JP3736500B2 - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼結鉱の品質および生産性を向上させた焼結鉱の製造方法、特に高結晶水鉄鉱石と製鋼スラグとを原料として使用して品質にすぐれた焼結鉱の生産性を向上させた製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
焼結原料は、数種類の鉄鉱石、CaO 源としての石灰石、SiO2およびMgO 源としての蛇紋粉、CaO およびMgO 源としてのドロマイト、燃料としての粉コークスおよび返鉱等から構成されている。通常、これらの原料はその銘柄毎に原料槽に貯蔵されて、配合に応じて定量切り出されている。切り出された各銘柄は原料搬送用のベルトコンベア上で合流し、造粒機まで搬送される。
【0003】
造粒機において、原料に水分が添加されて造粒が行われる。さらに造粒後の原料は焼結機に供給され、原料充填層の最上部が点火される。その後、原料充填層へ大気が下方吸引されることによって焼結反応が上部から下部に進行する。下部まで焼結原料が焼結された塊状物(焼結ケーキと称する)は、焼結機排鉱部で粗破砕された後にクーラで冷却される。
【0004】
ここに、焼結反応における塊成化はFe2O3 とCaO が1200℃で液相を生じ融液がボンド (結合剤) となることを利用している。
ところで、従来よりCaO 源として石灰石が使用されてきた。近年、スラグ投棄問題が顕在化し製鋼工程で発生するスラグを焼結の際のCaO 源として活用されている。
【0005】
この製鋼工程で発生するスラグ、つまり製鋼スラグを利用する技術として、例えば、特開平5−51653 号公報には、SiO2≦5.5 %の低SiO2条件下において、製鋼スラグ (転炉スラグ) を−3mmに粉砕して使用する技術が開示されている。これは、石灰石と比較して同化反応の反応速度が遅い転炉スラグをその反応面積増加によって改善する技術である。但し、転炉スラグの粉砕には、コスト上では初期投資および運用上では転炉スラグの粉砕速度で難がある。
【0006】
一方、Fe2O3 源は鉄鉱石である。鉄鉱石の中で、結晶水含有率の高い鉄鉱石(以後、高結晶水鉱石と記載)は、焼結過程において結晶水の分解によって亀裂が発生する。この亀裂によって、カルシウムフェライト(Fe2O3−CaO)系融液と高結晶水鉱石との反応面積が上昇することにより反応速度が上昇する。その結果、融体組成についてはCaO/Fe2O3 比が低下し、融体の流動性が低下する。この融体流動性の低下によって、結晶水から気化したガスや亀裂内の気体が残留して燒結鉱が多孔質化する。この多孔質化によって焼結の歩留が低下する。また、融体流動性の低下は、通気性の低下を招き生産率が低下する。
【0007】
この高結晶水鉱石の使用技術として、特定鉱石による配合によって品質等の改善が開示されている。例えば、特開平10−245638号公報には、ピソライト鉄鉱石(高結晶水鉱石)とSiO2 2〜5質量%、結晶水3〜6質量%含有の鉄鉱石、およびペレットフィード又はSiO2 2質量%未満含有の鉄鉱石を配合して、ピソライト鉄鉱石(高結晶水鉱石)の周囲をカルシウムフェライト主体の鉱物組織とする方法が開示されている。
【0008】
特開2001−279334号公報では、ピソライト鉄鉱石(高結晶水鉱石)とSiO2 1.5質量%未満含有の鉄鉱石を配合し、かつ前記ピソライト鉄鉱石(高結晶水鉱石)に占める低Al2O3 含有ピソライト鉄鉱石(高結晶水鉱石)を50質量%以上とする方法が開示されている。
【0009】
前者の技術は、ペレットフィード又はSiO2 2質量%未満含有の鉄鉱石からは流動性の高い融体が形成されることに着眼しており、高結晶水鉱石であるピソライト鉄鉱石からの融体流動性の低下を抑制する技術である。
【0010】
後者の技術は、融液中の同じピソライト鉱石(高結晶水鉱石)でもAl2O3 含有率の低い鉄鉱石の配合を上昇させることで融体流動性の低下を抑制する技術である。
【0011】
しかしながら、かかる従来技術は、いずれの方法であっても、ペレットフィード又はSiO2 2質量%未満含有の鉄鉱石の配合、およびAl2O3 含有率の高いピソライト鉄鉱石(高結晶水鉱石)からAl2O3 含有率の低いピソライト鉄鉱石(高結晶水鉱石)への置換は、より高価な鉄鉱石へ配合を必要とし、コスト上昇は免れない。
【0012】
特開平8−67919 号公報では、リモナイト鉱石(高結晶水鉱石)の配合量に応じてミルスケールを増配する方法が開示されている。これは、FeO 添加によってAl2O3-SiO2-CaO-MgO系スラグ粘度を低下することによって融体流動性の低下を改善することを狙いとしている。
【0013】
しかしながら、融体生成から粒子結合にいたる反応ゾーンにおいてFeは2価から3価に酸化されやすく、FeO の状態での存在は安定ではない。また、Feの2価から3価への反応の際に酸化熱は享受されるが、単に熱補填だけでは融体流動性の低下を抑制できない。
【0014】
特開平5−43953 号公報では、ゲーサイト鉱石(高結晶水鉱石)に、−1mmに粉砕し−0.125mm 比率30%以上に調整した転炉スラグを添加・混合し擬似粒子化する技術が開示されている。これは、同化反応速度が遅い転炉スラグでゲーサイト鉱石(高結晶水鉱石)の粒子を覆うように付着させることによって、ゲーサイト鉱石(高結晶水鉱石)が自己緻密化する1300℃近辺まで融体との反応を抑制でき、融体流動性の低下を抑制する技術である。
【0015】
しかしながら、転炉スラグはFeO を多く含有しているので、配合比率によってはゲーサイト鉱石(高結晶水鉱石)と局部的にシリケート系融液を生成し易くなり、焼結鉱中のシリケートスラグ量が上昇し被還元性を悪化させる。実際に、特開平5−43953 号公報で開示されている実施例では被還元性が悪化している。
【0016】
この他、高結晶水鉱石の使用技術として、特公平5−83620 号公報ではピソライト鉄鉱石(高結晶水鉱石)を、内層がMgO −SiO2含有副原料主体、外層が高CaO/SiO2原料の2層で覆うことにより、焼結過程において、ピソライト鉄鉱石(高結晶水鉱石)の周りに高融点融体を生成させて、カルシウムフェライト融体のピソライト鉄鉱石(高結晶水鉱石)への浸入を抑制する技術が開示されている。
【0017】
また、特開平5−339652号公報ではピソライト鉄鉱石(高結晶水鉱石)と石灰石とを予め造粒することによって、カルシウムフェライト融体の形成を促進させ、その融体でピソライト鉄鉱石(高結晶水鉱石)に生じた亀裂を満たして、焼結歩留、焼結鉱強度、生産性を改善する技術が開示されている。
【0018】
しかしながら、これら2つの技術にあっては、予備造粒設備が必要となり初期投資が大きいことが難点である。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、安価な高結晶鉱石および所内発生スラグの製鋼スラグの効率的な活用による焼結鉱の成品歩留および焼結鉱の冷間強度を改善する技術の開発である。
【0020】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、発明者らは種々の検討を行い、高結晶水鉱石配合時に見られるカルシウムフェライト系融体の流動性低下を、FeO を多く含有する製鋼スラグの配合で抑制でき、しかも高結晶水鉱石を配合しない場合よりも逆に改善できることを知見し、その後の種々の検討の結果、本発明を完成した。
【0021】
すなわち、高結晶水鉱石は結晶水分解による発生亀裂原因で、融体組成におけるCaO/Fe2O3 比が低下し、融体の流動性を低下させる。ここで、CaO/Fe2 O3比の低下は融体中の液相比低下による構造粘性低下と解釈される。抜本的な対策は液相領域の拡大である。
【0022】
ここに、Fe2O3-CaO-SiO2系スラグと比較してFeO-CaO-SiO2系スラグは1300℃における液相領域が広い。FeO 含有率の高い製鋼スラグの使用によって、液相を確保し融体流動性の低下を抑制できる。また、製鋼スラグ内にはFeO 、CaO 、SiO2が共存しているのでFeO-CaO-SiO2系融体を形成しやすい。
【0023】
つまり、先に紹介した特開平8−67919 号公報開示技術におけるミルスケールのFeO の場合と比較して、製鋼スラグ中に存在するFeO はCaO やSiO2と共存しているので、FeO 中のFeが2価から3価へO2によって酸化される前に融体を形成する確率が高くなる。
【0024】
よって、特開平8−67919 号公報開示技術に対して、融体流動性確保の点で優位となる。
次の段階で、FeO-CaO-SiO2系融体は、Feは吸引ガス中の酸素によって酸化を受ける。このFeの酸化によって液相領域は縮小する。この縮小によって液相はシリケート系融体とカルシウムフェライト系融体に分離される。FeO-CaO-SiO2融体はその組成によって、シリケート系融体とカルシウムフェライト系融体のどちらに帰属されるのか決まる。融体中液相の粘性は、シリケート系融体よりもカルシウムフェライト系融体が小さい。
【0025】
ここに、融体の流動性は、第1に液相固相比、第2に液相粘性に支配される。よって、Feの酸化過程において、シリケート系融体よりもカルシウムフェライト系融体に帰属される方が融体流動性は大きくなる。高結晶水鉱石は反応性が良好で未反応で残存する残留元鉱がほとんど存在しない。
【0026】
従って、高結晶水鉱石と融体との反応は、ほぼ均一反応であると解釈される。
ところで、均一反応であれば、試薬調合による焼結反応で評価可能である。そこで、試薬調合による電気炉焼成試験によるアプローチを行った。その結果、CaO/SiO2が1.9 以上でカルシウムフェライトの形成を知見した。よって、高結晶水鉱石を用いた場合におけるカルシウムフェライト系融体を多く形成させるには塩基度(CaO/SiO2)を1.9 以上に設計することが望ましい。
【0027】
さらに、高結晶水鉱石は反応性が良好なので、溶融率が高くなる。この溶融率の上昇が融体流動性を低下させることを先に述べた。一方で、製鋼スラグの活用によって融体流動性が確保できる。
【0028】
よって、高結晶水鉱石と製鋼スラグとの組合せにおいてFeO 量を所定値以上確保することにより、溶融率上昇と融体流動性上昇の双方が達成されるので、高結晶水鉱石比率の上昇によって、焼結の結合が強化される。これは、焼結操業においては、焼結の成品歩留改善と焼結鉱の冷間強度改善に奏功する。
【0029】
以上のような知見に基づいて完成された本発明は、次の通りである。
(1)結晶水を4質量%以上含有する高結晶水鉄鉱石を全鉄鉱石量に対して40質量%以上配合し、FeOを5〜30質量%含有する製鋼スラグを、該製鋼スラグ中のFeOと前記高結晶水鉄鉱石中のFeとの質量比%((FeO/Fe)×100%)で1.0%以上1.8%以下となるように配合した原料を、焼結原料として使用することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
【0030】
(2)結晶水を4質量%以上含有する高結晶水鉄鉱石を全鉄鉱石量に対して40質量%以上配合し、FeOを5〜30質量%含有する製鋼スラグを、該製鋼スラグ中のFeOと前記高結晶水鉄鉱石中のFeとの質量比%((FeO/Fe)×100%)で1.0%以上2.9%以下となるように配合した原料に造粒を行って焼結原料の一部として使用することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
【0031】
(3) 前記造粒に際し、高速攪拌羽根を内蔵した混合機を使用することを特徴とする上記(2) に記載の焼結鉱の製造方法。
(4) 焼結鉱の塩基度 (質量比CaO/SiO2) が1.9 以上であることを特徴とする上記(1) 〜(3) のいずれかに記載の焼結鉱の製造方法。
【0032】
【発明の実施の形態】
このように、本発明は、焼結鉱の製造方法であって、結晶水4質量%以上の高結晶水鉄鉱石、FeO を5〜30質量%含有の製鋼スラグの活用方法である。
【0033】
ここで、結晶水4質量%以上の高結晶水鉄鉱石として、代表的な例として、ピソライト鉱石、マラマンバ鉱石、リモナイト鉱石、ゲーサイト鉱石が挙げられる。
【0034】
製鋼スラグとして、脱硫スラグ、転炉スラグが挙げられる。転炉では脱Si脱P脱Cが同一炉で実施されているプロセスや、例えばSRP 法のように脱Si脱Pと脱Cが別の転炉で実施されているプロセスもある。いずれの転炉スラグでも構わない。
【0035】
本発明の好適態様では、高結晶水鉱石自体および製鋼スラグ自体の性状と、これらの配合条件を限定している。もちろん、高結晶水鉱石以外の鉄鉱石 (例:赤鉄鉱) 、フラックス源としての石灰粉、粉コークス等の燃料を、さらに必要に応じドロマイト、蛇紋粉などを操業条件に応じて配合しても構わない。
【0036】
また、本発明にかかる製造方法に基づいて配合された原料を焼結原料の全量とする場合と、焼結原料の一部として使用する場合と、本発明は双方に適用される。但し、本発明にかる方法に基づいて配合された原料を焼結原料の一部として使用する場合には、その他の原料と混合されてしまうと、本発明による作用効果は阻害されるため、本発明にかかる方法に基づいて配合された原料は、他の原料との混合に先立って造粒しておくことが好ましい。この造粒によって、本発明法の配合条件を満足する疑似粒子を造り込めることが可能となり、目的とする焼結反応が部分的に達成される。
【0037】
ここで、この造粒方法については、通常のドラムミキサーで代表される転動型造粒機で達成可能である。但し、擬似粒子の強度を確保するために、転動造粒機による造粒の前段でアイリッヒミキサーで代表される高速攪拌羽根を内蔵した混合機を使用すると効果が大きくなる。
【0038】
また、使用する製鋼スラグの粒度については特に限定しない。但し、焼結反応は比較的短時間で進行することから粒径20mmを超える粒子は極力少ない方が望ましい。
【0039】
次に、本発明において限定する各種数値についてその数値限定の意味するところを記載する。
高結晶水鉱石の結晶水比率を4質量%以上と限定したのは、4質量%未満では溶融率の上昇という高結晶水鉱石特有の現象が起こらないからである。
【0040】
高結晶水鉄鉱石の配合量を全鉄鉱石配合量に対して40質量%以上と限定したのは、40質量%未満では溶融率の上昇という高結晶水鉱石特有の現象の影響が小さいからである。この現象の影響度は、高結晶水鉱石粒子単体近傍のみの現象からさらに広い領域へ波及する。
【0041】
製鋼スラグが含有するFeO 濃度を5〜30質量%と限定したのは、5質量%未満では融体中の液相比を拡大することが困難であり30質量%超では、液相領域が拡大するものの、高結晶水鉱石中のSiO2とFeO の反応によって難還元性鉱物のファイアライト(FeO-SiO2)が形成されやすくなるからである。
【0042】
製鋼スラグの配合量を、製鋼スラグ由来のFeO が高結晶水鉱石中のFeに対して質量比で1.0 %以上となるように決定したのは、溶融率の高い高結晶水鉱石と融体との反応による融体流動性の低下を抑制するのに必要なFeO を実験的に求めたところ、1.0 %以上必要との結果を得たからである。
【0043】
ここで、「製鋼スラグ含有FeO 濃度」と「製鋼スラグ配合量」は、それぞれ高結晶水鉱石粒子内における鉱石粒子と少量の融体の局部的な反応、高結晶水鉱石粒子と融体との粒子間を含むマクロ反応から設計されたものである。
【0044】
次に、本発明において、焼結鉱の塩基度を好ましくは1.9 以上、つまり(CaO/SiO2≧1.9)と限定したのは、配合された原料のCaO/SiO2を1.9 以上にすると、カルシウムフェライト系融体が形成され、融体流動性をさらに向上できることが判明したためである。
【0045】
次に、本発明の実施例を説明することで、本発明の作用効果をさらに具体的に説明する。
【0046】
【実施例】
(実施例1)
本例では、実験室規模の焼結機により本発明にかかる方法による焼結鉱の歩留/品質を評価する。
【0047】
本例においては、実験室規模の小型焼結試験機に焼結原料を装入した後に、バッチ焼成を実施した。
このときの製鋼スラグを含む今回使用した原料の化学成分を表1に示す。
【0048】
配合条件を表2〜4に示す。なお、配合比は質量比率で表示した。
各表の配合の他に、返鉱を各表の配合の合計に対して20質量%添加した。また、粉コークスについては配合1−1−1で3.6 %とし、配合1−1−1以外については、3.6 %に結晶水の分解熱とFeO の酸化熱相当を加減してその量を調整して添加した。なお、この粉コークス比率は、各表の配合に返鉱を加えた原料に対する質量比率である。
【0049】
本例では、一部の原料については造粒を行ったが、そのとき造粒機はドラムミキサーを用いて、水を添加した後に4分間混合して造粒を行った。
水分はいずれの場合も7.5 %に調整した。
【0050】
得られた焼結鉱について、成品歩留, 冷間強度(TI)、被還元性(JIS-RI) を評価した。
なお、成品は焼結ケーキをクラッシャーで破砕後、SI試験機で4回落下後の+5mm産物と定義し、―5mm産物を返鉱と定義した。
【0051】
図1に、製鋼スラグ由来FeO/高結晶水鉱石由来Feをパラメータにとって、高結晶水鉱石と成品歩留、冷間強度、および被還元性との関係を示す。
本発明例の「製鋼スラグ由来FeO/高結晶水鉱石由来Fe」が高い条件で成品歩留および冷間強度が改善されたことがわかる。
【0052】
さらに特徴的な結果として、本発明例の「製鋼スラグ由来FeO/高結晶水鉱石由来Fe」の高い条件では、高結晶水鉱石配合の増加と共に成品歩留および冷間強度が改善された。この傾向は、「製鋼スラグ由来FeO/高結晶水鉱石由来Fe」の低い条件と傾向が異なった。
【0053】
つまり、高結晶水鉱石の良好なる反応性によって、「製鋼スラグ由来FeO/高結晶水鉱石由来Fe」の高い場合には融体の液相比が確保され、融体流動性と溶融率の双方を改善できる。一方、「製鋼スラグ由来FeO/高結晶水鉱石由来Fe」の低い場合には融体の液相比が低下してしまう。
【0054】
被還元性については、高結晶水鉱石の増配によって改善する傾向がみられた。
図2に塩基度と成品歩留、冷間強度, および被還元性との関係を示す。なお、製鋼スラグ由来FeO/高結晶水鉱石由来Feは1.0 〜1.4 であった。
【0055】
これからは、塩基度の上昇と共に、成品歩留、冷間強度, および被還元性が改善されたことが分かる。
(実施例2)
本例でも、実験室規模の小型焼結機を使って本発明にかかる方法を実施し、焼結鉱の歩留/品質を評価した。ここでは、本発明の配合を焼結原料の一部として使用する様態について評価した。
【0056】
実施例1と同様に、実験室規模の小型焼結試験機に焼結原料を装入した後に、バッチ焼成を実施した。
本例の配合条件を表5に示す。この表5の配合は新原料の配合を示している。また、配合比は質量比率で表示した。
【0057】
表5の配合において、本発明の配合は配合Aで示されており、残りの配合は配合Bで示されている。そして配合Aと配合Bを合わせたものが新原料全体の配合となる。新原料全体の配合は表4中に「全体配合」で示されており、一定条件とした。なお、新原料全体の成分が一定(SiO2:4.3 %、Al2O3 :1.7%、MgO :1.3%、CaO/SiO2:2.0)となるように調整した。
【0058】
また実際には新原料の他に、返鉱を新原料に対して20%添加した。また、粉コークスについては新原料と返鉱を合わせた原料に対して3.6 %とした。
図3に造粒方法を示す。配合Aを造粒し、配合B、返鉱および粉コークスを別途造粒し、これら2種類の原料を合流させた(ア) 。あるいは、配合Aを造粒し、配合B、返鉱および粉コークスを別途造粒し、これら2種類の原料を合流後に造粒させた(イ) 。あるいは、配合Aを造粒し、配合B、返鉱および粉コークスと合流後に造粒させた(ウ) 。
【0059】
ここで、配合Aの造粒には、ドラムミキサーによる造粒と、高速攪拌羽根を内蔵した造粒機とドラムミキサーによる造粒の2種類を採用した。また、配合B、返鉱および粉コークスの別途行った造粒、および合流後の造粒には、ドラムミキサーによる造粒を実施した。
【0060】
このようにして製造された焼結鉱について、成品歩留, 冷間強度(TI)、被還元性(JIS-RI) を評価した。
なお、成品は焼結ケーキをクラッシャーで破砕後、SI試験機で4回落下後の+5mm産物と定義し、―5mm産物を返鉱と定義した。
【0061】
本例の結果を図4に示す。
実施例1と同様に、本発明法の配合条件において成品歩留, 冷間強度(TI)、被還元性(JIS-RI) が改善された。また、造粒法として、高速攪拌羽根を内蔵したミキサーを使用したケースで効果が大きくなった。
【0062】
【表1】
Figure 0003736500
【0063】
【表2】
Figure 0003736500
【0064】
【表3】
Figure 0003736500
【0065】
【表4】
Figure 0003736500
【0066】
【表5】
Figure 0003736500
【0067】
【発明の効果】
上述のように、高結晶水鉱石と製鋼スラグを配合することによって、焼結反応時に融液流動性および溶融率を上昇させることができる。この双方の上昇によって、焼結の成品歩留および冷間強度が改善される。高速攪拌羽根を内蔵した造粒機の使用によってさらに改善度合が大きくなる。
【0068】
さらに、塩基度を1.9 以上とすることによって、シリケート系融体の形成を抑止できて、更なる融体流動性の向上による成品歩留と冷間強度が改善、およびシリケート系鉱物の形成抑止による被還元性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における成品歩留、冷間強度、被還元性改善効果を示すグラフである。
【図2】実施例1における成品歩留、冷間強度、被還元性改善効果を示すグラフである。
【図3】実施例2における焼結原料造粒系統図である。
【図4】実施例2における成品歩留、冷間強度、被還元性改善効果を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 結晶水を4質量%以上含有する高結晶水鉄鉱石を全鉄鉱石量に対して40質量%以上配合し、FeOを5〜30質量%含有する製鋼スラグを、該製鋼スラグ中のFeOと前記高結晶水鉄鉱石中のFeとの質量比%((FeO/Fe)×100%)で1.0%以上1.8%以下となるように配合した原料を、焼結原料として使用することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
  2. 結晶水を4質量%以上含有する高結晶水鉄鉱石を全鉄鉱石量に対して40質量%以上配合し、FeOを5〜30質量%含有する製鋼スラグを、該製鋼スラグ中のFeOと前記高結晶水鉄鉱石中のFeとの質量比%((FeO/Fe)×100%)で1.0%以上2.9%以下となるように配合した原料に造粒を行って焼結原料の一部として使用することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
  3. 前記造粒に際し、高速攪拌羽根を内蔵した混合機を使用することを特徴とする請求項2に記載の焼結鉱の製造方法。
  4. 焼結鉱の塩基度(質量比CaO/SiO)を1.9以上にすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の焼結鉱の製造方法。
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