JP3934657B2 - 消火用散水ノズル - Google Patents

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本発明は、消火用配管に接続された消火用散水ノズルから火災時に消火液または水を放射して消火を行うスプリンクラー消火設備などの固定式消火設備の散水方法及び消火用散水ノズルに関する。
従来、この種の消火用散水ノズルとしては、例えば図6に示すようなものがある(特開平5−7633号、参照)。
図6はヒュージブルリンク式の消火散水ノズルを示し、そのノズル本体1には放水口2が形成されている。放水口2は栓3で閉止され、栓3とデフレクター4との間には一対のレバー5A,5Bが設けられている。栓3とレバー5A、レバー5Aとレバー5Bおよびレバー5Bとデフレクター4は肘金接点6でそれぞれ係止されている。レバー5Aとレバー5Bは感熱体としてのリンク7がヒューズにより接続されている。
火災の発生による温度上昇でヒューズが溶けると、リンク7が矢印で示すように分離し、レバー5A,5Bの肘金接点6の係止が外れるとともに、水圧によってレバー5A,5Bがはじける。これによって、放水口2から栓3が脱落するとともに加圧水が放水口2から噴出して散水が開始する。
国際公開95/24274号パンフレット
しかしながら、このような従来の消火用散水ノズルにあっては、例えば80リットル/分以上という所定流量の連続放射となっていたため、火災消火能力に対して比較的多くの消火液または水の量が必要であり、放射した消火液または水による2次災害、いわゆる水損も大きくなるという問題点があり、また、設備的には水槽、ポンプが大容量となる上、配管サイズも大きくなり、設備全体の費用が高くなるという問題点もあった。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、火災消火能力を確保しながら放射量を低減し、水損の被害を少なくすることができる固定式消火設備の散水方法及び消火用散水ノズルを提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明は、火災時に消火用配管に接続された消火用散水ノズルから消火液または水を放射して消火を行う固定式消火設備の散水方法として、ノズルから消火液または水を脈動的に放射することを特徴とする。
また、本発明は、消火液または水が圧送される消火用配管に接続され火災時に消火液または水を散水する固定式消火設備の消火用散水ノズルであり、消火液または水を脈動的に放射する脈動放射機構を設けたことを特徴とする。
本発明においては、脈動が略正弦波的、略台形波的、又は、略矩形波的に変動する。また、脈動が正弦波、台形波及び矩形波のうちの2以上の任意の合成波的に変動してもよい。また、本発明においては、脈動の1つの波長が経時的に変動する。また、本発明においては、脈動の1つの波形の極大値および極小値が経時的に変動する。
また、本発明の脈動放射機構は、開制御信号と閉制御信号を発生する開閉制御信号発生部と、開閉制御信号発生部からの開制御信号と閉制御信号にしたがって弁開度が脈動的に変化し脈動的に消火液または水の放射量を変化させる水量制御弁と、を備える。
また、本発明の開閉制御信号発生部は、火災検知部からの出力信号と出力信号によりあらかじめ設定した所定の脈動パターンに応じて水量制御弁12に開制御信号および閉制御信号を発生する。
また、本発明の開閉制御信号発生部は、2つ以上の散水ノズルが同時に作動しているときはそれぞれの脈動の位相をずらせた開閉制御信号を送出する。
また、本発明の脈動放射機構は、水圧作動機構による弁体の開閉動作により脈動放射を行う。
また、本発明の水圧作動機構は、外筒と、外筒内に上下動自在に収納される弁体としての下端部に放水口を備えた内筒と、外筒と内筒との間に形成され、内筒から導入された水圧により内筒を上昇させる圧力室と、外筒と内筒との間に上下動自在に設けられ、内筒が所定の位置より上にあるときは内筒内から圧力室への水圧を遮断し内筒が所定の位置まで下降したとき内筒内の水圧を圧力室へ導入する可動開閉リング部材とからなり、圧力室への水圧の導入と遮断の切り換え及び内筒にかかる下降方向へ移動させる水圧による内筒の上下動により放水口と消火液または水を散水するデフレクタとの間隔を変化することにより脈動放射を行う。
このような構成を備えた本発明の消火用散水ノズルによれば、従来の80リットル/分の連続放射と比較した場合、例えば最大100リットル/分、最低10リットル/分で等間隔正弦波的に放射した場合には、実質上55リットル/分の水量にもかかわらず、より高い消火能力が得られる。
また、少ない放射量で消火できるため、いわゆる水損の被害を小さくすることができる。
また、水槽を小さくすることができるので、省スペース、省コストとなる。また、複数のノズルがある場合には脈動の位相をずらすことによりポンプが小容量となり、さらには自家発電設備等バックアップ設備も小容量となり、配管サイズも小さくなるので、低コストとなる。
さらに、瞬間的には従来のノズルより大流量が流れるため、1つのノズルの防護範囲を、従来のノズルと比較して大きくすることができるので、ノズルの設置個数を減らすことができる。
本発明によれば、消火液または水を脈動的に放射するようにしたので、最大放射量を多くすることができるため、より高い消火能力が得られ、さらに放射量は平均的には少なく抑えられるため水損の被害も小さくなる。また、複数のノズルがある場合は脈動の位相をずらすことで水槽、ポンプなどが小容量となり、配管サイズも小さくなり、さらに瞬間的には大流量の消火液または水が流れるため、1つのノズルの防護範囲を広くすることができるため、ノズルの設置個数も減らすことができ、その結果、コストも低減することができる。
図1は消火用散水ノズルを示す図である。
図1において、11は消火用配管としてのスプリンクラー配管であり、スプリンクラー配管11には図示しない消火ポンプから消火液または水(以下、単に水という)が圧送される。スプリンクラー配管11には分岐配管12が接続され、分岐配管12の管末には水の放射量を制御する水量制御弁である電動弁または電磁弁(以下、電動弁という)13を介してノズル部14が接続されている。
ノズル部14が設けられた監視区域内には火災検知部としての火災感知器15が設けられ、火災が発生すると火災感知器15は出力信号としての火災検出信号を火災受信機16に出力する。火災受信機16は火災検出信号を受信すると、開閉制御信号発生部17に起動信号を出力する。起動信号を受信すると、開閉制御信号発生部17は起動信号および起動信号に続いて開閉制御信号を電動弁13に出力し、電動弁13は開閉制御信号にしたがって弁開度を変化させ、ノズル部14から水が脈動的に放射される。
なお、消火が完了し、火災感知器15から火災受信機16に対して出力信号として復旧信号が出力されると、火災受信機16は開閉制御信号発生部17に停止信号を出力して電動弁13を閉弁することで、ノズル部14の水の脈動的な放射を停止するようにしてもよいし、監視員が手動で復旧させるまで継続して放射を行ってもよい。
この開閉制御信号発生部17と電動弁13が水を脈動的に放射させる脈動放射機構を構成している。開閉制御信号発生部17に対して所定の脈動パターンを入力する操作入力部18とROM19がそれぞれ設けられている。
操作入力部18から入力指示する脈動パターンとしては、例えば脈動が略正弦波的に変動する脈動パターン、脈動が略台形波的に変動する脈動パターン、脈動か略矩形波的に変動する脈動パターン、脈動が正弦波と台形波と矩形波のうち2つ以上の任意の合成波的に変動する脈動パターン、脈動の1つの波長が経時的に変化する脈動パターン、脈動の1つの波形の極大値および極小値が経時的に変動する脈動パターンなどがある。
ROM19内にはこれらの各脈動パターンを形成するための複数の脈動パターン形成プログラム20が予め格納されている。したがって、操作入力部18から予め所定の脈動パターンを選択して入力しておくと、起動時に開閉制御信号発生部17は、入力された所定の脈動パターンを判別し、この脈動パターンに対応した脈動パターン形成プログラム20をROM19から選択し、脈動パターン形成プログラム20にしたがって、脈動パターンに応じた開閉制御信号を電動弁13に出力する。
電動弁13は開閉制御信号発生部17からの開閉制御信号にしたがって弁開度を変化させる。弁開度は脈動パターンに対応して変化し、例えば図2(a)に示すように略正弦波に変化し、また図2(b)に示すように略台形波的に変化し、また図2(c)に示すように、略矩形波的に変化し、また図2(d)に示すように、正弦波と台形波と矩形波のうち2つ以上の任意の合成波的に変化し、また図2(e)に示すように、脈動の1つの波長が経時的に変化し、また図2(f)に示すように、脈動の1つの波形の極大値および極小値が経時的に変化する。
次に、図1の動作を説明する。
通常監視時には、消火ポンプからスプリンクラー配管11および分岐配管12には加圧された水が圧送されているが、電動弁13が閉弁しているため、ノズル部13から水の散水は行われない。なお、操作入力部18からは予め所定の脈動パターンが開閉制御信号発生部17に入力されており、開閉制御信号発生部17は所定の脈動パターンに対応した脈動パターン形成プログラム20をROM19より選択してその脈動パターン形成プログラム20にしたがって動作する状態になっている。
次に、火災が発生すると、火災感知器15はこれを検知して火災検出信号を火災受信機16に出力する。火災受信機16は火災検出信号を受信すると開閉制御信号発生部17は起動信号を出力し、開閉制御信号発生部17は起動信号を受信すると、ROM19内の所定の脈動パターン形成プログラム20にしたがって動作し、起動信号を電動弁13に出力し、続いて所定の脈動パターンに応じた開閉制御信号を電動弁13に出力する。
電動弁13は開閉制御信号発生部15からの開閉制御信号にしたがって、例えば図2(a)〜(f)に示すように、弁開度を変化させる。このため、ノズル部14からは所定の脈動パターンに対応して脈動的に水が放射される。脈動パターンが正弦波のときはノズル部19からは、図2(a)に示すように略正弦波的に変動する。
また、脈動パターンが台形波のときは、図2(b)に示すように、ノズル部14からは、略台形波的に変動する脈動で水が放射される。また、脈動パターンが矩形波のときは、図2(c)に示すように、ノズル部14からは、略矩形波的に変動する脈動で水が放射される。また、脈動パターンが合成波であるときは、図2(d)に示すようにノズル部14からは正弦波と台形波と矩形波のうち2つ以上の任意の合成波的に変動する脈動で水が放射される。
また、脈動パターンが波長変動であるときは、図2(e)に示すように、ノズル部14からは1つの波長が経時的に変動する脈動で水が放射される。また、脈動パターンが極大極小変動であるときは、図2(f)に示すように、ノズル部14からは1つの波形の極大値および極小値が経時的に変動する脈動で水が放射される。
なお、この脈動のサイクルは、少なくとも1分間に1サイクル以上で水が放射されることが望ましい。
また、2つ以上のノズル部14が同時に作動させる場合には、図3に示すように、各ノズル部14からは一方の極大値に対して他方の極小値が重なるような位相をずらせて脈動で水がそれぞれ放射されるように各ノズル部14に対応した電動弁13の弁の開度を制御すれば、消火装置全体としての瞬間放射水量を抑えることができる。
このようなノズル部14からの水の脈動放射により消火が完了すると、火災感知器15は復旧信号を火災受信機16に出力する。火災受信機16は復旧信号を受信すると、開閉制御信号発生部17に停止信号を出力し、開閉制御信号発生部17は停止信号を電動弁13に出力する。電動弁13は停止信号により弁を閉止し、ノズル部14からの脈動放射は停止される。なお、水の脈動放射は、火災感知器15からの復旧信号によらず、監視員の目視による確認により、手動で停止してもよい。
このような脈動放射機構を有する散水ノズルにおいては、従来の80リットル/分の連続放射と比較した場合、例えば最大100リットル/分、最低10リットル/分で等間隔正弦波的に放射した場合には、実質上55リットル/分の水量にもかかわらず、放射水量の最大時が従来より多くすることができるため、より高い消火能力が得られる。そして、少ない放射量で消火することができるため、いわゆる水損の被害を小さくすることができる。また、放射される水を少なくすることができるため貯蔵する水槽を小さくすることができ、省スペース化、低コスト化を図ることができる。また、システム全体で考えて、複数の散水ノズルがある場合に位相をずらせて放射させれば、最大放射水量を抑えることができ、ポンプが小容量となり、自家発電設備などのバックアップ設備も小容量となり、配管のサイズも小さくなるので、低コストになる。さらに、瞬間的には従来の散水ノズルより大流量が流れるため、1つの散水ノズルの防護範囲を従来の散水ノズルのそれと比較して大きくすることができ、散水ノズルの設置個数を減らすことができ、コストも低減することができる。例えば、取付ピッチが2.3mであって所定面積の監視区域に例えば8個の放水ノズルが設置されていた場合に対して取付ピッチ例えば2.6mにすることができ、この場合には散水ノズルの個数は半分の4個ですむ。
なお、火災感知器16が現在のアナログ値を出力することができるアナログ感知器であれば、アナログ感知器からのアナログ値により脈動パターンを切り換えてもよい。例えば、アナログ感知器からの出力信号であるアナログ値が、火災判断レベルを越えた火災発生の初期時は、早期の消火を行うために脈動パターンの極大値を大きくし、アナログ値が正常時の値に戻るにつれ脈動パターンの極大値を小さくしてもよい。あるいは、火災初期は脈動パターンの波長を短くし、その後波長を長くして極大値の間隔を長くしても良い。
また、火災感知器16の出力信号を直接開閉制御信号発生部17に出力してもよい。
また、火災受信機16、開閉制御信号発生部17、操作入力部18、ROM19は1つの制御盤内に全ての機能を設けてもよい。尚、図1の実施形態において、電動弁または電磁弁13とノズル部14は、一体ものでも分離していても良く、どちらも脈動放射する消火用散水ノズルを構成することができる。
また電動弁または電磁弁13は、分岐管12に設けた構成にしているが、スプリンクラー配管11に電動弁または電磁弁13を設けて、スプリンクラー配管に接続された複数のノズルから一括して脈動放射をしても良い。同様に、消火ポンプからのびた消火用主配管に設けても良い。更に、スプリンクラー配管に水を圧送する消火ポンプで、圧送する水の量を変化させて脈動的に放射させても良い。
次に、図4(A)〜(C)は他の実施の形態を示す消火用散水ノズルであり、半断面図で示す。
図4(A)〜(C)において、21は外筒であり、外筒21内には上下動自在な内筒22が収納される。外筒21の上部側にはスプリンクラー配管に接続される接続部23が形成されている。内筒22は弁体の機能を有し、下端には放水口24が形成されている。放水口24は蓋部材25により閉止され、蓋部材25とデフレクター部26の底部との間にはグラスバルブよりなる感熱分解部27が設けられている。デフレクター部26は取付部材26Aにより外筒21に取り付けられている。内筒22は蓋部材25を介して感熱分解部27により外筒21内で所定の位置に支持されている。火災が発生して、熱により感熱分解部27が分解すると、蓋部材25が放水口24からはずれて、内筒22内の水は放水口24より放水され、デフレクター部26により散水される。
内筒22の上部側には外周突起部28が一体に形成され、下部側にも外周突起部29が一体に形成されている。下部側の外周突起部29には溝30が形成され、溝30にはシール部材31が介装されている。また、上部側の外周突起部28と下部側の外周突起部29の間には連通孔32が形成されている。内筒22の下部側内壁には内筒22の中空部33の径を絞るテーパ部34が形成され、テーパ部34に連結して放水口24が形成されている。
外筒21の内壁の上部側および下部側には溝36,37がそれぞれ形成され、溝36,37にはシール部材38,39がそれぞれ介装され内筒22の外周面と当接している。外筒21の溝36と溝37の間には凹部40が形成され、凹部40には内筒22の外周突起部29が当接している。また、外筒21には凹部40と外部とを連通する連通孔41,42がそれぞれ形成され、凹部40の中央部と下端部とにそれぞれ開口する略コの字形状の連通路43が形成されている。
内筒22と外筒21の間の凹部40には図5に拡大して示す可動開閉リング部材44が上下動自在に収納される。可動開閉リング部材44の内筒21側の上部および下部には溝45,46がそれぞれ形成され、溝45,46にはシール部材47,48がそれぞれ介装されている。溝45と溝46との間には上下方向に長い長溝49が形成され、長溝49は連通孔32を介して内筒22の中空部33に連通する。また、可動開閉リング部材44の外周側には溝50,51が形成され、溝50,51にはシール部材52,53がそれぞれ介装されている。溝50と溝51の間には連通孔54が形成され、連通孔54の一端は長溝49に開口し、他端は凹部40の内壁に開口している。また、溝50,51の上側および下側には切欠き55,56がそれぞれ形成されている。
内筒22の外周突起部29とその下部側によって形成される外筒21の凹部40の一部は圧力室40Aを構成しており、圧力室40Aには内筒22の下降に伴なって可動開閉リング部材44も一緒に下降して連通孔54が連通路43に連通すると、内筒22の水圧が導入され、導入された水圧によって内筒22が押し上げられるようになっている。また、内筒22の上昇に伴って可動開閉リング部材44が上昇すると、連通孔54と連通路43の連通は遮断される。内筒22と外筒21と圧力室40Aと可動開閉リング部材44が水圧作動機能を構成している。また、圧力室40Aの水はシール部材31,39によりシールされ、外部および凹部40側にもれないようにしている。また、長溝49に入った水はシール部材47,48によりシールされ、連通路54に入った水はシール部材52,53によりシールされ、凹部40および圧力室40Aにもれないようにしている。また、内筒22と外筒21の間隙57に入った水が凹部40にもれるのをシール部材38によりシールされる。
次に、図4,図5の動作を説明する。
まず、通常の監視状態にあっては、図4(A)に示すように、内筒22の放水口24は蓋部材25によって閉止され、蓋部材25とデフレクター部26との間に設けた感熱分解部27によって内筒22は外筒21内の所定の位置に支持されている。また、可動開閉リング部材44は、内筒22の下側の外周突起部29によって保持されている。この状態において内筒22の連通孔32は可動開閉リング部材44の長溝49に連通しているので、内筒22内の水は連通孔32、長溝49を通って連通孔54に入るが、連通孔54の出口側は外筒21の凹部40の内壁によって閉止されているため、水はここで遮断されている。
次に、火災が発生すると、熱によって感熱分解部27が分解し、蓋部材25が放水口24からはずれ下降する。このため、図4(B)に示すように、放水口24から水が放水され、デフレクター部26により散水が開始される。感熱分解部27が分解すると、内筒22の上端面35に加わる水圧で内筒22は下降していく。内筒22が下降していくと、内筒22の外周突起部28が可動開閉リング部材44の上部に接し、その後は内筒22と可動開閉リング部材44が一緒に下降する。内筒22と可動開閉リング部材44が下降していき、図4(C)に示すように可動開閉リング部材44の連通孔54と外筒21の連通路43が連通するまで下降すると、水は連通孔32、長溝49、連通孔54、連通路43を通って圧力室40Aに入る。内筒22の上端面35の面積より外周突起部29の下面の面積の方が大きいため、圧力室40A内の水が内筒22を押し上げる圧力の方が、上端面35にあたる水による内筒22を下降させる力より高くなり、内筒22は上方に押し上げられる。内筒22が上昇していき外周突起部29の上面が可動開閉リング部材44に接すると、内筒22と可動開閉リング部材44が、可動開閉リング部材44の連通孔54と連通路43の連通が遮断されるまで共に上昇する。連通孔54と連通路43の連通が遮断されると、圧力室40Aへの水の供給が遮断され、内筒22の外周突起部29の下面に加わる水の圧力がなくなり、内筒22の上端面35に加わる水の圧力で、再び内筒22が下降する。このようにして、内筒22の上昇下降が繰り返されると、放水口24とデフレクター部26との距離が変化するため、水の脈動放射が行われる。
この脈動放射の極大値、極小値は内筒22の上下動による連通孔54と連通路43が連通する位置と、連通が遮断される位置の設定により変化する。例えば、内筒22の放水口24がデフレクター部26と接触するまで下降するように設定すれば、脈動の極小値は0リットル/分となるし、内筒22の最下点がデフレクター部20より上の位置になるように設定すれば、図2(a)のような脈動波形になる。
この実施形態においても図1の消火用散水ノズルと同様な効果が得られることは言うまでもない。
なお、図4の消火用散水ノズルは感熱分解部27の火災検出により放水を行うが、感熱分解部27を無くし、火災感知器からの出力信号である火災検出信号により水を消火用散水ノズルに供給し脈動放射を行っても良い。
また、本実施形態の数値は一例にすぎず、これらの数値による限定は受けない。また、脈動パターンとしては前記したものに限定されるものではなく、脈動が三角波的に変動するものなども考えられる。
また、本実施形態では脈動を行うものとして電動弁を使用してるが、電動弁に限らず配管に流れる水の水量を制限できるものであれば適用できる。
消火用散水ノズルを示す図 脈動パターンの例を示すグラフ 複数ノズルの場合の脈動の位相を示すグラフ 他の消火用散水ノズルの半断面図 可動開閉リング部材の拡大図 従来例を示す図
符号の説明
13:電動弁または電磁弁
14:ノズル部
15:火災感知器(火災検知部)
16:火災受信機
17:開閉制御信号発生部
18:操作入力部
19:ROM
20:脈動パターン形成プログラム
21:外筒
22:内筒
27:感熱分解部
28,29:外周突起部
32,54:連通孔
40:凹部
40A:圧力室
43:連通路
44:可動開閉リング部材
49:長溝
57:間隙

Claims (1)

  1. 火災時に消火用配管に接続された消火用散水ノズルから消火液または水を放射して消火を行う固定式消火設備の散水ノズルに於いて、
    前記消火用散水ノズルから前記消火液または水を脈動的に放射する脈動放射機構を有し、前記脈動機構は、水圧により弁体の開閉動作を行い脈動放射を行う水圧作動機構を備え、
    前記水圧作動機構は、
    外筒と、
    該外筒内に上下動自在に収納される下端部に放水口を備えた内筒と、
    前記外筒と前記内筒との間に形成され、前記内筒から導入された水圧により前記内筒を上昇させる圧力室と、
    前記外筒と前記内筒との間に上下動自在に設けられ、前記内筒が所定の位置より上にあるときは前記内筒内から前記圧力室への水圧を遮断し前記内筒が所定の位置まで下降したとき前記内筒内の水圧を前記圧力室へ導入する可動開閉リング部材とからなり、
    前記圧力室への水圧の導入と遮断の切り換え及び前記内筒にかかる下降方向へ移動させる水圧による前記内筒の上下動により放水口と消火液または水を散水するデフレクタとの間隔を変化することにより脈動放射を行うことを特徴とする消火用散水ノズル。
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