JP3736099B2 - 画像処理装置および画像処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やファクシミリなどの画像処理装置およびその処理方法に関し、特に文字や線画などの文字領域と写真や絵柄などの絵柄領域が混在した画像を処理する画像処理装置および画像処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機やファクシミリなどの画像処理装置において、入力された画像に文字・線画などの文字領域と、写真・絵柄・網点などの絵柄領域が混在していた場合、その画像を再生する際に文字領域と絵柄領域を分離し、文字領域には解像度を重視した処理を、絵柄領域には階調性を重視した処理を施すことにより、高画質な再生画像を得ることが可能となる。また、上記のような画像に基づく画像データを伝送する場合にも、文字領域と絵柄領域を分離し、それぞれ異なった手法で圧縮処理を行った方が、画像品質および圧縮率の面から好ましい。
【0003】
ここで、上述したような解像度重視・階調性重視の処理を画像の各領域ごとに適応的に処理するためには、画像に含まれる文字領域・絵柄領域を精度良く分離する(以下、文字領域・絵柄領域の分離のことを像域分離と称す)必要があり、この像域分離に関しては、従来、種々の提案がなされている。
【0004】
例えば、画像をある一定の大きさのブロックに分離し、各ブロックごとにそのブロックに含まれる画素の最大濃度と最小濃度を求め、最大濃度と最小濃度の差をあらかじめ決められた閾値と比較し、当該閾値よりも大きいブロックは文字領域、小さいブロックは絵柄領域と判定する方法である。ところが、このように1種類の方法で像域分離を行うのでは、各領域を精度良く分離するのは難しい。
【0005】
一方、1種類の方法で像域分離するのではなく、文字領域を抽出する処理および絵柄領域を抽出する処理などの複数の処理を行い、これら複数の処理の処理結果に基づいて精度良く像域分離を行う手法も提案されている。例えば図12に示すように、画像入力部101によって読み取られた画像信号は、文字抽出部102および網点抽出部103に入力される。
【0006】
文字抽出部102では、入力された画像信号から画素単位に文字領域の判定を行い、その判定結果を出力する。また、網点抽出部103では、画素単位に網点領域の判定を行い、その判定結果を出力する。文字抽出部102および網点抽出部103の各判定結果は共に小領域抽出部104に入力され、文字抽出結果の補正処理が行われる。
【0007】
小領域抽出部104は、文字抽出部102および網点抽出部103の各判定結果を2入力とするOR回路105と、このOR回路105の出力に対して収縮処理を行う収縮処理回路106と、この収縮処理回路106の出力に対して膨張処理を行う膨張処理回路107と、この膨張処理回路107の出力とOR回路105の出力を2入力とするNOT‐AND回路108とから構成されている。そして、この小領域抽出部104からの出力結果を像域分離結果とする。
【0008】
上記構成の従来の画像処理装置において、網点抽出部103や小領域抽出部104は、その抽出処理の過程で一般に広い領域を参照する必要がある。例えば、網点抽出部103では、注目画素が網点か否かを判定するために、注目画素を中心としたN×N(例えば、N=13)画素の領域で周期性の判定を行い、周期性があると判定した場合には、注目画素が網点領域であると判定する処理が行われる。
【0009】
また、小領域抽出部104では、OR回路105で文字抽出部102と網点抽出部103の各判定結果に対して画素単位の論理和演算(OR)を行った後、収縮処理回路106で注目画素を中心としたM1×M1(例えば、M1=21)画素での収縮処理(M1×M1画素の論理積)を行い、続いて膨張処理回路107で注目画素を中心としたM2×M2(例えば、M2=33)画素での膨張処理(M2×M2画素の論理和)を行う。そして、NOT‐AND回路108では、膨張処理回路108の出力結果のNOT(否定)とOR回路105の出力結果の論理積演算(AND)が行われる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術では、文字領域を抽出する処理および絵柄領域を抽出する処理などの複数の処理を行い、これら複数の処理結果に基づいて像域分離を行うことでその分離精度は高くなる反面、網点抽出部103や小領域抽出部104では広域参照処理が必要となるため、ラインメモリ等が多数必要となり、処理規模が大きくなるという欠点がある。
【0011】
この処理規模が大きくなるという欠点を解消するために、入力画像を収縮し、解像度を下げた後、像域分理処理を行うことも考えられているが、この場合、処理規模については小さくできるものの、入力画像を縮小した際に文字の潰れが発生するため、文字抽出部102での文字抽出精度が低下し、結果として像域分離の分離精度が低下するという欠点がある。
【0012】
本発明は、上記した従来技術の欠点を解消すべくなされたものであり、その目的とするところは、できるだけ小さい処理規模で、入された画像データから精度の高い像域分離の処理を行うことが可能な画像処理装置および画像処理方法に関する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明による画像処理装置は、画像データを入力する入力手段と、この入力手段による入力画像データに対して第1の解像度にて画像データの細部構造を判定してその細部判定結果を示すデータを出力する細部判定手段と、この細部判定手段から出力される細部判定結果を示すデータの解像度を第1の解像度よりも低い第2の解像度に変換する第1の解像度変換手段と、この第1の解像度変換手段によって第2の解像度に変換された画像データに基づいて入力画像データの特性を判定する特性判定手段とを備えた構成となっている。
【0014】
上記構成の画像処理装置において、入力画像データに対して先ず高解像度の第1の解像度にて画像データの細部構造の判定を行う。この細部構造判定に伴い、細部判定手段はその細部判定結果を示すデータを出力する。次いで、この細部判定結果を示すデータの解像度を、第1の解像度変換手段で第1の解像度からそれよりも低い第2の解像度に変換する。そして、特性判定手段では、低解像度の細部判定結果を示すデータを用いて入力画像データの特性判定を行う。
【0015】
本発明による他の画像処理装置は、上記構成の画像処理装置の構成要素に加えて、入力画像データの解像度を第1の解像度よりも低い第3の解像度に変換する第2の解像度変換手段と、この第2の解像度変換手段によって第3の解像度に変換された画像データの広域構造を判定してその広域判定結果を示すデータを出力する広域判定手段とを備え、特性判定手段が第1の解像度変換手段によって第2の解像度に変換されたデータと、広域判定手段から出力される広域判定結果を示すデータとに基づいて入力画像データの特性を判定する構成となっている。
【0016】
上記構成の他の画像処理装置において、入力画像データの解像度を、第2の解像度変換手段で第1の解像度からそれよりも低い第3の解像度に変換する。広域判定手段は、この低解像度にて画像データの広域構造の判定を行い、その広域判定結果を示すデータを出力する。そして、特性判定手段では、細部判定結果に基づく低解像度の画像データと、広域判定結果を示す低解像度のデータとを用いて入力画像データの特性判定を行う。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係る画像処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0018】
図1において、画像入力部11は、CCD(Charge Coupled Device) カメラ等の光電変換素子により原稿のカラー画像情報を色別に読み取り、電気的なディジタル画像信号に変換して出力するイメージスキャナなどである。なお、画像入力部11によって読み取りかつ変換されたディジタル画像信号は、一例として、解像度600dpi(dot per inch)、各色8bitのR(赤)G(緑)B(青)カラー画像信号であるとして以下の説明を行うものとする。
【0019】
画像入力部11から出力されるRGB各8bitのディジタル画像信号は、入力階調補正部12において階調が補正された後、色信号変換部3に入力される。色信号変換部13では、階調補正がなされたRGB画像信号が、他の色信号(例えば、L* a* b* )に変換される。色信号変換部13から出力されるL* a* b* 画像信号は色信号変換部14に供給され、そこで他の色信号(例えば、Y(イエロー)M(マゼンタ)C(シアン))に変換され、さらに墨版生成部15によってYMC画像信号から墨版が生成されてYMCK(黒)画像信号に変換される。
【0020】
墨版生成部15から出力されるYMCK画像信号は、空間フィルタ部16に供給されて各色ごとに空間フィルタリング処理が施される。空間フィルタリング処理がなされたYMCK画像信号は、出力階調補正部17に供給されて各色ごとに画像出力階調特性が合うように出力階調補正がなされる。出力階調が補正されたYMCK画像信号は、画像出力部18に入力される。
【0021】
色信号変換部13から出力されるL* a* b* 画像信号のうちのL* 信号は、像域分離部19にも入力される。像域分離部19は、後述するように、L* 信号に基づいて各画素ごとに文字部あるいは絵柄部の像域判定を行う。この像域分離部19での像域判定結果は、先述した空間フィルタ部16、出力階調補正部17および画像出力部18に入力される。
【0022】
像域分離部19から像域判定結果が与えられることにより、空間フィルタ部16ではその像域判定結果に対応した例えばフィルタリング係数などの設定処理が行われ、出力階調補正部17ではその像域判定結果に対応した出力階調補正処理が行われ、画像出力部18ではその像域判定結果に対応した例えばスクリーンなどの切り替え処理が行われる。
【0023】
上記構成の画像処理装置において、本発明では像域分離部19の構成を特徴としており、以下、この像域分離部19について詳細に説明する。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態を示すブロック図である。図2において、像域分離部19に入力された画像信号(例えば、解像度600dpi、各画素8bitのL* 画像信号)は、文字抽出部21および解像度変換部22に入力される。文字抽出部21では、入力された画像信号から文字や線画などの文字領域の抽出処理が行われる。そして、各画素1bitの画像信号が出力される。この文字抽出部21の詳細については後述する。
【0025】
文字抽出部21から出力された画像信号は、解像度変換部23に入力される。解像度変換部23では、入力された解像度600dpi、各画素1bitの画像信号の解像度を例えば400dpiに落とす処理が行われる。この解像度変換部23において解像度を落とす際には、文字の細部構造を保持するように、換言すれば文字の潰れが発生しないように解像度変換処理が行われる。この解像度変換部23の詳細については後述する。
【0026】
一方、解像度変換部22に入力された解像度600dpi、各画素8ビットのL* 画像信号は、その解像度を例えば400dpiに落とす処理が行われる。この解像度変換部22において解像度を落とす際には、後述する網点抽出部24において網点領域が抽出しやすいように解像度変換処理を行う必要がある。すなわち、網点領域の持つ周期構造を保持するようにして(壊さないようにして)解像度変換処理を行うことが望ましい。そのためには、例えば、4点補間法や投影法といった公知の技術を用いれば良い。
【0027】
解像度変換部22によって低解像度化された画像データは網点抽出部24に入力され、網点領域の抽出処理が行われる。この網点抽出部24としては、例えば本出願人による特願平9−231361号明細書に開示の構成のものなどが用いられる。当該明細書に開示の網点抽出技術は、入力画像データの2値化を行い、2値画像データの論理“1”(または、論理“0”)の画素が、注目画素を中心としたN1×N1(例えば、N1=13)の広範囲領域の中で周期構造をなしているか否かを判定した後、その判定結果に対してN2×N2(例えば、N2=25)の広範囲領域を用いて網点領域を判定・抽出する構成となっている。
【0028】
本実施形態の場合は、解像度変換部22によって低解像度化された400dpi画像データに対して、網点抽出部24では36(=12+24)ライン分のラインメモリが必要となるが、仮に解像度変換部22が無い場合、即ち600dpi画像データに対して同一の領域の中で周期構造の判定を行うためには、1.5(=600/400)倍の54(=36×1.5)ライン分のラインメモリが必要となる。また、画像の主走査方向に対しても解像度変換は行われているため、1ライン分のラインメモリの大きさも1.5倍必要である。
【0029】
すなわち、解像度変換部22を網点抽出部24の前に設けることにより、解像度変換部22の処理は必要であるが、広域参照処理を行う網点抽出部24で必要なラインメモリの大きさは、1/2.25(=1.5×1.5)で済むため、網点抽出性能は落とさずに、処理規模を大きく削減することが可能となる。
【0030】
解像度変換部23から出力される低解像度化された文字抽出結果画像信号と、網点抽出部24から出力される網点抽出結果画像信号は共に小領域抽出部25に入力される。なお、本実施形態では、解像度変換部22,23での解像度変換倍率は共に600dpi→400dpiと同一であるために、解像度変換部23および網点抽出部24の各出力は直接小領域抽出部25に入力されているが、解像度変換部22,23での解像度変換倍率が異なる場合には、小領域抽出部25に入力される上記2系統の画像信号の解像度を同一にする必要がある。例えば、網点抽出部24の後ろに解像度変換手段を設けて、上記2系統の画像信号の解像度を同一にする処理を行う。
【0031】
小領域抽出部25は、解像度変換部23および網点抽出部24から出力される各画像データを2入力とするOR回路26と、このOR回路26から出力される画像データに対して収縮処理を行う収縮処理回路27と、この収縮処理回路27から出力される画像データに対して膨張処理を行う膨張処理回路28と、この膨張処理回路28から出力される画像データとOR回路26から出力される画像データを2入力とするNOT‐AND回路29とから構成されている。
【0032】
上記構成の小領域抽出部25において、解像度変換部23から出力される画像データおよび網点抽出部24から出力される画像データは、共にOR回路26に入力されることで画素単位の論理和演算が行われる。そして、OR回路26から出力される画像データは、収縮処理回路27およびNOT‐AND回路29に入力される。収縮処理部27では、注目画素を中心としたM1×M1(例えば、M1=21)画素領域での収縮処理が行われる。
【0033】
収縮処理部27の構成の一例を図3に示す。同図において、OR回路26から出力された画像データは、それぞれ1ライン相当の時間だけ遅延させるためのラインメモリであるFIFOメモリ30-1〜30-20 と、それぞれデータを1画素ピッチ相当の時間だけ同期遅延させるためのF/F(フリップフロップ)31-0-1〜31-20-21とによって、注目画素を中心とする21×21画素からなる画素群にブロック化される。
【0034】
そして、F/F31-0-21 〜31-20-21の各出力がAND回路32に入力されて、AND処理(論理積演算)が行われる。すなわち、収縮処理部27では、注目画素を中心とした21×21=441画素すべての論理積演算が行われて、その演算結果を注目画素に対する出力値とする。収縮処理部27から出力された画像データは、膨張処理部28に入力される。膨張処理部28では、注目画素を中心としたM2×M2(例えば、M2=33)画素領域で膨張処理が行われる。
【0035】
膨張処理部28の構成の一例を図4に示す。同図において、収縮処理部27から出力された画像データは、それぞれ1ライン相当の時間だけ遅延させるためのFIFOメモリ33-1〜33-32 と、それぞれデータを1画素ピッチ相当の時間だけ同期遅延させるためのF/F34-0-1〜34-32-33とによって、注目画素を中心とする33×33画素からなる画素群にブロック化される。
【0036】
そして、F/F34-0-1〜34-32-33の各出力がOR回路35に入力されて、OR処理(論理和演算)が行われる。すなわち、膨張処理部28では、注目画素を中心とした33×33=1089画素すべての論理和演算が行われて、その演算結果を注目画素に対する出力値とする。膨張処理部28から出力された画像データは、OR回路26から出力される画像データと同期がとられて、NOT‐AND回路29に入力される。
【0037】
NOT‐AND回路29では、膨張処理部29から入力される画像データの各画素ごとにNOT処理(bit反転)が行われた後、OR回路16から入力される画像データの対応する画素とのAND処理(論理積演算)が行われる。
【0038】
小領域抽出部25を以上のような構成にすることで、ON画素が20画素幅以下の領域は抽出し、21画素幅以上の領域は抽出しないことになり、文字領域のみが抽出可能となる。本例の場合、小領域抽出部25では、同期合わせのためのFIFOメモリ(図示せず)を除いても、収縮処理部27で20ライン、膨張処理部28で32ラインの合計52ライン分のFIFOメモリが必要である。
【0039】
一方、解像度変換部22,23を設けず、600dpi画像データで同一領域に対して収縮および膨張処理を行った場合、1.5(=600/400)倍の78(=52×1.5)ライン分のFIFOメモリが必要となる。また、画像の主走査方向に対しても解像度変換は行われているため、1ライン分のFIFOメモリの大きさも1.5倍必要である。すなわち、解像度変換部22,23を設けることにより、FIFOメモリ全体の大きさは1/2.25(=1.5×1.5)で済み、処理規模を大幅に削減することが可能となる。
【0040】
NOT‐AND回路29での演算結果、即ち小領域抽出部25の出力結果は、解像度変換部30に入力される。解像度変換部30では、小領域抽出部25から出力される画像データを元の解像度に変換する処理が行われる。すなわち、本実施形態の場合には、400dpi→600dpiの解像度変換が行われる。そして、この解像度変換部30の出力データは像域分離部19での像域判定結果として、先述したように、図1の空間フィルタ部16、出力階調補正部17および画像出力部18に入力される。解像度変換部30の詳細については後述する。
【0041】
続いて、文字抽出部21の詳細について、その構成の一例を示す図5を用いて説明する。
【0042】
文字抽出部21に入力された画像データは、3×3画素平均値算出部41と5×5画素平均値算出部42に入力される。3×3画素平均値算出部41では、注目画素を中心とした3×3画素の平均値の算出処理が行われる。この3×3画素平均値算出部41での算出結果は、比較器43の一方の比較入力となる。一方、5×5画素平均値算出部42では、注目画素を中心とした5×5画素の平均値の算出処理が行われる。
【0043】
5×5画素平均値算出部42の算出結果は、加減算器44において別途入力される所望の値VALUEとの加減算処理が行われる。加減算器44の演算結果はリミッタ45に供給され、このリミッタ45においてその値が別途入力される上限値HIGHと下限値LOWの間に制限される。すなわち、加減算器44の演算結果が上限値HIGHよりも大きいときはその上限値HIGHが、下限値LOWよりも小さいときはその下限値LOWが、それ以外のときは加減算器44の演算結果がリミッタ45から出力される。
【0044】
リミッタ45の出力は比較器43の他方の比較入力となる。比較器43は、一方の比較入力である3×3画素平均値算出部41の算出結果と、他方の比較入力であるリミッタ45の出力とを比較し、3×3画素平均値算出部41の算出結果がリミッタ45の出力よりも大きいときは高レベル(論理“1”)、小さいかもしくは等しいときは低レベル(論理“0”)の比較結果を出力する。
【0045】
図6に、文字抽出部21の他の構成例を示す。なお、図6において、図5と同等の処理を行う処理部に対しては同一符号を付して示している。
【0046】
文字抽出部21に入力された画像データは、3×3画素平均値算出部41、5×5画素平均値算出部42およびセレクタ46に入力される。3×3画素平均値算出部41では、注目画素を中心とした3×3画素の平均値の算出処理が行われる。この3×3画素平均値算出部41での算出結果は、比較器43の一方の比較入力となるとともに、セレクタ46にも入力される。
【0047】
一方、5×5画素平均値算出部42では、注目画素を中心とした5×5画素の平均値の算出処理が行われる。5×5画素平均値算出部42の算出結果は、加減算器44およびセレクタ46に入力される。セレクタ46では、3×3画素平均値算出部41、5×5画素平均値算出部42および図1の色信号変換部13の出力結果(注目画素値)のいずれか1つを、図示しない外部から入力されるセレクト信号に基づいてセレクトする処理が行われる。そのセレクト結果は、加減算値演算回路47に与えられる。
【0048】
加減算値演算回路47では、加減算器44において5×5画素平均値算出部42の算出結果と加減算する値を、セレクタ46のセレクト結果から演算する。すなわち、入力値に複数の所定の値を加減乗算することにより出力値を算出する。また、加減算値演算回路47をLUT(Look Up Table) で構成することも可能であり、この場合は入力値に応じて出力値を比較的に自由に設定する(LUTに記憶させておく)ことが可能である。
【0049】
なお、比較器43、加減算器44およびリミッタ45については、先述した例の場合と全く同じであるので、ここでの説明は省略する。
【0050】
上述したように、文字抽出部21では、注目画素周辺の比較的狭い領域の画素値平均を、それよりも広い領域の画素値平均に所定の演算を行った値と比較することによって文字抽出を行っており、文字の細部構造を保持した画像データの2値化が必要であるため、なるべく解像度の高い画像データに対して文字抽出処理を行う方が良い結果が得られる。したがって、本実施形態では、文字抽出部21での処理を入力画像データと同一解像度で行う(解像度を下げていない)構成としている。
【0051】
続いて、解像度変換部23の詳細について、その構成の一例を示す図7を用いて説明する。
【0052】
図7において、入力される画像データは、1ライン相当の時間だけFIFOメモリ51と、それぞれデータを1画ピッチ相当の時間だけ遅延させるF/F52〜55とによって、2×2画素からなる画素群にブロック化される。そして、F/F52〜55の各出力が解像度変換演算部56に入力される。この解像度変換演算部56では、入力された4つの画素から解像度変換の演算が行われる。
【0053】
解像度変換演算部56の演算結果は、所定のタイミングに応じてFIFOメモリ57に書き込まれる。そして、FIFOメモリ57に書き込まれたデータは、書込みの際のタイミングとは異なる所定のタイミングに応じて読み出され、解像度変換部23の演算結果として出力される。
【0054】
ここで、解像度変換演算部56の処理について、図8および図9を用いて説明する。図9において、(a)は解像度変換演算部56に入力される画像データの一部を表しており、1マスが1画素に対応する。また、(b)はFIFOメモリ57から出力される画像データ、即ち解像度変換処理が終了した後の画像データの一部を表しており、1マスが1画素に対応する。
【0055】
例えば、F/F53からは図9(a)のA1の画素値、F/F52からはA2の画素値、F/F55からはB1の画素値、F/F54からはB2の画素値が出力されたときに、解像度変換演算部56では入力されたA1・A2・B1・B2の画素値からほぼ同じ位置に相当する図9(b)のa1の画素値を算出する。この算出方法は、例えば解像度変換演算部56に入力された4つの画素中のONとなっている画素の個数を数え、その個数が閾値(例えば、2個)以上のときに高レベル(論理“1”)、閾値未満のときは低レベル(論理“0”)の演算結果を出力するようにする。
【0056】
解像度変換演算部56から出力される演算結果(現在は、図9(b)のa1の画素値)は、FIFOメモリ57に書き込まれる。次のタイミングでは、解像度変換演算部56にはA2・A3・B2・B3の画素値が入力され、ほぼ同じ位置に相当する図9(b)のa2の画素値を算出する。その算出された画素値はFIFOメモリ57に書き込まれる。そして、次のタイミングでも、A3・A4・B3・B4の画素値から解像度変換演算部56において演算処理が行われるが、その演算結果は書込み制御信号を制御してFIFOメモリ57に書き込まないようにする。
【0057】
その次のタイミングでは、A4・A5・B4・B5の画素値から解像度変換演算部56において演算処理が行われ、ほぼ同じ位置に相当する図9(b)のa3の画素値を算出する。その演算結果はFIFOメモリ57に書き込まれる。
【0058】
上述したように、入力された全ての画素に対して解像度変換演算部56では演算処理が行われてその結果が出力されるが、解像度変換演算部56から出力された結果を、3画素ごとにFIFOメモリ57に書き込まないようにすることにより、画像の位置ずれの無い600dpi→400dpiへの主走査方向の解像度変換が実現可能となる。
【0059】
また、副走査方向に対しても同様で、図9(a)のAおよびBの行の画素値から、図9(b)のaの行の画素値を算出し、FIFOメモリ57に書き込む。続いて同様に、BおよびCの行の画素値からbの行の画素値を算出し、FIFOメモリ57に書き込む。そして、次にCおよびDの行の画素値から解像度変換演算部56において演算処理が行われるが、その演算結果はFIFOメモリ57に書き込まないようにする。
【0060】
このように、副走査方向に対しては、解像度変換演算部56から出力される演算結果を、3ラインごとにFIFOメモリ57に書き込まないようにすることにより、画像の位置ずれの無い600dpi→400dpiへの副走査方向の解像度の変換処理が実現可能となる。
【0061】
すなわち、図9(a)の太線で示す3×3画素単位を、図9(b)の太線で示す2×2画素単位に変換する解像度変換を行う。そして、FIFOメモリ57からは、書き込みとは異なったタイミングにて同一周期で画素値を読み出すことにより、主走査・副走査共に600dpi→400dpiに解像度変換を行った画像を得ることができる。
【0062】
また、上記実施形態では、3×3画素ブロックから2×2画素ブロックへの変換、即ち図8(a)のa,b,d,eから図8(b)のAを、b,c,e,fからBを、d,e,g,hからCを、e,f,h,iからDを求める演算を行う際に、入力された4つの画素のうちのONの個数によって出力画素値を決定していたが、図8(c)に示すように、3×3画素に重み付けをして出力を決定しても良い。例えば、図8(a)のa,dがOFF、b,eがON、閾値=4としたときに、b+e=2+1=3<4となり、出力のAをOFFとする。
【0063】
続いて、解像度変換部30について、その構成の一例を示す図10を用いて説明する。
【0064】
解像度変換部30に入力された画像データは、先ず副走査解像度変換部61に入力され、副走査方向の解像度、即ち本例の場合には400dpi→600dpiの解像度変換が行われる。副走査解像度変換部61にて副走査方向に解像度変換された画像データは、次に主走査解像度変換部62に入力され、主走査方向の解像度変換、即ち本例の場合には400dpi→600dpiの解像度変換が行われて出力される。このようにして、副走査方向、主走査方向の順に解像度変換を行うことで、解像度変換部30に入力された画像全体の解像度変換を行う。
【0065】
ここで、副走査解像度変換部61での解像度変換処理について図11(a),(b)を用いて説明する。副走査解像度変換部61では、副走査2ラインごとに3ラインが生成され、この生成された3ラインが順次出力される。すなわち、図11(a)における“a”および“b”の2ラインから、図11(b)における“α”,“β”および“γ”の3ラインが生成される。
【0066】
この生成のための演算処理は、例えば、“α”ラインは“a”と同じ、“β”ラインは“a”と“b”の論理和、“γ”ラインは“b”と同じ、となるような演算を行う。すなわち、a1→α1、a1とb1の論理和→β1、b1→γ1とする。2列目以下も同様である。また同様に、“c”および“d”の2ラインから、“δ”,“ε”および“ζ”の3ラインが生成される。
【0067】
続いて、主走査解像度変換部62での解像度変換処理について図11(b),(c)を用いて説明する。主走査解像度変換部62では、主走査2画素ごとに3画素が生成され、この生成された3画素が順次出力される。すなわち、図11(b)における1列目および2列目から、図11(c)における1列目,2列目および3列目が生成される。この主走査解像度変換処理も副走査解像度変換処理と同様で、例えばα1→A1、α1とα2の論理和→A2、α2→A3とする。3列目以下も同様である。
【0068】
上述した副走査解像度変換部61と主走査解像度変換部62の処理により、2×2画素単位のブロック、例えば(a1,a2,b1,b2)や(c3,c4,d3,d4)が、3×3画素単位のブロック(A1,A2,A3,B1,B2,B3,C1,C2,C3)や(D4,D5,D6,E4,E5,E6,F4,F5,F6)に変換される。
【0069】
なお、上記実施形態では、文字抽出部21を用いて入力画像データの細部構造を判定する系と、網点抽出部24を用いて入力画像データの広域構造を判定する系とを有する画像処理装置に適用した場合について説明したが、入力画像データの細部構造を判定する系のみを有する画像処理装置において、文字抽出部21での処理を行った後に解像度を落とす構成としても良く、この場合にも、細部構造判定での判定精度を低下させることなく、特性判定処理を行う処理規模を低減することができる。
【0070】
また、上記実施形態では、図1において、像域分離部19の入力画像データの解像度が、画像入力部11での入力画像データの解像度と同じ(本例では、600dpi)であるとしたが、必ずしも同じである必要はなく、画像入力部11での解像度が例えば1200dpiであった場合に、像域分離部19ではその入力画像データの解像度として1200dpiという高い解像度である必要はないことから、この場合には、像域分離部19の入力段で1200dpi→600dpiの解像度変換を行うようにすれば良い。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、細部構造の判定が必要な処理については高解像度の画像データに対して行い、その判定処理後に解像度を落として入力画像データの特性判定を行うようにしたことにより、細部構造判定での判定精度を低下させることなく、特性判定処理を行う処理規模を大幅に低減した像域分離が可能となる。
【0072】
また、広域判定が必要な処理については先ず解像度を落とし、この解像度を落とした画像データに対して広域判定処理を行い、しかる後その広域判定処理に基づく画像データをも用いて入力画像データの特性判定を行うようにしたことにより、より精度の高い像域分離が可能になるとともに、広域判定処理を行う処理規模も簡略化できることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る画像処理装置の一例を示すブロック図である。
【図2】 本発明の一実施形態を示すブロック図である。
【図3】 収縮処理部の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】 膨張処理部の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】 文字抽出部の構成の一例を示すブロック図である。
【図6】 文字抽出部の構成の他の例を示すブロック図である。
【図7】 解像度変換部(23)の構成の一例を示すブロック図である。
【図8】 解像度変換部(23)での解像度変換方法を説明する図である。
【図9】 解像度変換部(23)での解像度変換前後の画像の状態を説明する図である。
【図10】 解像度変換部(30)の構成の一例を示すブロック図である。
【図11】 解像度変換部(30)での解像度変換前後の画像の状態を説明する図である。
【図12】 従来例を示すブロック図である。
【符号の説明】
11…画像入力部、12…入力階調補正部、13,14…色信号変換部、16…空間フィルタ部、17…出力階調補正部、18…画像出力部、19…像域分離部、21…文字抽出部、22,23,30…解像度変換部、24…網点抽出部、25…小領域抽出部、27…収縮処理部、28…膨張処理部
Claims (9)
- 画像データを入力する入力手段と、
前記入力手段によって入力された画像データに対して第1の解像度にて画像データの細部構造を判定してその細部判定結果を示すデータを出力する細部判定手段と、
前記細部判定手段から出力される前記細部判定結果を示すデータの解像度を前記第1の解像度よりも低い第2の解像度に変換する第1の解像度変換手段と、
前記第1の解像度変換手段によって前記第2の解像度に変換されたデータに基づいて前記入力手段によって入力された画像データの特性を判定する特性判定手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。 - 前記第2の解像度は、前記細部判定手段から出力される前記細部判定結果に基づく画像データの細部構造を保持する範囲内で設定される
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。 - 前記第1の解像度は、前記入力手段によって入力された画像データの解像度である
ことを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。 - 請求項1,2又は3記載の画像処理装置において、
前記入力手段によって入力された画像データの解像度を前記第1の解像度よりも低い第3の解像度に変換する第2の解像度変換手段と、
前記第2の解像度変換手段によって前記第3の解像度に変換された画像データの広域構造を判定してその広域判定結果を示すデータを出力する広域判定手段とを備え、
前記特性判定手段は、前記第1の解像度変換手段によって前記第2の解像度に変換されたデータと、前記広域判定手段から出力される前記広域判定結果を示すデータとに基づいて前記入力手段によって入力される画像データの特性を判定する
ことを特徴とする画像処理装置。 - 前記第3の解像度は、前記第1の解像度の画像データが持つ周期構造を保持する範囲内で設定される
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。 - 前記第2の解像度と前記第3の解像度が同一である
ことを特徴とする請求項4又は5記載の画像処理装置。 - 前記第2の解像度と前記第3の解像度が異なる場合に、前記第2の解像度と前記第3の解像度を同一にする第3の解像度変換手段を有する
ことを特徴とする請求項4又は5記載の画像処理装置。 - 画像データを入力する入力ステップと、
前記入力ステップで入力した画像データに対して第1の解像度にて画像データの細部構造を判定してその細部判定結果を示すデータを出力する細部判定ステップと、
前記細部判定ステップで出力する前記細部判定結果を示すデータの解像度を前記第1の解像度よりも低い第2の解像度に変換する第1の解像度変換ステップと、
前記第1の解像度変換ステップで前記第2の解像度に変換したデータに基づいて前記入力ステップで入力した画像データの特性を判定する特性判定ステップと
を有することを特徴とする画像処理方法。 - 請求項8記載の画像処理方法において、
前記入力ステップで入力した画像データの解像度を前記第1の解像度よりも低い第3の解像度に変換する第2の解像度変換ステップと、
前記第2の解像度変換ステップで前記第3の解像度に変換した画像データの広域構造を判定してその広域判定結果を示すデータを出力する広域判定ステップとを有し、
前記特性判定ステップでは、前記第1の解像度変換ステップで前記第2の解像度に変換したデータと、前記広域判定ステップで出力する前記広域判定結果を示すデータとに基づいて前記入力ステップで入力した画像データの特性を判定する
ことを特徴とする画像処理方法。
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