JP3736727B2 - 車両のピラー構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両のピラー構造、具体的にはピラーのシートベルトアンカー取付支持部近傍における補強構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3に示すように、シートベルトアンカー5が取り付けられるセンターピラー2は、サイドルーフレール3から下方に立設された柱状体に形成されている。かかるピラー構造にあっては、シートベルト4から振動、衝撃等による大きな荷重がかかる場合にそなえて、該シートベルトアンカー5取り付け部近傍を含む高応力発生部を、補強部材を用いた高剛性の構造としている。
【0003】
図4は従来のセンターピラー2の構造例を示す横断面図(図3のB−B線断面図)であり、図4において、21はアウタパネル、22はインナパネルであり、該両パネル21、22を後述するようにスポット溶接して外板部を構成している。
該外板部の内側に形成される閉断面空間10には、前記シートベルトアンカー5の裏側にベルトアンカー補強材023が設けられるとともに、前記アウタパネル21側には該ベルトアンカー補強材023に溶接されたピラー補強材24が設けられ、該ピラー補強材24の両端部をアウタパネル21及びインナパネル22の両端部に挟み込みスポット溶接7により固着している。
【0004】
そして、かかるセンターピラー2においては、シートベルト張力は主として前記ベルトアンカー補強材023とピラー補強材24との結合体により受け持つようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図4に示される従来技術に係るセンターピラー構造にあっては、シートベルト4からのシートベルト張力は、主として前記ベルトアンカー補強材023及びピラー補強材24を結合してなる補強部で受け持つ構造となっており、アウタパネル21及びインナパネル22からなる外板部は、前記シートベルト張力に対する強度部材として十分に機能していない。
【0006】
このためかかる従来技術にあっては、前記シートベルト張力に対するセンターピラー2自体の剛性及び該センターピラー2とサイドルーフレール3との結合剛性が十分でない。
【0007】
尚、自動車のピラーにおいてアウタパネルとインナパネルとを結合してなる外板部内の閉断面空間に発泡プラスチック材を挿入して、該ピラーの補強をなすようにした技術が特開平9−20267号にて提案されているが、かかる技術においては、発泡材をドアー間のピラー内に挿入したにとどまるものであり、前記のようなシートベルトアンカーが取り付けられるセンターピラー2には、そのまま適用するのは困難を伴う。
【0008】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、シートベルトアンカーからの荷重をセンターピラー構成部材全体で支持し得るようにして、高剛性の車両のピラー構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するため、インナパネルとアウタパネルとを接合して閉断面空間を形成した車両のピラー構造において、前記ピラーのシートベルトアンカーをアンカーブラケットに固定し、該アンカーブラケットを前記インナパネルに取り付ける取付部を前記アンカーブラケットの上下2箇所に設け、前記取付部が取り付けられる位置における前記閉断面空間内に薄肉板材によってコの字状に屈曲形成された発泡材固定枠を設け、該発泡材固定枠は前記コの字状の底部に前記アンカーブラケットの取付用ボルトが係合するナットを装着するとともに該ナットの上下に前記閉断面空間を横切るように制限板を有し、該制限板の間に発泡材を充填してなる補強部を前記2箇所に備えたことを特徴とする車両のピラー構造を提案する。
【0010】
かかる発明によれば、シートベルト張力は、シートベルトアンカー及びアンカーブラケットの上下2箇所の取付部に設けられた補強部を介して、ピラーに曲げ荷重として作用する。然るにかかる発明においては、ピラーの閉断面空間におけるアンカーブラケットのインナパネルへの取付支持部の近傍に前記発泡材が充填されているため、該発泡材とインナーパネル及びアウターパネルが結合されてなるピラー外板部とが一体となって前記シートベルト張力による荷重を受け持つこととなる。
さらに、薄肉の板材をコの字状に屈曲して形成される発泡材固定枠に発泡材が収納された構造となっているため、該発泡材の上下方向への流動は確実に阻止されるとともに、該発泡材は発泡材固定枠及びアウタパネルと強固に接着することになる。これによって、発泡材は、発泡材固定枠とともにピラー外板部と一体化されてピラーの補強をなす。
【0011】
即ちかかる発明によれば、前記ピラー外板部とその内部に充填された発泡材とが一体化された支持構造であるため、ピラー自体の剛性及び該ピラーとこれに連結されるルーフレールとの結合剛性が従来技術よりも大幅に増大して、高剛性、高強度の支持構造とすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を例示的に説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構造部品の寸法、材質、形状、相対位置などは特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0013】
図1は本発明の実施形態に係る車両のシートベルトアンカー取り付け用センターピラーの要部縦断面図(図3のA−A線断面図)、図2は上記センターピラーの要部横断面図(図3のB−B線断面図)、図3は上記車両のセンターピラー及びサイドルーフレールの要部を示す外観斜視図である。
【0014】
図1ないし図3において、2はセンターピラー、3は該センターピラー2の上端に結合されるサイドルーフレールである。1a、1bは前記センターピラー2に設けられた補強部である。
【0015】
図1、図2は前記補強部1a、1bの詳細を示し、図1、図2において、21は前記センターピラーのアウタパネル、22はインナパネルであり、該パネル21、22を両端部にてスポット溶接して外板部23を構成する。5はシートベルト4が架けられるシートベルトアンカー、6は該シートベルトアンカーが固定されるアンカーブラケットである。
【0016】
10は前記外板部23に囲まれて形成された閉断面空間であり、該閉断面空間10には発泡材11が充填されている。該発泡材11は後述する方法によって、コの字状の発泡材固定枠16内に充填され、硬化せしめられている。
【0017】
この発泡材固定枠16は、上下に前記閉断面空間10を横切るように設けられた制限板12、13を備え、前記発泡材11の充填時に該発泡材11の上下方向への流動を制止するものであり、薄肉の板材をコの字状に屈曲して形成されて、前記閉断面空間10を横切って設けられ、その内側に前記発泡材11が充填されるようになっている。
【0018】
14は前記インナーパネル22に固着されて前記発泡材11中に突設されたナットで、図示しないボルトと共に前記アンカーブラケット6及び前記発泡材固定枠16をインナーパネル22へ固定している。
【0019】
前記発泡材11を前記センターピラー2内に充填するにあたっては、センターピラー2の溶接結合の際に、該発泡材11を発泡材固定枠16で囲んでセンターピラー2の閉断面空間10内に挿入し、さらに車体塗装時の焼付乾燥工程において、前記発泡材を同時に加熱発泡させる。この際において、前記発泡材固定枠16に発泡材11が収納された構造となっているため、該発泡材11の上下方向への流動は確実に阻止されるとともに、該発泡材11は発泡材固定枠16及びアウタパネル21と強固に接着することになる。
【0020】
これにより、前記発泡材11は発泡材固定枠16とともに前記外板部23と一体化されてセンターピラー2の補強をなす。
前記発泡材11及び発泡材固定枠16の組立体は、図1に示すように、前記シートベルトアンカー5及びアンカーブラケット6の上下に取り付けられて、該シートベルトアンカー5及びアンカーブラケット6を介して作用するシートベルト張力に対する補強機能をなしている。
【0021】
該発泡材11及び発泡材固定枠16の組立体は、図3に示すように、前記センターピラー2の断面の剛性が最小となり、大きな曲げ応力が作用するセンターピラー2とサイドルーフレール3との結合部近傍のセンターピラー2内に設けるのが好ましく、また、図3の1c、1dに示されているサイドルーフレール3の内部にも設けることができる。
【0022】
かかる構成からなる車両のピラー構造において、シートベルトからのシートベルト張力はシートベルトアンカー5を介してセンターピラー2に曲げ荷重として作用する。然るにかかる実施形態においてはセンターピラー2の閉断面空間10の、アンカーブラケット6取り付け部の近傍に発泡材固定枠16に支持された発泡材11が充填されているため、該発泡材11と前記インナパネル22及びアウタパネル21がスポット溶接7されてなる外板部23とが一体となって前記シートベルト張力による荷重を受け持つこととなる。
【0023】
従って、かかる実施形態によれば、前記のように、センターピラーの外板部23と該外板部23内に充填された発泡材11とが一体化された支持構造であるため、かかる一体化がなされたセンターピラー2自体の剛性、及び該センターピラー2とこれに連結される前記サイドルーフレール3との結合剛性が、従来のものよりも大幅に増大し、高剛性、高強度の支持構造となる。
【0024】
また、かかる実施形態によれば、従来のもののような、外板部23内にベルトアンカー補強材、ピラー補強材等の鋼材からなる補強部材が省略されて、前記のような高剛性、高強度の支持構造を得ることができるので、センターピラー2の単位重量当たりの剛性が増大し、センターピラー2を軽量化することができる。尚、本実施形態では、発泡固定枠16をコの字状に構成したが、これに限定されるものではなく、図5に示すように閉断面空間10を横切る一対の制限板12、13同士を所定間隔あけて、ボルト等で固定し、閉断面空間10に位置決め配置した上で発泡材11を発泡させるようにした構成としても良い。
また、ベルトアンカー補強材、ピラー補強材と併用する構成とすると、より一層の剛性増大効果を得ることができる。
【0025】
【発明の効果】
以上記載のごとく、本発明によれば、ピラー外板部とその内部に充填された発泡材とが一体化された支持構造であるため、ピラー自体の剛性及び該ピラーとこれに連結されるルーフレールとの結合剛性が従来技術よりも大幅に増大して、高剛性、高強度の支持構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る車両のシートベルトアンカー取り付け用センターピラーの要部縦断面図(図3のA−A線断面図)である。
【図2】 上記センターピラーの要部横断面図(図3のB−B線断面図)である。
【図3】 上記車両のセンターピラー及びサイドルーフレールの要部を示す外観斜視図である。
【図4】 従来技術を示す図2対応図である。
【図5】 本発明の実施形態にかかる発泡材固定手段の他の例を示す構造図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c,1d 補強部
2 センターピラー
3 サイドルーフレール
4 シートベルト
5 シートベルトアンカー
6 アンカーブラケット
10 閉断面空間
11 発泡材
12、13 制限板
14 ナット
16 発泡材固定枠
21 アウタパネル
22 インナパネル
23 外板部
30 ボルト
Claims (1)
- インナパネルとアウタパネルとを接合して閉断面空間を形成した車両のピラー構造において、前記ピラーのシートベルトアンカーをアンカーブラケットに固定し、該アンカーブラケットを前記インナパネルに取り付ける取付部を前記アンカーブラケットの上下2箇所に設け、前記取付部が取り付けられる位置における前記閉断面空間内に薄肉板材によってコの字状に屈曲形成された発泡材固定枠を設け、該発泡材固定枠は前記コの字状の底部に前記アンカーブラケットの取付用ボルトが係合するナットを装着するとともに該ナットの上下に前記閉断面空間を横切るように制限板を有し、該制限板の間に発泡材を充填してなる補強部を前記2箇所に備えたことを特徴とする車両のピラー構造。
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JP27827499A JP3736727B2 (ja) | 1999-09-30 | 1999-09-30 | 車両のピラー構造 |
Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP27827499A Expired - Lifetime JP3736727B2 (ja) | 1999-09-30 | 1999-09-30 | 車両のピラー構造 |
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