JPH10251838A - 有機化合物容器、有機蒸発源、及び真空蒸着装置 - Google Patents

有機化合物容器、有機蒸発源、及び真空蒸着装置

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JPH10251838A
JPH10251838A JP9074436A JP7443697A JPH10251838A JP H10251838 A JPH10251838 A JP H10251838A JP 9074436 A JP9074436 A JP 9074436A JP 7443697 A JP7443697 A JP 7443697A JP H10251838 A JPH10251838 A JP H10251838A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】有機化合物が再付着せず、大口径基板に均一に
有機薄膜を形成できる有機化合物容器を提供する。 【解決手段】有機化合物容器12をカーボングラファイト
製、炭化珪素製又は炭化珪素がコーティングされたカー
ボングラファイト製にする。収容部131〜134の放出口14
1〜144の温度は低下せず、その付近で有機化合物蒸気が
冷却され、析出物が発生することはない。収容部131〜1
34は複数であり、1個1個を小径にできるので、熱伝導
率が高い容器壁面から内部に収容した粉体状の有機化合
物に効率よく熱が伝達され、蒸気発生量が安定化する。
更に、各収容部131〜134は、穴開け加工で有底深穴形状
とし、その放出口が外方に向くように傾けておくと、有
機化合物蒸気の放出角度が広がり、大口径基板に均一な
有機薄膜を形成できるようになる。容器上端部151を半
円形形状に成形しておくと、放出角度は一層広くなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空蒸着技術にか
かり、特に、粉体状の有機化合物を蒸発材料として有機
薄膜を形成する真空蒸着技術に関する。
【0002】
【従来の技術】有機化合物を無機化合物と比べた場合、
反応系や特性が多様であり、また、低エネルギーで表面
処理できることから、近年、機能性有機薄膜が着目され
ている。
【0003】機能性有機薄膜を利用するものには、有機
EL素子、圧電センサ、焦電センサ、電気絶縁膜等、種
々のものがあるが、これらのうち、有機EL素子はディ
スプレイパネルとして利用できることから非常に注目さ
れている。
【0004】図5の符号aに示したものは有機EL素子
の概略構成図であり、ガラス基板である基体bを有して
おり、この基体b上に、透明導電膜から成るアノード電
極膜c、P型の有機薄膜d、N型の有機薄膜e、カソー
ド電極膜fがこの順で形成されている。この有機EL素
子aのアノード電極膜cとカソード電極膜fとの間に電
圧を印加すると、有機薄膜d、eの界面が発光し、基体
bを透過して外部にEL光gを放射させることができ
る。
【0005】有機薄膜d、eを形成するためには、その
材料となる有機化合物を真空槽内に配置して加熱し、発
生した蒸気を成膜対象物に付着させ、その表面に薄膜を
形成する真空蒸着技術が用いられている。
【0006】ところが、真空蒸着装置では、形成する薄
膜が金属薄膜等の無機薄膜である場合の方が一般的であ
り、その金属薄膜の材料となる蒸発材料には、金属物質
が用いられている。
【0007】金属から成る蒸発材料の場合、蒸発温度は
600℃〜2000℃程度と高温であるが、有機蒸発材
料である有機化合物では蒸気圧が高いため、その蒸発温
度は0℃(場合によっては零下)〜400℃の間にある。
また、有機化合物は分解しやすいため、特に、分解温度
と蒸発温度とが近接した温度であるものも多い。
【0008】従って、有機化合物を蒸発材料とした場合
には、金属蒸発源と異なり、精密な温度制御を行いなが
ら蒸発させられる技術が必要となるが、一般の真空蒸着
装置に用いられているエレクトロンビームでは、エネル
ギーが高すぎ、低温で温度制御できないことから、有機
化合物の加熱手段には適当でない。
【0009】そこで図7(a)に示すような、タングステ
ン製の金属るつぼ102に有機薄膜の材料である有機化
合物103を配置し、真空雰囲気内でるつぼ102に通
電して加熱し、有機化合物103の蒸気を発生させるも
のがあった。
【0010】しかしながら、特に粉体の有機化合物で
は、真空中では熱伝導が非常に低いため、金属るつぼ1
02を発熱させると、粉体内部と金属るつぼ102と接
触している部分との間の温度差が大きくなりすぎ、蒸発
量を安定して制御できないという問題があった。
【0011】また、粉体状の有機化合物のうち、金属る
つぼ102と接触した部分が局所的に過熱状態になると
突沸が発生し、粉体が真空槽内に噴出されると形成され
る有機薄膜に欠陥を発生させてしまう場合もあった。
【0012】更に、有機化合物のうちには腐食性を有し
たり反応性の強いものもあるが、そのような有機化合物
については、金属製るつぼ102を使用することができ
なかった。
【0013】そこで従来技術でも対策が採られており、
図7(b)に示すような有機蒸発源112が開発されてい
る。この有機蒸発源112は、有底円筒形形状の金属製
の均熱管115、その均熱管115の周囲に巻回された
マイクロヒータ116、均熱管115とマイクロヒータ
116とを収容するケーシング120とを有しており、
ケーシング120とマイクロヒータ116の間には、リ
フレクタ117が配置されている。
【0014】均熱管115内には、粉体状の有機化合物
113を収容した有機化合物容器114が配置されてお
り、その状態で、蒸発口121が設けられた蓋122を
被せ、有機蒸発源112が構成されている。
【0015】この有機蒸発源112は、図8(a)に示す
ような、蒸着装置130の真空槽131底壁に配置され
ており、真空槽131の天井側に設けられた基板ホルダ
ー133上に基板134を配置し、真空槽131内部を
真空排気し内部を真空雰囲気にする。
【0016】所定真空度に到達したところで、有機蒸発
源112側のシャッター135と、基板134側のシャ
ッター136とを閉じた状態でマイクロヒータ116に
通電し、発熱させると、マイクロヒータ116から周囲
に向けて放出される赤外線のうち、内方に向かったもの
は、均熱管115に直接照射され、外方に向かったもの
はリフレクタ117で反射されて均熱管115に照射さ
れる。
【0017】マイクロヒータ116への通電は、熱電対
123を用いて均熱管115の温度を測定しながら行
い、有機化合物113が所定の昇温速度で蒸発温度に達
するようにする。
【0018】蒸発温度に達すると、有機蒸発源112側
のシャッター135を開け、各有機蒸発源112の蒸発
口121から真空槽131内に向けて有機化合物113
の蒸気を放出させる。有機化合物113の蒸気の放出速
度は膜厚モニター137で監視しておき、安定したとこ
ろで基板134側のシャッター136を開け、基板13
4への有機薄膜形成を開始する。
【0019】このような有機蒸発源112の有機化合物
容器114は、石英が有底円筒形形状に成形されて構成
されており、石英は有機化合物とは反応せず、また加熱
されても不純物は溶出しないので、有機化合物113の
変質や不純物の混入がなく、高品質の有機薄膜を形成す
ることが可能となっている。
【0020】他方、石英は透明であるため、マイクロヒ
ータ116が放出する赤外線が有機化合物113に直接
照射されると、有機化合物113が局所的に過熱状態に
なり、突沸が発生してしまうので、均熱管115を有機
化合物容器114の周囲に配置し、赤外線を遮蔽するこ
とが必須であり、また、石英は熱伝導率が低いことか
ら、この均熱管114を設けることにより、有機化合物
容器114全体が均一に過熱されるように構成されてい
る。
【0021】しかしながら低熱伝導率の石英では、均熱
管115からはみ出した上端部の放出口付近での温度低
下が大きく、一旦発生した有機化合物113の蒸気が、
放出口付近で冷却され、図8(b)に示すように、その部
分に再付着し、析出物125を発生させてしまうという
問題がある。その析出物が成長すると、甚だしい場合に
は放出口を塞いでしまい、清掃を行わないと有機薄膜形
成ができなくなるため解決が望まれていた。
【0022】他方、近年では、EL素子を大口径化する
ために、大面積基板に対し、均一な有機薄膜を形成でき
る技術が求められているが、上述したような有機蒸発源
112を用いる場合には、蒸気の放出角度が狭いため、
図8(a)に示すように、真空槽131内に多数(この例
では縦4個×横4個)配置し、基板134に均一に蒸気
が到達するようにし、更に、成膜を行う際に基板134
を回転させ、均一な有機薄膜が形成されるようにしてい
た。このように有機蒸発源112を多数配置するとメン
テナンス作業が面倒であり、また、基板134を回転さ
せるための回転機構が必要になることから、その解決が
望まれていた。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の不都合を解決するために創作されたもので、その第1
の目的は、有機薄膜の材料である有機化合物の蒸気が放
出口付近に付着することのない有機化合物容器、有機蒸
発源、真空蒸着装置を提供することにある。また、本発
明の第2の目的は、大口径基板に有機薄膜を均一に形成
できる有機化合物容器、有機蒸発源、真空蒸着装置を提
供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、有機薄膜の材料となる有機
化合物を収容し、加熱されると前記有機化合物の蒸気を
放出できるように構成された有機化合物容器であって、
カーボングラファイト、炭化珪素、又は炭化珪素がコー
ティングされたカーボングラファイトで形成されている
ことを特徴とする。
【0025】また、請求項2記載の発明は、有機薄膜の
材料となる有機化合物を収容する収容部を有し、加熱さ
れると前記収容部上端の放出口から前記有機化合物の蒸
気を放出できるように構成された有機化合物容器であっ
て、前記収容部を複数有することを特徴とする。
【0026】この請求項2記載の有機化合物容器につい
ては、請求項3記載の発明のように、前記各収容部を有
底深穴形状に形成し、放出口側を外方に向けて傾けるこ
とができる。
【0027】更に、請求項3記載の有機化合物容器につ
いては、請求項4記載の発明のように、前記各放出口を
半球面上に配置することができる。
【0028】以上の請求項2乃至請求項4のいずれか1
項記載の有機化合物容器については、請求項5記載の発
明のように、カーボングラファイト製、炭化珪素製、又
は炭化珪素がコーティングされたカーボングラファイト
製にすると好ましい。この有機化合物容器は、焼成後成
形し、各収容部を穴開け加工によって形成することが望
ましい。
【0029】なお、ヒータと、請求項1乃至請求項5の
いずれか1項記載の有機化合物容器とを有する有機蒸発
源については、請求項6記載の発明のように、前記ヒー
タで前記有機化合物容器を直接加熱できるように構成す
るとよい。
【0030】また、請求項6記載の有機蒸発源は、少な
くとも1個以上真空槽内に配置し、請求項7記載の真空
蒸着装置を構成することができる。
【0031】上述したような本発明の有機化合物容器の
うち、カーボングラファイトや炭化珪素(SiC)で構成
されているものは、加熱されても有機薄膜材料と反応せ
ず、また、不純物の溶出もないので、有機薄膜材料が変
質したり不純物が混入することもなく、品質の良い有機
薄膜を形成することができる。
【0032】また、カーボングラファイトや炭化珪素の
熱伝導率は石英と比べると非常に大きいため、全体を均
一に加熱することができる。従って、熱が放出口まで効
率よく伝達され、放出口付近でも、有機化合物の蒸気は
再付着温度まで冷却されることはなく、析出物は発生し
ない。
【0033】また、カーボングラファイトや炭化珪素は
赤外線を透過せず不透明であるので、ヒータが放射する
赤外線は、内部に収容した有機化合物には直接照射され
ず、均熱管を設けなくても局部的に過熱状態になること
もない。また、均熱管を設けない分熱容量が小さくな
り、温度制御製が向上する。
【0034】ところで、真空蒸着装置によって金属薄膜
を形成する場合には、真空槽内に放出された金属蒸気
は、蒸発源から基板に向けて直進することが知られてい
る。それに対し、有機化合物の蒸気を真空槽内に放出さ
せた場合には、有機化合物蒸気は拡散に近い状態で基板
に到達することが知られており、そのため、均一な薄膜
を形成し易いと言われている。しかし、大面積基板で
は、有機蒸発源に近いところと遠いところとで膜厚に差
が生じ、有機薄膜が不均一なものになりやすい。
【0035】特に、粉体状の有機化合物を蒸発源にする
場合には、粉体を構成する粒子間の接触面積は小さく、
更に、真空中では粉体中に含まれる気体による熱伝導も
ないので、粉体全体の熱伝導率は非常に小さいものとな
る。従って、大きな収容部内に粉体状の有機化合物を収
容した場合には、容器壁面近くの有機化合物だけが加熱
され、中央付近は加熱されにくいため、有機化合物の蒸
気を均一に安定して放出させることができない。
【0036】本発明の有機化合物容器では、収容部を複
数としたので、1個1個の収容部を小径にすることがで
きる。従って、有機化合物と容器壁面との接触面積が増
加し、有機化合物全体を効率よく過熱することができる
ので、各収容部の放出口から真空槽内に有機化合物蒸気
が均一に放出され、大面積基板表面に均一な有機薄膜を
形成することが可能となる。
【0037】この場合、有機化合物容器を、カーボング
ラファイトや炭化珪素等の熱伝導率の高い材料で構成し
ておくと、各収容部内の有機化合物への熱伝導が高ま
り、また、有機化合物蒸気放出の均一性が一層向上して
好ましい。
【0038】更に、このような収容部を有底深穴形状と
し、上端部の放出口側が外方に向くように各収容部を傾
かせると、有機化合物蒸気の真空槽内への放出角度が広
がり、真空槽内に均一に有機化合物蒸気が充満するよう
になるので、有機薄膜の均一性がより一層向上する。こ
の場合、特に、各放出口を半球面上に配置しておくと、
更に有機化合物蒸気の放出角度が広がって好ましい。
【0039】以上説明した有機化合物容器では、均熱管
が不要である分熱容量が小さくなるので、ヒータに対す
る熱追随性が良く、また、有機薄膜材料蒸気の放出速度
が一定になるまでの時間が短い。その実験結果をグラフ
を用いて説明する。
【0040】図6の横軸は加熱時間、縦軸は成膜速度で
ある。この図6のグラフのうち、符号L1で示した曲線
が、本発明の有機化合物容器(カーボングラファイト製)
を用いた有機蒸発源の特性であり、符号L2で示した曲
線が、従来技術の石英製の有機化合物容器と均熱管を用
いた有機蒸発源の特性である。横軸の成膜速度の値は、
有機化合物蒸気の発生速度と等しい。本発明では発生速
度が安定し、薄膜形成速度が一定になるまでの時間が非
常に短いのに対し、従来技術の有機蒸発源では、制御製
が悪く、成膜速度が安定しないことがわかる。
【0041】
【発明の実施の形態】図1(a)、(b)の符号2は、本発
明の有機化合物容器の第1の実施形態を示しており、同
図(a)は正面図、同図(b)はI−I線截断面図である。
この有機化合物容器2は、上端部周囲に鍔部5を有し、
全体が有底円筒形形状に一体成形されたカーボングラフ
ァイトによって構成されており、内部が収容部3に、該
収容部3の上部が放出口4にされており、有機薄膜の材
料である粉体状の有機化合物を、放出口4から内部に落
とし込み、収容部3に収容できるように構成されてい
る。
【0042】また、図2(a)、(b)の符号12は、本発
明の第2の実施形態の有機化合物容器を示しており、同
図(a)は正面図、同図(b)はII−II線截断面図であ
る。この有機化合物容器12は、カーボングラファイト
が成形加工された後、上端部151が半球形状に加工さ
れ、下端部152は先細の略円柱形形状に加工されてい
る。上端部151の表面から下方に向け、略有底円筒形
形状の深穴が穴開け加工によって形成され、4本の収容
部131〜134が構成されている。
【0043】各収容部131〜134は、その上端部を放
出口141〜144として用いられるように構成されてお
り、各放出口141〜144は、中心軸線16を対称中心
とし、放射状に配置されている。
【0044】各収容部131〜134は放出口141〜1
4が外方に向くようにして傾斜されており、放出口1
1〜144間の間隔よりも底面171〜174間の間隔の
方が狭くなり、各収容部131〜134内に有機化合物を
納め、蒸気を発生させたときに、各放出口141〜144
から真空槽内に向け、斜め方向に放出される蒸気量が増
加するように構成されている。
【0045】図3(a)、(b)の符号22は、本発明の第
3の実施形態の有機化合物容器を示しており、同図(a)
は正面図、同図(b)はIII−III線截断面図であ
る。この有機化合物容器22も、上述の有機化合物容器
2、12と同様に、カーボングラファイトで構成されて
おり、上端部に鍔部25を有し、底面側がやや細い、有
底円筒形形状に成形されており、内部が収容部23とし
て用いられ、また、その上端部を放出口24として用い
られるように構成されている。
【0046】なお、この第3の実施形態の有機化合物容
器22の収容部23の容積は、前述の第1の実施形態の
有機化合物容器2の収容部3よりも小さくされており、
少量を蒸発させたいドーパントに適するように構成され
ている。
【0047】図4の符号50は、本発明の真空蒸着装置
の一例を示しており、真空槽51を有している。この真
空槽51の底壁には、2個の有機蒸発源601、602
設けられている。
【0048】2個の有機蒸発源601、602は、それぞ
れケーシング541、542を有しており、一方のケーシ
ング541内には、前述の第2の実施形態の有機化合物
容器12が、その4個の収容部131〜134内に粉体状
の有機化合物を収容した状態で配置されており、他方の
ケーシング542内には、第3の実施形態である有機化
合物容器22が、その収容部23内に、発色剤である粉
体状の有機化合物(ドーパント)を収容した状態で配置さ
れている。ケーシング541、542内には均熱管は設け
られておらず、それぞれヒータ551、552が有機化合
物容器12、22の周囲に直接巻回されている。
【0049】真空槽51の天井には、基板ホルダー56
が設けられており、その基板ホルダー56上には基板5
3が配置されている。基板53は、透明導電膜が設けら
れた側が有機蒸発源601、602に向けられており、図
示しない真空ポンプによって真空槽51内を真空排気
し、所定真空度に達した後ヒータ551、552に通電し
て有機蒸発源601、602内の有機化合物を加熱し、放
出口141〜144、24からその蒸気を放出させる。
【0050】このとき、基板ホルダー56内に設けられ
たヒータ61に予め通電し、基板53を所定温度にして
おき、所定時間経過後、有機蒸発源601、602側に設
けられたシャッター57を開けると、成膜モニター59
1、592に有機化合物蒸気が到達し、その放出速度の測
定を行うことが可能となる。
【0051】放出速度が安定したところで、基板53側
のシャッター58を開け、基板53の透明導電膜表面へ
の有機薄膜の形成を開始する。
【0052】その状態で形成される有機薄膜の膜厚を、
成膜モニター591、592によって測定し、所定膜厚に
なったところで、有機蒸発源601、602側のシャッタ
ー57を閉じ、予め加熱しておいた他の有機蒸発源側の
シャッター(その有機蒸発源とシャッターは図示せず)を
開け、2層目有機薄膜の形成を開始する。
【0053】この2層目の有機薄膜も所定膜厚に形成さ
れたところで各シャッターを閉じ、真空槽51内の真空
雰囲気を維持したまま、真空槽51外へ基板53を搬出
し、有機薄膜形成作業を終了する。
【0054】以上説明した有機化合物容器2、12、2
2はカーボングラファイトで形成したが、炭化珪素で形
成してもよく、炭化珪素がコーティングされたカーボン
グラファイトで形成してもよい。また、カーボングラフ
ァイトや炭化珪素に他の材料を表面コーティングしたも
のも本発明に含まれる。
【0055】要するに、熱伝導率が高く、有機薄膜材料
と反応せず、不純物が溶出せず、更に、不透明で均熱管
が不要な材料であれば本発明に用いることができる。カ
ーボングラファイトや炭化珪素はこれらの条件を満た
し、且つ安価であるので、本発明の有機化合物容器に好
適な材料である。
【0056】上記真空蒸着装置50では、第1の実施形
態の有機化合物容器2を用いなかったが、基板の口径に
よっては、第3の実施形態の有機化合物容器22にドー
パントを収容させ、第1の実施形態の有機化合物容器2
に有機薄膜の本体材料を収容させて用いることができ
る。
【0057】なお、第2の実施形態の有機化合物容器1
2では、4個の放出口141〜144を放射状に設けた
が、大面積基板に有機薄膜を形成する場合には、2個以
上の収容部を設け、その放出口を基板長手方向に沿う直
線上に配置してもよい。各収容部を長手方向に沿って傾
け、大面積基板に蒸気が均一に到達するようにすると更
に均一性が向上する。要するに、本発明の有機化合物容
器の放出口は、基板の形状に適合して種々の方向に傾け
ることができる。
【0058】他方、正方形に近い基板に有機薄膜を形成
する場合には、少なくとも3個、望ましくは4個以上の
収容部が形成された有機化合物容器を用い、放出口が外
方に均等に向くように傾斜させるとよい。5個以上の収
容部を設けた場合でも同様である。
【0059】そのような有機化合物容器の上部を半球形
状に成形し、各収容部の放出口は半球面上に配置される
ようにしておくと、有機化合物蒸気の放出方向が広が
り、真空槽内で均一になって好ましい。
【0060】
【発明の効果】カーボングラファイト製、又は炭化珪素
製の有機化合物容器であれば、熱伝導率が高いので、有
機薄膜材料の有機化合物が個体(粉体)の場合であって
も、放出口付近に再付着し、析出物を発生させることが
ない。また、均熱管を用いる必要がなくなるので、熱応
答性や制御性が向上する。
【0061】複数の収容部を有する有機化合物容器で
は、1個1個の収容部を小径に形成できるので、壁面か
ら有機化合物へ伝達される熱量が増加し、有機化合物蒸
気の放出速度が安定化する。
【0062】その複数の収容部を有底深穴形状に形成
し、放出口が外方に向くように傾斜させておくと、有機
化合物蒸気の真空槽内への放出角度が広がり、大面積基
板に均一性な有機薄膜を形成できるようになる。また、
各収容部の放出口を半円周上に配置すると、放出角度は
一層広くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の有機化合物容器 (a):平面図 (b):I−I線截断面図
【図2】本発明の第2の実施形態の有機化合物容器 (a):平面図 (b):II−II線截断面図
【図3】本発明の第3の実施形態の有機化合物容器 (a):平面図 (b):III−III線截断面図
【図4】本発明の真空蒸着装置の一例を示す概略構成図
【図5】カーボングラファイト製の本発明の有機化合物
容器と従来技術の有機化合物容器の成膜速度を比較した
グラフ
【図6】有機EL素子を説明するための図
【図7】(a):従来技術の金属製の有機化合物容器
(b):石英の有機化合物容器を用いた従来技術の有機蒸
発源
【図8】(a):従来技術の真空蒸着装置の一例
(b):石英製の有機化合物容器の放出口に付着した析出
物を説明するための図
【符号の説明】
2、12、22……有機化合物容器 3、13、23
……収容部 4、141〜144、24……放出口
50……真空蒸着装置 51……真空槽 551
552……ヒータ 601、602……有機蒸発源

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機薄膜の材料となる有機化合物を収容
    し、加熱されると前記有機化合物の蒸気を放出できるよ
    うに構成された有機化合物容器であって、 カーボングラファイト、炭化珪素又は炭化珪素がコーテ
    ィングされたカーボングラファイトで形成されているこ
    とを特徴とする有機化合物容器。
  2. 【請求項2】有機薄膜の材料となる有機化合物を収容す
    る収容部を有し、加熱されると前記収容部上端の放出口
    から前記有機化合物の蒸気を放出できるように構成され
    た有機化合物容器であって、 前記収容部を複数有することを特徴とする有機化合物容
    器。
  3. 【請求項3】前記各収容部は有底深穴形状に形成され、
    放出口側を外方に向けて傾けられていることを特徴とす
    る請求項2記載の有機化合物容器。
  4. 【請求項4】前記各放出口は、半球面上に配置されてい
    ることを特徴とする請求項3記載の有機化合物容器。
  5. 【請求項5】請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載
    の有機化合物容器であって、カーボングラファイト製、
    炭化珪素製、又は炭化珪素がコーティングされたカーボ
    ングラファイト製であることを特徴とする有機化合物容
    器。
  6. 【請求項6】ヒータと、請求項1乃至請求項5のいずれ
    か1項記載の有機化合物容器とを有し、前記ヒータで前
    記有機化合物容器を直接加熱できるように構成されたこ
    とを特徴とする有機蒸発源。
  7. 【請求項7】請求項6記載の有機蒸発源が、少なくとも
    1個以上真空槽内に配置されていることを特徴とする真
    空蒸着装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101204527B1 (ko) 2004-12-13 2012-11-23 쵸슈 산교 가부시키가이샤 박막형성용 분자공급장치
CN105648404A (zh) * 2016-03-21 2016-06-08 深圳市华星光电技术有限公司 蒸镀坩埚

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