JP3734252B2 - スプリンクラー消火設備の消火用散水ノズル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スプリンクラー消火設備の消火用散水ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のスプリンクラー消火設備に使用される消火用散水ノズルとしては、防護範囲全体に均一に散水させるため、水をデフレクタで分散させて粒状態に散水しており、例えば図8に示すようなものがある(特許文献1)。
【0003】
図8はヒュージブルリンク式の消火用散水ノズルであり、ノズル本体1に放水口2が形成され、放水口2に設けた栓3とデフレクター4との間に一対のレバー5A,5Bを接触点6a,6b,6cによって係止し、栓3を閉鎖状態に支持している。レバー5Aとレバー5Bは感熱体としてのヒューズ7aで固着された一対のリンク7が装着され、栓3の閉鎖状態を維持している。
【0004】
火災の発生による温度上昇でヒューズ7aが溶けると、一対のリンク7が矢印で示すように分解し、レバー5A,5Bの係止が解除され、水圧によってレバー5A,5Bがはじけ、放水口2から栓3が脱落して加圧水が放水口2から噴出し、散水が開始される。このとき放水口2から噴出した水は、デクレクタ4に当って防護範囲全体に均一に散水される。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−7633号公開公報
【特許文献2】
特開平5−92052号公開公報
【特許文献3】
実開昭61−165755号公開公報
【特許文献4】
実開平61−142065号公開公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の消火用散水ノズルにあっては、1個のノズル当り例えば80リットル/分以上という所定流量の連続放射となっていたため、火災消火能力に対して比較的多くの消火液あるいは水の量が必要であり、当然消火する対象物以外のものにも放射されるため、放射した消火液あるいは水による二次災害、いわゆる水損が大きくなるという問題点があった。また設備的には、水槽、ポンプが大容量となる上、配管サイズも大きくなり、設備全体の費用が高くなるという問題点もあった。
【0007】
また従来の散水ノズルでは、防護範囲全体に均一に散水させるため、水をデフレクターで分散させて粒状にして散水している。そのため、火災の勢いが強い場合には、分散された水は粒子径が小さいため、火災の気流に負けて火災の深部に達する前に蒸発し、火災の抑制に時間がかかり、また全く消火できないこともある。このため水の量も多くなり、水損による被害も大きくなる。
【0008】
更に、防護範囲内のある一点から見ると、粒状の水により、一瞬その一点の火災の炎が弱まったとしても、その地点の付近の炎により一度かかった水が蒸発し、付近の炎によって再び燃え始める。このため完全に消火するまでに時間がかかる。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、火災消火能力を確保しながら、消火用散水ノズル1個あたりの放射量を低減することで、水損を少なくし、水槽、ポンプなどの容量を小容量とし設置費用を低減することができる消火用散水ノズルを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明は次のように構成する。
【0011】
本発明は、スプリンクラー消火設備の消火用散水ノズルであって、防護区画の上方に設置され、火災時に消火液または水が圧送される消火用配管に接続された外筒と、外筒内に上下動自在に収納される内筒と、外筒と内筒との間に設けられ、散水時に内筒が所定の位置より上方にあるときは内筒に設けた外筒側に連通する連通孔を介して導入する内筒内の水圧を遮断し内筒が所定の位置まで下降したとき内筒内の水圧を連通孔を介して導入する可動開閉リング部材と、外筒と内筒との間に形成され、可動開閉リング部材を介して内筒内から導入された水圧により前記内筒を上昇させる圧力室と、内筒の下端に設けられ内筒の上下動により外筒から入出動して放射半径を変化させ、圧送された消火液または水をリング状の分散しない水の塊として所定の防護範囲の特定部分に集中的に散水してヘッド直下から所定の防護範囲外縁に至るようにリング状の放水パターンの径を繰り返し変化させる案内部材とを備えたことを特徴とする。
【0012】
このような構成を備えた本発明の消火用散水ノズルによれば、防護範囲内のある部分を分散しない塊として集中的に散水するようにリング状の散布パターンを形成し、その散布パターンのリング形状が変わらない速度で防護範囲内で径を変化させるように走査するようにしたので、火災に対して瞬間的には従来の散水ノズルより大量の消火液が放射されるため、従来の80リットル/分の防護範囲全域放射の散水ノズルと例えば40リットル/分のリング状走査で1走査時間10秒程度の場合と比較すると、防護範囲内全体でみて少ない水量にもかかわらず、より高い消火能力が得られる。
【0013】
特に、本発明は、瞬時的には散水量が増えると同時に、消火対象物にあたる水の打力及び粒子径も増すので、消火能力が増する。即ち、本発明においては、水は分散された粒状ではなく、特定の部分に集中的に散水される打力の強い水の塊として消火対象物に散水されるため、火災気流に負けることなく火災の深部まで到達して消火能力が高くなり、火災抑制までの時間が短くて済み、従って鎮火までの水量も少なくて済む。また塊状態の水で消火するため、一度消火した部分が再び燃え上がることがなくなり、一度消火された場所を継続して鎮火状態にできる。
【0014】
また、少ない放射量で消火できるため、いわゆる水損の被害を小さくすることができる。更に、放射水の水槽が小さくなり、ポンプが小容量となり、自家発電設備等バックアップ設備も小容量となり、配管サイズも小さくなるため、低コストとなる。
【0015】
更にまた、防護範囲を従来の散水ノズルと比較して大きくした場合でも、走査時間を調整することにより、火災に対しては瞬間的には大量の水を放射することができ、同等以上の消火性能が得られることから、従来の散水ノズルと比較して、ノズルの設置個数を減らすことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は消火用散水ノズルを用いたスプリンクラー消火設備の説明図である。図1において、11は天井であり、天井11の裏側には消火用配管としてのスプリンクラー配管12が設置されている。スプリンクラー配管12には矢印Aで示すように図示しない消火ポンプから消火液または水(以下、単に水という)が圧送される。スプリンクラー配管12には制御弁としての電動弁または電磁弁(以下、単に電動弁という)13が接続され、電動弁13の二次側のスプリンクラー配管12の管末には消火用散水ノズル14のノズル本体14Aが接続されている。
【0017】
電動弁13は制御線15を介して防災監視盤16に接続され、防災監視盤16からの開制御信号により、電動弁13はスプリンクラー配管12を開放し、閉制御信号によりスプリンクラー配管12を閉止する。
【0018】
ノズル本体14Aの上方の開口部14Dの上には走査部としてのモータ18が設けられ、また、下方の先端部14Fは天井から下に突出している。先端部14Fにはノズル部14Gが回転自在に装着され、ノズル部14Gの入口部14Hの内部に設けられた円柱部14Mにはモータ18の軸部18Aの先端部が挿入、固定されている。
【0019】
したがって、モータ18が回転または回動すると、ノズル部14Gが回転または回動するようになっている。ノズル部14Gの入口部14Hの外周には二条のリング溝14I,14Jが形成され、それぞれOリング19,20が介装されている。これらのOリング19,20によりノズル本体14Aの水が外部に漏れるのを防止する。
【0020】
モータ18は制御線21を介して防災監視盤16に接続され、また、天井11に取り付けた火災検知部としての火災感知器22は信号線23を介して防災監視盤16に接続されている。火災の発生で火災感知器22が出力信号としての火災検出信号を防災監視盤16に出力すると、防災監視盤16は電動弁13に開制御信号を出力して電動弁13を開弁させるとともに、モータ18に走査制御信号を出力してモータ18を回動させる。
【0021】
また、火災感知器22が出力信号として復旧信号を防災監視盤16に出力すると、防災監視盤16は電動弁13に閉制御信号を出力して電動弁13を閉弁させるとともに、モータ18に走査停止信号を出力してモータ18の回動を停止させる。
【0022】
ノズル部14Gの散水部には上端から底部にかけて半径部のスリット14Lが形成され、このスリット14Lにより略帯状の散布パターン24を得るようにしている。この略帯状の散布パターン24は、図2に示すように、防護範囲内の部分的な散布パターン24を形成し、内側端部24Aを中心にして矢印Bで示す方向に回転し、所定の防護範囲25内を走査する。なお、スリット14Lを複数本形成すれば、複数本の帯形状の散布パターンが得られる。
【0023】
次に、図1の動作を説明する。通常監視時においては、電動弁13は閉弁しており、また、モータ18も停止している。したがって、ノズル部14Gから散水は行われない。火災感知器22は監視状態にある。
【0024】
火災が発生すると、火災感知器22はこれを検知し、火災検出信号を防災制御盤16に出力する。防災制御盤16は火災検出信号を受信すると、電動弁13に開制御信号を出力して、電動弁13を開弁させると共に、モータ18に走査制御信号を出力してモータ18を回転させる。
【0025】
電動弁13の開弁によりスプリンクラー配管12からの水はノズル本体14Aからノズル部14Gに供給され、ノズル部14Gはモータ18により回転されるので、図2に示すように、帯状の散布パターン24が一本の帯形状で内側端部24Aを中心として回転し、所定の防護範囲25内を走査する。
【0026】
ここで、散水パターンの走査の速度は、散布パターン24の形状が維持できる程度の比較的低速度とする必要がある。つまり、ノズル部14Gの回転数が高いと、ノズル部14Gから散水された水は、塊状から粒状に分散してしまい、防護範囲25内の特定の部分に集中的に散布する散布パターン24を形成できなくなるためである。
【0027】
このような走査により、消火が完了した場合、火災感知器22は復旧信号を防災制御盤16に出力し、防災制御盤16は電動弁13に閉制御信号を出力して、電動弁13を閉弁させ、モータ18に走査停止信号を出力して、モータ18の走査を停止させる。なお、火災感知器22からの復旧信号によらず、監視員が手動により放射の停止を行っても良い。
【0028】
図3(A),(B)は所定の防護範囲内のある一箇所から見た散水量の時間的変化を示したグラフであり、図3(A)は従来の消火用散水ノズルの散水量であり、図3(B)は本実施形態の消火用散水ノズルの散水量の時間的変化を示している。図3(A)に示すように、従来は一定水量の水が放射されるが、本発明においては図3(B)に示すように防護範囲内の特定の部分に集中的に放射して走査するため、防護範囲内のある一箇所からみれば間欠的に大量の水が放射される。
【0029】
このように本発明の消火用散水ノズルを用いると、防護範囲のある一部分から見ると火災に対して瞬間的には従来の散水ノズルより大量の消火液が放射されるため、一定水量を継続して散水するよりも瞬間的に集中して大量の水を散水したほうが高い消火能力が得られる。このため、従来の80リットル/分の防護範囲全域放射の散水ノズルと例えば40リットル/分の走査で1走査時間10秒程度の場合と比較すると、防護範囲全体的にみて少ない水量にもかかわらず、より高い消火能力が得られる。
【0030】
また、少ない放射量で消火できるため、いわゆる水損の被害を小さくすることができる。このことから、放射用水の水槽を小さくすることができる。また、従来の消火能力と同等にした場合には、従来よりも配管内の水圧を押さえることができるためポンプが小容量となり、さらには自家発電設備等バックアップ設備も小容量となり、配管サイズも小さくなるため、低コストとなる。
【0031】
また防護範囲内のある一箇所からみれば、従来のように防護範囲内全体に散水するのと比べ、本発明は、瞬時的には散水量が増えると同時に、消火対象物にあたる水の打力及び粒子径も増すので、消火能力が増大する。即ち、本発明においては、水は分散された粒状ではなく、特定の部分に集中的に散水される打力の強い水の塊として消火対象物に散水されるため、火災気流に負けることなく火災の深部まで到達して消火能力が高くなり、火災抑制までの時間が短くて済み、従って鎮火までの水量も少なくて済む。また塊状態の水で消火するため、一度消火した部分が再び燃え上がることがなくなり、一度消火された場所を継続して鎮火状態にできる。
【0032】
図4は本発明の散水を従来と対比して示している。図4(C)は従来の散布パターンであり、従来の散水ノズルでは、防護範囲全体に均一に散水させるため、水をデフレクターで分散させて粒状にして散水しており、防護範囲25内に、比較的粒子径の小さい様々な大きさをもった粒状の水によるスポット状散布パターン76が得られる。
【0033】
そのため、火災の勢いが強い場合には、分散された水は粒子径が小さいため、火災の気流に負けて災72の深部に達する前に蒸発し、火災の抑制に時間がかかり、また全く消火できないこともある。このため水の量も多くなり、水損による被害も大きくなる。
【0034】
更に、防護範囲25内のある一点から見ると、粒状の水により、一瞬その一点の火災の炎72が弱まったとしても、その地点の付近の炎72により一度かかった水が蒸発し、付近の炎によって再び燃え始める。このため完全に消火するまでに時間がかかる。
【0035】
図4(A)(B)は本発明の散水であり、防護範囲25内のある部分に集中的に大量の水を放水する散布パターン24を形成している。このため瞬時的には散水量が増えると同時に、消火対象物にあたる水の打力及び粒子径も増すので、消火能力が増する。
【0036】
即ち、本発明の散布パターン24においては、水は図4(C)のように分散れた粒状ではなく、特定の部分に集中的に散水される打力の強い水の塊として消火対象物に散水される。このため火災気流に負けることなく災72の深部まで到達して消火能力が高くなり、火災抑制までの時間が短くて済み、従って鎮火までの水量も少なくて済む。
【0037】
また図4(B)のように放水パターン24で防護範囲内25の全域を走査して塊状の水で消火するため、一度消火した鎮火部分74が再び燃え上がることがなくなり、一度消火された場所を継続して鎮火状態にできる。
【0038】
更に、防護範囲内のある部分に大量の水を放水するようにノズル部を形成したため、防護範囲を従来の散水ノズルと比較して大きくした場合でも、走査時間を調整することにより、火災に対しては瞬間的には大量の水を放射することができ、従来と同等以上の消火性能が得られることから、従来の散水ノズルと比較して、ノズルの設置個数を減らすことができる。
【0039】
例えば、取付ピッチ2.3mで所定の防護範囲に8個の散水ノズルが設置されていた場合と比べ、取付ピッチが2.6mとすることができ、設定する散水ノズルの個数を4個に減少することができる。
【0040】
図5は、本発明の消火用散水ノズルの実施形態を示した半断面図であり、放水時の水流の力を利用してリング状の放水パターンの径を変化させるようにしたことを特徴とする。
【0041】
図5(A)は火災により感熱作動した直後の状態であり、図5(A)について構造を説明すると次のようになる。31は外筒であり、外筒31内には上下動自在な内筒32が収納される。外筒31の上部側にはスプリンクラー配管に接続される接続部33が形成されている。内筒32は弁体の機能を有し、下端には放水口34が形成されている。
【0042】
放水口34は案内部材35の案内板35Aにより閉止され、案内部材35の円柱部35Bは放水口34に挿入される。円柱部35Bには頭部35Cが形成され、頭部35Cには段部35Dが形成されている。案内部材35は中央部に突出部36Aを形成した板部材36を介してリンク部材37により支持される。リンク部材37の底部37Aは半田28により皿部材29に固定され、突出部37Bは外筒31の下部側内壁に形成した段部31Aに保持される。
【0043】
外筒31の先端内側には段部31Aに続いてアール部31Bが形成されている。火災の発生により熱で半田28がとけると、図示のように、リンク部材37が皿部材29と外筒31の段部31Aからはずれ、板部材36もはずれるので、内筒32内の水圧で案内部材35が下降し、内筒32の放水口34が開放される。したがって、板部材36、リンク部材37、半田28および皿部材29は全体として感熱分解部を構成している。
【0044】
内筒32の上部側には外周突起部38が一体に形成され、下部側にも外周突起部39が一体に形成されている。下部側の外周突起部39には溝40が形成され、溝40にはシール部材41が介装されている。また、上部側の外周突起部38と下部側の外周突起部39の間には連通孔42が形成されている。内筒32の下部側内壁には支持部43が形成され、支持部43には案内部材35が下降してきたとき、頭部35Cの段部35Dが係合する。
【0045】
内筒32の下部にはテーパ部44が形成され、テーパ部44に連続して放水口34が形成されている。また、内筒32の下端部の外周には突起部45が形成され、突起部45には案内部材35の案内板35Aが当接する。
【0046】
外筒31内壁の上部側および下部側には溝46,47がそれぞれ形成され、溝46,47にはシール部材48.49がそれぞれ介装されている。外筒31の溝46と溝47の間には凹部50が形成され、凹部50には内筒32の外周突起部39が当接している。また、外筒31には凹部50と外部とを連通する連通孔51,52がそれぞれ形成され、凹部50の中央部と下端部とにそれぞれ開口する略コの字形状の連通路53が形成されている。
【0047】
内筒32と外筒31の間の凹部50には図6に拡大して示す可動開閉リング部材54が可動可能に収納される。可動開閉リング部材54の内筒32側の上部および下部には溝55,56がそれぞれ形成され、溝55,56にはシール部材57,58がそれぞれ介装されている。溝55と溝56との間には上下方向に長い長溝59が形成され、長溝59は連通孔42を介して内筒32の内部に連通する。
【0048】
また、可動開閉リング部材54の外周側には溝60,61が形成され、溝60,61にはシール部材62,63がそれぞれ介装されている。溝60と溝61の間には出口溝64が形成され、出口溝64は凹部50の内壁に開口している。出口溝64と長溝59は連通孔65により連通している。また、溝60,61の上側および下側には切欠き66,67がそれぞれ形成されている。
【0049】
内筒32の外周突起部39とその下部側によって形成される外筒31の凹部50の一部は圧力室50Aを構成しており、圧力室50Aには内筒32の下降に伴って可動開閉リング部材54も一緒に下降して出口溝64が連通路53に連通すると、内筒32内の水が導入され、導入された水の圧力によって内筒32が押し上げられるようになっている。また、内筒32の上昇に伴って可動開閉リング部材54が上昇すると、出口溝64と連通路53との連通は遮断される。
【0050】
内筒32と外筒31と圧力室50Aと可動開閉リング部材54と案内部材34が走査部としての水圧作動機構を構成している。さらに案内部材34はノズル部としての構成もしている。また、圧力室50Aの水はシール部材41,49によりシールされ、外部および凹部50側にもれないようにしている。
【0051】
また、長溝59に入った水はシール部材57,58によりシールされ、出口溝64に入った水はシール部材62,63によりシールされ、凹部50および圧力室50Aにもれないようにしている。また、内筒32と外筒33の間隙68に入った水はシール部材48によりシールされ、凹部50にもれないようにしている。
【0052】
次に、図5の実施形態の動作を説明する。まず、通常の監視状態にあっては、図5(A)のように、内筒32の放水口34は案内部材35によって閉止され、案内部材35は板部材36を介して底部37Aが半田28で皿部材29に固定され突出端部37Bが外筒31の段部31Aに保持されたリンク部材37によって内筒32は外筒31内の所定の位置に支持されている。また、可動開閉リング部材54は、内筒32の下側の外周突起部39によって保持されている。
【0053】
この状態において内筒32の連通孔42は可動開閉リング部材54の長溝59に連通しているので、内筒32内の水は連通孔42、長溝59、連通孔65を通って出口溝64に入るが、出口溝64の出口側は外筒31の凹部50の内壁によって閉止されているため、水はここで遮断されている。
【0054】
次に、火災が発生すると、図5(A)のように熱によって半田28がとけ、リンク部材37がはずれ、板部材36も案内部材35からはずれる。このため、図5(B)に示すように、放水口34から水が放水され、その水圧で案内部材35が下降し、頭部35Cの段部35Dが内筒32の支持部43に係合する。案内板35Aにより案内された水は、案内板35Aの先端部と外筒31のアール部31Bとの間に形成された開口部69より放水される。
【0055】
案内部材35により案内された水は、内筒32のアール部31Bに当って、略垂直方向に放水される。このため、散布パターンは図7(A)に示すようなリング形状となり、中心から外側までの半径R1は小さいが、リング70の幅R2は大きくなる。一方、板部材36、リンク部材37、皿部材29は半田28がとけて、案内部材35からはずれるため、案内部材35を支持するものがなくなり、内筒32は可動自在となる。
【0056】
放水が開始されると、内筒32の上端面70およびテーパ部44に加わる水圧で内筒32は下降していく。内筒32が下降していくと、内筒32の外周突起部38が可動開閉リング部材54の上部に接し、その後は内筒32と可動開閉リング部材54が一緒に下降する。内筒32と可動開閉リング部材54が下降していき、図5(C)に示すように可動開閉リング部材54の連通孔65と外筒31の連通路53が連通するまで下降する。
このとき、案内板35Aの先端部は外筒31のアール部31Bよりやや下側にくるので、案内板35Aで導かれた水はアール部31Bにあたることなく略水平方向に放射されることになり、図7(B)に示すように、中心部から外側までの半径R1が大きく、リングの幅R2が小さな分布的な散水となる。
【0057】
連通孔65と連通路53が連通すると、水は連通孔42、長溝59、連通孔65、出口溝64、連通路53を通って圧力室50Aに入る。内筒32の上端面70の面積より外周突起部39の下面の面積の方が大きいため、圧力室50A内の水が内筒32を押し上げる圧力の方が、上端面70にあたる水による内筒32を下降させる力より高くなり、内筒32は上方に押し上げられる。
【0058】
内筒32が上昇していき外周突起部39の上面が可動開閉リング部材54に接すると、内筒32と可動開閉リング部材54が、可動開閉リング部材54の連通孔65と連通路53の連通が遮断されるまで共に上昇する。連通孔65と連通路53の連通が遮断されると、圧力室50Aへの水の供給が遮断され、内筒32の外周突起部39の下面に加わる水の圧力がなくなり、内筒32の上端面70に加わる水の圧力で再び内筒32が下降する。
【0059】
したがって、内筒32の下降するにつれて、散布パターンは、リング70の半径R1が次第に拡がり、リング70の幅R2も次第に小さくなる。逆に、内筒32が上昇するにつれて、散布パターンは半径R1が次第に縮小し、R2が次第に大きくなる。こうして、図7(A)から図7(B)へ、図7(B)から図7(A)への散布パターンが交互に繰り返される。
【0060】
このように、ノズル部としての案内部材35と走査部としての水圧作動機構により、散布パターンがリング形状でその半径が変化する走査が行われる。この実施形態においても図1の消火用散水ノズルと同様な効果が得られることはいうまでもない。また、この図5の水圧作動機構によらず、モータで内筒32を上下させる構成でも散布パターンがリング形状でこの半径を変化させることができる。
【0061】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、ノズル本体を介して圧送された消火液または水をリング状の分散しない塊として集中的に散水してヘッド直下から所定の防護範囲外縁に至るようにリング状の放水パターンの径を変化させるようにしたので、火災に対して瞬間的には大量の消火液が放射されるため、より高い消火能力が得られ、水損の被害も小さくなる。
【0062】
また、従来と同等程度の消火能力にした場合には、配管内の水圧を抑えることができ、水槽、ポンプなどが小容量となり、配管サイズも小さくなり、さらに防護範囲内のある部分に集中的に散水するようノズル部を形成したため、防護範囲を従来より広くしても従来と同程度の消火能力は維持できるため、ノズルの設置個数も減らすことができ、その結果、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】消火用散水ノズルの実施形態をスプリンクラー消火設備と共に示した説明図
【図2】図1による散布パターンの説明図
【図3】防護範囲内のある部分から見た本発明の散水量を従来と対比して示したグラフ
【図4】本発明の散布パターンによる消火の様子を従来例と対比して示した説明図
【図5】散水時の水流を利用したリング状の放水パターンの径を変化させる本発明の実施形態の半断面図
【図6】図5の可動開閉リング部材の拡大図
【図7】図5の実施形態による散布パターンの変化を示す説明図
【図8】従来例を示す説明図
【符号の説明】
14:消火用散水ノズル
14A:ノズル本体
14G:ノズル部
14Lスリット
16:防災監視盤
18:モータ
22:火災感知器
24:散布パターン
24C:スポットパターン
31:外筒
32:内筒
34:放水口
35:案内部材
50A:圧力室
54:可動開閉リング部材
Claims (1)
- スプリンクラー消火設備の消火用散水ノズルに於いて、
防護区画の上方に設置され、火災時に消火液または水が圧送される消火用配管に接続された外筒と、
前記外筒内に上下動自在に収納される内筒と、
前記外筒と前記内筒との間に設けられ、散水時に前記内筒が所定の位置より上方にあるときは前記内筒に設けた外筒側に連通する連通孔を介して導入する内筒内の水圧を遮断し前記内筒が所定の位置まで下降したとき前記内筒内の水圧を前記連通孔を介して導入する可動開閉リング部材と、
前記外筒と前記内筒との間に形成され、前記可動開閉リング部材を介して内筒内から導入された水圧により前記内筒を上昇させる圧力室と、
前記内筒の下端に設けられ前記内筒の上下動により前記外筒から入出動して放射半径を変化させ、圧送された消火液または水をリング状の分散しない水の塊として所定の防護範囲の特定部分に集中的に散水してヘッド直下から所定の防護範囲外縁に至るようにリング状の放水パターンの径を繰り返し変化させる案内部材と、
を備えたことを特徴とする消火用散水ノズル。
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