JP3736623B2 - 物品収納用什器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャビネット等の什器本体の後面に、例えばパネルや配線ダクト等のオプション部材を簡単に取付けることができ、かつ必要十分な配線スペースも確保しうるようにした物品収納用什器に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、机やテーブルの側方に、キャビネットを、それらの天板面が同一面をなすように並べて配置し、配線ダクトやデスクトップパネル等を机やキャビネットの後面に体裁よく取付けようとした際、机等においては、それらの取付けは比較的簡単であるが、箱状をなしているキャビネットでは、配線ダクトやデスクトップパネル等を簡単に取付けることはできない。
【0003】
そこで、キャビネットに配線スペースを設ける際などには、天板の後端部を切除するなどして、左右方向を向く凹部を形成し、この凹部を配線スペースとすることが考えられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、キャビネットの天板の後端部を切除して、配線スペースを形成したのでは、天板の面積が小さくなるとともに、床面からの立ち上げ配線ができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、什器本体の後面に、オプション部材を簡単に取付けることができ、かつ天板の面積を小さくしたりすることなく、十分な配線スペースを確保しうるとともに、配線作業も容易とした物品収納用什器を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) 什器本体の後面上部に、該什器本体の左右幅とほぼ等長かやや短寸をなすビーム材を、前記什器本体の後面の左右両端部に固着した 1 対のブラケットにより、什器本体の後面より離間させて設けた物品収納用什器において、ビーム材を、左右両端が開口された所要厚さの中空板状の押出し成形品により形成するとともに、前記左右両端面の上下部に、ブラケットに取付けるためのめねじ孔をそれぞれ穿設し、かつビーム材の前後面に、少なくとも下端に上向きの係止片を備える係止溝を左右方向に沿って形成して、前記前後面の両面にオプション部材を取付け可能とした物品収納用什器とする。
【0007】
(2) 上記(1)項において、ブラケットが、ビーム材の側端面に取付可能な垂直板状のブラケット本体と、その側面に重合して固着された補強部材とよりなり、かつそれらの前端部に、互いに左右逆方向を向く什器本体の後面への取付片を折曲形成する。
【0008】
(3) 上記(1)または ( 2 )項において、ビーム材の側端及びブラケットの側面を、共通のカバーにより覆う。
【0009】
(4) 上記( 3 )項において、カバーの外側面の一部を内向きに凹入させる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の物品収納用什器であるキャビネットを示すもので、上面に天板(1)が取付けられた矩形箱状の筐体(2)内には、上下2段の引出し(3)が収容されている。
【0011】
筐体(2)の後面板(2a)の上端部には、オプション部材取付け用のビーム材(4)が、図2に示すようにして取付けられている。
【0012】
ビーム材(4)は、例えばアルミニウム合金材の押出し成形品よりなり、左右両端が開口された所要厚さの中空板状に形成されている。
【0013】
ビーム材(4)の左右長は、筐体(2)の横幅よりもやや短寸とされ、その前面には、図3に拡大して示すように、側面視ほぼJ字形をなす上下2条の係止溝(5)(5)が、同じく後面には、側面視ほぼC字形をなす上下2条の係止溝(6)(6)が、それぞれ長手方向全長に亘って、互いに平行に形成されている。
【0014】
(7)は、中空孔の中間部の対向面同士を結合しているリブである。
ビーム材(4)の左右両端面の上下部には、めねじ孔(8)(8)が穿設されている。
(9)(9)は、ビーム材(4)取付け用の左右1対のブラケットで、図4に示すように、2部材を結合したものよりなっている。
【0015】
すなわち、垂直板状をなす基片(10a)の後端部に、上方及び下方に延出する突片(10b)(10b)を備え、かつ前端縁に外向きの取付片(10c)を折曲形成してなる側面視横向きT字形のブラケット本体(10)と、上記基片(10a)の前後寸法よりも短寸とした方形をなす基片(11a)の上下の端縁に、基片(10a)を上下より挟持可能な、後端部が基片(11a)よりも後方に延出する上下1対の外向挟持片(11b)(11b)を備えるとともに、基片(11a)の前端縁に内向片(11c)を折曲形成してなる補強部材(11)とからなっている。
【0016】
ブラケット本体(10)と補強部材(11)とは、図2に示すように、ブラケット本体(10)の基片(10a)の内側面に、補強部材(11)の基片(11a)を、両挟持片(11b)の後部側の内端縁を上下の突片(10b)の外側面に当接させるとともに、取付片(10c)と内向片(11c)との前面同士が同一面をなすようにして重合させたのち、複数個所をスポット溶接することにより、互いに一体的に結合されている。
【0017】
ビーム材(4)を取付けるには、まずキャビネットの後面板(2a)における上端部の左右両側部に、ブラケット本体(10)の取付片(10c)を、その上下2個の通孔(12)より挿入したねじ(13)(13)をもって固定することにより、ブラケット(9)を左右対称的に取付ける。
この際、ブラケット(9)の上端が、天板(1)の上面よりも所要寸法下位となる取付態様とするのがよい。
【0018】
ついで、左右のブラケット(9)の対向面間にビーム材(4)を挿入し、その左右の両端面をブラケット本体(10)の上下の突片(10b)に当接させた状態で、両突片(10b)の通孔(12)より挿入したねじ(13)を、ビーム材(4)の端面のめねじ孔(8)に向かって螺合する。
【0019】
これにより、ビーム材(4)は、左右ブラケット(9)により、上端がキャビネットの天板(1)とほぼ同一面をなすようにして、かつ後面板(2a)に対し所要寸法離間した状態で支持される。
【0020】
ついで、左右のブラケット(9)に、外側方より合成樹脂製のカバー(14)を止着して、内側面を除いたほぼ全体を覆う。
【0021】
なお、カバー(14)の外側面には、図5に示すように、キャビネット同士を並べて配置した際において、隣接する他方のカバー(14)の外側面との間に上下方向を向く挿通孔(15)が形成されるように、内方に向かって円弧状に凹入する凹部(16)が形成されている。
【0022】
上記実施形態のように、キャビネットの後面板(2a)の上端部に、前後両面に係止溝(5)(6)を備えるビーム材(4)を取付けると、従来困難とされていたデスクトップパネルや配線ダクト等、種々のオプション部材を簡単に取付けることができる。
【0023】
すなわち、図1に示すように、例えばデスクトップパネル(17)をビーム材(4)の後面に取付ける際は、デスクトップパネル(17)の前面下部に、ビーム材(4)の後面の上下の係止溝(6)に係止可能な側面視倒立L字形の2個の係止金具(18)(18)を取付け、両係止金具(18)を上下の係止溝(6)内に挿入して、その下部の上向きの係止片(6a)(図3参照)に係合させればよい。
【0024】
また、樋状の配線ダクト(19)をビーム材(4)の前面に取付ける際は、配線ダクト(19)の後部側の上向片の上端に、下向鉤状の係合片(19a)を形成し、この係合片(19a)を、ビーム材(4)の前面の上下いずれかの係止溝(5)における上向きの係止片(5a)(図3参照)に引っ掛けて係止させればよい。
【0025】
このようなオプション部材を取付けても、ビーム材(4)は、垂直板状のブラケット本体(10)に補強部材(11)を固着した強度の高いブラケット(9)により支持され、かつ補強部材(11)の前端の内向片(11c)も後面板(2a)に当接して、広い面積でビーム材(4)の荷重を支えているので、ビーム材(4)の支持強度が大きく、下方に変位したりする恐れはない。
【0026】
天板(1)の後端とビーム材(4)との間には、図5に示すように、隙間が形成されているので、ビーム材(4)又はそれに取付けたデスクトップパネル(17)を背中合わせにしたり、壁面に当接させて設置したりしても、天板(1)に載置したOA機器等のケーブル類を床面に垂らして配線することができる。
【0027】
また、ブラケット(9)及びそれに止着したカバー(14)の上端面が、天板(1)の上面よりも下位となっているので、OA機器等のケーブル類を、天板上に露出させることなく、かつ天板(1)の後端を切除したりせずに横方向にも配線することができる。
【0028】
左右のブラケット(9)及びビーム材(4)の左右両端面は、一体をなす単一のカバー(14)により覆われているので、体裁がよくなるとともに、部品点数を削減しうる。
【0029】
また、カバー(14)の外側面に形成された凹部(16)を指掛け部として、キャビネットを移動する際に利用したり、あるいは、図5に示すように、キャビネットを並べて配置した際に上下方向を向く挿通孔(15)が形成されるようにし、この孔を通して配線したりすることもできる。
【0030】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態においては、ビーム材(4)の前後両面に2条ずつの係止溝(5)(6)を形成しているが、オプション部材の種類等によっては、その数は、1条又は2条以上とすることもある。
【0031】
ブラケット(9)における補強部材(11)の内向片(11c)も取付片として、後面板(2a)にねじ止めし、ビーム材(4)の支持強度をより高めるようにしてもよい。
【0032】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、キャビネット等の什器の後面に設けたビーム材の取付部に、例えばデスクトップパネルや配線ダクト等のオプション部材を簡単に取付けることができる。
また、ビーム材は、什器本体の後面より離間して設けられているので、ビーム材又はその後面に取付けたパネル等を背中合わせにして配置したり、それらを壁面に当接させて配置するなどしても、OA機器等のケーブル類を、什器本体とビーム材との間より下方に配線したり、横方向に配線したりすることができ、その作業が容易となる。
さらに、什器の天板の後端を切除するなどして配線スペースを確保する必要がないので、天板の面積が小さくなることはない。また、ねじ等の固定手段を用いる必要はないので、オプション部材の取付け、取外しが容易となる。
【0033】
請求項2記載の発明によれば、ブラケットの強度が大となるので、ビーム材にオプション部材を取付けても、その支持強度は十分であり、下方に変位したりすることはない。
【0034】
請求項3記載の発明によれば、ビーム材の側端及びブラケットの側面が単一のカバーにより覆われ、外部に露出しないので、体裁がよくなるとともに、部品点数を削減することができる。
【0035】
請求項4記載の発明によれば、カバーの凹入部を指掛け部として、什器を移動させたり、什器を側方に並べて配置した際において、凹入部によって形成される空所を通して、OA機器等のケーブル類を下方等に配線したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示すキャビネットと、ビーム材へのオプション部材の取付例を示す斜視図である。
【図2】 同じく、分解斜視図である。
【図3】 同じく、ビーム材の拡大側面図である。
【図4】 同じく、ブラケットの分解斜視図である。
【図5】 同じく、キャビネットを並べて設置した例を示す平面図である。
【符号の説明】
(1)天板
(2)筐体(什器本体)
(2a)後面板
(3)引出し
(4)ビーム材
(5)(6)係止溝
(5a)(6a)係止片
(7)リブ
(8)めねじ孔
(9)ブラケット
(10)ブラケット本体
(10a)基片
(10b)突片
(10c)取付片
(11)補強部材
(11a)基片
(11b)挟持片
(11c)内向片
(12)通孔
(13)ねじ
(14)カバー
(15)挿通孔
(16)凹部
(17)デスクトップパネル(オプション部材)
(18)係止金具
(19)配線ダクト(オプション部材)
(19a)係合片
Claims (4)
- 什器本体の後面上部に、該什器本体の左右幅とほぼ等長かやや短寸をなすビーム材を、前記什器本体の後面の左右両端部に固着した 1 対のブラケットにより、什器本体の後面より離間させて設けた物品収納用什器において、
ビーム材を、左右両端が開口された所要厚さの中空板状の押出し成形品により形成するとともに、前記左右両端面の上下部に、ブラケットに取付けるためのめねじ孔をそれぞれ穿設し、かつビーム材の前後面に、少なくとも下端に上向きの係止片を備える係止溝を左右方向に沿って形成して、前記前後面の両面にオプション部材を取付け可能としたことを特徴とする物品収納用什器。 - ブラケットが、ビーム材の側端面に取付可能な垂直板状のブラケット本体と、その側面に重合して固着された補強部材とよりなり、かつそれらの前端部に、互いに左右逆方向を向く什器本体の後面への取付片を折曲形成したものである請求項1記載の物品収納用什器。
- ビーム材の側端及びブラケットの側面を、共通のカバーにより覆ってなる請求項1または2に記載の物品収納用什器。
- カバーの外側面の一部を内向きに凹入させてなる請求項3記載の物品収納用什器。
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