13(A)、(B)に示すように、第2折り曲げ部190が形成されると、伸縮可能な粘着材388は、伸びて、断熱部材12,12の間において第2補強部材16bを確実に保持することができる。しかも、このように折り曲げた状態で、図3のように温度調整装置10を展開した場合に、この伸縮自在な粘着材388の引張力により、より確実に展開することができる。
図13(C)、(D)においては、第2補強部材16bの端面と、この端面に対面する断熱部材12の端面の間にそれぞれ粘着材488が配置されている。このように粘着材を配置することにより、図13(D)に示すように第2折り曲げ部190を形成した状態では、第2補強部材16bは、断熱部材12,12の間で粘着材488,488を用いて、確実に保持することができる。
【0040】
ところで本発明の実施の形態に限定されない。
例えば補強部材としての補強部材は、木、硬質プラスチック、ゴム、その他材料により作ることができる。特に、ゴムを用いると振動を防ぐことで有利である。パイプには、加熱された熱媒体として温水を供給して、床や天井或いは壁等の屋内の周囲温度を暖房することができるが、これに限らず、温度調整熱媒体を案内する手段として、パイプに冷水等の冷媒を導くことで、温度ムラのない冷房装置としても用いることができる。
熱媒体は、水に限らず他の種類の液体又は気体を採用することもできる。温度調整装置が床スラブのような対象物に配置される場合には、床スラブに限らず木工造の床に配置することもできる。温度調整装置は、床に限らず、金属製、木製、或いはコンクリート製の建物の壁或いは天井その他の部分に配置することもできる。例えば温度調整装置を天井に配置する場合には、熱を伝える空間は室内のみならず、その裏側である屋根裏側に設けるようにしても良い。これにより、屋根裏の結露を防止することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、コンパクトに折り畳むことで、容易に梱包及び搬送を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の温度調整装置の好ましい実施の形態を示す斜視図。
【図2】図1の温度調整装置の平面図。
【図3】図2におけるA−Aにおける断面図。
【図4】図2における領域ARの付近を示す斜視図。
【図5】温度調整装置を折り畳んだ状態を示す斜視図。
【図6】図5の温度調整装置を折り畳んだ状態を示す側面図。
【図7】図6のα部分を示す拡大図。
【図8】図6のβ部分を示す拡大図。
【図9】図6のα部分の別の例を示す拡大図。
【図10】本発明の別の実施の形態を示す図。
【図11】本発明の更に別の実施の形態を示す図。
【図12】本発明の更に別の実施の形態を示す斜視図。
【図13】本発明の更に別の実施の形態を示す図。
【図14】従来の温度調整装置を示す斜視図。
【図15】従来の温度調整装置の断面を示す図。
【図16】従来の温度調整装置の巻き取り状態を示す斜視図。
【図17】図16のように巻き取った温度調整装置を展開した状態を示す図。
【図18】図16の温度調整装置を逆向きに巻き取った状態を示す斜視図。
【符号の説明】
10・・・温度調整装置、12・・・断熱部材、16a・・・第1補強部材、16b・・・第2補強部材、12e・・・第1切り欠き部、12f・・・第2切り欠き部、14・・・パイプ(熱媒体案内部材)、18・・・アルミ箔(伝熱部材)、12a・・・断熱部材の第1面、12b・・・断熱部材の第2面、180・・・第1折り曲げ部、190・・・第2折り曲げ部、SF・・・床スラブ(対象物)。

Claims (10)

  1. 対象物に設定することで周囲温度を調整するための温度調整装置であり、
    対象物に設定するための第1面と、この第1面とは反対側の第2面を有する板状の断熱部材と、
    断熱部材の第1切り欠き部に配置される第1補強部材と、断熱部材の第2の切り欠き部に配置される第2補強部材と、
    断熱部材に配置されて熱媒体を循環するための熱媒体案内部材と、
    断熱部材の第2面に固定されて、熱媒体案内部材を通る熱媒体の熱を伝熱する伝熱部材と、
    断熱部材を折り畳む際に、断熱部材の第1面同志を対面させた状態で断熱部材を第1切り欠き部付近で折り曲げ可能で、且つ断熱部材の第2面側同志を対面させた状態で断熱部材を第2切り欠き部付近で折り曲げ可能であることを特徴とする温度調整装置。
  2. 断熱部材を折り畳む際に、断熱部材の第1面側同志を対面させた状態で断熱部材を第1切り欠き部付近で折り曲げるために、第1補強部材を第1切り欠き部から取り出し可能で、且つ断熱部材の第2面側同志を対面させた状態で断熱部材を第2切り欠き部付近で折り曲げるために、第2補強部材が伝熱部材側に位置される請求項1に記載の温度調整装置。
  3. 第1切り欠き部における熱媒体案内部材は、伝熱部材の内側に配置されて、第1補強部材は粘着材により断熱部材に固定されており、断熱部材を展開した際に第1補強部材は第1切り欠き部に嵌め込み可能である請求項2に記載の温度調整装置。
  4. 第2切り欠き部における第2補強部材は、断熱部材に対して粘着材により保持されている請求項2に記載の温度調整装置。
  5. 粘着材は伸縮可能である請求項4に記載の温度調整装置。
  6. 断熱部材を折り畳む際に、断熱部材の第1面側同志を対面させた状態で断熱部材を第1に切り欠き部付近で折り曲げるために、第1補強部材を第1切り欠き部内に位置させ、第1補強部材の付近にある断熱部材の近傍部分が第1切り欠き部内から取り出し可能である請求項1に記載の温度調整装置。
  7. 断熱部材の近傍部分は、断熱部材から離脱可能である請求項6に記載の温度調整装置。
  8. 断熱部材の近傍部分は、断熱部材に対して粘着材により保持可能である請求項6に記載の温度調整装置。
  9. 断熱部材の近傍部分には、伝熱部材と対面する位置に離型材が配置されている請求項6に記載の温度調整装置。
  10. 断熱部材に対して第1補強部材を位置決めするための位置決め部材を有する請求項7乃至9のいずれかに記載の温度調整装置。
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