JP3736577B2 - ゴム組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、補強剤としてシリカを配合した場合に、優れた発熱性を示すとともに、引張強度、耐摩耗性、及び加工性にも優れたジエン系ゴム、その製造方法に関する。また、本発明は、該ジエン系ゴムを含むゴム成分と補強剤とを含有してなるゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、省資源や環境対策などが重視されるにつれて、自動車の低燃費化に対する要求は、ますます厳しくなり、自動車タイヤについても、転動抵抗を小さくすることにより、低燃費化に寄与することが求められている。タイヤの転動抵抗を小さくするには、タイヤ用ゴム材料として、一般に、発熱性の低い加硫ゴムを与えることができるゴム材料を使用する。
【0003】
従来より、タイヤ用ゴム材料として、ジエン系ゴムに、補強剤として、カーボンブラックに替えてシリカを配合したゴム組成物を用いることにより、発熱性を低めることが提案されている。ところが、シリカ配合ゴム組成物は、カーボンブラック配合ゴム組成物に比べて、十分な耐摩耗性と引張強度が得られないという問題点があった。この原因の一つは、ジエン系ゴムに対するシリカの親和性がカーボンブラックよりも小さいために、十分な補強効果を発現することができないことにあると考えられている。
【0004】
従来、シリカとジエン系ゴムとの親和性を高めるために、シリカと親和性のある置換基を導入したジエン系ゴムを用いることが検討されている。例えば、乳化重合法によるジエン系ゴムでは、第3級アミノ基を導入したジエン系ゴム(特開平1−101344号公報)が、また、アニオン重合法によるジエン系ゴムでは、アルキルシリル基(特開平1−188501号公報)、ハロゲン化シリル基(特開平5−230286号方法)または置換アミノ基(特開昭64−22940号公報)などを導入したジエン系ゴムが提案されている。
【0005】
しかしながら、これらの置換基を導入したジエン系ゴムの多くは、シリカと混合する際に、シリカと強く凝集して分散不良が起こるため、加工性に劣り、発熱性、引張強度及び耐摩耗性などの特性も充分に改善されないという欠点を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、補強剤としてシリカを配合した場合に、転動抵抗の指標となる発熱性に優れ、しかもカーボンブラック配合物と同等の引張強度や耐摩耗性を示し、加工性も良好なジエン系ゴム、及びその製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、ジエン系ゴムと補強剤を含有し、発熱性、引張強度、耐摩耗性、加工性などに優れたゴム組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究を重ねた結果、ゴム成分として、アミノ基含有ビニル系単量体とヒドロキシル基含有ビニル系単量体とを共重合成分として得られるジエン系ゴムを用いることにより、発熱性、引張強度、耐摩耗性及び加工性に優れたゴム組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
かくして本発明によれば、共役ジエン単位45〜99.9重量%、アミノ基含有ビニル系単量体単位0.05〜20重量%、ヒドロキシル基含有ビニル系単量体単位0.05〜20重量%及びその他の共重合可能な単量体単位0〜50重量%からなるムーニー粘度(ML1+4,100℃)が10〜200のジエン系ゴムを含むゴム成分と補強剤とを含有してなり、補強剤がシリカを含むものであるゴム組成物が提供される。また、本発明によれば、さらに加硫剤、加硫促進剤及び加硫活性化剤を含んだものであり、加硫活性化剤として、酸化亜鉛を含む上記のゴム組成物が提供される。本発明によれば、さらに、共役ジエン、アミノ基含有ビニル系単量体、ヒドロキシル基含有ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体を共重合して製造し、当該ジエン系ゴムに他の成分を混合する上記のゴム組成物の製造方法が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
アミノ基とヒドロキシル基を含有するジエン系ゴム(i)
本発明のジエン系ゴム(i)は、共役ジエン単位、アミノ基含有ビニル系単量体単位及びヒドロキシル基含有ビニル系単量体単位を必須成分とし、必要に応じてその他の共重合可能な単量体単位を含有する。
【0010】
共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等が挙げられる。これらの中でも、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンなどが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。これらの共役ジエンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0011】
アミノ基含有ビニル系単量体としては、1分子中に第1級、第2級及び第3級アミノ基から選ばれる少なくとも1つのアミノ基を有する重合性単量体が挙げられ、第3級アミノ含有ビニル系単量体が特に好ましい。
【0012】
第1級アミノ基含有ビニル系単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタアクリルアミド、p−アミノスチレン、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0013】
第2級アミノ基含有ビニル系単量体としては、例えば、特開昭61−130355号公報に開示されるアニリノスチレン類;特開昭61−130356号公報に開示されるアニリノフェニルブタジエン類;及びN−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド,N−メチロールアクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタアクリルアミドなどN−モノ置換(メタ)アクリルアミド類;等が挙げられる。
【0014】
第3級アミノ基含有ビニル系単量体としては、例えば、N,N−ジ置換アミノアルキルアクリレート、N,N−ジ置換アミノアルキルアクリルアミド、N,N−ジ置換アミノ芳香族ビニル化合物およびピリジル基を有するビニル化合物等が挙げられる。
【0015】
N,N−ジ置換アミノアクリレートとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフオリンなどが挙げられる。これらの中でも、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸またはメタアクリル酸のエステルなどが好ましい。
【0016】
N,N−ジ置換アミノアルキルアクリルアミドとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのアクリルアミド化合物またはメタアクリルアミド化合物などが挙げられる。これらの中でも、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが好ましい。
【0017】
N,N−ジ置換アミノ芳香族ビニル化合物としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、N,N−ジエチルアミノエチルスチレン、N,N−ジプロピルアミノエチルスチレン、N,N−ジオクチルアミノエチルスチレンなどのスチレン誘導体が挙げられる。
【0018】
ピリジル基を有するビニル化合物としては、例えば2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、5−メチル−2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジンなどが挙げられる。これらの中でも、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどが好ましい。
【0019】
これらのアミノ基含有ビニル系単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
ヒドロキシル基含有ビニル系単量体としては、1分子中に少なくとも1個の第1級、第2級または第3級ヒドロキシル基を有する重合性単量体が挙げられる。このようなヒドロキシル基含有ビニル系単量体としては、例えば、それぞれヒドロキシル基を含有する不飽和カルボン酸系単量体、ビニルエーテル系単量体、ビニルケトン系単量体などが挙げられ、これらの中でも、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体が好適である。ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体としては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などのエステル、アミド、無水物などの誘導体が挙げられ、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸などのエステル化合物である。これらのヒドロキシル基含有ビニル系単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0021】
ヒドロキシル基含有ビニル系単量体の好ましい具体例としては、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−クロロ−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、ジ−(エチレングリコール)イタコネート、ジ−(プロピレングリコール)イタコネート、ビス(2−ヒドロキシプロピル)イタコネート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イタコネート、ビス(2−ヒドロキシエチル)フマレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシメチルビニルケトン、アリルアルコールなどが挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミドなどが好ましい。
【0022】
これらのヒドロキシル基含有ビニル系単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
その他の共重合可能な単量体としては、本発明の目的を損なわないものであれば格別限定はないが、発熱性とウエットスキッド抵抗のバランスを重視するときには、通常、芳香族ビニルが用いられる。芳香族ビニルとしては、アミノ基やヒドロキシル基を有さない芳香族ビニル化合物が用いられ、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン等を挙げることができる。これらの中でも、スチレンが好ましい。
【0024】
これらのその他の共重合可能な単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
共重合体中のその他の共重合可能な単量体単位、特に芳香族ビニル単位の有無は、使用目的に応じて適宜選択できる。
【0026】
発熱性を特に重視する場合は、共役ジエンとアミノ基含有ビニル系単量体とヒドロキシ基含有ビニル系単量体との共重合体が用いられ、その時の各単量体の含有量は、共役ジエン単位が、60〜99.9重量%、好ましくは70〜99.8重量%、より好ましくは80〜99.5重量%の範囲、アミノ基含有ビニル系単量体単位が、0.05〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.25〜10重量%の範囲、ヒドロキシル基含有ビニル系単量体単位が、0.05〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.25〜10重量%の範囲である。アミノ基含有ビニル系単量体またはヒドロキシル基含有ビニル系単量体の含有量が過度に少ないと、発熱性、引張強度、耐摩耗性などの特性の改善が十分でなく、逆に、過度に多いと、加工性が悪化し、発熱性、引張強度及び耐摩耗性等の改善も十分でなく、いずれも好ましくない。
【0027】
ンとアミノ基含有ビニル系単量体とヒドロキシル基含有ビニル系単量体とその他の共重合可能な単量体(好ましくは芳香族ビニル)との共重合体が好ましい。その場合の共重合体中の各単量体の含有量は、共役ジエン単位が、45〜94.9重量%、好ましくは50〜89.8重量%、より好ましくは55〜84.5重量%の範囲、アミノ基含有ビニル系単量体単位が0.05〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.25〜10重量%の範囲、ヒドロキシル基含有ビニル系単量体単位が、0.05〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.25〜10重量%の範囲であり、その他の共重合可能な単量体(好ましくは芳香族ビニル)単位が、5〜50重量%、好ましくは10〜45重量%、より好ましくは15〜40重量%の範囲である。アミノ基含有ビニル系単量体またはヒドロキシル基含有ビニル系単量体の含有量が過度に少ないと、発熱性、引張強度、耐摩耗性などの特性の改善が十分でなく、逆に、過度に多いと、加工性が悪化し、発熱性、引張強度及び耐摩耗性等の改善も十分でなく、いずれも好ましくない。芳香族ビニルの含有量が過度に多いと発熱性が十分でなく好ましくない。
【0028】
上記共重合体中のアミノ基含有ビニル系単量体単位とヒドロキシル基含有ビニル系単量体単位の割合は、目的に応じて適宜選択されるが、通常、アミノ基含有ビニル系単量体単位:ヒドロキシル基含有ビニル系単量体単位=5:95〜90:10、好ましくは10:90〜80:20、より好ましくは15:85〜70:30(重量比)の範囲である。両単量体単位の含有量がこの範囲にある時に、発熱性、引張強度、耐摩耗性及び加工性のいずれもの特性が高度にバランスされ、好適である。
【0029】
本発明においては、分子内にアミノ基とヒドロキシル基とを含有するビニル系単量体(以下、「(アミノ基+ヒドロキシル基)含有ビニル系単量体」と言う。)を用いることができる。(アミノ基+ヒドロキシル基)含有ビニル系単量体としては、例えば、2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノ−1−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシ−4−N,N−ジメチルアミノエチルスチレンなどが挙げられる。
【0030】
これらの(アミノ基+ヒドロキシル基)含有ビニル系単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。これらの(アミノ基+ヒドロキシル基)含有ビニル系単量体の共重合体中の含有量は、前記アミノ基含有ビニル系単量体とヒドロキシル基含有ビニル系単量体の合計した範囲である。
【0031】
本発明のジエン系ゴム(i)のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、10〜200、好ましくは20〜150、より好ましくは25〜120の範囲である。ムーニー粘度が過度に小さいと、発熱性や耐摩耗性に劣り、逆に、過度に大きいと加工性に劣り、いずれも好ましくない。
【0032】
本発明のジエン系ゴム(i)の共役ジエン結合単位部分のミクロ構造は、特に制限させず、使用目的によって適宜選択される。例えば、共役ジエン結合単位のビニル結合(1,2−ビニル結合及び3,4−ビニル結合)割合は、通常、5〜95%、好ましくは7〜50%、より好ましくは10〜30%の範囲である。共役ジエンのビニル結合量がこの範囲にあるときに、発熱特性や耐摩耗性が高度にバランスされ、好適である。共役ジエン結合単位部分のビニル結合以外は、1,4−結合であり、1,4−シス結合、1,4−トランス結合のいずれであってもよい。
【0033】
本発明のジエン系ゴム(i)の製造方法としては、特に制限されないが、例えば、共役ジエン、アミノ基含有ビニル系単量体、ヒドロキシル基含有ビニル系単量体及び必要に応じてその他の共重合可能な単量体を共重合する方法(P)が挙げられる。
【0034】
本発明において、アミノ基含有ビニル系単量体はヒドロキシル基を含有してもよく、またヒドロキシル基含有ビニル系単量体はアミノ基を含有することができるので、上記製造方法(P)は、共役ジエン、(アミノ基+ヒドロキシル基)含有ビニル系単量体及び必要に応じてその他の共重合可能な単量体を共重合する方法(P−a)、共役ジエン、ヒドロキシル基を含有しないアミノ基含有ビニル系単量体、(アミノ基+ヒドロキシル基)含有ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体を共重合する方法(P−b)、共役ジエン、アミノ基を含有しないヒドロキシル基含有ビニル系単量体、(アミノ基+ヒドロキシル基)含有ビニル系単量体及び必要に応じてその他の共重合可能な単量体を共重合する方法(P−c)、及び共役ジエン、ヒドロキシル基を含有しないアミノ基含有ビニル系単量体、アミノ基を含有しないヒドロキシル基含有ビニル系単量体、(アミノ基+ヒドロキシル基)含有ビニル系単量体及び必要に応じてその他の共重合可能な単量体を重合する方法(P−d)などを含有する。
【0035】
重合方法は、特に限定はないが、通常乳化重合法が採用される。乳化重合法は、通常の乳化重合手法を用いればよく、例えば、所定量の上記単量体を乳化剤の存在下に水性媒体中に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合する方法が挙げられる。各単量体の使用量は、前記ジエン系ゴム(i)の各単量体含有量になるよう、適宜選択される。
【0036】
乳化剤としては、例えば、炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩及び/又はロジン酸塩が用いられる。具体的には、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等のカリウム塩またはナトリウム塩などが例示される。
【0037】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムのような過硫酸塩;過硫酸アンモニウムと硫酸第二鉄との組合わせ、有機過酸化物と硫酸第二鉄との組み合わせ、及び過酸化水素と硫酸第二鉄との組み合わせなどのレドックス系開始剤;などが用いられる。
【0038】
共重合体の分子量を調節するために、連鎖移動剤を添加することもできる。連鎖移動剤としては、例えばt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルピネン類などを用いることができる。
【0039】
乳化重合の温度は、用いられるラジカル重合開始剤の種類によって適宜選択することができるが、通常、0〜100℃で、好ましくは0〜60℃である。重合様式は、連続重合、回分重合等のいずれでの様式でも構わない。
【0040】
乳化重合の転化率が大きくなると、ゲル化する傾向がみられる。そのため、重合転化率を80%以下に抑えるのが好ましく、特に、転化率40〜70%の範囲で重合を停止するのが好ましい。重合反応の停止は、通常、所定の転化率に達した時点で、重合系に重合停止剤を添加することによって行われる。重合停止剤としては、例えば、ジエチルヒドロキシルアミンやヒドロキシルアミン等のアミン系化合物、ヒドロキノンやベンゾキノンなどのキノン系化合物、亜硝酸ナトリウム、ソジウムジチオカーバメートなどの化合物が用いられる。
【0041】
重合反応停止後、得られた重合体ラテックスから必要に応じて未反応モノマーを除去し、次いで、必要に応じて硝酸、硫酸等の酸を添加混合してラテックスのpHを所定の値に調整した後、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウムなどの塩を凝固剤として添加混合し、重合体をクラムとして凝固させ回収できる。クラムは洗浄、脱水後、バンドドライヤーなどで乾燥し、目的とするアミノ基とヒドロキシル基を含有するジエン系ゴムを得ることができる。
【0042】
ゴム成分
本発明のゴム組成物のゴム成分としては、上記ジエン系ゴム(i)を含むものが用いられる。ゴム成分中の該ジエン系ゴム(i)の割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常10重量%以上、好ましくは15〜100重量%、より好ましくは20〜100重量%、最も好ましくは25〜100重量%である。ゴム成分中の本発明のジエン系ゴム(i)の割合が過度に少ないと、改質の効果が充分でなく好ましくない。
【0043】
併用できるその他のゴムとしては、特に限定はないが、通常はジエン系ゴムが用いられる。ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、溶液重合ランダムSBR(結合スチレン5〜50重量%、ブタジエン結合単位部分の1,2−ビニル結合量10〜80%)、高トランスSBR(ブタジエン結合単位部分の1,4−トランス結合量70〜95%)、低シスポリブタジエンゴム(BR)、高シスBR、高トランスBR(ブタジエン結合単位部分の1,4−トランス結合量70〜95%)、スチレン−イソプレン共重合ゴム(SIR)、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、溶液重合ランダムスチレン−ブタジエン−イソプレン共重合ゴム(SIBR)、乳化重合SIBR、乳化重合スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、高ビニルSBR−低ビニルSBRブロック共重合ゴム、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体などのブロック共重合体等が挙げられ、要求特性に応じて適宜選択できる。これらの中でも、NR、BR、IR、SBR、SIBRなどが好ましい。これらのその他のゴムは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0044】
補強剤
補強剤としては、特に制限はないが、例えば、シリカやカーボンブラックなどを用いることができる。
【0045】
シリカとしては、特に制限はないが、例えば、乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ、及び特開昭62−62838号公報に開示される沈降シリカなどが挙げられる。これらの中でも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが特に好ましい。これらのシリカは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
シリカの比表面積は、特に制限はされないが、窒素吸着比表面積(BET法)で、通常50〜400m2/g、好ましくは100〜250m2/g、さらに好ましくは120〜190m2/gの範囲である時に、補強性、耐摩耗性及び発熱性等の改善が十分に達成され、好適である。ここで窒素吸着比表面積は、ASTM
D3037−81に準じBET法で測定される値である。
【0047】
カーボンブラックとしては、特に制限はないが、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどを用いることができる。これらの中でも、特にファーネスブラックが好ましく、その具体例としては、SAF、ISAF、ISAF−HS、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF、HAF−HS、HAF−LS、FEF等の種々のグレードのものが挙げられる。これらのカーボンブラックは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0048】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、特に制限はないが、通常5〜200m2/g、好ましくは50〜150m2/g、より好ましくは80〜130m2/gの範囲である時に、引張強度や耐摩耗性が高いレベルで改善され好適である。また、カーボンブラックのDBP吸着量は、特に制限はないが、通常5〜300ml/100g、好ましくは50〜200ml/100g、より好ましくは80〜160ml/100gの範囲である時に、引張強度や耐摩耗性が高いレベルで改善され好適である。
【0049】
カーボンブラックとして、特開平5−230290号公報に開示されるセチルトリメチルアンモニウムブロマイドの吸着(CTAB)比表面積が110〜170m2/gで24,000psiの圧力で4回繰り返し圧縮を加えた後のDBP(24M4DBP)吸油量が110〜130ml/100gであるハイストラクチャーカーボンブラックを用いることにより、耐摩耗性をさらに改善できる。
【0050】
補強剤の配合割合は、ゴム成分100重量部に対して、10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部、より好ましくは30〜120重量部である。
【0051】
本発明の目的を高度に達成するためには、補強剤として、シリカ単独で、あるいはシリカとカーボンブラックとを併用して用いることが好ましい。シリカとカーボンブラックとを併用する場合の混合割合は、用途や目的に応じて適宜選択されるが、通常、シリカ:カーボンブラック=10:90〜99:1、好ましくは30:70〜95:5、より好ましくは50:50〜90:10(重量比)である。
【0052】
シランカップリング剤
本発明においてシランカップリング剤を添加すると、発熱性や耐摩耗性がさらに改善されるので、好適である。
【0053】
シランカップリング剤としては、特に限定はないが、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、及び特開平6−248116号公報に記載されるγ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドなどのテトラスルフィド類などを挙げることができる。
【0054】
これらのシランカップリング剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。シランカップリング剤の配合割合は、シリカ100重量部に対して、通常、0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは2〜10重量部の範囲である。
【0055】
ゴム組成物
本発明のゴム組成物は、上記成分以外に、常法に従って、加硫剤、加硫促進剤、加硫活性化剤、老化防止剤、活性剤、可塑剤、滑剤、充填剤等のその他の配合剤をそれぞれ必要量含量することができる。
【0056】
加硫剤としては、特に限定はないが、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などの硫黄;一塩化硫黄、二塩化硫黄などのハロゲン化硫黄;ジクミルパーオキシド、ジターシャリブチルパーオキシドなどの有機過酸化物;p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシムなどのキノンジオキシム;トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、4,4’−メチレンビス−o−クロロアニリンなどの有機多価アミン化合物;メチロール基をもったアルキルフェノール樹脂;などが挙げられ、これらの中でも、硫黄が好ましく、粉末硫黄が特に好ましい。これらの加硫剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0057】
加硫剤の配合割合は、ゴム成分100重量部に対して、通常、0.1〜15重量部、好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。加硫剤の配合割合がこの範囲にある時に、引張強度や耐摩耗性に優れるとともに、耐熱性や残留ひずみ等の特性にも優れるので特に好ましい。
【0058】
加硫促進剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤;チオカルボアニリド、ジオルトトリルチオウレア、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレア等のチオウレア系加硫促進剤;2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾールシクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸鉄、ジエチルジチオカルバミン酸ジエチルアミン、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン、メチルペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペコリン等のジチオカルバミン酸系加硫促進剤;イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、ブチルキサントゲン酸亜鉛等のキサントゲン酸系加硫促進剤;などの加硫促進剤が挙げられる。
【0059】
これらの加硫促進剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられるが、少なくともスルフェンアミド系加硫促進剤を含むものが特に好ましい。加硫促進剤の配合割合は、ゴム成分100重量部に対して、通常0.1〜15重量部、好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
【0060】
加硫活性化剤としては、特に制限はないが、例えばステアリン酸などの高級脂肪酸や酸化亜鉛などを用いることができる。酸化亜鉛としては、例えば、表面活性の高い粒度5μm以下のものを用いるのが好ましく、かかる具体例としては、粒度が、例えば、0.05〜0.2μmの活性亜鉛華や0.3〜1μmの亜鉛華などを挙げることができる。また、酸化亜鉛は、アミン系の分散剤や湿潤剤で表面処理したものなどを用いることができる。
【0061】
これらの加硫活性化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。加硫活性化剤の配合割合は、加硫活性化剤の種類により適宜選択される。高級脂肪酸を用いる場合、ゴム成分100重量部に対して、通常0.05〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。酸化亜鉛を用いる場合は、ゴム成分100重量部に対して、通常0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.5〜2重量部である。酸化亜鉛の配合割合がこの範囲にある時に、加工性、引張強度及び耐摩耗性などの特性が高度にバランスされ好適である。
【0062】
その他の配合剤の例としては、例えば、シランカップリング剤以外のカップリング剤;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、シリコーンオイルなどの活性剤;炭酸カルシウム、タルク、クレーなどの充填剤;プロセス油、ワックスなどが挙げられる。
【0063】
本発明のゴム組成物は、常法に従って各成分を混練することにより得ることができる。例えば、加硫剤と加硫促進剤を除く配合剤とゴム成分を混合後、その混合物に加硫剤と加硫促進剤を混合してゴム組成物を得ることができる。加硫剤と加硫促進剤と除く配合剤とゴム成分の混合温度は、通常、80〜200℃、好ましくは100〜190℃、さらに好ましくは140〜180℃であり、混合時間は、通常、30秒以上であり、好ましくは1〜30分間である。加硫剤と加硫促進剤の混合は、通常100℃以下、好ましくは室温〜80℃まで冷却後行われ、その後、通常120〜200℃、好ましくは140〜180℃の温度でプレス加硫した本発明のゴム組成物を得ることができる。
【0064】
【実施例】
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。これらの例中の部及び%は、特に断わりのない限り重量基準である。
各種の物性の測定は、下記の方法に従って行った。
(1)重合体中の結合スチレン量は、JIS K6383(屈折率法)に準じて測定した。
(2)重合体中のブタジエン結合単位のビニル結合割合は、赤外分光法(ハンプトン法)で測定した。
(3)重合体中のアミノ基含有単量体量は、共重合体をテトラヒドロンフランに溶解し、メタノール/アセトン(50/50モル%)で再沈澱凝固を2回行い、真空乾燥後、500MHz1H−NMRで測定した。
(4)重合体中のヒドロキシル基含有単量体量は、特開平3−174408号公報に記載される方法に従い、重合体をフェニルイソシアナート処理した後、13C−NMRスペクトルでフェニルイソシアナートのフェニル基を定量することにより算出した。
(5)ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、JIS K6301に準じて測定した。
(6)引張強度は、JIS K6301に準じて300%応力(Kgf/cm2)を測定した。
(7)発熱性は、レオメトリックス社製RDA−IIを用い、1%ねじれ、20Hz、60℃のtanδを測定した。この特性は、指数(tanδ60℃の指数)で表示した。
(8)耐摩耗性は、ASTM D2228に従い、ピコ摩耗試験機を用いて測定した。この特性は、指数(耐摩耗指数)で表示した。
(9)加工性は、ロールへの巻き付き性を観察し、以下の基準で評価した。
4:きれいに巻き付く、3:僅かに浮き上がる、2:巻き付くが、浮き上がる頻度が多い、1:殆ど巻き付かない。
【0065】
製造例1〜5
攪拌機付きタンクに水200部、ロジン酸石鹸3部、t−ドデシルメルカプタン0.15部及び表1の組成の単量体を仕込んだ。反応器温度を5℃とし、ラジカル重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド0.1部、ソジウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレート0.2部、硫酸第二鉄0.01部を添加して重合を開始した。転化率が60%に達した時点でジエチルヒドロキシルアミンを添加し反応を停止させた。未反応単量体を回収後、硫酸と食塩を添加してクラムとして凝固させ、クラムドライヤーで乾燥させてジエン系ゴムNo.1〜5を得た。ジエン重合体の性状を表1に示した。
【0066】
【表1】
【0067】
(*1)p−ジメチルアミノメチルスチレン
(*2)N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
(*3)2−ビニルピリジン
(*4)ヒドロキシエチルメタクリレート
(*5)ヒドロキシエチルアクリレート
【0068】
実施例1〜5、比較例1
原料ゴムとして、製造例で作成したジエン系ゴムNo.1〜4を用い、表2の配合処方に基づいて、容量250mlのブラベンダータイプミキサー中で、原料ゴムの全量、シリカの半量、シランカップリング剤の半量及びステアリン酸を170℃で2分間混合後、硫黄と加硫促進剤を除く残りの配合剤を添加し、同温度で3分間混練した。次ぎに、得られた混合物と、硫黄及び加硫促進剤を50℃のオープンロールに加えて混練した後、160℃で30分間プレス加硫して試験片を作成し、各物性を測定した。結果を表3に示した。
【0069】
【表2】
【0070】
(*1)Si69(デグッサ社製)
(*2)亜鉛華#1(本荘ケミカル社製);粒度=0.4μm
(*3)ノクラック6C(大内新興社製)
(*4)ノクセラーCZ(大内新興社製)
【0071】
【表3】
【0072】
(*1)Z1165MP(ローヌプーラン社製;窒素吸着比表面積=175m2/g)
(*2)ニプシルVN3(日本シリカ社製;窒素吸着比表面積=240m2/g)(*3)これらの指数は、比較例1を100とした。
【0073】
表3の結果より、本発明のゴム組成物(実施例1〜5)は、アミノ基のみを含有するジエン系ゴムを用いた場合(比較例1)に比べて、引張強度、発熱性、耐摩耗性及び加工性のいずれの特性も格段に改善されていることがわかる。また、また、比表面積の小さいシリカを用いると引張強度、発熱性及び耐摩耗性がさらに改善され(実施例3と4の比較)、亜鉛華の配合量を限定することでさらに引張強度、発熱性、耐摩耗性の特性がさらに改善される(実施例2と3の比較)ことがわかる。
【0074】
実施例6〜9、比較例2
表5記載の原料ゴムを用い、表4記載の配合2に基づいて以下の操作を行った。容量250mlのバンバリー中で、先ず、原料ゴムの全量、シリカの半量、シランカップリング剤の半量及びステアリン酸を170℃で2分間混練した後、硫黄と加硫促進剤を除く残りの配合剤を添加し、同温度で2.5分間混練した。次ぎに、得られた混合物と、硫黄及び加硫促進剤を50℃のオープンロールに加えて混練した後、160℃で30分間プレス加硫して試験片を作成し、各物性を測定した。結果を表5に示した。
【0075】
【表4】
【0076】
(*1)Z1165MP
(*2)シーストKH(東海カーボン社製)
(*3)Si69
(*4)亜鉛華#1
(*5)ノクラック6C
(*6)ノクセラーCZ
【0077】
【表5】
【0078】
(*1)ポリブタジエン(日本ゼオン社製)
(*2)RSS3号
(*3)これらの指数は、比較例2を100とした。
【0079】
本発明の実施態様を以下に示す。
(1)共役ジエン単位40〜99.9重量%、アミノ基含有ビニル系単量体単位0.05〜20重量%、ヒドロキシル基含有ビニル系単量体単位0.01〜20重量%及びその他の共重合可能な単量体単位0〜50重量%からなるムーニー粘度(ML1+4,100℃)が10〜200のジエン系ゴム。
(2)共役ジエン結合単位部分のビニル結合量が5〜95%の範囲である(1)記載のジエン系ゴム。
(3)アミノ基含有ビニル系単量体単位とヒドロキシル基含有ビニル系単量体単位の割合が5:95〜90:10である(1)または(2)記載のジエン系ゴム。
(4)アミノ基含有ビニル系単量体のアミノ基が第3級アミノ基である(1)〜(3)のいずれかに記載のジエン系ゴム。
(5)第3級アミノ基含有ビニル系単量体が、N,N−ジ置換アミノアルキルアクリレート、N,N−ジ置換アミノアルキルアクリルアミド、N,N−ジ置換アミノ芳香族ビニル化合物またはピリジル基を有するビニル化合物である(4)記載のジエン系ゴム。
【0080】
(6)ヒドロキシル基含有ビニル系単量体が、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体、ヒドロキシル基含有ビニルエーテル系単量体またはビニルケトン系単量体であり、好ましくはヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体である(1)〜(5)のいずれかに記載のジエン系ゴム。
(7)ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体が、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸エステル、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸アミドまたはヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸無水物である(6)記載のジエン系ゴム。
(8)不飽和カルボン酸が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸またはマレイン酸であり、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸である(6)または(7)記載のジエン系ゴム。
(9)共役ジエンとアミノ基含有ビニル系単量体とヒドロキシル基含有ビニル系単量体、あるいは共役ジエンとアミノ基含有ビニル系単量体とヒドロキシル基含有ビニル系単量体とその他の共重合可能な単量体とを共重合するジエン系ゴムの製造方法。
(10)アミノ基とヒドロキシルを含有するビニル系単量体と共役ジエン、あるいはアミノ基とヒドロキシル基を含有するビニル系単量体と共役ジエンとその他の共重合可能な単量体とを共重合するジエン系ゴムの製造方法。
【0081】
(11)重合方法が乳化重合である(9)または(10)記載の製造方法。
(12)(1)〜(8)のいずれかに記載のジエン系ゴムを含むゴム成分と補強剤とを含有してなるゴム組成物。
(13)(1)〜(8)のいずれかに記載のジエン系ゴムのゴム成分中の割合が、10重量%以上である(12)記載のゴム組成物。
(14)補強剤の配合量が、ゴム成分100重量部に対して10〜200重量部である(12)または13記載のゴム組成物。
(15)補強剤がカーボンブラックである(12)〜(14)のいずれかに記載のゴム組成物。
【0082】
(16)補強剤がシリカを含むものである(12)〜(14)のいずれかに記載のゴム組成物。
(17)シリカが、乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカまたは沈降シリカである(16)記載のゴム組成物。
(18)シリカの窒素吸着比表面積(BET法)が50〜400m2/gである(16)または(18)記載のゴム組成物。
(19)さらにシランカップリング剤を含んだものである(16)〜(18)のいずれかに記載のゴム組成物。
(20)シランカップリング剤の配合量が、シリカ100重量部に対して0.1〜30重量部である(19)記載のゴム組成物。
【0083】
(21)さらに加硫剤、加硫促進剤及び加硫活性化剤を含んだものである(12)〜(20)のいずれかに記載のゴム組成物。
(22)ゴム成分100重量部に対して、加硫剤0.1〜15重量部および加硫促進剤0.1〜15重量部である(21)記載のゴム組成物。
(23)加硫促進剤が、少なくともスルフェンアミド系加硫促進剤を含むものである(21)または(22)記載のゴム組成物。
(24)加硫活性化剤として、酸化亜鉛を含むものである(21)〜(23)のいずれかに記載のゴム組成物。
(25)酸化亜鉛の粒度が5μm以下である(24)記載のゴム組成物。
【0084】
(26)酸化亜鉛の配合割合が、ゴム成分100重量部に対して、0.05〜10重量部である(24)または(25)記載のゴム組成物。
(27)その他の共重合可能な単量体が、芳香族ビニルである(1)〜(26)のいずれかに記載のジエン系ゴム、製造方法またはゴム組成物。
(28)芳香族ビニルが、スチレンである(27)記載のジエン系ゴム、製造方法またはゴム組成物。
(29)共役ジエンが、ブタジエンまたはイソプレンである(1)〜(28)のいずれかに記載のジエン系ゴム、製造方法またはゴム組成物。
【0085】
【発明の効果】
本発明を実施することにより、シリカ配合材料の特徴である転動抵抗を損なわずに欠点とされていた引張強度と耐摩耗性を大幅に改善することができ、且つ加工性にも優れた特性を有するゴム組成物が得られる。したがって、本発明のジエン系ゴム及びゴム組成物は、その特性を活かす各種用途、例えばトレッド、カーカス、サイドウオール、ビード部などのタイヤ各部位への利用、あるいはホース、窓枠、ベルト、靴底、防振ゴム、自動車部品などのゴム製品への利用、さらには耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂等の樹脂強化ゴムとして利用が可能になる。特に、本発明のゴム組成物は上記特性を活かして、特に低燃費タイヤのタイヤトレッドに優れるが、その他にもオールシーズンタイヤ、高性能タイヤ、スタッドレスタイヤ等のタイヤトレッド、サイドウオール、アンダートレッド、カーカス、ビート部等に使用することができる。
Claims (3)
- 共役ジエン単位45〜99.9重量%、アミノ基含有ビニル系単量体単位0.05〜20重量%、ヒドロキシル基含有ビニル系単量体単位0.05〜20重量%及びその他の共重合可能な単量体単位0〜50重量%からなるムーニー粘度(ML1+4,100℃)が10〜200のジエン系ゴムを含むゴム成分と補強剤とを含有してなり、補強剤がシリカを含むものであるゴム組成物。
- さらに加硫剤、加硫促進剤及び加硫活性化剤を含んだものであり、加硫活性化剤として、酸化亜鉛を含む請求項1に記載のゴム組成物。
- ジエン系ゴムを、共役ジエン、アミノ基含有ビニル系単量体、ヒドロキシル基含有ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体を共重合して製造し、当該ジエン系ゴムに他の成分を混合する請求項1または2に記載のゴム組成物の製造方法。
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