JP3736928B2 - 有機化合物容器、有機蒸発源、及び真空蒸着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空蒸着技術にかかり、特に、粉体状の有機化合物を蒸発材料として有機薄膜を形成する真空蒸着技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機化合物を無機化合物と比べた場合、反応系や特性が多様であり、また、低エネルギーで表面処理できることから、近年、機能性有機薄膜が着目されている。
【0003】
機能性有機薄膜を利用するものには、有機EL素子、圧電センサ、焦電センサ、電気絶縁膜等、種々のものがあるが、これらのうち、有機EL素子はディスプレイパネルとして利用できることから非常に注目されている。
【0004】
図5の符号aに示したものは有機EL素子の概略構成図であり、ガラス基板である基体bを有しており、この基体b上に、透明導電膜から成るアノード電極膜c、P型の有機薄膜d、N型の有機薄膜e、カソード電極膜fがこの順で形成されている。この有機EL素子aのアノード電極膜cとカソード電極膜fとの間に電圧を印加すると、有機薄膜d、eの界面が発光し、基体bを透過して外部にEL光gを放射させることができる。
【0005】
有機薄膜d、eを形成するためには、その材料となる有機化合物を真空槽内に配置して加熱し、発生した蒸気を成膜対象物に付着させ、その表面に薄膜を形成する真空蒸着技術が用いられている。
【0006】
ところが、真空蒸着装置では、形成する薄膜が金属薄膜等の無機薄膜である場合の方が一般的であり、その金属薄膜の材料となる蒸発材料には、金属物質が用いられている。
【0007】
金属から成る蒸発材料の場合、蒸発温度は600℃〜2000℃程度と高温であるが、有機蒸発材料である有機化合物では蒸気圧が高いため、その蒸発温度は0℃(場合によっては零下)〜400℃の間にある。また、有機化合物は分解しやすいため、特に、分解温度と蒸発温度とが近接した温度であるものも多い。
【0008】
従って、有機化合物を蒸発材料とした場合には、金属蒸発源と異なり、精密な温度制御を行いながら蒸発させられる技術が必要となるが、一般の真空蒸着装置に用いられているエレクトロンビームでは、エネルギーが高すぎ、低温で温度制御できないことから、有機化合物の加熱手段には適当でない。
【0009】
そこで図7(a)に示すような、タングステン製の金属るつぼ102に有機薄膜の材料である有機化合物103を配置し、真空雰囲気内でるつぼ102に通電して加熱し、有機化合物103の蒸気を発生させるものがあった。
【0010】
しかしながら、特に粉体の有機化合物では、真空中では熱伝導が非常に低いため、金属るつぼ102を発熱させると、粉体内部と金属るつぼ102と接触している部分との間の温度差が大きくなりすぎ、蒸発量を安定して制御できないという問題があった。
【0011】
また、粉体状の有機化合物のうち、金属るつぼ102と接触した部分が局所的に過熱状態になると突沸が発生し、粉体が真空槽内に噴出されると形成される有機薄膜に欠陥を発生させてしまう場合もあった。
【0012】
更に、有機化合物のうちには腐食性を有したり反応性の強いものもあるが、そのような有機化合物については、金属製るつぼ102を使用することができなかった。
【0013】
そこで従来技術でも対策が採られており、図7(b)に示すような有機蒸発源112が開発されている。
この有機蒸発源112は、有底円筒形形状の金属製の均熱管115、その均熱管115の周囲に巻回されたマイクロヒータ116、均熱管115とマイクロヒータ116とを収容するケーシング120とを有しており、ケーシング120とマイクロヒータ116の間には、リフレクタ117が配置されている。
【0014】
均熱管115内には、粉体状の有機化合物113を収容した有機化合物容器114が配置されており、その状態で、蒸発口121が設けられた蓋122を被せ、有機蒸発源112が構成されている。
【0015】
この有機蒸発源112は、図8(a)に示すような、蒸着装置130の真空槽131底壁に配置されており、真空槽131の天井側に設けられた基板ホルダー133上に基板134を配置し、真空槽131内部を真空排気し内部を真空雰囲気にする。
【0016】
所定真空度に到達したところで、有機蒸発源112側のシャッター135と、基板134側のシャッター136とを閉じた状態でマイクロヒータ116に通電し、発熱させると、マイクロヒータ116から周囲に向けて放出される赤外線のうち、内方に向かったものは、均熱管115に直接照射され、外方に向かったものはリフレクタ117で反射されて均熱管115に照射される。
【0017】
マイクロヒータ116への通電は、熱電対123を用いて均熱管115の温度を測定しながら行い、有機化合物113が所定の昇温速度で蒸発温度に達するようにする。
【0018】
蒸発温度に達すると、有機蒸発源112側のシャッター135を開け、各有機蒸発源112の蒸発口121から真空槽131内に向けて有機化合物113の蒸気を放出させる。
有機化合物113の蒸気の放出速度は膜厚モニター137で監視しておき、安定したところで基板134側のシャッター136を開け、基板134への有機薄膜形成を開始する。
【0019】
このような有機蒸発源112の有機化合物容器114は、石英が有底円筒形形状に成形されて構成されており、石英は有機化合物とは反応せず、また加熱されても不純物は溶出しないので、有機化合物113の変質や不純物の混入がなく、高品質の有機薄膜を形成することが可能となっている。
【0020】
他方、石英は透明であるため、マイクロヒータ116が放出する赤外線が有機化合物113に直接照射されると、有機化合物113が局所的に過熱状態になり、突沸が発生してしまうので、均熱管115を有機化合物容器114の周囲に配置し、赤外線を遮蔽することが必須であり、また、石英は熱伝導率が低いことから、この均熱管114を設けることにより、有機化合物容器114全体が均一に過熱されるように構成されている。
【0021】
しかしながら低熱伝導率の石英では、均熱管115からはみ出した上端部の放出口付近での温度低下が大きく、一旦発生した有機化合物113の蒸気が、放出口付近で冷却され、図8(b)に示すように、その部分に再付着し、析出物125を発生させてしまうという問題がある。その析出物が成長すると、甚だしい場合には放出口を塞いでしまい、清掃を行わないと有機薄膜形成ができなくなるため解決が望まれていた。
【0022】
他方、近年では、EL素子を大口径化するために、大面積基板に対し、均一な有機薄膜を形成できる技術が求められているが、上述したような有機蒸発源112を用いる場合には、蒸気の放出角度が狭いため、図8(a)に示すように、真空槽131内に多数(この例では縦4個×横4個)配置し、基板134に均一に蒸気が到達するようにし、更に、成膜を行う際に基板134を回転させ、均一な有機薄膜が形成されるようにしていた。このように有機蒸発源112を多数配置するとメンテナンス作業が面倒であり、また、基板134を回転させるための回転機構が必要になることから、その解決が望まれていた。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の不都合を解決するために創作されたもので、その第1の目的は、有機薄膜の材料である有機化合物の蒸気が放出口付近に付着することのない有機化合物容器、有機蒸発源、真空蒸着装置を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、大口径基板に有機薄膜を均一に形成できる有機化合物容器、有機蒸発源、真空蒸着装置を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、有機薄膜の材料となる有機化合物を収容する収容部を有し、加熱されると前記収容部上端の放出口から前記有機化合物の蒸気を放出できるように構成された有機化合物容器であって、前記収容部を複数有することを特徴とする有機化合物容器である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の有機化合物容器であって、前記各収容部は有底深穴形状に形成され、放出口側を外方に向けて傾けられていることを特徴とする有機化合物容器である。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の有機化合物容器であって、前記各放出口は、半球面上に配置されていることを特徴とする有機化合物容器である。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の有機化合物容器であって、カーボングラファイト製、炭化珪素製、又は炭化珪素がコーティングされたカーボングラファイト製であることを特徴とする有機化合物容器である。
請求項5記載の発明は、ヒータと、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の有機化合物容器とを有し、前記ヒータで前記有機化合物容器を直接加熱できるように構成されたことを特徴とする有機蒸発源である。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の有機蒸発源が、少なくとも1個以上真空槽内に配置されていることを特徴とする真空蒸着装置である。
【0025】
上述したような本発明の有機化合物容器のうち、カーボングラファイトや炭化珪素(SiC)で構成されているものは、加熱されても有機薄膜材料と反応せず、また、不純物の溶出もないので、有機薄膜材料が変質したり不純物が混入することもなく、品質の良い有機薄膜を形成することができる。
【0026】
また、カーボングラファイトや炭化珪素の熱伝導率は石英と比べると非常に大きいため、全体を均一に加熱することができる。従って、熱が放出口まで効率よく伝達され、放出口付近でも、有機化合物の蒸気は再付着温度まで冷却されることはなく、析出物は発生しない。
【0027】
また、カーボングラファイトや炭化珪素は赤外線を透過せず不透明であるので、ヒータが放射する赤外線は、内部に収容した有機化合物には直接照射されず、均熱管を設けなくても局部的に過熱状態になることもない。また、均熱管を設けない分熱容量が小さくなり、温度制御製が向上する。
【0028】
ところで、真空蒸着装置によって金属薄膜を形成する場合には、真空槽内に放出された金属蒸気は、蒸発源から基板に向けて直進することが知られている。それに対し、有機化合物の蒸気を真空槽内に放出させた場合には、有機化合物蒸気は拡散に近い状態で基板に到達することが知られており、そのため、均一な薄膜を形成し易いと言われている。しかし、大面積基板では、有機蒸発源に近いところと遠いところとで膜厚に差が生じ、有機薄膜が不均一なものになりやすい。
【0029】
特に、粉体状の有機化合物を蒸発源にする場合には、粉体を構成する粒子間の接触面積は小さく、更に、真空中では粉体中に含まれる気体による熱伝導もないので、粉体全体の熱伝導率は非常に小さいものとなる。従って、大きな収容部内に粉体状の有機化合物を収容した場合には、容器壁面近くの有機化合物だけが加熱され、中央付近は加熱されにくいため、有機化合物の蒸気を均一に安定して放出させることができない。
【0030】
本発明の有機化合物容器では、収容部を複数としたので、1個1個の収容部を小径にすることができる。従って、有機化合物と容器壁面との接触面積が増加し、有機化合物全体を効率よく加熱することができるので、各収容部の放出口から真空槽内に有機化合物蒸気が均一に放出され、大面積基板表面に均一な有機薄膜を形成することが可能となる。
【0031】
この場合、有機化合物容器を、カーボングラファイトや炭化珪素等の熱伝導率の高い材料で構成しておくと、各収容部内の有機化合物への熱伝導が高まり、また、有機化合物蒸気放出の均一性が一層向上して好ましい。
【0032】
更に、このような収容部を有底深穴形状とし、上端部の放出口側が外方に向くように各収容部を傾かせると、有機化合物蒸気の真空槽内への放出角度が広がり、真空槽内に均一に有機化合物蒸気が充満するようになるので、有機薄膜の均一性がより一層向上する。
この場合、特に、各放出口を半球面上に配置しておくと、更に有機化合物蒸気の放出角度が広がって好ましい。
【0033】
以上説明した有機化合物容器では、均熱管が不要である分熱容量が小さくなるので、ヒータに対する熱追随性が良く、また、有機薄膜材料蒸気の放出速度が一定になるまでの時間が短い。その実験結果をグラフを用いて説明する。
【0034】
図6の横軸は加熱時間、縦軸は成膜速度である。この図6のグラフのうち、符号L1で示した曲線が、本発明の有機化合物容器(カーボングラファイト製)を用いた有機蒸発源の特性であり、符号L2で示した曲線が、従来技術の石英製の有機化合物容器と均熱管を用いた有機蒸発源の特性である。横軸の成膜速度の値は、有機化合物蒸気の発生速度と等しい。本発明では発生速度が安定し、薄膜形成速度が一定になるまでの時間が非常に短いのに対し、従来技術の有機蒸発源では、制御製が悪く、成膜速度が安定しないことがわかる。
【0035】
【発明の実施の形態】
図1(a)、(b)の符号2は、本発明の有機化合物容器の第1の実施形態を示しており、同図(a)は正面図、同図(b)はI−I線截断面図である。
この有機化合物容器2は、上端部周囲に鍔部5を有し、全体が有底円筒形形状に一体成形されたカーボングラファイトによって構成されており、内部が収容部3に、該収容部3の上部が放出口4にされており、有機薄膜の材料である粉体状の有機化合物を、放出口4から内部に落とし込み、収容部3に収容できるように構成されている。
【0036】
また、図2(a)、(b)の符号12は、本発明の第2の実施形態の有機化合物容器を示しており、同図(a)は正面図、同図(b)はII−II線截断面図である。
この有機化合物容器12は、カーボングラファイトが成形加工された後、上端部151が半球形状に加工され、下端部152は先細の略円柱形形状に加工されている。上端部151の表面から下方に向け、略有底円筒形形状の深穴が穴開け加工によって形成され、4本の収容部131〜134が構成されている。
【0037】
各収容部131〜134は、その上端部を放出口141〜144として用いられるように構成されており、各放出口141〜144は、中心軸線16を対称中心とし、放射状に配置されている。
【0038】
各収容部131〜134は放出口141〜144が外方に向くようにして傾斜されており、放出口141〜144間の間隔よりも底面171〜174間の間隔の方が狭くなり、各収容部131〜134内に有機化合物を納め、蒸気を発生させたときに、各放出口141〜144から真空槽内に向け、斜め方向に放出される蒸気量が増加するように構成されている。
【0039】
図3(a)、(b)の符号22は、本発明の第3の実施形態の有機化合物容器を示しており、同図(a)は正面図、同図(b)はIII−III線截断面図である。
この有機化合物容器22も、上述の有機化合物容器2、12と同様に、カーボングラファイトで構成されており、上端部に鍔部25を有し、底面側がやや細い、有底円筒形形状に成形されており、内部が収容部23として用いられ、また、その上端部を放出口24として用いられるように構成されている。
【0040】
なお、この第3の実施形態の有機化合物容器22の収容部23の容積は、前述の第1の実施形態の有機化合物容器2の収容部3よりも小さくされており、少量を蒸発させたいドーパントに適するように構成されている。
【0041】
図4の符号50は、本発明の真空蒸着装置の一例を示しており、真空槽51を有している。この真空槽51の底壁には、2個の有機蒸発源601、602が設けられている。
【0042】
2個の有機蒸発源601、602は、それぞれケーシング541、542を有しており、一方のケーシング541内には、前述の第2の実施形態の有機化合物容器12が、その4個の収容部131〜134内に粉体状の有機化合物を収容した状態で配置されており、他方のケーシング542内には、第3の実施形態である有機化合物容器22が、その収容部23内に、発色剤である粉体状の有機化合物(ドーパント)を収容した状態で配置されている。
ケーシング541、542内には均熱管は設けられておらず、それぞれヒータ551、552が有機化合物容器12、22の周囲に直接巻回されている。
【0043】
真空槽51の天井には、基板ホルダー56が設けられており、その基板ホルダー56上には基板53が配置されている。
基板53は、透明導電膜が設けられた側が有機蒸発源601、602に向けられており、図示しない真空ポンプによって真空槽51内を真空排気し、所定真空度に達した後ヒータ551、552に通電して有機蒸発源601、602内の有機化合物を加熱し、放出口141〜144、24からその蒸気を放出させる。
【0044】
このとき、基板ホルダー56内に設けられたヒータ61に予め通電し、基板53を所定温度にしておき、所定時間経過後、有機蒸発源601、602側に設けられたシャッター57を開けると、成膜モニター591、592に有機化合物蒸気が到達し、その放出速度の測定を行うことが可能となる。
【0045】
放出速度が安定したところで、基板53側のシャッター58を開け、基板53の透明導電膜表面への有機薄膜の形成を開始する。
【0046】
その状態で形成される有機薄膜の膜厚を、成膜モニター591、592によって測定し、所定膜厚になったところで、有機蒸発源601、602側のシャッター57を閉じ、予め加熱しておいた他の有機蒸発源側のシャッター(その有機蒸発源とシャッターは図示せず)を開け、2層目有機薄膜の形成を開始する。
【0047】
この2層目の有機薄膜も所定膜厚に形成されたところで各シャッターを閉じ、真空槽51内の真空雰囲気を維持したまま、真空槽51外へ基板53を搬出し、有機薄膜形成作業を終了する。
【0048】
以上説明した有機化合物容器2、12、22はカーボングラファイトで形成したが、炭化珪素で形成してもよく、炭化珪素がコーティングされたカーボングラファイトで形成してもよい。また、カーボングラファイトや炭化珪素に他の材料を表面コーティングしたものも本発明に含まれる。
【0049】
要するに、熱伝導率が高く、有機薄膜材料と反応せず、不純物が溶出せず、更に、不透明で均熱管が不要な材料であれば本発明に用いることができる。カーボングラファイトや炭化珪素はこれらの条件を満たし、且つ安価であるので、本発明の有機化合物容器に好適な材料である。
【0050】
上記真空蒸着装置50では、第1の実施形態の有機化合物容器2を用いなかったが、基板の口径によっては、第3の実施形態の有機化合物容器22にドーパントを収容させ、第1の実施形態の有機化合物容器2に有機薄膜の本体材料を収容させて用いることができる。
【0051】
なお、第2の実施形態の有機化合物容器12では、4個の放出口141〜144を放射状に設けたが、大面積基板に有機薄膜を形成する場合には、2個以上の収容部を設け、その放出口を基板長手方向に沿う直線上に配置してもよい。各収容部を長手方向に沿って傾け、大面積基板に蒸気が均一に到達するようにすると更に均一性が向上する。要するに、本発明の有機化合物容器の放出口は、基板の形状に適合して種々の方向に傾けることができる。
【0052】
他方、正方形に近い基板に有機薄膜を形成する場合には、少なくとも3個、望ましくは4個以上の収容部が形成された有機化合物容器を用い、放出口が外方に均等に向くように傾斜させるとよい。5個以上の収容部を設けた場合でも同様である。
【0053】
そのような有機化合物容器の上部を半球形状に成形し、各収容部の放出口は半球面上に配置されるようにしておくと、有機化合物蒸気の放出方向が広がり、真空槽内で均一になって好ましい。
【0054】
【発明の効果】
カーボングラファイト製、又は炭化珪素製の有機化合物容器であれば、熱伝導率が高いので、有機薄膜材料の有機化合物が個体(粉体)の場合であっても、放出口付近に再付着し、析出物を発生させることがない。
また、均熱管を用いる必要がなくなるので、熱応答性や制御性が向上する。
【0055】
複数の収容部を有する有機化合物容器では、1個1個の収容部を小径に形成できるので、壁面から有機化合物へ伝達される熱量が増加し、有機化合物蒸気の放出速度が安定化する。
【0056】
その複数の収容部を有底深穴形状に形成し、放出口が外方に向くように傾斜させておくと、有機化合物蒸気の真空槽内への放出角度が広がり、大面積基板に均一性な有機薄膜を形成できるようになる。
また、各収容部の放出口を半円周上に配置すると、放出角度は一層広くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の有機化合物容器
(a):平面図 (b):I−I線截断面図
【図2】本発明の第2の実施形態の有機化合物容器
(a):平面図 (b):II−II線截断面図
【図3】本発明の第3の実施形態の有機化合物容器
(a):平面図 (b):III−III線截断面図
【図4】本発明の真空蒸着装置の一例を示す概略構成図
【図5】カーボングラファイト製の本発明の有機化合物容器と従来技術の有機化合物容器の成膜速度を比較したグラフ
【図6】有機EL素子を説明するための図
【図7】(a):従来技術の金属製の有機化合物容器 (b):石英の有機化合物容器を用いた従来技術の有機蒸発源
【図8】(a):従来技術の真空蒸着装置の一例 (b):石英製の有機化合物容器の放出口に付着した析出物を説明するための図
【符号の説明】
2、12、22……有機化合物容器 3、13、23……収容部 4、141〜144、24……放出口 50……真空蒸着装置 51……真空槽 551、552……ヒータ 601、602……有機蒸発源
Claims (6)
- 有機薄膜の材料となる有機化合物を収容する収容部を有し、加熱されると前記収容部上端の放出口から前記有機化合物の蒸気を放出できるように構成された有機化合物容器であって、
前記収容部を複数有することを特徴とする有機化合物容器。 - 前記各収容部は有底深穴形状に形成され、放出口側を外方に向けて傾けられていることを特徴とする請求項1記載の有機化合物容器。
- 前記各放出口は、半球面上に配置されていることを特徴とする請求項2記載の有機化合物容器。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の有機化合物容器であって、カーボングラファイト製、炭化珪素製、又は炭化珪素がコーティングされたカーボングラファイト製であることを特徴とする有機化合物容器。
- ヒータと、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の有機化合物容器とを有し、前記ヒータで前記有機化合物容器を直接加熱できるように構成されたことを特徴とする有機蒸発源。
- 請求項5記載の有機蒸発源が、少なくとも1個以上真空槽内に配置されていることを特徴とする真空蒸着装置。
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